JP2003088790A - 塗布装置 - Google Patents

塗布装置

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JP2003088790A
JP2003088790A JP2001282729A JP2001282729A JP2003088790A JP 2003088790 A JP2003088790 A JP 2003088790A JP 2001282729 A JP2001282729 A JP 2001282729A JP 2001282729 A JP2001282729 A JP 2001282729A JP 2003088790 A JP2003088790 A JP 2003088790A
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bead
angle
tip
support
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JP2001282729A
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English (en)
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Yasuto Naruse
康人 成瀬
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塗布後の製品に、微細なスジやムラが発生する
ことを抑制できる塗布装置を提供する。 【解決手段】本発明を用いたエクストルージョン型の塗
布装置10は、塗布ヘッド12の下流ブロック26の角
部26Dの曲率半径が0.1mmで形成されている。ま
た、先端面26Aと側面26Bの角度θ1が60〜12
0°に形成されている。側面26Bには、先端面26A
から距離d=1〜10mmの位置に屈曲部26Cが設け
られ、屈曲角度θ2が5〜60°となるように屈曲して
いる。塗布ヘッド12のスリット22は、塗布液の押し
出し角度Φが60〜100°になるように形成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布装置に係り、特
にシート状または帯状の走行する支持体に、塗布ヘッド
の先端部から塗布液を押し出してビードを形成し、この
ビードを介して支持体に塗布液を塗布する塗布装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】シートやウェブなどの支持体に塗布を行
う塗布装置としては、ロールコーター、スライドビード
塗布装置、エクストルージョン塗布装置、バー塗布装
置、グラビア塗布装置などが知られている。なかでも、
エクストルージョン塗布装置は、ポンプ等で計量された
塗布液全量を、シートまたはウェブにそのまま塗布する
装置として多くの用途に用いられている。このエクスト
ルージョン塗布装置は、特開平4−190870号公報
や特開昭56−17661号公報に記載されているよう
に、走行する支持体に塗布液を押し出してビードを形成
し、このビードを介して塗布液を支持体に塗布する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
塗布装置は、塗布液の動圧の変動がビードに伝わった際
に、塗布後の製品に微細なスジやムラが発生するおそれ
があった。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、塗布後の製品に微細なスジやムラが発生するこ
とを抑制できる塗布装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
前記目的を達成するために、走行するシート状または帯
状の支持体に、塗布ヘッドの先端部から塗布液を押し出
してビードを形成し、該ビードを介して前記支持体に前
記塗布液を塗布する塗布装置において、前記塗布ヘッド
の先端部は、前記支持体の進行方向に対して、下流側の
角部の曲率半径が0.1mm以下であることを特徴とし
ている。
【0006】本願発明の発明者は、実験により、塗布後
の製品に見られる微細なスジやムラの主たる原因が、塗
布ヘッドの下流側に形成されるビードの接触線の乱れで
あることを明らかにした。すなわち、塗布ヘッドの下流
側に形成される、塗布ヘッドとビードの接触線が塗布ヘ
ッドの幅方向に乱れることによって、微細なスジやムラ
が発生することを明らかにした。本発明は、塗布ヘッド
の先端部の形状を改良することによって、ビードの接触
線が幅方向に乱れることを防止するものである。
【0007】請求項1記載の発明によれば、塗布ヘッド
の角部の曲率半径を0.1mm以下としたので、ビード
の拡がりがこの角部で抑えられる。すなわち、ビードの
接触線が角部に沿って形成されるので、塗布ヘッドの幅
方向に乱れることがない。これにより、塗布後の製品に
スジやムラが発生することを抑制できる。
【0008】請求項2記載の発明によれば、塗布ヘッド
の先端部の表面粗さを0.3μm以下にしたので、ビー
ドの接触線が乱れる要因を減らすことができる。すなわ
ち、先端部の表面粗さを0.3μmよりも大きくした場
合には、ビードの接触線が塗布ヘッドの幅方向に凸凹に
なって、スジやムラの原因となるおそれがあるが、最大
表面粗さを0.3μm以下と小さくすることによって、
これを防止することができる。
【0009】請求項3記載の発明は、前記目的を達成す
るために、走行するシート状または帯状の支持体に、塗
布ヘッドの先端部から塗布液を押し出してビードを形成
し、該ビードを介して前記支持体に前記塗布液を塗布す
る塗布装置において、前記塗布ヘッドの先端部は、先端
面と、前記支持体の走行方向に対して下流側の側面との
交差角度が、60〜120°であることを特徴としてい
る。
【0010】請求項3記載の発明によれば、塗布ヘッド
の先端面と下流側の側面との交差角度を60〜120°
と小さくしたので、先端面から側面へのビードの乗り上
げが抑制される。すなわち、ビードの接触線が、先端面
と側面とに挟まれた角部に沿って直線状に形成されるの
で、塗布後の製品にスジやムラが発生することを防止で
きる。
【0011】請求項4記載の発明によれば、塗布ヘッド
の下流側の側面に、先端部側から基端部側にかけて外側
に屈曲した屈曲部を設けたので、先端面と側面との交差
角度を小さくしても、塗布ヘッド全体の強度が低下する
ことを防止できる。また、ビードが側面に乗り上げた場
合であっても、ビードが屈曲部で止まるので、ビードの
接触線が塗布ヘッドの幅方向に乱れず、スジやムラの発
生を抑制できる。
【0012】請求項5記載の発明によれば、先端部側か
ら基端部側にかけて、5〜60°の角度で屈曲させるよ
うにしたので、側面に乗り上げたビードを屈曲部で確実
に抑えることができる。
【0013】請求項6記載の発明によれば、屈曲部の位
置を先端面から1〜10mmとしたので、側面に乗り上
げたビードを先端面の近傍で抑えることができる。した
がって、ビードが側面に乗り上げた際にスジやムラが発
生することを抑制できる。
【0014】請求項7記載の発明によれば、塗布液を支
持体の進行方向に対して60〜100°の押し出し角度
で押し出したので、塗布液は安定して押し出され、ビー
ドが側面に乗り上げることを抑制できる。
【0015】請求項8記載の発明によれば、押し出し角
度に対する交差角度の比率を、0.95〜1.4とした
ので、塗布ヘッドの強度を低下させることなく、ビード
の乗り上げを抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
る塗布装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】図1に示すように、前計量系のエクストル
ージョン型の塗布装置10は主として、塗布ヘッド1
2、架台14、コーティングローラ16で構成され、コ
ーティングローラ16には、連続走行する支持体18が
巻き掛けられている。支持体18としては、シート状の
ものやウェブ(可撓性帯状体)状のものが用いられる。
また、支持体18の材料としては、例えば、各種のプラ
スチックフィルム(PET、PEN、TAC)、ポリエ
チレンなどのフィルム、アルミや鉄などの薄層金属材
料、各種の紙、これらの複合材料などが用いられる。な
お、支持体18の材料は、上記のものに限定されるもの
ではなく、ガラスやセラミックなどを用いてもよい。ま
た、支持体18の走行速度としては、5〜200m/分
が好適である。
【0018】塗布ヘッド12は、不図示のねじによって
架台14に固定されており、固定された塗布ヘッド12
と支持体18との間には、所定寸法(例えば、0.01
〜0.5mm)の隙間が形成されている。
【0019】塗布ヘッド12の内部には、塗布液が供給
されるポケット20と、このポケット20に連通される
所定幅(例えば、0.1〜1mm)のスリット22が形
成されている。ポケット20に供給された塗布液は、ス
リット22を介して塗布ヘッド12の先端部から押し出
され、塗布ヘッド12と支持体18の間にビード(液溜
まり)を形成する。これにより、ビードを介して支持体
18に塗布液が塗布される。なお、ウェブ12の走行方
向に対して、塗布ヘッド12の上流側には、減圧室(不
図示)が設けられ、この減圧室を減圧することによって
ビードが上流側に引っ張られて安定する。
【0020】ポケット20に供給される塗布液として
は、水や溶剤に溶解したポリマー液、感光材料、記録材
料、分散液などが用いられる。また、塗布液の性質とし
ては、粘度0.7〜1000cp、表面張力20〜50
dyne/cm、比重0.8〜1.3程度のものが一般
的に使用される。
【0021】図2は、塗布ヘッド12の先端部を示す模
式図である。
【0022】同図に示すように、塗布ヘッド12の先端
部は、支持体18の進行方向に対して上流側のブロック
(以下、上流ブロック)24と、下流側のブロック(以
下、下流ブロック)26とで構成されている。上流ブロ
ック24と下流ブロック26の間には、スリット22が
形成されており、このスリット22から塗布液が押し出
される。塗布液の押し出し方向は、支持体18の進行方
向に対して、60〜100°の角度(以下、押し出し角
度)Φに設定される。
【0023】上流ブロック24の先端面24Aと、下流
ブロック26の先端面26Aは、支持体18の進行方向
と略平行に配設されており、その最大表面粗さは0.3
s(すなわち0.3μm)以下に形成されている。
【0024】下流ブロック26は、支持体18の進行方
向に対して下流側の側面26Bと、先端面26Aとの交
差角度θ1が60〜120°で形成されている。この交
差角度θ1は、押し出し角度Φに対する比率が0.95
〜1.4になるように形成されることが好ましい。ま
た、側面26Bと先端面26Aとの間に形成された角部
26Dは、曲率半径が0.1mm以下となるように形成
されている。
【0025】また、側面26Bには、先端部側から基端
部側にかけて外側に屈曲した屈曲部26Cが形成されて
いる。屈曲部26Cにおける屈曲角度θ2は、5〜60
°、好ましくは、7〜30°で形成される。また、屈曲
部26Cは、先端面26Aからの距離dが1〜10m
m、好ましくは2〜5mmの位置に形成される。
【0026】次に上記の如く構成された塗布装置10の
作用について詳説する。
【0027】塗布液は、スリット22から押し出されて
ビードを形成し、このビードを介して支持体18に塗布
液が塗布される。その際、塗布ヘッド12の下流側に形
成される、ビードと塗布ヘッド12の接触線(境界線)
が、塗布ヘッド12の幅方向に乱れると、塗布後の製品
にスジやムラが発生する。例えば、図4に示す従来例
は、ビードが塗布ヘッド1の側面1Aに乗り上げている
ため、ビードの接触線が塗布ヘッド1の幅方向(図4の
奥行き方向)に直線状になりにくり。このため、支持体
2に一定厚さの塗布層を形成することが難しく、場合に
よってはスジやムラを発生する。また、ビードが側面1
Aに乗り上げた場合には、塗布液の動圧の影響を受けて
接触線が乱れやすいため、スジやムラを発生しやすいと
いう問題もある。
【0028】したがって、スジやムラの発生を防止する
ためには、ビードの接触線を塗布ヘッド1の幅方向に直
線状に形成することが好ましい。そこで、本実施の形態
では、ビードの接触線を図2の角部26D、或いは屈曲
部26Cに沿って直線状に形成することにより、スジや
ムラの発生を防止している。
【0029】すなわち、本実施の形態では、角部26D
の曲率半径を0.1mm以下として、角部26Dを角張
らせることによって、ビードが角部26Dを越えること
を防止している。これにより、ビードの接触線が角部2
6Dに沿って、塗布ヘッド12の幅方向に直線状に形成
されるので、スジやムラの発生を抑制できる。なお、角
部26Dの曲率半径を0.1mmよりも大きくした場合
には、角部26Dが丸みを帯びるため、ビードが角部2
6Dを越えやすくなる。
【0030】また、本実施の形態は、下流ブロック26
の先端面26Aの表面粗さを0.3μm以下と小さくし
たので、ビードの接触線が直線状になりやすい。すなわ
ち、表面粗さを0.3μmよりも大きくした場合には、
ビードの接触線が凸凹になりやすいが、表面粗さを0.
3μm以下とすることによって、これを防止することが
できる。
【0031】また、本実施の形態は、先端面26Aと側
面26Bとの交差角度θ1を60〜120°としたの
で、ビードの接触線を角部26Dで抑えることができ
る。すなわち、図4に示すように、交差角度θを120
°よりも大きく形成した場合は、ビードが角部1Bを越
えて側面1Aに乗り上がりやすくなるが、図2に示すよ
うに、交差角度θ1を120°以下とした場合には、こ
れを抑制することができる。
【0032】交差角度θ1は、小さくするほどビードの
拡がりを抑制する効果があるが、交差角度θ1を小さく
することによって塗布ヘッド12の強度が低下するおそ
れがある。そこで、本実施の形態では、交差角度θ1を
60°以上とし、押し出し角度Φに対する交差角度θ1
の比率を、0.95以上、1.4以下とした。これによ
り、下流ブロック26が薄くなって強度が低下すること
を防止することができる。例えば、図2に示したよう
に、交差角度θ1を鋭角にした場合、押し出し角度Φも
鋭角にすることによって、下流ブロック26の先端部を
略一定の厚さで形成することができ、強度の低下を防止
できる。
【0033】また、本実施の形態では、塗布ヘッド12
の側面26Bに屈曲部26Cを形成し、外側に屈曲させ
るようにしたので、下流ブロック26の基端部側が厚く
なり、強度が上昇する。
【0034】また、屈曲部26Cの屈曲角度θ2を5〜
60°としたので、仮に、ビードが角部26Cを越えた
場合であっても、ビードの拡がりは、屈曲部26Cに抑
えられる。したがって、ビードの接触線が屈曲部26C
に沿って直線状に形成されるので、スジやムラの発生を
防止できる。なお、屈曲角度を5°よりも小さくした場
合には、側面26Bが平坦に近くなるので、ビードが屈
曲部26Cを越えて拡がりやすくなる。また、屈曲角度
を60°よりも大きくした場合には、ビードが振動した
際に屈曲部26Cの基端部側の面に付着しやすくなる。
【0035】また、本実施の形態では、先端面26Aか
ら屈曲部26Cまでの距離dを1〜10mmと小さくし
たので、屈曲部26Cを越えたビードが屈曲部26Cに
到達しやすい。すなわち、距離dを10mmよりも大き
くした場合には、ビードの接触線が先端面26Aから屈
曲部26Cまでの側面26Bに形成されやすくなるた
め、スジやムラを発生しやすい。また、距離dを1mm
よりも小さくした場合には、角部26Dを乗り越えたビ
ードが屈曲部26Cの基端部側に直接接触して屈曲部2
6Cを越えやすい。これにより、距離dを1〜10mm
とすることによって、ビードの接触線が屈曲部26に沿
って形成されやすくなり、スジやムラの発生を抑制でき
る。
【0036】さらに、本実施の形態は、塗布液の押し出
し方向を支持体18の進行方向に対して60〜100°
としたので、ビードの接触線が凸凹になる要素を減らす
ことができる。すなわち、押し出し角度Φを100°よ
りも大きく設定すると、支持体18の進行方向と反対方
向に塗布液を押し出すことになるので、塗布液が支持体
18の上にスムーズに押し出されず、ビードが変形して
拡がり、ビードの接触線が凸凹になりやすい。また、押
し出し角度Φを60°よりも小さくすると、塗布液の動
圧がウェブの進行方向に作用するため、ビードが不安定
になり、ビードの接触線が凸凹になりやすい。したがっ
て、押し出し角度Φを60〜100°とすることによっ
て、ビードの接触線が凸凹になりにくくなるので、スジ
やムラの発生を抑制できる。
【0037】以上により、本実施の形態の塗布装置10
は、ビードの接触線が角部26D、或いは屈曲部26C
に沿って直線状に形成されるようにしたので、塗布後の
製品に微細なスジやムラが発生することを抑制すること
ができる。
【0038】なお、塗布ヘッド12の形状は、上述した
実施の形態に限定されるものではなく、図3に示すよう
な形状にしてもよい。図3の塗布ヘッドは、交差角度θ
1を90〜120°に設定しており、この場合には、押
し出し角度Φを90°に設定するとよい。
【0039】また、上述した実施の形態は、塗布液の吐
出口を一つのみ備えた塗布装置10の例であるが、複数
の吐出口を備えた塗布装置に本発明を適用してもよい。
その場合には、支持体18の進行方向に対して最も下流
側の吐出口を構成するブロックを上記の如く形成すれば
よい。
【0040】
【実施例】表1は、交差角度θ1と、押し出し角度Φの
値を変えて、実験を行った結果である。この実験では、
好適な交差角度θ1と押し出し角度Φを調べるために、
屈曲部26Cを設けずに実験を行った。また、塗布液と
しては、液粘度8cp、表面張力40dyne/cm、
比重1.09、固形分濃度11%、溶剤がMEK/MG
=7/3のポリマー塗布液を、45cc/m2 、50m
/分でPETフィルム上に塗布を行った。
【0041】
【表1】 表1から分かるように、従来と同形状である比較例1
(θ1=150°)は、塗布条件によってはシャープな
スジが発生しやすく、45cc/m2 で塗布液を塗布し
た場合は、5〜7mmピッチのスジが発生した。これに
対し、θ1を110°にした実施例1は、45cc/m
2 で塗布液を塗布した場合にも、微細なスジやムラが発
生せず、良好な塗布面状が得られた。そこで、良好な塗
布面状が得られるθ1の角度を調べたところ、θ1を1
20°とした実施例2は、良好な塗布面状が得られたの
に対し、θ1を130°とした比較例2は、スジが多く
見られた。このことから、θ1を120°以下とするこ
とによって、スジやムラのない良好な塗布を行うことが
できる。
【0042】また、θ1を90°以下にした場合にも良
好な塗布面状を得ることができた。例えば、実施例3に
示すように、θ1を60°とした場合にも良好な塗布面
状を得ることができた。ただし、θ1を90°以下とし
た場合には、下流ブロック26が基端部側に向けて徐々
に小さくなるため、下流ブロック26の強度が低下する
という問題があり、θ1/Φを0.95以上にする必要
があった。このため、θ1/Φが0.95よりも小さい
比較例3は、強度の面で不適切である。
【0043】また、θ1/Φが0.95以上となる場合
であっても、Φが60°よりも小さい比較例4(Φ=5
0°)は、塗布面にスジやピッチが発生した。これによ
り、Φは60°以上が好適である。
【0044】また、Φを大きくした場合、Φを100°
とした実施例4では、好適な塗布面状が得られたのに対
し、Φを110°とした比較例5では、スジが発生し
た。これにより、Φは、100°以下とすることが好ま
しい。
【0045】以上の結果により、θ1は60〜120°
の範囲にすれば、精度の良い塗布を行うことができ、そ
の際、Φを60〜100°で、且つ、θ1/Φを0.9
5以上にすることが好ましい。
【0046】表2は、屈曲部26C(図2参照)の位置
と形状を変えて実験を行った結果である。この実験にお
いて、塗布ヘッド12の交差角度θ1=110°、押し
出し角度90°として実験を行った。なお、塗布液とし
ては、液粘度5cp、表面張力40dyne/cm、比
重1.09、固形分濃度11%、溶剤がMEK/MG=
7/3のポリマー塗布液を、45cc/m2 、50m/
分でPETフィルム上に塗布を行った。
【0047】
【表2】 実施例5は、表1の実施例1に屈曲部26を設けたもの
であり、d=3mmの位置にθ2=10°の角度で屈曲
部26Cを形成している。このような屈曲部26Cを設
けることによって、塗布精度が著しく向上し、35cc
/m2 で塗布液を薄く塗布した場合であっても、良好な
塗布面状を得ることができた。
【0048】そこで、屈曲部26Cの好ましい形状(屈
曲角度)を調べたところ、θ2=3°とした比較例6
や、θ2=70°とした比較例7では、屈曲部26Cを
設けた効果が得られなかったのに対し、θ2=5°とし
た実施例6や、θ2=60°とした実施例7では、塗布
精度が向上した。また、屈曲部26Cの位置として、d
=0.5mmとした比較例8や、d=12mmとした比
較例9では、屈曲部26Cの効果が得られなかったのに
対し、d=1mmとした実施例8や、d=10mmとし
た実施例9では、塗布精度の向上が見られた。以上によ
り、屈曲部26Cは、d=1〜10mmの位置に、θ2
=5〜60°で形成することが好ましく、このような屈
曲部26Cを形成することによって、塗布精度を著しく
向上させることができる。
【0049】表3は、角部26Dの曲率半径を変えて実
験を行った際の各条件を示している。
【0050】
【表3】 実施例10と実施例11は、上述したθ1、Φ、θ2、
dの好適な条件を全て満たしているうえに、角部26D
の曲率半径を0.08mmとしているので、塗布性能が
さらに著しく向上した。そして、実施例10では、表面
張力40dyne/cmの塗布液を33cc/m2 で薄
く塗布した際にも、スジやムラのない良好な塗布面状を
得ることができた。また、実施例11では、表面張力4
3dyne/cmの塗布液を30cc/m2 でさらに薄
く塗布した際にも良好な塗布面状を得ることができた。
【0051】これに対し、比較例10や比較例11で
は、表面張力43dyne/cmの塗布液を30cc/
2 で薄く塗布した際に、以下のような不具合が生じ
た。すなわち、比較例10では、塗布面状にうすいスジ
が5〜8mmピッチで発生し、比較例11では、5〜7
mmピッチのハッキリとしたスジが発生し、均一な塗布
面状を得ることができなかった。このように、角部26
Dの曲率半径が大きくなるほど、塗布面状にスジが現れ
やすい結果が得られ、曲率半径を0.1以下としたとき
にスジのない良好な塗布面状が確実に得られた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る塗布装
置によれば、塗布ヘッドの角部の曲率半径を0.1mm
以下、或いは、この角部を挟む先端面と側面との交差角
度を60〜120°としたので、ビードの接触線が、角
部に沿って直線状に形成されるようになり、スジやムラ
の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗布装置を示す側面図
【図2】図1の塗布ヘッドの先端部形状を示す模式図
【図3】図2と異なる塗布ヘッドの先端部形状を示す模
式図
【図4】従来の塗布ヘッドの先端形状を示す模式図
【符号の説明】
10…塗布装置、12…塗布ヘッド、14…架台、16
…コーティングローラ、18…支持体、20…ポケッ
ト、22…スリット、24…上流ブロック、26…下流
ブロック、26A…先端面、26B…側面、26C…屈
曲部、26D…角部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走行するシート状または帯状の支持体に、
    塗布ヘッドの先端部から塗布液を押し出してビードを形
    成し、該ビードを介して前記支持体に前記塗布液を塗布
    する塗布装置において、 前記塗布ヘッドの先端部は、前記支持体の進行方向に対
    して、下流側の角部の曲率半径が0.1mm以下である
    ことを特徴とする塗布装置。
  2. 【請求項2】前記塗布ヘッドの先端部は、表面粗さが
    0.3μm以下であることを特徴とする請求項1記載の
    塗布装置。
  3. 【請求項3】走行するシート状または帯状の支持体に、
    塗布ヘッドの先端部から塗布液を押し出してビードを形
    成し、該ビードを介して前記支持体に前記塗布液を塗布
    する塗布装置において、 前記塗布ヘッドの先端部は、先端面と、前記支持体の走
    行方向に対して下流側の側面との交差角度が、60〜1
    20°であることを特徴とする塗布装置。
  4. 【請求項4】前記下流側の側面は、先端部側から基端部
    側にかけて外側に屈曲する屈曲部を備えていることを特
    徴とする請求項3記載の塗布装置。
  5. 【請求項5】前記屈曲部は、前記先端部側から前記基端
    部側にかけて、5〜60°の角度で屈曲することを特徴
    とする請求項4記載の塗布装置。
  6. 【請求項6】前記屈曲部は、前記塗布ヘッドの先端面か
    ら1〜10mmの位置に形成されることを特徴とする請
    求項4記載の塗布装置。
  7. 【請求項7】前記塗布液は、前記支持体の進行方向に対
    して、60〜100°の押し出し角度で押し出されるこ
    とを特徴とする請求項3記載の塗布装置。
  8. 【請求項8】前記押し出し角度に対する前記交差角度の
    比率が、0.95〜1.4であることを特徴とする請求
    項7記載の塗布装置。
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