JP2002101837A - ホイップクリーム用乳化剤及びこれを含むホイップクリーム - Google Patents
ホイップクリーム用乳化剤及びこれを含むホイップクリームInfo
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Abstract
味の悪い不飽和脂肪酸を有する乳化剤の使用量を減少す
るか若しくは使用しなくても従来と同様若しくはそれ以
上の起泡力を有するホイップクリームを製造すること並
びに、ホイップにより生成された気泡の安定性を向上さ
せたホイップクリームを得ることにある。 【解決手段】大豆蛋白中の7S成分及び11S成分を別
途に加水分解して得られるポリペプチドを有効成分とす
るホイップクリーム用乳化剤及びこれを含有するホイッ
プクリーム並びにポリペプチドをホイップクリーム製造
工程中に添加することを特徴とするホイップクリームの
製造法を提供できることがわかった。
Description
用乳化剤及びこれを含むホイップクリームに関する。詳
しくは、油脂、乳固形分、乳化剤、香料及び水からなる
水中油型乳化物を撹拌し、空気を混入させながら製造さ
れるホイップクリームに使用される乳化剤に関する。
に用いられるトッピングクリームやパンなどに用いられ
るフィリングなどのフィリングクリームは、いずれも通
常は、油脂、乳固形分、糖分、乳化剤、水、安定剤、香
料などを主成分とした均質な水中油型乳化物を撹拌しな
がら空気を混入させることにより製造されている。そし
てそれらに用いられている起泡効果および気泡安定効果
は乳化剤や油脂が主としてその役割を果たしている。乳
化剤は主として従来からグリセリン脂肪酸エステル(通
称、モノグリセリド)が主体であり、ホイップする際の
起泡作用のある物質としてホイップクリームの物性に非
常に重要な役割を果たしている。一方、油脂は動物性の
ものあるいは植物性のものが通常用いられるが、ホイッ
プにより解乳化されることにより凝集した脂肪球が気泡
表面に吸着、気泡を安定に保つとともに脂肪球の連鎖が
網目構造を作りホイップクリームとしての保形性が発現
する。この様に気泡の安定性は油脂がその重要な役割を
果たしている。
徹著「食品用乳化剤」第2版、p.127 、幸書房(1991)
によれば、a)脂肪の均一な乳化を助ける。b)起泡性
(オーバーラン)を調整する。c)ドライな腰の強い組
織を作り、口溶けを良くする。d)溶けにくくし、保形
性を良くする。e)保存性(耐ヒートショック性)を良
くする等であるとされている。この目的で従来より使用
されている乳化剤としては、ステアリン酸モノグリセリ
ド、オレイン酸モノグリセリド、有機酸モノグリセリ
ド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンが
あげられる。中でもステアリン酸モノグリセリドは、b)
に示すような起泡力(オーバーラン)を調整する目的で
使用され、添加量が多い程、起泡力に富む。一方、同じ
モノグリセリドでも脂肪酸が不飽和のオレイン酸モノグ
リセリド等では飽和のものと反対の作用を有し、乳化を
逆に不安定にし、解乳化作用を有する。一般にホイップ
クリームでは液状での乳化安定性とホイップ時の解乳化
性の2つの相反する作用が求められることから、乳化安
定性に寄与する乳化剤と解乳化性の乳化剤を併用するの
が一般的である。また、このような解乳化作用のある乳
化剤は一般的に風味が悪く、低減することが望ましい
が、物性上解乳化は必須であるため、起泡力に富んだ高
オーバーランの製品を製造するためには同時に風味の悪
い不飽和モノグリセリドや大豆レシチンを増量する必要
があり、高オーバーランと不飽和乳化剤の低減は両立す
ることが困難で、これらを両立する様な製法や添加剤が
切に求められている。
述した様にホイップクリームにおいて解乳化した脂肪球
同士が凝集し、気泡表面に吸着することで気泡を安定的
に保つが、油脂組成により融点や結晶量が異なりその気
泡安定性が異なってくる。従って油脂によって保持され
る気泡は温度変化に従って合一したり、成長したりして
しまいキメが悪化し変化してしまう。従って温度変化に
強い気泡安定性が切に求められている。
リームにおいて風味の悪い不飽和脂肪酸を有する乳化剤
の使用量を減少するか若しくは使用しなくても従来と同
様若しくはそれ以上の起泡力を有するホイップクリーム
を製造すること並びに、ホイップにより生成された気泡
の安定性を向上させたホイップクリームを得ることを課
題とするものである。
クリームで従来から使用されている風味の悪い不飽和脂
肪酸を有する乳化剤の使用量を減少するか若しくは使用
しなくても起泡性並びに気泡安定性を維持できる天然蛋
白質素材として大豆蛋白質に注目し、加工履歴の異なる
大豆蛋白質について鋭意検討し本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、大豆蛋白中の7S成分及び11S
成分を別途に加水分解して得られるポリペプチドを有効
成分とするホイップクリーム用乳化剤及びこれを含有す
るホイップクリーム並びにポリペプチドをホイップクリ
ーム製造工程中に添加することを特徴とするホイップク
リームの製造法を提供できることがわかった。
20〜60重量%の油相及び1〜10重量%の乳固形分
を主成分とし、大豆蛋白中の7S成分及び11S成分を
別途に加水分解して得られるポリペプチドを0.05〜
5.0重量%含み、その他として乳化剤、安定剤、香料
等を含む均質な水中油型乳化物を撹拌しながら空気を混
入させることにより製造するものをいう。
の主構成成分である7S成分、11S成分を共に含む低
変性大豆蛋白質を基質にして2段階の酵素分解反応、即
ち第一分解反応によって7S成分、そして第二分解反応
によって11S成分を、或いはその逆に第一分解反応に
よって11S成分、そして第二分解反応によって7S成
分をそれぞれ加水分解して得る。
もしくはヘキサン等の溶剤で脱脂された低変性脱脂大豆
または、これらを水抽出した豆乳若しくは脱脂豆乳、更
にはこれに酸を用いて等電点沈殿させて沈殿画分を回収
する分離大豆蛋白が基質として例示できる。特に、分離
大豆蛋白を基質に用いる場合が最終得られるポリペプチ
ドの風味や調製されるホイップクリームの品質が優れ好
ましく、低変性脱脂大豆(NSI 60以上、好ましくはNS
I 80以上)をPH6〜9、好ましくはPH6.5〜8.0
の範囲で7倍〜15倍加水し、60℃以下、好ましくは
50℃以下で抽出し、オカラ成分を除去した脱脂豆乳を
等電点沈殿させて沈殿画分を回収したものが好適であ
る。また、これら脱脂大豆、脱脂豆乳、分離大豆蛋白
は、その調製過程中においてフィチン酸を分解または除
去操作されたものもホイップクリームの品質向上には有
効である。
水分解する場合は、上記の大豆蛋白を基質とし、1%〜
30%蛋白濃度の溶液に対して、蛋白加水分解酵素を基
質固形分に対して0.001〜1%、好ましくは0.0
1〜0.5%の範囲で添加し、45℃以下、好ましくは
30〜40℃においてPH3.0以下、好ましくはPH1.
8〜2.5で、反応時間4時間以内の短時間、好ましく
は10分〜2時間に0.22M TCA可溶率で10〜50
となるまで反応するのが良い。反応温度が45℃を超え
ると11S成分以外に7S成分も同時に分解を受け易く
なり11S成分の選択的な分解が困難となりまた、11
S成分の分解物自体もより低分子化する為、調製するホ
イップクリームの品質が低下する。また、反応時間が長
すぎても11S成分の分解物がより低分子化する為前記
同様に品質低下が起り好ましくない。ここで用いられる
蛋白加水分解酵素はPH3.0以下で活性を示す蛋白加水
分解酵素全般が適当であり、動物由来のペプシン、カセ
プシンや微生物由来の一連のアスパルチックプロテアー
ゼ類等の例えば「ニューラーゼF 」、「プロテアーゼM
」(天野製薬株式会社製)、「スミチームLP」(新日
本化学株式会社製)等の市販酵素剤を用いることが出来
る。中でもペプシンは好適である。
解するには、上記の大豆蛋白を基質とし、0.5%〜2
0%蛋白濃度の溶液に対して、蛋白加水分解酵素を基質
固形分に対して0.001〜0.5%、好ましくは0.
01〜0.5%の範囲で添加し、反応温度50℃以上、
好ましくは55〜85℃においてPH3.0より高いPH、
好ましくはPH3.5〜8.0で、反応時間2時間以内の
短時間、好ましくは10分〜30分程度で、0.22M
TCA 可溶率で10〜50%となるまで反応することで実
施できる。ここで用いられる蛋白加水分解酵素は、50
℃を超え90℃未満、好ましくは55〜85℃において
蛋白質分解活性を有する酵素剤であることが必要であ
る。これらは植物や動物臓器或いは微生物起源の市販酵
素剤等その起源は特に限定されない。
水分解物を回収する場合は、PH分画が簡便で好適であ
り、11S成分の選択的加水分解物を回収する場合PH3
〜5、好ましくはPH3.5〜4.5の範囲に調整し、7
S成分の選択的加水分解物を回収する場合PH3〜6、好
ましくはPH3.5〜5.5の範囲に調整し、選択的加水
分解物を主体とする上清画分とし、未分解の画分を主体
とする沈殿画分を遠心分離やフィルタープレス分離等で
各々回収する。
述した第一分解反応後に分離して得られた沈殿画分(7
S成分あるいは11S成分に富んだ画分)に加水して、
第一分解反応とは異なる条件にて第二分解反応を行う。
例えば11S成分を第一分解反応した後であると、45
℃より高い反応温度で7S成分に富んだ画分を第二分解
反応する。この場合特にPH3.0以下、50℃以上で行
うのが好適である。7S成分を第一分解した後である
と、11S成分に富んだ画分を第二分解反応する。この
場合特にPH3.0以下、反応温度45℃以下で行うこと
が好適である。尚、7S成分を第一分解反応し、11S
成分に富んだ画分を第二分解反応する場合は、第一分解
反応後の分離操作は必ずしも必要ではなく、第一分解反
応液をそのまま第二分解反応に移すことも出来る。第二
分解反応に用いる蛋白分解酵素は反応PHで活性を持つも
のであれば良く、前述した酵素が例示される。反応時間
は2時間以内の短時間、好ましくは10分〜30分程度
で、0.22M TCA可溶率で10〜50%程度に分解す
る。
解物と第二分解反応で得られた分解物を全量或いは任意
の割合で混合して、本発明のポリペプチドを調製する。
本発明のポリペプチドは、以下のような物理化学的性質
を有するものが好ましい。 1)ポリペプチドの構成成分がメルカプトエタノールを
含むSDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分析
で、分子量5,000〜35,000の範囲にあるポリ
ペプチドの混合物が主体である。 2)ポリペプチドのゲルろ過法により主ピーク分子量が
約8,000で、分子量範囲5,000〜30,000
が全ピークエリア面積の70%以上であり、分子量範囲
5,000未満が全ピークエリア面積の20%以下であ
る。 3)0.22M TCA 可溶率で30〜90%である。 4)後述する乳化力がPH4で0.15以上、PH5.5で
0.5以上、PH7で0.8以上である。 5)後述する起泡力が250以上である。
析は、メルカプトエタノールを含むSDSポリアクリルア
ミドゲル電気泳動法(以下SDS-PAGE)による公知の分析
方法により可能であり、標準分子量マーカーの移動度か
ら各ポリペプチドの分子量を評価でき、デンシトメータ
ーによる定量も可能である。本発明のポリペプチドの主
要構成成分は、分子量約10,000、約20,00
0、約25,000、約29,000、約32,000
からなる。
分子量評価は、以下の条件で行った。 条件)カラム;東ソー(株)製、SW3000XL(7. 6mm
×30cm) 溶出液;1%SDS 及び0.2M NaCLを含む25mM 燐酸
緩衝液(PH7)を用い、流速0.8ml/分で溶出。検
出;220nmの吸光度。分析するサンプルを上記溶出
液に0.5%濃度(0.11%メルカプトエタノールを含
む)で溶解後、2分煮沸して完全に溶解させて、分析に
供した。尚、分子量既知の標準蛋白質の溶出時間をもと
に、分子量評価を行った。本発明のポリペプチドは、
5,000〜30,000が全ピークエリア面積の70
%以上であり、分子量5,000未満が全ピークエリア
面積の20%以下である。
る程度判断可能であるが、蛋白質の分解率として一般的
に用いられる0. 22M TCA (トリクロロ酢酸)可溶率
を指標としても評価できる。本発明のポリペプチドの
0.22M TCA 可溶率は、30〜90%、好ましくは4
0〜90%が適当である。
定することで評価した。乳化活性はPH4、PH5.5およ
びPH7に調整した試料溶液(1重量%)3mlに大豆油1
mlを加え、超音波分散機で乳化物を調製し、0. 1%SD
S 溶液で1000倍に希釈して溶液濁度(500nmの吸
光度)を測定した。評価は、その濁度値が高い程乳化力
が高いと判断する。本発明のポリペプチドの乳化力はPH
4で0.15以上好ましくは0.25以上、PH5.5で
0.5以上好ましくは0.8以上、PH7で0.8以上好
ましくは1.2以上を満たすものである。
容量とその安定性により評価した。すなわち、5重量%
水溶液100mlに大豆油を4ml加え、これをホモヂナイ
ザー(日本精機株式会社製)により10000rpm で1
分間処理し、調製された泡をメスシリンダーに移してそ
の泡容量(ml)を測定した。安定性の評価は、起泡直
後、1時間放置後の泡容量(ml)変化から判断した。本
発明のポリペプチドの起泡力は250以上、好ましくは
300以上である。以上が、本発明のポリペプチド乳化
剤の調製方法およびその性質である。
リームに使用する添加量は、0.05〜5.0重量%が
好ましい。添加量が、0.05重量%未満では起泡性及
び気泡安定性の機能を発現させるには不十分であり、
5.0重量%を越えると先の機能効果は十分に得られる
ものの大豆蛋白の特有の風味が感じられるようになり、
ホイップクリームとしての品質を低下させてしまう。
る乳化剤としては、モノグリセリド、有機酸モノグリセ
リド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が例示でき
る。これらの単独または2種以上を併用することができ
る。これらの乳化剤の量は、ホイップクリーム中0.0
2〜3.0重量%であることが好ましい。0.02重量
%より少ないと、クリームの乳化が不安定となりクリー
ミングやエージング中に可塑化現象(ボテ)を生じ易く
なり、3.0重量%を超えると、乳化剤由来の風味が発
現することから好ましくない。
〜60重量%であることが好ましい。20重量%より少
ないと、最適起泡状態での保形性が悪化する傾向にあ
る。60重量%を超えると、粘度が高くなり、エージン
グ中に可塑化現象(ボテ)を生じ易く、オーバーランも
低下する傾向にある。これらの油脂としては、動植物性
油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は2種以上の混合物
或いはこれらのものに種々の化学処理又は物理処理を施
したものである。かかる油脂としては、大豆油、綿実
油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、
菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パー
ム核油、カカオ脂、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種
の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交
換油等が例示できる。
1〜10重量%であることが好ましい。1重量%より少
ないと、乳化安定性が悪くなり、乳味感も少なくなって
風味が悪くなる。10重量%を超えると、粘度が高くな
り、エージング中に可塑化現象(ボテ)を生じ易く、オ
ーバーランも低下する傾向にある。これらの乳固形分と
しては、牛乳、脱脂乳、加糖練乳、無糖練乳、全脂粉
乳、脱脂粉乳、バターミルク、バターミルクパウダー、
ホエー、ホエーパウダー、カゼイン、カゼインナトリウ
ム、ラクトアルブミン、生クリーム等乳由来の固形分が
例示でき単独又は2種以上混合使用するのが好ましい。
1S成分を別途に加水分解して得られるポリペプチド
は、ホイップクリームの製造に際し、乳化物調製時に混
合しても、水中油型乳化物が製造された後に溶液で添加
してもよく、さらにはホイップ時に添加しても構わない
が、通常は乳化物調製時に混合溶解あるいは分散均質化
するのが簡便でよい。
は、油脂、乳固形分、水、乳化剤、塩類、とともにま
た、必要に応じて糖類、増粘多糖類、香料、着色料など
と同時あるいは順次に加えて混合溶解または均一に分散
される。その後、均質化、超高温瞬間(UHT)殺菌後、
再均質化、冷却、エージングの工程を経て製造される。
尚、原料混合に際しては同機能を有する乳化剤または油
脂を同時に使用してもそれらの機能を妨げることはな
く、本発明のホイップクリーム用乳化剤との併用が可能
である。
式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理する装
置としてはAPVプレート式UHT処理装置(APV株式会社
製)、CP-UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ株式
会社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストル
ク株式会社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テト
ラパック・アルファラベル株式会社製)等が例示できる
が、特にこれらにこだわるものではない。また、直接加
熱式滅菌装置としては、ユーペリゼーション滅菌装置
(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、VTIS滅
菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、
ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー株式会社製)、パラリ
ゼーター(パッシュ・アンド・シルケーボーグ株式会社
製)等のUHT滅菌装置が例示でき、これらの何れの装置
を使用してもよい。
に含む低変性大豆蛋白を基質としこれを2段階の酵素反
応によって大豆蛋白中の7S成分及び11S成分ずつを
それぞれ選択的に加水分解して得られるポリペプチド混
合物を主体とする大豆蛋白加水分解物を蛋白系高分子と
してホイップクリームに使用することで従来から用いら
れている不飽和脂肪酸を有する乳化剤使用量を低減若し
くは使用しなくても、起泡性並びに気泡安定性に優れた
ホイップクリームを調製することが可能である。更に、
乳化剤例えば飽和の脂肪酸を有する、モノグリセリド、
有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル等と併用するとさらに起泡性に富んだクリームを調
整することができ、並びに天然乳化剤例えば大豆レシチ
ン、大豆リゾレシチン、卵黄レシチン、卵黄リゾレシチ
ン等、更にはリン酸塩等の緩衝塩を更に添加してこれら
と併用して使用してもいっこうにかまわない。又、気泡
を保持する油脂との併用は通常クリームに使用される油
脂であればよく、この蛋白系高分子が気泡し気泡安定効
果を有することから、これを添加することにより油脂の
温度変化による気泡の変化を抑制することが可能であ
る。
細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも
重量基準を意味する。
施例で使用したT−1〜T−3のポリペプチドは以下の
方法で調製した。
ク(NSI 90)に40℃の温水10倍量を加え、これに
NaOH溶液を加えてPH7.0に調整した。これを緩やかに
撹拌して1時間抽出し、遠心分離機にて不溶画分のオカ
ラと可溶画分の脱脂豆乳とに分離した。得られた脱脂豆
乳に塩酸を加えてPHを4.5に調整し、生じた蛋白質沈
殿物を遠心分離機にて回収し分離大豆蛋白カードを得
た。次いで、分離大豆蛋白カードに加水し塩酸を加えて
PH2.0、分離大豆蛋白10重量%に調製し、この溶液
1L に対してペプシン(日本バイオコン製)200mgを
加え、37℃で30分間加水分解した(第一反応)。反
応液を電気泳動で分析した結果、大豆蛋白中の11S成
分は選択的に加水分解され、11Sに相当する移動度の
バンドは消失し、11S成分に由来する低分子化された
ペプチド成分、および分解を受けていない7S成分に相
当する移動度のバンドが認められた。反応液は、NaOHを
用いてPH4.5に調整し生じてくる沈殿を遠心分離機に
て11S成分の分解物を含んだ上清画分と7S成分に富
んだ沈殿画分(未分解の画分)とに分離した。なお、ペ
プシン分解物の反応液の最終0.22M TCA 可溶率は、
25%、PH分画後の上清画分の最終0.22M TCA 可溶
率は、72%、pH分画後の上清画分の容量回収率は80
%、PH分画後の上清画分の固形分回収率は24%であっ
た。
分)は、加水し塩酸を加えてPH2.0、固形分7重量%
に調製し、この溶液1Lに対してペプシン(日本バイオ
コン製)100mgを加え、60℃で20分間再度加水分
解を行った(第二反応)。なお、ペプシン分解後の反応
液の最終0.22M TCA 可溶率は、46%であった。沈
殿画分の反応液は、11S成分を含んだ上清画分と混合
し、混合液としNaOH溶液を用いてPH6.5に調整した
後、殺菌加熱、噴霧乾燥にてポリペプチド(乳化剤;T
−1)を調製した。得られたポリペプチド(乳化剤;T
−1)の組成は、粗蛋白質84%、灰分11%、水分5
%であり、0. 22M TCA 可溶率は、52%で固形物回
収率で24%であった。
画分と第二反応の反応液の混合液を用い、その固形分に
対して3重量%の水酸化Caを添加し、更にNaOH溶液を用
いてPH6.5に調整し、これを140℃、7秒の高温短
時間加熱処理を行った後室温まで冷却し不溶成分を50
00g にて10分間遠心分離にて除去し、混合上清画分
を得、これを噴霧乾燥させてポリペプチド(乳化剤;T
−2)を調製した。得られたポリペプチド(乳化剤;T
−2)の組成は、粗蛋白質76%、灰分15%、水分5
%であり、0. 22M TCA 可溶率は、70%で固形物回
収率で71%であった。
ドに加水し塩酸を加えてPH3.5、分離大豆蛋白10重
量%に調整し、この溶液1lに対してペプシン(日本バ
イオコン)200mgを加え、70℃で30分間加水分解
した(第一反応)。反応液を電気泳動で分析した結果、
大豆蛋白中の7S成分は選択的に加水分解され、7S成
分に相当する移動度のバンドは消失し、7S成分に由来
するポリペプチド成分、および分解を受けていない11
S成分に相当する移動度のバンドが認められた。反応液
を37℃まで冷却して塩酸を加えてPH2. 0に調整し、
ペプシン200mgを加え、37℃で30分間加水分解し
た(第二反応)。反応液をNaOH溶液を用いてPH6. 5に
調整した後、これを噴霧乾燥させてポリペプチド(乳化
剤;T−3)を調製した。得られたポリペプチド(乳化
剤;T−3)の組成は、粗蛋白質85%、灰分10%、
水分5%であり、0. 22M TCA 可溶率は、50%であ
った。
例での使用乳化剤の種類及び添加量は表−1に示した。
実施規模は20Kg とした。尚、水中油型乳化物の粘度
の測定は、BM型粘度計(株式会社TOKIMEC製)にて、2
号ローター、60rpmの条件で測定した。水中油型乳
化物のホイップは、ホバートミキサー(ホバート株式会
社製、モデルN-50)にて行った。
℃)45部、水51 部、乳化剤(ステアリン酸モノグ
リセリド0.25部)、本発明のポリペプチド(T−
1)0.1部から成る混合液を70℃に加温し、ホモミ
キサー(特殊機化工業株式会社製)で10000回転で
15分間撹拌し、予備乳化させた。次にこの液を高圧ホ
モゲナイザーを用い10kgf/cm2の圧力下で均質化した
後に、144℃で4秒の加熱殺菌を行った。この溶液を
急速に5℃まで冷却した後、5℃で一晩エージングし
た。その後この水中油型乳化物をホバートミキサー3速
でホイップを行い、ホイップするまでの時間(ホイップ
時間)、起泡力の評価として空気混入量(オーバーラ
ン)を測定した。また、温度変化による気泡の安定性を
評価する為、絞り袋からクリームで花を描きその花のキ
メを15℃3時間後に目視で判定した。官能評価につい
てはベテランの5人が良好・不良の基準により風味を判
定し、その際に感じた風味についてのコメントを記し
た。
0.5部として使用し、水中油型乳化物を調製し、以下
実施例1と同様の手順によりホイップクリームを調製し
た。製造したホイップクリームについて実施例1と同様
に各種評価を行った。
部として使用し、水中油型乳化物を調製し、以下実施例
1と同様の手順によりホイップクリームを調製した。製
造したホイップクリームについて実施例1と同様に各種
評価を行った。
用せず、水中油型乳化物を調製し、以下実施例1と同様
の手順によりホイップクリームを調製した。製造したホ
イップクリームについて実施例1と同様に各種評価を行
った。
用せず、大豆レシチンを0.3部使用して、水中油型乳
化物を調製し、以下実施例1と同様の手順によりホイッ
プクリームを調製した。製造したホイップクリームにつ
いて実施例1と同様に各種評価を行った。
用せず、オレイン酸モノグリセリドを0.2部使用し
て、水中油型乳化物を調製し、以下実施例1と同様の手
順によりホイップクリームを調製した。製造したホイッ
プクリームについて実施例1と同様に各種評価を行っ
た。
3の結果を表2にまとめた。実施例1〜3に示されてい
る様に本発明のポリペプチドを使用したクリームは大豆
レシチンを使用しなくでも水中油型乳化物が調製でき、
これをホイップすることができ、比較例2と比較しても
ホイップ物性について遜色なく、しかも風味的には良好
であって且つ気泡の安定性に優れていた。起泡力につい
ては気泡を示すオーバーラン値も150%以上を示して
おり高気泡力を示していることが判る。比較例2、3に
ついては通常のホイップ物性を示す配合条件であるが、
不飽和脂肪酸を有する乳化剤の使用により、風味が悪化
している。
0.3部に増量すると共に更に大豆レシチン0.1部を
使用して、水中油型乳化物を調製し、以下同様の手順に
よりホイップクリームを調製した。製造したホイップク
リームについて実施例1と同様に各種評価を行った。
5部をポリペプチド(T−2)0.5部に替えた以外は
実施例2と同様な処理を行い同様な各種評価を行った。
5部をポリペプチド(T−3)0.5部に替えた以外は
実施例2と同様な処理を行い同様な各種評価を行った。
用せず、水中油型乳化物を調製し、以下実施例4と同様
の手順によりホイップクリームを調製した。製造したホ
イップクリームについて実施例4と同様に各種評価を行
った。
表3にまとめた。実施例4については、不飽和脂肪酸を
有する解乳化性の乳化剤を減少しても、求められるホイ
ップ物性を発現させ、さらに気泡の安定化も可能であっ
た。しかしながら比較例4では、解乳化力が不足してい
るためホイップすることができなかった。実施例5、実
施例6では、実施例2と同様に本発明のポリペプチドを
使用することにより高気泡力を示し、風味的にも良好で
あって且つ気泡の安定性に優れたホイップクリームを得
ることができた。
を主体とする大豆蛋白加水分解物をホイップクリームに
使用することで従来から用いられている不飽和脂肪酸を
有する乳化剤使用量を低減若しくは使用しなくても、起
泡性並びに気泡安定性に優れたホイップクリームを調製
することが可能であり、本発明のポリペプチド混合物を
主体とする大豆蛋白加水分解物は優れたホイップクリー
ム用乳化剤である。
不飽和脂肪酸を有する乳化剤が持つ悪風味を低減若しく
は解消しながらも、ホイップクリームとして求められる
起泡性や気泡安定性を改善することが可能であることか
ら、よりおいしさを増したホイップクリームの製造が可
能となった。また、このホイップクリーム用乳化剤は、
天然素材であり自然志向に答えるものでもある。
Claims (7)
- 【請求項1】大豆蛋白中の7S成分及び11S成分を別
途に加水分解して得られるポリペプチドを有効成分とす
るホイップクリーム用乳化剤。 - 【請求項2】請求項1記載のポリペプチドをホイップク
リーム中0.05〜5.0重量%含有していることを特
徴とするホイップクリーム。 - 【請求項3】請求項1記載のポリペプチドをホイップク
リーム中0.05〜5.0重量%及び構成脂肪酸が飽和
の脂肪酸を有する乳化剤をホイップクリーム中0.02
〜3.0重量%含有していることを特徴とするホイップ
クリーム。 - 【請求項4】20〜60重量%の油相及び1〜10重量
%の乳固形分を含有してなる請求項2記載のホイップク
リーム。 - 【請求項5】20〜60重量%の油相及び1〜10重量
%の乳固形分を含有してなる請求項3記載のホイップク
リーム。 - 【請求項6】請求項1又は請求項2の記載のポリペプチ
ドをホイップクリーム製造工程中に添加することを特徴
とするホイップクリームの製造法。 - 【請求項7】請求項1記載のポリペプチドをホイップク
リーム中0.05〜5.0重量%及び構成脂肪酸が飽和
の脂肪酸を有する乳化剤をホイップクリーム中0.02
〜3.0重量%をホイップクリーム製造工程中に添加す
ることを特徴とするホイップクリームの製造法。
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