JP2003021932A - トナー - Google Patents

トナー

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JP2003021932A
JP2003021932A JP2001208841A JP2001208841A JP2003021932A JP 2003021932 A JP2003021932 A JP 2003021932A JP 2001208841 A JP2001208841 A JP 2001208841A JP 2001208841 A JP2001208841 A JP 2001208841A JP 2003021932 A JP2003021932 A JP 2003021932A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐ブロッキング性や現像性を悪化させること
なく低温定着性と同時に耐高温オフセット性を満足する
トナーを提供することにある。 【解決手段】 少なくともビニル系重合体ユニットとポ
リエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分と着
色剤を含むトナーにおいて、該ポリエステルユニット成
分は、 (A)重合脂肪酸(不飽和脂肪酸のオリゴマー) (B)芳香族ジカルボン酸 (C)3価以上の多価カルボン酸及び/または多価アル
コール (D)ジオールを少なくとも有する単量体組成物からな
り、該ポリエステルユニット成分中の構成比率が (A);3モル%以上15モル%未満 (B);8モル%以上35モル%未満 (C);5モル%以上25モル%未満 (D);40モル%以上60モル%未満 であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法,静電
記録法,静電印刷法,トナージェット方式記録法などを
利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】トナー用樹脂としてはスチレン系樹脂な
どのビニル系共重合体及びポリエステル樹脂が主に使用
されている。スチレン系樹脂などのビニル系共重合体
は、トナー製造時の粉砕性に優れ、高分子量化が容易な
ため耐高温オフセット性には優れているが、低温定着性
を向上させるために分子量を下げると耐ブロッキング性
や現像性が悪化してしまうため、低温定着性の改良には
限界がある。
【0003】一方のポリエステル樹脂はスチレン系樹脂
と比較して、耐ブロッキング性を悪化させることなく低
温定着化が可能であるという側面があるが、同時に良好
な耐高温オフセット性を満足することが困難である。例
えば樹脂を非線状化、または架橋化する方法、金属イオ
ン架橋化する方法が耐高温オフセット性を改善する方法
として数多く提案されているが、これらの方法により充
分な耐高温オフセット性を得ようとすると低温定着性が
著しく悪化してしまう傾向がある。また、トナー製造時
の粉砕性も著しく悪化してしまう。
【0004】そこで例えば特開昭59−29257号公
報や同60−4947号公報に示されるように長鎖のア
ルキル基を置換したジカルボン酸、特公平8−3663
公報に示されるような長鎖ジカルボン酸類やロジングリ
シジルエステルなどのソフトセグメントを導入すること
が広く行われている。
【0005】しかし近年のさらなる低温定着化やトナー
の微粒径化の要求に対応するためには、これらの構成で
も充分ではなく、さらにソフトセグメント成分を多量に
使用すると、現像性や耐ブロッキング性を悪化させ、さ
らに定着時などにトナーが加熱された際に発生する不快
な臭気が強くなることがわかってきた。
【0006】特に最近は環境的な要素が重要視されてき
ているとともに、デスクトッププリンターなどのような
小型製品が増え、オフィス内の人間の居住空間に近い位
置に配置されるために、それらの装置から臭気を発生し
ないことを強く求められているという背景がある。
【0007】これらの2種類の樹脂の長所を有効に生か
し、欠点を補うためにこれらの樹脂を混合して使用する
方法もいくつか検討されている。例えば特開昭54−1
14245号公報では、ポリエステル樹脂とビニル系共
重合体を混合した樹脂を含有してなるトナーが開示され
ている。しかしながら、ポリエステル樹脂とビニル系共
重合体は本質的に相溶性が悪いため、これらの配合比を
適切なものにしないと低温定着性、耐高温オフセット
性、耐ブロッキング性をすべて満足するのは難しい。ま
た、トナー製造時に添加される着色剤やワックスなどの
分散性が不十分なものとなるため、現像性に問題を生じ
やすくなる。特に近年、微粒子化が進んでいるトナーに
おいてはこの問題が顕著となる。
【0008】特開昭56−116043号公報や特開昭
58−159546号公報では、ポリエステル樹脂の存
在下で単量体を重合して得られる重合体を含有すること
を特徴とするトナーが開示されている。特開昭58−1
02246号公報や特開平1−156759号公報で
は、不飽和ポリエステル樹脂存在下でビニル系共重合体
を重合して得られる重合体を含有することを特徴とする
トナーが開示されている。特開平2−881号公報で
は、酸価含有スチレン系樹脂とポリエステル樹脂をエス
テル化した重合体を含むことを特徴とするトナーが開示
されている。これらの方法では、ポリエステル樹脂とビ
ニル系共重合体の相溶性は向上するものの、トナー製造
時に添加されるワックスを均一に分散するのは困難であ
り、トナーとした場合は定着性ばかりでなく、現像性に
おいても未だ改良すべき課題を残している。
【0009】特開平4−338973号公報では、軟化
点の異なる2種のポリエステル樹脂を用いたトナー、特
開平8−166688号公報では、分子量の異なる2種
のポリエステル樹脂を用いたトナーを開示している。し
かし、いずれも耐高温オフセット性においては、ポリエ
ステル樹脂の領域の範囲内にあり、改良すべき問題であ
る。
【0010】特開平8−44108号公報においては、
ビニル系樹脂モノマーによる付加重合反応とポリステル
系樹脂モノマーによる縮重合反応を並行して行うによっ
て得られた、軟化点の異なる2種のハイブリッド樹脂を
用いたトナーを開示している。また、特開平8−547
54号公報では、ポリエステル樹脂と、ビニル系樹脂モ
ノマーによる付加重合反応とポリエステル系樹脂モノマ
ーによる縮重合反応を並行して行うによって得られたハ
イブリッド樹脂を混合して得られる樹脂を用いたトナー
を開示している。これらの方法では、トナーの低分子量
側と高分子量側の架橋のバランスが上手くいかず、低温
定着性、ワックス分散、長期にわたる現像性に対し未だ
改良すべき問題を残している。
【0011】上記したように従来の技術では、これらの
問題に対しすべてを解決したトナーが得られていないの
が現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐ブ
ロッキング性や現像性を悪化させることなく低温定着性
と同時に耐高温オフセット性を満足するトナーを提供す
ることにある。
【0013】さらに他の目的は、トナー画像定着時に不
快な臭気を発生しないトナーを提供することにある。
【0014】さらに他の目的は、トナーを製造する際の
粉砕性に優れたトナーを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともビ
ニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有する
ハイブリッド樹脂成分と着色剤を含むトナーにおいて、
該ポリエステルユニット成分は、 (A)重合脂肪酸(不飽和脂肪酸のオリゴマー) (B)芳香族ジカルボン酸 (C)3価以上の多価カルボン酸及び/または多価アル
コール (D)ジオール を少なくとも有する単量体組成物からなり、該ポリエス
テルユニット成分中の構成比率が (A);3モル%以上15モル%未満 (B);8モル%以上35モル%未満 (C);5モル%以上25モル%未満 (D);40モル%以上60モル%未満 であることを特徴とするトナーに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明トナーは、結着樹脂成分と
してハイブリッド樹脂成分を含有する。該ハイブリッド
樹脂とは、ポリエステル樹脂成分とビニル系重合体成分
の少なくとも一部が化学的に結合された樹脂を意味す
る。そして、該化学的に結合しているポリエステル樹脂
成分側が、ポリエステルユニットであり、該化学的に結
合しているビニル系重合体成分が、ビニル系重合体ユニ
ットである。
【0017】具体的には、ポリエステルユニットと(メ
タ)アクリル酸の如きカルボン酸を有するビニル系モノ
マー類や、(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン
酸エステル基を有するビニル系モノマー類を含んで重合
されたビニル系重合体ユニットとが、エステル化反応や
エステル交換反応によって形成されたものである。その
共重合の形態としては、ビニル系重合体ユニットを幹重
合体とし、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラ
フト共重合体あるいはブロック共重合体を形成すること
が好ましい。
【0018】従って本発明において、ハイブリッド樹脂
成分とは、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニ
ットの少なくとも一部が
【0019】
【化1】 を介して結合するものである。
【0020】本発明者らは、従来レベルを超える低温定
着性を実現すべく、ハイブリッド樹脂中のポリエステル
ユニットのソフトセグメント成分に着目し検討を重ねて
きたが、ポリエステルユニットにソフトセグメント成分
として重合脂肪酸を用い、あわせて用いる芳香族ジカル
ボン酸と3価以上の多価カルボン酸及び/または多価ア
ルコールとのモル比をある一定の範囲にコントロールす
ることで、耐ブロッキング性や現像性を悪化させること
なく、さらにトナー画像定着時に不快な臭気を発生する
ことなく、充分な低温定着性と同時に耐高温オフセット
性を満足するトナーが得られることを見出し本発明に至
った。
【0021】本発明トナーに含まれるビニル系重合体ユ
ニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹
脂中のポリエステルユニットには、構成単位として重合
脂肪酸を含むこと特徴とする。
【0022】重合脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の重合によ
り製造される二量体および三量体脂肪酸を主成分とする
オリゴマーであり、本発明には炭素原子6〜22個の炭
素鎖を有するモノ不飽和脂肪酸、またはポリ不飽和脂肪
酸を重合して得られるものが好ましく用いられ、具体例
としては、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸等の二量体を主成
分とするものが挙げられる。中でも特に、オレイン酸、
リノール酸、リノレン酸等の炭素原子18個の不飽和脂
肪酸を重合して得られる重合脂肪酸が、耐ブロッキング
性、現像性、定着時の不快臭低減に対して特に効果があ
り、好ましく用いられる。
【0023】以下に具体例として、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレン酸等の炭素原子18個の不飽和脂肪酸を
重合して得られる重合脂肪酸の主成分である二量体脂肪
酸の構造例を示す。
【0024】
【化2】
【0025】本発明に使用する重合脂肪酸は2量体であ
る2価のカルボン酸のほかに、3量体である3価のカル
ボン酸を30質量%以下、特に5〜30質量%含有して
いるものが、よりソフトな架橋構造を形成し定着特性に
おいて有効であるため好ましく用いられる。単量体であ
る1価のカルボン酸を10質量%以下の比率で含んでい
てもよい。なお、1価、2価、3価のカルボン酸の比率
は、例えばフーリエ変換型核磁気共鳴装置(FT−NM
R)のスペクトルにより求めることができる。
【0026】上記のような重合脂肪酸はポリエステル構
造中に柔軟な分子鎖を付与して低温定着性の向上に大き
く寄与し、通常相反する性能として現れる耐ブロッキン
グ性の低下や現像性の低下が比較的発生しにくい性質で
あることがわかった。従来のビニル系重合体ユニットと
ポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂のガラ
ス転移温度において、トナー化した際にブロッキングを
発生する限界のガラス転移温度より、少なくとも5℃以
上低くしても耐ブロッキング性を維持できる。特に上記
に例示したような六員環を有する構造を含む重合脂肪酸
は耐ブロッキング性、現像性に対し効果がある。それは
末端分子の運動が長鎖の分子と比較して制限されやすい
ことにより、高温時の安定性や帯電保持能力にすぐれて
いるためと考えられる。
【0027】さらに本発明の重合脂肪酸を含むハイブリ
ッド樹脂を用いたトナーは、従来のソフトセグメント成
分を導入したポリエステル系トナーを用いたときに発生
していた定着時の不快臭が大幅に低減されることがわか
った。
【0028】上記の効果が得られる理由は、重合脂肪酸
自体が無臭あるいは微香であるため、仮に未反応で残存
したとしても臭気の原因となることがなく、また、不快
臭の原因となる反応副生物の生成を抑えるためであると
推察される。特にオレイン酸、リノール酸、リノレン酸
等の炭素原子18個の不飽和脂肪酸を重合して得られる
重合脂肪酸が、定着時の不快臭低減に対して特に効果が
ある。
【0029】本発明において重合脂肪酸は、該ビニル系
重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブ
リッド樹脂に含まれるポリエステルユニット中、3モル
%以上15モル%未満の範囲で用いたときに上述したよ
うな優れた性能を発揮する。3モル%未満では充分な低
温定着性は得られず、15モル%以上ではガラス転移温
度が低くなりやすいため耐ブロッキング性の低下や現像
性の低下が発生しやすくなる。
【0030】また、該ポリエステルユニットには、芳香
族ジカルボン酸を含むことを特徴とする。ポリエステル
ユニット中、8モル%以上35モル%未満の範囲で、先
に示した重合脂肪酸とあわせて用いることにより、重合
脂肪酸の柔軟な性質と芳香族ジカルボン酸の硬直な性質
を併せ持つ分子構造となるため、定着特性と同時にトナ
ーの現像性と耐久性を向上させることができる。芳香族
ジカルボン酸がポリエステルユニット中、8モル%未満
であると現像性、耐久性、耐ブロッキング性が劣る傾向
があり、35モル%以上ではトナー製造時の粉砕性が極
端に悪化する。さらに好ましい範囲は10モル%以上3
0モル%未満の範囲である。
【0031】本発明に使用できる芳香族ジカルボン酸と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、2,4−トルエンジ
カルボン酸、3,5−トルエンジカルボン酸、2,5−
トルエンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、これら
の酸無水物または低級モノアルキルエステル等があげら
れる。
【0032】また該ポリエステルユニットには、3価以
上の多価カルボン酸及び/または多価アルコールを含む
ことを特徴とする。ポリエステルユニット中、5モル%
以上25モル%未満の範囲で、先に示した重合脂肪酸、
芳香族ジカルボン酸とあわせて使用されることにより、
重合脂肪酸の柔軟な性質と芳香族ジカルボン酸の硬直な
性質を併せ持つ分子構造を、さらに3次元網目状構造を
有する構造とすることができるため、トナーに良好な低
温定着性と耐高温オフセット性を両立させるのに適した
適度の弾性を付与することができる。
【0033】3価以上の多価カルボン酸及び/または多
価アルコールがポリエステルユニットを構成する全モノ
マー成分に対して5モル%未満であると耐オフセット性
が悪化し、25モル%以上になると樹脂合成時の反応の
コントロールが難しくなり、安定した性能の樹脂が得に
くくなる。また、低温定着性やトナー製造時の粉砕性が
極端に悪化する。
【0034】例えば本発明に用いられる3価以上のポリ
カルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット
酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7−ナ
フタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリ
カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,
2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキ
シル−2−メチレンカルボキシルプロパン、1,3−ジ
カルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシルプロ
パン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,
2,7,8−オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無
水物が挙げられる。3価以上のポリオールとしては、ソ
ルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,
4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトール、トリペンタエリスリトール、しょ糖、1,
2,4−メタントリオール、グリセリン、2−メチルプ
ロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタント
リオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙
げられる。
【0035】本発明には、2価の脂肪族カルボン酸類を
用いても良く、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、マロン酸の如きアルキルジカ
ルボン酸類またはその無水物、またさらに炭素数6〜1
8のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク
酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラ
コン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはそ
の無水物等が挙げられる。
【0036】また、本発明トナーに含まれるハイブリッ
ド樹脂のポリエステルユニット中には、ポリエステル成
分中、40モル%以上60モル%未満のジオール類を用
いる。ジオールがポリエステル成分中、60モル%以上
であると、樹脂合成時の反応のコントロールが難しくな
り、安定した性能の樹脂が得られなくなることが多い。
また、40モル%未満であると、樹脂の酸価が高くな
り、現像性が悪化しやすい。
【0037】本発明に用いるジオール類としては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタン
ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3
−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式
(I)
【0038】
【化3】 (式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x,
yはそれぞれ1以上の整数を示し、かつx+yの平均値
は2〜10を示す。)で示されるビスフェノール誘導
体、または下記式(II)
【0039】
【化4】 で示されるジオールの如きジオール類が挙げられる。
【0040】特に好ましいアルコール成分としては、前
記式(I)で示されるビスフェノール誘導体であり、低
温定着性と現像性に対して有効である。
【0041】本発明に用いられる、ハイブリッド樹脂中
に含まれるビニル系重合体ユニットを構成するビニル系
モノマーとしては以下のものが挙げられる。
【0042】スチレン;o−メチルスチレン、m−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレ
ン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
p−ブチルスチレン、p−tert−トリブチルスチレ
ン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチ
レン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレ
ン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレ
ン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、
m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロ
スチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プ
ロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオ
レフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリ
エン類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニルの如き
ハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ス
テアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの
如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリ
ル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアク
リル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチ
ルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエ
ーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケト
ン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン
類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N
−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−
ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリ
ル酸もしくはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
【0043】さらに、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸
無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水
物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アル
ケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルア
ジピン酸、これらのモノエステルの如きカルボキシル基
を有するモノマーが挙げられる。
【0044】さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメ
タクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メ
チルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メ
チルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモ
ノマーが挙げられる。
【0045】また更に、マレイン酸メチルハーフエステ
ル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチ
ルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステ
ル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸
ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステ
ル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル
酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエス
テルの如き不飽和ジカルボン酸ハーフエステル類;マレ
イン酸ジメチル、フマル酸ジメチルの如き不飽和ジカル
ボン酸ジエステル類;マレイン酸、シトラコン酸、イタ
コン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の
如き不飽和ジカルボン酸類;マレイン酸無水物、シトラ
コン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸
無水物の如き不飽和ジカルボン酸無水物類もビニル系モ
ノマーとして使用できるが、本発明における結着樹脂を
製造するのに使用される全モノマー成分を基準としてポ
リエステル系モノマー成分の割合を算出するときには、
これらに限りポリエステル系モノマー成分として算出す
る。
【0046】また、必要に応じて以下に例示するような
架橋性モノマーで架橋された重合体であっても良い。
【0047】芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキ
ル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、
エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ
アクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のア
クリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレー
ト化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエ
チレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレ
ングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレング
リコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレー
トをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基
及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化
合物類としては例えば、ポリオキシエチレン(2)−
2,2−ビス(4−ヒドロキジフェニル)プロパンジア
クリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス
(4−ヒドロキジフェニル)プロパンジアクリレート及
び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代え
たものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類と
して例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられ
る。
【0048】多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、トリメチロールエタントリア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリ
ゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレー
トをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレ
ート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0049】これらの架橋剤は、他のビニル系モノマー
成分100質量部に対して、0.01〜10.0質量部
(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることが
できる。
【0050】本発明ではビニル系共重合体成分及び/又
はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得る
モノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂
成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応
し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、
シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又
はその無水物などが挙げられる。ビニル系共重合体成分
を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応
し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基
を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エス
テル類などが挙げられる。
【0051】ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生
成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及び
ポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分
を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方
もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る
方法が好ましい。
【0052】本発明のビニル系共重合体を製造する場合
に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4
−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリ
ル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、
1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリ
ル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペン
タン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メ
トキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチ
ル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、
アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパ
ーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類;2,2−
ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、
1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキ
サイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルク
ミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,
α’−ビス(t−ブチルパーオキジイソプロピル)ベン
ゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオ
キサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−イソプロ
ピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシ
ルパーオキシシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオ
キシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキ
シジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキ
シジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチ
ル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシル
スルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセ
テート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブ
チルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキ
シ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラ
ウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブ
チルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブ
チルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシ
アリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチル
ヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイ
ドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレ
ートが挙げられる。
【0053】また、本発明に用いられるビニル系重合体
ユニットを製造する場合に用いられる開始剤として、以
下に例示する多官能性重合開始剤を単独あるいは単官能
性重合開始剤と併用して用いても良い。
【0054】多官能構造を有する多官能重合開始剤の具
体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−
3,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス
−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、
2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)
ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオ
キシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ
シクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブ
タン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックア
シッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキ
シヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパー
オキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチ
ルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチ
ルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及び2,2−t
−ブチルパーオキシオクタンの如き1分子内に2つ以上
のパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基
を有する多官能性重合開始剤;及びジアリルパーオキシ
ジカーボネート、トリブチルパーオキシマレイン酸、t
−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチル
パーオキシイソプロピルフマレートの如き1分子内にパ
ーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基と重
合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤が挙げ
られる。
【0055】これらのうち、より好ましいものは、1,
1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、1,1−t−ブチルパーオキシシク
ロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロ
テレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート
及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキ
シシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキ
シアリルカーボネートである。
【0056】本発明のトナーにおいて、含有する結着樹
脂を製造するのに使用されるポリエステル系モノマー成
分の割合(A)が、全モノマー成分を基準として60〜
95質量%であることが好ましい。ポリエステル系モノ
マー成分の割合が60質量%未満になると、ポリエステ
ル樹脂の特徴が現れにくくなり、トナーの低温定着性と
耐ブロッキング性の両立が困難になる。ポリエステル系
モノマー成分の割合が95質量%を超えると、ポリエス
テル樹脂の特徴が強く現れ、トナー中のワックス分散性
が悪化しやすい。
【0057】本発明において、ハイブリッド樹脂の製造
方法としては、例えば以下の(1)〜(7)に示す製造
方法を挙げることができる。
【0058】(1)ビニル系重合体とポリエステル樹脂
を別々に製造した後、有機溶剤に溶解/膨潤させ、エス
テル化触媒、必要に応じてアルコール類を添加して、加
熱することによりエステル化反応又は/及びエステル交
換反応を行った後、有機溶媒を留去して製造する方法で
ある。また、この工程で、ワックス類を添加しても良
い。
【0059】(2)ビニル系重合体の存在下に、ポリエ
ステル系モノマーを添加し、重合並びにビニル系重合体
とのエステル化反応又は/及びエステル交換反応をして
製造する方法である。この時必要に応じて、更にビニル
系モノマーを添加し重合しても良い。また、この場合も
適宜、有機溶剤を使用することができる。また、この工
程でワックス類を添加しても良い。
【0060】(3)ポリエステル樹脂の存在下に、ビニ
ル系モノマーを添加し、重合並びにエステル化反応又は
/及びエステル交換反応をして製造する方法である。こ
の時、必要に応じて更にポリエステル系モノマーを添加
し重合しても良い。また、この場合も適宜、有機溶剤を
使用することができる。また、この工程でワックスを添
加しても良い。
【0061】(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹
脂存在下に、ビニル系モノマー及び/又はポリエステル
系モノマーを添加し、重合並びにエステル化反応又は/
及びエステル交換反応をして製造する方法である。この
場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。また、
この工程でワックスを添加しても良い。
【0062】(5)ビニル系モノマー及びポリエステル
系モノマーを混合して付加重合及び縮重合反応並びにエ
ステル化反応又は/及びエステル交換反応をして製造す
る方法である。この場合も適宜、有機溶剤を使用するこ
とができる。また、この工程でワックスを添加しても良
い。
【0063】(6)上記(1)〜(5)で製造されたハ
イブリッド樹脂成分を含有する樹脂を、更にビニル系重
合体及び/又はポリエステル系樹脂と、例えば有機溶剤
に溶解/膨潤させるなどして混合して、有機溶剤を留去
して製造する方法である。
【0064】(7)上記(1)〜(5)で製造されたハ
イブリッド樹脂成分を含有する樹脂の存在下に、更にビ
ニル系モノマー及び/又はポリエステル系モノマーを添
加し、重合並びにエステル化反応又は/及びエステル交
換反応をして製造する方法である。さらに、適宜、有機
溶剤を使用することができる。また、この工程でワック
スを添加しても良い。
【0065】上記(1)〜(4)及び(6)の製造方法
において、ビニル系重合体及び/又はポリエステル樹脂
は複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体を使用す
ることができる。
【0066】上記(1)〜(7)の製造方法の中でも、
特に(3)の製造方法が、分子量制御が容易であり、ハ
イブリッド樹脂成分の生成を制御することができ、かつ
ワックスを添加する場合にはその分散状態を制御できる
点で好ましい。
【0067】本発明トナーにおいてハイブリッド樹脂の
ガラス転移温度は45℃〜70℃、さらには45℃〜6
0℃であることが好ましい。ガラス転移温度は低いほど
低温定着性には効果があるが、耐ブロッキング性が悪化
するため従来公知の技術では55℃以下にすることは実
質的に行われていなかったが、本発明構成によれば55
℃以下であっても耐ブロッキング性に問題が生じること
は少ない。
【0068】本発明トナーにおいてハイブリッド樹脂成
分の軟化点は110℃〜140℃が好ましく、110℃
を下回ると耐オフセット性が悪化し、140℃を超える
と低温定着性が悪化する。
【0069】本発明トナーにおいてハイブリッド樹脂成
分の酸価は5〜40mgKOH/gが好ましく、この範
囲を外れた場合現像性が悪化することがある。特に好ま
しい範囲は10〜25mgKOH/gである。
【0070】本発明トナーの結着樹脂としては、本発明
の性能を損なわない範囲で他のポリエステル樹脂、スチ
レン及びその置換体の共重合体;スチレン−アクリル酸
メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合
体、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体等のスチ
レンとアクリル酸エステルとの共重合体;スチレン−メ
タクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エ
チル共重合体、スチレン−メタクリル酸n−ブチル共重
合体等のスチレンとメタクリル酸エステルとの共重合
体;スチレンとアクリル酸エステル及びメタクリル酸エ
ステルとの多元共重合体;その他スチレン−アクリロニ
トリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重
合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ビニ
ルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル
−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共
重合体等のスチレンと他のビニル系モノマーとのスチレ
ン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチル
メタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、エポキ
シ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、フェ
ノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、石油樹
脂、塩素化パラフィン等を混合して使用できる。本発明
効果を充分に発揮するためには、これらの樹脂を混合す
る割合としては全樹脂成分の25質量%以下であり、さ
らに少ないほど好ましい。
【0071】本発明トナーには、金属架橋によるオフセ
ット防止効果を目的として含金属有機化合物を添加して
も良く、特に気化性や昇華性に富む有機金属化合物を配
位子や対イオンとして含有するものが優れた結果を与え
る。
【0072】金属イオンと配位子や対イオンを形成する
有機化合物のうちで上記のような性質を有するものとし
ては、例えば、サリチル酸、サリチルアミド、サリチル
アミン、サリチルアルデヒド、サリチロサリチル酸、ジ
tert−ブチルサリチル酸などのサリチル酸及びその
誘導体、例えば、アセチルアセトン、プロピオンアセト
ンなどのβ−ジケトン類、例えば、酢酸塩やプロピオン
酸などの低分子カルボン酸塩などがある。
【0073】本発明のトナーに用いられる着色剤は、黒
色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,以下に示す
イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色さ
れたものが利用される。
【0074】イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合
物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,
アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代
表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピ
グメントイエロー12、13、14、15、17、6
2、74、83、93、94、95、97、109、1
10、111、120、127、128、129、14
7、168、174、176、180、181、191
等が好適に用いられる。
【0075】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合
物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キ
ナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール
化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合
物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.
I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、4
8:2、48:3、48:4、57:1、81:1、1
44、146、166、169、177、184、18
5、202、206、220、221、254が特に好
ましい。
【0076】シアン着色剤としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染
料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.
ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、
15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に
利用できる。
【0077】これらの着色剤は、単独または混合し更に
は固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤
は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナ
ー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量
は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用
いられる。
【0078】黒色着色剤として磁性体を用いた場合に
は、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部に対し30
〜200質量部添加して用いられる。
【0079】磁性体としては、鉄,コバルト,ニッケ
ル,銅,マグネシウム,マンガン,アルミニウム,珪素
などの元素を含む金属酸化物などがある。中でも四三酸
化鉄,γ−酸化鉄等,酸化鉄を主成分とするものが好ま
しい。また、トナー帯電性コントロールの観点から硅素
元素またはアルミニウム元素等、他の金属元素を含有し
ていてもよい。これら磁性粒子は、窒素吸着法によるB
ET比表面積が好ましく2〜40m2/g、特に3〜2
8m2/g、更にモース硬度が5〜7の磁性粉が好まし
い。
【0080】磁性体の形状としては、8面体,6面体,
球体,針状,鱗片状などがあるが、8面体,6面体,球
体,不定型等の異方性の少ないものが画像濃度を高める
上で好ましい。磁性体の平均粒径としては0.05〜
1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.
6μm、さらには、0.1〜0.4μmが好ましい。
【0081】磁性体量は結着樹脂100質量部に対し3
0〜200質量部、好ましくは40〜200質量部、さ
らには50〜150質量部が好ましい。30質量部未満
ではトナー搬送に磁気力を用いる現像器においては、搬
送性が不十分で現像剤担持体上の現像剤層にムラが生じ
画像ムラとなる傾向であり、さらに現像剤トリボの上昇
に起因する画像濃度の低下が生じ易い傾向であった。一
方、200質量部を超えると定着性に問題が生ずる傾向
であった。
【0082】また、本発明のトナーにおいては、上記し
た構成材料の他に、必要に応じて、一種または二種以上
のワックスを用いてトナー中に含有させてもかまわな
い。本発明のトナーに用いることのできるワックスとし
ては、下記に挙げるようなものがある。例えば、低分子
量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロク
リスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭
化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックス等
の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それら
のブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワッ
クス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステル
を主成分とするワックス類、及び、脱酸カルナバワック
ス等の脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化した
もの等が挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン
酸、モンタン酸等の、飽和直鎖脂肪酸類、ブラシジン
酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪
酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、
ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリル
アルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール
類、ソルビトール等の多価アルコール類、リノール酸ア
ミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸
アミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレン
ビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミ
ド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂
肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘ
キサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレ
イルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン
酸アミド等の、不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビ
スステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフ
タル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類、ステアリン酸
カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般
に、金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭
化水素系ワックスに、スチレンやアクリル酸等のビニル
系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、ま
た、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコ
ールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加
等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエス
テル化合物等が挙げられる。
【0083】上記の中でも、本発明のトナーに特に好ま
しく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワ
ックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラ
ジカル重合或いは低圧下でチーグラー触媒で重合した低
分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポ
リマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸
化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得ら
れる炭化水素の蒸留残分から、或いはこれらを水素添加
して得られる合成炭化水素等のワックスがよい。更に、
プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式
により炭化水素ワックスの分別を行ったものがより好ま
しく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物
系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用し、一酸化炭
素と水素の反応によって合成されたもの、例えば、ジン
トール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、或い
は、ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定
触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまで
の炭化水素や、エチレン等のアルキレンをチーグラー触
媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、
飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。その中
でもDSC吸熱メインピークが60〜120℃の範囲に
あるワックスが本発明の効果をより発揮できるため好ま
しい。具体的に低温定着性においては、ワックスの融点
より低い温度では、トナーが充分軟化していたとして
も、定着ローラーなどの直接トナーが接する加熱部材と
の分離が困難なため、被定着シートの巻きつき、低温オ
フセットが発生し、満足な定着画像を得ることはできな
い。
【0084】本発明においてワックスの融点は、DSC
において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピーク
のピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
【0085】本発明においてワックス又はトナーの示差
走査熱量計によるDSC測定では、高精度の内熱式入力
補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例
えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が利用でき
る。
【0086】測定方法は、ASTM D3418−82
に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回
昇温,降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/m
inで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用い
る。
【0087】本発明のトナーに用いる上記したようなワ
ックスの量としては、結着樹脂100質量部あたりで、
0.5〜20質量部であることが好ましい。0.5質量
部未満では被定着シートの巻きつき、オフセットが発生
しやすく、20質量部を超えると現像性、耐久性の低下
を引き起こす。さらに好ましい範囲は1〜10質量部で
ある。
【0088】また、これらのワックスをトナーに含有さ
せる場合には、結着樹脂や着色剤等のトナー形成材料を
混練する時に混合する方法、結着樹脂製造時の樹脂が高
温溶融している時に混合する方法、あるいは、結着樹脂
製造時のモノマーに溶解して添加する方法のいずれの方
法でもよいが、ワックスの分散性に関しては結着樹脂製
造時、特にモノマーに溶解して添加する方法がもっとも
効果がある。
【0089】また本発明のトナーに含有される無機微粉
体としては公知のものが用いられるが、帯電安定性,現
像性,流動性,保存性向上のため、シリカ,アルミナ,
チタニアあるいはその複酸化物の中から選ばれることが
好ましい。さらには、シリカであることがより好まし
い。例えば、かかるシリカは硅素ハロゲン化物やアルコ
キシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法ま
たはヒュームドシリカと称される乾式シリカ及びアルコ
キシド,水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカ
の両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内
部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 2-
等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また
乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化
アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物を
硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカ
と他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり
それらも包含する。
【0090】本発明に用いられる無機微粉体は、BET
法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以
上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結
果を与え、トナー100質量部に対してシリカ微粉末
0.1〜8質量部、好ましくは0.5〜5質量部、さら
に好ましくは1.0を超えて3.0質量部まで使用する
のが特に良い。
【0091】また、本発明に用いられる無機微粉体は、
必要に応じ、疎水化,帯電性制御等の目的でシリコーン
ワニス,各種変性シリコーンワニス,シリコーンオイ
ル,各種変性シリコーンオイル,シラン化合物,官能基
を有するシラン化合物,その他有機硅素化合物,有機チ
タン化合物等の処理剤で、あるいは、種々の処理剤で併
用して処理されていることも可能であり好ましい。
【0092】本発明のトナーにおいては、実質的な悪影
響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばフッ素樹
脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン
粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉
末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;例えば
酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付
与剤;ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラ
ック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与
剤、また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性
向上剤として少量用いることもできる。
【0093】本発明のトナーを製造する方法としては、
上述したようなトナー構成材料をボールミルその他の混
合機により十分混合した後、熱ロールニーダー、エクス
トルーダーの如き熱混練機を用いて良く混練し、冷却固
化後、機械的に粉砕し、粉砕粉を分級することによって
トナーを得る方法が好ましい。他には、結着樹脂を構成
すべき単量体に所定の材料を混合して乳化懸濁液とした
後に、重合させてトナーを得る重合法トナー製造法;コ
ア材及びシェル材からなるいわゆるマイクロカプセルト
ナーにおいて、コア材あるいはシェル材、あるいはこれ
らの両方に所定の材料を含有させる方法;結着樹脂溶液
中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりト
ナーを得る方法が挙げられる。さらに、必要に応じ、所
望の添加剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサーの如き
混合機により十分に混合し、本発明のトナーを製造する
ことができる。
【0094】例えば混合機としては、ヘンシェルミキサ
ー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社
製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキ
サー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワ
ミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工
社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げら
れ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社
製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型
押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本
製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本
ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製
作所社製);ニーテックス(三井鉱山社製);MS式加
圧ニーダー、ニダールーター(森山製作所社製);バン
バリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機
としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェッ
ト、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミ
ル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社
製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマ
ックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・
オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎
重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げら
れ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッ
シファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイ
シン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エン
ジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボフレ
ックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロ
ン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディス
パージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社
製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げら
れ、粗粒等を篩い分けるために用いられる篩い装置とし
ては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシー
プ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニ
ックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工
業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミ
クロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げ
られる。
【0095】次に各物性の測定方法について以下に説明
する。
【0096】<ガラス転移温度Tgの測定>示差熱分析
測定装置(DSC測定装置)、例えばDSC−7(パー
キンエルマー社製)を用い測定する。
【0097】測定試料は5〜20mg、好ましくは10
mgを精密に秤量する。
【0098】これをアルミパン中に入れ、リファレンス
として空のアルミパンを用い、測定温度範囲30℃〜2
00℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で
測定を行う。
【0099】この昇温過程で、温度40〜100℃の範
囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0100】このときの吸熱ピークが出る前と出た後で
のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、
ガラス転移温度Tgとする。
【0101】<樹脂又はトナーの軟化点の測定>フロー
テスターCFT−500型(島津製作所製)にて測定し
た値を用いる。まず試料を比重に応じて約1.0〜1.
8g秤量し、これを成形器にて9800kPa(100
kg/cm2)の加重で1分間加圧してφ10mm,長
さ約10mmの円柱状に成型する。
【0102】この加圧サンプルを昇温速度6.0℃/m
inでプランジャーにより98N(10kgf)の荷重
をかけ直径1mm,長さ1mmのノズルより押し出し、
フローテスターのプランジャー降下量−温度曲線に基づ
き、試料流出開始点と流出終了点の中点の温度を求め、
これを樹脂またはトナーの軟化点Tmとする。
【0103】<酸価の測定方法>サンプル2〜10gを
200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノー
ル:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加え
てハイブリッド樹脂を溶解する。溶解性が悪いようであ
れば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロム
チモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用
い、あらかじめ標定された0.1規定水酸化カリウムの
アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量か
ら次の計算で酸価を求める。
【0104】 酸価=〔KOH(ml数)×N×56.1〕/試料質量 (式中、Nは0.1規定のKOH溶液のファクター)
【0105】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定される
ものではない。まず、トナーの結着樹脂として用いるハ
イブリッド樹脂を製造した。
【0106】<ハイブリッド樹脂の製造> (樹脂製造例1〜8)表1の樹脂1に記載のポリエステ
ル系モノマーをジブチル錫オキシド7.0mmolとと
もにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、
窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着し
て窒素雰囲気下、減圧しながら常法に従って210℃ま
で加熱しながら縮重合反応を行うことにより、ポリエス
テル樹脂を得た。
【0107】次に、キシレン50質量部に、ここで得ら
れたポリエステル樹脂85質量部、スチレン/2−エチ
ルヘキシルアクリレート(各モノマーの質量%:84/
16)のビニル系モノマー混合液15質量部及びエステ
ル化触媒としてジブチル錫オキサイド0.3質量部をオ
ートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガ
ス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素
雰囲気下、減圧しながら常法に従って添加して110℃
まで加熱して溶解・膨潤した。窒素雰囲気下、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド1質量部をキシレン10質量
部に溶解したラジカル開始剤溶液を、約30分かけて滴
下した。その温度で更に10時間保持してラジカル重合
反応を終了した。更に加熱しながら減圧して、脱溶剤す
ることにより、ハイブリッド樹脂1を得た。樹脂1につ
いて先に説明した方法で、ガラス転移温度、軟化点、酸
価を測定した。その結果を表1に示す。
【0108】以下同様にして樹脂2〜8を得た。樹脂2
〜8について先に説明した方法で、ガラス転移温度、軟
化点、酸価を測定した。その結果を表1に示す。
【0109】
【表1】 重合脂肪酸1:炭素原子18個の不飽和脂肪酸を重合し
て得られた前記構造式(2)の二量体を主成分とする重
合脂肪酸(二量体78%、三量体19%、単量体4%) 重合脂肪酸2:炭素原子18個の不飽和脂肪酸を重合し
て得られた前記構造式(3)の二量体を主成分とする重
合脂肪酸(二量体71%、三量体27%、単量体2%) 重合脂肪酸3:重合脂肪酸1を精製した下記組成の重合
脂肪酸(二量体95%、三量体4%、単量体1%) 重合脂肪酸4:炭素原子12個の不飽和脂肪酸を重合し
て得られた下記に示す構造式(4)の二量体を主成分と
する重合脂肪酸(二量体67%、三量体31%、単量体
2%)
【0110】
【化5】 ジオール1:ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン ジオール2:ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
【0111】 (実施例1) ・樹脂1 100質量部 ・磁性体(平均粒径0.22μm、球状) 100質量部 ・モノアゾ染料の鉄錯体(負帯電性制御剤) 2質量部 ・低分子量ポリエチレン(DSC吸熱ピーク106.7℃) 4質量部 上記材料をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した
二軸エクストルーダーで溶融混練した。冷却した混練物
をスピードミルで粗粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、
得られた微粉砕物をコアンダ効果を用いた多分割分級機
にて厳密に分級して重量平均粒径6.9μmの磁性トナ
ー粒子(1)を得た。ついで、得られた磁性トナー粒子
(1)100質量部に対し、ヘキサメチルジシラザンと
シリコーンオイルで疎水化処理された一次粒径12nm
の乾式シリカ1.2質量部を添加し、混合機にて混合し
トナー1を得た。
【0112】(実施例2〜5)実施例1で用いた樹脂1
の代わりに、それぞれ樹脂2〜5を用いる以外は実施例
1と同様にして、トナー2〜5を得た。
【0113】(比較例1〜3)実施例1で用いた樹脂1
の代わりに、それぞれ樹脂6〜8を用いる以外は実施例
1と同様にして、比較トナー1〜3を得た。
【0114】(評価) (1)粉砕性の評価:上記トナー作成時の微粉砕工程に
おいて、同一のエア条件にて、得られる微粉砕トナーの
10μm以上の粒子が質量基準で5%以下となるよう
に、トナーの粗粉砕物の供給量を調節して微粉砕を行っ
たときの単位時間あたりの収量について、実施例1のと
きの値を100としたときの比で比較したところ、表2
に示すとおり、比較例2が43と極端に低い値だった以
外は概ね良好な結果であった。
【0115】(2)耐ブロッキング性の評価:トナー1
〜5、及び比較トナー1〜3について、50℃の高温環
境に7日間放置したときの耐ブロッキング性を60メッ
シュのふるいをかける方法により、以下の基準で評価し
た。結果をまとめて表2に示す。 ○:全量通過 △:ダマは残るが容易に崩れる ×:容易に崩れないダマが残る
【0116】(3)低温定着性評価 温度可変の外部定着器として、以下の構成のものを使用
して低温定着性評価を行った。 定着ローラー;φ40mmのアルミ芯金(ヒーター内
蔵) 厚さ3mmのシリコーンゴム層と離型層としてPFA層
を設けたもの 加圧ローラー;φ40mmのゴムローラー ニップ幅 ;7.0mm 通紙速度 ;250mm/sec
【0117】トナー1〜5、及び比較トナー1〜3につ
いて、市販のレーザービームプリンターを用い、90g
/m2の転写紙上に、中央と、上下左右両端から30m
mの位置9個所に10mm角の正方形を印字した未定着
画像(トナー量0.8mg/cm2)を作成し、定着ロ
ーラー表面温度を140℃、150℃で定着させた画像
の濃度低下率で評価した。濃度低下率は、4.9kPa
(50g/cm2)荷重を乗せた柔和な紙で往復5回こ
すり、その前後の反射濃度の低下率(%)の9点平均値
を用いた。結果をまとめて表2に示す。
【0118】(4)耐高温オフセット性評価 トナー1〜5、及び比較トナー1〜3について、市販の
レーザービームプリンターを用い、64g/m2の転写
紙上に、紙先端部から10mmの位置に幅150mm、
長さ100mmのベタ黒未定着画像(トナー量0.8m
g/cm2)を作成し、(3)のテストで用いた温度可
変の外部定着器を用い定着ローラー表面温度を230
℃、240℃で定着させた画像の、非画像部への高温オ
フセットによる汚れを目視で以下の基準に従って評価し
た。結果をまとめて表2に示す。 ◎;非画像部への汚れが全く無い。 ○;ごく軽微な非画像部への汚れがある。 △;実用上問題ないレベルの軽微な非画像部への汚れが
ある。 ×;実用上許容できないレベルの非画像部への汚れがあ
る。
【0119】(5)現像性及び臭気の評価 常温常湿環境の幅3m,奥行き3m,高さ2.2mの換
気しない小部屋の中央に、キヤノン製レーザービームプ
リンターLaser shot 930をA4横32枚
/分の速度に改造して設置し、トナー1〜5、及び比較
トナー1〜3を充填したカートリッジを用いて連続10
00枚のプリントを行い、それぞれプリント前後の画像
濃度にて現像性の評価を行った。また、連続1000枚
のプリント直後の部屋に、外から3人の臭気評価者が入
り、不快な臭気を感じた人が一人もいなかった場合は
○、不快な臭気を感じた人が一人の場合は△、二人以上
の場合は×として評価を行った。結果をまとめて表2に
示す。
【0120】
【表2】
【0121】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ポ
リエステルユニット中にソフトセグメント成分として重
合脂肪酸を用いたことで、トナー画像定着時に不快な臭
気を発生しないトナーが得られる。さらに、あわせて用
いる芳香族ジカルボン酸と3価以上の多価カルボン酸及
び/または多価アルコールとのモル比をある一定の範囲
にコントロールし、さらにビニル系重合体ユニットを導
入することで、重合脂肪酸の柔軟な性質と芳香族ジカル
ボン酸の硬直な性質を併せ持つ3次元網目構造を有する
分子となり、さらにビニル系重合体ユニットが複雑に絡
み合うため、ビニル系重合体の特性も併せ持ち、現像性
を悪化させることなく低温定着性と耐高温オフセット性
を同時に満足し、さらにトナーを製造する際の粉砕性、
耐ブロッキング性に優れたトナーが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 吉寛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山崎 克久 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森部 修平 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 CA02 CA08 CA14 EA03 EA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともビニル系重合体ユニットとポ
    リエステルユニットを有するハイブリッド樹脂成分と着
    色剤を含むトナーにおいて、該ポリエステルユニット成
    分は、 (A)重合脂肪酸(不飽和脂肪酸のオリゴマー) (B)芳香族ジカルボン酸 (C)3価以上の多価カルボン酸及び/または多価アル
    コール (D)ジオール を少なくとも有する単量体組成物からなり、該ポリエス
    テルユニット成分中の構成比率が (A);3モル%以上15モル%未満 (B);8モル%以上35モル%未満 (C);5モル%以上25モル%未満 (D);40モル%以上60モル%未満 であることを特徴とするトナー。
  2. 【請求項2】 該ハイブリッド樹脂成分中のポリエステ
    ル系モノマー成分の割合(A)が、全モノマー成分を基
    準として60〜95質量%であること特徴とする請求項
    1に記載のトナー。
  3. 【請求項3】 該重合脂肪酸が、炭素原子6〜22個の
    炭素鎖を有するモノ不飽和脂肪酸、またはポリ不飽和脂
    肪酸を重合して得られたものであることを特徴とする請
    求項1又は2に記載のトナー。
  4. 【請求項4】 該重合脂肪酸が、炭素原子18個の炭素
    鎖を有するモノ不飽和脂肪酸、またはポリ不飽和脂肪酸
    を重合して得られたものであることを特徴とする請求項
    1又は2に記載のトナー。
  5. 【請求項5】 該重合脂肪酸の成分中、3量体である3
    価のカルボン酸を5〜30質量%含むことを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 【請求項6】 60〜120℃の範囲にDSC吸熱メイ
    ンピークを有するワックスを結着樹脂100質量部当り
    0.5〜20質量部含むことを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれかに記載のトナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003057763A1 (en) * 2001-12-28 2003-07-17 Mitsui Chemicals, Inc. Binder resin for toner and electrophotographic toner for electrostatic developing using said resin
JP2006154623A (ja) * 2004-12-01 2006-06-15 Canon Inc トナー
JP2006154625A (ja) * 2004-12-01 2006-06-15 Canon Inc トナー
JP2015004831A (ja) * 2013-06-21 2015-01-08 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー

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