JP2003052336A - 卵黄液及びこれを含有する卵加工食品 - Google Patents

卵黄液及びこれを含有する卵加工食品

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JP2003052336A JP2001245932A JP2001245932A JP2003052336A JP 2003052336 A JP2003052336 A JP 2003052336A JP 2001245932 A JP2001245932 A JP 2001245932A JP 2001245932 A JP2001245932 A JP 2001245932A JP 2003052336 A JP2003052336 A JP 2003052336A
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yolk liquid
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Takeshi Onishi
剛 大西
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱凝固性を低減した上で、かつ、卵黄本来の
風味を強く有するために、高濃度の卵黄液を提供するこ
と。 【解決手段】 動物由来、植物由来、微生物由来等の各
種蛋白質分解酵素により部分的に加水分解された卵黄
に、カルシウム反応性のゲル化剤、好ましくは、アルギ
ン酸塩、ローメトキシルペクチン、カッパーカラギーナ
ンのいずれか一種以上を、好ましくは、0.25〜2重
量%、含有させることを特徴とする卵黄液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱凝固性が低下す
ることを特徴とする卵黄液及び該卵黄液を含有すること
を特徴とする卵黄含有食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】卵黄は、その特有の風味及び乳化等の機
能面において優れているために各種加工食品に使用され
ている。しかし、約65℃以上に加熱を施すと熱凝固す
るために、加工時において添加量及び用途が限定される
場合がある。また、卵黄は割卵、卵白との分離等の作業
により得られるが、その熱凝固性のため充分な加熱殺菌
が行えず、衛生面から長期間の保存が出来ないと言う問
題がおこっている。
【0003】これらの問題を解決すべく、従来から様々
な試みがなされてきた。卵黄液の熱安定性を改良する方
法として、卵黄に蛋白質分解処理を施し、卵黄を構成す
るタンパク質を低分子化する方法が知られている。例え
ば、特公昭45−9215ではプロテアーゼ等の酵素で
処理して得られる酵素処理卵黄を用いているが、酵素処
理により苦味が生成するとともに卵黄本来の優れた風味
は損なわれてしまう。また特公平3−61411には、
卵黄を酸性域でプロテアーゼ処理することにより耐熱性
を向上させることが開示されているが、pHを酸性域か
ら中性域に中和する際に塩が生じるために塩辛くなり、
その使用用途がマヨネーズ等に限定される。
【0004】これら蛋白質分解処理による卵黄の耐熱化
においては、その耐熱性を付与するために構成するタン
パク質の熱凝固性が無くなるまで蛋白質の分解を行う必
要があり、タンパク質の低分子化による苦味の生成及び
風味の低下などの問題があり、食品に卵黄を添加する目
的から遠ざかっている。市場で耐熱性の卵黄液として販
売されているものはほとんどが酵素処理されたものであ
る。また、蛋白質分解度を低減する試みとして、特開平
8−173098では燐酸塩添加卵黄液に蛋白質分解酵
素を添加し比較的短時間の酵素分解を行った後に、その
処理液を80℃〜120℃で加熱し、その後均質化を行
うことにより卵黄風味が残る耐熱卵黄液を調整してい
る。しかしながら、この方法でも高温加熱時の凝固を防
止するためには卵黄濃度を低濃度とするか、熱凝固性が
無くなるまで蛋白質分解度を高める以外になく、蛋白分
解度が低いままでは高温加熱時に蛋白質の凝固に伴うス
ケールやコゲが発生し大量生産を主とする工業化には適
さない。
【0005】蛋白質分解を伴わない耐熱性の付与策とし
ては、特開平4−281765では卵黄液を不完全に熱
変性させたものを均質化することで卵黄液に耐熱性を付
与させようとしている。しかし、蛋白質分解処理のよう
な風味の低下は少ないものの耐熱性が低くUHT等の高
温殺菌処理には耐えられない。さらに特公平7−108
207ではラムダカラギーナンにより卵黄液の熱凝固性
が低減されることが示されているが、これもUHT等の
高温殺菌処理を行うには耐熱性が低い欠点がある。さら
に、特開平11−127818ではアルギン酸塩類によ
り熱凝固性を低減しているが、UHT等の高温殺菌処理
を行うにはアルギン酸塩類との反応を均一に行う必要が
あり、卵黄濃度が30%以下の卵黄風味が弱いものにな
るという欠点があった。
【0006】以上のごとく、卵黄濃度が高い状態で、高
温殺菌処理に耐えうる耐熱性を付与するには卵黄蛋白質
を蛋白質分解酵素で低分子化する以外に方法が無く、蛋
白質の低分子化に伴う苦みの生成、風味の劣化が問題と
なる。また、蛋白質分解を伴わない耐熱性の付与策とし
ては、耐熱性が低い、卵黄濃度が低いという問題があっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】卵黄はその優れた風
味、特性から様々な食品に用いられている。しかし、そ
の熱凝固性及び衛生上の問題からその用途が限定されて
いるのが現状である。本発明の目的は、熱凝固性が低減
でき、卵黄本来の風味を強く有した高濃度の卵黄液を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、卵黄を蛋白質分解酵素によ
り部分的に加水分解した後にカルシウム反応性のゲル化
剤を卵黄に含有させることより、卵黄本来の風味を維持
したまま熱凝固性が低下した高濃度の卵黄液が得られる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明の最大の特徴は、卵黄をその風味を
損なわない範囲内で部分的に加水分解した後にカルシウ
ム反応性のゲル化剤を卵黄に含有させることにより、熱
凝固性を低下させることにある。通常、蛋白質分解酵素
による蛋白質分解は、蛋白質の低分子化による熱凝固性
の低減が目的であるが、本発明の場合、蛋白質分解は耐
熱性の付与ではなくカルシウム反応性のゲル化剤との混
合を効率よく行うためである。耐熱性を付与するほどの
蛋白質分解を必要としないため、異味、異臭の発生が無
く卵黄本来の風味を有することができる。
【0010】即ち、本発明の第1は、蛋白質分解酵素に
より部分的に加水分解された卵黄にカルシウム反応性の
ゲル化剤を含有させることを特徴とする卵黄液に関す
る。好ましい実施態様としては、カルシウム反応性のゲ
ル化剤が、卵黄液中の卵黄の液卵換算重量に対して0.
25〜2重量%含まれることを特徴とする上記記載の卵
黄液に関する。更に好ましい実施態様としては、カルシ
ウム反応性のゲル化剤がアルギン酸塩、ローメトキシル
ペクチン、カッパーカラギーナンのいずれか1種以上で
あることを特徴とする上記記載の卵黄液に関する。
【0011】本発明の第2は、上記記載の卵黄液を含有
することを特徴とする卵黄含有食品に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明の卵黄液は、蛋白質分解酵素により部分的に加水
分解された卵黄とカルシウム反応性のゲル化剤と、必要
に応じてさらに水を含んでなるものである。本発明の卵
黄濃度は、特に限定はなくどの濃度においても効果を発
揮するが、好ましくは卵黄濃度が40%以上であり、更
に好ましくは40〜65%の範囲をさす。濃度40%以
上であれば耐熱性を有し、かつ、卵黄の風味が強く出
る。本発明に用いる「蛋白質分解酵素で部分的に加水分
解された卵黄」の原料となる卵黄は、通常の生卵黄、約
60℃、3分間程度加熱した殺菌卵黄、熱凝固変性した
卵黄、一部だけ熱凝固変性した卵黄を均質化したもの、
又は乾燥卵黄を水に溶いたものであってもよく、特に何
ら制限はない。例えば、割卵した後、卵白と分離して得
られた卵黄等がごく一般的なものである。
【0013】本発明に用いる蛋白質分解酵素とは、具体
的には、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン等の動
物臓器起源の酵素、及びパパイン、ブロメライン、フィ
ンシン等植物起源の酵素、各種微生物起源のプロテアー
ゼ類が例示できる。中でも、特にエンド切断型の酵素が
好適である。酵素は食品工業レベルのものでも試薬レベ
ルのものでもよい。この酵素は単独で、もしくは2種以
上を組み合わせて使用することができる。
【0014】蛋白質分解処理時のpHについては、卵黄
固有のpH(6.3前後)で処理することが簡便であ
る。温度条件としては40℃〜55℃が好ましい。40
℃未満では微生物が繁殖しやすく、また55℃を超える
温度では蛋白質分解が急速に進み苦みが発生する可能性
があり好ましくない。処理時間については用いる蛋白質
分解酵素の種類と量によるが、卵黄の品質、衛生を考慮
すると2時間以内が好ましい。また、蛋白質分解処理を
行う際に、蛋白質分解酵素を卵黄に均一に溶解・分散さ
せるために水を用いても何ら問題ない。
【0015】蛋白質分解度について「部分的に加水分解
した」とは、分解度が卵黄中の全蛋白質の0.5〜8.
0%、好ましくは0.5〜4.0%の範囲をさす。分解
度が0.5%未満では十分な効果がなく、一方、8.0
%を越えて分解すると苦味や風味の劣化を感じる場合が
ある。尚、蛋白質分解度はホルモール滴定法によるα―
アミノ基の測定により分解された量を測定し、卵黄蛋白
質の総アミノ酸量で割った値(%)とした。
【0016】本発明に用いるカルシウム反応性のゲル化
剤としてはアルギン酸塩、ローメトキシルペクチン、カ
ッパーカラギーナンが好ましく、アルギン酸塩として
は、たとえばアルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩、
カルシウム塩、アンモニウム塩、亜鉛塩、その他アルギ
ン酸を出発原料として水可溶性の塩としたものが挙げら
れるが、一般に安価で食品での使用量が多いことからア
ルギン酸ナトリウムが好ましい。また、原料である藻類
の由来、アルギン酸の分子量の違い、アルギン酸の構成
成分であるβ−(1−4)−D−マンヌロン酸及びα−
(1−4)−L−グルロン酸の量的比率等には特に制限
は無い。
【0017】ローメトキシルペクチンは、D−ガルクチ
ュロン酸とそのメチルエステルを構成成分とするもの
で、メチルエステルの存在が組成中の50%以下の物で
ある。原料であるかんきつ類の由来等には特に制限はな
い。
【0018】カッパーカラギーナンとは、カッパ型に分
類さるカラギーナンのことであり必ずしも精製されたも
のでなくて良く租抽出物でもよい。
【0019】カルシウム反応性のゲル化剤の添加割合と
しては、卵黄液中の卵黄含有量に左右されるため特に限
定されるものではないが、卵黄の液卵換算重量に対し
0.25〜2重量%が好ましく、更に好ましくは、0.
5〜1.5重量%である。
【0020】本発明の卵黄液の製造方法としては、40
℃〜55℃に加温した卵黄を蛋白質分解酵素により予め
部分的に酵素分解した後に、カルシウム反応性のゲル化
剤と、必要に応じて水を混合し、その後酵素を加熱失活
することにより製造できるが、カルシウム反応性のゲル
化剤を予め50℃程度の温水に溶解しておくことが好ま
しい。本発明の卵黄液の加熱酵素失活方法については、
特に制限はなく、例えば、UHT殺菌、プレート式殺
菌、掻き取り式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺
菌等の方式が示されるが、これらに限定されるものでは
ない。好ましくは、酵素分解度の進行を抑制するため短
時間に急激に加熱しうる加熱方法が好ましい。加熱温度
については、卵黄液の必要に応じて菌が死滅すればよ
く、例えば、80〜145℃で1秒〜30分間が例示さ
れる。この加熱殺菌の際、本卵黄液は滑らかな液状を保
ったまま粘度が増加し卵黄特有の風味が強くなる。
【0021】本発明の卵黄液がカルシウム反応性のゲル
化剤により熱凝固性が低下される理由は明らかではない
が、卵黄のカルシウム分とゲル化剤の反応により卵黄蛋
白質の周りを覆うように熱不可逆ゲルが形成され、卵黄
蛋白質が熱変性した時の凝集を妨げているのではないか
と考えられる。
【0022】本発明の卵黄含有食品としては、本発明の
卵黄液に他の成分としてグラニュー糖、オリゴトース、
ソルビトール等の糖類、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、カ
ゼイン、ラクトアルブミン、ラクトース等の乳成分及び
乳蛋白質、植物性脂肪分及び乳脂肪分等の油脂、乳化
剤、増粘剤などの食品素材、原料、及び添加物を含めた
食品、例えば、卵黄含有ホイップクリーム、カスタード
クリーム、アングレースソース、卵黄含有ソース又はス
ープ類、マヨネーズ、ドレッシング等の卵黄を用いた食
品が挙げられる。また、卵焼き、オムレツ、スクランブ
ルエッグ等の卵を加熱調理する食品に対しても、その食
感改良を目的として使用できる。本発明の卵黄液に上記
他の成分が含まれていても卵黄液の熱凝固性低下には何
ら問題はない。
【0023】本発明の卵黄含有食品の製造方法として
は、各食品の常法による製造方法により製造できる。ま
たこれまで卵黄の熱凝固性のため製造できなかった配合
及び条件でも本発明を用いることにより製造可能とな
る。本発明の卵黄含有食品を加熱殺菌する場合、その方
法については、特に制限はなく、例えばUHT殺菌、プ
レート式殺菌、バッチ式殺菌、掻き取り式殺菌、チュー
ブラー式殺菌、レトルト殺菌等の方式が示されるが、こ
れらに限定されるものではない。加熱殺菌条件について
も特に制限はなく、各食品の必要に応じて衛生的に菌が
死滅すればよく、例えば、65〜145℃で1秒〜30
分間が例示される。
【0024】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお 以下の記載において、「%」又は「部」とあるの
は、特に断らない限り「重量%」、「重量部」を意味す
る。 (実施例1)割卵分離して得られた卵黄100部を泡立
てない程度にゆっくりと撹拌し、40℃まで昇温した後
に0.006部のプロテアーゼS「アマノ」(天野製薬
株式会社製)を添加し、40℃で30分間攪拌しながら
酵素処理を行った。(蛋白質分解度1.0%) 別に、50℃まで昇温した水98部にアルギン酸ナトリ
ウム(商品名:ダックアルギンSL−20、紀文フード
ケミファ株式会社製)2部を攪拌しながら溶解し、上記
酵素分解した卵黄100部を添加し、30℃、10分間
混合反応を行った。その後直接蒸気加熱殺菌機で110
℃、1分間の加熱殺菌を行い直ちに冷却して卵黄液を得
た。この卵黄液は卵黄特有の風味を強く有し、また12
1℃、20分間のレトルト殺菌をしたところ蛋白質の凝
集は観られなかった。
【0025】(比較例1)実施例1と同様に、割卵分離
して得られた卵黄100部を泡立てない程度にゆっくり
と撹拌し、40℃まで昇温した後に0.006部のプロ
テアーゼS「アマノ」(天野製薬株式会社製)を添加
し、40℃で30分間攪拌しながら酵素処理を行った。
(蛋白質分解度1.0%) この卵黄液に水100部を添加し、その後直接蒸気加熱
殺菌機で110℃、1分間の加熱殺菌を行ったところ、
直接蒸気加熱殺菌中に卵黄蛋白質が熱凝固し加熱装置部
に大量のコゲが付着した。
【0026】(比較例2)卵黄を酵素処理することなく
実施例1と同様の方法で卵黄液を調整したところ、11
0℃、1分間の直接蒸気加熱殺菌中に卵黄蛋白質が熱凝
固し加熱装置部にコゲが付着した。
【0027】(実施例2)実施例1のアルギン酸ナトリ
ウムをローメトキシルペクチン(商品名:LM−13
CG、コペンハーゲンペクチン社製)にした以外は実施
例1と同様の方法で卵黄液を調整した。この卵黄液は1
10℃、1分間の直接加熱殺菌中に卵黄蛋白質が熱凝固
することなく、また得られた卵黄液は卵黄特有の風味を
強く有し、121℃、20分間のレトルト殺菌をしても
蛋白質の凝集は観られなかった。
【0028】(実施例3)実施例1のアルギン酸ナトリ
ウムをカッパーカラギーナン(商品名:カラギニンCS
K−1、三栄源エフエフアイ社製)にした以外は実施例
1と同様の方法で卵黄液を調整した。この卵黄液は11
0℃、1分間の直接加熱殺菌中に卵黄蛋白質が熱凝固す
ることなく、また得られた卵黄液は卵黄特有の風味を強
く有し、121℃、20分間のレトルト殺菌をしても蛋
白質の凝集は観られなかった。
【0029】(実施例4)実施例1の酵素量を0.00
6部のまま酵素処理条件を37℃、20分間とし蛋白質
分解度を0.5%に調整した以外は実施例1と同様の方
法で卵黄液を調整した。この卵黄液は110℃、1分間
の直接蒸気加熱殺菌中に加熱装置部に卵黄蛋白質凝集物
の堆積が見られた。また、得られた卵黄液を121℃、
20分間のレトルト殺菌をした場合、蛋白質の凝集に伴
う粘度上昇が若干見られた。
【0030】(実施例5)実施例1の酵素量を0.00
6部のまま酵素処理条件を55℃、40分間とし蛋白質
分解度を8.0%に調整した以外は実施例1と同様の方
法で卵黄液を調整した。この卵黄液は110℃、1分間
の直接加熱殺菌中に卵黄蛋白質が熱凝固することなく、
また得られた卵黄液は卵黄特有の風味を強く有し、12
1℃、20分間のレトルト殺菌をしても蛋白質の凝集は
観られなかった。しかし、風味パネルテストでは検者の
内10%が後味にわずかな苦みを感じた。
【0031】(実施例6)酵素をブロメラインF(天野
製薬株式会社製)に変え、酵素添加量、酵素処理温度を
調整し蛋白質分解度を1.0%に調整した以外は実施例
1と同様の方法で卵黄液を得た。この卵黄液は卵黄特有
の風味を強く有し、また121℃、20分間のレトルト
殺菌をしたところ蛋白質の凝集は観られなかった。
【0032】(実施例7)酵素をコクラーゼS(三共株
式会社製)に変え、酵素添加量、酵素処理温度を調整し
蛋白質分解度を2.5%に調整した以外は実施例1と同
様の方法で卵黄液を得た。この卵黄液は卵黄特有の風味
を強く有し、また121℃、20分間のレトルト殺菌を
したところ蛋白質の凝集は観られなかった。
【0033】(実施例8)割卵分離して得られた卵黄1
00部を泡立てない程度にゆっくりと撹拌し、48℃ま
で昇温した後に0.01部のプロテアーゼN「アマノ」
(天野製薬株式会社製)を添加し、48℃で30分間攪
拌しながら酵素処理を行った。(蛋白質分解度3.0
%) 50℃まで昇温した水49部にアルギン酸ナトリウム
(商品名:ダックアルギンSL−20,紀文フードケミ
ファ株式会社製)1部を攪拌しながら溶解し、上記酵素
分解した卵黄100部を添加し、30℃、10分間混合
反応を行った。その後掻き取り式殺菌機で105℃、5
分間の加熱殺菌を行い直ちに冷却して卵黄液を得た。こ
の卵黄液は卵黄特有の風味を強く有し、また121℃、
20分間のレトルト殺菌をしたところ蛋白質の凝集は観
られなかった。
【0034】(比較例2〜4)添加するアルギン酸ナト
リウムをキサンタンガム、ペクチン、寒天にする以外は
実施例1と同様の方法で卵黄液を調整したところ、10
0℃、1分間の直接蒸気加熱中に卵黄蛋白質が熱凝固し
加熱装置部に大量のコゲが付着した。
【0035】(実施例9)実施例1で得られた卵黄液を
用いて、下記配合にてホイップクリームを作製した。 硬化菜種油(融点30℃) 45kg レシチン 0.5kg 全脂粉乳 5kg シュガーエステルS−1670(三菱化成食品株式会社製) 0.5kg 実施例1の卵黄液 30kg 水 19.0kg 上記の乳化液をUHT殺菌(145℃、4秒)し、常法
によりホイップクリームを製造した。その結果、UHT
殺菌装置部分において卵黄の凝固は生じず、卵黄の風味
を有す良好なホイップクリームが製造できた。
【0036】(比較例5)実施例9の卵黄液30kgの
代わりに、割卵分離した未処理の卵黄15kg、水15
kgを使用し実施例9と同様にクリームの製造を試みた
が、UHT殺菌部で卵黄が凝固しライン詰まりが発生し
製造できなかった。
【0037】(実施例9)実施例8で得られた卵黄液を
用いて、下記配合にてカスタードクリームを作製した。 実施例8の卵黄液 15kg 牛乳 35kg グラニュー糖 10kg 小麦粉 1kg コーンスターチ 1.5kg バター(無塩) 2kg 上記配合物をコンビネーター(シュレーダー社製)にて
85℃、15分加熱を行い、カスタードクリームを製造
した。できたカスタードクリームは強い卵黄風味を有し
ザラツキなどもなくなめらかな食感であった。
【0038】(実施例10)実施例8で得られた卵黄液
を用いて、下記配合にてマヨネーズ様ドレッシングを作
製した。 コーンサラダ油 65kg 実施例8の卵黄液 15kg 醸造酢(酸度5%) 10kg 食塩 1.5kg 乳化剤 0.3kg 液糖 2kg 水 6.2kg 上記配合のうち、卵黄液、醸造酢、食塩、液糖、乳化
剤、水を混合溶解し、コーンサラダ油を徐々に加え乳化
した。得られたマヨネーズ様ドレッシングを95℃に加
熱しホットパック充填した。このマヨネーズ様ドレッシ
ングは、蛋白質の凝固が無くなめらかな食感であった。
【0039】(実施例11)実施例8で得られた卵黄液
を用いて、下記配合にてオムレツを作製した。 全卵 39kg 実施例8の卵黄液 12kg デンプン 1kg コーン油 2.4kg 調味液 5.6kg 上記配合をミキサーで混合し常法に従い160gのオム
レツを製造した。製造後は、ポリエチレン袋に密封し、
115℃、15分間レトルト殺菌し24時間放冷後ボイ
ルし官能評価に供した。このオムレツはレトルト後も硬
くならずしっとりした食感であった。
【0040】
【発明の効果】本発明により得られる効果は、以下の通
りである。 (1)卵黄本来の風味を損ねることなく、簡易的に殺菌
及び無菌の卵黄液及び卵黄含有食品を製造することが可
能となる。それにより、サルモネラ菌などによる食中毒
の危険性がなくなり、衛生的に安心して卵黄含有食品を
製造及び食することができる。更には、製造現場におい
ても省力化できる。 (2)卵黄風味を損ねることなく無菌の卵黄液が製造で
きるため、従来の加糖、加塩、冷凍等による保存性をあ
げる操作が不必要となり、卵黄本来の風味を利用でき
る。また、作業性及び扱いやすさが向上する。 (3)卵黄の熱凝固性のためにこれまで工程上製造でき
なかった卵黄含有食品を製造することが可能となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛋白質分解酵素により部分的に加水分解
    された卵黄にカルシウム反応性のゲル化剤を含有させる
    ことを特徴とする卵黄液。
  2. 【請求項2】 カルシウム反応性のゲル化剤が、卵黄液
    中の卵黄の液卵換算重量に対して0.25〜2重量%含
    まれることを特徴とする請求項1記載の卵黄液。
  3. 【請求項3】 カルシウム反応性のゲル化剤がアルギン
    酸塩、ローメトキシルペクチン、カッパーカラギーナン
    のいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の卵黄液。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の卵黄液を
    含有することを特徴とする卵黄含有食品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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