JP2003050352A - ズームレンズ及びそれを用いた光学機器 - Google Patents

ズームレンズ及びそれを用いた光学機器

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JP2003050352A JP2001239597A JP2001239597A JP2003050352A JP 2003050352 A JP2003050352 A JP 2003050352A JP 2001239597 A JP2001239597 A JP 2001239597A JP 2001239597 A JP2001239597 A JP 2001239597A JP 2003050352 A JP2003050352 A JP 2003050352A
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plastic material
zoom
negative
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Makoto Sekida
誠 関田
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体撮像素子を用いた撮影系に好適なレンズ
枚数が少なく、コンパクトで、かつ優れた光学性能を有
するズームレンズ及びそれを用いた光学機器を得るこ
と。 【解決手段】 物体側より順に、負の屈折力の第1レン
ズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力
の第3レンズ群L3を有し、各レンズ群を光軸方向に移
動させて変倍を行うズームレンズにおいて、第1レンズ
群L1を少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の
負レンズを有し、第2レンズ群L2を少なくとも1枚の
正レンズと少なくとも1枚の負レンズを有するするよう
構成すると共に、第2レンズ群L2の最も物体側にプラ
スチック材料より成る正の屈折力のレンズを配する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチルカメラやビデ
オカメラ、そしてデジタルスチルカメラ等に好適なズー
ムレンズ及びそれを用いた光学機器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】最近、固体撮像素子を用いたビデオカメ
ラ、デジタルスチルカメラ等、撮像装置(カメラ)の小
型化及び高機能化にともない、レンズ系全体がコンパク
トでかつ高性能で、しかも製作容易なズームレンズが求
められている。
【0003】またこの種のカメラには、レンズ最後部と
撮像素子との間に、ローパスフィルターや色補正フィル
ターなどの各種光学部材を配置する為、それに用いる光
学系には、比較的バックフォーカスの長いレンズ系が要
求される。さらに、カラー画像用の撮像素子を用いたカ
ラーカメラの場合、色シェーディングを避けるため、そ
れに用いる光学系には像側のテレセントリック特性の良
いものが望まれている。
【0004】従来より、コンパクト化を目的としたズー
ムレンズに、負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の
第2レンズ群の2つのレンズ群より成り、双方のレンズ
間隔を変えて変倍を行う。所謂ショートズームタイプの
2群ズームレンズがある。このショートズームタイプの
光学系では、正の屈折力の第2レンズ群を移動する事で
変倍を行い、負の屈折力の第1レンズ群を移動する事で
変倍に伴う像点位置の補正を行っている。
【0005】また、簡易な構成で製作を容易とする為
に、プラスチック材料より成るレンズを多用した光学系
が種々提案されており、ショートズームタイプの2群ズ
ームレンズに適応したものが、例えば特開平3−155
13号公報で提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ショートズー
ムタイプの2群ズームレンズは、前述した固体撮像素子
を用いた光学系に求められるバックフォーカスが長く、
しかもテレセントリック特性を良好に維持するのが難し
い。
【0007】バックフォーカスを長くし、かつ、テレセ
ントリック特性を良好にする為に、ショートズームタイ
プの2群ズームレンズの像面側に、正の屈折力の第3レ
ンズ群を配置した3群ズームレンズ系が、例えば、特開
昭63−135913号公報や、特開平7−26108
3号公報、特開2000−111798号公報、特願平
11−285335等で提案されている。
【0008】これらで提案されている3群ズームレンズ
は、各レンズ群の構成レンズ枚数が比較的多く、レンズ
全長が長い。又、ガラス材料より成る非球面レンズを使
用している為に、製造が難しくなる傾向があった。
【0009】ショートズームタイプの2群ズームレンズ
と同様に、プラスチック材料より成るレンズを用いた
負、正、正の屈折力のレンズ群より成る3群構成のズー
ムレンズが、例えば特開平5−323190号公報や特
開平9−21950号公報にて開示されている。
【0010】特開平5−323190号公報は、各レン
ズ群を1枚のプラスチックレンズにて構成しており製作
の観点からは非常に優れているが、近年の高画素の固体
撮像素子用のズームレンズとしては光学性能の改善に余
地がある。
【0011】また、特開平9−21950号公報では、
ズーミングに際して第1レンズ群と第2レンズ群が移
動、第3レンズ群を固定とし、第1レンズ群及び第2レ
ンズ群に少なくとも2枚以上のプラスチック材料より成
るレンズを使用している。
【0012】ここで提案されているズームレンズは、 ◎ ズーミングに際して第3レンズ群を固定としている
為、第2レンズ群のみで変倍を行う必要があり、収差補
正が難しい。 ◎ プラスチック材料より成るレンズの合計枚数が、全
レンズ枚数の半数以下であり、製作上の観点から改善の
余地がある。 ◎ 軸上光線が光軸から最も離れる第2レンズ群の最も
物体側のレンズをガラス材料より成るレンズとしている
為、球面収差とコマ収差の補正が難しい。
【0013】本発明は、固体撮像素子を用いた撮影系に
好適なレンズ枚数が少なく、コンパクトで、かつ優れた
光学性能を有するズームレンズ及びそれを用いた光学機
器の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明のズーム
レンズは、物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ
群、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レン
ズ群を有し、各レンズ群を光軸方向に移動させて変倍を
行うズームレンズにおいて、該第1レンズ群は少なくと
も1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを有し、
該第2レンズ群は少なくとも1枚の正レンズと少なくと
も1枚の負レンズを有すると共に、該第2レンズ群の最
も物体側にプラスチック材料より成る正の屈折力のレン
ズを配した事を特徴としている。
【0015】請求項2の発明は請求項1の発明におい
て、前記プラスチック材料より成る正の屈折力のレンズ
の物体側の面は非球面である事を特徴としている。
【0016】請求項3の発明は請求項1又は2の発明に
おいて、前記第3レンズ群は少なくとも1枚のプラスチ
ック材料より成る正の屈折力のレンズを有する事を特徴
としている。
【0017】請求項4の発明は請求項1〜3のいずれか
1項の発明において、前記各レンズ群は少なくとも1枚
のプラスチック材料より成るレンズを有し、プラスチッ
ク材料より成るレンズの合計枚数が偶数枚で、かつプラ
スチック材料より成る正の屈折力のレンズとプラスチッ
ク材料より成る負の屈折力のレンズの枚数が同数である
事を特徴としている。
【0018】請求項5の発明は請求項1〜3のいずれか
1項の発明において、前記各レンズ群は、少なくとも1
枚のプラスチック材料より成るレンズを有し、該プラス
チック材料より成るレンズの少なくとも1面は非球面で
ある事を特徴としている。
【0019】請求項6の発明は請求項1〜5のいずれか
1項の発明において、前記第2レンズ群の最も物体側に
配置されたプラスチック材料より成る正の屈折力のレン
ズの焦点距離をf2s、第2レンズ群の焦点距離をf2
とするとき、 0.5 < f2s/f2 < 0.9 なる条件を満足する事を特徴としている。
【0020】請求項7の発明は請求項1〜6のいずれか
1項の発明において、前記第2レンズ群の最も物体側に
配置されたプラスチック材料より成る正の屈折力のレン
ズの像側に、プラスチック材料より成る負の屈折力のレ
ンズを隣接配置した事を特徴としている。
【0021】請求項8の発明は請求項7の発明におい
て、前記第2レンズ群の最も物体側に配置されたプラス
チック材料より成る正の屈折力のレンズの材料の屈折率
をn2p、前記隣接配置したプラスチック材料より成る
負の屈折力のレンズの材料の屈折率をn2nとしたとき
に、 0.9 < n2p/n2n < 1.0 なる条件を満足する事を特徴としている。
【0022】請求項9の発明は請求項1から8のいずれ
か1項の発明において、前記第3レンズ群を物体側に移
動させて無限遠物体から近距離物体へのフォーカシング
を行うことを特徴としている。
【0023】請求項10の発明の光学機器は、請求項1
から9のいずれか1項のズームレンズを有していること
を特徴としている。請求項11の発明のズームレンズ
は、撮像素子上に像を形成する為の光学系であることを
特徴している。請求項12の発明の光学機器は、請求項
1から9のいずれか1項のズームレンズと該ズームレン
ズによって形成される像を受光する撮像素子を有するこ
とを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は本発明の後述する実施形態
1のズームレンズのレンズ断面図である。図2〜図4は
本発明の実施形態1のズームレンズの広角端,中間のズ
ーム位置,望遠端の収差図である。
【0025】図5は本発明の後述する実施形態2のズー
ムレンズのレンズ断面図である。図6〜図8は本発明の
実施形態2のズームレンズの広角端,中間のズーム位
置,望遠端の収差図である。
【0026】図9は本発明の後述する実施形態3のズー
ムレンズのレンズ断面図である。図10〜図12は本発
明の実施形態3のズームレンズの広角端,中間のズーム
位置,望遠端の収差図である。
【0027】各レンズ断面図において、L1は負の屈折
力の第1レンズ群、L2は正の屈折力の第2レンズ群、
L3は正の屈折力の第3レンズ群、SPは開口絞り、I
Pは像面である。Gはフィルターや色分解プリズム等の
ガラスブロックである。
【0028】各実施形態のズームレンズは、物体側より
順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第
2レンズ群L2、そして正の屈折力の第3レンズ群L3
の3つのレンズ群を有しており、広角端から望遠端への
ズーミングに際して、第1レンズ群L1は像側に凸状の
軌跡で往復移動、第2レンズ群L2は物体側に移動、第
3レンズ群L3は物体側又は像面側に移動している。そ
して、第2レンズ群L2の移動により主な変倍を行い、
第1レンズ群L1の往復移動及び第3レンズ群L3の移
動によって変倍に伴う像点の移動を補正している。
【0029】第3レンズ群L3は、撮像素子の小型化に
伴うズームレンズの屈折力の増大を分担し、第1、第2
レンズ群L1,L2で構成されるショートズーム系の屈
折力を減らす事で特に、第1レンズ群L1を構成する各
レンズで発生する収差を抑え良好な光学性能を達成して
いる。
【0030】また、撮像素子として固体撮像素子を用い
た撮影装置(光学機器)に必要な像側のテレセントリッ
クな結像を第3レンズ群L3にフィールドレンズの役割
を持たせる事で達成している。
【0031】また、絞りSPを第2レンズ群L2の最も
物体側に置き、広角側での入射瞳と第1レンズ群L1と
の距離を縮める事によって、第1レンズ群L1を構成す
るレンズの有効外径の増大を抑えている。又、第2レン
ズ群L2の物体側に配置した絞りを挟んで第1レンズ群
L1と第3レンズ群L3とで軸外の諸収差を打ち消す事
により構成レンズ枚数を増やさずに良好な光学性能を得
ている。
【0032】次に各実施形態のレンズ構成について説明
する。
【0033】図1の実施形態1は変倍比2倍、開口比
2.6〜4.0程度のズームレンズである。
【0034】実施形態1において、負の屈折力の第1レ
ンズ群L1は、物体側から順に、像面側に凹面を向けた
メニスカス状の負レンズ11、物体側に凸面を向けたメ
ニスカス状の正レンズ12の2枚のレンズで構成されて
いる。
【0035】正の屈折力の第2レンズ群L2は、物体側
から順に、像面側に凹面を向けたメニスカス状の正レン
ズ21、物体側に凸面を向けたメニスカス状の負レンズ
22、物体側に凸面を向けたメニスカス状の負レンズ2
3、両レンズ面が凸面の正レンズ24の4枚のレンズで
構成され、正レンズ21と負レンズ22とを接合すると
共に、負レンズ23と正レンズ24を接合している。
【0036】正の屈折力の第3レンズ群L3は、物体側
に凸面を向けたメニスカス状の正レンズ31で構成され
ている。
【0037】本実施形態においては、第2レンズ群の正
レンズ21、負レンズ22、負レンズ23及び第3レン
ズ群の正レンズ31の材料をプラスチック(樹脂)と
し、レンズ全体で7枚構成のレンズ中の4枚をプラスチ
ックレンズで構成している。また、正レンズの材料をア
クリル、負レンズの材料をポリカーボネートとしてい
る。
【0038】図5の実施形態2は変倍比2.5倍、開口
比2.8〜4.0程度のズームレンズである。
【0039】実施形態2において、負の屈折力の第1レ
ンズ群L1は、物体側から順に、像面側に凹面を向けた
メニスカス状の負レンズ11、同じく像面側に凹面を向
けたメニスカス状の負レンズ12、物体側に凸面を向け
たメニスカス状の正レンズ13の3枚のレンズで構成さ
れている。
【0040】正の屈折力の第2レンズ群L2は、物体側
から順に、両レンズ面が凸面の正レンズ21、両レンズ
面が凹面の負レンズ22、両レンズ面が凸面の正レンズ
23の3枚のレンズにて構成されている。
【0041】又、正の屈折力の第3レンズ群L3は、両
レンズ面が凸面の正レンズ31で構成されている。
【0042】本実施形態においては、第1レンズ群L1
の負レンズ11、第2レンズ群L2の正レンズ21、負
レンズ22、第3レンズ群の正レンズ31の材料をプラ
スチックとし、レンズ全体で7枚構成のレンズ中の4枚
をプラスチックレンズで構成している。また、負レンズ
11、正レンズ21、正レンズ31の材料をアクリル、
負レンズ22の材料をポリカーボネートとしている。
【0043】図9の実施形態3は変倍比2倍、開口比
2.8〜4.0程度のズームレンズである。
【0044】本実施形態においては、広角端から望遠端
へのズーミングに際して、第1レンズ群が像側に凸の往
復移動、第2レンズ群が物体側に移動し、第3レンズ群
は像側に凸状の軌跡で移動している。
【0045】実施形態3において、負の屈折力の第1レ
ンズ群L1は、物体側から順に、像面側に凹面を向けた
メニスカス状の負レンズ11、同じく像面側に凹面を向
けたメニスカス状の負レンズ12、そして両レンズ面が
凸面の正レンズ13の3枚のレンズで構成されている。
【0046】正の屈折力の第2レンズ群L2は、物体側
から順に、両レンズ面が凸面の正レンズ21、両レンズ
面が凹面の負レンズ22、物体側に凸面を向けたメニス
カス状の負レンズ23、両レンズ面が凸面の正レンズ2
4の4枚のレンズで構成され、負レンズ23と正レンズ
24とを接合レンズとしている。
【0047】又、正の屈折力の第3レンズ群L3は両レ
ンズ面が凸面の正レンズ31で構成されている。
【0048】本実施形態においては、第1レンズ群の負
レンズ11、正レンズ13、第2レンズ群の正レンズ2
1、負レンズ22、負レンズ23、第3レンズ群の正レ
ンズ31の材料をプラスチックとし、レンズ全体で8枚
構成のレンズ中の6枚をプラスチック材料より成るレン
ズで構成している。また、負レンズ11、正レンズ2
1、正レンズ31の材料をアクリル、正レンズ13、負
レンズ22、負レンズ23の材料をポリカーボネートと
している。
【0049】以上のように各レンズ群を所望の屈折力配
置と収差補正とを両立するレンズ構成とする事により、
良好な光学性能を保ちつつ、レンズ系のコンパクト化を
達成している。
【0050】次に前述した各実施形態の共通の特徴につ
いて説明する。
【0051】第1レンズ群L1は、軸外主光線を絞りS
P中心に瞳結像させる役割を持っており、特に広角側に
おいては軸外主光線の屈折量が大きいために軸外諸収
差、特に非点収差と歪曲収差が発生し易い。
【0052】そこで、通常の広角レンズと同様、最も物
体側のレンズ径の増大が抑えられる、物体側より順に、
負レンズと正レンズの2枚構成若しくは負レンズ・負レ
ンズ・正レンズの3枚構成としている。
【0053】そして必要に応じてメニスカス状の負レン
ズ11の像側のレンズ面をレンズ周辺で負の屈折力が弱
くなる非球面とする事により、非点収差と歪曲収差をバ
ランス良く補正している。
【0054】ここで、負レンズ11は最もレンズ径が大
きいレンズであり、このレンズをガラス材料にて研削若
しくは成型にて作製する場合に対して、実施形態2及び
3の様にプラスチック材料にて負レンズ11を作製する
ことにより、製作上及び重量の面で非常に有利となる。
【0055】また第1レンズ群L1を構成する各レンズ
は、軸外主光線の屈折によって生じる軸外収差の発生を
抑えるために絞りSPと光軸が交差する点を中心とする
同心球面に近い形状をとっている。
【0056】次に第2レンズ群L2は、そのレンズ群中
の最も物体側に物体側に強い凸面を向けた正レンズ21
を配置し、第1レンズ群L1を射出した軸外主光線の屈
折角を少なくし、軸外諸収差がなるべく発生しない様な
形状としている。
【0057】また、正レンズ21は、軸上光線の通る高
さが最も高いレンズであり、主に球面収差、コマ収差の
補正に関与しているレンズである。
【0058】軸上光線の通る高さが最も高いレンズと言
うことは、第2レンズ群L2を構成するレンズの中で最
も非球面の効果が発揮できる箇所であり、各実施形態に
おいては、正レンズ21の物体側のレンズ面をレンズ周
辺で正の屈折力が弱くなる形状の非球面とし、球面収
差、コマ収差を良好に補正している。
【0059】さらに、第1レンズ群L1の負レンズ11
と同様に、正レンズ21をプラスチックで作製する事で
ガラス材料にて作製した場合に対して製作上有利となっ
ている。
【0060】また、正レンズ21の像面側に隣接してプ
ラスチックよりなる負レンズ22を配置している。これ
により負、正、正の屈折力のレンズ群より成る3群構成
のズームレンズの場合、主たる変倍を行う第2レンズ群
を構成するレンズの面形状変化に対する敏感度が他のレ
ンズ群のレンズに比較して高く、プラスチックレンズを
使用したことにより最も懸念される温度・湿度による面
形状変化による影響を正レンズ21と対になる負レンズ
22をプラスチックレンズとする事で、球面収差やコマ
収差の発生量を逆符号で発生させ、収差変動をキャンセ
ルさせている。
【0061】次に第3レンズ群L3は、物体側に凸面を
設けた形状の正レンズ31より構成し、像側テレセント
リックにするためのフィールドレンズとしての役割をも
持たせている。また、正レンズ31の物体側面にはレン
ズ周辺で正の屈折力が弱くなる形状の非球面を設けてお
り、ズーム全域での軸外諸収差の補正に寄与している。
【0062】ここでも、第1レンズ群L1の負レンズ1
1、第2レンズ群L2の正レンズ21と同様に、正レン
ズ31をプラスチックで作製する事でガラス材料にて作
製した場合に対して製作上有利な構成をとっている。
【0063】各実施形態のズームレンズを用いて無限遠
物体から近距離物体を撮影する場合には、第1レンズ群
L1を物体側へ移動する事で良好な光学性能が得られる
が、さらに望ましくは、第3レンズ群L3を物体側に移
動した方が良い。
【0064】これは、最も物体側に配置した第1レンズ
群L1をフォーカシングさせた場合に生じる、前玉径の
増大、レンズ重量が最も重い第1レンズ群L1を移動さ
せる事によるアクチュエーターの負荷の増大を防ぎ、さ
らに第1レンズ群L1と第2レンズ群L2とをカム等で
単純に連携してズーミング時に移動させる事が可能とな
り、メカ構造の簡素化及び精度向上を達成できるためで
ある。
【0065】また、第3レンズ群L3にてフォーカシン
グを行う場合、広角端から望遠端への変倍に際して第3
レンズ群L3を像側に移動する事により、フォーカシン
グ移動量の大きい望遠端を像面側に配置する事が出来る
為、ズーミング及びフォーカシングで必要となる第3レ
ンズ群L3の全ての移動量を最小とする事が可能とな
り、レンズ系のコンパクト化を達成している。
【0066】また、各実施形態においては、レンズ系中
のプラスチックレンズの合計枚数が偶数枚で、かつ正の
屈折力のプラスチックから成るレンズと負の屈折力のプ
ラスチックから成るレンズの枚数を同数とすることによ
り、第2レンズ群L2の正レンズ21と負レンズ22の
関係と同様に、温度・湿度による面形状変化による影響
を正レンズと負レンズで発生する収差を逆符号とする事
で、環境変化による収差変動をキャンセルさせている。
尚、各実施形態のズームレンズは、良好なる光学性能
を得るために、次に示す諸条件を満足している。本発明
のズームレンズにおいて、これらの諸条件の少なくとも
1つを満足することにより、それぞれの条件式を満足す
ることによる光学性能の向上、又はレンズ系全体の小型
化といった効果が得られる。
【0067】(アー1) 第2レンズ群L2の最も物体
側に配置された正の屈折力のレンズ21の焦点距離をf
2s、第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、 0.5 < f2s/f2 < 0.9 ・・・(1) なる条件を満足する事が好ましい。
【0068】条件式(1)の上限値を超えると球面収差
が補正不足となり好ましくない。
【0069】また条件式(1)の下限値を超えると球面
収差及びコマ収差の補正が困難となり好ましくない。
【0070】(アー2) 第2レンズ群L2の最も物体
側に配置された正の屈折力のレンズ21の材料の屈折率
をn2p、隣接配置した負の屈折力のレンズ22の材料
の屈折率をn2nとするとき、 0.9 < n2p/n2n < 1.0 ・・・(2) なる条件を満足する事が好ましい。
【0071】条件式(2)の上限値を超えるとペッツバ
ール和が負の方向に増大し像面湾曲補正が困難となる。
【0072】条件式(2)の下限値を超えると、反対に
ペッツバール和が正の方向に増大しこれも像面湾曲補正
が困難となり好ましくない。
【0073】各実施形態のズームレンズによれば、以上
の様に各要素を設定する事により、特に、固体撮像素子
を用いた撮影系に好適な、構成レンズ枚数が少なくコン
パクトで、優れた光学性能を有するズームレンズを達成
している。
【0074】又、プラスチッ材料より成るレンズを効果
的に使用し、かつ非球面を導入する事によって軸外諸収
差、特に非点収差・歪曲収差および大口径比化した際の
球面収差の補正を効果的に行っている。
【0075】次に、実施形態1〜3にそれぞれ対応する
数値実施例1〜3を示す。各数値実施例において、iは
物体側からの面の順序を示し、riはレンズ面の曲率半
径、diは第i面と第i+1面との間のレンズ肉厚およ
び空気間隔、ni、νiはそれぞれd線に対する屈折
率、アッベ数を示す。fは焦点距離、FnoはFナンバ
ーωは半画角を示す。
【0076】また、最も像側の2面はフエースプレート
等に相当する平行平板である。また、kは離心率、B,
C,D,E、Fは非球面係数である。非球面形状は光軸
からの高さhの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準
にしてxとするとき、 x=(h2/R)/[1+{1−(1+k)(h/
R)21/2]+Bh4+Ch6+Dh8+Eh10+Fh12 で表される。但しRは曲率半径である。
【0077】又、前述の各条件式と各実施形態(数値実
施例)との関係を表1に示す。
【0078】
【外1】
【0079】
【外2】
【0080】
【外3】
【0081】
【表1】
【0082】次に本発明のズームレンズを撮影光学系と
して用いたデジタルスチルカメラの実施形態を図13を
用いて説明する。
【0083】図13において、10はカメラ本体、11
は本発明のズームレンズによって構成された撮影光学
系、12はカメラ本体に内蔵されたストロボ、13は外
部式ファインダー、14はシャッターボタンである。
【0084】このように本発明のズームレンズをデジタ
ルカメラ等の光学機器に適用することにより、小型で高
い光学性能を有する光学機器を実現している。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、固体撮像素子を用いた
撮影系に好適なレンズ枚数が少なく、コンパクトで、か
つ優れた光学性能を有するズームレンズ及びそれを用い
た光学機器を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1のレンズ断面図
【図2】 実施形態1の広角端の収差図
【図3】 実施形態1の中間のズーム位置の収差図
【図4】 実施形態1の望遠端の収差図
【図5】 実施形態2のレンズ断面図
【図6】 実施形態2の広角端の収差図
【図7】 の実施形態2の中間のズーム位置の収差図
【図8】 実施形態2の望遠端の収差図
【図9】 実施形態3のレンズ断面図
【図10】 実施形態3の広角端の収差図
【図11】 実施形態3の中間のズーム位置の収差図
【図12】 実施形態3の望遠端の収差図
【図13】 本発明の光学機器の要部概略図
【符号の説明】
L1 第1群 L2 第2群 L3 第3群 SP 絞り IP 像面 d d線 g g線 S サジタル像面 M メリディオナル像面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H087 KA02 KA03 MA14 NA02 PA05 PA07 PA17 PA18 PA19 PB07 PB08 QA02 QA06 QA07 QA17 QA21 QA22 QA25 QA32 QA33 QA41 QA46 RA05 RA12 RA32 RA43 SA14 SA16 SA19 SA62 SA63 SA64 SB03 SB04 SB14 SB15 SB22 5C022 AA13 AB66 AC54

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側より順に、負の屈折力の第1レン
    ズ群、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レ
    ンズ群を有し、各レンズ群を光軸方向に移動させて変倍
    を行うズームレンズにおいて、該第1レンズ群は少なく
    とも1枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを有
    し、該第2レンズ群は少なくとも1枚の正レンズと少な
    くとも1枚の負レンズを有すると共に、該第2レンズ群
    の最も物体側にプラスチック材料より成る正の屈折力の
    レンズを配した事を特徴とするズームレンズ。
  2. 【請求項2】 前記プラスチック材料より成る正の屈折
    力のレンズの物体側の面は非球面である事を特徴とする
    請求項1のズームレンズ。
  3. 【請求項3】 前記第3レンズ群は少なくとも1枚のプ
    ラスチック材料より成る正の屈折力のレンズを有する事
    を特徴とする請求項1又は2のズームレンズ。
  4. 【請求項4】 前記各レンズ群は少なくとも1枚のプラ
    スチック材料より成るレンズを有し、プラスチック材料
    より成るレンズの合計枚数が偶数枚で、かつプラスチッ
    ク材料より成る正の屈折力のレンズとプラスチック材料
    より成る負の屈折力のレンズの枚数が同数である事を特
    徴とする請求項1〜3のいずれか1項のズームレンズ。
  5. 【請求項5】 前記各レンズ群は、少なくとも1枚のプ
    ラスチック材料より成るレンズを有し、該プラスチック
    材料より成るレンズの少なくとも1面は非球面である事
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項のズームレン
    ズ。
  6. 【請求項6】 前記第2レンズ群の最も物体側に配置さ
    れたプラスチック材料より成る正の屈折力のレンズの焦
    点距離をf2s、第2レンズ群の焦点距離をf2とする
    とき、 0.5 < f2s/f2 < 0.9 なる条件を満足する事を特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1項のズームレンズ。
  7. 【請求項7】 前記第2レンズ群の最も物体側に配置さ
    れたプラスチック材料より成る正の屈折力のレンズの像
    側に、プラスチック材料より成る負の屈折力のレンズを
    隣接配置した事を特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項のズームレンズ。
  8. 【請求項8】 前記第2レンズ群の最も物体側に配置さ
    れたプラスチック材料より成る正の屈折力のレンズの材
    料の屈折率をn2p、前記隣接配置したプラスチック材
    料より成る負の屈折力のレンズの材料の屈折率をn2n
    としたときに、 0.9 < n2p/n2n < 1.0 なる条件を満足する事を特徴とする請求項7のズームレ
    ンズ。
  9. 【請求項9】 前記第3レンズ群を物体側に移動させて
    無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行うこ
    とを特徴とする請求項1から8のいずれか1項のズーム
    レンズ。
  10. 【請求項10】 請求項1から9のいずれか1項のズー
    ムレンズを有していることを特徴とする光学機器。
  11. 【請求項11】 撮像素子上に像を形成する為の光学系
    であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1
    項のズームレンズ。
  12. 【請求項12】 請求項1から9のいずれか1項のズー
    ムレンズと該ズームレンズによって形成される像を受光
    する撮像素子を有することを特徴とする光学機器。
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