JP2005035058A - 相変化型光情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】走査速度20m/s以上という高速での記録・書換え・消去に対応可能な相変化型光情報記録媒体の提供。
【解決手段】(1)基板上に少なくとも記録層と反射層を有し、該記録層の主成分が下記組成式で表されることを特徴とする相変化型光情報記録媒体。
(GeαSb1−α1−βSnβ
(式中、0.15≦α≦0.25、0.10≦β≦0.25、α、βは原子比)
(2)記録層の結晶化上限速度Vc(m/s)が、22≦Vc≦27の範囲内にあることを特徴とする(1)記載の相変化型光情報記録媒体。
(3)記録層に隣接して、Al、ZrO、TiO、SnOなどの金属酸化物を主成分とする中間層を有することを特徴とする(1)又は(2)記載の相変化型光情報記録媒体。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相変化型光情報記録媒体、特に結晶−アモルファス間の相変化を利用した記録層を有する書き換え型光ディスクに関する。これらは一般にRWディスク(ReWritableディスク)と呼ばれるものであり、CD−RW(Compact Disc ReWritable)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)、DVD+RW、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)などが例示できる。
また、これらのディスクは、薄膜の相変化を利用する光記録媒体、主にカード型光メモリ、光記録型の電子ペーパなどに応用することができる。
【0002】
【従来技術】
デジタル情報の記録媒体として書き換え型の光情報記録媒体が広く普及している。特に相変化材料を記録材料に用いた光情報記録媒体では、記録材料の可逆的な相変化を記録原理とするため情報の記録と同時に書換えが可能であることから広く普及している。
近年のアナログ情報のデジタル化に伴い、処理するデジタル情報の容量が格段に大きくなっているため、情報処理の高速化が必要となっている。
光情報記録媒体において、情報処理の高速化は情報の高密度化と記録・再生速度の高速化という2種類の手法をとる。高密度化は記録マークの微小化、狭ピッチ化などで対応することになるため、記録・再生に用いる光学系(波長・対物レンズNA・リムインテンシティ等)の変更を伴い、非常に困難であると同時に従来の記録・再生装置との互換性確保が困難となっている。
【0003】
これに対して、記録・再生速度の高速化は従来とほぼ同等の光学系を用いるが、光ピックアップの走査速度(ディスク状の媒体の場合は、ディスクの回転速度)を高めることで容易に対応できるため有効とされている。
しかし、相変化記録層を用いた書き換え型の光情報記録媒体では、記録原理が記録層の急冷と徐冷による結晶相とアモルファス相の相変化というダイナミカルなプロセスを利用しているため、記録速度の高速化は困難とされている。即ち、走査速度の高速化を行うと、単位時間当りの媒体に照射されるエネルギーは減少するため、記録にはより高出力の光を照射する必要がある。しかし、高出力の光を高速で照射及び走査すると記録層は急冷状態になるためアモルファス状態となる。従って、ある結晶化上限(走査)速度以上では、結晶化が不可能又は不完全となるため、マークの消去ができず、書換えが不可能となってしまう。
従って、相変化型の光情報記録媒体では、記録・書換え・消去時の走査速度に合わせて記録層材料の結晶化上限速度を調整する必要がある。
【0004】
従来の相変化光情報記録媒体では記録層材料としてカルコゲン、特にTeを含有するものが一般的に用いられてきた。特にSb、Teを含有する合金を用いると記録マークの消去性が良好であることから、高速記録に適した記録層材料として用いられてきた。Sb70Te30の共晶組成比率又は共晶組成近傍の合金を主成分とし、微量の添加元素を加えたものがCD−RW、DVD−RW、DVD+RWなどで実用化されている。合金の例としてはAgInSbTe、GeInSbTe、AgGeInSbTe、GeGaSbTeなどがある。これらの材料では、Sb及びTeが全体の85原子%以上を占めており、基本的な物理特性はSbとTeの組成比率で決定され、添加物で熱的・光学的特性を微調整している。これらの材料はSb量を増加させて結晶化温度を低下させることにより、より高速での書換え(オーバーライト)が可能となるが、アモルファスマークの安定性が著しく低下するため、記録情報の保存信頼性(例えば、80℃環境下での保存信頼性)が大きく低下するという問題があった。
従って、走査速度20m/s以上でのオーバーライトに対応し、保存信頼性を確保するためには、従来のSbTe系合金では困難となっている。
【0005】
上記従来技術の他に、特許文献1には、記録層材料としてGeInSbSnを用いた発明が開示されているが、本発明とは目的(高温高湿下でのC/N比改善)、媒体の種類(追記型)、記録材料組成(Inが必須成分)の点で相違し、しかも、本発明の課題である走査速度20m/s以上で書換え可能な光情報記録媒体を得る点については記載も示唆もされていない。
また、特許文献2には、記録層材料としてGeInSbからなる合金を用いた光学的情報記録用媒体が開示されているが、Inを必須成分としており、Snを必須成分とする本発明とは合金の基本組成が異なる上に、本発明の課題である走査速度20m/s以上で書換え可能な光情報記録媒体を得る点については記載も示唆もされていない。
【0006】
また、特許文献3にはGeSbにInを添加した記録層材料を用いた光情報記録媒体に関する発明が開示されている。GeとSbの組成比率は本発明の範囲を含み、添加元素として、Snも例示されている。しかしInを必須元素としているところが本発明と根本的に異なる。
また、非特許文献1には、GeSbにSn、Agをドープした青色レーザ記録に適した記録層材料に関する知見が記載されている。しかし、この文献の研究対象はGeSb合金の共晶組成である17:83(原子%)よりもSbが相当過剰なSb90〜95原子%の場合であり、Sb量を共晶組成前後からそれよりも少ない範囲を採用した(Sb75〜85原子%)本発明とは基本となる合金組成が相違する。しかも、本発明者らの追認実験によれば、この文献に記載された記録層材料を用いた場合、DVDの8倍速(27.9m/s)やCDRの24倍速(28.8m/s)といった高速ではアモルファス化が十分に行われず、実質上記録ができないことが判明している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−11958号公報
【特許文献2】
特開2001−39031号公報
【特許文献3】
特開2002−347341号公報
【非特許文献1】
第14回相変化記録研究会シンポジウム予稿集、第6頁
「GeSb Based Phase−change Optical Recording Materials」 D.Z.Dimitrov et al.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、走査速度20m/s以上という高速での記録・書換え・消去に対応可能な相変化型光情報記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、高速用の記録層材料として、従来のSbTe系合金ではない(非カルコゲン系の)GeSbSn系合金が有効であることを見出した。
即ち、上記課題は、次の1)〜6)の発明(以下、本発明1〜6という)によって解決される。
1) 基板上に少なくとも記録層と反射層を有し、該記録層の主成分が下記組成式で表されることを特徴とする相変化型光情報記録媒体。
(GeαSb1−α1−βSnβ
(式中、0.15≦α≦0.25、0.10≦β≦0.25、α、βは原子比)2) 記録層の結晶化上限速度Vc(m/s)が、22≦Vc≦27の範囲内にあることを特徴とする1)記載の相変化型光情報記録媒体。
3) 記録層に隣接して、金属酸化物を主成分とする中間層を有することを特徴とする1)又は2)記載の相変化型光情報記録媒体。
4) 中間層がAl、ZrO、TiO、SnOの少なくとも1種を含有することを特徴とする3)記載の相変化型光情報記録媒体。
5) 反射層がAg又はAgを主成分とする合金からなることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の相変化型光情報記録媒体。
6) 情報記録を行う時の光の走査速度をV(m/s)、チャンネルクロックをTw(ns)として(但し、20≦V≦35、3≦Tw≦7とする)、n・Twの時間的長さのマークの記録がm個のパルスを照射することで行なわれ(ここで、nは2以上の任意の自然数。mは1以上の自然数。m≦n/2とする)、i番目(1≦i≦m−1)のパルスの幅をT(n、i)とするとき、次式の範囲で変調度が最大となることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の相変化型光情報記録媒体。
0.6Tw≦T(n、i)≦0.8Tw
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明では、本発明1のような特定組成の合金を用いることにより、更には本発明2のように記録層の結晶化上限速度を一定の範囲に制御することにより、記録層材料の熱的及び光学的特性が最適化され、記録走査速度20m/s以上でも、高い信号振幅、C/N比を実現できる。
本発明3、4では、記録層に隣接して酸化物からなる中間層を設けることにより、保護層と記録層の間での原子拡散を防止すると同時に、記録層の結晶化を制御できるので、低ノイズの再生信号を得られると同時に、多数回のオーバーライトでも特性を良好に保つことが可能となる。
本発明5では、反射層材料に高熱伝導率の材料を用いることにより、記録層に印加される熱を容易に放熱させることができるので、アモルファス化を容易にできる。
本発明6では、変調度が最大となる条件を規定することにより、記録走査速度20m/s以上でも、高い信号振幅、C/N比を実現できる。
【0011】
本発明の構成例を図1〜図4に示す。
図1の例では、基板1上に少なくとも記録層3と反射層5を有する構成とする。媒体への情報の記録及び再生は、光を基板下方から入射させて、記録層3近傍に照射することで行う。情報の再生は、記録層3を介して反射層で反射された戻り光の強度を測定することによって行う。
記録層3には、結晶相とアモルファス相の間を可逆的に遷移可能なGe、Sb、Snからなる下記組成式の合金を主成分として含有する必要がある。ここで主成分とは、該合金が記録層材料全体の95原子%以上を占めることを意味する。
(GeαSb1−α1−βSnβ
(式中、0.15≦α≦0.25、0.10≦β≦0.25、α、βは原子比)
α=0.17の場合はGeSb合金の共晶組成である。共晶組成では融点が極小値を取るため、少ないエネルギー照射で記録層を溶融・急冷することができる。従って、低エネルギーの光照射でアモルファス相に相変化させることが可能となり、記録感度を高く保つことが可能となる。(αが0.17からずれると、融点が上昇し記録感度が低下する傾向にある。)
【0012】
一方、結晶化温度はαが低いほど(即ちSb含有量が高いほど)低下する傾向にある。結晶化温度が低いほど結晶化が容易になるため、より低エネルギーの光の照射でアモルファスマークを消去することができる。従来の光情報記録媒体に用いられているSbTe合金では、その共晶点でのSbの組成は0.7程度であるのに対して、GeSb合金では0.83となっている。従って、SbTe系合金と比較すると、より高速記録に適した組成となっている。
また、αを低くすることで、結晶化速度を高く保つことができる。再結晶化速度が高すぎると、アモルファスマークを形成直後に再結晶化が進行し、結果として安定してアモルファスマークを形成することができない。
上記を考慮すると、走査速度20m/s以上でアモルファスマークの形成・消去が可能であるためには、0.15≦α≦0.25の範囲にあることが必要である。更に好ましくは、0.15≦α≦0.20である。
【0013】
しかし、GeSbのみの二元合金では結晶化状態の0.1〜1μm程度の微細な組織構造による反射率ばらつきが大きくなる傾向にある。この反射率ばらつきの原因は定かではないが、結晶粒界によるものと考えられる。即ち、光学的異方性のある状態の混在状態にあることに起因すると推定される。この微小な組織構造は記録・再生装置上では再生信号上のノイズ成分として観察される。CDやDVDの様にマーク長変調を用いる記録方式の場合は、これらのノイズ成分はジッタの悪化となり、再生信号の信頼性を著しく低下させる。
これらのノイズを低減する手段として、特許文献2〜3にInを添加する方法が開示されているが、20m/sを超える高速記録にはSnを添加するほうが効果的である。Inの添加によりノイズを低減した場合、InTe系合金によると考えられる低反射相が析出する傾向にある。そのため、繰り返し記録を行うと、反射率が低下してしまう。
【0014】
これに対し、Sn添加では繰り返し記録による低反射相の析出は見られず、繰り返し記録による反射率低下を防ぐことが可能になる。従って、Sn添加により結晶化状態を改善できると同時に、前述の高速化の要件である融点の低下と結晶化温度の低下及び繰り返し記録特性の改善が可能となる。
Snの添加量が低いと上記の効果は得られないので、上記の結晶化状態によるノイズを低減するためには、β≧0.10とする必要がある。一方、Sn添加量が多いと、Sbを増加させた場合と同様に結晶化速度が高くなり、安定してアモルファスマークを形成することが困難になるため、β≦0.25とする必要がある。
【0015】
記録層の膜厚は光学的特性及び熱的特性から最適化されるが、適切な膜厚としては5nm〜50nmの範囲であり、好ましくは8nm〜30nmである。記録層の膜厚を薄くするとマーク形成時に加熱する体積を小さくすることができ(即ち、熱容量を小さくすることができ)、少ないエネルギーで記録層を溶融することが可能になるためアモルファス状態を容易に実現できる。従って、記録層の薄膜化により記録感度を高くすることが可能になるので、膜厚は厚くても50nmとする。
一方、記録層を薄膜化すると記録層の透過性が高くなるため、結晶相−アモルファス相の反射率差を高く保てなくなる。即ち、再生信号の振幅が低下するので、膜厚は少なくとも5nm必要である。
【0016】
図1の基板1は、情報を記録及び再生する波長領域で略透明であることが必要である。透明基板の材料としては、ガラス、セラミックス等の無機物や樹脂等の有機物など任意の物を使用できるが、基板の生産性やコストを考慮すると樹脂製の基板を用いるのが好ましい。樹脂としては、任意のものを用いることが可能であるが、光透過性と強度の観点からポリカーボネート樹脂を用いることが更に好ましい。
基板の厚さは記録再生に用いられる光学系によって任意に設定することができるが、0.1mm〜1.3mmの範囲にあることが好ましく、λ=780nmの光とNA0.50の対物レンズを用いるCD−RWでの1.2mmや、λ=660、NA0.65のDVD+RWでの0.6mmなどが例として挙げられる。
【0017】
基板には案内溝(グルーブ)を形成してもよい。案内溝の形状や間隔は記録・再生に用いられる光学系に合わせて最適化することができる。また、グルーブに蛇行(ウォブリング)を加えることも可能である。更に、基板上にアドレス情報をプリフォーマットすることも可能であり、プリフォーマットの例としてはCD−RWで用いられているATIP(Absolute Time In Pregroove、アブソリュート・タイム・イン・プレグルーブ)、DVD+RWで用いられているADIP(ADress In Pregroove、アドレス・イン・プレグルーブ)、DVD−RWで用いられているランドプリピットなどが例として挙げられる。
【0018】
図1の反射層3は記録・再生時に照射される光を反射するために必要である。記録装置は、この反射光によって集光した光を記録層近傍に照射する(フォーカシング)ことが可能となり、記録マーク列やグルーブに位置合わせ(トラッキング)することが可能となる。
反射層の材料としては任意のものを用いることが可能であるが、高い反射率を持つ金属又は合金であることが好ましい。金属としてはAg、Au、Cu、Alが例として挙げられ、合金としてはこれらの元素の少なくとも1種にTi、Cr、Mn、Ni、Zn、Pd、Pt、Sn等を添加したものを用いても良い。更に、高い走査速度でアモルファスマークを形成するためには、記録層が急冷状態になり易くすることが有効である。従って、熱伝導率の高い反射層材料を用いることが更に好ましく、Ag又はAgを主成分とする合金を用いることが好ましい。
反射層の膜厚は光学的特性と熱的特性から最適化されるが、好ましい範囲は100〜300nmである。100nm未満では、薄膜の透過率が高くなり反射率が低下するため好ましくないと同時に、反射層の熱容量が低下するため放熱効果が得られないことにより急冷し難くなる。そのため、アモルファス化し難くなる。一方、300nmを越えると、媒体の熱容量が増加しすぎることにより、記録層を結晶化温度及び融点以上に加熱するために必要なエネルギーが増加してしまう。その結果として、記録感度の低下となるため好ましくない。
【0019】
本発明では、基板、記録層、反射層が必須の構成条件であるが、各種の特性を確保するために、他の複数の層を追加しても良い。
図1は最も一般的な例であり、記録層の上下に下部保護層2と上部保護層4を形成する。これらの保護層は、記録層材料が繰り返し記録により反射層や基板に拡散するのを防止する。更に、下部保護層は繰り返し記録による基板への熱的損傷を防止する働きを兼ねる。
保護層材料としては任意の材料を用いることができるが、記録・再生波長領域での透過率が十分に高く、記録層材料と反応性が低いと同時に記録層材料より高融点であることが必要である。そのような材料としては、酸化物、窒化物、硫化物などの誘電体材料又はこれらの材料の混合物が好ましく、ZnSとSiOの混合物が広く用いられる。
【0020】
上部保護層は上記の機能と同時に媒体の熱的設計を担う。上部保護層に熱伝導率の高い材料を用いると、記録時に記録層にかかる熱エネルギーが反射層側に拡散し易い構成となるため、急冷状態になり易くアモルファスマークを形成し易くなる。一方、面方向への熱の広がりが少なくなるため、マークのサイズを大きくするためには、より高いエネルギーを印加することが必要となる。何れも、記録感度に対して最適な材料を用いる必要がある。
上部保護層・下部保護層の材料は同一でも、異なるものを用いても良い。
下部保護層の膜厚は光学的特性と基板への熱的損傷を防止できる膜厚を設定することが必要であり、40nm〜200nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは45nm〜100nmの範囲である。上記の範囲に設定することで、基板への熱的損傷を防止できると同時に、適切な反射率を維持することが可能になる。
上部保護層の膜厚は、熱的特性によって最適化され、5nm〜40nmの範囲にすることが好ましい。
【0021】
また、図2に示す別の例のように、記録層3に隣接して中間層7−1を設けても良い。中間層は記録層材料の保護層への原子拡散の防止や、保護層材料の記録層への原子拡散を防止する働きがある。また、中間層の結晶構造により、記録層の結晶化を制御することが可能であると考えられる。中間層の材料は保護層と同様に、高融点でかつ記録層を腐食しないものを用いることが好ましく、特に金属酸化物を用いることことが好ましい。
金属酸化物としては、任意のものを用いることができ、MgO、CaO、Al、SiO、TiO、CuO、ZnO、Y、ZrO、InO、SnO、SnO、TeOなどがあるが、特にAl、ZrO、TiO、SnOが好ましい。また、これらの複数の材料を任意の比率で混合しても良い。
【0022】
中間層の膜厚は任意に設定できるが、厚くする必要はなく、2nm〜10nmの範囲にすることが好ましい。上記の範囲内とすることで、熱的特性と光学的特性を変化させること無く、拡散防止及び結晶化制御の効果を得ることができる。中間層による結晶化制御の正確な要因は明らかにされていないが、結晶化を促進する効果があると考えられる。媒体の特性上は記録層の溶融結晶化後の微細組織構造による反射率変動を抑制することができ、再生信号上のノイズ成分を低減することが可能になるため、低ジッタを実現できる。
中間層は記録層に隣接していれば良く、図3に示す更に別の例のように、記録層3と上部保護層4の間に設けることも可能である。また、図2と図3を合わせたように、記録層の上下を中間層で挟むことも可能である。
【0023】
上部保護層にZnSのような硫化物を用い、反射層にAg又はAg合金を用いた場合、高温高湿下で反射層が腐食される場合がある。そのような場合は、図4に示す更に別の例のように、上部保護層と反射層の間に腐食防止層を設けることができる。腐食防止層の材料としてはAgとの反応性が低くAg中に拡散し難い材料を用いることが好ましく、Si、Geやそれらの酸化物、窒化物、炭化物が挙げられる。例えば上部保護層にZnSを用いた場合、腐食防止層にSi又はSiCを用いることでZnSによるAgの硫化を防ぐことができるので好ましい。
腐食防止層の膜厚は任意に設定できるが、腐食を防止でき、かつ反射率に影響しない範囲とすることが好ましい。Si又はSiCを用いた場合は2nm〜10nmの範囲にあることが好ましく、更に3nm〜6nmの範囲にすることが、媒体の反射率を確保するために好ましい。
【0024】
図1〜図4に示した何れの場合においても、反射層上に樹脂保護層を設けても良い。樹脂保護層は記録層や反射層の薄膜を物理的損傷から保護するために設ける。樹脂保護層の材料は任意であるが、反射層を腐食しないものを用いることが好ましく、紫外線硬化樹脂が好ましい。また、樹脂保護層の上に別途基板を貼り合わせてもよい。その場合、樹脂保護層上に接着層を介して基板を貼り合わせても良く、樹脂保護層が接着層を兼ねるような構成としても良い。
【0025】
図1〜図4に示した何れの場合も、記録層3、下部保護層2、上部保護層4、反射層5、中間層7−1、7−2、腐食防止層8は真空成膜法を用いて形成することが好ましい。
真空成膜法の例としては、蒸着法、CVD法、スパッタリング法が挙げられるが、材料依存性が少なく生産性が良好なスパッタリング法が好ましい。スパッタリング法としては、反射層や記録層材料のように電気伝導性が高い材料の場合は、生産性と成膜した薄膜の損傷を押さえることが可能であることから、DCマグネトロンスパッタリング法が好ましい。また、保護層の様に電気伝導性が低い材料を用いる場合は、RFマグネトロンスパッタリング法が好ましい。スパッタリングに用いるガスは希ガスが好ましく、一般的にはArを用いる。また、N、O等のガスを混合することで、各層に微量元素を添加してもよい。
【0026】
上記のようなスパッタリング法で記録層を成膜した場合、成膜直後は気相からの急冷状態のためアモルファス状態であるから、記録に用いる領域を結晶相にすることが必要である。全面を結晶相にする操作を一般に初期化という。
初期化には、大口径・高出力のレーザー光を記録層近傍に集光させ、記録層を溶融・徐冷する手法が用いられる。使用する高出力レーザーはLD(レーザーダイオード)の消費出力で400mW〜3000mWの範囲を用いる。また、照射するビームの径は、焦点面上で0.5μm〜300μmの範囲とするのが良い。特にビーム形状はビームの操作方向に垂直な方向に長軸を持つ楕円形とすることが好ましい。そのような形状とすることで、ビームのエネルギー密度を高く保つことが可能であると同時に、一度に操作できる面積を大きくすることができるため、高い生産性を確保することができる。ビーム径は楕円長軸方向に40〜300μm、短軸方向に0.5〜2μmの範囲とすることが好ましい。
【0027】
走査速度・照射エネルギー・ビーム径は記録層の結晶状態に大きく影響するため、最適な条件を設定する必要がある。照射エネルギーが低い場合は媒体の反射率変動が大きくなるため、再生信号上のノイズ信号となり、フォーカス制御、トラッキング制御等に影響してしまう。一方、照射エネルギーが高すぎると薄膜層に熱的損傷を与えたり、急冷状態になることでアモルファス相が析出したりするため好ましくない。
走査速度が高い場合は単位時間当りに照射されるエネルギー量の低下となり、上記の照射エネルギーが低い場合と同様の現象が発生する。また、走査速度が低い場合は、単位時間当りに照射されるエネルギー量の増加となり、照射エネルギーが高い場合と同様の影響が発生する。
【0028】
ところで、記録装置による結晶相への遷移は固相内での相変化である。即ち、融点以下かつ結晶化温度以上に記録層が加熱されるため結晶相へ遷移する。これに対して、高出力レーザーによる結晶化は前述の通り、融点以上に加熱した後の徐冷による結晶化である。この結晶化の方法の違いは、ダイレクトオーバーライト(消去動作を含まない書換え方法。記録済みのマークの消去と新しい記録マークの形成を同時に行うこと)の場合、1回目のオーバーライト(初期化後2回目の書き込みに相当)で、マーク消去部と初期化部分での結晶化状態の差異によりジッタが悪化してしまう。従って、初期化時の結晶化状態を固相初期化に近い状態にする必要がある。そのためには、初期化時の走査速度を高くすること、及び走査方向のビーム径を短くすることが効果的である。即ち、加熱時間を短くし加熱後の温度を低く保つことが好ましい。
長軸方向のビーム径75μm、短軸方向のビーム径0.9μm、波長810nmの初期化装置を用いた場合は、LD出力500mW〜2400mWLの範囲で任意の照射エネルギーパワーを設定可能であるが、1000mW〜1400mWのパワーに設定し、8m/s〜12m/sの走査速度とすることが好ましい。
【0029】
次に、本発明の光記録媒体への記録方法について説明する。
媒体への記録は対物レンズによって集光された光を記録層近傍に照射及び走査することで行う。記録に用いる光はコヒーレントな単一波長の光を用い、光源としては半導体レーザーを用いることが好ましい。波長は媒体への記録密度や媒体を構成する材料の光学特性によって決定される。例としてはCD−RWの780nmやDVD+RWの655nmなどがある。対物レンズは媒体の基板厚さと記録密度によって決定され、CD−RWのNA0.5、DVD+RWの0.65などが例示できる。
【0030】
マークの形成・消去は強度変調された光を照射及び走査することで行う。
図5に強度変調の方法の一例を示す。図5(a)は記録する情報のデータを表す。データはパルス幅変調された場合、チャンネルクロックをTw、nを自然数として、n・Twの長さのパルスから構成される。図5はデータが1の時に記録マークを形成し、データが0の時に記録マークを消去する場合を示している。
図5(a)は、n=10の場合を示しているが、この場合の記録時に照射する光の強度変調パターンを図5(b)に示す。このような、記録時の強度変調のパターンを一般に記録ストラテジと呼ぶ。
本発明の記録媒体への情報記録は、マーク形成時は照射光のパワーを強度変調した光を照射し、消去時は照射パワーを一定とする。マーク形成時は、パルス状のピークパワーPwの光を複数個照射することで行う。長さn・Twのマークを形成するときにm個(mは自然数)のパルスを照射する場合、以下の関係となる。
n=偶数のとき、m=n/2
n=奇数のとき、m=(n−1)/2
また、上記のパルス照射の直後にはパワーPb(バイアスパワー)の光を照射し、その他の部分はパワーPe(イレースパワー)の光を照射する。この時、3種のパワーは、Pw>Pe>Pbという関係にあることが必要である。
【0031】
また、n・Twの長さのマークを形成するためのm個のパルスの内、i番目のパルスの幅をT(n、i)とするとき、T(n、i)はマーク長が最適になるように調整できる。
上記のストラテジで記録されたマークを図5(c)に模式的に示す。斜線で示される領域がアモルファス状態、他の領域が結晶状態の領域である。アモルファス領域は結晶化部分と比較すると反射率が低くなる。記録した部分を再生した場合の反射率(R)の変動を図5(d)に模式的に示す。図5(a)と図5(d)の対応が、データと再生信号の対応となる。
T(n、i)の長さは、記録特性の確保できる範囲で個別に設定することが可能である。T(n、i)は、図5(d)の反射率差が十分に取れる値に設定することが好ましい。T(n、i)は、
n=3のとき、0.25Tw≦T(3、1)≦2Tw、の範囲が好ましく、
n≧4のとき、0.25Tw≦T(n、i)≦1.5Tw、の範囲が好ましい。
【0032】
また、本発明の光情報記録媒体は、記録層材料の結晶化上限速度Vcが22m/s〜27m/sにあることが好ましい。以下に結晶化上限速度の定義を記載する。
媒体に照射パワーPcの強度変調しない光を照射しつつ走査する。このときの走査速度をVとする。パワーPcの光を照射・走査する前の初期の反射率をR0とし、照射・走査後の反射率をRとする。この時、規格化された反射率R/R0は走査速度Vに対して図6に示すような曲線となる。ここでパワーPcは、前記PwとPeの平均値とする必要がある。これにより、Pcは記録時に媒体にかかる平均パワーに相当するため、アモルファス化・結晶化の双方の特性を一元的に評価することができる。
R/R0>1の領域では光を照射することで反射率が上昇することを意味する。この領域では記録層は結晶化状態である。
【0033】
一方、R/R0<1の領域では光を照射後に反射率が低下する。これは、光を照射・走査した領域にアモルファス化した領域が発生したことを意味する。即ち、この領域ではアモルファス化する領域である。
この境界であるR/R0=1となる走査速度VをVcとすると、V>Vcではアモルファス化し、V≦Vcでは常に結晶化することを意味する。従って、Vcは結晶化可能な上限速度を意味することになるので、このVcを結晶化上限速度と定義する。
Vcは記録層材料の組成比や各層の膜厚によって変化する。Vcが高いほど、高い走査速度で結晶化が可能であるため、高速でアモルファスマークを消去できることを意味する。従って、Vcが高いほど高速記録に適した記録層材料となる。DVD+RWの8倍速記録に対応するにはVcを27.9m/sの近傍とすることが好ましいが、27m/sを超えてしまうと、8倍速でのアモルファス化が非常に困難になるため、十分な変調度を得ることができない。DVD+RWの8倍速に対応する最適な範囲として、本発明の光情報記録媒体では、Vc(m/s)が、22≦Vc≦27の範囲にあることが好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0035】
実施例1
螺旋状の連続グルーブを転写したポリカーボネート製DVD+RW用基板を用い、次の手順で評価用サンプルを作成した。
基板上にZnSとSiOの混合物からなる下部保護層を形成した。ZnSとSiOの混合比率はモル比で80:20とした。成膜はAr雰囲気を用いたRFマグネトロンスパッタリング法を用いて行った。成膜装置にはUnaxis社製枚葉式スパッタリング装置BigSprinterを使用した。成膜条件は以下の通りに設定した。
パワー :4.5kW
Ar流量:10sccm
成膜後に下部保護層膜厚をエリプソメータで測定したところ60nmであった。
下部保護層上にGeSbSn合金の記録層を成膜した。合金の組成比率は、
(GeαSb1−α1−βSnβ(α=0.17、β=0.20)とした。
記録層の成膜はAr雰囲気中でのDCスパッタリング法を用いて行った。成膜条件は以下の通りに設定した。
パワー :0.5kW
Ar流量:30sccm
成膜後に記録層膜厚をエリプソメータで測定したところ12nmであった。
記録層上に上部保護層を成膜した。保護層材料には下部保護層と同じZnSとSiOの混合物を用いた。成膜は下部保護層と同じくRFスパッタリング法を用いて行った。成膜条件は以下の通りに設定した。
パワー :1.5kW
Ar流量:10sccm
成膜後に上部保護層膜厚をエリプソメータで測定したところ9nmであった。
上部保護層上に腐食防止層として膜厚4nmのSiC膜を形成した。成膜には記録層と同様の方法を用いた。
腐食防止層上にAg反射層を用いた。ターゲット材料は、純度99.99%のAgを用いた。成膜はDCマグネトロン法を用い、成膜条件は以下の通りに設定した。
パワー :3.5kW
Ar流量:20sccm
成膜後に蛍光エックス線法を用いて反射層の膜厚を測定したところ、150nmであった。
更に、反射層上に樹脂保護層を設けた。保護層材料には市販の光ディスク保護層用UV硬化樹脂を用いた。成膜はスピンコーティング法を用いて行い、N雰囲気中でUVを照射し硬化した。
更に、樹脂保護層上にDVD+RW用基板を接着剤を用いて貼り合せてディスク状の媒体とした。
作成した媒体の記録層はアモルファス状態であったため初期化を行った。初期化装置のビーム径は、楕円形状であり、走査方向の径を0.9μm、走査方向に垂直な方向の径を75μmとした。初期化装置の光源は半導体レーザーを用い、その出力は500mW〜2400mWの範囲で任意のパワーを設定可能である。また、波長は810nmとした。この装置で媒体の全面を初期化した。初期化の条件は以下の通りとした。
レーザー出力:1200mW
走査速度 :12.0m/s
【0036】
完成したディスクはDVD+RWの標準規格書である“DVD+RW 4.7Gbytes Basic Format Specifications version 1.1”の記録後特性を除外した特性を満足する媒体となった。
作成したサンプルの結晶化上限速度を測定した。測定にはDVD用評価装置であるパルステック工業製DDU1000を用いた。光ピックアップの仕様は以下の通りとした。
波長:655nm
NA:0.65
測定は以下の通りに行った。
照射パワーを0.7mWに設定し、走査速度を3.49m/s(DVD+RWの基準操作速度)に設定し媒体を走査し、初期反射率R0を測定した。
次に照射パワーを15mWに設定し走査速度を16m/s〜36m/sの範囲で走査しつつ、光を1度照射する。その後、照射パワーを0.7mWに戻し、反射率を測定した。そのときの反射率をRとした。
規格化反射率R/R0と走査速度Vの測定結果を図7に示す。V=25m/sにて、R/R0=1となっている。従って、結晶化上限速度は25m/sである。
【0037】
次に、図5(b)に示す記録ストラテジを用いて、記録を行った。但し、Pw=30mW、Pe=6mW、Pb=0.5mWとし、走査速度は27.9m/s(DVDの8倍速相当)とし、チャンネルクロック周期Twを4.78ns(DVDの8倍速相当)に設定した。また、同一部分を同一条件で10回オーバーライトした。
記録は10Tマーク−10Tスペースが交互に表れる単一パターンを記録した。記録するときに照射するパルス幅T(10、i)を変えて記録し、変調度とT(10、i)の関係を測定した。測定結果を図8に示す。パルス幅T(10、i)=0.7Twで最大の変調度となっている。更に、T(10、i)=0.6Tw〜0.8Twの範囲で変調度が0.6以上となっており、DVD+RWの標準規格値である、0.6以上を満足する結果となった。
T(10、i)=0.7TwでDOW(ダイレクト・オーバー・ライト)10した部分のC/N比を測定したところ57.4dBとなり、十分なC/N比が取れていることが確認された。
従って、サンプルはDVD+RWの8倍速相当でオーバーライト可能であることを確認した。
【0038】
比較例1
記録層の合金の組成比率を、α=0.17、β=0.09とした点以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、実施例1と同様の方法を用いて結晶化上限速度VcとC/N比を測定したところ、次のような値が得られた。
Vc=21m/s
C/N比=40dB
また、初期化後の再生信号上に記録層の微細な組織構造によるノイズが観察された。このノイズがC/N比を下げていると考えられる。
【0039】
比較例2
記録層の合金の組成比率を、α=0.17、β=0.26とした点以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、実施例1と同様の方法を用いてVcの測定を試みたが、規格化反射率は低下せずアモルファス化が困難であることが分った。
しかし、C/N比を測定したところ53dBと比較的高い結果となった。但し、変調度は0.3程度であり、十分な信号振幅とは言えないことが分った。
【0040】
比較例3
記録層の合金の組成比率を、α=0.11、β=0.22とした点以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、実施例1と同様の方法を用いてC/N比を測定したところ、38dBと低い値となった。また、再生信号上に記録層の微細な組織構造によるノイズが観察された。このノイズは初期化時に結晶化が均一になされていないことによるものであり、Sb量が過剰に存在するため、Sbが偏析してしまっていると考えられる。
【0041】
実施例2
記録層の合金の組成比率を、α=0.15、β=0.1とした点以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、実施例1と同様の方法を用いて結晶化上限速度VcとC/N比を測定したところ、次のような値が得られた。
Vc=27m/s
C/N比=55dB
更に、変調度を測定したところ0.55となり、0.5以上を確保することができた。従って、DVD+RWの8倍速相当でオーバーライト可能であることを確認した。
【0042】
実施例3
記録層の合金の組成比率を、α=0.2、β=0.22とした点以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成し、実施例1と同様の方法を用いて結晶化上限速度VcとC/N比を測定したところ、次のような値が得られた。
Vc=24m/s
C/N比=58.3dB
更に、変調度を測定したところ0.61となり、0.5以上を確保することができた。従って、DVD+RWの8倍速相当でオーバーライト可能であることを確認した。
【0043】
実施例4
記録層の合金の組成比率を、α=0.17、β=0.10とし、下部保護層と記録層の間にSnOからなる中間層を設けた点以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作成した。
中間層の成膜は保護層と同様にRFマグネトロンスパッタリング法を用いた。成膜条件は以下の通りに設定した。
スパッタリングパワー:2.0kW
Ar流量 :20sccm
成膜後にエリプソメータを用いて中間層の膜厚を測定したところ、4nmとなった(ただし、ここでの膜厚は、同一条件で10回積層を行って測定したものを1/10にしたものを表す)。
作成したサンプルについて実施例1と同様にしてC/N比を測定したところ、C/N比は53.5dBとなった。Sn比率が低いにも関わらず、ノイズ成分が少ない良好な特性を確保することができた。
【0044】
実施例5
記録層の合金の組成比率を、α=0.17、β=0.20とし、下部保護層と記録層の間にZrOとTiOの混合物からなる中間層を設けた点以外は、実施例4と同様にしてサンプルを作成し、実施例1と同様にして記録を行った。
但し、記録はDVDの変調方式の標準であるEFM+(8−16変調の1種)を用い、更にオーバーライト回数を10回、100回、500回、1000回行った。記録後に走査速度をDVDの標準速度である3.49m/sに設定し、記録回数とデータ・トゥ・クロックジッタを測定した。測定結果を図9に示す。
図から分るように、記録回数500回までは9%以下であり、良好な結果となった。
従って、DVD+RWの8倍速相当の記録速度でオーバーライト可能である。
【0045】
実施例6
中間層の材料をAlとした点以外は実施例5と同様にしてサンプルを作成し、実施例5と同様にして記録を行い、同様の方法でデータ・トゥ・クロックジッタを測定した。測定結果を図10に示す。
図10から分るように、記録回数100回までは9%以下の良好な結果となった。しかし、実施例5と比較すると記録回数約200回以上ではジッタが9%を超えている。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、走査速度20m/s以上という高速での記録・書換え・消去に対応可能な相変化型光情報記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の相変化型光情報記録媒体の層構成の一例を示す図。
【図2】本発明の相変化型光情報記録媒体の層構成の別の例を示す図。
【図3】本発明の相変化型光情報記録媒体の層構成の更に別の例を示す図。
【図4】本発明の相変化型光情報記録媒体の層構成の更に別の例を示す図。
【図5】光の強度変調の方法を示す図。
(a) 記録する情報のデータ
(b) 記録時に照射する光の強度変調パターン
(c) (b)のストラテジで記録されたマーク(模式図)
(d) 記録した部分を再生した場合の反射率変動(模式図)
【図6】規格化された反射率R/R0と走査速度Vの関係を示す図。
【図7】実施例1の相変化型光情報記録媒体の、規格化された反射率R/R0と走査速度Vの関係を示す図。
【図8】実施例1の相変化型光情報記録媒体の、変調度とT(10、i)の測定結果を示す図。
【図9】実施例5の相変化型光情報記録媒体の、記録回数とデータ・トゥ・クロックジッタの測定結果を示す図。
【図10】実施例6の相変化型光情報記録媒体の、記録回数とデータ・トゥ・クロックジッタの測定結果を示す図。
【符号の説明】
Tw チャンネルクロック
Pw ピークパワー
Pe イレースパワー
Pb バイアスパワー
R 反射率

Claims (6)

  1. 基板上に少なくとも記録層と反射層を有し、該記録層の主成分が下記組成式で表されることを特徴とする相変化型光情報記録媒体。
    (GeαSb1−α1−βSnβ
    (式中、0.15≦α≦0.25、0.10≦β≦0.25、α、βは原子比)
  2. 記録層の結晶化上限速度Vc(m/s)が、22≦Vc≦27の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の相変化型光情報記録媒体。
  3. 記録層に隣接して、金属酸化物を主成分とする中間層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の相変化型光情報記録媒体。
  4. 中間層がAl、ZrO、TiO、SnOの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項3記載の相変化型光情報記録媒体。
  5. 反射層がAg又はAgを主成分とする合金からなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の相変化型光情報記録媒体。
  6. 情報記録を行う時の光の走査速度をV(m/s)、チャンネルクロックをTw(ns)として(但し、20≦V≦35、3≦Tw≦7とする)、n・Twの時間的長さのマークの記録がm個のパルスを照射することで行なわれ(ここで、nは2以上の任意の自然数。mは1以上の自然数。m≦n/2とする)、i番目(1≦i≦m−1)のパルスの幅をT(n、i)とするとき、次式の範囲で変調度が最大となることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の相変化型光情報記録媒体。
    0.6Tw≦T(n、i)≦0.8Tw
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