JP2003039809A - 記録方法、記録装置、記録物、記録物の製造方法 - Google Patents

記録方法、記録装置、記録物、記録物の製造方法

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JP2003039809A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発色性に優れた高品質な画像を記録できる方
法および装置を提供すること。 【解決手段】 色材を含むアニオン性若しくはカチオン
性の水性インクと、前記水性インクに対して逆極性に表
面が帯電している微粒子が分散状態で含まれる水性の液
体組成物とを用いて被記録媒体上に記録を行うに際し、
水性インクの前記被記録媒体への単位面積あたりの付与
量をM(pg/μm)、前記水性インクの色材濃度を
D(%)、前記被記録媒体の前記水性インクに対する吸
収係数をKa(μm/msec1/2)、前記水性イン
クが前記被記録媒体に付与された後、前記液体組成物が
前記付与された水性インクに接触するまでの時間をt
(msec)とした場合、前記M、D、Ka、tw、t
が 【外1】 なる関係を満たすように記録を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色材を含有するイ
ンクと微粒子を含有する液体組成物とをインクジェット
方式等を用いて被記録媒体に付与し、発色性と色の均一
性に優れた画像を得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクを飛
翔させ、紙等の被記録媒体にインクを付着させて記録を
行うものである。例えば、特公昭61−59911号公
報、特公昭61−59912号公報及び特公昭61−5
9914号公報において開示されている、吐出エネルギ
ー供給手段として電気変換体を用い、熱エネルギーをイ
ンクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出さ
せる方式のインクジェット記録方法によれば、記録ヘッ
ドの高密度マルチオリフィス化を容易に実現することが
でき、高解像度及び高品位の画像を高速で記録すること
ができる。
【0003】ところで、従来のインクジェット記録方法
に用いられるインクは、水を主成分とし、これにノズル
内でのインクの乾燥防止、ノズルの目詰まり防止等の目
的でグリコール等の水溶性高沸点溶剤を含有しているも
のが一般的である。そのためこのようなインクを用いて
被記録媒体に記録を行った場合には、十分な定着性が得
られなかったり、被記録媒体としての記録紙表面におけ
る填料やサイズ剤の不均一な分布によると推定される不
均一画像の発生等の問題を生じる場合がある。一方、近
年は、インクジェット記録物に対しても、銀塩写真と同
レベルの高い画質を求める要求が強くなっており、イン
クジェット記録画像の画像濃度を高めること、色再現領
域を広げること、更には記録物の色の均一性を向上させ
ることに対する技術的な要求が非常に高くなっている。
【0004】このような状況のもとで、インクジェット
記録方法の安定化、そしてインクジェット記録方法によ
る記録物の品質向上を図るために、これまでにも種々の
提案がなされてきている。被記録媒体に関する提案のう
ちの一つとして、被記録媒体の基紙表面に、充填材やサ
イズ剤を塗工する方法が提案されている。例えば、充填
材として色材を吸着する多孔質微粒子を基紙に塗工し、
この多孔質微粒子よってインク受容層を形成する技術が
開示されている。これらの技術を用いた被記録媒体とし
て、インクジェット用コート紙等が発売されている。
【0005】このような状況のもとで、インクジェット
記録方法の安定化、そしてインクジェット記録方法によ
る記録物の品質向上を図るために、これまでにも種々の
提案がなされてきている。以下に、その代表的なものの
幾つかをまとめる。
【0006】(1)インクに揮発性溶剤や浸透溶剤を内
添する方法;被記録媒体へのインクの定着性を早める手
段として特開昭55−65269号公報に、インク中に
界面活性剤等の浸透性を高める化合物を添加する方法が
開示されている。また、特開昭55−66976号公報
には、揮発性溶剤を主体としたインクを用いることが開
示されている。
【0007】(2)インクに、インクと反応する液体組
成物を被記録媒体上で混合する方法;画像濃度の向上、
耐水性の向上、更にはブリーディングの抑制を目的とし
て、記録画像を形成するためのインクの噴射に先立ち或
いは噴射後に、被記録媒体上に画像を良好にせしめる液
体組成物を付与する方法が提案されている。
【0008】例えば、特開昭63−60783号公報に
は、塩基性ポリマーを含有する液体組成物を被記録媒体
に付着させた後、アニオン染料を含有したインクによっ
て記録する方法が開示されており、特開昭63−226
81号公報には、反応性化学種を含む第1の液体組成物
と該反応性化学種と反応を起こす化合物を含む第二の液
体組成物を被記録媒体上で混合する記録方法が開示され
ており、更に特開昭63−299971号公報には、1
分子当たり2個以上のカチオン性基を有する有機化合物
を含有する液体組成物を被記録媒体上に付与した後、ア
ニオン染料を含有するインクで記録する方法が開示され
ている。また、特開昭64−9279号公報には、コハ
ク酸等を含有した酸性液体組成物を被記録媒体上に付与
した後、アニオン染料を含有したインクで記録する方法
が開示されている。
【0009】また、更に特開昭64−63185号公報
には、染料を不溶化させる液体組成物をインクの付与に
先立って紙に付与するという方法が開示されている。更
に特開平8−224955号公報には、分子量分布領域
の異なるカチオン性物質を含む液体組成物を、アニオン
性化合物を含むインクと共に用いる方法が開示され、ま
た、特開平8−72393号公報には、カチオン性物質
と微粉砕セルロースを含む液体組成物をインクと共に用
いる方法が開示されており、いずれも画像濃度が高く、
印字品位、耐水性が良好で、色再現性、ブリーディング
においても良好な画像が得られることが記載されてい
る。また、特開昭55−150396号公報には、被記
録媒体上に染料インクで記録した後に、染料とレーキを
形成する耐水化剤を付与する方法が開示され、記録画像
の耐水性を付与することが提案されている。
【0010】(3)インクと微粒子含有液体組成物とを
被記録媒体上で混合する方法;特開平4−259590
号公報に、無機物質からなる無色の微粒子を含有する無
色液体を被記録媒体上に付与した後、非水系記録液を付
着させる方法が開示され、特開平6−92010号公報
には、微粒子を含む溶液、又は微粒子及びバインダーポ
リマーを含む溶液を被記録媒体上に付与した後、顔料、
水溶性樹脂、水溶性溶剤及び水を含むインクを付着させ
る方法が開示されており、いずれも、紙種によらず印字
品位や発色性の良好な画像が得られることが記載されて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記した
ような各種のインクジェット記録技術について検討を重
ねた結果、各々の技術課題に対しては優れた効果を確認
できるものの、それと引き換えに、他のインクジェット
記録特性が低下してしまう場合があることを見出した。
例えば、上記した被記録媒体の基紙表面に充填材やサイ
ズ剤を塗工して得られる被記録媒体(以降コート紙とい
う)は、高品質な画像を形成することができる技術とし
て認知されている。
【0012】一般に、高彩度の画像を得るためには、色
材を凝集させずに単分子状態で被記録媒体の表面に残す
ことが必要であることは知られている。コート紙の多孔
質微粒子には、このような機能がある。しかしながら、
高い画像濃度と画像彩度を得る為には、与えられたイン
ク中の色材に対して、多量の多孔質微粒子で、基紙を覆
い隠すような厚いインク受容層の形成が不可欠となり、
結果として、基紙の質感が失われてしまうという問題が
ある。本発明者らは、このように基紙の質感を失う程の
インク受容層が必要なのは、色材が、多孔質微粒子に効
率的に吸着していないことに起因すると推測した。
【0013】一層のインク受容層を有するコート紙を想
定して、以下に説明する。図9は、コート紙表面付近の
断面を模式的に示したものである。同図において、90
1は基紙であり、903はインク受容層を示す。一般
に、インク受容層903は、多孔質微粒子905とそれ
らを固定化する接着剤907を有する。インクが付与さ
れると、インクは多孔質微粒子905間の空隙を毛管現
象によって浸透し、インク浸透部909を形成する。同
図に示した様にインク受容層での多孔質微粒子は局所的
には密度が異なるため、この毛管現象によるインクの浸
透の仕方は場所によって異なる。このため、インクの浸
透過程において、色材は多孔質微粒子表面に均一には接
触できず、色材が効率的に多孔質微粒子に吸着されな
い。
【0014】更に接着剤907によってインクの浸透が
阻害される部分も生じており、インク受容層903内に
はインクが浸透できない部分が存在し、発色には寄与し
ない部分が発生する。即ち、従来のコート紙において
は、上記のような理由により、多孔質微粒子の量に対し
て効率的に色材を単分子状態で吸着することができず、
この結果、高品質の画像を得るためには多量の多孔質微
粒子が必要となり、基紙の質感を損なうこととなってい
た。
【0015】さらに上記(1)の技術を採用すること
で、インクの被記録媒体への定着性は向上するものの、
画像濃度の低下や、普通紙への記録やカラー画像の記録
に重要とされる色再現範囲が低下してしまう場合があっ
た。又、上記(2)の技術によれば、インク中の色材を
被記録媒体表面に留めることができるため、高い画像濃
度の記録物を得ることができる。しかし、色材を被記録
媒体の表面で凝集させているためか、色の再現範囲や彩
度が十分に得られない場合があった。また上記(3)で
説明した従来技術では、微粒子を含む溶液の付与により
被記録媒体の表面状態の改質はえられたものの、コート
紙と同等レベルの高精彩な画像は得られなかった。さら
に特に、非水系記録液ものに関しては色材の選択性や記
録付与方法などの制限もあり、その自由度に課題が残
る。
【0016】このように、従来の方法にはいずれも課題
が残されているため、近年において求められているより
一層の高品位なインクジェット記録物に対しては、新た
なインクジェット記録技術の開発が必要であるとの認識
を、本発明者らは持つに至った。本発明者らは、以上の
ような新たな知見に基づき、色材を吸着する作用を有す
る微粒子を用い、且つ該微粒子に効率的に色材を吸着も
しくは結合させる為に、該微粒子を分散させ、インクと
共に液体状態で用いることにより、色材と微粒子とを液
−液状態で反応させることが可能となり、その結果とし
て画像の濃度や彩度を信頼性良く向上させることができ
ることを見出し、本発明を為すに至った。
【0017】また、さらなる検討により、インクと反応
する液体組成物を被記録媒体上で混合する場合、インク
と液体組成物との記録条件によっては被記録媒体上に形
成される画像の品位(例えば、発色性)が異なり、コー
ト紙と同等のレベルの高い発色性を得るには、特定の記
録条件を満たす必要があることが解かった。そこで本発
明者らは、高発色な画像が得られる記録条件を規定する
必要があるとの認識を持つに至った。特に、先行してイ
ンクを付与し、その後に液体組成物を付与する場合にお
いて、ある特定の記録条件を用いることで高発色画像を
得ることができるということを本発明らは見出したので
ある。
【0018】本発明は上記した新たな知見に基づき為さ
れたものであり、その目的とするところは、より一層広
い色再現範囲を有し、ブリードの抑制や色の均一性、発
色性等にも優れた高品質な記録物を得ること、また、イ
ンクジェット方式等により記録を行うに際し、上記高発
色な画像を有する記録物を得る為に必要な記録条件を提
供すること、さらには前記記録条件にて記録を行う記録
方法および記録装置を提供することである。特に、先行
してインクを付与し、その後に液体組成物を付与する場
合において、高発色画像を得ることを目的とする。
【0019】また、高発色画像が記録された記録物を製
造する方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、下記に示される通りである。すなわち、色
材を含むアニオン性若しくはカチオン性のインクと、前
記インクに対して逆極性に表面が帯電している微粒子が
分散状態で含まれる液体組成物とを用いて被記録媒体上
に記録を行うに際し、インクの前記被記録媒体への単位
面積あたりの付与量をM(pg/μm)、前記インク
の色材濃度をD(%)、前記被記録媒体の前記インクに
対する吸収係数をKa(μm/msec1/2)、前記
被記録媒体におけるインクの濡れ時間をtw(mse
c)、前記インクが前記被記録媒体に付与された後、前
記液体組成物が前記付与されたインクに接触するまでの
時間をt(msec)とすると、前記M、D、Ka、t
w、tが
【外10】
【0021】なる関係を満たすことを特徴とする記録方
法である。
【0022】また、本発明は、色材を含むインクと、当
該インク中の色材と反応する液体組成物とを用いて被記
録媒体に記録を行う方法であって、前記インクの被記録
媒体への単位面積あたりの付与量をM(pg/μ
)、前記インクの色材濃度をD(%)、前記被記録
媒体のインクに対する吸収係数をKa(μm/msec
1/2)、前記被記録媒体におけるインクの濡れ時間を
tw(msec)、前記インクが被記録媒体に付与され
た後、前記液体組成物が前記付与されたインクに接触す
るまでの時間をt(msec)とした場合、前記M、
D、Ka、tw、tが
【外11】
【0023】なる関係を満たすように、前記インクと前
記液体組成物とを前記被記録媒体上において液状で接触
させる工程を有し、前記接触工程において前記インク中
の色材と前記液体組成物中の微粒子とが接触することに
より、前記色材が単分子状態で前記微粒子の表面に吸着
し、前記色材を表面に吸着した微粒子同士が凝集するこ
とを特徴とする記録方法である。
【0024】また、本発明は、色材を含むインクと、前
記色材に吸着する微粒子を含む液体組成物とを用いて被
記録媒体に記録を行う方法であって、前記インクの被記
録媒体への単位面積あたりの付与量をM(pg/μ
)、前記インクの色材濃度をD(%)、前記被記録
媒体のインクに対する吸収係数をKa(μm/msec
1/2)、前記被記録媒体におけるインクの濡れ時間を
tw(msec)、前記インクが被記録媒体に付与され
た後、前記液体組成物が前記付与されたインクに接触す
るまでの時間をt(msec)とした場合、前記M、
D、Ka、tw、tが
【外12】
【0025】なる関係を満たすように、前記インクと前
記液体組成物とを前記被記録媒体上において液状で接触
させる工程を有し、前記接触工程において前記インク中
の色材と前記液体組成物中の微粒子とが接触することに
より、単分子状態を保持したままの色材が前記微粒子の
表面に吸着し、前記色材を表面に吸着した微粒子同士が
凝集することを特徴とする記録方法である。
【0026】また、本発明は、色材を含むアニオン性若
しくはカチオン性のインクと、前記インクに対して逆極
性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれる液
体組成物とを用いて被記録媒体に対して記録を行うに際
し、前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm
以内に、単分子状態の色材が吸着された微粒子が存在す
るように記録を行うことを特徴とする記録方法である。
【0027】また、本発明は、色材を含むインクと、前
記前記色材に吸着する微粒子を含む液体組成物とを用い
て被記録媒体に対して記録を行うに際し、前記被記録媒
体の表面から少なくとも深さ10μm以内に、単分子状
態の色材が吸着された微粒子同士が凝集した凝集物が存
在するように記録を行うことを特徴とする記録方法であ
る。
【0028】また、本発明は、色材を含むアニオン性若
しくはカチオン性のインクと、前記インクに対して逆極
性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれる液
体組成物とを用いて被記録媒体上に記録を行うに際し、
インクの前記被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
(%)、前記被記録媒体の前記インクに対する吸収係数
をKa(μm/msec1/2)、前記被記録媒体にお
けるインクの濡れ時間をtw(msec)、前記インク
が前記被記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前
記付与されたインクに接触するまでの時間をt(mse
c)とすると、前記M、D、Ka、tw、tが
【外13】
【0029】なる関係を満たすことを特徴とする記録装
置である。
【0030】また、本発明は、色材を含むインクと、当
該インク中の色材と反応する液体組成物とを用いて被記
録媒体に記録を行う装置であって、前記インクの被記録
媒体への単位面積あたりの付与量をM(pg/μ
)、前記インクの色材濃度をD(%)、前記被記録
媒体のインクに対する吸収係数をKa(μm/msec
1/2)、前記被記録媒体におけるインクの濡れ時間を
tw(msec)、前記インクが被記録媒体に付与され
た後、前記液体組成物が前記付与されたインクに接触す
るまでの時間をt(msec)とした場合、前記M、
D、Ka、tw、tが
【外14】
【0031】なる関係を満たすように、前記インクと前
記液体組成物とを前記被記録媒体上において液状で接触
させる手段を有し、前記インク中の色材と前記液体組成
物中の微粒子とが接触することにより、前記色材が単分
子状態で前記微粒子の表面に吸着し、前記色材を表面に
吸着した微粒子同士が凝集することを特徴とする記録装
置である。
【0032】また、本発明は、色材を含むインクと、前
記色材に吸着する微粒子を含む液体組成物とを用いて被
記録媒体に記録を行う装置であって、前記インクの被記
録媒体への単位面積あたりの付与量をM(pg/μ
)、前記インクの色材濃度をD(%)、前記被記録
媒体のインクに対する吸収係数をKa(μm/msec
1/2)、前記被記録媒体におけるインクの濡れ時間を
tw(msec)、前記インクが被記録媒体に付与され
た後、前記液体組成物が前記付与されたインクに接触す
るまでの時間をt(msec)とした場合、前記M、
D、Ka、tw、tが
【外15】
【0033】なる関係を満たすように、前記インクと前
記液体組成物とを前記被記録媒体上において液状で接触
させる手段を有し、前記接触工程において前記インク中
の色材と前記液体組成物中の微粒子とが接触することに
より、単分子状態を保持したままの色材が前記微粒子の
表面に吸着し、前記色材を表面に吸着した微粒子同士が
凝集することを特徴とする記録装置である。
【0034】また、本発明は、色材を含むアニオン性若
しくはカチオン性のインクと、前記インクに対して逆極
性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれる液
体組成物とを用いて被記録媒体に対して記録を行うに際
し、前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm
以内に、単分子状態の色材が吸着された微粒子が存在す
るように記録を行うことを特徴とする記録装置である。
【0035】また、本発明は、色材を含むインクと、前
記前記色材に吸着する微粒子を含む液体組成物とを用い
て被記録媒体に対して記録を行うに際し、前記被記録媒
体の表面から少なくとも深さ10μm以内に、単分子状
態の色材が吸着された微粒子同士が凝集した凝集物が存
在するように記録を行うことを特徴とする記録装置であ
る。
【0036】また、本発明は、被記録媒体上に画像が記
録された記録物を製造する方法であって、色材を含むア
ニオン性若しくはカチオン性のインクと、前記インクに
対して逆極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で
含まれる液体組成物とを用いて前記被記録媒体上に画像
を記録するに際し、インクの前記被記録媒体への単位面
積あたりの付与量をM(pg/μm)、前記インクの
色材濃度をD(%)、前記被記録媒体の前記インクに対
する吸収係数をKa(μm/msec1/2)、前記被
記録媒体におけるインクの濡れ時間をtw(mse
c)、前記インクが前記被記録媒体に付与された後、前
記液体組成物が前記付与されたインクに接触するまでの
時間をt(msec)とすると、前記M、D、Ka、t
w、tが
【外16】
【0037】なる関係を満たすことを特徴とする記録物
の製造方法である。
【0038】また、本発明は、被記録媒体上に画像が記
録された記録物を製造する方法であって、色材を含むイ
ンクと、当該インク中の色材と反応する液体組成物とを
用いて前記被記録媒体に画像を記録するに際し、前記イ
ンクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量をM(p
g/μm)、前記インクの色材濃度をD(%)、前記
被記録媒体のインクに対する吸収係数をKa(μm/m
sec1/2)、前記被記録媒体におけるインクの濡れ
時間をtw(msec)、前記インクが被記録媒体に付
与された後、前記液体組成物が前記付与されたインクに
接触するまでの時間をt(msec)とした場合、前記
M、D、Ka、tw、tが
【外17】
【0039】なる関係を満たすように、前記インクと前
記液体組成物とを前記被記録媒体上において液状で接触
させて画像を形成する工程を有し、前記画像形成工程で
は、前記インク中の色材と前記液体組成物中の微粒子と
が接触することにより、前記色材が単分子状態で前記微
粒子の表面に吸着し、前記色材を表面に吸着した微粒子
同士が凝集することを特徴とする記録物の製造方法であ
る。
【0040】また、本発明は、被記録媒体上に画像が記
録された記録物を製造する方法であって、色材を含むイ
ンクと、前記色材に吸着する微粒子を含む液体組成物と
を用いて前記被記録媒体に画像を記録するに際し、前記
インクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量をM
(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD(%)、
前記被記録媒体のインクに対する吸収係数をKa(μm
/msec1/2)、前記被記録媒体におけるインクの
濡れ時間をtw(msec)、前記インクが被記録媒体
に付与された後、前記液体組成物が前記付与されたイン
クに接触するまでの時間をt(msec)とした場合、
前記M、D、Ka、tw、tが
【外18】
【0041】なる関係を満たすように、前記インクと前
記液体組成物とを前記被記録媒体上において液状で接触
させて画像を形成する工程を有し、前記画像形成工程で
は、前記インク中の色材と前記液体組成物中の微粒子と
が接触することにより、単分子状態を保持したままの色
材が前記微粒子の表面に吸着し、前記色材を表面に吸着
した微粒子同士が凝集することを特徴とする記録物の製
造方法である。
【0042】また、本発明は、被記録媒体上に画像が記
録された記録物を製造する方法であって、色材を含むア
ニオン性若しくはカチオン性のインクと、前記インクに
対して逆極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で
含まれる液体組成物とを用いて被記録媒体に画像を記録
するに際し、前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ
10μm以内に、単分子状態の色材が吸着された微粒子
が存在するように記録を行うことを特徴とする記録物の
製造方法である。
【0043】また、本発明は、被記録媒体上に画像が記
録された記録物を製造する方法であって、色材を含むイ
ンクと、前記前記色材に吸着する微粒子を含む液体組成
物とを用いて被記録媒体に画像を記録するに際し、前記
被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm以内に、
単分子状態の色材が吸着された微粒子同士が凝集した凝
集物が存在するように記録を行うことを特徴とする記録
物の製造方法である。
【0044】また、本発明は、被記録媒体上に画像を有
する記録物であって、前記画像は、前記被記録媒体の表
面から少なくとも深さ10μm以内に、単分子状態の色
材が吸着された微粒子を含むことを特徴とする記録物で
ある。
【0045】また、本発明は、被記録媒体上に画像を有
する記録物であって、前記画像は、前記被記録媒体の表
面から少なくとも深さ10μm以内に、単分子状態の色
材が吸着された微粒子同士が凝集した凝集物を含むこと
を特徴とする記録物である。
【0046】尚、本明細書において「色材と微粒子との
反応」とは、両者の共有結合の他、イオン的結合、物理
的・化学的吸着、吸収、付着、その他の両者の相互作用
を意味するものとする。
【0047】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を更に詳しく説明する。
【0048】被記録媒体に着色部を形成する方法の好ま
しい実施態様としては、(i)色材を含むインクを被記
録媒体に付与する工程及び(ii)上記本発明の液体組
成物を被記録媒体に付与する工程とを有し、且つ上記被
記録媒体の表面において、インクと液体組成物とが互い
に液体状態で接するように付与されるように構成するこ
とが挙げられる。かかる実施態様を採用することによっ
て、より一層広い色再現領域を有し、ブリードの抑制や
色の均一性、発色性等にも優れ、更にベタ部のスジムラ
が少なく、良好な耐擦過性をも備えたインクジェット記
録物が安定して得られる。
【0049】更に上記目的を達成することのできる本発
明のインクセットの一実施態様としては、色材を含むイ
ンク及び上記本発明の液体組成物とを組み合わせたもの
が挙げられる。このような実施態様のインクセットを用
いれば、より一層広い色再現領域を有し、ブリードの抑
制や色の均一性、発色性等にも優れ、更にベタ部のスジ
ムラが少なく良好な耐擦過性をも備えたインクジェット
記録物が安定して得られる。また、記録に用いるインク
や液体組成物自体は、上記したように、その構成が極め
てシンプルであるために高品質かつ高信頼性のインクジ
ェット記録を行うことができるという効果が得られる。
【0050】本発明によって上記したような優れた効果
が奏される理由は明らかでないが、本発明者らは、以下
の理由によるものと考えている。
【0051】先ず、本発明における記録のメカニズムに
ついて、図13及び図14に従って説明する。尚、ここ
では、インクとしてアニオン性基を有する水溶性染料
(アニオン性染料)を含むインクを用い、同時に液体組
成物として、表面がカチオン性に帯電している微粒子が
分散状態で含まれている液体組成物を用いた場合につい
て説明する。
【0052】以下に、本発明にかかる記録画像につい
て、図13を用いて説明する。
【0053】先ず、説明に先立ち、言葉の定義を行う。
本発明において、「単分子状態」とは、染料や顔料等の
色材が、インク中で溶解若しくは分散した状態をほぼ保
っていることを指している。このとき、色材が多少の凝
集を引き起こしたとしても、彩度が低下しない範囲であ
れば、この「単分子状態」に含まれることとする。例え
ば、染料の場合、単分子であることが好ましいと考えら
れるため、便宜上染料以外の色材についても「単分子状
態」と呼ぶこととする。
【0054】図13は、本発明にかかる記録画像の着色
部Iが、主画像部IMとその周辺部ISとから成り立っ
ている状態を模式的に示した図である。図13におい
て、1301は被記録媒体、1302は被記録媒体の繊
維間に生じる空隙を示す。また、1303は、色材13
05が化学的に吸着する微粒子を模式的に示したもので
ある。図13に示したように、本発明のインクジェット
記録画像では、主画像部IMは、色材1305が、単分
子或いは単分子に近い状態(以降「単分子状態」と略
す)で均一に表面に吸着した微粒子1303と、色材の
単分子状態を保持した微粒子の凝集物1307とで構成
されている。1309は、主画像部IM内の被記録媒体
繊維近傍に存在する、微粒子同士の凝集物である。主画
像部IMは、被記録媒体繊維に微粒子1303が物理的
又は化学的に吸着する工程と、色材1305と微粒子1
303とが液−液状態で吸着する工程によって形成され
たものである。そのため、色材自体の発色特性が損なわ
れることが少なく、普通紙等のインクの沈み込み易い記
録媒体においても、画像濃度や彩度が高く、コート紙並
みの色再現範囲の広い画像の形成が可能となる。
【0055】一方、微粒子表面1303に吸着されず、
インク中に残った色材1305は、被記録媒体1301
に対して横方向にも深さ方向にも浸透するため、周辺部
ISにインクは微少な滲みを形成する。このように記録
媒体1301の表面近傍に色材が残り、且つ周辺部にイ
ンクの微少な滲みを形成させるために、シャドウ部やベ
タ部等のインク付与量が多い画像領域においても、白モ
ヤや色ムラが少なく色の均一性に優れる。なお、図13
に示した様に、被記録媒体1301がインクや液体組成
物の浸透性を有するものである場合には、本態様はイン
ク成分や液体組成物成分の被記録媒体内部への浸透は必
ずしも妨げられるものではなく、ある程度の浸透を許容
するものである。
【0056】更に本発明の液体組成物を用いた場合にお
いては、被記録媒体の表面近傍に存在する微粒子凝集物
1309が形成される際に、凝集物の内部にある程度の
大きさの細孔が形成される。前述のインク中で単独に存
在していた色材1305は被記録媒体内部へと浸透して
いく際に微粒子凝集物1309の細孔内部へと浸透し、
細孔の入口付近や内壁に理想的な単分子状態で吸着し
て、色材をより多く被記録媒体の表面近傍に残留させる
ことができる。これによってより一層優れた発色性の記
録物を得ることができる。
【0057】図14(1)〜(4)は、図13の着色部
を形成する方法の一実施態様を示す図であり、着色部1
400の概略断面図及びその形成過程を説明する概略工
程図である。同図において、1401はインクと液体組
成物との反応物、例えば、色材と微粒子との反応物を主
として含む部分(以降「反応部」と略す)であり、図1
3の主画像部IMに相当する部分である。1402は、
液体組成物との反応に実質的に関与しなかったインク
が、反応部1401の辺縁に流出することによって形成
された部分(以降「インク流出部」と略す)であり、図
13の周辺部ISに相当する。かかる着色部1400
は、例えば、以下のようにして形成される。尚、同図に
示した1405は、被記録媒体の繊維間に生じる空隙を
模式的に表したものである。
【0058】先ず、色材1404と反応性を有する液体
組成物1406とが液滴として被記録媒体1403に付
与され(図14(1))、その結果、液体組成物の液溜
り1407が形成される(図14(2))。該液溜り1
407内で、被記録媒体の繊維表面の近傍の微粒子14
09は、被記録媒体の繊維表面に物理的又は化学的に吸
着する。この時、分散状態が不安定となって微粒子同士
の凝集物1411を形成するものもあると考えられる。
一方で、液溜り1407内の繊維より離れた部分では、
微粒子1409は、もとの分散状態を保っていると考え
られる。
【0059】次いで、インク1413が、液滴として被
記録媒体1403に付与される(図14(2))。その
結果、先ずインク1413と液溜り1407の界面にお
いて色材1404は、微粒子1409に化学的に吸着す
る。この反応は、液同士の反応(液−液反応)であるた
め、色材1404は単分子状態で、微粒子1409の表
面に均一に吸着すると考えられる(図14(3)−
2)。即ち、微粒子表面では、色材同士は凝集を起こさ
ないか或いは凝集しても僅かであると推測される。その
結果、反応部1401の表層部に単分子状態で色材14
04が吸着された微粒子が多数形成され、発色に最も影
響を与える表面層に色材を単分子状態で残存させること
ができるため、高画像濃度であって、且つ彩度の高い記
録画像を形成する。
【0060】次いで、これら色材1404が吸着した微
粒子は、分散状態が不安定となるため微粒子同士で凝集
すると考えられる(図14(3)−2)。即ち、ここで
形成された凝集物1415は、その内部にも単分子状態
の色材を保持している。この凝集物1415により、高
画像濃度、且つ高彩度の記録画像が形成される。
【0061】更に未反応の色材1404の一部は、液溜
り1407内を拡散し、未反応の微粒子1409の表面
に吸着する。このように、液溜り1407内部で色材と
微粒子との反応が更に進行するため、より高濃度で彩度
の高い画像が形成される。先に説明した被記録媒体の繊
維表面に形成された微粒子の凝集物1411には、液溜
り1407の液相が被記録媒体内への浸透を抑制する役
割があると考えられる。このため、液溜り1407で
は、浸透が抑制された液体組成物中の微粒子1409と
色材1404とがより多く混在することが可能となる。
これにより、色材1404と微粒子1409との接触確
率が高められ、反応が比較的均一に、且つ充分に進行
し、より均一で、画像の濃度と彩度とに優れた画像が形
成される。
【0062】また、液体組成物1406が被記録媒体1
403に付与された際(図14(1))や、液溜り14
07にインク1413が付与された際には(図14
(2))、微粒子1409を分散させている分散媒が変
化することによって微粒子1409の分散が不安定とな
り、色材1404が吸着する前に微粒子1409間で凝
集を起こすものも存在する。ここでいう分散媒の変化と
は、2種もしくはそれ以上の異種の液体が混合したとき
に一般的に観察される変化、例えば液相のpHや固形分
濃度、溶剤組成、溶存イオン濃度などの物性変化を指
し、液体組成物が被記録媒体やインクと接触した際にこ
れらの変化が急激かつ複合的に生じて、微粒子の分散安
定性を破壊し凝集物を生成するものと考えられる。これ
らの凝集物は、繊維間の空隙を埋める効果や、色材を吸
着した微粒子を、より被記録媒体の表面近傍に残存させ
る効果をもたらすと推測される。また、これら液溜り1
407内で形成された凝集物は、被記録媒体に吸着して
いるものもあれば、液相内を動ける(流動性を有する)
ものも存在するが、流動性を有するものは、前述の色材
と微粒子との反応過程と同様に、微粒子凝集物表面に色
材が単分子状態で吸着し、より大きな凝集塊を形成し、
これが発色性の向上に寄与しているものである。液相が
繊維に沿って浸透する際に液相と共に移動し、空隙を埋
めて被記録媒体の表面を平滑化し、より均一で高濃度の
画像の形成に寄与すると考えられる。
【0063】本発明によって高発色の画像が得られるこ
とは、後述の結果により明らかであるが、これは、上記
したように、色材が単分子状態で微粒子もしくは微粒子
凝集物に吸着され、その状態で被記録媒体の表面近傍に
残ったためであると考えられる。色材が単分子状態で吸
着し、被記録媒体の表面近傍に残った微粒子は被記録媒
体の表面に定着する。これにより画像の耐擦過性や耐水
性等の堅牢性が向上する。
【0064】更に図14(2)にも示した通り、被記録
媒体に付与した液体組成物中の微粒子の少なくとも一部
は、液媒体の被記録媒体内部への浸透に伴って、被記録
媒体内部に浸透していると考えられる。他方、図14
(4)に明示したように、色材が、先に浸透している微
粒子に、単分子状態で吸着もしくは結合していることも
十分に想定し得ることである。この様に被記録媒体内部
において、色材が単分子状態で吸着もしくは結合してい
る微粒子も、発色性の向上に寄与していると考えられ
る。更にこのような液媒体の浸透により、定着性も向上
すると考えられる。
【0065】また、以下に本発明により高発色画像が得
られる更なる理由を記す。本発明の液体組成物を用いる
ことにより、前述の被記録媒体の表面近傍に存在する微
粒子凝集物1411が形成される際に、凝集物の内部に
ある程度の大きさの細孔が形成される。液溜り1407
の中で微粒子1409に吸着しきれなかった色材140
4は、被記録媒体内部へと浸透していく際に溶媒成分と
ともに細孔を通って微粒子凝集物1411の内部へと浸
透するものもある。その際、色材1305は微粒子凝集
物内の細孔の入口付近や細孔内壁に吸着し、溶媒成分の
みが被記録媒体内部へと浸透していくことによって、色
材をより多く微粒子凝集物1411の表面や内部に効率
よく吸着させ、被記録媒体の表面近傍に残留させること
ができる。更に色材1404が染料の場合、微粒子凝集
物1411の細孔直径は色材1404のインク中で存在
している分子サイズの1〜数倍程度であるために、細孔
内部に吸着した色材1404は、色材同士の凝集が極め
て起こり難く、理想的な単分子状態を形成することが可
能となる。このことが発色性の更なる向上に大きく寄与
し、より一層広い色再現範囲を有する記録物を得ること
ができる。
【0066】また、微粒子凝集物1411の細孔物性
は、液体組成物中に含まれる微粒子だけでなく、溶媒組
成等によっても影響されることが分かり、液体組成物か
ら微粒子凝集物を形成し、この微粒子凝集物のある特定
の細孔半径領域における細孔容積が、被記録媒体上で形
成される画像形成能と非常に相関性が高いことを見出し
た。
【0067】更に本発明では、被記録媒体の表面で、微
粒子と色材とを液相で反応させることにより、色材がア
ニオン性であるときは、極めて効率的にカチオン性微粒
子表面に色材が吸着することとなる。ここで、インクジ
ェット用コート紙において、本発明と同程度の色材吸着
を達成しようとすると、多量のカチオン性多孔質微粒子
が必要となり、基紙を覆い隠すような厚いインク受容層
の形成が不可欠となる。そのために、コート紙では基紙
の質感を損ねる結果に繋がるが、本発明の液体組成物を
構成する微粒子の量は少なくできるため、被記録媒体の
質感を損ねることなく、印字部と未印字部で質感におい
て違和感のない画像形成が可能となる。
【0068】また、本発明は、微粒子を含む液体組成物
とインクとを被記録媒体の表面に付与して画像を形成す
るという点において、前記した従来技術において(3)
に挙げて説明した、インクに微粒子含有液体組成物を外
添する方法と一見類似しているかのように見える。しか
し、本発明は、上記したように液体組成物と色材とを積
極的に反応させ、液体組成物中の微粒子を色材の凝集
(レーキ)を抑える手段として用いているのに対し、上
記(3)で説明した従来技術では、微粒子を含む溶液の
付与の目的は、被記録媒体の表面状態の改質であり、極
性の異なる微粒子とインク中の色材との間で化学的な反
応を生じさせるという思想は何ら開示されていない。そ
して、そのメカニズムの差異に基づくと推測される、こ
れらの記録技術にかかる記録物と、本発明によって得ら
れる記録物との品質の差異は明白なものであった。
【0069】上記では、先行して液体組成物を付与し、
その後にインクを付与することで高発色画像を記録する
例を示した。一方、インクと液体組成物の付与の仕方と
して、先行してインクを付与し、その後に液体組成物を
付与する場合がある。そこで、本発明者らは、先行して
インクを付与し、その後に液体組成物を付与する場合に
おいて高発色画像を形成してみようと試みた。そして、
鋭意研究の結果、インクと液体組成物との記録条件、詳
しくは、例えばインクが被記録媒体に接触した後、該イ
ンクに後から付与する液体組成物が接触するまでの時間
差によって、画像の品位が大きく異なることを本発明者
らは見出した。前記時間差により画像の品位が異なる理
由を本発明者らは、以下のように考えている。
【0070】被記録媒体に対して先行してインクを付与
し、その後、その付与されたインク上に液体組成物を付
与することで高発色な着色部が形成される過程を図18
により説明する。図18はインク次いで液体組成物の順
で被記録媒体に付与した際の着色部1800の概略断面
図及びその形成過程を説明する概略工程図である。同図
において、1801はインクと液体組成物との反応物、
例えば、色材と微粒子との反応物を主として含む部分
(以降「反応部」と略す)であり、図13の主画像部I
Mに相当する部分である。1802は、液体組成物との
反応に実質的に関与しなかったインクが、反応部180
1の辺縁に流出することによって形成された部分(以降
「インク流出部」と略す)であり、図13の周辺部IS
に相当する。かかる着色部1800は、例えば、以下の
ようにして形成される。尚、同図に示した1805は、
被記録媒体の繊維間に生じる空隙を模式的に表したもの
である。
【0071】先ず、インク1813が、液滴として被記
録媒体1803に付与され(図18(1))、その結
果、インクの液溜り1807が形成される(図18
(2))。液溜り1807内で、被記録媒体の繊維表面
の近傍の色材1804は、被記録媒体の繊維表面に物理
的又は化学的に吸着したり、液の状態で繊維内に浸透す
る。一方で、液溜り1807内の繊維より離れた部分で
は、色材1809は、もとの溶解状態を保っていると考
えられる。
【0072】次いで、色材1804と反応性を有する液
体組成物1806が、液滴として被記録媒体1803に
付与される(図18(2))。その結果、先ず液体組成
物1806と液溜り1807の界面において色材180
4は、微粒子1809に化学的に吸着する。この反応
は、液同士の反応(液−液反応)であるため、色材18
04は単分子状態で、微粒子1809の表面に均一に吸
着すると考えられる(図18(3)−2)。即ち、微粒
子表面では、色材同士は凝集を起こさないか或いは凝集
しても僅かであると推測される。その結果、反応部18
01の表層部に単分子状態で色材1804が吸着された
微粒子が多数形成され、発色に最も影響を与える表面層
に色材を単分子状態で残存させることができるため、高
画像濃度であって、且つ彩度の高い記録画像を形成す
る。
【0073】次いで、これら色材1804が吸着した微
粒子は、分散状態が不安定となるため微粒子同士で凝集
すると考えられる(図18(3)−2)。即ち、ここで
形成された凝集物1815は、その内部にも単分子状態
の色材を保持している。この凝集物1815により、高
画像濃度、且つ高彩度の記録画像が形成される。
【0074】更に未反応の微粒子1809の一部は、液
溜り1807内を拡散し、未反応の色材1804が表面
に吸着する。このように、液溜り1807内部で色材と
微粒子との反応が更に進行するため、より高濃度で彩度
の高い画像が形成される。拡散している微粒子1809
は分散状態が不安定となり微粒子同士の凝集物1811
や上記した凝集物1815を形成することも考えられ
る。また、被記録媒体の繊維表面に到達した微粒子18
09は分散状態が不安定になり凝集物1811を形成
し、拡散中に形成された凝集物1811と凝集物181
5の中にも前記繊維表面に吸着するものがある。繊維表
面に吸着した凝集物1811と1815は液溜り180
7の液相が被記録媒体内への浸透を抑制する役割がある
と考えられる。このため、液溜り1807では、浸透が
抑制された液体組成物中の微粒子1809と色材180
4とがより多く混在することが可能となる。これによ
り、色材1804と微粒子1809との接触確率が高め
られ、反応が比較的均一に、且つ充分に進行し、より均
一で、画像の濃度と彩度とに優れた画像が形成される。
【0075】また、インク1813が被記録媒体180
3に付与された際(図18(1))や、液溜り1807
に液体組成物1806が付与された際には(図18
(2))、微粒子1809を分散させている分散媒が変
化することによって微粒子1809の分散が不安定とな
り、色材1804が吸着する前に上記したように微粒子
1809間で凝集を起こすものも存在する。ここでいう
分散媒の変化とは、2種もしくはそれ以上の異種の液体
が混合したときに一般的に観察される変化、例えば液相
のpHや固形分濃度、溶剤組成、溶存イオン濃度などの
物性変化を指し、液体組成物が被記録媒体やインクと接
触した際にこれらの変化が急激かつ複合的に生じて、微
粒子の分散安定性を破壊し凝集物を生成するものと考え
られる。これらの凝集物は、繊維間の空隙を埋める効果
や、色材を吸着した微粒子を、より被記録媒体の表面近
傍に残存させる効果をもたらすと推測される。また、こ
れら液溜り1807内で形成された凝集物は、被記録媒
体に吸着しているものもあれば、液相内を動ける(流動
性を有する)ものも存在するが、流動性を有するもの
は、前述の色材と微粒子との反応過程と同様に、微粒子
凝集物表面に色材が単分子状態で吸着し、より大きな凝
集塊を形成し、これが発色性の向上に寄与しているもの
である。液相が繊維に沿って浸透する際に液相と共に移
動し、空隙を埋めて被記録媒体の表面を平滑化し、より
均一で高濃度の画像の形成に寄与すると考えられる。
【0076】次に、インク次いで液体組成物の順で被記
録媒体に付与した際に、前記図18の場合と比較して、
相対的に発色性が劣る着色部が形成される過程を図19
により説明する。図19はインク次いで液体組成物の順
で被記録媒体に付与した際の着色部1900の概略断面
図及びその形成過程を説明する概略工程図である。同図
において、1901は液体組成物の凝集物である。19
02は、液体組成物との反応に実質的に関与しなかった
インクが、反応部1901の辺縁に流出することによっ
て形成された部分である。かかる着色部1900は、例
えば、以下のようにして形成される。尚、同図に示した
1905は、被記録媒体の繊維間に生じる空隙を模式的
に表したものである。
【0077】先ず、インク1913が、液滴として被記
録媒体1903に付与され(図19(1))、その結
果、インクの液溜り1907が形成される(図19
(2))。該液溜り1907内で、被記録媒体の繊維表
面の近傍の色材1904は、被記録媒体の繊維表面に物
理的又は化学的に吸着したり、液の状態で繊維内に浸透
する。一方で、液溜り1907内の繊維より離れた部分
では、色材1909は、もとの溶解状態を保っていると
考えられる。
【0078】次いで、色材1904と反応性を有する液
体組成物1906が、液滴として被記録媒体1903に
付与される(図19(3))。このとき、先に付与され
たインクは被記録媒体中に浸透しており、被記録媒体表
面層に残存しているインク1913及び色材1904は
非常に少ない。その結果、微粒子1909と色材190
4の接触確率は低くなり、液体組成物1906とインク
1913との液同士の反応(液−液反応)は僅か、若し
くは起こらない。そのため、被記録媒体表面には微粒子
1909の凝集物1911のみが残るか、若しくは僅か
な色材1904が吸着している該凝集物1911が残る
(図19(4))。その結果、発色に最も影響を与える
表面層に残存させる色材1804が図18の場合に比べ
少なくなり、図18の場合と比較し、相対的に発色性が
劣る画像が形成されるものと考えられる。
【0079】即ち、高発色な画像形成を行うには発色に
寄与する被記録媒体表面層に特定量以上の色材が残存し
ている内に液体組成物を接触させる必要があるという認
識に、本発明者らは至った。好ましくは図18の着色部
形成がよいと考えている。
【0080】以下、本発明を特徴づける液体組成物及び
インクについて詳細に説明する。
【0081】先ず、本明細書におけるカチオン性のイン
ク若しくはアニオン性のインクの定義について述べる。
インクのイオン特性についていうとき、インク自体は荷
電されておらず、それ自体では中性であることは、当該
技術分野においてよく知られていることである。ここで
いうアニオン性のインク若しくはカチオン性のインクと
は、インク中の成分、例えば、色材がアニオン性基若し
くはカチオン性基を有し、インク中において、これらの
基がアニオン性基又はカチオン性基として挙動するよう
に調整されているインクを指すものである。また、アニ
オン性又はカチオン性の液体組成物に関してもその意味
は上記と同様である。
【0082】[液体組成物の測定方法]本発明では、以
下の方法に従って少なくとも微粒子と溶媒を含む液体組
成物から得られる微粒子凝集物のある特定の細孔半径領
域における細孔容積を測定する。先ず、これらの細孔物
性を測定するに当たり、上記液体組成物を以下の手順で
前処理する。 (1)上記液体組成物を大気雰囲気下120℃で10時
間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物を
粉体化する。
【0083】ここで上記前処理を施す理由としては、乾
燥によって液体組成物から微粒子凝集物を形成させ、焼
成により溶媒成分を完全に除去して凝集物の内部の細孔
を空にして空隙を形成するためである。
【0084】本発明で用いる細孔半径と細孔容積の測定
方法として、窒素吸着脱離法を好適に用いることができ
る。本発明で測定する対象となる微粒子凝集物の細孔の
サイズは、細孔半径が3nm〜30nmの領域での細孔
容積である。この領域における細孔容積が画像形成能に
対し相関性が高い理由は明確ではないが、推測するに、
この細孔半径より小さい領域では微粒子凝集物の内部へ
の色材や溶媒成分の浸透が著しく低下し、細孔に起因し
た色材の吸着が少なく、実質的に発色性の向上に関与し
ないと考えられる。一方、この細孔半径の領域よりも大
きな細孔では色材や溶媒成分の浸透が起こりやすくなる
反面、細孔の入口付近や内部に吸着した色材は細孔自体
の光散乱の影響によって色材が光の吸収に関与しにくく
なり、逆に発色性の低下が引き起こされると考えられ
る。
【0085】よって細孔半径が3nm〜30nmの領域
と、30nmを越える領域での細孔容積を測定すること
が形成画像の発色性能の測定に効果的である。この領域
における細孔物性の測定方法としては窒素吸着脱離法に
よる方法がもっとも最適である。細孔半径と細孔容積は
前処理した試料を120℃8時間真空脱気した後、窒素
吸着脱離法よりBarrettらの方法(J.am.D
hem.Soc.,Vol73,373,1951)か
ら求めることができる。更に好ましい測定方法としては
細孔半径が3nm〜20nmの領域と、20nmを越え
る領域での細孔容積を測定することである。この範囲で
は色材が染料である場合、特により一層の発色性の向上
を測定するうえで好ましい。
【0086】<液体組成物>以下に本発明の液体組成物
について説明する。
【0087】[細孔半径及び細孔容積]微粒子凝集物の
細孔半径は前述の如く、色材の速やかな浸透と細孔入口
付近や内壁への吸着及び細孔内部での色材の凝集を防ぐ
観点から3nm〜30nmの範囲であることが好ましい
と考えられる。また、発色性の向上に寄与するだけの色
材を内部に取り込むためには同時にある程度の容量が必
要である。また、細孔容積が増すことで微粒子凝集物内
の細孔の数も増加すると考えられ、細孔内部への色材の
吸着量だけでなく、細孔の入口付近での吸着量も増加す
ると考えられる。
【0088】よってこれらの観点から本発明に好適に用
いられる液体組成物は、細孔半径が3nm〜30nmの
範囲における細孔容積が0.4ml/g以上で、細孔半
径が30nmを越える領域での細孔容積が0.1ml/
g以下であるのが好ましい。細孔半径が3nmよりも小
さい細孔では、色材や溶媒成分が細孔内部に浸透しにく
く、実質的に微粒子凝集物の細孔が発色性の向上に寄与
しない。細孔半径を上記したような範囲内とすることに
より、細孔内部へ色材や溶媒成分が浸透し、微粒子凝集
物の細孔が発色性の向上に有効に寄与することとなる。
また、細孔による光散乱が抑えられるため、細孔入口付
近や内壁に吸着した色材が発色性に寄与しにくくなるこ
とも有効に抑制することができる。
【0089】より好ましい範囲としては細孔半径が3n
m〜20nmの範囲における細孔容積が0.4ml/g
以上で、細孔半径が20nmを越える領域での細孔容積
が0.1ml/g以下あるのが好ましい。細孔が3nm
〜20nmの半径の範囲に多く存在することによって特
に色材に染料を用いた場合において、発色性は更に向上
し、より一層広い色再現範囲を有する画像が形成でき
る。液体組成物から形成される微粒子凝集物の細孔半径
や細孔容積は、含まれる微粒子の化学種や形状、大きさ
ばかりでなく、溶剤種やその他の添加物及びそれらの組
成比等により変化し、これらの条件を制御することによ
って微粒子凝集物の形成状態をコントロールできると考
えられる。従って、本発明の液体組成物を作製する場合
には、これらのことを勘案して、微粒子凝集物内に形成
される細孔の形状が上記の範囲内となるようにすること
が好ましい。
【0090】(微粒子)本発明において、液体組成物中
に含まれる微粒子に望まれる作用としては、1)インク
と混合した際に、色材の本来持つ発色性を損なわずに、
色材を吸着すること、2)インクと混合した際或いは被
記録媒体に付与された際に、分散安定性が低下して、被
記録媒体の表面に残存すること、等が挙げられる。これ
らの作用は、1種若しくは2種以上の微粒子によって達
成されてもよい。
【0091】1)の作用を満たすための性質として、例
えば、微粒子が色材と逆のイオン性を呈することが挙げ
られる。これにより、微粒子は色材を静電的に吸着でき
る。色材がアニオン性の場合は、カチオン性の微粒子を
用い、逆に色材がカチオン性の場合はアニオン性の微粒
子が用いられる。イオン性以外に色材を吸着する要素と
しては、微粒子のサイズや重量或いは表面の形状が挙げ
られる。例えば、表面に多数の細孔を持つ多孔質微粒子
は、特有の吸着特性を示し、細孔の大きさや形状等、複
数の要素によって色材を吸着できる。2)の作用は、イ
ンクや被記録媒体との相互作用によって引き起こされ
る。このため、各構成により達成されればよいが、例え
ば、微粒子の性質として、インク組成成分や被記録媒体
構成成分と逆のイオン性を呈することが挙げられる。ま
た、インク中或いは液体組成物中に電解質を共存させる
ことによっても、微粒子の分散安定性は影響を受ける。
本発明において、上記1)と2)の作用のどちらか一方
の作用が、瞬時に得られることが望ましい。更には上記
1)と2)と両方の作用が、瞬時に得られることが好ま
しい。
【0092】以下、夫々のイオン性微粒子を含有する液
体組成物に関して、具体的に説明する。すなわち、本発
明で適用可能なカチオン性液体組成物、アニオン性液体
組成物について説明する。
【0093】[カチオン性液体組成物]まず、本発明で
適用可能な液体組成物の一例である、カチオン性液体組
成物について説明する。カチオン性の液体組成物として
は、例えば、カチオン性基を表面に有する微粒子と酸を
含み、該微粒子が安定に分散されてなる液体組成物が挙
げられる。本発明においては、カチオン性の液体組成物
として、例えば、酸を含みpHが2〜7に調整されたも
の、また、ゼータ電位が+5〜+90mVのものを好適
に用いることができる。
【0094】(pH及びゼータ電位について)液体組成
物のゼータ電位について述べる。ゼータ電位の基本原理
について以下に示す。一般に、固体が液体中に分散して
いる系において、固相の表面に遊離電荷がある場合、固
相界面付近の液相には反対電荷の荷電層が電気的中性を
保つように現れる。これは、電気的二重層と呼ばれ、こ
の電気的二重層による電位差のことをゼータ電位と呼ん
でいる。ゼータ電位がプラスである場合、微粒子の表面
はカチオン性を示し、マイナスではアニオン性を示す。
一般に、その絶対値が高いほど微粒子間に働く静電的反
発力が強くなり、分散性がよいと言われ、同時に微粒子
表面のイオン性が強いことが考えられる。即ち、カチオ
ン性微粒子のゼータ電位が高いほどカチオン性が強く、
インク中のアニオン性化合物を引き付ける力が強いと言
える。
【0095】更に本発明者らが鋭意検討した結果、ゼー
タ電位が+5〜+90mVの範囲にある液体組成物を用
いた場合に、被記録媒体上に形成してなる着色部が、特
に優れた発色特性を呈することを見出した。その理由は
定かではないが、おそらく、微粒子のカチオン性が適度
であるために急速なアニオン性化合物(アニオン性色
材)の凝集が起こらずに、アニオン性化合物が微粒子表
面に薄く均一に吸着するので、色材が巨大なレーキを形
成しにくく、その結果、色材本来の発色特性がより良好
な状態で発現されるものと考えられる。更に本発明のカ
チオン性の液体組成物では、アニオン性化合物を微粒子
表面に吸着した後も、微粒子が弱いカチオン性を呈しつ
つ分散不安定状態となることで、微粒子が凝集しながら
被記録媒体中に存在するアニオン性のセルロース繊維等
の表面に容易に吸着して、被記録媒体の表面近傍に残り
易くなっていると考えられる。
【0096】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、インクジェット用コート
紙並みの優れた発色特性と、シャドウ部やベタ部等のイ
ンク付与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが
少なく、色の均一性に優れたものとなる。また、コート
紙と比べて極めて効率よく微粒子にアニオン性化合物が
吸着し発色するために、カチオン性微粒子の付与量も少
なくできるので、とりわけ普通紙に印字した場合には、
紙の風合いを損なうことがなく、印字部の耐擦過性にも
優れる。より好ましいゼータ電位の範囲としては、例え
ば、ゼータ電位が+10〜+85mVの範囲にあるカチ
オン性微粒子を含む液体組成物を使用した場合には、ベ
タ印字した際にドット間の境界が目立ち難くなり、ヘッ
ドスキャンによるスジムラのより一層の低減を達成する
ことができ、更には、ゼータ電位が+15〜+65mV
の範囲にあるカチオン性微粒子を含む液体組成物を使用
すると、紙種に因らず、極めて優れた発色性を有する画
像を得ることが可能となる。
【0097】本発明のカチオン性の液体組成物のpH
は、保存安定性とアニオン性化合物の吸着性の観点か
ら、25℃付近で2〜7の範囲にあることが好ましい。
このpHの範囲内においては、アニオン性のインクと混
合した際に、アニオン性化合物の安定性を著しく低下さ
せることがないため、アニオン性化合物同士の強い凝集
を引き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がった
り、くすんだ画像となることを有効に防止することがで
きる。また、上記範囲内であるとカチオン性微粒子の分
散状態も良好であるので、液体組成物の保存安定性や記
録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持することができ
る。更にはインクと混合した際に、アニオン性物質がカ
チオン性微粒子表面に十分に吸着されるので、被記録媒
体内部への色材の過度の浸透が抑えられ、優れた発色性
のインクジェット記録物を得られる。より好ましいpH
の範囲としては、pHが3〜6であり、この範囲では、
長期保存による記録ヘッドの腐食を極めて有効に防止で
きると共に、印字部の耐擦過性もより一層向上する。
【0098】(カチオン性微粒子)次に、本発明のカチ
オン性の液体組成物を構成する成分について述べる。第
1の成分として挙げられるカチオン性の微粒子は、上記
した作用効果を達成するために、液体組成物中に分散さ
れた状態において粒子自体の表面がカチオン性を呈する
ことを要する。表面をカチオン性とすることによって、
アニオン性のインクと混合した際に、アニオン性の色材
が粒子表面に速やかに吸着し、色材の被記録媒体内部へ
の過度の浸透が抑えられるので、十分な画像濃度のイン
クジェット記録物が得られる。これに対し、微粒子表面
がカチオン性でなく、且つ液体組成物の中で水溶性のカ
チオン性化合物と別々に存在しているような場合には、
カチオン性化合物を中心に色材が凝集を起こし、色材自
体の発色特性を損なうためにインクジェット用コート紙
並みの発色性を達成することが困難となる。そのため本
発明の液体組成物に用いられる微粒子は、その表面がカ
チオン性である必要があるが、本質的にカチオン性であ
る微粒子は勿論のこと、本来は静電的にアニオン性或い
は中性である微粒子であっても、処理によって表面がカ
チオン化された微粒子であれば本発明の液体組成物に用
いることができる。
【0099】本発明で好適に用いられるカチオン性微粒
子は、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子による
凝集物に細孔が形成されるものであれば本発明の目的を
達成するに十分であるため、特に微粒子の材料種に限定
はない。一例として具体例をあげるとすれば、例えば、
カチオン化した、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、
チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカボリア、セリ
ア、マグネシア、シリカマグネシア、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等や
これらの複合微粒子や有機微粒子、無機有機複合微粒子
などが挙げられる。そして、本発明の液体組成物におい
ては、これらを一種又は二種以上混合して使用すること
ができる。
【0100】特に微粒子としてアルミナ水和物を用いた
場合は粒子表面が正電荷をもっているため好ましく、中
でもX線回折法で、べーマイト構造を示すアルミナ水和
物が優れた発色性や色の均一性、保存安定性等の点で好
ましい。アルミナ水和物は下記の一般式により定義され
る。
【0101】Al2O3−n(OH)2n・mH2O但
し式中、nは0〜3の整数の一つを表し、mは0〜1
0、好ましくは0〜5の値を有する。mH2Oの表現
は、多くの場合に結晶格子の形成に関与しない脱離可能
な水相を表すものであり、そのために、mは整数でない
値をとることもできる。但し、mとnは同時に0とはな
らない。
【0102】一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和
物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層
状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示
す。完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰
な水を(020)面の層間に含んだ構造をとることもで
きる。この擬ベーマイトのX線回折図形はベーマイトよ
りもブロードな回折ピークを示す。
【0103】ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別の
できるものではないので、本発明では特に断わらない限
り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物
(以下アルミナ水和物という)という。(020)面が
面間隔及び(020)の結晶厚さは、回折速度2θが1
4〜15°に現れるピークを測定して、ピークの回折角
度2θと半値幅Bから、面間隔はブラッグ(Brag
g)の式で、結晶厚さはシェラー(Scherrer)
の式を用いて求めることができる。(020)の面間隔
はアルミナ水和物の親水性・疎水性の目安として用いる
ことができる。本発明で用いるアルミナ水和物の製造方
法としては、特に限定されないが、ベーマイト構造をも
つアルミナ水和物を製造できる方法であれば、例えば、
アルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミン酸ナト
リウムの加水分解等の公知の方法で製造することができ
る。
【0104】特開昭56−120508号公報に開示さ
れているように、X線回折的に無定形のアルミナ水和物
を、水の存在下で50℃以上で加熱処理することによっ
てベーマイト構造に変えて用いることができる。特に好
ましく用いることができる方法は、長鎖のアルミニウム
アルコキシドに対して酸を添加して加水分解・解膠を行
うことによってアルミナ水和物を得る方法である。ここ
で、長鎖のアルミニウムアルコキシドとは、例えば、炭
素数が5以上のアルコキシドであり、更に炭素数12〜
22のアルコキシドを用いると、後述するようにアルコ
ール分の除去及びアルミナ水和物の形状制御が容易にな
るため好ましい。
【0105】添加する酸としては有機酸及び無機酸の中
から1種又は2種以上を自由に選択して用いることがで
きるが、加水分解の反応効率及び得られたアルミナ水和
物の形状制御や分散性の点で硝酸が最も好ましい。この
工程の後に水熱合成等を行って粒子径を制御することも
可能である。硝酸を含むアルミナ水和物の分散液を用い
て水熱合成を行うと、水溶液中の硝酸がアルミナ水和物
表面に硝酸根として取り込まれ、該水和物の水分散性を
向上させることができる。また、水熱合成の後、アルミ
ナ水和物スラリーに適宜酸を加えpH調整し濃縮するこ
とで、少量の酸濃度で極めて安定な高固形分濃度のアル
ミナ水和物スラリーを調製することができる。こうした
スラリーを用いた場合は後述する酸を別途外添する必要
なくアルミナ水和物微粒子の分散安定性に優れた液体組
成物を作製することが出来る。
【0106】上記アルミニウムアルコキシドの加水分解
による方法は、アルミナヒドロゲルやカチオン性アルミ
ナを製造する方法と比較して、各種イオン等の不純物が
混入し難いという利点がある。更に長鎖のアルミニウム
アルコキシドは加水分解後の長鎖のアルコールが、例え
ば、アルミニウムイソプロキシド等の短鎖のアルコキシ
ドを用いる場合と比較して、アルミナ水和物の脱アルコ
ールを完全に行うことができるという利点もある。加水
分解の開始時の溶液のpHを6未満に設定することが好
ましい。pHが8を越えると、最終的に得られるアルミ
ナ水和物が結晶質になるので好ましくない。
【0107】また、本発明で用いられるアルミナ水和物
としては、X線回折法でベーマイト構造を示すものであ
れば、二酸化チタン等の金属酸化物を含有したアルミナ
水和物を用いることもできる。二酸化チタン等の金属酸
化物の含有比率はアルミナ水和物の0.01〜1.00
重量%が光学濃度が高くなるので好ましく、より好まし
くは0.13〜1.00重量%であり、色材の吸着速度
が速くなって、ニジミやビーディングが発生し難くな
る。更に前記二酸化チタンはチタンの価数が+4価であ
ることが必要である。二酸化チタンの含有量は硼酸に融
解してICP法で調べることができる。また、アルミナ
水和物中の二酸化チタンの分布とチタンの価数はESC
Aを用いて分析することができる。
【0108】アルミナ水和物の表面をアルゴンイオンで
100秒及び500秒エチングして、チタンの含有量の
変化を調べることができる。二酸化チタンはチタンの価
数が+4価よりも小さくなると、二酸化チタンが触媒と
して働くようになって印字物の耐候性が低下したり、印
字部の黄変が起こりやすくなることがある。
【0109】二酸化チタンの含有はアルミナ水和物の表
面近傍だけでもよく、内部まで含有していてもよい。ま
た、含有量が表面から内部にかけて変化していてもよ
い。表面のごく近傍にのみ二酸化チタンが含有されてい
ると、アルミナ水和物の電気的特性が維持され易いの
で、更に好ましい。
【0110】二酸化チタンを含有したアルミナ水和物の
製造方法としては、例えば、学会出版センター刊「表面
の科学」第327頁(田丸謙二編、1985年)に記載
されているような、アルミニウムアルコキシドとチタン
アルコキシドの混合液を加水分解して製造する方法が好
ましい。その他の方法としては前記アルミニウムアルコ
キシドとチタンアルコキシドの混合液を加水分解すると
きに、結晶成長の核としてアルミナ水和物を添加して製
造することもできる。
【0111】二酸化チタンの代わりにシリカ、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、
硼素、ゲルマニウム、錫、鉛、ジルコニウム、インジウ
ム、燐、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリ
ブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッ
ケル、ルテニウム等の酸化物を含有させて用いることが
できる。例えば、シリカを含有したアルミナ水和物は印
字部の耐擦過性の向上に効果がある。
【0112】本発明に好適に用いられるアルミナ水和物
の(020)面の面間隔は0.614nm〜0.626
nmの範囲が好適に用いられ、この範囲内では液体組成
物中でのアルミナ水和物粒子の分散安定性が良好で、保
存安定性や吐出安定性に優れた液体組成物が得られる。
この理由は定かでないが、(020)面の面間隔が上記
範囲内であれば、アルミナ水和物の疎水性及び親水性の
量比率が適度な範囲であるため、液体組成物中で粒子同
士の適度な反発による分散安定や吐出口内部での濡れ性
のバランスが適度であることにより、液体組成物の吐出
安定性が良好になるものと推測している。
【0113】また、アルミナ水和物の(020)面の結
晶厚さは4.0〜10.0nmの範囲が好ましく、この
範囲内であると透明性や色材の吸着性が優れるために好
ましい。本発明者らの知見によれば、(020)面の面
間隔と(020)面の結晶厚さは相関があるので、(0
20)面の面間隔が上記範囲内であれば(020)面の
結晶厚さを4.0〜10.0nmの範囲に調整すること
ができる。更に、上記アルミナ水和物や金属アルミニウ
ム、アルミニウム塩等をか焼等の熱処理することにより
作製されるアルミナ(酸化アルミニウム)も同様に正電
荷をもつため好適に用いられる。アルミナとしては、α
型、γ型、更に、δ、χ、η、ρ、β型等の結晶状態を
持つものがあり、表面がカチオン性に保たれた形で、水
中にて安定的に分散するものであればいずれも用いるこ
とができる。中でもγ型は、表面が活性で、色材の吸着
力が高く、比較的微粒化された安定な微粒子分散体も形
成し易いため、発色性や保存性、吐出安定性等に優れ、
好適に用いることができる。
【0114】また、本発明で使用する上記したようなカ
チオン性微粒子は、印字後の発色性、色の均一性及び保
存安定性等の観点から、動的光散乱方式により測定され
る平均粒子直径が0.005〜1μmの範囲のものが好
適に用いられる。この範囲内では、被記録媒体内部への
過度の浸透を有効に防ぐことができ、発色性や色の均一
性の低下を抑えることができる。また、カチオン性微粒
子が液体組成物中で沈降することも抑えられ、液体組成
物の保存安定性の低下も有効に防止することができる。
より好ましくは平均粒子直径が0.01〜0.8μmの
範囲内のものであり、このような微粒子を用いれば、被
記録媒体に印字した後の画像の耐擦過性や記録物の質感
が特に好ましいものとなる。更に好ましくは平均粒子直
径が0.03〜0.3μmの範囲内のものであり、この
ような微粒子は被記録媒体上で形成される微粒子凝集物
の細孔が、目的とする細孔半径領域において効果的に形
成しやすいため好ましい。
【0115】(カチオン性微粒子の細孔物性・形状)ま
た、本発明で使用する上記したようなカチオン性微粒子
は、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効
率的に形成すると同時に、微粒子自体の表面に色材を効
率よく吸着させるうえにおいて、上記窒素吸着脱離法に
おける微粒子の極大細孔半径が2nm〜12nmで、全
細孔容積が0.3ml/g以上であるものが好ましい。
より好ましくは微粒子の極大細孔半径が3nm〜10n
mで、全細孔容積が0.3ml/g以上であるものが、
被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的
とする細孔半径領域において効果的に形成されやすいた
め好ましい。
【0116】本発明で使用する上記微粒子のBET比表
面積が70〜300m2/gの範囲内であると、微粒子
表面への色材の吸着点が十分存在することによって、単
分子状態で色材をより効果的に被記録媒体の表面近傍に
残しやすくなり、発色性の向上に寄与する。
【0117】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察す
ることができる。本発明においては被記録媒体上で微粒
子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形成させる
点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは球状の1
次粒子が、ある方向性を持って繋がった二次粒子を形成
している棒状やネックレス状等の非球形状のものを好適
に用いることができる。
【0118】本発明者らの知見によれば、平板状の形状
の方が針状や毛状束(繊毛状)よりも水への分散性が良
く、微粒子凝集物を形成した場合に微粒子の配向がラン
ダムになるために細孔容積が大きくなるのでより好まし
い。ここで毛状束形状とは針状の微粒子が側面同志を接
して髪の毛の束のように集まった状態をいう。特に本発
明で好ましく用いることが出来るアルミナ水和物の中で
も擬ベーマイトには前記文献(RocekJ.,eta
l,AppliedCatalysis,74巻、29
〜36頁、1991年)に記載されたように、繊毛状と
それ以外の形状があることが一般に知られている。
【0119】平板形状の粒子のアスペクト比は特公平5
−16015号公報に定義されている方法で求めること
ができる。アスペクト比は粒子の厚さに対する直径の比
で示される。ここで直径とは、アルミナ水和物を顕微鏡
又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等し
い面積を有する円の直径を示すものとする。縦横比はア
スペクト比と同じように観察して平板面の最小値を示す
直径と最大値を示す直径の比で表わされる。また、毛状
束形状の場合には、アスペクト比を求める方法は、毛状
束を形成する個々の針状のアルミナ水和物粒子を円柱と
して、上下の円の直径と長さをそれぞれ求めて、その比
をとって求めることができる。最も好ましいアルミナ水
和物の形状は、平板状では平均アスペクト比が3〜10
の範囲で、毛状束では平均アスペクト比が3〜10の範
囲が好ましい。平均アスペクト比が上記範囲内であれ
ば、微粒子凝集物を形成したときに粒子間に隙間が形成
され易いため多孔質構造を容易に形成することができ
る。
【0120】本発明の液体組成物中における上記したよ
うなカチオン性微粒子の含有量としては、使用する物質
の種類により、最適な範囲を適宜決定すればよいが、質
量基準で0.1〜40%の範囲が本発明の目的を達成す
るうえで好適な範囲であり、より好ましくは1〜30
%、更には3〜15%の範囲が好適である。このような
範囲内では、紙種に因らず優れた発色の画像を安定に得
ることができ、また液体組成物の保存安定性や吐出安定
性にも特に優れている。
【0121】(酸)先に述べたように、本発明の液体組
成物は、酸を含み、pHが2〜7に調整されたものであ
ることが好ましいが、この第2の成分である酸は、カチ
オン性微粒子表面をイオン化し、表面電位を高めること
により、液中での微粒子の分散安定性を向上させると共
に、インク中のアニオン性化合物(アニオン性色材)の
吸着性向上や、液体組成物の粘度調整の役割を果たす。
本発明に好適に用いられる酸は、使用するカチオン性微
粒子と組み合わせて、所望のpHやゼータ電位或いは微
粒子分散性等の物性が得られるものであれば特に限定は
なく、下記に挙げる無機酸や有機酸等から自由に選択し
て使用することができる。
【0122】具体的には、無機酸としては、例えば、塩
酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、硼酸、炭酸等
が挙げられ、有機酸としては、例えば、下記に挙げるよ
うなカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸等が挙げられ
る。
【0123】カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢
酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フル
オロ酢酸、トリメチル酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト
酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、
フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイ
ル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−クロ
ロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ブロモ安息香
酸、m−ブロモ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、o−ニ
トロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、p
−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安
息香酸、p−アミノ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、
m−メトキシ安息香酸、p−ャgキシ安息香酸等が挙げ
られる。
【0124】また、スルホン酸としては、例えば、ベン
ゼンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、エチルベ
ンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、1−
スルホナフタレン、2−スルホナフタレン、ヘキサンス
ルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等
が挙げられる。
【0125】また、アミノ酸としては、グリシン、アラ
ニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−
アラニン、タウリン、セリン、ε−アミノ−n−カプロ
ン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン等が
挙げられる。
【0126】そして、本発明の液体組成物においては、
これらを一種又は二種以上混合して使用することができ
る。これらの中でも、酸の水中での一次解離定数pka
が5以下のものは、カチオン性微粒子の分散安定性やア
ニオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用い
ることができる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、燐
酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、マレイン
酸、マロン酸等が挙げられる。本発明の液体組成物で
は、液体組成物中におけるカチオン性微粒子(A)と酸
(B)の混合比率を、重量基準でA:B=200:1〜
5:1、より好ましくは150:1〜8:1の範囲とな
るようにすることが、カチオン性微粒子の分散安定性の
向上及びアニオン性化合物の微粒子表面への吸着性の向
上を図るうえで好ましい。
【0127】(他の構成成分)次に、カチオン性の液体
組成物を構成するその他の成分について具体的に説明す
る。本発明のカチオン性の液体組成物は、上記したカチ
オン性微粒子を必須の成分とし、好ましくは上記したよ
うな酸を含み、その他に、通常は液媒体として水を含む
が、更に水溶性有機溶剤及びその他の添加剤を含んでい
てもよい。
【0128】この際に使用する水溶性有機溶剤として
は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレ
ングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アル
コールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチル
アルコール等の1価アルコール類の他、グリセリン、N
−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダ
ゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメ
チルサルホキサイド等が挙げられる。上記水溶性有機溶
剤の含有量については特に制限はないが、例えば、液体
組成物全重量の5〜60%、更には5〜40%が好適な
範囲である。
【0129】また、本発明の液体組成物には、更にこの
他、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、
各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進剤、水溶性カ
チオン性化合物やバインダー樹脂等の添加剤を適宜に配
合しても構わない。界面活性剤の選択は、液体組成物の
被記録媒体への浸透性を調整するうえで特に重要であ
る。水溶性カチオン性化合物は、液体組成物のカチオン
性の更なる付与等を目的に、本発明の作用効果を阻害し
ない範囲において自由に選択し、添加できる。
【0130】バインダー樹脂は、カチオン性微粒子の更
なる耐擦過性の向上等の目的で、被記録媒体の質感や液
体組成物の保存安定性や吐出安定性を損ねない範囲にお
いて併用することができ、例えば、水溶性ポリマーやエ
マルジョン、ラテックス等から自由に選択し、使用する
ことができる。
【0131】(液体組成物の表面張力)本発明の液体組
成物は、無色或いは白色であることがより好ましいが、
被記録媒体の色に合わせて調色を行ってもよい。更に以
上のような液体組成物の各種物性の好適な範囲として
は、表面張力を10〜60mN/m(dyn/cm)、
より好ましくは10〜40mN/m(dyn/cm)と
し、粘度を1〜30mPa・s(cP)としたものであ
る。
【0132】[アニオン性液体組成物]本発明で適用可
能な液体組成物としては上記カチオン性液体組成物に限
られるものではなく、アニオン性液体組成物も適用可能
である。本発明のアニオン性の液体組成物は、アニオン
性基を表面に有する微粒子を必須の構成成分とし、該微
粒子が安定に分散していることを特徴とするが、更には
塩基を含み、pHが7〜12に調整されているものや、
ゼータ電位が−5〜−90mVであるものが好ましい。
【0133】(pH及びゼータ電位について)本発明者
らが鋭意検討した結果、液体組成物のゼータ電位が−5
〜−90mVの範囲にあるものは、インク中のカチオン
性化合物(カチオン性色材)がアニオン性微粒子の表面
に特に効率よく吸着し、被記録媒体上において特に優れ
た発色特性を呈することを見出した。その理由は定かで
はないが、おそらく先に説明したカチオン性液体組成物
の場合と同様に、微粒子のアニオン性が適度であるため
に、インク中のカチオン性化合物の急速な凝集が起こら
ずに、微粒子表面に薄く均一に吸着することで色材が巨
大なレーキを形成せず、色材本来の発色特性がよりよく
発現されるものと考えられる。更に本発明のアニオン性
の液体組成物においては、カチオン性化合物を微粒子表
面に吸着した後に分散不安定となり、被記録媒体上で溶
媒成分が浸透する際の濃度変化で微粒子同士が凝集して
表面近傍に残り易くなるものと考えられる。
【0134】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、インクジェット用コート
紙並みの優れた発色特性とシャドウ部やベタ部等のイン
ク付与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが少
なく色の均一性に優れる。また、コート紙と比べて極め
て効率よく微粒子表面にカチオン性化合物が吸着し、発
色するために、アニオン性微粒子の付与量も少なくで
き、とりわけ普通紙に印字した場合には、紙の風合いが
保たれ、印字部の耐擦過性も良くなる。より好ましいゼ
ータ電位の範囲としては、例えば、ゼータ電位が−10
〜−85mVの範囲にあるアニオン性微粒子を含む液体
組成物を使用した場合には、ベタ印字した際にドット間
の境界が目立ち難くなり、ヘッドスキャンによるスジム
ラのより一層の低減を達成することができ、更には、ゼ
ータ電位が−15〜−65mVの範囲にあるアニオン性
微粒子を含む液体組成物を使用すると、紙種に因らず、
極めて優れた発色性を有する画像を得ることが可能とな
る。
【0135】本発明のアニオン性の液体組成物のpH
は、保存安定性とカチオン性化合物の吸着性の観点から
25℃付近で7〜12の範囲であることが好ましい。こ
のpH範囲内においては、カチオン性のインクと混合し
た際に、カチオン性化合物の安定性を著しく低下させる
ことがないため、カチオン性化合物同士の強い凝集を引
き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がったり、く
すんだ画像となることを有効に防止することができる。
また、上記のような範囲内にあれば、アニオン性微粒子
の分散性も良好であるため、液体組成物の保存安定性や
記録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持することがで
きる。更にはインクと混合した際に、カチオン性物質が
アニオン性微粒子表面に十分に吸着され、被記録媒体の
内部への色材の過度の浸透を抑えるため、優れた発色性
のインクジェット記録物を得られる。より好ましい液体
組成物のpHの範囲は、8〜11であり、pHがこの範
囲内であれば、長期保存による記録ヘッドの腐食を極め
て有効に防止できると共に、印字部の耐擦過性もより一
層向上する。
【0136】(アニオン性微粒子)次に、本発明のアニ
オン性の液体組成物を構成する成分について述べる。第
1の成分として挙げられるアニオン性の微粒子は、上記
した作用効果を達成するために、液体組成物中に分散さ
れた状態において粒子自体の表面がアニオン性を呈する
ものであることが好ましい。表面をアニオン性とするこ
とによってカチオン性のインクと混合した際に、カチオ
ン性の色材を粒子表面に吸着でき、色材が被記録媒体内
部へ過度に浸透することが抑えられるので、十分な画像
濃度のインクジェット記録物を得ることができる。これ
に対し、微粒子表面がアニオン性でなく、且つ液体組成
物の中で、水溶性のアニオン性化合物と別々に存在して
いる場合には、アニオン性化合物を中心に色材が凝集を
起こし、色材自体の発色特性を損なうために、インクジ
ェット用コート紙並みの発色性を達成することが困難と
なる。そのため本発明の液体組成物で用いる微粒子は、
表面がアニオン性に帯電していることが必要であるが、
本質的にアニオン性である微粒子は勿論のこと、本来は
静電的にカチオン性或いは中性の微粒子であっても、処
理によって表面がアニオン化された微粒子であれば用い
ることができる。
【0137】本発明で好適に用いられるアニオン性微粒
子は、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子による
凝集物に細孔が形成されるものであれば本発明の目的を
達成するに十分であるため、特に微粒子の材料種に限定
はない。一例として具体例をあげるとすれば、例えば、
アニオン化した、シリカ、チタニア、ジルコニア、ボリ
ア、シリカボリア、セリア、マグネシア、シリカマグネ
シア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛等
やこれらの複合微粒子や有機微粒子、無機有機複合微粒
子などが挙げられる。そして、本発明の液体組成物にお
いては、これらを一種又は二種以上混合して使用するこ
とができる。
【0138】また、本発明で使用するアニオン性微粒子
は、先に説明したカチオン性微粒子の場合と同様に、印
字後のインクの発色性、色の均一性及び保存安定性の観
点から、動的光散乱方式により測定される平均粒子直径
が0.005〜1μmの範囲のものが好適である。より
好ましくは平均粒子直径が0.01〜0.8μmの範囲
内のものであり、このような微粒子を用いれば、被記録
媒体に印字した後の耐擦過性や質感が特に好ましいもの
となる。更に好ましくは平均粒子直径が0.03〜0.
3μmの範囲内のものであり、このような微粒子は被記
録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的とす
る細孔半径領域において効果的に形成しやすいため好ま
しい。
【0139】(アニオン性微粒子の細孔物性・形状)ま
た、本発明で使用する上記したようなアニオン性微粒子
は、被記録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効
率的に形成すると同時に、微粒子自体の表面に色材を効
率よく吸着させるうえにおいて前記窒素吸着脱離法にお
ける微粒子の極大細孔半径が2nm〜12nmで、全細
孔容積が0.3ml/g以上であるものが好ましい。よ
り好ましくは微粒子の極大細孔半径が3nm〜10nm
で、全細孔容積が0.3ml/g以上であるものが被記
録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的とす
る細孔半径領域において効果的に形成されやすいため好
ましい。本発明で使用する微粒子のBET比表面積は7
0〜300m2/gの範囲内であると、微粒子表面への
色材の吸着点が十分存在ことによって単分子状態で色材
をより効果的に被記録媒体の表面近傍に残しやすくな
り、発色性の向上に寄与する。
【0140】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察す
ることができる。本発明においては被記録媒体上で微粒
子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形成させる
点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは球状の1
次粒子がある方向性を持って繋がった二次粒子を形成し
ている棒状やネックレス状等の非球形状のものを好適に
用いることができる。本発明者らの知見によれば、平板
状の形状の方が針状よりも水への分散性が良く、微粒子
凝集物を形成した場合に微粒子の配向がランダムになる
ために細孔容積が大きくなるのでより好ましい。
【0141】上記したようなアニオン性微粒子の液体組
成物中の含有量としては、使用する物質の種類により、
最適な範囲を適宜に決定すればよいが、重量基準で0.
1〜40重量%の範囲とすることが本発明の目的を達成
する上で好適な範囲であり、より好ましくは1〜30重
量%、更には3〜15重量%の範囲が好適である。この
ような範囲内では、紙種に因らず、優れた発色の画像を
安定に得ることができ、また液体組成物の保存安定性や
吐出安定性にも特に優れている。
【0142】(塩基)先に述べたように、本発明のアニ
オン性の液体組成物は、塩基を含み、pHが7〜12に
調整されたものであることが好ましいが、この第2の成
分である塩基は、アニオン性微粒子表面をイオン化し、
表面電位を高めることにより液中での分散安定性を向上
させると共に、インク中のカチオン性化合物(カチオン
性色材)の吸着性向上や液体組成物の粘度調整の役割を
果たす。本発明に好適に用いられる塩基は、使用するア
ニオン性微粒子と組み合わせた場合に、所望のpH、ゼ
ータ電位及び微粒子分散性等の物性が得られるものであ
れば特に限定はなく、下記に挙げるような無機化合物や
有機化合物等から自由に選択して、使用することができ
る。
【0143】具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、
アンモニア、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、モル
ホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、
ノルマルブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノ
ールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタ
ノールアミン、ノルマルブチルジエタノールアミン、ジ
ノルマルブチルエタノールアミン、モノイソプロパノー
ルアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパ
ノールアミン等のアルカノールアミンを用いることがで
きる。これらの中でも特に、塩基の水中での一次解離定
数pkbが5以下の塩基は、アニオン性微粒子の分散安
定性やカチオン性化合物(カチオン性色材)の吸着性に
特に優れるため、好適に用いられる。
【0144】本発明の液体組成物中でのアニオン性微粒
子(A)と塩基(B)の混合比率は、重量基準で:B=
200:1〜5:1、より好ましくは150:1〜8:
1の範囲であれば、アニオン性微粒子の分散安定性や、
該微粒子表面へのカチオン性化合物の吸着性に優れるた
め好ましい。
【0145】(他の構成成分)次に、アニオン性の液体
組成物を構成するその他の成分について具体的に説明す
る。本発明のアニオン性の液体組成物は、上記したアニ
オン性微粒子を必須の成分とし、好ましくは上記したよ
うな塩基を含み、その他に、通常は液媒体として水を含
むが、更に水溶性有機溶剤及びその他の添加剤、例え
ば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、各種界面活性
剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、水溶性アニオン性化合物
やバインダー樹脂等の添加剤を適宜配合してもかまわな
い。
【0146】(液体組成物の表面張力)本発明のアニオ
ン性の液体組成物は、無色或いは白色であるのがより好
ましいが、被記録媒体の色に合わせて調色を行ってもよ
い。更に以上のような液体組成物の各種物性の好適な範
囲としては、表面張力を10〜60mN/m(dyn/
cm)、より好ましくは10〜40mN/m(dyn/
cm)とし、粘度を1〜30mPa・s(cP)とした
ものである。
【0147】(液体組成物の製造方法)前記微粒子を含
む本発明の液体組成物の製造方法としては、一般に分散
に用いられている方法等の中から選択して用いることが
できる。具体的には液体組成物中の微粒子の平均粒子径
や粒度分布を上記範囲にするために、ロールミル、サン
ドミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超高
圧乳化機(例えば商品名ナノマイザーなど)等の分散機
を用いて分散処理や、遠心分離や限外ろ過等による分級
処理等が好適に用いられ,これらの処理手段によって液
体組成物中の微粒子の分散粒子径を揃えることが出来
る。
【0148】<水性インク> [アニオン性インク]次に、上記で説明したカチオン性
の液体組成物と組み合わせて本発明のインクセットを構
成する水性のアニオン性インクについて説明する。ここ
でいうインクセットとは、本発明の液体組成物と、アニ
オン性物質(アニオン性色材)を含有する少なくとも一
種類以上のアニオン性インクとの組み合わせをいう。ま
た、このインクセットから本発明の液体組成物を除い
た、少なくとも一種類のインクの組み合わせをインクサ
ブセットと呼ぶ。本発明で使用するアニオン性インク
は、色材としてアニオン性基を含有する水溶性染料を用
いるか或いは色材として顔料を用いる場合には、アニオ
ン性化合物を併用させたもの(これも本発明ではアニオ
ン性色材という)を用いることが好ましい。本発明で使
用される上記のようなアニオン性インクには、更にこれ
に、水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘
度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止
剤等が必要に応じて含まれて構成される。以下、これら
のインクの各構成成分について説明する。
【0149】(水溶性染料)本発明で使用するアニオン
性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラーイン
デックス(Color Index)に記載されている
水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料であれば特に
限定されない。また、カラーインデックスに記載のない
ものでも、アニオン性基、例えば、スルホン基、カルボ
キシル基等を有するものであれば特に限定されない。こ
こでいう水溶性染料の中には、溶解度のpH依存性があ
るものも含まれる。
【0150】(顔料)水性のアニオン性インクの別の形
態としては、上記のようなアニオン性基を有する水溶性
染料の代わりに、顔料及びアニオン性化合物を用い、
水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調
整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等
を必要に応じて含むインクであってもよい。ここで、ア
ニオン性化合物が顔料の分散剤であってもよいし、顔料
の分散剤がアニオン性でない場合に、分散剤とは別のア
ニオン性化合物を添加したものでもよい。勿論、分散剤
がアニオン性化合物である場合でも、更に他のアニオン
性化合物を添加したものでもよい。
【0151】本発明で使用することができる顔料には特
に限定はないが、例えば、以下に説明する顔料が好適に
使用できる。
【0152】先ず、ブラック顔料インクに使用されるカ
ーボンブラックとしては、ファーネス法やチャネル法で
製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15〜40
mμm、BET法による比表面積が50〜300m2/
g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮
発分が0.5〜10重量%、pH値が2〜9を有するも
のが好ましい。
【0153】このようなものとしては、例えば、No.
2300、No.900、MCF88、No.40、N
o.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、
三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、
REGAL400R、REGAL660R、MOGUL
L(以上、キヤボット製)、ColorBlackFW
1、ColorBlackFW18、ColorBla
ckS170、ColorBlackS150、Pri
ntex35、PrintexU(以上、デグッサ製)
等の市販品を使用することができる。また、本発明のた
めに新たに試作されたものでもよい。
【0154】イエローインクに使用される顔料として
は、例えば、C.I.PigmentYellow1、
C.I.PigmentYellow2、C.I.Pi
gmentYellow3、C.I.PigmentY
ellow13、C.I.PigmentYellow
16、C.I.PigmentYellow83等が挙
げられる。
【0155】マゼンタインクとして使用される顔料とし
ては、例えば、C.I.PigmentRed5、C.
I.PigmentRed7、C.I.Pigment
Red12、C.I.PigmentRed48(C
a)、C.I.PigmentRed48(Mn)、
C.I.PigmentRed57(Ca)、C.I.
PigmentRed112、C.I.Pigment
Red122等が挙げられる。
【0156】シアンインクとして使用される顔料として
は、例えば、C.I.PigmentBlue 1、
C.I.PigmentBlue2、C.I.Pigm
entBlue 3、C.I.PigmentBlue
15:3、C.I.PigmentBlue16、C.
I.PigmentBlue22、C.I.VatBl
ue4、C.I.VatBlue6等が挙げられる。
【0157】また、上記いずれの色の色材に関しても、
本発明のために新たに製造されたものでも使用可能であ
る。
【0158】(顔料分散剤)本発明で使用するインクに
用いることができる顔料の分散剤としては、アニオン性
基の存在によって、顔料を水、若しくは水性媒体に安定
に分散させる機能を有する水溶性樹脂ならどんなもので
も使用可能である。特に、重量平均分子量が1,000
〜30,000の範囲のものが好ましい。更に好ましく
は3,000〜15,000の範囲である。具体的に
は、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタ
レン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不
飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等の疎水性
単量体、又はアクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン
酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導
体、フマル酸及びフマル酸誘導体から選ばれる二つ以上
の単量体からなるブロック共重合体、グラフト共重合体
或いはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられ
る。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶な
アルカリ可溶型の樹脂である。
【0159】更に親水性単量体からなるホモポリマー又
はそれらの塩でもよい。また、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物等の水溶性樹脂も使用することが
可能である。しかし、アルカリ可溶型の樹脂を用いた場
合の方が、分散液の低粘度化が可能で、分散も容易であ
るという利点がある。前記水溶性樹脂は、インク全量に
対して0.1〜5重量%の範囲で使用されることが好ま
しい。
【0160】本発明で使用し得る顔料インクは、以上の
ごとき顔料及び水溶性樹脂を水溶性媒体中に分散又は溶
解して構成される。本発明に用い得る顔料系インクにお
いて好適な水性媒体としては、水及び水溶性有機溶剤の
混合溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一
般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用す
るのが好ましい。
【0161】分散剤が、アニオン性高分子ではない場
合、上述した顔料を含むインクに更にアニオン性化合物
を添加することが好ましい。本発明で好適に使用される
アニオン性化合物としては、顔料分散剤の項で説明した
アルカリ可溶性樹脂等の高分子物質の他、下記に挙げる
ような低分子量のアニオン性界面活性剤を挙げることが
できる。
【0162】低分子量のアニオン性界面活性剤の具体的
なものとしては、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナ
トリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイ
ルエタノールアミドエステル二ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、カルボ
キシル化ポリオキシエチレンラウリルエーテルナトリウ
ム塩、カルボキシル化ポリオキシエチレントリデシルエ
ーテルナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウ
ム、アルキル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる
が、これらに限定されるわけではない。以上のようなア
ニオン性物質の好適な使用量としては、インク全量に対
して、0.05〜10重量%の範囲であり、更に好適に
は0.05〜5重量%である。
【0163】(自己分散型顔料)また、アニオン性のイ
ンクに用いることのできる顔料としては、分散剤を用い
ることなしに、水若しくは水性媒体に分散させることの
できる自己分散型の顔料も使用できる。自己分散型の顔
料は、顔料表面に少なくとも1種のアニオン性親水性基
が直接若しくは他の原子団を介して結合されているもの
である。アニオン性の親水性基としては、例えば、下記
に挙げた親水性基の中から選択される少なくとも1種で
あるもの、更に他の原子団が、炭素原子数1〜12のア
ルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基
を有してもよいナフチル基であるものが挙げられる。
【0164】−COOM、−SO3M、−SO2NH
2、−PO3HM、−PO3M2 (上記式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニ
ウム、又は有機アンモニウムを表わす。) このように顔料表面への親水性基の導入によってアニオ
ン性に帯電させた顔料は、イオンの反発によって優れた
水分散性を有するため、水性インク中に含有させた場合
にも分散剤等を添加しなくても安定した分散状態を維持
する。特に顔料がカーボンブラックである場合に好まし
い。
【0165】(インク中の添加成分)また、上記の成分
の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとする
ために、界面活性剤、消泡剤或いは防腐剤等をインク中
に添加することができ、更に市販の水溶性染料等を添加
することもできる。
【0166】界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級ア
ルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩
類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
ソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコー
ル、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤が
あり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用で
きる。その使用量は、分散剤の添加量により異なるが、
インク全量に対して、0.01〜5重量%が望ましい。
この際、インクの表面張力は30mN/m(dyn/c
m)以上になるように活性剤の添加する量を決定するこ
とが好ましい。なぜなら、本発明で使用するインクジェ
ット記録方式においては、ノズル先端の濡れによる印字
ヨレ(インク滴の着弾点のズレ)等の発生を有効に抑え
ることができるからである。
【0167】以上で説明したような顔料系インクの作成
方法としては、はじめに、顔料分散用樹脂及び水を少な
くとも含有する水溶液に、顔料を添加して攪拌した後、
後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて
遠心分離処理を行って、所望の分散液を得る。次に、こ
の分散液に上記に掲げたような成分を更に加えて攪拌し
て、インクとすればよい。
【0168】また、アルカリ可溶型の樹脂を使用する場
合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することを
要する。この際、樹脂を溶解させるためのアミン或いは
塩基の量は、樹脂の酸価から計算によって求められるア
ミン或いは塩基量の1倍以上を添加することが必要であ
る。アミン或いは塩基の量は、以下の式によって計算で
求められる。
【0169】
【外19】
【0170】更に顔料を含む水溶液を分散処理する前に
プレミキシングを30分間以上行うと、顔料の分散効率
が良くなる。このプレミキシング操作は、顔料表面の濡
れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進するも
のである。
【0171】アルカリ可溶型樹脂を使用した場合の分散
液に添加される塩基類としては、例えば、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機ア
ミン或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機
塩基を用いることが好ましい。
【0172】一方、顔料インクの調製に使用する分散機
は、一般に使用される分散機ならいかなるものでもよい
が、例えば、ボールミル、サンドミル等が挙げられる。
その中でも、高速型のサンドミルが好ましく、例えば、
スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジ
テータミル、グレンミル、ダイノールミル、パールミ
ル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0173】尚、本発明で使用するインクは、上記成分
の他に必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤、p
H調製剤、防錆剤、防カビ剤、酸化防止剤、蒸発促進
剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等の添加剤を添加
してもよい。
【0174】本発明で用いることのできる上記色材を溶
解又は分散する液媒体は、水と水溶性有機溶剤との混合
物であることが好ましい。具体的な水溶性有機溶剤とし
ては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、
n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、te
rt−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルア
ルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジアキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングコリコール等のポリアルキ
レングリコール類、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−へキサントリオール、チオジグリコー
ル、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレング
リコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチ
ル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ
メチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低
級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラ
ン、ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε
−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイ
ミド等のイミド化合物等が挙げられる。
【0175】上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般に
は、インクの全重量に対して重量%で1%〜40%が好
ましく、より好ましくは3%〜30%の範囲である。ま
た、インク中の水の含有量は30〜95重量%の範囲と
した場合、色材の溶解性なども良好であり、インクの粘
度が高くなることを抑えることができ、且つ固着特性を
十分に満足させることができる。
【0176】本発明で使用するアニオン性インクは、一
般の水性筆記用具としても使用できるが、熱エネルギー
によるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイ
プのインクジェット記録方法に適用する場合に特に好適
であり、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの
発生等が生じないという特徴がある。但し、この場合に
は、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導
率)を調整する場合もある。
【0177】[カチオン性インク]次に、先に説明した
アニオン性の液体組成物と組み合わせて本発明のインク
セットを構成する水性のカチオン性インクについて説明
する。ここでいうインクセットとは、本発明の液体組成
物とカチオン性物質(カチオン性色材)を含有する少な
くとも一種類以上のインクとの組み合わせをいう。ま
た、このインクセットから本発明の液体組成物を除い
た、少なくとも一種類以上のインクの組み合わせをイン
クサブセットと呼ぶ。本発明で使用するカチオン性イン
クは、色材として、カチオン性基を含有する水溶性染料
を用いるか、又は色材として顔料を用いる場合には、カ
チオン性化合物を併用させること(本発明ではこの併用
もカチオン性色材という)が好ましい。本発明で使用さ
れる上記のようなインクには、更にこれに、水、水溶性
有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH
調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応
じて含まれて構成される。以下、これらのインクの各構
成成分について説明する。
【0178】(水溶性染料)本発明で使用するカチオン
性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラーイン
デックス(Color Index)に記載されている
水溶性の染料であれば特に限定はない。また、カラーイ
ンデックスに記載のないものでも、カチオン性基を有す
るものであれば特に限定はない。尚、ここでいう水溶性
染料の中には、溶解度のpH依存性があるものも含まれ
る。
【0179】(顔料)本発明で使用するインクの別の形
態としては、上記したカチオン性基を有する水溶性染料
の代わりに、顔料及びカチオン性化合物を用い、水、水
溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、
pH調整剤、防腐剤、界面活性剤或いは酸化防止剤等を
必要に応じて含むインクであってもよい。ここで、カチ
オン性化合物が顔料の分散剤であってもよいし、顔料の
分散剤がカチオン性でない場合に、分散剤とは別のカチ
オン性化合物を添加したものでもよい。勿論、分散剤が
カチオン性化合物である場合でも、更に他のカチオン性
化合物を添加してもよい。本発明で使用することができ
る顔料としては特に限定はなく、アニオン性インクの項
で述べた顔料を好適に用いることができる。
【0180】(顔料分散剤)本発明で使用するインク中
の顔料の分散剤は、カチオン性基の存在によって顔料を
水、若しくは水性媒体に安定に分散させる機能を有する
水溶性樹脂ならどんなものでも使用可能である。具体例
としては、ビニルモノマーの重合によって得られるもの
であって、得られる重合体の少なくとも一部がカチオン
性を有するものであればよい。カチオン性の部分を構成
するためのカチオン性モノマーとしては、下記の如き第
3級アミンモノマーの塩及びこれらの4級化された化合
物が挙げられる。
【0181】N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート [CH2=C(CH3)−COO−C2H4N(CH
3)2]、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート [CH2=CH−COO−C2H4N(CH3)2]、
N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート [CH2=C(CH3)−COO−C3H6N(CH
3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレー
ト [CH2=CH−COO−C3H6N(CH3)2]、
N,N−ジメチルアクリルアミド [CH2=CH−CON(CH3)2]、N,N−ジメ
チルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CON(CH3)2]、N,
N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド [CH2=CH−CONHC2H4N(CH3)2]、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CONHC2H4N(CH
3)2]、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミド [CH2=CH−CONH−C3H6N(CH3)
2]、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミ
ド [CH2=C(CH3)−CONH−C3H6N(CH
3)2] 等が挙げられる。
【0182】第3級アミンの場合において、塩を形成す
るための化合物としては、塩酸、硫酸及び酢酸等が挙げ
られ、4級化に用いられる化合物としては、塩化メチ
ル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、エピクロロヒ
ドリン等が挙げられる。これらの中でも、塩化メチルや
ジメチル硫酸等が本発明で使用する分散剤を調製するう
えで好ましい。以上のような第3級アミンの塩或いは第
4級アンモニウム化合物は水中ではカチオンとして振る
舞い、中和された条件では酸性が安定溶解領域である。
これらモノマーの共重合体中での含有率は20〜60重
量%の範囲が好ましい。
【0183】上記高分子分散剤の構成に用いられるその
他モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、長鎖のエチレンオキシド鎖を側鎖に有す
るアクリル酸エステル等のヒドロキシ基を有するアクリ
ル酸エステル、スチレン系モノマー等の疎水性モノマー
類及びpH7近傍の水に溶解可能な水溶性モノマーとし
て、アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルピロ
リドン類、ビニルピリジン類、ビニルオキサゾリン類が
挙げられる。疎水性モノマーとしては、スチレン、スチ
レン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導
体、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロ
ニトリル等の疎水性モノマーが用いられる。共重合によ
って得られる高分子分散剤中において水溶性モノマー
は、共重合体を水溶液中で安定に存在させるために15
〜35重量%の範囲で用い、且つ疎水性モノマーは、共
重合体の顔料に対する分散効果を高めるために20〜4
0重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0184】(自己分散型顔料)カチオン性に帯電した
顔料の場合、直接若しくは他の原子団を介して結合した
親水性基が、例えば、下記に挙げる第4級アンモニウム
基から選ばれる少なくとも1つを結合したものが挙げら
れる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0185】
【外20】
【0186】上記式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖
状又は分岐鎖状のアルキル基、置換若しくは未置換のフ
ェニル基、又は置換若しくは未置換のナフチル基を表
す。尚、上記のカチオン性基には、カウンターイオンと
して、例えば、NO3−やCH3COO−が存在する。
【0187】上記したような親水性基が結合されてカチ
オン性に帯電している自己分散型顔料を製造する方法と
しては、例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル
基を結合させる方法を例にとって説明すると、顔料を3
−アミノ−N−エチルピリジニウムブロマイドで処理す
る方法が挙げられる。
【0188】
【外21】
【0189】このように顔料表面への親水性基の導入に
よってカチオン性に帯電させた顔料は、イオンの反発に
よって優れた水分散性を有するため、水性インク中に含
有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分
散状態を維持する。特に上記顔料がカーボンブラックで
ある場合が好ましい。
【0190】(インクの表面張力)更に本発明で使用す
るカチオン性インクは普通紙等に記録した場合の印字記
録物のインクの浸透性と同時に、インクジェット用ヘッ
ドに対するマッチングを良好にする面から、インク自体
の物性として25℃における表面張力が30〜68mN
/m(dyn/cm)、粘度が15mPa・s(cP)
以下、好ましくは10mPa・s(cP)以下、より好
ましくは5mPa・s(cP)以下に調整されることが
望ましい。
【0191】<水性インクの濃度>上記したアニオン性
及びカチオン性のインク中に含まれる色材成分の質量濃
度は、水性染料、顔料や自己分散型顔料等の色材の修理
に応じて適宜選択されるが、インクの質量に対し、0.
1〜20質量%、特には0.1〜12質量%の範囲が好
ましい。
【0192】又、色材成分の質量濃度が0.3〜7質量
%の範囲では、液体組成物中の微粒子の濃度とインク中
の色材の濃度との関係に関して、質量基準で、該微粒子
1に対して色材が1.2以下、特には1.0以下とした
場合、通常の2液系の記録条件の下で形成される画像の
発色性は特に優れたものとなる。
【0193】<被記録媒体に着色部を形成する方法>次
に、本発明の被記録媒体に着色部を形成する方法につい
て説明する。本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法は、(i)色材を含む、アニオン性若しくはカチオン
性のインクを被記録媒体に付与する工程及び(ii)該
インクとは逆の極性に表面が帯電している微粒子が分散
状態で含まれている液体組成物を被記録媒体に付与する
工程とを有し、上記被記録媒体の表面において、インク
と液体組成物とが互いに液体状態で接するように付与す
ることを特徴とする。以下、上述したように構成されて
いる液体組成物及びインクを被記録媒体上に付与する方
法について説明する。
【0194】本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法は、上記で説明したような液体組成物を被記録媒体上
に付与する工程(ii)と、色材を含む、アニオン性若
しくはカチオン性のインクを被記録媒体に付与する工程
(i)を含むが、その際に、色材を含むインクによって
形成される被記録媒体の着色部形成領域、又は着色部形
成領域とその近傍に液体組成物を付与して、インクと液
体組成物とが互いに液体状態で接するように付与する。
ここでいう着色部形成領域とは、インクのドットが付着
する領域のことであり、着色部形成領域の近傍とは、イ
ンクのドットが付着する領域の外側の1〜5ドット程度
離れた領域のことを指す。
【0195】本発明において被記録媒体に着色部を形成
する方法では、前記した本発明の液体組成物とインクと
が被記録媒体上で互いに液体状態で接するようになれば
よい。例えば、上記工程(i)を行なった後に工程(i
i)を行ってもよいし、工程(i)を行なった後に、工
程(ii)を行ない、その後に再び工程(i)を行うよ
うにしてもよい。
【0196】(被記録媒体)上記した本発明の被記録媒
体に着色部を形成する方法に使用される被記録媒体とし
ては、特に限定されるものではなく、従来から使用され
ている、コピー用紙、ボンド紙等のいわゆる普通紙が好
適に使用される。勿論、インクジェット記録用に特別に
作製されたコート紙やOHP用透明フィルムも好適に使
用される。更に一般の上質紙や光沢紙にも好適に使用す
ることができる。
【0197】(液体組成物の付与方法)本発明の液体組
成物を被記録媒体上に付与せしめる方法としては、例え
ば、スプレーやローラー等によって被記録媒体の全面に
付与せしめる方法も考えられるが、更に好ましくはイン
クを付与する着色部形成領域或いは着色部形成領域とそ
の着色部形成領域の近傍にのみに選択的且つ均一に液体
組成物を付与せしめることのできるインクジェット方式
により行うのが好ましい。また、この際には、種々のイ
ンクジェット記録方式を用いることができるが、特に好
ましいのは、熱エネルギーによって発生した気泡を用い
て液滴を吐出する方式である。
【0198】<インクジェット記録装置>次いで、本発
明において適用可能なインクジェット記録装置について
説明する。本発明のインクジェット記録装置では、色材
を含む、アニオン性若しくはカチオン性のインクを収容
したインク収容部(インクタンク部)と、該インクを吐
出するためのインク吐出部(インク吐出用ヘッド)とを
有する第1の記録ユニット(プリント用カートリッジ)
および、本発明の液体組成物、好ましくは上記インクと
は逆の極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含
まれている液体組成物を収容した液体組成物収容部(液
体組成物タンク部)と、該液体組成物を吐出するための
液体組成物吐出部(液体組成物吐出用ヘッド)とを有す
る第2の記録ユニット(液体組成物用カートリッジ)と
を用いて記録を行うものである。
【0199】以下、これらについて説明する。
【0200】図1は本発明において適用可能なインクジ
ェットプリント装置の概略構成の一例を示す模式的斜視
図である。図1において、1はインクを吐出してプリン
トを行うためのプリント用カートリッジであり、2は液
体組成物を吐出するための液体組成物用カートリッジで
ある。図示の例では、それぞれ異なる色のインクを用い
る4個のプリント用カートリッジ1と1個の液体組成物
用カートリッジ2とが使用されている。
【0201】プリント用カートリッジの各々は、上部の
インクタンク部(インク収容部)と下部のインク吐出部
(インク吐出用ヘッド)とから構成されている。液体組
成物用カートリッジ2は、上部の液体組成物タンク部
(液体組成物収容部)と下部の液体組成物吐出部(液体
組成物吐出用ヘッド)とから構成されている。さらに、
これらカートリッジ1、2には、駆動信号などを受信す
るためのコネクタが設けられている。3はキャリッジで
ある。
【0202】キャリッジ3上には、それぞれ異なる色の
インクを吐出するための4個のプリント用ヘッドカート
リッジ1と1個の液体組成物用カートリッジ2とが位置
決め搭載される。また、キャリッジ3には各プリント用
カートリッジ1の各インク吐出部および液体組成物用カ
ートリッジ2の液体組成物吐出部を駆動するための信号
などを伝達するためのコネクタホルダーが設けられてお
り、このコネクタホルダーを介してキャリッジ3と各カ
ートリッジ1、2とは電気的に接続されている。
【0203】各インク吐出部1は、それぞれ異なった色
のインク、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シ
アン(C)、ブラック(B)のインクを吐出する。本図
では、図示左から、イエロー、マゼンタ、シアン,ブラ
ックの各インクのプリント用ヘッドカートリッジ1Y、
1M、1C、1Bが搭載され、そして右端には液体組成
物を吐出するための液体組成物用カートリッジ2が搭載
されている。
【0204】図1において、4はキャリッジ3の主走査
方向に延在し該キャリッジを摺動自在に支持する走査レ
ール、5はキャリッジ3を往復走査させるための駆動力
を伝達する駆動ベルトである。また、6、7および8、
9は、それぞれ、プリント用カートリッジのインク吐出
部によるプリント位置の前後に配置されて被記録媒体1
0の挟持搬送を行うための搬送ローラ対である。紙など
の被記録媒体10は、プリント位置の部分で、プリント
面を平坦に規制するためのプラテン(不図示)に圧接状
態で案内支持されている。この時、キャリッジ3に搭載
された各カートリッジ1、2の吐出口形成面は、該キャ
リッジ3から下方へ突出して被記録媒体搬送用ローラ
7、9間に位置し、プラテン(不図示)の案内面に圧接
された被記録媒体10に平行に対向するようになってい
る。
【0205】本図のインクジェットプリント装置のプリ
ント領域を外れた左側に設定されたホームポジションの
近傍には、回復ユニット11が配設されている。回復ユ
ニット11には、4個のプリント用カートリッジ(イン
ク吐出部)1Y、1M、1C、1Bに対応する4個のキ
ャップ12と1個の液体組成物用カートリッジ(液体組
成物吐出部)2に対応する1個のキャップ13が上下方
向に昇降可能に設けられている。そして、キャリッジ3
がホームポジションにあるときには、各カートリッジの
1、2の吐出口形成面に対して対応するキャップ12、
13とが圧接接合されることにより各カートリッジ1、
2の吐出口が密封(キャッピング)される。キャッピン
グすることにより、吐出口内のインク溶剤の蒸発による
インクの増粘・固着が防止され、吐出不良の発生が防止
されている。
【0206】また、回復ユニット11は、各キャップ1
2に連通した吸引ポンプ14とキャップ13に連通した
吸引ポンプ15を備えている。これらのポンプ14、1
5は、インク吐出部や液体組成物吐出部に吐出不良が生
じた場合に、それらの吐出口形成面をキャップ12、1
3でキャッピングして吸引回復処理を実行するのに使用
される。さらに、回復ユニット11には、ゴムなどの弾
性部材から成る2個のワイピング部材(ブレード)1
6、17が設けられている。ブレード16はブレードホ
ルダー18によって保持され、ブレード17はブレード
ホルダー19によって保持されている。
【0207】本発明の概略図においては、前記ブレード
ホルダー18、19は、それぞれ、キャリッジ3の移動
を利用して駆動されるブレード昇降機構により昇降さ
れ、それによって、前記ブレード16、17は、各カー
トリッジ1、2の吐出口形成面に付着したインクや異物
をワイピングすべく突出(上昇)した位置(ワイピング
位置)と吐出口形成面に接触しない後退(下降)した位
置(待機位置)との間で昇降する。この場合、プリント
用カートリッジ1の吐出口形成面をワイピングするため
のブレード16と液体組成物用カートリッジ2の吐出口
形成面をワイピングするためのブレード17は、互いに
独立して、個別に昇降できるように構成されている。
【0208】そして、キャリッジ3が図1中右側(プリ
ント領域側)からホームポジション側へ移動するとき、
あるいはホームポジション側からプリント領域側へ移動
するときに、ブレード16が各プリント用カートリッジ
1の吐出口形成面と当接し、ブレード17が液体組成物
用カートリッジ2の吐出口形成面と当接し、相対移動に
よってそれらの吐出口形成面の拭き取り(ワイピング)
動作が行われる。
【0209】図2はインク吐出部とインクタンクを一体
化した構造のプリント用カートリッジ1を示す模式的斜
視図である。なお、液体組成物用カートリッジ2は、貯
蔵および使用するものがインクではなく液体組成物であ
る点を除き、プリント用カートリッジ1と実質上同じ構
成をしている。図2において、プリント用カートリッジ
1は、上部にインクタンク部21を、下部にインク吐出
部(インク吐出用ヘッド部)22を有しており、さら
に、インク吐出部22を駆動するための信号などを受信
するとともにインク残量検知信号を出力するためのヘッ
ド側コネクタ23を有している。このコネクタ23はイ
ンクタンク部21に並ぶ位置に設けられている。
【0210】図2中底面側(被記録媒体10側)に示さ
れるインク吐出部22は吐出口形成面81を有し、該吐
出口形成面81には複数の吐出口が形成されている。各
吐出口に通じる液路部分に、インクを吐出するのに必要
なエネルギーを発生するための吐出エネルギー発生素子
が配置されている。
【0211】プリントヘッド用カートリッジ1は、イン
クを吐出してプリントを行うインクジェットプリント手
段であり、インク吐出部22とインクタンク部21を一
体化した、交換可能な構成となっている。また、インク
吐出部22は、熱エネルギーを利用してインクを吐出す
るためのインクジェットプリントヘッドであって、熱エ
ネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたもので
ある。このインク吐出部22は、電気熱変換体によって
印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰を生じさ
せ、該膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧
力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、プリ
ントを行うものである。
【0212】図3は、インク吐出部22(液体組成物吐
出部22A)の構造を模式的に示す部分斜視図である。
図3において、被記録媒体(プリント用紙等)10と所
定の隙間(例えば、約0.5〜2.0ミリ程度)をおい
て対面する吐出口形成面81には、所定のピッチで複数
の吐出口82が形成され、共通液室83と各吐出口82
とを連通する各液路84の壁面に沿ってインク吐出用の
エネルギーを発生するための電気熱変換体(発熱抵抗体
など)85が配設されている。複数の吐出口82はプリ
ント用カートリッジ1の移動方向(主走査方向)と交叉
する方向に並ぶような位置関係で配列されている。この
ように構成されるインク吐出部22では、画像信号また
は吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体85を駆動
(通電)して、液路84内のインクを膜沸騰させ、その
時に発生する圧力によって吐出口82からインクを吐出
させる。
【0213】図4〜図6は上記インクジェットプリント
装置のワイピング動作を示す模式図である。図4はキャ
リッジ3がプリント領域側からホームポジション側へ移
動する場合を示す。図4において、(A)のようにキャ
リッジ4上のプリント用カートリッジ1および液体組成
物用カートリッジ2が右側(プリント領域側)よりホー
ムポジションに向かって移動してくる。そうすると、
(B)のように、先ず、インク用のキャップ12と液体
組成物用のキャップ13との間にあるインク用のブレー
ド16が上昇し、キャリッジ3の移動に伴って各プリン
ト用カートリッジ1Y、1M、1C、1Bの吐出口形成
面を順次ワイピングしていく。
【0214】さらに、図4の(C)のように、各プリン
ト用カートリッジ1が液体組成物用のブレード17上を
通過した後、この液体組成物用のブレード17を上昇さ
せて(D)のように液体組成物用カートリッジ2の吐出
口形成面を同時にワイピングする。インク用のブレード
16が4個目のプリント用カートリッジ1の吐出口面を
ワイピングし、さらに液体組成物路用のブレード17が
液体組成物用カートリッジ2の吐出口面をワイピングし
終わった後、それぞれのブレード16、17は下降し、
待機位置で待機する。図4では、キャリッジ3が図1中
の右側(プリント領域)から回復ユニット11の有るホ
ームポジション側へ移動するときにブレード16、17
によるワイピングが実行されるように構成したが、ワイ
ピング方向はこれに限定されるものではなく、図5のよ
うにキャリッジ3がホームポジション側から右側(プリ
ント領域側)へ移動する際にワイピングを行うように構
成してもよい。
【0215】図5において、(A)では、インク用のブ
レード16と液体組成物用のブレード17を同時に上昇
させ、キャリッジ3を右方向へ(プリント領域側へ)移
動させることにより、プリント用カートリッジ1と液体
組成物用カートリッジ2の吐出口形成面を同時にワイピ
ングし(B)、液体組成物用カートリッジ2の吐出口面
のワイピングが終了すると同時に液体組成物用のブレー
ド17のみを下降させて待機させ、インク用のブレード
17はそのまま残りのプリント用カートリッジ1の吐出
口面のワイピングを行う(C)。最後に、図5の(D)
のように、全てのプリン用カートリッジ1のワイピング
が終了したところで、インク用のブレード16を下降さ
せて一連のワイピング動作を終了する。
【0216】図5で説明したようなワイピング方向を採
用することにより、ワイピングにより除去されてブレー
ド16、17に付着した液滴がブレードの弾性によって
被記録媒体10の搬送部へ飛散し、被記録媒体10を不
用意に汚す危険性を無くすことができる。
【0217】さらに、図6に示すように、プリント用カ
ートリッジ1の吐出口形成面をワイピングする方向と液
体組成物用カートリッジ2の吐出口形成面をワイピング
する方向とを異ならせてもよい。図6において、例えば
(A)および(B)に示すように、キャリッジ3がホー
ムポジション側から右側(プリント領域側)へ移動する
ときにインク用のブレード16でプリント用カートリッ
ジ1の吐出口形成面をワイピングし、(C)および
(D)に示すように、キャリッジ3がプリント領域側か
らホームポジション側へ移動するときに液体組成物用の
ブレード17で液体組成物用カートリッジ2の吐出口形
成面のみをワイピングするようにしてもよい。このよう
なワイピング方向を採ることにより、ブレード16の弾
性力によって飛散するインクが液体組成用カートリッジ
2の液体組成物吐出部22Aに付着したり、逆に、ブレ
ード17の弾性力によって飛散した液体組成物がプリン
ト用カートリッジ1のインク吐出部22に付着するとい
う不都合(危険性)を無くすか大幅に減少させることが
できる。
【0218】また、図1においては、プリント用カート
リッジ1用のキャップ12と液体組成物用カートリッジ
2用のキャップ13とを別々にして互いに独立させ(専
用にし)、さらに、これらのキャップ12、13に接続
される吸引ポンプ14、15もプリント用カートリッジ
1用と液体組成物用カートリッジ2用とに独立させて別
々(専用)にした。これにより、キャップ12、13お
よびポンプ14、15内において、インクと該インクと
反応性を有する液体組成物とを接触させることなく、こ
れらの廃液を処理することができ、高い信頼性を維持す
ることが可能になる。
【0219】図7はポンプ14、15から排出されるイ
ンクおよび液体組成物を廃インクタンク内へ回収するた
めの回収系統を示す模式図である。図7において、キャ
ップ12に連通した吸引ポンプ14によりプリント用カ
ートリッジ1から吸引された廃インク、並びにキャップ
13に連通した吸引ポンプ15により液体組成物用カー
トリッジ2から吸引された廃液は、プリント装置外へ漏
れ出さないように、それぞれ独立した経路を通して廃液
タンク24内に回収され、収納される。
【0220】廃液タンク24は、その内部に多孔質の吸
収体25が充填され、該吸収体25に廃液を吸収保持す
るように構成されている。この廃液タンク24は、プリ
ント装置本体内に設けられている。図7では、プリント
用カートリッジ1用の吸引ポンプ14からの廃インク導
管26と液体組成物用カートリッジ2用の吸引ポンプ1
5からの廃液導管27とは、図示のように、廃液タンク
24の両端の互いに離れた位置に接続されている。こう
することにより、廃液タンク24内の液体組成物とイン
クは吸収体25内に液が充分に吸収された状態ではじめ
て接触するようになるため、多孔質吸収体25が吸収保
持できる液の量を充分に確保することができる。
【0221】図8は、図7の廃液回収系統において、廃
液タンク24内の吸収体25を上下2段に配置し、下段
の吸収体25Aにインクを吸収させ、上段の吸収体25
Bに液体組成物を吸収させるように構成した廃液回収系
統を示す模式図である。図8の構成によれば、下段のイ
ンク吸収体25Aが溢れた場合でも、上段の吸収体25
Bとそこに吸収されている液体組成物により、インク中
の染料は上段の吸収体25Bで反応し固定化されるた
め、該インクが漏れ出してプリント装置内外を汚すこと
はない。
【0222】また、本発明において適用可能なカートリ
ッジは上述した形態のものには限定されず別の形態でも
よい。ここで、本発明で適用可能な別の形態のカートリ
ッジについて説明する。
【0223】図10はインクタンクカートリッジ100
1の一例を示すものであり、図中の1003はインクが
収容されているインク収容部(インクタンク部)、10
05は液体組成物が収容されている液体組成物収容部
(液体組成物タンク部)である。インクタンクカートリ
ッジ1001は、図11に示すように、インク及び液体
組成物の各々を吐出せしめる記録ヘッド1101に着脱
可能に構成されてなると共に、インクタンクカートリッ
ジ1001を記録ヘッド1101に装着した状態では、
液体組成物及びインクが、記録ヘッド1101に供給さ
れるように構成されているものである。なお、本発明で
使用されるカートリッジとしては、前記の如きヘッドと
インクタンクとが別体となったものに限らず、それらが
一体となったものも好適に用いられる。
【0224】図15は、記録ユニット(カートリッジ)
の一例を示す図である。1500は記録ユニット(カー
トリッジ)であって、この中にインクを収容したインク
収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かか
るインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有する
ヘッド部1501からインク滴として吐出される構成に
なっている。インク吸収体の材料としては、例えば、ポ
リプロピレンやポリウレタンを用いることができる。1
502は、記録ユニット内部を大気に連通させるための
大気連通口である。
【0225】更に本発明で適用可能な記録ユニット(カ
ートリッジ)の他の実施態様として、インクと液体組成
物とを、1個のインクタンク内の各々の収納部に収納
し、且つインク及び液体組成物の各々を吐出させるため
の記録ヘッドを一体的に備えた記録ユニット、具体的に
は、例えば、図12に示すように、液体組成物を収容部
1201Lに、ブラックインクを収容部1201Bk
に、また、イエロー、シアン及びマゼンタのカラーイン
クを各々カラーインク収納部1201Y、1201M及
び1201Cに収納し、更に各々のインクを各々個別に
吐出させることができるように、インク流路を分けて構
成した記録ヘッド1203を備えているような記録ユニ
ット1201が挙げられる。
【0226】図16は、本発明にかかるインクジェット
プリント装置の他の実施態様の概略構成を示す模式的斜
視図である。図16において、4はキャリッジ3の主走
査方向に延在し該キャリッジを摺動自在に支持する走査
レール、5はキャリッジ3を往復動させるための駆動力
を伝達する駆動ベルトである。また、6、7および8、
9は、それぞれ、プリント用カートリッジによるプリン
ト位置の前後に配置されて被プリント材10の挟持搬送
を行うための搬送ローラ対である。紙などの被プリント
材10は、プリント位置の部分で、プリント面を平坦に
規制するためのプラテン(不図示)に圧接状態で案内支
持されている。この時、キャリッジ3に搭載された各ヘ
ッドカートリッジ1、2の吐出口形成面は、該キャリッ
ジ3から下方へ突出して被記録媒体搬送用ローラ7、9
間に位置し、プラテン(不図示)の案内面に圧接された
被記録媒体10に平行に対向するようになっている。
【0227】図16において、キャリッジ3上には合計
6個のヘッドカートリッジが位置決め搭載されており、
本実施例では、キャリッジ3上の図示左端から右側へ向
けて、イエローのプリントヘッド1Y、マゼンタのプリ
ントヘッド1M、シアンのプリントヘッド1C、ブラッ
クのプリントヘッド1B、液体組成物吐出ヘッド2、第
2のブラックのプリントヘッド1BBの順に配置されて
いる。液体組成物吐出ヘッド2はインク中の色材と反応
性を有する液体組成物を被記録媒体10へ吐出するもの
である。また、右端の第2のブラックのプリントヘッド
1BBは、往復プリントでの副走査プリント時などに使
用されるブラックインクを用いるプリントヘッドであ
る。つまり、前述の各実施例におけるブラックプリント
ヘッド1Bの次に(右隣に)液体組成物吐出ヘッド2を
配置し、さらにその次に(右端)に前記ブラックのプリ
ントヘッド1BBを配置する構成が採られている。
【0228】図16において、プリント領域の左側には
回復ユニット11が配設され、該回復ユニット11にお
いては、前記ヘッドカートリッジ1、2の配置に対応し
て、左から右へ、プリントヘッド1Y、1M、1C、1
Bをキャッピングするキャップ12が順次配置され、そ
の次に(右隣に)液体組成物吐出ヘッド2をキャッピン
グするキャップ13が配置され、さらにその右隣(右
端)には第2のブラックプリントヘッド1BBをキャッ
ピングするキャップ12が配置されている。そして各々
のキャップは、は上下方向に昇降可能に設けられてお
り、キャリッジ3がホームポジションにあるといには、
各ヘッド1、2の吐出口形成面に対して対応するキャッ
プ12、13が各々圧接されることにより、各ヘッド
1、2の吐出口が密封(キャッピング)され、これによ
り吐出口内のインク溶剤の蒸発によるインクの増粘、固
着が防止され、吐出不良の発生が防止されている。
【0229】また回復ユニット11は、各キャップ1、
2に連通した吸引ポンプ14とキャップ13に連通した
吸引ポンプ15を備えている。これらのポンプ14、1
5はプリントヘッド1や液体組成物吐出ヘッド2に吐出
不良が生じた場合に、それらの吐出口形成面をキャップ
12、13でキャッピングして吸引回復処理を実行する
のに使用される。更に左端から5番目の液体組成物用の
キャップ13と6番目(右端)のブラックインク用のキ
ャップ12との間に液体組成物吐出ヘッド2用のブレー
ド17が配置され、右端のキャップ12の右側(プリン
ト領域側)に各プリントヘッド1用のブレード16が配
置されている。そしてブレード17はブレードホルダー
19によって保持され,ブレード16はブレードホルダ
ーによって保持されている。この態様においては、ブレ
ードホルダー、19は、各々キャリッジ3の移動を利用
して駆動されるブレード昇降機構(不図示)による昇降
され、それによってブレード16、17は、ヘッド1、
2の吐出口形成面に付着したインクや異物をワイピング
すべく突出した位置(ワイピング位置)と吐出口形成面
に接触しない後退した位置(待機位置)との間で昇降す
る。この場合、プリントヘッド1をワイピングするブレ
ード16と液体組成物吐出ヘッド2をワイピングするブ
レード17は、互いに独立して個別に昇降できるように
構成されている。
【0230】図17は図16のインクジェットプリント
装置のワイピング動作を示す模式図である。図16にお
いて、(A)に示すように、プリントヘッド(インク吐
出部)用のブレード16が突出(上昇)した後、キャリ
ッジ3に搭載された各ヘッドが右側(プリント領域側)
からホームポジションに向かって移動してくる。上昇し
たプリントヘッド用のブレード16は、(B)に示すよ
うに、キャリッジ3の左向き移動に伴いプリントヘッド
1を順次ワイピングしていく。そして、(C)に示すよ
うに、液体組成物吐出ヘッド(液体組成物吐出部)2が
プリントヘッド用のブレード16の手前(右隣)にきた
時点で該ブレード16が待機位置まで後退(下降)し、
該ブレード16と液体組成物吐出ヘッド2との接触が防
止される。
【0231】さらにキャリッジ3が左向きに移動して液
体組成物吐出ヘッド2がプリントヘッド用ブレード6を
通過した時点で、(D)に示すように、プリントヘッド
用ブレード6および液体組成物吐出ヘッド用ブレード1
7の両方を突出(上昇)させる。そして、キャリッジ3
の左向き移動に伴って、(E)に示すように、ブレード
17による液体組成物吐出ヘッド2のワイピングとブレ
ード16による右端のプリントヘッド1BBのワイピン
グを同時に行う。全てのヘッド1、2のワイピングが終
了した後、(F)に示すように、両方のブレード16、
17を後退(下降)させ、待機位置で待機させる。
【0232】図16および図17の例では、キャリッジ
3がプリント領域側(右側)から回復ユニット11のあ
るホームポジション側へ移動するときにブレード16、
17によるワイピングを行うようにしたが、ワイピング
方向はこれに限定されるものではなく、ホームポジショ
ン側から右側(プリント領域側)へ移動する際にワイピ
ングするようにしてもよい。
【0233】図16のインクジェットプリント装置は、
液体組成物吐出ヘッド2からインク中の色材と反応性を
有するような、本発明にかかる液体組成物を被プリント
材10に吐出し、各プリントヘッド01から吐出された
インクと被記録媒体10上で接触させて記録物を形成可
能な様に構成されている。被記録媒体10上ではインク
中の色材が液体組成物と反応することによって、インク
中の色材が単分子状態で微粒子表面に吸着し、その微粒
子によって画像の形成がなされる為、発色性や色の均一
性に優れた画像が得られる。
【0234】尚、本発明に使用する記録装置において、
上記ではインク及び液体組成物に熱エネルギーを作用さ
せてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例
に挙げたが、その他、圧電素子を使用するピエゾ方式の
インクジェット記録装置でも同様に利用できる。
【0235】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、部及び%とあるのは特
に断りのない限り重量基準である。先ず、本発明の液体
組成物の作製について説明する。
【0236】以下に示す各成分を混合溶解した後、ポア
サイズが1μmのメンブレンフィルター(商品名、フロ
ロポアフィルター、住友電工株式会社製)にて加圧濾過
し、本発明の液体組成物A〜Dを得た。
【0237】(アルミナ水和物の合成例)米国特許明細
書第4,242,271号に記載の方法でアルミニウム
ドデキシドを製造した。次に、米国特許明細書第4,2
02,870号に記載された方法で、前記アルミニウム
ドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造し
た。このアルミナスラリーをアルミナ水和物の固形分が
8.2%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのp
Hは9.7であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpH
を調整し、表1に示す熟成条件でコロイダルゾルを得
た。このコロイダルゾルを表1に示す酸でpHを調整
し、固形分濃度20%に濃縮してA〜Dのアルミナ水和
物スラリーを作製した。これらのスラリー中のアルミナ
水和物は水中で表面がプラスに帯電し、カチオン性を示
す。また、これらのアルミナ水和物スラリーをイオン交
換水に希釈し分散させてコロジオン膜上に滴下して測定
用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察したところす
べて平板形状の微粒子であった。
【0238】
【表1】
【0239】<液体組成物Aの組成> ・グリセリン10.0重量部 ・ジエチレングリコール7.5重量部 ・アルミナ水和物スラリーA50.0重量部 ・水32.5重量部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
株式会社製)にて3000rpmで30分間混合した
後、遠心分離処理(4000rpm、15分間)を行
い、粗大粒子を除去して液体組成物Aとした。
【0240】<液体組成物Bの組成> ・1.5−ペンタンジオール10.0重量部 ・エチレングリコール7.5重量部 ・アルミナ水和物スラリーB50.0重量部 ・水32.5重量部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
株式会社製)にて3000rpmで30分間混合した
後、遠心分離処理(4000rpm、15分間)を行
い、粗大粒子を除去して液体組成物Bとした。
【0241】<液体組成物Cの組成> ・グリセリン7.5重量部 ・プロピレングリコール7.5重量部 ・アルミナ水和物スラリーC50.0重量部 ・水35.0重量部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
株式会社製)にて3000rpmで30分間混合した
後、遠心分離処理(4000rpm、15分間)を行
い、粗大粒子を除去して液体組成物Cとした。
【0242】<液体組成物Dの組成> ・2−ピロリドン7.5重量部 ・エチレン尿素7.5重量部 ・アルミナ水和物スラリーD50.0重量部 ・水35.0重量部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
株式会社製)にて3000rpmで30分間混合した
後、遠心分離処理(4000rpm、15分間)を行
い、粗大粒子を除去して液体組成物Dとした。
【0243】上記液体組成物A〜Dを下記評価方法によ
り測定を行い、各々の評価結果を表2に示した。
【0244】1)微粒子の平均粒子径 微粒子の固形分濃度を0.1%になるよう液体組成物を
イオン交換水で希釈した後、超音波洗浄機にて5分間分
散させて、電気泳動光散乱光度計(大塚電子株式会社社
製、ELS−8000、液温25℃、石英セル使用)を
用いて散乱強度を測定した。平均粒子径は付属のソフト
ウェアを用い、散乱強度からキュムラント解析法により
求めた。
【0245】2)pH 液体組成物に対し、液温25℃でpHメーター計(堀場
製作所株式会社製、カスタニーpHメーターD−14)
を用いて測定した。
【0246】3)ゼータ電位 微粒子の固形分濃度が0.1%になるよう液体組成物を
イオン交換水で分散させた後に、ゼータ電位測定機(ブ
ルックヘブン社製、BI−ZETA plus、液温2
0℃、アクリルセル使用)で測定した。
【0247】4)タンク保存性 液体組成物をインクタンクに詰めた後、60℃の恒温槽
に1ヶ月間静置保存してタンク内の液体組成物の液物性
及び記録ヘッドからの吐出性を評価した。
【0248】○:タンク内でほぼ沈降が見られず、吐出
安定性も良好。
【0249】×:タンク内で著しく沈降し吐出性も不安
定。
【0250】5)細孔半径及び細孔容積 下記手順に従って前処理した後、試料をセルに入れ、1
20℃で8時間真空脱気してカンタクローム社製のオム
ニソーブ1を用いて窒素吸着脱離法により測定した。細
孔半径及び細孔容積はBarrettらの方法(J.a
m.Dhem.Soc.,Vol73,373,195
1)により計算から求めた。 (1)上記液体組成物を大気雰囲気下120℃で10時
間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物を
メノウ乳鉢で摺り潰して粉体化する。
【0251】
【表2】
【0252】次に、本発明の実施例及び比較例で使用す
るインクの作製について説明する。
【0253】<インクサブセット1の作製>下記に示す
各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズが
0.45μmのフロロポアフィルター(商品名、住友電
工株式会社製)にて加圧濾過し、ブラック、イエロー、
マゼンタ及びシアンの各染料インク、Bk1、Y1、M
1及びC1を得、これらの染料インクからなる組み合わ
せをインクサブセット1とした。
【0254】[ブラックインクBk1] ・C.I.ダイレクトブラック1952.5部 ・2−ピロリドン10部 ・グリセリン5部 ・イソプロピルアルコール4部 ・水酸化ナトリウム0.4部 ・水78.1部 [イエローインクY1] ・Projet Fast Yellow 2(Zen
eca社製) 2.0部 ・C.I.ダイレクトイエロー861.0部 ・チオジグリコール8部 ・エチレングリコール8部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製)0.2部 ・イソプロピルアルコール4部 ・水76.8部 [マゼンタインクM1] ・Projet Fast Magenta 2(Ze
neca社製)3部 ・グリセリン7部 ・尿素7部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製)0.2部 ・イソプロピルアルコール4部 ・水78.8部 [シアンインクC1] ・C.I.ダイレクトブルー1993部 ・エチレングリコール7部 ・ジエチレングリコール10部 ・アセチレノールEH (川研ケミカルス社製)0.3部 ・水79.7部 <インクサブセット2の作製>下記に示す各成分によっ
て顔料分散液を調製し、これを用いてブラックインクB
k2を作製した。更に同様の顔料分散液を用いてイエロ
ー、マゼンタ及びシアンの各顔料インク、Y2、M2及
びC2を得、これらの顔料インクからなる組み合わせを
インクサブセット2とした。
【0255】[ブラックインクBk2] (顔料分散液の作製) ・スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 (酸価140、重量平均分子量5,000)1.5部 ・モノエタノールアミン1.0部 ・ジエチレングリコール5.0部 ・イオン交換水81.5部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作され
たカーボンブラック(MCF88、三菱化成製)10
部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレ
ミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行っ
た。 ・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積比) ・粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を
行い、粗大粒子を除去して分散液とした。
【0256】(ブラックインクBk2の作製)上記の顔
料分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合
し、顔料を含有するインクを作製し、これをブラックイ
ンクBk2とした。 ・上記顔料分散液30.0部 ・グリセリン10.0部 ・エチレングリコール5.0部 ・N−メチルピロリドン5.0部 ・エチルアルコール2.0部 ・イオン交換水48.0部 [イエローインクY2] ブラックインクBk2の調製の際に使用したカーボンブ
ラック(MCF88、三菱化成製)10部を、ピグメン
トイエロー74に代えたこと以外はブラックインクBk
2の調製と同様にして、顔料含有イエローインクY2を
調製した。
【0257】[マゼンタインクM2]ブラックインクB
k2の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化成製)10部を、ピグメントレッド7に代え
たこと以外はブラックインクBk2の調製と同様にし
て、顔料含有マゼンタインクM2を調製した。
【0258】[シアンインクC2]ブラックインクBk
2の調製の際に使用したカーボンブラック(MCF8
8、三菱化成製)10部を、ピグメントブルー15に代
えたこと以外はブラックインクBk2の調製と同様にし
て、顔料含有シアンインクC2を調製した。
【0259】上記したように高濃度、高彩度なインクジ
ェット記録物を得るには被記録媒体の表面層において液
体組成物とインクを特定量以上接触させる必要があると
の認識を本発明者らは持つに至り、以下の検討を行っ
た。
【0260】(実施例)下記表3に示すC1−1−1〜
4、C1−2−1〜4、C1−3−1〜4、C1−4−
1〜4の16種類のインクの何れか1つと、10、2
5、50、100、150、200msecの6種類の
時間差で上記液体組成物A、B、C、Dの何れか1つを
接触させる384種類の組み合わせで、インクジェット
記録装置により記録を行った。
【0261】色材濃度と浸透性を以下に示すように組み
合わせたC1−1−1〜4、C1−2−1〜4、C1−
3−1〜4、C1−4−1〜4の16種類のインクと上
記液体組成物との組み合わせにより各着色部を形成する
に際し、下記1)〜7)の商品名で広く流通している7
種類の「普通紙」を用いた。 1)キヤノン社製:PB用紙(被記録媒体1) 2)キヤノン社製:BrilliantWhitepa
per(被記録媒体2) 3)UnionCamp社製:GreatWhiteI
nkjet(被記録媒体3) 4)ハンマーミル(Hammermill)社製:Je
tPrint(被記録媒体4) 5)ゼロックス(Xerox)社製:Xerox402
4(被記録媒体5) 6)ヒューレットパッカード(HewlettPack
ard)社製:BrightWhiteInkjetP
aper(被記録媒体6) 7)AussdatRay社製:RayJet(被記録
媒体7) なお、ここで使用したインクジェット記録装置としては
図1に示したのと同様の記録装置を用い、図3に示した
記録ヘッドを用いて解像度1200dpi、サイズ2i
nch×2inchのベタ画像を形成した。この際、イ
ンクを先打ちして先ず被記録媒体上に付着させ、その後
液体組成物を付着させた。また、インクを付着させて
後、そのインク上に液体組成物を付着させるまでの時間
を上記のように6通りに変化させた。以下に使用したイ
ンクの色材濃度と浸透性、被記録媒体に対するインクの
付与量、インクが被記録媒体に接触した後、該インクに
液体組成物が接触するまでの時間差について説明する。
【0262】(インクの色材濃度と浸透性)上記したシ
アンインクC1をベースにし、C.I.ダイレクトブル
ー199の量を異ならせることにより色材濃度を変化さ
せ、アセチレノールEHの量を異ならせることにより浸
透性を変化させた。以下に作製したインクC1−1−1
〜4、C1−2−1〜4、C1−3−1〜4、C1−4
−1〜4の各成分比を表3に示す。表3中C.I.ダイ
レクトブルー199はDB199、エチレングリコール
はEG、ジエチレングリコールはDEG、アセチレノー
ルEHはAEHの略称で示す。尚、本実施例中では、イ
ンクが被記録媒体に接触した瞬間の色材濃度を、表3に
示すインクの作製時の色材濃度と同等として扱ってい
る。厳密には、インクが被記録媒体に接触した瞬間の色
材濃度が重要で、このときの色材濃度はインク作製時の
色材濃度とは差がある可能性があると本発明者らは認識
している。しかしながら、前記差の範囲では、画像品位
に影響は及ばないことを確認しており、インクが被記録
媒体に接触した瞬間の色材濃度を、作製時の色材濃度と
して扱っても、本発明には何ら影響がないと本発明者ら
は認識している。
【0263】
【表3】
【0264】(インクおよび液体組成物の付与量)ここ
で用いた図3の記録ヘッドは1200dpiの記録密度
を有し、該ヘッドを使用したときの被記録媒体における
1ドットあたりの付与量はインク及び液体組成物につい
て夫々約4ngであった。
【0265】(インクと液体組成物との被記録媒体にお
ける接触までの時間)解像度1200dpiの印字領域
を1回の走査で印字する1パス印字を行った。このと
き、液体組成物の印字データはインクの印字データと同
じにして、液体組成物とインクとが同一位置に着弾する
ようにした。ここで本発明の重要なパラメータである、
インクが被記録媒体に付与されてから、液体組成物がそ
のインクと接触するまでの時間間隔(時間差t(mse
c))は、同一位置に付与されるインクと液体組成物が
それぞれの記録ヘッドから吐出される時間差と同等とし
て扱っている。厳密には前記接触までの時間差と吐出時
間差は、インクと液体組成物の吐出速度、吐出口と被記
録媒体との距離、及び先に付与したインクが被記録媒体
表面から盛り上がっている高さ等の記録条件により異な
ることを本発明者らは認識しているが、吐出時間差を接
触までの時間差としても、実質的大きく異ならないので
本実施例中では同等のものとしている。なお、仮に、上
記吐出時間差と上記接触までの時間差とが大きく異なっ
てしまう場合は、吐出時間差を上記接触までの時間差と
同等であるとは扱わず、上記時間差t(msec)は上
記接触までの時間差とする。
【0266】なお、同一画素に付与されるインクと液体
組成物の吐出時間差は、インク吐出用ヘッド(インク吐
出部)のインク吐出口と液体組成物吐出用ヘッド(液体
吐出部)の液体吐出口との距離、およびヘッドの駆動周
波数により決定される。本実施例では、このように決定
された吐出時間差を上記接触までの時間差と同等として
扱い検討を行った。ここではインク吐出用ヘッドのイン
ク吐出口と液体組成物吐出用ヘッドの液体吐出口との距
離が0.25inchのものを使用した。また、下表4
に示す駆動周波数f(kHz)により上記時間差t(m
sec)として10、25、50、100、150、2
00msecを実現し、これらの時間差で記録を行っ
た。
【0267】また本発明では同一パスで記録インクと液
体組成物との吐出を行っているが、本発明の意図すると
ころではこれら(インクと液体組成物)が互いに異なる
パスで吐出されていても、時間差tが実質的に記録イン
クと液体組成物の吐出時間差であることを考慮すれば、
何ら問題はない。
【0268】
【表4】
【0269】上記したようにインクの被記録媒体に対す
る浸透性はアセチレノールEHの量を異ならせることに
より変化させたが、本検討に用いた上記1)〜7)の7
種類の被記録媒体における浸透性を吸収係数Ka(μm
/msec1/2)としてブリストウ法により測定し
た。以下にブリストウ法による測定方法と測定結果につ
いて説明する。以下では上記インクとの組み合わせで最
も吸収係数が大きくなる、即ち浸透性が最も高い被記録
媒体における結果のみを記す。
【0270】(ブリストウ法による測定方法)ブリスト
ウ(動的浸透性)試験装置(東洋精機製作所製JAPA
NTAPPI紙パルプ試験方法No.51に記載の紙及
び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストウ法)に準拠)
を使用した。被記録媒体1)〜7)に対する、C1−1
−1〜4、C1−2−1〜4、C1−3−1〜4、C1
−4−1〜4の16種類のインクそれぞれの吸収係数K
a(μm/msec1/2)を測定した。また、同時に
前記インクのそれぞれの濡れ時間tw(msec)も測
定した。測定環境は常温である。尚、ブリストウ法によ
る吸収係数と濡れ時間の算出方法はJAPANTAPP
INo.51紙パルプ試験方法に取り上げられており、
また多くの市販図書にも説明がある為、ここでの詳細な
説明は省略する。尚、以下に記す他の実施例における吸
収係数も前記ブリストウ試験装置により測定した。
【0271】(ブリストウ法による測定結果)前記ブリ
ストウ試験装置を使用して算出した前記16種類のイン
クの吸収係数と濡れ時間を表5に示す。
【0272】
【表5】
【0273】(比較例)上記のようなC1−1−1〜
4、C1−2−1〜4、C1−3−1〜4、C1−4−
1〜4の16種類のインクを用いて上記1)〜7)の普
通紙に記録を行った。記録した画像は上記実施例と同解
像度、同サイズのベタ画像である。また記録に用いた図
3の記録ヘッドは1200dpiの記録密度を有し、該
ヘッドを使用したときの被記録媒体における1ドットあ
たりの付与量は約4ngであった。
【0274】以下に実施例で得られた画像の評価方法と
評価結果について説明する。
【0275】(評価方法)同じ種類の被記録媒体に記録
された上記実施例で得られた384種類の画像と比較例
で得られた16種類の画像を本発明者らの目視により評
価した。実施例の画像と該画像に用いられているインク
と同じインクで形成された比較例の画像とを比べ、実施
例の画像が比較例の画像より発色性が非常に優れている
と判断すれば◎とし、発色性が優れていると判断すれば
○とし、発色性が同等以下と判断すれば×と評価した。
【0276】(評価結果)表6に吸収係数Ka=0.1
(μm/msec1/2)であるインクC1−1−1〜
4と時間差t=10〜200msecの組み合わせでの
評価結果を、表7にKa=1.0(μm/msec
1/2)であるインクC1−2−1〜4と時間差t=1
0〜200msecの組み合わせでの評価結果を、表8
にKa=2.0(μm/msec1/2)であるインク
C1−3−1〜4と時間差t=10〜200msecの
組み合わせでの評価結果を、表9にKa=2.5(μm
/msec1/2)であるインクC1−4−1〜4と時
間差t=10〜200msecの組み合わせでの評価結
果を示す。
【0277】
【表6】Ka=0.1(μm/msec1/2
【0278】
【表7】Ka=1.0(μm/msec1/2
【0279】
【表8】Ka=2.0(μm/msec1/2
【0280】
【表9】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0281】(その他のインクによる実施例)その他の
実施例として上記Bk1、Y1、M1、Bk2、Y2、
M2、C2をベースに色材濃度と浸透性を変化させ、液
体組成物A、B、C、Dとの被記録媒体における接触ま
での時間を変化させて上記実施例と同解像度、同サイズ
のベタ画像の記録を行った。被記録媒体には上記した被
記録媒体1)〜7)を用いた。また、被記録媒体におけ
る1ドットあたりの付与量はインク及び液体組成物共に
4ngであり、記録には上記実施例と同じインクジェッ
ト記録装置と記録ヘッド、記録方法及び表4に示す記録
時間を用いた。吸収係数Ka(μm/msec /2
は上記したブリストウ試験装置(東洋精機製作所製)を
使用して上記と同様の方法により測定した。作製したB
k1、Y1、M1、Bk2、Y2、M2、C2ベースの
インクの各成分比と吸収係数をそれぞれ表10、表1
1、表12、表13、表14、表15、表16に示す。
尚、表中には比を変更した成分のみを記し、表記してい
ない成分はベースインクの成分とその比と同じである。
以下の表においてC.I.ダイレクトブラック195は
DBk195、ProjetFastYellow2は
PFY2、C.I.ダイレクトイエロー86はDY8
6、ProjetFastMagenta2はPFM
2、カーボンブラックはCBk、ピグメントイエロー7
4はPGY74、ピグメントレッド7はPGR7、ピグ
メントブルー15はPGB15、アセチレノールEHは
AEHの各略称で記した。また、吸収係数は上記インク
と上記被記録媒体との組み合わせで最も吸収係数が大き
くなる被記録媒体における結果のみを記す。
【0282】
【表10】ベースインク:Bk1
【0283】
【表11】ベースインク:Y1
【0284】
【表12】ベースインク:M1
【0285】
【表13】ベースインク:Bk2
【0286】
【表14】ベースインク:Y2
【0287】
【表15】ベースインク:M2
【0288】
【表16】ベースインク:C2
【0289】また、上記その他の実施例で得られた画像
と該画像の被記録媒体と同じ種類の被記録媒体にその他
の比較例として上記Bk1−4−1〜4、Y1−4−1
〜4、M1−4−1〜4、Bk2−4−1〜4、Y2−
4−1〜4、M2−4−1〜4、C2−4−1〜4の各
インクのみで上記実施例と同解像度、同サイズのベタ画
像を記録した。被記録媒体における1ドットあたりの付
与量は約4ngである。その他の実施例の画像と該画像
に用いられているインクと同じインクで形成されたその
他の比較例の画像を比べ、その他の実施例の画像がその
他の比較例の画像より発色性が非常に優れていると判断
すれば◎とし、発色性が優れていると判断すれば〇と
し、発色性が同等以下と判断すれば×と評価した。
【0290】表17にインクBk1−4−1〜4と時間
差t=10〜200msecの組み合わせでの評価結果
を、表18にインクY1−4−1〜4と時間差t=10
〜200msecの組み合わせでの評価結果を、表19
にインクM1−4−1〜4と時間差t=10〜200m
secの組み合わせでの評価結果を、表20にインクB
k2−4−1〜4と時間差t=10〜200msecの
組み合わせでの評価結果を、表21にインクY2−4−
1〜4と時間差t=10〜200msecの組み合わせ
での評価結果を、表22にインクM2−4−1〜4と時
間差t=10〜200msecの組み合わせでの評価結
果を、表23にインクC2−4−1〜4と時間差t=1
0〜200msecの組み合わせでの評価結果を示す。
【0291】
【表17】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0292】
【表18】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0293】
【表19】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0294】
【表20】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0295】
【表21】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0296】
【表22】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0297】
【表23】Ka=2.5(μm/msec1/2
【0298】(高発色に寄与する色材の被記録媒体表面
からの深さ)従来、図20(a)に示すように被記録媒
体2000の表面から30〜50μmの深さに色材20
02をより多く残存させれば、前記深さより深い領域に
より多くの色材が残存している場合に比べ、光学濃度を
向上できることが一般的に知られている。しかしなが
ら、さらなる検討の結果、本発明のインクと液体組成物
とを用いて画像を形成する場合、前記深さ領域とは異な
る領域に残存している色材が発色に寄与していることが
解かった。本発明者らは、高発色を得る為には従来発色
に寄与すると知られてきた領域とは異なる領域に色材を
残存させる必要があると認識するに至った。以下の検討
を行ったが、まず、深さの定義をここで行う。被記録媒
体表面とはインクを付与する面のことであり、図20は
被記録媒体2000の表面及び内部を示している。図2
0に示すように被記録媒体表面は平滑ではなく、凹凸が
あり、深さとは凸部2001の頂点から被記録媒体の深
さ方向への距離である。
【0299】本発明者らは、上記説明したインクと液体
組成物とを用いた実施例及びその他の実施例により得た
高発色な画像及び発色性が劣る画像に対して、X線マイ
クロ分析(XMA)を行い、色材と微粒子が残存してい
る深さ領域を測定した。以下にXMAの説明をする。
【0300】(XMA)元素分析はXMA(商品名:E
DAX;EDAX社製)を用いて行った。XMAは深さ
方向に数μmオーダーで元素分析できる装置であり、表
面の元素分析に適している。インクと液体組成物とを用
いて画像が形成されている被記録媒体の深さ方向に残存
している色材に由来する元素及び微粒子に由来する元素
をXMAによる元素分析により確認し、色材と微粒子が
残存している深さ領域を測定した。また、加速電圧は、
分析する元素によって変える必要があり、夫々元素に適
した値に設定した。
【0301】(色材及び微粒子の深さと発色性)実施例
及びその他の実施例のインクと液体組成物とを用いた画
像をXMAにより分析した結果、図20(b)に示すよ
うに深さ10μm以内の領域に付与したインクの色材2
002と液体組成物の微粒子2003の大部分が残存し
ている画像と深さ10μmより深い領域により多くの色
材と微粒子が残存している画像があった。また、色材と
微粒子がより多く残存している深さと画像の発色性には
表24に示す関係があることが解かった。本発明者らの
目視により発色性が良いと判断した画像は○とし、前記
画像より発色性が劣ると判断した画像は×とした。深さ
10μm以内の領域に色材と微粒子の大部分が残存して
いる画像は高発色であり、それに比べ深さ10μmより
深い領域により多くの色材と微粒子が残存している画像
は発色性が劣る。
【0302】
【表24】
【0303】このように、被記録媒体の表面から少なく
とも深さ10μm以内に、色材と微粒子を残存させるこ
とで高発色性の画像を得ることができる。なお、図13
や図14にて説明したように、本発明では、単分子状態
の色材を微粒子の表面に吸着させることで発色性を高め
ている。このことを考慮すれば、被記録媒体の表面から
少なくとも深さ10μm以内に、単分子状態の色材が吸
着された微粒子を存在させることで、高発色性の画像を
形成できることが導かれる。また、上述したように、単
分子状態の色材が吸着された微粒子同士は凝集し凝集物
となる。従って、このことを考慮すれば、被記録媒体の
表面から少なくとも深さ10μm以内に、単分子状態の
色材が吸着された微粒子同士が凝集した凝集物を存在さ
せることで、高発色性の画像を形成できることが導かれ
る。
【0304】(高発色条件)本発明者らは、表24の結
果に基づき、高発色画像を得るための記録条件(下記
式)を導いた。上述したように、高発色画像を記録する
ための記録条件としては、先に付与したインクの色材が
被記録媒体表面から特定の深さ以内(被記録媒体の表面
層)に特定量以上存在している間に、後から付与する液
体組成物を先行して付与されたインクに接触させること
が必要である。ここで、「特定の深さ」とは、表24に
て説明したように、被記録媒体表面から10μmの深さ
であり、また、「特定量」とは、前記10μm以内の深
さにおいて0.07pg/μmの量である。なお、
0.07pg/μmの導き方は後述する通りである。
【0305】すると、被記録媒体表面から深さ10μm
以内の深さに残存する色材量W(pg/μm)は、
【外22】
【0306】(但し、M(pg/μm)は、インクの
被記録媒体への単位面積あたりの付与量であり、D
(%)は、インクの色材濃度であり、Ka(μm/ms
ec1/2)は、被記録媒体のインクに対する吸収係数
であり、tw(msec)は、被記録媒体におけるイン
クの濡れ時間であり、t(msec)は、インクが被記
録媒体に付与された後、インクに液体組成物が接触する
までの時間である)で表すことができる。
【0307】ここで、図21は、インクC1−3−3が
被記録媒体に付与された後、インクC1−3−3に液体
組成物Aが接触するまでの時間と、光学濃度O.D.と
の関係を示すグラフである。図1に示したのと同様の記
録装置を用い、図3に示した記録ヘッドを用いて解像度
1200dpi、サイズ2inch×2inchのベタ
画像を形成し、そして、そのベタ画像の光学濃度を、記
録後24時間経過後、GRETAGスペクトロリノで測
定した。なお、インクC1−3−3と液体組成物Aの被
記録媒体への1ドットあたりの付与量は約4ngであっ
た。また、インクC1−3−3のみにより記録した場合
のO.D.は1.15であった。よって、高発色効果を
得るためには、図21においてO.D.が1.15より
大きくなるような時間差、つまり、525msec未満
の時間差とする必要がある。
【0308】そして、525msec時の色材量W(p
g/μm)は
【外23】
【0309】から、0.06885(pg/μm)と
なるので、本発明者らは、上記「特定量」を、被記録媒
体表面から10μm以内の深さにおいて約0.07(p
g/μm)の量であると認識した。また、表6〜9及
び表17〜23においても、10μm以内の深さにおい
て0.07(pg/μm)以上の色材が残存する時間
差では〇または◎の判定となり、0.07(pg/μm
)未満の色材が残存する時間差では×の判定となっ
た。
【0310】このように、高発色画像を記録するための
記録条件は、(A)インクの被記録媒体への付与量、
(B)インクの色材濃度、(C)インクの被記録媒体へ
の浸透速度(または被記録媒体のインクに対する吸収係
数)、(D)インクの被記録媒体における濡れ時間、
(E)インクが被記録媒体に付与された後、インクに液
体組成物が接触するまでの時間によって定まるのであ
る。
【0311】以上の知見を基に、高発色画像を得るため
の記録条件を導いた。インクの被記録媒体への単位面積
あたりの付与量をM(pg/μm)、インクの色材濃
度をD(%)、記録媒体のインクに対する吸収係数をK
a(μm/msec1/2)、被記録媒体におけるイン
クの濡れ時間をtw(msec)、インクが被記録媒体
に付与された後、インクに液体組成物が接触するまでの
時間をt(msec)とした場合、これらM、D、K
a、tw、tが
【外24】
【0312】なる関係を満たすとき、すなわち、上記
M、D、Ka、tw、tが
【外25】
【0313】なる関係を満たすとき、高発色な画像を得
ることができるのである。
【0314】なお、本実施例では微粒子量を10%とし
て説明を行ったが、微粒子量を3%、6%、8%のよう
に変更した液体組成物を用いても、上記式の記録条件を
満たしていれば高発色な画像を得ることができた。
【0315】(好適な条件)更に好適にはインクの色材
濃度が2.5%以上のとき、より高発色であった。ま
た、吸収係数が2.0μm/ms1/2以下のとき、よ
り高発色であった。
【0316】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、特
に、普通紙の風合いを残しながらインクジェット用コー
ト紙並みの優れた発色性と色の均一性を有する画像を記
録することができる。また、本発明による記録条件によ
れば、高発色な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において適用可能なインクジェットプリ
ント装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のカートリッジを模式的に示す斜視図であ
る。
【図3】図2のインク吐出部の構造を模式的に示す斜視
図である。
【図4】図1のインクジェットプリント装置のワイピン
グ動作を示す模式図であり、(A)は各カートリッジの
プリント領域側からホームポジションへの移動とインク
用ブレードの上昇、(B)はプリント用カートリッジの
吐出口面のワイピング、(C)は液体組成物用カートリ
ッジの吐出口面のワイピング、(D)は各ブレードの下
降をそれぞれ示している。
【図5】図1のインクジェットプリント装置のワイピン
グ動作を示す模式図であり、(A)は各ブレードの上
昇、(B)は各カートリッジのホームポジションからプ
リント領域側への移動、(C)は液体組成物用ブレード
の下降、(D)はプリント用カートリッジの吐出口面の
ワイピングとインク用ブレードの下降をそれぞれ示して
いる。
【図6】図1のインクジェットプリント装置のワイピン
グ動作を示す模式図であり、(A)はインク用ブレード
の上昇、(B)は各カートリッジのホームポジション側
からプリント領域側への移動とプリント用カートリッジ
の吐出口面のワイピング、(C)は各カートリッジのプ
リント領域側からホームポジション側への移動とインク
用ブレードの待機と液体組成物用ブレードの上昇、
(D)各カートリッジのホームポジション側への移動と
液体組成物用カートリッジの吐出口面のワイピングをそ
れぞれ示している。
【図7】図1のインクジェットプリント装置の廃液回収
系統を示す模式図である。
【図8】図7の廃液回収系統の一部変更例を示す模式図
である。
【図9】コート紙にインクジェット記録を行ったときの
着色部の状態を説明する模式的断面図である。
【図10】本発明にかかるインクタンクカートリッジの
一実施態様を示す概略図である。
【図11】図10のインクタンクカートリッジを記録ヘ
ッドに装着させた様子を示した図である。
【図12】本発明にかかる記録ユニットの一実施態様を
示す概略図である。
【図13】本発明にかかるインクジェット画像の着色部
の状態を説明する模式的断面図である。
【図14】本発明にかかる着色部の形成する方法の一例
を示した図である。
【図15】本発明にかかる記録ユニットの一実施態様を
示す概略図である。
【図16】本発明にかかるインクジェットプリント装置
の一実施態様を模式的に示す斜視図である。
【図17】図16のインクジェットプリント装置のワイ
ピング動作を示す模式図であり、(A)はインク用ブレ
ードの上昇、(B)はプリント用カートリッジの吐出口
面のワイピング、(C)はインク用ブレードの下降、
(D)は液体組成物が適正位置についた後の両ブレード
の上昇、(E)は液体組成物と第2のブラックインク用
ヘッドのワイピング、(F)は両ブレードの下降をそれ
ぞれ示す。
【図18】本発明にかかるインクジェット画像の高発色
な着色部の状態を説明する模式的断面図である。
【図19】図18の比較としてインクジェット画像の高
発色でない着色部の状態を説明する模式的断面図であ
る。
【図20】被記録媒体の深さと残存する色材および微粒
子との関係を説明するための図である。
【図21】インクが被記録媒体に付与された後、インク
に液体組成物が接触するまでの時間と光学濃度O.D.
の関係を説明するグラフである。
【符号の説明】
1 プリント用カートリッジ 2 液体組成物用カートリッジ 3 キャリッジ 4 ガイド軸(走査レール) 5 駆動ベルト 6 搬送ローラ 8 搬送ローラ 10 被記録媒体 11 回復ユニット 12 キャップ(インク吐出部用) 13 キャップ(液体組成物吐出部用) 14 吸引ポンプ(インク用) 15 吸引ポンプ(液体組成物用) 16 ブレード(インク吐出部用) 17 ブレード(液体組成物吐出部用) 18,19 ブレードホルダー 21 液貯留タンク部 22 インク吐出部 22A 液体組成物吐出部 23 ヘッド側コネクタ 24 廃液タンク 25 吸収体 81 吐出口 形成面 82 吐出口 83 共通液室 84 液路 85 電気熱変換体(発熱抵抗体など) 1800 着色部 1801 反応部 1802 インク流出部 1803 インク 1804 色材 1805 被記録媒体の繊維間に生じる空隙 1806 液体組成物 1809 微粒子 1815 凝集物 2000 被記録媒体 2002 色材 2003 微粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41J 3/04 101Y (72)発明者 加藤 真夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 冨岡 洋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 城田 勝浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA04 EC08 EC72 FA03 FB02 FC02 JA03 JA13 JB04 JC13 2H086 BA01 BA02 BA53 BA56 BA57 BA59 BA60 4J039 BE01 BE02 GA24

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材を含むアニオン性若しくはカチオン
    性のインクと、前記インクに対して逆極性に表面が帯電
    している微粒子が分散状態で含まれる液体組成物とを用
    いて被記録媒体上に記録を行うに際し、 インクの前記被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、記インクの色材濃度をD(%)、
    前記被記録媒体の前記インクに対する吸収係数をKa
    (μm/msec1/2)、前記被記録媒体におけるイ
    ンクの濡れ時間をtw(msec)、前記インクが前記
    被記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前記付与
    されたインクに接触するまでの時間をt(msec)と
    すると、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外1】 なる関係を満たすことを特徴とする記録方法。
  2. 【請求項2】 色材を含むインクと、当該インク中の色
    材と反応する液体組成物とを用いて被記録媒体に記録を
    行う方法であって、 前記インクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体のインクに対する吸収係数をK
    a(μm/msec1/2)、前記被記録媒体における
    インクの濡れ時間をtw(msec)、前記インクが被
    記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前記付与さ
    れたインクに接触するまでの時間をt(msec)とし
    た場合、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外2】 なる関係を満たすように、前記インクと前記液体組成物
    とを前記被記録媒体上において液状で接触させる工程を
    有し、 前記接触工程において前記インク中の色材と前記液体組
    成物中の微粒子とが接触することにより、前記色材が単
    分子状態で前記微粒子の表面に吸着し、前記色材を表面
    に吸着した微粒子同士が凝集することを特徴とする記録
    方法。
  3. 【請求項3】 色材を含むインクと、前記色材に吸着す
    る微粒子を含む液体組成物とを用いて被記録媒体に記録
    を行う方法であって、 前記インクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体のインクに対する吸収係数をK
    a(μm/msec1/2)、前記被記録媒体における
    インクの濡れ時間をtw(msec)、前記インクが被
    記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前記付与さ
    れたインクに接触するまでの時間をt(msec)とし
    た場合、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外3】 なる関係を満たすように、前記インクと前記液体組成物
    とを前記被記録媒体上において液状で接触させる工程を
    有し、 前記接触工程において前記インク中の色材と前記液体組
    成物中の微粒子とが接触することにより、単分子状態を
    保持したままの色材が前記微粒子の表面に吸着し、前記
    色材を表面に吸着した微粒子同士が凝集することを特徴
    とする記録方法。
  4. 【請求項4】 色材を含むアニオン性若しくはカチオン
    性のインクと、前記インクに対して逆極性に表面が帯電
    している微粒子が分散状態で含まれる液体組成物とを用
    いて被記録媒体に対して記録を行うに際し、 前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm以内
    に、単分子状態の色材が吸着された微粒子が存在するよ
    うに記録を行うことを特徴とする記録方法。
  5. 【請求項5】 色材を含むインクと、前記前記色材に吸
    着する微粒子を含む液体組成物とを用いて被記録媒体に
    対して記録を行うに際し、 前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm以内
    に、単分子状態の色材が吸着された微粒子同士が凝集し
    た凝集物が存在するように記録を行うことを特徴とする
    記録方法。
  6. 【請求項6】 前記色材濃度が2.5%以上であること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の記録方
    法。
  7. 【請求項7】 前記吸収係数が2μm/ms1/2以下
    であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記
    載の記録方法。
  8. 【請求項8】 前記インクおよび液体組成物によって形
    成される着色部において、前記液体組成物に含有される
    微粒子の表面に前記インクに含有される色材が単分子状
    態で吸着されることを特徴とする請求項1乃至7のいず
    れかに記載の記録方法。
  9. 【請求項9】 前記微粒子は、アルミナまたはアルミナ
    水和物であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれ
    かに記載の記録方法。
  10. 【請求項10】 色材を含むアニオン性若しくはカチオ
    ン性のインクと、前記インクに対して逆極性に表面が帯
    電している微粒子が分散状態で含まれる液体組成物とを
    用いて被記録媒体上に記録を行うに際し、 インクの前記被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体の前記インクに対する吸収係数
    をKa(μm/msec1/2)、前記被記録媒体にお
    けるインクの濡れ時間をtw(msec)、前記インク
    が前記被記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前
    記付与されたインクに接触するまでの時間をt(mse
    c)とすると、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外4】 なる関係を満たすことを特徴とする記録装置。
  11. 【請求項11】 色材を含むインクと、当該インク中の
    色材と反応する液体組成物とを用いて被記録媒体に記録
    を行う装置であって、 前記インクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体のインクに対する吸収係数をK
    a(μm/msec1/2)、前記被記録媒体における
    インクの濡れ時間をtw(msec)、前記インクが被
    記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前記付与さ
    れたインクに接触するまでの時間をt(msec)とし
    た場合、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外5】 なる関係を満たすように、前記インクと前記液体組成物
    とを前記被記録媒体上において液状で接触させる手段を
    有し、 前記インク中の色材と前記液体組成物中の微粒子とが接
    触することにより、前記色材が単分子状態で前記微粒子
    の表面に吸着し、前記色材を表面に吸着した微粒子同士
    が凝集することを特徴とする記録装置。
  12. 【請求項12】 色材を含むインクと、前記色材に吸着
    する微粒子を含む液体組成物とを用いて被記録媒体に記
    録を行う装置であって、 前記インクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体のインクに対する吸収係数をK
    a(μm/msec1/2)、前記被記録媒体における
    インクの濡れ時間をtw(msec)、前記インクが被
    記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前記付与さ
    れたインクに接触するまでの時間をt(msec)とし
    た場合、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外6】 なる関係を満たすように、前記インクと前記液体組成物
    とを前記被記録媒体上において液状で接触させる手段を
    有し、 前記接触工程において前記インク中の色材と前記液体組
    成物中の微粒子とが接触することにより、単分子状態を
    保持したままの色材が前記微粒子の表面に吸着し、前記
    色材を表面に吸着した微粒子同士が凝集することを特徴
    とする記録装置。
  13. 【請求項13】 色材を含むアニオン性若しくはカチオ
    ン性のインクと、前記インクに対して逆極性に表面が帯
    電している微粒子が分散状態で含まれる液体組成物とを
    用いて被記録媒体に対して記録を行うに際し、 前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm以内
    に、単分子状態の色材が吸着された微粒子が存在するよ
    うに記録を行うことを特徴とする記録装置。
  14. 【請求項14】 色材を含むインクと、前記前記色材に
    吸着する微粒子を含む液体組成物とを用いて被記録媒体
    に対して記録を行うに際し、 前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm以内
    に、単分子状態の色材が吸着された微粒子同士が凝集し
    た凝集物が存在するように記録を行うことを特徴とする
    記録装置。
  15. 【請求項15】 前記微粒子は、アルミナまたはアルミ
    ナ水和物であることを特徴とする請求項10乃至14の
    いずれかに記載の記録方法。
  16. 【請求項16】 被記録媒体上に画像が記録された記録
    物を製造する方法であって、 色材を含むアニオン性若しくはカチオン性のインクと、
    前記インクに対して逆極性に表面が帯電している微粒子
    が分散状態で含まれる液体組成物とを用いて前記被記録
    媒体上に画像を記録するに際し、 インクの前記被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体の前記インクに対する吸収係数
    をKa(μm/msec1/2)、前記被記録媒体にお
    けるインクの濡れ時間をtw(msec)、前記インク
    が前記被記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前
    記付与されたインクに接触するまでの時間をt(mse
    c)とすると、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外7】 なる関係を満たすことを特徴とする記録物の製造方法。
  17. 【請求項17】 被記録媒体上に画像が記録された記録
    物を製造する方法であって、 色材を含むインクと、当該インク中の色材と反応する液
    体組成物とを用いて前記被記録媒体に画像を記録するに
    際し、 前記インクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体のインクに対する吸収係数をK
    a(μm/msec1/2)、前記被記録媒体における
    インクの濡れ時間をtw(msec)、前記インクが被
    記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前記付与さ
    れたインクに接触するまでの時間をt(msec)とし
    た場合、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外8】 なる関係を満たすように、前記インクと前記液体組成物
    とを前記被記録媒体上において液状で接触させて画像を
    形成する工程を有し、 前記画像形成工程では、前記インク中の色材と前記液体
    組成物中の微粒子とが接触することにより、前記色材が
    単分子状態で前記微粒子の表面に吸着し、前記色材を表
    面に吸着した微粒子同士が凝集することを特徴とする記
    録物の製造方法。
  18. 【請求項18】 被記録媒体上に画像が記録された記録
    物を製造する方法であって、 色材を含むインクと、前記色材に吸着する微粒子を含む
    液体組成物とを用いて前記被記録媒体に画像を記録する
    に際し、 前記インクの被記録媒体への単位面積あたりの付与量を
    M(pg/μm)、前記インクの色材濃度をD
    (%)、前記被記録媒体のインクに対する吸収係数をK
    a(μm/msec1/2)、前記被記録媒体における
    インクの濡れ時間をtw(msec)、前記インクが被
    記録媒体に付与された後、前記液体組成物が前記付与さ
    れたインクに接触するまでの時間をt(msec)とし
    た場合、 前記M、D、Ka、tw、tが 【外9】 なる関係を満たすように、前記インクと前記液体組成物
    とを前記被記録媒体上において液状で接触させて画像を
    形成する工程を有し、 前記画像形成工程では、前記インク中の色材と前記液体
    組成物中の微粒子とが接触することにより、単分子状態
    を保持したままの色材が前記微粒子の表面に吸着し、前
    記色材を表面に吸着した微粒子同士が凝集することを特
    徴とする記録物の製造方法。
  19. 【請求項19】 被記録媒体上に画像が記録された記録
    物を製造する方法であって、 色材を含むアニオン性若しくはカチオン性のインクと、
    前記インクに対して逆極性に表面が帯電している微粒子
    が分散状態で含まれる液体組成物とを用いて被記録媒体
    に画像を記録するに際し、 前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm以内
    に、単分子状態の色材が吸着された微粒子が存在するよ
    うに記録を行うことを特徴とする記録物の製造方法。
  20. 【請求項20】 被記録媒体上に画像が記録された記録
    物を製造する方法であって、 色材を含むインクと、前記前記色材に吸着する微粒子を
    含む液体組成物とを用いて被記録媒体に画像を記録する
    に際し、 前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ10μm以内
    に、単分子状態の色材が吸着された微粒子同士が凝集し
    た凝集物が存在するように記録を行うことを特徴とする
    記録物の製造方法。
  21. 【請求項21】前記微粒子は、アルミナまたはアルミナ
    水和物であることを特徴とする請求項16乃至20のい
    ずれかに記載の記録物の製造方法。
  22. 【請求項22】 被記録媒体上に画像を有する記録物で
    あって、 前記画像は、前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ
    10μm以内に、単分子状態の色材が吸着された微粒子
    を含むことを特徴とする記録物。
  23. 【請求項23】 被記録媒体上に画像を有する記録物で
    あって、 前記画像は、前記被記録媒体の表面から少なくとも深さ
    10μm以内に、単分子状態の色材が吸着された微粒子
    同士が凝集した凝集物を含むことを特徴とする記録物。
  24. 【請求項24】 前記微粒子は、アルミナまたはアルミ
    ナ水和物であることを特徴とする請求項22または23
    に記載の記録物。
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