JP2005246625A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体の提供。
【解決手段】 基板と、該基板上に少なくとも第一保護層、記録層、第二保護層、及び反射層をこの順及び逆順のいずれかに積層してなり、前記記録層が、X−Sb−X−Sn(ただし、Xは、Ga、Ge及びInから選択される少なくとも1種の元素を表す。Xは、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表す。)を含有することを特徴とする光情報記録媒体である。Xの合計含有量が20原子%以下である態様、Xの合計含有量が10原子%以下である態様、Snの含有量が40原子%以下である態様などが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体(以下、「相変化型光情報記録媒体」、「相変化光記録媒体」、「光記録媒体」と称することがある)に関する。
半導体レーザービームの照射により情報の書換えが可能な光情報記録媒体の一つとして、結晶―非晶質間又は結晶―結晶間の転移を利用した、いわゆる相変化型光記録媒体が知られている。この相変化型光記録媒体は単一ビームによる繰り返し記録が可能であり、またドライブ側の光学系がより単純であることを特徴とし、コンピュータ関連や映像音響に関する記録媒体として応用され世界的に普及している。そして、CD−R、CD−RW、DVDなどの記録媒体は普及とともにすでに高速記録化が進んできており、今後、高密度画像記録などへの展望から、記録媒体の容量・密度の増加が望まれ、更なる高速記録が課題となっている。
前記光情報記録媒体は、一般的に、基板とこの基板上に設けられた記録層とから構成され、通常、記録層の両面には耐熱性及び透光性を有する保護層が設けられている。また、光ビーム入射方向と反対側の保護層上には、反射層が積層されている。前記光情報記録媒体は、レーザー光のパワーを変化させるだけで記録・消去が可能であり、記録方式は、一般に結晶状態を未記録・消去状態とし、非晶質状態を記録マーク(アモルファスマーク)としている。
前記光情報記録媒体では、記録層の結晶状態/非晶質状態への切り替えは3つの出力レベルでパルス化された集束レーザービームを用いている。この際、最も高い出力レベルは記録層の溶融に使用される。中間の出力レベルは融点直下、結晶化温度よりも高い温度まで記録層を加熱するのに使用される。最も低いレベルは記録層の加熱又は冷却の制御に使用される。そして、最も高い出力レベルのレーザーパルスにより溶融した記録層は、続く急冷により非晶質ないしは微結晶となって反射率の低下が起こり、記録マークとなる。また、中間出力のレーザーパルスでは全て結晶質となり消去が可能となる。このように、出力レベル間で書込みレーザーパルスを変化させることによって、記録層に交互に結晶領域と非晶質領域を作成することができ、情報が記憶される。
前記光情報記録媒体において、高速記録を実現するに当たっては、記録層に速い結晶化速度を有する相変化材料が求められる。このような相変化材料としては、これまでにGe−Te系、Ge−Te−Se系、In−Sb系、Ga−Sb系、Ge−Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系等が、結晶化速度が速く、かつ高速記録時の消去比が高いことで注目され、数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
しかしながら、高速記録の実現は、記録層材料の結晶化速度を速めるだけでは不充分であり、別の大きな課題として「初期化の容易さの確保」という問題がある。例えば、高速記録材料の一つとして知られるGa−Sb系の相変化材料は結晶化速度が極めて速いことが報告されている(非特許文献1参照)。しかし、Ga−Sb系の相変化材料の結晶化温度は350℃と非常に高く初期化が困難である。また、仮に高い初期化パワーを照射し初期化を行っても、初期化後の反射率にばらつきが生じ、記録特性に大きな影響を与えてしまうという問題がある。
したがって、DVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体は未だ得られておらず、その速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開2001−322357号公報 特開2002−011958号公報 特許第2796390号公報 "Phase−Change optical data storage in GaSb",Aplied Optics,Vol.26,22225,November,1987
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らは、DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録の達成を目標とした光情報記録媒体の開発過程において、高速記録に特に適すると思われるGa−Sb系材料に着目して鋭意検討を重ねた結果、Ga−Sb系材料にAu、Ag、及びCuから選択される少なくとも1種の元素を記録層内部に結晶性粒子として均一に分散させることによって、初期化の問題を飛躍的に改善し得ることを知見した。また、Ga−Sb系材料にSnを必須元素として添加することによってDVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を満たす光情報記録媒体を提供できることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基板と、該基板上に少なくとも第一保護層、記録層、第二保護層、及び反射層をこの順及び逆順のいずれかに積層してなり、前記記録層が、X−Sb−X−Sn(ただし、Xは、Ga、Ge及びInから選択される少なくとも1種の元素を表す。Xは、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表す。)を含有することを特徴とする光情報記録媒体である。該<1>に記載の光情報記録媒体は、記録材料として、Ga−Sb、Ge−Sb、又はIn−Sb系の化合物のもつ高速結晶化特性に注目し、この特性を利用する一方で前記化合物の欠点である高い結晶化温度によりもたらされる初期化不良問題をAu、Ag又はCuから選ばれる少なくとも一種以上の元素を添加することで改善し、更にSnを添加することによって、Au、Ag又はCuにより引き起こされる高速結晶化特性への弊害を改善することができるため、DVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易であり、初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体を提供することができる。
<2> Xの合計含有量が20原子%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。Gaは少ない添加量で繰り返し記録特性や保存信頼性を損なわずに結晶化速度を速めることができ、また相変化材料の結晶化温度を高める効果を有するため、マークの安定性にも効果的な元素である。しかし、Gaの添加量が20原子%を超える場合は、結晶化温度が高くなりすぎるため初期化が困難となる。Geは少量の添加で保存信頼性を飛躍的に向上させるが、Geも20原子%を超えると結晶化温度が高くなりすぎて初期化が困難となる。InはGaと同様の効果を持ち、また、Gaほど結晶化温度を高くしない利点を有するため、初期化の問題を考慮した場合Gaを補う元素として用いると有効である。しかし、Inの過剰な添加も繰り返し記録特性を低下させ、また反射率低下の原因となることから上限は20原子%以下であることが好ましい。
<3> Xの合計含有量が10原子%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<3>に記載の光情報記録媒体については、Au、Ag及びCuは高速記録材料の初期化不良を改善し、かつ保存信頼性に優れた有効な元素であるが、反面、記録材料の結晶化速度を低下させ高速記録を妨げる特性も備えているので、Xの合計含有量が10原子%以下であることが好ましい。
<4> Snの含有量が40原子%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<4>に記載の光情報記録媒体は、Snを必須成分として含む。Snは、Ga、Inと同様に記録材料の結晶化速度を速める効果を有するばかりでなく、Ga、Inに比べて、記録材料の融点降下、記録媒体の感度向上、反射率向上、初期化ノイズ低減に有効であり、従って、総合的に記録特性を向上させる非常に優れた添加元素である。Snの含有量が40原子%を超えると、結晶化速度が速くなりすぎアモルファス化が困難となるため好ましくない。
<5> 記録層が、更にTe、Al、Zn、Mg、Tl、Pb、Bi、Cd、Hg、Se、C、N、Mn及びDyから選択される少なくとも1種の元素を含有し、該元素の合計含有量が10原子%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<5>に記載の光情報記録媒体においては、Tl、Pb、Bi、Al、Mg、Cd、Hg、Mn、又はDyも結晶化速度を速くする効果があり、高速記録を実現できる。しかし、良好な記録特性を維持したまま、結晶化速度を速くする能力はGa、Inに比べ劣るため、これらの元素の合計添加量は10原子%以下が好ましい。またTe、Al、Zn、Se、C、N、Seについては、Ge程の効果を期待することはできないが、同様に保存信頼性の改善に効果があり、これらの添加量についても記録特性を低下させない理由から10原子%以下である。
<6> 記録層の構成元素が、GaαGeβInγ−Sbδ−X εSnζ−Yη(ただし、Xは、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表す。Yは、Te、Al、Zn、Mg、Tl、Pb、Bi、Cd、Hg、Se、C、N、Mn及びDyから選択される少なくとも1種の元素を表す。)で表され、組成比率(原子%)α、β、γ、δ、ε、ζ及びηが、次式、0≦α≦20、0≦β≦20、0≦γ≦20(ただし、α、β、γがすべて0である場合を除く)、40≦δ≦95、0<ε≦10、0<ζ≦40、0≦η≦10、α+β+γ+δ+ε+ζ+η=100を満たす前記<1>から<5>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<6>に記載の光情報記録媒体は、記録層の構成元素GaαGeβInγ−Sbδ−X εSnζ−Yηが、所定の関係を満たすことによって、DVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体が得られる。
<7> 記録層の膜厚が、6〜20nmである前記<1>から<6>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。
<8> 第一保護層及び第二保護層が、ZnSとSiOの混合物を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<8>に記載の光情報記録媒体における第一保護層及び第二保護層は、ZnSとSiOの混合物を含有する。該ZnSとSiOの混合物は、耐熱性、低熱伝導率性、化学的安定性に優れており、膜の残留応力が小さく、記録/消去の繰り返しによっても記録感度、消去比などの特性劣化が起きにくく、記録層との密着性にも優れているという利点がある。
<9> 反射層が、Ag及びAg合金のいずれかを含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<9>に記載の光情報記録媒体は、純Ag又はAg合金は熱伝導率が極めて高く、記録時に記録層が高温に達した後直ぐに、アモルファスマーク形成に適した急冷構造を実現でき、良好な反射層を形成できる。
<10> 第二保護層と反射層との間に第三保護層を有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の記載の光情報記録媒体である。前記<10>に記載の光情報記録媒体のように反射層が、特にAgを含有する場合、ZnSとSiOの混合物のような硫黄を含む材料を第二保護層に用いると、硫黄がAgと反応して反射層を腐食してしまうため、光情報記録媒体における第三保護層第二保護層と反射層との間に設けることでAgの硫化を防止できるという利点がある。
<11> 初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長における反射率分布の標準偏差が0.5%以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<11>に記載の光情報記録媒体においては、初期化後(結晶状態)の反射率のばらつきは記録特性に大きく影響を与え、ディスク内の全てのデータ領域において、一定した記録特性を得ることが困難となる。初期化後の反射率分布の標準偏差を0.5%以下に規定することで、ディスク面内で分布のない、一定した記録特性を保証することができる。
<12> 基板が、溝ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μmの蛇行溝を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<12>に記載の光情報記録媒体においては、現状のDVD+RW媒体の規格に準拠した高速記録が可能なDVD+RW媒体を提供することができる。溝を蛇行させることによって、未記録の特定トラックにアクセスさせることや、基板を一定線速度で回転させることができる。
<13> DVD3〜10倍速の記録速度で記録可能である前記<1>から<12>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。該<13>に記載の光情報記録媒体においては、現状のDVD+RW媒体の規格に準拠し、具体的には3〜10倍速相当=約10m/s〜36m/sの高速記録が可能である。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、高速記録材料において問題となる初期化不良の改善に必要なAu、Ag又はCu添加によってもたらされる結晶化速度の低下をSb又はGa等の添加量を増やすことなく、Snを添加することで解消し得、DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体を提供できる。
本発明の光情報記録媒体は、基板と、該基板上に少なくとも第一保護層、記録層、第二保護層、及び反射層をこの順及び逆順のいずれかに積層してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。この場合、前記光情報記録媒体は、第一保護層側からレーザー光を照射して記録再生を行うものである。
前記光情報記録媒体は、初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長(例えば、660nm)における反射率の分布の標準偏差は0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましい。初期化後の反射率分布の標準偏差が0.5%以下であると、ディスク面内で分布のない、一定した記録特性を保証することができる。
前記光情報記録媒体は、初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長(例えば、660nm)における反射率は18%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。前記反射率が18%未満であると、信号の再生/記録が困難となることがある。
図1は、本発明の光情報記録媒体の一例を示す概略断面図である。この光情報記録媒体は、レーザー光の案内溝(好ましくは蛇行溝)が設けられた透明な基板1の上面に、第一保護層2、結晶と非晶質の可逆的相変化をする記録層3、第二保護層4、第三保護層5、反射層6、樹脂保護層7を備え、最後に前記基板1と同様な貼り合せ用基板8を貼り合わせた層構成となっている。
以下、各層について具体的に説明する。
−記録層−
前記記録層3は、X−Sb−X−Sn(ただし、Xは、Ga、Ge及びInから選択される少なくとも1種の元素を表す。Xは、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表す。)を含有してなり、更に必要に応じてその他の元素を含有してなる。
は、Ga、Ge及びInから選択される少なくとも1種の元素を表し、Xの合計含有量は20原子%以下が好ましく、2〜18原子%がより好ましく、2〜16原子%が更に好ましい。Xの合計含有量が20%を超えると、結晶化温度が高くなりすぎ、初期化が極めて難しくなることがある。
は、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表し、Xの合計含有量は10原子%以下が好ましく、0.1〜10原子%がより好ましい。
DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録に適した相変化記録材料を設計するためには、記録材料中のAu、Ag又はCuの添加量範囲は10原子%以下が好ましい。これは、Au、Ag又はCuは保存信頼性に優れ、かつ、高速記録材料の初期化不良を改善する有効な元素であるが反面、記録材料の結晶化速度を低下させ高速記録を妨げる特性も備えている。そのためAu、Ag又はCuの合計添加量の上限は10原子%が好ましい。一方、少なすぎる場合、Au、Ag又はCuの添加効果が不明瞭となってしまうため、Au、Ag及びCuの添加量の下限は0.1原子%が好ましい。
Snの含有量は40原子%以下が好ましく、5〜40原子%がより好ましく、5〜25 原子%が更に好ましい。
SnはGa、Inと同様に記録材料の結晶化速度を速める効果を有するばかりでなく、Ga、Inに比べ記録材料の融点を降下させて、記録媒体の感度向上、反射率向上、及び初期化ノイズ低減に効果的であり、総合的に記録特性を向上させる非常に有効な元素である。また、SnはSbに最も原子番号が近くSbとの親和性が高く、オーバーライト特性の改善にも効果的である反面、Snの添加量が多すぎると、結晶化速度が速くなりすぎアモルファス化が困難となる他、再生光劣化や初期ジッターの劣化、保存信頼性劣化を引き起すため、Snの含有量は40原子%以下であることが好ましい。
前記記録層は、更にTe、Al、Zn、Mg、Tl、Pb、Bi、Cd、Hg、Se、C、N、Mn及びDyから選択される少なくとも1種の元素を含有することが好適であり、該元素の合計含有量は10原子%以下が好ましく、0〜8原子%がより好ましい。
Tl、Pb、Bi、Al、Mg、Cd、Hg、Mn、又はDyにも結晶化速度を速くする効果があり、添加によって高速記録を実現することが可能であるが、良好な記録特性を維持したまま、結晶化速度を速くする能力はGa、Inに比べ劣るため、これらの元素の合計添加量は10原子%以下が好ましい。また、Te、Al、Zn、Se、C、N、又はSeは、Geほどではないが、保存信頼性の改善に効果があり、これらの合計添加量についても記録特性を低下させない理由から10原子%以下が好ましい。
前記記録層の構成元素は、具体的には、GaαGeβInγ−Sbδ−X εSnζ−Yη(ただし、Xは、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表す。Yは、Te、Al、Zn、Mg、Tl、Pb、Bi、Cd、Hg、Se、C、N、Mn及びDyから選択される少なくとも1種の元素を表す。)で表され、組成比率(原子%)α、β、γ、δ、ε、ζ及びηが、次式、0≦α≦20、0≦β≦20、0≦γ≦20(ただし、α、β、γがすべて0である場合を除く)、40≦δ≦95、0<ε≦10、0<ζ≦40、0≦η≦10、α+β+γ+δ+ε+ζ+η=100を満たすことが好ましい。
ここで、SbとGa、Ge及びInの組成比に関しては、式中、α+β+γ=0、即ち、Ga、Ge及びInが何も含まれない場合には、保存信頼性が劣化することがある。δが95原子%を超えると、結晶化速度の上昇が急激となりマーク形成が困難となるほか、保存信頼性が低下してしまうため好ましくない。Gaの添加量は、多すぎると結晶化温度が高くなり過ぎ、初期化時に均一で高い反射率を持つ結晶状態を得ることが難しくなる。そのためGaの組成範囲は、20原子%以下が好ましい。一方、Ge添加量に関しては2原子%程度で保存信頼性を改善する効果が現われ、添加量が増えるに従ってその効果は高くなるが、過剰の添加はオーバーライトによるジッター上昇などの弊害を招くことからGeの上限も20原子%以下が好ましい。InはGaと同様の効果を持ち、またGaほど結晶化温度を高くしないというメリットがあるため、初期化の問題を考慮した場合、Gaを補う元素として用いると有効であるが、Inの過剰な添加は繰り返し記録特性を低下させ、また反射率低下の原因となるため、20原子%以下が好ましい。Snについては添加量が多すぎる場合、再生光劣化や初期ジッターの劣化、保存信頼性劣化を引き起すため、40原子%以下が好ましい。
本発明においては、DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で、初期化後の反射率分布が一様となる相変化材料は、Sbを主成分として、これに特にGa及び/又はGe、InとSnが含まれ、かつAu、Ag、Cuから選ばれる少なくとも1種の元素が添加された材料である。
即ち、記録層における主要構成元素であるSbは、高速記録を実現できる、優れた相変化材料であり、Sb比を変化させることで結晶化速度を調整でき、比率を高くすれば結晶化速度を速めることができる。しかし、Sb単独ではDVD8倍速相当の速い結晶化速度を実現することが困難であるため、これにオーバーライト特性や保存信頼性を損なわずに結晶化速度を速める方法として、特にGa及びGeの少なくともいずれか、Inを添加する。Gaは少ない添加量で結晶化速度を速くすることができ、また相変化材料の結晶化温度を高める効果をもつことからマークの安定性(保存信頼性)に効果的である。
一方、Geは結晶化速度を速める効果はもたないが、Gaほど結晶化温度を上げることなく、少量の添加で保存信頼性を飛躍的に向上させることができるため、Gaと同様に重要な元素である。またInはGaと同様の効果を持ち、またGaほど結晶化温度を高くしないというメリットがあるため、初期化の問題を考慮した場合、Gaを補う元素として用いると有効である。
このようなGa−Sb、Ge−Sb、及びIn−Sb系の相変化材料は、組成比の調整で結晶化速度が速くかつ保存安定性に優れた、具体的には、DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速相当の記録材料を設計することができる。しかしながら、先に述べたように、このような材料は一般に結晶化温度が高いという欠点を有し、初期化不良の問題を新たに生じさせてしまう。そこで更に、Au、Ag、及びCuから選ばれる少なくとも1種の元素を添加する。Au、Ag及びCuの少なくともいずれかの添加によって初期化不良が改善される原因は、おそらく、これらの元素が記録材料中で結晶性粒子として存在し、初期化時の「結晶核」となり結晶化を促進させるからであると考えられる(図5における比較例1の「透過電子顕微鏡写真による初期化後の記録層の状態」を参照)。
ここで、前記結晶性粒子は、記録層中に存在する金属原子をX とすると、以下の過程を経て生成されるものと思われる。
<式1>
nX +加熱 →(X (結晶性粒子)
あるいは、記録層中に金属原子がイオンと存在している場合は、以下の過程も考えられる。
<式2>
+Sb2++hν→X +Sb4+(Sbによる還元反応)
Sbによる還元反応は、通常感光反応とされており紫外線照射等によって反応が進行するとされているが、この場合、例えば、紫外線硬化樹脂を硬化する際に用いる紫外線の影響で金属原子が生成することも考えられる。
前記記録層中に存在する金属原子X が、初期化時のレーザー照射によって得た熱により前記<式1>に示すように微細な結晶性粒子へと変換され、「結晶核」の役目をする結晶性粒子が記録層内部に均等に形成されることで、初期化が容易となり、かつ反射率分布の一様な初期化を可能にするものと考えられる。また、Au、Ag又はCuは保存信頼性にも効果的な添加元素であり、初期化不良を解決するばかりでなく保存信頼性にも優れた相変化材料を設計することができる。
このようにAu、Ag又はCuは初期化不良を解決するばかりでなく、保存信頼性にも効果的な元素である一方、記録材料の結晶化速度を低下させてしまうという不具合があり、そのため本発明が対象とするようなDVD8倍速以上の相変化材料においては、Sb量を更に増やすか或いはGa等の添加量を増やす必要がある。しかし、DVDの高速記録化に伴い記録層組成の組成比マージンが非常に小さくなってきているため、記録材料中のSb比あるいはGa比を増やすと、Au、Ag又はCuによる初期化の改善は期待できるものの、高速記録での良好な記録特性は次第に困難となる。
従って、Snを更に添加することで記録特性を改善し、本発明の記録層組成とすることで、DVD3〜10倍速、特にDVD8倍速以上の高速記録においても良好な記録特性及び保存信頼性を有し、かつ記録材料の初期化が容易で初期化後の反射率分布が一様な光情報記録媒体を提供できる。
前記記録層の膜厚は6〜20nmが好ましく、8〜17nmがより好ましい。前記膜厚が6nmよりも薄いと繰り返し記録による記録特性の劣化が著しくなることがあり、20nmよりも厚いと、繰り返し記録による記録層の移動が起こり易くジッター増加が激しくなるためである。なお、結晶とアモルファスの吸収率差をなるべく小さくして消去特性を向上させるためには記録層の厚さは薄い方が好ましい。
前記記録層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できるが、これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
−第一保護層及び第二保護層−
前記第一保護層2及び第二保護層4は、前記記録層3の劣化変質を防ぎ、記録層3の接着強度を高め、かつ記録特性を高めるなどの作用効果を有し、例えば、SiO、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrOなどの金属酸化物、Si、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物、ZnS、In、TaSなどの硫化物、SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrCなどの炭化物やダイヤモンド状カーボンあるいは、それらの混合物が挙げられる。これらの中でも、ZnSとSiOの混合物が好ましい。前記ZnSとSiOの混合物は、耐熱性、低熱伝導率性、化学的安定性に優れており、膜の残留応力が小さく、記録/消去の繰り返しによっても記録感度、消去比などの特性劣化が起きにくく、記録層との密着性にも優れている点で好ましい。
前記第一保護層2、第二保護層4の層形成方法としては、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などが用いられる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
前記第一保護層2、及び第二保護層4の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、反射率、記録パワーマージン、ジッターや繰り返し記録の信号安定生などの記録特性や高温高湿保存、ヒートサイクル試験などの品質特性により決定される。通常、第一保護層は50〜80nmが好ましく、第二保護層は3〜20nmが好ましい。第二保護層の膜厚については、記録層の冷却に関係し直接的な影響が大きいため、良好な消去特性・繰り返し記録耐久性を得るために4nm以上は必要である。これより薄いとクラック等の欠陥を生じ繰り返し記録耐久性が低下するほか、記録感度が悪くなるため好ましくない。また、20nmを超えると記録層の冷却速度が遅くなるためマークが形成し難くなり、マーク面積は小さくなってしまうので好ましくない。
−反射層−
前記反射層6は、例えば、Al、Au、Ag、Cu、Taなどの金属材料、又はこれらの合金などを用いることができる。また、これら金属材料への添加元素として、Cr、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどが使用できる。これらの中でも、Ag及びAg合金のいずれかを含有することが好ましい。これは、前記光情報記録媒体を構成する反射層は通常、記録時に発生する熱の冷却速度を調整する「熱伝導性」の観点と、干渉効果を利用して再生信号のコントラストを改善する「光学的」な観点から、「高熱伝導率/高反射率の金属」が望ましく、純Ag又はAg合金はAgの熱伝導率が427W/m・Kと極めて高く、記録時に記録層が高温に達した後直ぐに、アモルファスマーク形成に適した急冷構造を実現できるからである。
なお、このように高熱伝導率性を考慮すると純銀が最良であるが、耐食性を考慮しCuを添加しても良い。この場合Agの特性を損なわないためには銅の添加量範囲は0.1〜10原子%程度が好ましく、特に0.5〜3原子%が好適である。過剰の添加は逆にAgの耐食性を劣化させてしまう。
前記反射層6は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。なかでも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
前記反射層6の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、一層記録の場合では、100〜200nmである。
−第三保護層−
前記保護層と前記反射層との間に、第三保護層5を設けることが好ましい。
純Ag又はAg合金を反射層に用いると、ZnSとSiOの混合物のような硫黄を含む保護層を用いた場合、硫黄がAgへ拡散してディスク欠陥となる不具合が生じてしまう(Agの硫化反応)。従って、このような反応を防止する第三保護層としては、(1)Agの硫化反応を防ぐ、バリア能力があること、(2)レーザー光に対して光学的に透明であること、(3)アモルファスマーク形成のため、熱伝導率が低いこと、(4)保護層や反射層と密着性が良いこと、(5)形成が容易であること、などの観点から適切な材料を選定することが望ましく、上記要件を満たす酸化物、炭化物及び窒化物が好ましい。
前記第三保護層の厚みは、通常、3〜10nmである。
前記樹脂保護層7は、工程内及び製品となった時点で記録層の光情報媒体の薄膜積層構造保護の作用効果を有し、通常紫外線硬化性の樹脂により形成する。膜厚は2〜5μmである。
−基板−
前記基板1の材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂、などが用いられるが、成形性、コストの点から、樹脂製基板が好適である。前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
前記基板1の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常使用するレーザーの波長やピックアップ・レンズの集光特性により決定される。波長780nmのCD系では1.2mmの基板厚み、波長650〜665nmのDVD系では0.6mmの板厚の基板が用いられている。
前記基板は、例えば、溝ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μmの蛇行溝を有するものが好ましい。溝を蛇行させることによって、未記録の特定トラックにアクセスさせることや、基板を一定線速度で回転させることができる。
なお、前記接着層は、情報信号が書き込まれる基板1と貼り合せ用基板8とを貼り合わせるために用い、ベースフィルムの両側に粘着剤を塗布した両面粘着性のシート、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化樹脂により形成する。前記接着層の膜厚は、通常50μm程度である。
前記貼り合せ用基板(ダミー基板)8は、接着層として粘着性シート又は熱硬化性樹脂を用いる場合は、透明である必要はないが、接着層に紫外線硬化樹脂用いる場合は紫外線を透過する透明基板とする。前記貼り合せ用基板の厚みは、通常、情報信号を書き込む透明基板1と同じ0.6mmのものが用いられている。
また、本発明の光情報記録媒体は、多層型光情報記録媒体としても好適に用いることができる。例えば、図2は、二層構造光記録媒体の概略断面図であり、この情報記録媒体は、第1基板10の上に、第1情報層18、中間層20、第2情報層28、及び第2基板25をこの順に積層してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記第1情報層18は、接着層11、第1下部保護層12、第1記録層13、第1上部保護層14、第1反射層15、及び熱拡散層16からなる。
前記第2情報層28は、第2下部護層21、第2記録層22、第2上部保護層23、及び第2反射層24からなる。
なお、第1上部保護層14と第1反射層15との間、及び第2上部保護層23と第2反射層24との間にバリア層を設けても構わない。
本発明においては、前記第1記録層及び前記第2記録層の少なくともいずれかが、前記本発明のX−Sb−X−Snで表される記録材料を含有することが好ましい。
この多層構造の光情報記録媒体によれば、更なる大容量の記録が可能となる。
以上、本発明の光情報記録媒体について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。例えば、図3に示すような、基板1の上面に、第一保護層2、記録層3、第二保護層4、反射層6、貼り合せ用基板8を貼り合わせた層構成を有する一般的なBlu−Ray(青色波長)ディスク型の光記録媒体に相当する場合にも、構成によらず全く同様に適用できる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−光情報記録媒体の作製−
直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂製であり、トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、溝幅0.27μmの蛇行溝付き基板1上に、図1に示した構成層を以下のようにして形成し、光ディスク(メディア)を作製した。
まず、スパッタ装置(ユナクシス社製、Big Sprinter)を用いて、第一保護層2としてのZnS(80mol%)−SiO(20mol%)を厚みが65nmになるように成膜した。第一保護層上に記録層3としてのGa11Sb72AgSn15を厚みが16nmになるように成膜した。記録層上に第二保護層4としてのZnS(80mol%)−SiO(20mol%)を厚みが10nmとなるように成膜した。第二保護層上に第三保護層5としてのSiCを厚みが4nmとなるように成膜した。第三保護層上に反射層6としての純Agを厚みが140nmとなるように成膜し、スパッタ装置から取り出した。
スパッタ成膜終了後、反射層上にスピンコート法により樹脂保護層7(大日本インキ化学工業株式会社製、SD318)をコートし、最後に基板1と同一の直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂製の貼り合せ用基板8を紫外線硬化により貼り合せた。以上により、実施例1の光ディスクを作製した。
(実施例2)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をGa13Sb70AgSn15に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光ディスクを作製した。
(実施例3)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をGaGeSb69AgSn17に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光ディスクを作製した。
(実施例4)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をGaGeSb64AgSn20に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の光ディスクを作製した。
(実施例5)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をGa10InSb70AgSn15に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の光ディスクを作製した。
(実施例6)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をGe12Sb67AgSn18に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の光ディスクを作製した。
(実施例7)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をIn18Sb70AgSnTeに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の光ディスクを作製した。
(比較例1)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をGa10Sb90に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光ディスクを作製した。また、透過電子顕微鏡による初期化後の記録層の状態を図5に示す。
(比較例2)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をGa10Sb85Agに変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光ディスクを作製した。
(比較例3)
−光情報記録媒体の作製−
実施例1において、記録層の組成をSb85Sn10Agに変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の光ディスクを作製した。
次に、得られた実施例1〜7及び比較例1〜3の光ディスクについて、以下のようにして、初期化方法、初期化後のディスク評価、記録特性の評価、及び保存信頼性の評価を行った。
<初期化方法>
初期化装置(日立コンピュータ機器株式会社製、PCR DISK INITIALIZER)を使用し、上記光ディスクを一定線速度で回転させ、パワー密度10〜20mW/μmのレーザー光を、半径方向に一定の送り量で移動させながら照射することで行った。
<記録特性の評価>
記録特性の評価は、波長660nm、NA0.65のピックアップを有する光ディスク評価装置(パルステック社製、DDU−1000)を用いて、記録線速度28m/s(DVDの8倍速に相当)、線密度0.267μm/bitの条件で、EFM+変調方式により3Tシングルパターンを10回オーバーライトしたときのC/N比について、下記基準により評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
なお、記録特性の評価については、書換え型の光ディスクシステムを実現する場合、そのC/N比は少なくとも45dB以上が必要であり、50dB以上あれば更に安定したシステムが実現できる。
−評価基準−
「×」・・・C/N比が45dB未満
「○」・・・C/N比が45dB以上50dB未満
「◎」・・・C/N比が50dB以上
<結晶化速度>
前記結晶化限界速度は、記録材料の特性を表す物性値であり、回転する光ディスクに一定パワーのDC光を照射し、光ディスク反射率の照射光ビーム線速度(すなわち、光ディスク回転速度)依存性(ただし、記録/再生系での線速度依存性)を評価したとき、図4に示すような反射率の急激な低下が始まる時の線速度を意味する。これは、「一定パワーのDC光」を前記記録原理における中間出力のレーザーパルス(消去パルス)に見立て、記録/再生系の照射光ビーム線速度を上昇させたときにどの線速度まで結晶化(消去)が可能であるかについて着目した評価方法である。例えば、図4において、記録材料の結晶化限界速度(図中太線)を越える速い線速度でDC光を照射しても、満足な結晶化が実現されないことを示している。評価結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
「○」・・・光ディスクの結晶化限界速度(図4参照)が20m/s以上
「×」・・・光ディスクの結晶化限界速度(図4参照)が20m/s未満
<記録感度>
記録感度に関しては、パターンを記録する際の最適記録レーザーパワーが40mW未満の場合を「○」、40mW以上必要とする場合を「×」とした。評価結果を表1及び表2に示す。
<初期化後の反射率>
初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長(660nm)における反射率を前記光ディスク評価装置を用いて、再生速度3.5m/s、リードパワー0.7mWの条件において測定し、評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。なお、初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長(660nm)における反射率は18%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。前記反射率が18%未満であると、信号の再生/記録が困難となることがある。
−評価基準−
「○」・・・反射率が18%以上
「×」・・・反射率が18%未満
<初期化後の反射率分布/初期化ノイズ等の評価>
初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長(λ=660nm、NA=0.65)における反射率を、前記光ディスク評価装置を用いて、再生速度3.5m/s、リードパワー0.7mWの条件において測定し、評価した。なお、初期化後の反射率分布/初期化ノイズ等の評価については、現在市販されている2.4倍速記録対応DVD+RW(参考例1)の初期化後の反射率幅をおおよその基準幅とし、下記規準により評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
市販の光ディスクと同程度の反射率幅が得られた場合(この場合、反射率分布が小さいと考えられる)「○」、市販の光ディスクに比べ明らかに反射率幅が太い(従って反射率がばらつき、分布をもっている)と思われる場合を「×」とした。
<反射率分布のバラツキ>
初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長(λ=660nm、NA=0.65)における反射率分布の標準偏差について、前記光ディスク評価装置を用いて、測定を行い評価した。結果を表1及び表2に示す。
<保存信頼性の評価>
実施例1〜7及び比較例3の光ディスクについて、80℃−85%RH恒温槽に300時間放置した後のC/N比を測定し、下記基準により保存信頼性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
80℃−85%RH恒温槽に300時間放置した後のC/N比が45dB未満の場合を「×」、45dB以上50dB未満の場合を「○」、50dB以上の場合を「◎」とした。なお、未評価のものについては「−」の記号を付与した。
Figure 2005246625
Figure 2005246625
表1及び表2の結果から、実施例1〜7は、いずれもCN比は45dB以上となり、また80℃−85%RH恒温環境試験後(300時間後)の劣化もなく、記録特性及び保存信頼性の両特性において良好であることがわかった。特に実施例1〜4及び6のGa−Sb或いはGa−Ge−Sbを記録材料ベースとしたサンプルは、50dB以上の更に高いCN比が得られた。
また、このうちGeを含む実施例3、4、及び6については80℃−85%RH恒温環境試験後の特性に全く劣化がないことがわかった。また、Inを含む実施例5及び7においては、InがGaほど結晶化速度を速める効果をもたないため実施例1と比較するとCN比は若干小さな値となってしまうが、それでも45dB以上の高いCN比を有し良好な記録特性を期待できることがわかった。また、実施例7においては、Geが含まれず、かつSb比が高いにも関わらず、Teの効果により良好な保存信頼性を得ることができた。
比較例1は、記録層材料にAgが含まれない組成であり、初期化後のRf信号は非常に幅が広く、従って初期化後の反射率が不均一で充分な初期化を行うことが困難であることがわかった。また、記録特性の評価でも反射率変動が大きいことが原因により、良好な記録特性は得られなかった。図5に示した初期化後の記録層の状態(透過電子顕微鏡による観察結果)では、比較例1では小さな結晶粒径と通常では観察されない大きな結晶粒径が不均一に混在したイメージが得られ、反射率分布のバラツキを生む原因となっていることが確認された。
比較例2は、記録層にSnが含まれていないので、初期化後の反射率の均一性は良好であったが結晶化速度は20m/s未満となり、記録特性を評価してみたところ、特に繰り返し記録時の消去比が低下し、良好なオーバーライト特性を得ることはできなかった。
比較例3は、記録層にGa、Ge及びInから選択される少なくとも1種の元素が含まれていないので、結晶化速度、初期化後の反射率均一性は良好であったが、記録特性、及び保存信頼性が劣るものであった。
本発明の光情報記録媒体は、CD−R、CD−RW、DVDなどの各種光記録媒体、特にDVD3〜10倍速、中でもDVD8倍速以上の高速記録媒体に好適に用いられる。また、本発明の光情報記録媒体は、書き換え型(相変化型)光ディスク、特にDVD+RWでの最速8倍速記録が可能なCAV記録、及び3倍速記録での下位互換可能なメディアにも応用することができる。
図1は、本発明の光情報記録媒体の層構成の一例を示す説明図である。 図2は、本発明の2層構造光情報記録媒体の層構成の一例を示す説明図である。 図3は、本発明の光情報記録媒体の層構成の一例を示す説明図である。 図4は、照射光ビーム線速度と光ディスク反射率との関係を示すグラフである。 図5は、比較例1の透過電子顕微鏡による初期化後の記録層の状態を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 第一保護層
3 記録層
4 第二保護層
5 第三保護層
6 反射層
7 樹脂保護層
8 貼り合せ用基板
10 第1基板
11 接着層
12 第1下部保護層
13 第1保護層
14 第1上部保護層
15 第1反射層
16 熱拡散層
18 第1情報層
20 中間層
21 第2下部保護層
22 第2記録層
23 第2上部保護層
24 第2反射層
25 第2基板
28 第2情報層

Claims (13)

  1. 基板と、該基板上に少なくとも第一保護層、記録層、第二保護層、及び反射層をこの順及び逆順のいずれかに積層してなり、前記記録層が、X−Sb−X−Sn(ただし、Xは、Ga、Ge及びInから選択される少なくとも1種の元素を表す。Xは、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表す。)を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
  2. の合計含有量が20原子%以下である請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. の合計含有量が10原子%以下である請求項1から2のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  4. Snの含有量が40原子%以下である請求項1から3のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  5. 記録層が、更にTe、Al、Zn、Mg、Tl、Pb、Bi、Cd、Hg、Se、C、N、Mn及びDyから選択される少なくとも1種の元素を含有し、該元素の合計含有量が10原子%以下である請求項1から4のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  6. 記録層の構成元素が、GaαGeβInγ−Sbδ−X εSnζ−Yη(ただし、Xは、Au、Ag及びCuから選択される少なくとも1種の元素を表す。Yは、Te、Al、Zn、Mg、Tl、Pb、Bi、Cd、Hg、Se、C、N、Mn及びDyから選択される少なくとも1種の元素を表す。)で表され、組成比率(原子%)α、β、γ、δ、ε、ζ及びηが、次式、0≦α≦20、0≦β≦20、0≦γ≦20(ただし、α、β、γがすべて0である場合を除く)、40≦δ≦95、0<ε≦10、0<ζ≦40、0≦η≦10、α+β+γ+δ+ε+ζ+η=100を満たす請求項1から5のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  7. 記録層の膜厚が、6〜20nmである請求項1から6のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  8. 第一保護層及び第二保護層が、ZnSとSiOの混合物を含有する請求項1から7のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  9. 反射層が、Ag及びAg合金のいずれかを含有する請求項1から8のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  10. 第二保護層と反射層との間に第三保護層を有する請求項1から9のいずれかに記載の記載の光情報記録媒体。
  11. 初期化後の未記録部の記録再生レーザー光波長における反射率分布の標準偏差が0.5%以下である請求項1から10のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  12. 基板が、溝ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μmの蛇行溝を有する請求項1から11のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  13. DVD3〜10倍速の記録速度で記録可能である請求項1から12のいずれかに記載の光情報記録媒体。
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