JP4271051B2 - 相変化型情報記録媒体及びスパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
なお、AgInSbTe系高速記録材料については特許文献1に、GeGaSbTe系材料については特許文献2に、GeInSbTe系材料については特許文献3に、InSbSn系材料については特許文献4及び5にそれぞれ記載されている。
また、CAV(回転速度一定方式)で記録媒体に情報を記録したい場合、記録線速が半径位置により異なるため、幅広い記録線速領域で繰返し記録特性に優れた記録媒体が必要となる。そこで本発明では、DVD−ROMと同容量で幅広い記録線速領域で繰返し記録特性が良好である情報記録媒体及びその製造のためのスパッタリングターゲットの提供も目的とする。
即ち、上記課題は、次の1)〜12)の発明(以下、本発明1〜12という)によって解決される。
1) 透明基板上に、少なくとも第1保護層、相変化記録層、第2保護層及び反射層がこの順に形成され、情報の記録が、レーザー光の照射により相変化記録層の結晶状態及び非晶質状態の可逆的な相変化によりなされるものであると共に、相変化記録層を構成する材料の主成分である合金が、組成式をSnαSbβGaγGeδ〔但し、α、β、γ、δはそれぞれの元素の組成比(原子%)、α+β+γ+δ=100〕として、α、β、γ、δが以下の関係を満たすことを特徴とする相変化型情報記録媒体。
5≦α≦25
40≦β≦91
2≦γ≦20
2≦δ≦20
2) 5≦α≦20、40≦β≦85、5≦γ≦20、5≦δ≦20であることを特徴とする1)記載の相変化型情報記録媒体。
3) 10≦α≦20、50≦β≦80、5≦γ≦15、5≦δ≦15であることを特徴とする2)の相変化型情報記録媒体。
4) 相変化記録層が、Ag、Zn、In及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素を、前記合金に対して1〜10原子%含むことを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
5) 相変化記録層が、Teを、前記合金に対して1〜10原子%含むことを特徴とする1)〜4)記載の相変化型情報記録媒体。
6) 第1保護層、相変化記録層、第2保護層、反射層の各膜厚をt1〜t4(nm)とし、レーザー光の波長をλ(nm)としたとき、以下の関係を満たすことを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
t1 : 0.070≦t1/λ≦0.160
t2 : 0.015≦t2/λ≦0.032
t3 : 0.005≦t3/λ≦0.040
t4 : 0.100≦t4/λ
7) 相変化記録層と第1保護層との間に、厚さが2〜10nmのSiO2からなる界面層を有することを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
8) 各層を積層した相変化型情報記録媒体を10〜21m/sの範囲内の一定線速度で回転させ、パワー密度15〜40mW/μm2で初期結晶化を行なうことにより得られたものであることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
9) SnαSbβGaγGeδ(但し、5≦α≦25、40≦β≦91、2≦γ≦20、2≦δ≦20、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100)で示される組成の合金からなる相変化型情報記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
10) 5≦α≦20、40≦β≦85、5≦γ≦20、5≦δ≦20である9)記載のスパッタリングターゲット。
11) 10≦α≦20、50≦β≦80、5≦γ≦15、5≦δ≦15である10)記載のスパッタリングターゲット。
12) 前記合金を主成分とし、Ag、Zn、In、Cu、Teから選ばれる少なくとも1種の元素を前記合金に対して1〜10原子%含有することを特徴とする9)〜11)の何れかに記載の相変化型情報記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
本発明は、10倍速までの高線速記録を達成するため、相変化記録層を構成する材料の主成分として上記本発明1で規定する組成式の合金を用いる。ここで主成分とは、記録層材料全体の90原子%以上を占めることを意味する。
Sn50Sb50化合物は融点が425℃と低く、かつ結晶化速度が非常に速いため、記録感度が良好な高速記録媒体を実現する可能性を持っていると考えられる。しかし、Sn50Sb50化合物は室温で結晶化するほど結晶化速度が速く、現在のDVD+RW用評価装置ではアモルファス化させることができないので、Sn50Sb50単独ではDVD+RWの相変化記録層として使用することはできない。そこで、Sn50Sb50を母相として組成を改良することにより、繰返し記録が可能でありかつ保存安定性に優れた材料を探索した。
その結果、結晶化を容易にしアモルファス化し易くする効果があるGa及び保存安定性に効果があるGeの2種類を同時に添加することにより、繰返し記録が可能でありかつ保存安定性の優れた光記録媒体が提供できることを見出した。Gaのみを添加した場合には、長期保存後に結晶相の反射率低下が起こり、保存安定性の評価項目の一つであるシェルフ特性(長期間放置した後の記録再生特性)が悪化してしまう。Geのみを添加した場合には、アモルファスマーク長にばらつきが生じ、ジッタ特性が良くならない。
前記本発明1の組成式において、Snが5原子%未満では融点が高くなってしまい感度が悪くなり、Snが25原子%超では結晶化速度が速くなりすぎて、アモルファス化させることができず好ましくない。また、Sbが40原子%未満では融点が高くなってしまい感度が悪くなり、Sbが91原子%超ではアモルファスマークの保存信頼性が悪くなり好ましくない。Ga及びGeが2原子%未満では保存信頼性が悪くなり、Ga及びGeが20原子%超では結晶化温度が高くなりすぎて初期結晶化が困難になり好ましくない。上記関係式を全て満たしたとき、保存安定性に優れ、DVD−ROMと同容量で記録線速がDVDの3倍速以上の記録線速で繰返し記録が可能な情報記録媒体が得られる。
更に、前記本発明3で規定する組成の合金を用いれば、DVDの3倍速から8倍速の間の線速で繰返し記録が良好な情報記録媒体が得られる。本発明3では、幅広い記録線速領域で繰返し記録が良好であるので半径位置で記録線速が異なるCAV(回転速度一定方式)で記録媒体に情報を記録することができる。
更に、前記合金に対して、Ag、Zn、In及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素を添加することもできる。これにより、更に保存信頼性を良好にすることができる。これらの元素の添加量は、前記合金に対して、1原子%未満では効果がなく、10原子%を超えると結晶化温度が高くなりすぎて初期結晶化が困難になる。
更に、前記合金に対して、Teを添加することもできる。Teを1〜10原子%添加することにより、初期結晶化が容易になり均一な結晶状態を得やすくなる。その結果、初回から10回程度までの繰返し記録によるジッタの上昇を低減できる。
更に、本発明6は、第1保護層、相変化記録層、第2保護層及び反射層の適切な膜厚範囲をレーザー波長λ(nm)との関係で規定したものである。相変化型情報記録媒体の記録再生に用いるレーザー光波長が決まれば、これらの式に従って適切な膜厚範囲を選定し媒体設計を行うことができる。好ましい波長範囲はλ=660±10nmである。詳しくは後述する。
更に、本発明9〜12は、上記相変化記録層の製造に用いるスパッタリングターゲットである。
図1は、本発明の相変化型情報記録媒体の一実施形態を説明するための断面図であり、透明基板上に例えばスパッタ法により第1保護層、相変化記録層、第2保護層及び反射層がこの順に形成され、更に反射層上にスピンコートにより紫外線(UV)硬化樹脂からなる保護層が形成されている。なお、必要に応じて保護層上に、記録媒体の更なる補強或いは保護のために、別の基板を貼り合わせてもよい。
透明基板としては、例えば表面にトラッキング用の案内溝を有し、直径12cm、厚さ0.6mmのディスク状で、加工性、光学特性に優れたポリカーボネート基板が好適である。トラッキング用の案内溝は、ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μm範囲内の蛇行溝であることが好ましい。特に溝を深くすることにより、記録媒体の反射率が下がり変調度を大きくすることができる。
第1保護層の膜厚t1(nm)は、レーザー光の波長λ(nm)として、0.070≦t1/λ≦0.160が適しており、この範囲より薄いと耐熱保護層としての機能が失われ、厚いと界面剥離が生じ易くなる。スパッタ条件は、投入電力3kW、Arガス圧力(製膜室気圧)2E−3Torr(2×10―3Torr)が例示される。
記録層の形成は、スパッタリング法により行なうのが好ましい。スパッタリングターゲットの作製方法の一例を挙げると、予め仕込み量を秤量し、ガラスアンプル中で加熱溶融し、その後これを取り出して粉砕機により粉砕し、得られた粉末を加熱焼結することによって円盤状のターゲットを得ることができる。スパッタ条件は、投入電力1kW、Arガス圧力(製膜室気圧)2E−3Torrが例示される。
反射層は、熱伝導率が高いAg或いはAg−Cu、Ag−Pd、Ag−Ti等が適している。反射層の膜厚t4(nm)は波長をλとして、0.100≦t4/λが適しており、この範囲より薄いと放熱効果が得られない。スパッタ条件は、投入電力5kW、Arガス圧力(製膜室気圧)2E−3Torrが例示される。
また、第1保護層と相変化記録層との間にSiO2からなる界面層を設けることが好ましい。SiO2を界面層として厚さ2〜10nm設けることにより、高パワーで記録したときに基板が受けるダメージを減らすことができるため、高パワー記録での繰返し記録特性が良好となり、記録パワーマージンを広くすることができる。2nm未満では均一なSiO2膜を形成することが困難であり、10nmを超えると、膜剥離が生じ易くなる。
また、DVD−ROMと同容量で幅広い記録線速領域で繰返し記録特性が良好な情報記録媒体及びその製造のためのスパッタリングターゲットを提供できる。
情報記録媒体(ディスク)を次のようにして作製した。
トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、第1保護層、相変化記録層、第2保護層、第3保護層、反射層を順に製膜した。
第1保護層は、(ZnS)80(SiO2)20をターゲットに用い、膜厚を80nmとした。
相変化記録層は、下記表1に示す材料組成に対応する組成(原子%)のスパッタリングターゲットを用い、膜厚は20nmとした。
第2保護層は(ZnS)80(SiO2)20をターゲットに用い、膜厚を14nmとした。
第3保護層はSiCターゲットを用い、膜厚を4nmとした。
反射層はAgターゲットを用い、膜厚を180nmとした。
更に反射層上に、スピナーによってアクリル系硬化樹脂を厚さ5〜10μm塗布した後、紫外線硬化させて有機保護膜を形成した。
更にその上に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を接着剤を用いて貼り合せ、波長810nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行なった。
記録再生の評価は、波長660nm、NA0.65のピックアップヘッドを用いて行なった。記録線速は10.5m/s(DVD3倍速相当)、28m/s(DVD8倍速相当)として、記録パワーは線速に応じて変えた。バイアスパワーは0.2mW、消去パワーは2〜15mWで、それぞれ最適化した。
これらの情報媒体に対して、3Tを10回繰返し記録したときのC/N比の測定結果[スペクトルアナライザを用いてノイズ(N)レベルと信号強度(C:キャリア)との比を測定]を表3に示す。書換え型の光ディスクシステムを実現する場合、そのC/N比は、少なくとも45dB必要である。実施例1〜8の記録媒体では、DVD3倍速相当である10.5m/sで繰返し記録したときも、DVD8倍速相当である28m/sで繰返し記録したときも全て45dB以上のC/N比を得ることができた。
相変化記録層を、下記表2に示す材料組成に対応する組成(原子%)のスパッタリングターゲットを用いて製膜した点以外は、実施例1と同様にして情報記録媒体(ディスク)を作製し、実施例1と同様にして評価を行なった。
結果を表4に示すが、10.5m/s及び28m/sで繰返し記録したときのC/N比は、比較例1の10.5m/sの場合を除き、45dB以下であった。
情報記録媒体(ディスク)を次のようにして作製した。
トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、第1保護層、相変化記録層、第2保護層、第3保護層、反射層を順に製膜した。
第1保護層は、(ZnS)80(SiO2)20をターゲットに用い、膜厚を70nmとした。
相変化記録層は、下記表5に示す材料組成に対応する組成(原子%)のスパッタリングターゲットを用い、膜厚は18nmとした。
第2保護層は(ZnS)80(SiO2)20をターゲットに用い、膜厚を10nmとした。
第3保護層はSiCターゲットを用い、膜厚を4nmとした。
反射層はAgターゲットを用い、膜厚を140nmとした。
更に反射層上に、スピナーによってアクリル系硬化樹脂を厚さ5〜10μm塗布した後、紫外線硬化させて有機保護膜を形成した。
更にその上に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を、接着シートを用いて貼り合せ、波長810nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行なった。
記録再生の評価は、波長660nm、NA0.65のピックアップヘッドを用いて行なった。記録線速は17.5、24.5、35.0m/sとし、記録パワーは線速に応じて変えた。バイアスパワーは0.2mW、消去パワーは2〜15mWで、それぞれ最適化した。記録ストラテジはそれぞれ最適化した。再生は全て線速3.5m/s、パワー0.7mWで行った。
それぞれの評価結果を表6に示す。
ジッターは、data to clock jitter σを検出窓幅Twで規格化した値である。
保存安定性は、サンプルに記録マークを書き込み、80℃85%RHの恒温槽に300時間保持した後、ジッターの上昇が1%未満の場合を○、1%以上3%未満の場合を△、3%以上の場合を×とした。
再生光安定性は、サンプルに記録マークを書き込み、線速3.5m/s、パワー1.0mWで10分間、再生光を照射した後、ジッターの上昇が1%未満の場合を○、1%以上3%未満の場合を△、3%以上の場合を×とした。
実施例9〜15の相変化型情報記録媒体の初期結晶化は容易に行なうことができ、反射率は周内で均一であった。融点は400〜600℃の間にあり、記録線速が17.5、24.5、35.0m/sのそれぞれにおいて、オーバーライト1000回後もジッターが10%以下を示し、記録感度が良好で保存安定性が良好な媒体を得ることができた。また、それぞれのサンプルの変調度はオーバーライト1000回後も60%以上を示し、保存安定性試験後も殆ど変化が無かった。特に実施例12、13の記録媒体は80℃85%RHの恒温槽に600時間保持した後でも変化は無かった。反射率はオーバーライト1000回後も20%以上を示し、保存安定性試験後も殆ど変化が無かった。
相変化記録層材料をAg3In4Sb75Te18に変えた点以外は、実施例9と同様にして情報記録媒体(ディスク)を作製し、実施例9と同様にして評価を行なった。
記録層材料の組成を表5に、評価結果を表6にそれぞれ示すが、それぞれの記録線速において、実施例9〜15の場合よりも高い記録パワーを必要とした。線速35.0m/sのときは、使用したLDの限界である38mWで書きこみを行なっても、初回のジッターが13.4%と高く、モジュレーションも50%と低かった。線速が17.5、24.5m/sのときは保存安定性は良好であるが、35.0m/sのときは、十分にアモルファスマークが形成されなかったので、劣化が速かったと考えられる。
相変化記録層材料をGe5Ga4Sb80Te11に変えた点以外は、実施例9と同様にして情報記録媒体(ディスク)を作製し、実施例9と同様にして評価を行なった。
記録層材料の組成を表5に、評価結果を表6にそれぞれ示すが、記録線速17.5m/sの場合、オーバーライト100回まではジッターが10%以下であるが、1000回で15.3%に上昇した。保存安定性は、ジッターの上昇が3%未満であった。反射率は保存試験前に23%であったのが、保存試験後は16%まで低下しており、保存安定性に問題がある。再生光安定性は良好であった。記録線速が35.0m/sのときは、初回ジッターが18.8%と高いが、これは結晶化スピードが遅いので、この線速では十分なマーク書き込みが行なえなかったと考えられる。
トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、第1保護層、相変化記録層、第2保護層、第3保護層、反射層を順に製膜した。
第1保護層は、(ZnS)80(SiO2)20をターゲットに用い、膜厚を60nmとした。
相変化記録層は、Sn18Sb69Ga6Ge7のスパッタリングターゲットを用い、膜厚は16nmとした。
第2保護層は(ZnS)80(SiO2)20をターゲットに用い、膜厚を8nmとした。
第3保護層はSiCターゲットを用い、膜厚を4nmとした。
反射層はAgターゲットを用い、膜厚を140nmとした。
更に反射層上に、スピナーによってアクリル系硬化樹脂を厚さ5〜10μm塗布した後、紫外線硬化させて有機保護膜を形成した。
更にその上に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を接着剤を用いて貼り合せた。
この記録媒体を一定線速20m/sで回転させ、ビーム幅75μmの光ヘッドを用い、パワー密度が25mW/μm2のレーザー光を半径方向に送り50μm/rで移動させながら照射することにより初期結晶化を行なった。
記録再生の評価は、波長660nm、NA0.65のピックアップヘッドを用いて行なった。記録線速は10.5m/s(3倍速)、14m/s(4倍速)、21m/s(6倍速),28m/s(8倍速)とし、記録パワーは線速に応じて変えた。バイアスパワーは0.2mW、消去パワーは5〜10mWで、それぞれ最適化した。
初回から繰返し記録1000回までのジッターを図2に示すが、全ての記録線速でジッター10%以下であった。書換え型の光ディスクシステムを実現するには、少なくともジッター10%以下を必要とする。
相変化記録層材料をGa6Sb67Sn18Ge6Te3に変えた点以外は、実施例16と同様にして情報記録媒体(ディスク)を作製した。
この情報記録媒体を一定線速15m/sで回転させ、ビーム幅75μmの光ヘッドを用い、パワー密度が20mW/μm2のレーザー光を半径方向に送り50μm/rで移動させながら照射することにより初期結晶化を行なった。実施例16と同様の評価を行なったところ、図3に示すように、特に初回から繰返し記録10回までのジッタが良好になり、DVDの規格値であるジッタ9%以内になった。
実施例16の情報記録媒体の第1保護層と相変化記録層の間にSiO2からなる界面層を2nm設けたものを作製した。この情報記録媒体と実施例16の情報記録媒体を一定線速20m/sで回転させ、ビーム幅75μmの光ヘッドを用い、パワー密度が25mW/μm2のレーザー光を半径方向に送り50μm/rで移動させながら照射することにより初期結晶化を行なった。記録線速28m/s(8倍速相当)で、記録パワーが28、30、32、34、36、38mWのときの繰返し記録特性を評価した。
実施例16の場合の結果を図4、実施例18の場合の結果を図5に示す。実施例16、18共に最適パワーではジッタ9%以内であった。特に実施例18は、36mW以上の高パワーでも繰返し記録1000回目のジッタが9%以内であった。SiO2界面層を設けることにより高パワー記録での繰返し記録特性が良好となり、記録パワーマージンを広くすることができた。
Claims (12)
- 透明基板上に、少なくとも第1保護層、相変化記録層、第2保護層及び反射層がこの順に形成され、情報の記録が、レーザー光の照射により相変化記録層の結晶状態及び非晶質状態の可逆的な相変化によりなされるものであると共に、相変化記録層を構成する材料の主成分である合金が、組成式をSnαSbβGaγGeδ〔但し、α、β、γ、δはそれぞれの元素の組成比(原子%)、α+β+γ+δ=100〕として、α、β、γ、δが以下の関係を満たすことを特徴とする相変化型情報記録媒体。
5≦α≦25
40≦β≦91
2≦γ≦20
2≦δ≦20 - 5≦α≦20、40≦β≦85、5≦γ≦20、5≦δ≦20であることを特徴とする請求項1記載の相変化型情報記録媒体。
- 10≦α≦20、50≦β≦80、5≦γ≦15、5≦δ≦15であることを特徴とする請求項2記載の相変化型情報記録媒体。
- 相変化記録層が、Ag、Zn、In及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素を、前記合金に対して1〜10原子%含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
- 相変化記録層が、Teを、前記合金に対して1〜10原子%含むことを特徴とする請求項1〜4記載の相変化型情報記録媒体。
- 第1保護層、相変化記録層、第2保護層、反射層の各膜厚をt1〜t4(nm)とし、レーザー光の波長をλ(nm)としたとき、以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
t1 : 0.070≦t1/λ≦0.160
t2 : 0.015≦t2/λ≦0.032
t3 : 0.005≦t3/λ≦0.040
t4 : 0.100≦t4/λ - 相変化記録層と第1保護層との間に、厚さが2〜10nmのSiO2からなる界面層を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
- 各層を積層した相変化型情報記録媒体を10〜21m/sの範囲内の一定線速度で回転させ、パワー密度15〜40mW/μm2で初期結晶化を行なうことにより得られたものであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の相変化型情報記録媒体。
- SnαSbβGaγGeδ(但し、5≦α≦25、40≦β≦91、2≦γ≦20、2≦δ≦20、α、β、γ、δは原子%、α+β+γ+δ=100)で示される組成の合金からなる相変化型情報記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
- 5≦α≦20、40≦β≦85、5≦γ≦20、5≦δ≦20である請求項9記載のスパッタリングターゲット。
- 10≦α≦20、50≦β≦80、5≦γ≦15、5≦δ≦15である請求項10記載のスパッタリングターゲット。
- 前記合金を主成分とし、Ag、Zn、In、Cu、Teから選ばれる少なくとも1種の元素を前記合金に対して1〜10原子%含有することを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の相変化型情報記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
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