JP2003020566A - ポリアミド繊維 - Google Patents

ポリアミド繊維

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JP2003020566A
JP2003020566A JP2001205086A JP2001205086A JP2003020566A JP 2003020566 A JP2003020566 A JP 2003020566A JP 2001205086 A JP2001205086 A JP 2001205086A JP 2001205086 A JP2001205086 A JP 2001205086A JP 2003020566 A JP2003020566 A JP 2003020566A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度で毛羽が少なく、軽量かつコンパクト
なエアバッグに有用なポリアミド繊維を提供する。 【解決手段】 二塩基酸と一価アルコールから誘導され
るエステルを30〜50wt%、一塩基酸と三価以上の
水酸基を持つ物質から誘導されるエステルを20〜50
wt%、二塩基酸及び/又は一塩基酸と三価以上の水酸
基を持つ物質から誘導される分子量10000〜300
00のエステル多量体を1〜10wt%、分子量100
0〜2000のアルキル燐酸アミン塩を0.5〜5wt
%、を含有する油剤が繊維表面に0.6〜3.0wt%
付着しており、かつ、単糸繊度が1.1〜4.5dte
xであることを特徴とするポリアミド繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグ等に有
用なポリアミド繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】エアバッグは収納スペースが制限されて
いるので、最近の傾向として、エアバッグ装置の小型
化、軽量化の要求が特に高まっている。
【0003】最近、エアバッグ装着部位であるステアリ
ングホイール、インスツルメントパネルは、各種の装置
を新たに組み込んで自動車の高機能化を狙うべく検討さ
れており、これに伴い、エアバッグ装置の小型化の要求
が高まってきている。
【0004】また、最近では、横方向からの衝突にも衝
撃を和らげるべく、サイドバッグ、サイドカーテンのよ
うな装着も検討が進んできている。つまり、従来、設置
スペースがほとんどなかったような部位へも装着する必
要が生じたため、コンパクト化の要求が一層高まってき
ている。更には、自動車全体の省燃費化のため、安全装
置についても軽量化の要求が高まってきている。さらに
は昨今の傾向として、これらのエアバッグをより安価に
製造することも要求されている。
【0005】エアバッグ装置の中で、エアバッグそのも
のを小型化、軽量化するためには、1)糸条の繊度を下
げて織布厚みを薄くすること、2)単糸繊度を下げ柔軟
にして折り畳み性を良くすること、3)高強度繊維を高
密度で製織して高強力織布を得ること、が必要である。
【0006】上記1)の要求を満足するためには、布帛
強力を保証するために繊度低下に見合った原糸強度の向
上が必要となる。原糸強度の向上には、延伸比を向上さ
せることが一般に有効であるが、単純に延伸比を増加さ
せても、延伸ロールもしくはガイド等と糸条との擦過が
大きくなり、糸条の毛羽が増加して、製織時の停台の原
因となる。
【0007】毛羽を抑制する技術として、例えば、特開
平7−3643号公報には、紡糸油剤として、チオジオ
プロピオン酸エステル65〜80wt%、飽和一価アル
コールのジエステル10〜20wt%、特定の多価アル
コールエチレンオキサイド付加物とステアリン酸のエス
テル10〜20wt%及び特定の硬化ヒマシ油エチレン
オキサイド付加物を10〜25wt%配合したものを、
製糸時に付与することが開示されている。しかし、この
技術は、タイヤコードのような太い繊度の糸条(例え
ば、全繊度1400dtex、単糸繊度6.6dtex
など)においては有効であるが、軽量化を目的としたエ
アバッグに使用出来るような少ない毛羽数を達成するに
は不十分である。これは、チオジプロピオン酸エステル
のみでは金属−糸間の油膜強度が擦過に対し十分でない
事が主な原因である。また、チオジプロピオン酸エステ
ルが65wt%以上であるために、付着量によっては単
糸間の摩擦が低くなり、交絡がばらけて入りにくい場合
があった。これは、製織時に単糸ばらけによる停台の原
因になる。
【0008】さらに、特開平6−228886号公報に
は、高分子活性剤により毛羽を抑制するため、二種以上
のアルキレンオキシドとポリオールのランダムブロック
共重合体と、炭化水素基を少なくとも一つ有するアミノ
化合物のアルキレンオキシド付加物及びポリカルボン酸
または無水ポリカルボン酸を重縮合した分子量1000
〜20000である窒素を有するポリエーテルポリエス
テル化合物を含有する油剤を用いることが開示されてい
る。しかし、高分子活性剤は油剤組成の相溶性が悪くな
る場合があり、例えば、冬期には低温時に相分離を起こ
すことがある。この場合、紡糸時であれば毛羽や糸切
れ、製織時であれば停台につながる。また、最近の紡糸
条件では、延伸ゴデットロールの温度は200℃以上に
なる場合があり、窒素を含む高分子活性剤は、それ自体
の劣化が早く、急激に油膜強化の機能が低下し、毛羽の
増加につながる。
【0009】次に、上記2)の単糸繊度を下げることに
ついては、例えば、特開平5−59632号公報では、
単糸繊度3.5〜4.5dtexの繊維を使用すること
により、コンパクトで折り畳み性の良好なエアバッグが
得られている。しかしながら、この実施例での糸条は毛
羽が800〜1800個/tonと多いため、後述する
高密度、高速製織には不向きである。
【0010】上記3)の高密度製織では、織機回転数の
高速化が必要となり、高速でスムーズな製織のために
は、低い毛羽発生率と交絡数の増加が必要となる。これ
は、毛羽が多かったり交絡数が少ないと、製織時の織機
停台が起こり易くなる為である。
【0011】交絡数を増加させる手段は、例えば、イン
タレーサー圧力を高くすることが有効であるが、インタ
レーサー圧力を高くすると、インタレーサー内壁と糸条
の接触の機会も多くなり毛羽が増加する。交絡数を増加
させる方法としては、例えば、特開平5−148764
号公報には、エチレンオキサイドを含む二価脂肪酸エス
テルとポリエーテル系高分子活性剤及びアルキルフェノ
ールEO付加物よりなる紡糸油剤を付与することによ
り、単糸間摩擦係数を増加せしめる方法が開示されてい
る。この方法は、繊維強度7cN/dtex以下、単糸
繊度6.5dtex以上の糸条においては有効な方法で
ある。しかし、軽量かつコンパクトなエアバッグに用い
るための繊維である、繊維強度7.5cN/dtex以
上、単糸繊度4.5dtex以下の糸条を生産する場合
には、細い繊度で多フィラメントの糸条であるため、単
糸間の摩擦が増加することによる影響で、毛羽が増加
し、製織時における停台の増加につながることが判明し
た。この傾向は、高強度の糸条ほど増加する傾向にあ
る。
【0012】以上の通り、軽量のエアバッグに有用で、
毛羽が少なく、高い交絡を有し、単糸繊度1.1〜4.
5dtexの高強力繊維は未だに得られていないのであ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、比較的細い
単糸繊度を有し、毛羽の少ない高交絡で高強度のポリア
ミド繊維、特に、軽量でコンパクトなエアバッグを得る
ために好適なポリアミド繊維を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至っ
た。
【0015】即ち、本発明は下記の通りである。
【0016】1.下記(A)、(B)、(C)及び
(D)を含有する油剤が繊維表面に0.6〜3.0wt
%付着しており、かつ、単糸繊度が1.1〜4.5dt
exであることを特徴とするポリアミド繊維。
【0017】(A)二塩基酸と一価アルコールから誘導
されるエステルを30〜50wt% (B)一塩基酸と三価以上の水酸基を持つ物質から誘導
されるエステルを20〜50wt% (C)二塩基酸及び/又は一塩基酸と三価以上の水酸基
を持つ物質から誘導される分子量10000〜3000
0のエステル多量体を1〜10wt% (D)分子量1000〜2000のアルキル燐酸アミン
塩を0.5〜5wt% 2.全繊度が50〜470dtexであることを特徴と
する上記1記載のポリアミド繊維。
【0018】3.繊維強度が7.5cN/dtex以上
であることを特徴とする上記1又は2記載のポリアミド
繊維。
【0019】4.交絡数が30個/m以上であることを
特徴とする上記1、2又は3記載のポリアミド繊維。
【0020】5.上記1〜4のいずれかに記載のポリア
ミド繊維より作成されてなる布帛。
【0021】6.質量が250g/m以下であること
を特徴とする上記5記載の布帛。
【0022】本発明のポリアミド繊維は、単糸繊度1.
1〜4.5dtexにおいても低い毛羽と高い交絡を両
立させた製織に極めて有効な糸条であり、これを製織す
る事により、高品位で軽量かつコンパクトなエアバッグ
を高い生産効率で得ることができる。
【0023】以下、本発明につき詳述する。
【0024】本発明に用いる油剤の成分(A)におい
て、二塩基酸としては、飽和、不飽和及び側鎖を含むも
のが使用できる。例えば、アジピン酸、アゼライン酸、
ウンデカン二酸、チオジプロピオン酸等が挙げられる。
また、一価アルコールとしては、飽和、不飽和及び側鎖
を含むものが使用できる。例えば、ラウリルアルコー
ル、セチルアルコール、オレイルアルコール等が挙げら
れる。成分(A)のエステルは、糸に平滑性を付与す
る。
【0025】成分(A)の油剤中の含有率は、30〜5
0wt%であり、好ましくは40〜48wt%である。
含有率がこの範囲であると、単糸間の摩擦が適度で、交
絡数及び加工時の交絡保持性が良く、平滑性の低下がな
く、製糸時の切れ糸や毛羽の発生を大きく抑制できる。
【0026】本発明に用いる油剤の成分(B)におい
て、一塩基酸は、飽和及び不飽和アルキル基で、側鎖を
含むこともできる。例えば、カプリル酸、ラウリン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘ
ン酸等が挙げられる。また、三価以上の水酸基をもつ物
質としては、トリメチロールプロパン、ひまし油及びそ
の硬化物、グリセリン及びポリグリセリン、ソルビトー
ル、ペンタエリスリトール、ショ糖等が挙げられる。成
分(B)にはアルキレンオキサイドを含んでも良い。成
分(B)は、油剤構成成分の相溶性を向上させると共
に、繊維−繊維間の油膜強化に寄与する。
【0027】成分(B)の油剤中の含有率は、20〜5
0wt%であり、好ましくは20〜35wt%である。
含有率がこの範囲であると、油剤中の配合物質の相溶性
が良好であり、分離することがなく、平滑性の低下や製
糸時の毛羽の発生を大きく抑制できる。
【0028】本発明に用いる油剤の成分(C)におい
て、二塩基酸としては、飽和、不飽和及び側鎖を含むも
のが使用できる。例えば、アジピン酸、アゼライン酸、
ウンデカン二酸、チオジプロピオン酸等が挙げられ、ア
ルキレンオキサイドを含んでも良い。一塩基酸として
は、飽和、不飽和及び側鎖を含むものが使用できる。例
えば、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
また、三価以上の水酸基をもつ物質としては、例えば、
ひまし油及びその硬化物、ポリアルキレンポリマー、グ
リセリン及びポリグリセリン、ソルビトール、ペンタエ
リスリトール、ビスフェノール、ショ糖等が挙げられ、
アルキレンオキサイドを含んでもかまわない。また、成
分(C)のエステルは、複数種の有機酸との複合エステ
ルとしてもよい。成分(C)は、金属−繊維間及び繊維
−繊維間の油膜強化に大きく寄与する。
【0029】ここで重要なのは、成分(C)のエステル
の分子量は10000〜30000であり、好ましくは
13000〜25000、より好ましくは15000〜
22000である。分子量がこの範囲であると、油剤の
粘性が適度で、製糸に悪影響を及ぼさず、繊維間の油膜
及び金属−繊維間の油膜が製糸応力に負けることがない
ため、擦過のダメージを最小限に止め、また、繊維間の
摩擦抵抗を低下することが出来るので、スムーズな単糸
引きそろえが行われて、延伸時の毛羽の発生を大きく低
減できる。
【0030】成分(C)の油剤中の含有率は、1〜10
wt%であり、好ましくは2〜8wt%、より好ましく
は3〜7wt%である。含有率がこの範囲であると、油
剤の粘性が適度で、製糸に悪影響を及ぼさず、繊維間の
油膜及び金属−繊維間の油膜が製糸応力に負けることが
ないため、擦過のダメージを最小限に止め、また、繊維
間の摩擦抵抗を低下することが出来るので、スムーズな
単糸引きそろえが行われて、延伸時の毛羽の発生を大き
く低減できる。
【0031】本発明に用いる成分(D)において、アル
キル燐酸アミン塩は、アルキル基の炭素数が8〜23の
ものを用いる事が望ましい。アルキル基としては、例え
ば、オクチル基、セチル基、ステアリル基、イソステア
リル基、オレイル基等が挙げられる。成分(D)は、主
に金属−繊維間の油膜強化に寄与する。
【0032】該アルキル燐酸アミン塩の分子量は100
0〜2000であり、好ましくは1200〜1700で
ある。分子量がこの範囲であると、油膜強度が十分であ
り、毛羽の発生が抑制される。
【0033】成分(D)の油剤中の含有率は0.5〜5
wt%であり、好ましくは、1〜3wt%である。含有
率がこの範囲であると、油膜強度が十分であり、毛羽の
発生が抑制される。
【0034】油剤を調合する際は、必要に応じて乳化助
剤、制電防止剤、酸化防止剤、PH調整剤、消泡剤、防
腐剤等を添加しても良い。
【0035】繊維への油剤の付与は、非水型あるいは水
型の状態で、ノズル、ロール、噴霧等の公知の方法で付
与することができる。
【0036】本発明において、繊維の油剤付着量は、繊
維の質量に対して0.6〜2.0wt%である。油剤付
着量がこの範囲であると、付着斑がなく、摩擦が低いの
で、製糸時の毛羽の発生を大きく低減できる。また、油
剤の飛散が少ないので、経済性や環境の面からも好まし
い。
【0037】本発明に用いる繊維は、ポリアミド類の繊
維である。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン46、ナイロン610等に代表される脂肪族ポリアミ
ドの繊維や、ナイロン6T、ナイロン6I等の芳香族ポ
リアミドの繊維、もしくは、ナイロン66/6I、ナイ
ロン66/6T、ナイロン66/610等の共重合ポリ
マーの繊維、もしくはブレンドポリマーの繊維である。
この中で、特にナイロン66繊維が、耐熱性及び柔軟性
の点で好ましい。ナイロン66繊維を用いる場合は、蟻
酸相対粘度が35〜100のものが望ましい。蟻酸相対
粘度がこの範囲であると、ポリマーのゲル化等がなく、
安定した紡糸が出来る。また、必要に応じて、ポリマー
中に酢酸銅、沃化銅及び沃化カリ等を添加することが出
来る。
【0038】本発明のポリアミド繊維は、単糸繊度が
1.1〜4.5dtexであり、好ましくは2.2〜
3.3dtexである。単糸繊度がこの範囲であると、
紡糸時に単糸接触による毛羽の発生が著しく少なく、エ
アバッグに用いた場合、コンパクトなエアバッグが得ら
れ、また、単糸自体の熱容量が適度であるために、エア
バッグ展開時の高温ガスによって溶断することがない。
【0039】本発明のポリアミド繊維は、全繊度は特に
制限はないが、50〜470dtexの範囲が好ましく
適用できる。全繊度がこの範囲であると、十分な強力を
有するコンパクトなエアバッグとなり、エアバッグ展開
時に破裂する恐れがない。また、繊維強度は7.5cN
/dtex以上であることが好ましい。
【0040】本発明のポリアミド繊維は、製織等の後工
程を円滑に行うという点から、交絡数が30個/m以上
であることが好ましく、交絡数の上限は特に制限されな
い。交絡は、インターレース等の方法により行うことが
できる。
【0041】本発明のポリアミド繊維を製造する方法
は、湿式紡糸、乾式紡糸及び溶融紡糸等の方法が適用で
きるが、経済性の点から、溶融紡糸が好ましい。
【0042】本発明のポリアミド繊維を用いた布帛は、
質量が250g/m以下であることが好ましく、布帛
の形態としては、織物が好ましい。織物組織としては、
平織、格子織、綾織、朱子織などの織物が使用される。
織物の経方向、緯方向の打ち込み本数の割合は、経、緯
が同数であることが望ましいが、数本程度異なっていて
もよい。
【0043】織物の製織は、既存のエアージェット織
機、ウォータージェット織機、レピア織機、多相織機等
を使用してよく、特に制限を受けないが、製織後の工程
の簡便性からノンサイジングでエアージェット製織を行
うことが好ましい。
【0044】また、エアバッグ用の基布として用いる場
合、布帛にコーティング剤を塗布する方法としては、既
存のコーティング装置を適用することができ、特に制限
を受けるものではない。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明をさ
らに説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、特に説明がない限り、%、部、ppmは、
wt%、wt部、質量ppmを示すものとする。
【0046】また、測定法、評価法等は下記の通りであ
る。
【0047】(1)強伸度物性 東洋精機社製テンシロンRTC1210を用い、試料長
200mm、引っ張り速度200mm/分で行った。
【0048】(2)毛羽 春日電機株式会社製FLUF DETECTOR F6
−Aを検出器とした光電管式毛羽測定装置を用い、測定
速度300m/分で300万m測定し、1000万m当
たりに換算した。
【0049】(3)織機停台数 繊維に製経油剤を1%塗布し、次いでエアジェットルー
ムにて、経83本/2.54cm、緯83本/2.54
cmの平織り織布を、回転数450rpmにて製織した
ときの1日当たりの停台数をカウントした。
【0050】(4)エアバッグのコンパクト性 布帛にシリコーン水性エマルジョン(旭化成−ワッカー
株式会社製「DEHENSIVE38197 VP」)
84部、Si結合した水素原子を少なくとも3個を有す
るオルガノポリシロキサン(旭化成−ワッカー株式会社
製「V20」)7.7部、付着助剤として適当な有機ケ
イ素化合物(旭化成−ワッカー株式会社製「HF8
6」)7.7部を攪拌混合した混合液に、カーボンブラ
ック粉末(デグサ−ヒュルス製「Printex
L」)0.6部を加え、攪拌、混合し、コーティング組
成物とした。(カーボンブラック固形分)/(組成物全
固形分)の質量比は0.011である。
【0051】該コーティング組成物を、ナイフコーター
を用いて、塗布量15g/m2となるように布帛にコー
ティングした。得られたコーティング布を100cm×
100cmに切り出し、これを10cm×10cmに折
り畳み1000gの荷重をかけたときの嵩高さを測定し
た。結果は、後記の比較例16を標準品としてこの嵩高
さを100としたときの相対値で示した。
【0052】(5)布帛の品位 作製したコーティング前の布帛(幅1.5m)を50c
m検反し、これを任意の20個所について実施し、織物
欠点の存在する個所の数をカウントした。判定は下記の
基準で行った。
【0053】 ◎:欠点個所ゼロ(極めて高品位) ○:欠点個所1以下(良好な品位) △:欠点個所2以下(使用可能) ×:欠点個所3以上(使用不可) 〔製造例〕90%蟻酸に8.4%のナイロン66を溶解
し、25℃でオストワルド粘度管で測定した蟻酸相対粘
度(以下、VRと略す)60のポリアミド66を溶融
し、孔径0.23mm、孔数56の紡糸口金から吐出し
て糸条化し、冷却しつつ油剤付与ノズルにて所定の紡糸
油剤を所定量付与し、1000m/分で引き取った。こ
の未延伸糸を一旦巻き取ること無く、直ちに熱延伸ロー
ラーにて4.5倍に延伸した後、インタレーサーにて交
絡を与えて、目的の繊維を得た。
【0054】得られた繊維は、繊度175dtex、強
度7.8〜8.0cN/dtex、伸度20〜25%の
範囲の糸条であった。
【0055】〔実施例1〜11、比較例1〜13〕表3
及び表4に示す組成にて調製した油剤を、上記製造例に
適用して紡糸し、製織した。結果を表1、表2に示す。
【0056】表1、2より明らかなごとく、実施例1〜
11では、十分な交絡および低い紡糸毛羽を有する糸条
が得られ、この糸条を用いて製織すると、停台が少なく
生産性が良いことが判る。得られた布帛の品位も良好で
あった。
【0057】一方、比較例1〜13では、毛羽数が増大
し、条件によっては安定した紡糸や製織ができないこと
が判る。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】なお、表3及び表4において、油剤の各構
成物質は下記の記号で示す。
【0063】 A1;ジオレイルアルコールチオジプロピオネート A2;ジラウリルアルコールEO3チオジプロピオネー
ト A3;ジイソステアリルチオジプロピオネート B1;トリメチロールプロパントリラウレート B2;ペンタエリスリトールEO20ジステアレート B3;硬化ヒマシ油トリラウレート C1;硬化ヒマシ油EOAマレイン酸ステアリン酸エス
テル多量体(分子量4500) C2;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体
(分子量12000) C3;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体
(分子量19500) C4;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体
(分子量28300) C5;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体
(分子量39000) C6;PEG400ジラウレート D1;オクチルフォスフェートオクチルアミン塩(分子
量340) D2;オクチルフォスフェートEOAラウリルアミン塩
(分子量1100) D3;セチルフォスフェートEOAステアリルアミン塩
(分子量1500) D4;ベヘニルフォスフェートPOEOステアリルアミ
ン塩(分子量1900) D5;ベヘニルフォスフェートPOEOステアリルアミ
ン塩(分子量2200) E1;硬化ヒマシ油EOA(分子量1300) E2;POEOステアリルポリエーテル E3;POEラウリルアミノエーテル F;酸化防止剤 〔実施例12及び13、比較例14及び15〕油剤およ
び油剤の付着量を変更したこと以外は、実施例1と同様
にして織物を作製し、得られた織物を用いてエアバッグ
を作製した。結果を表5に示す。
【0064】実施例12及び13では、高交絡かつ、低
毛羽で、製織停台も低く抑えられているのに対し、比較
例14及び15では、毛羽が急増し、条件によっては製
織が出来なかった。
【0065】
【表5】
【0066】〔実施例14及び15、比較例16及び1
7〕単糸繊度を変更した以外は実施例1と同様にして織
物を作製し、その織物を用いてエアバッグを作製した。
【0067】エアバッグのコンパクト性を評価し、同時
に実施例1で得た織物を用いて作製したエアバッグのコ
ンパクト性も評価した。結果を表6に示す。
【0068】実施例14及び15では、コンパクト性の
優れたエアバッグが得られるのに対し、比較例16及び
17では、繊度が小さすぎるため、毛羽が急増し、製織
が出来なかった。
【0069】
【表6】
【0070】
【発明の効果】本発明のポリアミド繊維は、高強度であ
るため比較的細い単糸繊度でも十分な強力を有する布帛
が得られ、また、毛羽が少ないため製織性に優れてい
る。したがって、本発明のポリアミド繊維を用いた布帛
を基布とすることにより、軽量かつコンパクトで高品位
なエアバッグ得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // D03D 1/02 D03D 1/02 Fターム(参考) 3D054 CC26 FF18 4L033 AA08 AB01 AC09 BA21 BA39 4L036 MA06 MA24 MA33 PA42 UA21 4L038 AA20 AB07 BA15 BA18 BB05 CA06 DA20 4L048 AA24 AA34 AA48 AA49 AA56 AB08 BA02 CA00 CA12 CA15 DA25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)、(B)、(C)及び(D)
    を含有する油剤が繊維表面に0.6〜3.0wt%付着
    しており、かつ、単糸繊度が1.1〜4.5dtexで
    あることを特徴とするポリアミド繊維。 (A)二塩基酸と一価アルコールから誘導されるエステ
    ルを30〜50wt% (B)一塩基酸と三価以上の水酸基を持つ物質から誘導
    されるエステルを20〜50wt% (C)二塩基酸及び/又は一塩基酸と三価以上の水酸基
    を持つ物質から誘導される分子量10000〜3000
    0のエステル多量体を1〜10wt% (D)分子量1000〜2000のアルキル燐酸アミン
    塩を0.5〜5wt%
  2. 【請求項2】 全繊度が50〜470dtexであるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリアミド繊維。
  3. 【請求項3】 繊維強度が7.5cN/dtex以上で
    あることを特徴とする請求項1又は2記載のポリアミド
    繊維。
  4. 【請求項4】 交絡数が30個/m以上であることを特
    徴とする請求項1、2又は3記載のポリアミド繊維。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリア
    ミド繊維より作成されてなる布帛。
  6. 【請求項6】 質量が250g/m以下であることを
    特徴とする請求項5記載の布帛。
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