JPH08269870A - エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法 - Google Patents

エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法

Info

Publication number
JPH08269870A
JPH08269870A JP7077761A JP7776195A JPH08269870A JP H08269870 A JPH08269870 A JP H08269870A JP 7077761 A JP7077761 A JP 7077761A JP 7776195 A JP7776195 A JP 7776195A JP H08269870 A JPH08269870 A JP H08269870A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
air bag
multifilament yarn
oil agent
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7077761A
Other languages
English (en)
Inventor
Norinobu Kunisada
典宣 國貞
Shoji Makino
昭二 牧野
Koji Sato
貢司 佐藤
Fuyuki Terasaka
冬樹 寺阪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP7077761A priority Critical patent/JPH08269870A/ja
Publication of JPH08269870A publication Critical patent/JPH08269870A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Chemical Treatment Of Fibers During Manufacturing Processes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Air Bags (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウォータージェットルーム製織する際の製織
性に優れ、しかも破裂強度と難燃性に優れたエアーバッ
グを容易に得るに適したエアーバッグ用ポリエステルマ
ルチフィラメント糸を提供すること 【構成】 分子量500〜800の含イオウエステル化
合物が全平滑剤成分の60重量%以上を占める平滑剤成
分(A)を50〜80重量%、平均分子量が1000〜
7000のテトラメチレンオキシド/エチレンオキシド
共重合体(B)を1〜10重量%、平均分子量が100
0〜3000のプロピレンオキシド/エチレンオキシド
共重合体(C)を1〜15重量%及びHLBが6〜13
の非イオン系界面活性剤(D)を15〜30重量%含有
する油剤が、繊維重量を基準として0.3〜1.0重量
%付着しているエアーバッグ用ポリエステルマルチフィ
ラメント糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエアーバッグ用ポリエス
テルマルチフィラメント糸に関する。さらに詳しくは、
本発明は製織性が良好で且つ破裂強度と難燃性の改良さ
れたエアーバッグを容易に得ることのできるポリエステ
ルマルチフィラメント糸、及びこの糸を用いたエアーバ
ッグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エアーバッグに対しては、車両事故に際
し乗員を衝撃から十分に保護できることが要求される。
すなわち、エアーバッグは、いかなる条件下の衝突であ
っても、絶対にバッグ自身が破裂しないこと、及びイン
フレーターからの高温ガスによる燃焼がないことが要求
される。
【0003】しかし、従来のエアーバッグ用ポリエステ
ル織物は、この破裂強度と難燃性とを同時に満足させる
ものではなかった。従来のエアーバッグ用ポリエステル
マルチフィラメント糸の典型例は、例えば、特開平5−
148756号公報に開示されているような、製糸工程
における製糸性及びウォータージェットルームを用いて
製織する際の製織性を向上し得る油剤が付与されたもの
であり、エアーバッグとしての破裂強度と難燃性とを同
時に達成するための油剤に関する記述はない。
【0004】一方、エアーバッグ用ナイロン織物に関し
ては、特開平5−339840号公報に、織物上の残留
油剤付着量を0.08重量%以上とすることが開示され
ている。しかし、その目的はナイロン特有の引裂強度の
熱劣化を抑制するためのものであり、ポリエステルエア
ーバッグの破裂強度、難燃性に関する記述はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、破裂強度
と難燃性とを同時に満足させ得るポリエステルエアーバ
ッグを実現できるエアーバッグ用ポリエステルマルチフ
ィラメント糸は得られておらず、したがってこの点を改
良された織物が容易に得られるマルチフィラメント糸が
待ち望まれていた。一般に、エアーバッグを初めとする
産業用途では高引張強度が要求されるため、高倍率延伸
が可能でしかもウォータージェットルーム製織時には単
糸切れの発生し難い油剤が付着される。しかし、このよ
うな油剤は、エアーバッグ用のような高密度織物では一
般にその残留付着量を制御することが困難で、エアーバ
ッグとしての破裂強度と難燃性とが両立するものは得難
い。
【0006】本発明の目的は、ウォータージェットルー
ム製織する際の製織性に優れ、しかも破裂強度と難燃性
とに優れたエアーバッグを容易に得ることのできるポリ
エステルマルチフィラメント糸を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、分
子量500〜800の含イオウエステル化合物が全平滑
剤成分の60重量%以上を占める平滑剤成分(A)を5
0〜80重量%、平均分子量が1000〜7000のテ
トラメチレンオキシド/エチレンオキシド共重合体
(B)を1〜10重量%、平均分子量が1000〜30
00のプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体
(C)を1〜15重量%及びHLBが6〜13の非イオ
ン系界面活性剤(D)を15〜30重量%含有する油剤
が、繊維重量を基準として0.3〜1.0重量%付着し
ていることを特徴とするエアーバッグ用ポリエステルマ
ルチフィラメント糸により、達成される。
【0008】本発明のマルチフィラメント糸に付着して
いる油剤の全平滑剤成分中60重量%以上を占める含イ
オウエステル化合物とは、チオジプロピオン酸と1価ア
ルコールとのモノエステル又はジエステルであり、その
分子量は500〜800、好ましくは600〜700で
あることが必要で、特に常温で液状を呈することが好ま
しい。この分子量が500未満の場合には、糸製造工程
における金属ローラーと繊維との間の摩擦が大きくなっ
て製糸毛羽が発生しやすくなるため、製織時に製織性が
低下して均一な織物が得られなくなり、エアーバッグの
破裂強度が低下する。一方、800を越える場合には、
油剤粘度が大きくなって繊維とガイド等との間の動摩擦
係数が大きくなってやはり製糸毛羽が多くなり、また製
織工程以降の工程で油剤付着量を低減させることが困難
となり、得られるエアーバッグの難燃性が低下するので
好ましくない。
【0009】好ましく用いられる含イオウエステル化合
物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジオレ
イルチオジプロピオネートが例示され、これらは単独又
は併用して平滑剤成分の60重量%以上、好ましくは9
0重量%以上、とくに100重量%を占めるようにする
必要がある。この割合が60重量%未満になると上記含
イオウエステル化合物の効果が発現しなくなるので好ま
しくない。含イオウエステル化合物と併用される平滑剤
成分としては、分子量が500以上の高級脂肪酸モノエ
ステル、ナタネ油等を用いることができる。
【0010】平滑剤成分(A)の油剤有効成分中構成比
率は50〜80重量%、好ましくは50〜60重量%と
する必要があり、50重量%未満の場合にはウォーター
ジェットルーム製織時の製織性が低下するだけでなく、
エアーバッグとなしたときの破裂強度も低下するので好
ましくない。
【0011】本発明にかかる油剤中の必須成分であるテ
トラメチレンオキシド/エチレンオキシド共重合体
(B)は、油剤の油膜強度を高め、糸に耐摩耗性及び耐
擦過性を付与するもので、これらの特性の向上効果によ
り製糸・製織過程の毛羽発生が抑制されて、均一な織物
が効率よく得られエアーバッグの破裂強度が向上するの
である。
【0012】好ましく用いられる共重合体(B)として
は、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとの共
重比(重量比)が20/80〜80/20の範囲ものを
あげることができ、この末端水酸基はアルキル基、アリ
ール基、アシル基等で封鎖されていても、未封鎖のまま
でも良いが、その平均分子量が小さすぎると上記効果が
発現されなくなり、大きすぎると油剤の粘度が増大して
走行糸条の動摩擦を高め、製糸・製織時の毛羽発生が多
くなるので、1000〜7000、好ましくは4000
〜6000の範囲とする必要がある。また油剤中の含有
割合は、1〜10重量%、特に1〜5重量%とすること
が大切である。この含有割合が1重量%未満の場合に
は、油膜強度向上の効果が不十分となり、逆に10重量
%を越える場合には油剤の粘度増加により走行糸条の動
摩擦係数が増大して、いずれの場合にも製糸・製織工程
での毛羽発生が多くなるので好ましくない。
【0013】次に、本発明にかかる油剤中のもう一つの
必須成分であるプロピレンオキシド/エチレンオキシド
共重合体(C)は、油剤の加水粘度を下げ、製糸過程で
の毛羽発生を抑制するだけでなく、製織過程での油剤脱
落をコントロールするものである。これらの特性改良効
果により、ウォータージェットルーム製織された生機は
均一で且つ熱処理によりさらに残留油剤を適度に飛散さ
せることができるため、破裂強度と難燃性とが両立した
エアーバッグを効率良く得ることができることが初めて
見いだされたのである。
【0014】かかる共重合体(C)の上記効果を発現さ
せるためには、その平均分子量は1000〜3000、
好ましくは1500〜2500とする必要があり、また
その油剤中の含有量を1〜15重量%、好ましくは5〜
10重量%とする必要がある。特に、最大加水粘度が3
万センチポイズ以下の場合、ウォータージェットルーム
製織中の油剤脱落が容易になり、エアーバッグ用ごとき
高密度織物であっても糸条中の油剤を効果的に脱落させ
ることができ好ましい。なおここでいう最大加水粘度と
は、油剤の10〜90重量%水分散液の、30℃下にお
ける最大粘度である。
【0015】共重合体(C)の平均分子量が1000未
満の場合には、製糸工程での飛散が大きくなって製織工
程での油剤脱落をコントロールすることが困難となり、
本発明の目的は達成され難い。一方、3000を越える
場合には、加水粘度低減効果がなくなり、逆に対金属摩
擦力が大きくなって製糸・製織中の毛羽発生を抑制する
ことができなくなるため、均一なエアーバッグ用織物を
得ることができなくなる。また、共重合体(C)の含有
量が1重量%未満の場合には、加水粘度低減効果は不十
分であり、一方15重量%を越える場合には、油剤の粘
度が逆に増大して製糸時の毛羽発生が増加したり油剤エ
マルジョンの安定性が低下して製織時の毛羽発生が多く
なるので好ましくない。
【0016】好ましく用いられる共重合体(C)として
は、プロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合比
(重量比)が80/20〜50/50の範囲のものが好
ましく、プロピレンオキシドの割合が80%を越えると
水溶解性が低下し、逆に50%未満では加水粘度低減効
果が低下する。共重合の形式は任意であり、ランダム共
重合、ブロック共重合いずれでも良く、また活性水素を
有する低分子化合物にプロピレンオキシド/エチレンオ
キシドを上記要件を満足するように付加重合したもので
あっても良い。なかでも、ポロピレンオキシドとエチレ
ンオキシドとのランダム共重合体が好ましい。
【0017】上記成分に加えて、本発明にかかる油剤
は、乳化剤として非イオン系界面活性剤(D)を15〜
30重量%含有していることが必要である。この含有量
が15重量%未満の場合には、ウォータージェットルー
ム製織中の油剤脱落割合をコントロールすることができ
なくなり、逆に30重量%を越える場合には、該製織中
に油剤が脱落し過ぎて毛羽が発生しやすくなるので好ま
しくない。
【0018】好ましく用いられる非イオン系界面活性剤
としては、高級アルコールにエチレンオキシドを付加し
たもの、高級脂肪酸にエチレンオキシドを付加したも
の、(硬化)ヒマシ油にエチレンオキシドを付加したも
の、多価アルコールにエチレンオキシドを付加したもの
等を例示することができ、具体例としては、POE
(7)ラウリルエーテル、POE(10)硬化ヒマシ油
エーテル等を上げることができる。なかでもHLBが6
〜13のものは、マルチフィラメント糸中への油剤浸透
性を適当にコントロールでき、さらにHLBが異なるも
のを2種以上併用する場合にはこの効果が一層向上する
ため、ウォータージェットルーム製織後の生機中に残存
する油剤量を容易に調節することができる。なおHLB
は、分子中の疎水性基の分子量をM0 、分子全体の分子
量をMとした時、HLB=20(1−M 0 /M)で表さ
れるものである。
【0019】本発明にかかる油剤は、上記した成分のほ
かに、通常の紡糸油剤等に配合されている制電剤、集束
剤、防腐剤等を、本発明の目的を疎外しない範囲内で含
有していてもよい。
【0020】本発明のマルチフィラメント糸には、以上
に詳述した油剤が繊維重量を基準として0.3〜1.0
重量%、好ましくは0.4〜0.6重量%付着している
ことが必要である。付着量が0.3重量%未満の場合に
は、製糸時での摩擦特性が不十分で単糸切れの多いもの
しか得難く、またウォータージェットルーム製織中の油
剤脱落によっても毛羽の発生が多く、均一な織物を得る
ことができなくなり、エアーバッグとしての破裂強度が
低下する。一方、1.0重量%を越える場合には、原糸
製造時の巻姿が不安定なものとなり、製織工程等での原
糸解舒不良等の問題を引き起こすこととなる。
【0021】マルチフィラメント糸に前記油剤を付着せ
しめる方法は特に限定されるものではなく、通常製糸の
際に採用されている公知の方法をそのまま採用すればよ
い。すなわち、水中に乳化・分散させたエマルジョン油
剤を、ローラー給油、計量ノズル給油、スプレー、浸漬
法などの給油方法により、溶融紡出糸条が固化した以
降、通常は引取りローラーより前の段階で付与される。
【0022】本発明のマルチフィラメント糸は、単糸繊
度が1.0〜3.0デニール、好ましくは1.2〜2.
5デニールであることが、柔軟性に優れたエアーバッグ
を得るためには好ましく、3.0デニールを越える場合
にはエアーバッグが粗硬になって顔面擦過傷を引き起こ
しやすくなる。また糸としての破断強度は8.0〜1
0.0g/deであることが好ましい。破断強度が8.
0g/de未満であると、エアーバッグとしての破裂強
度を満足させることが難しくなり、また10.0g/d
eを越えると、フィラメント糸の均一性が低下しやすい
のでやはりエアーバッグとしての破裂強度を達成するこ
とが難しくなる。
【0023】マルチフィラメント糸の総繊度は、100
〜500デニール、特に150〜450デニールが好ま
しく、この範囲未満ではエアーバッグとしての破裂強度
が低下し、500デニールを越えるとエアーバッグとし
ての軽量コンパクト性が低下する。
【0024】本発明のマルチフィラメント糸を構成する
ポリエステルポリマーとしては、例えば、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ
エチレン−1、2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4
´−ジカルボキシレートなどのほか、これらに少量の共
重合成分を共重合した共重合ポリエステルを挙げること
ができる。なかでも、機械的性質、繊維形成性のバラン
スなどに優れたポリエチレンテレフタレートが特に好ま
しい。この場合、その固有粘度(オルトクロロフェノー
ルを溶媒として30℃下で測定)は0.85〜0.95
が好ましく、0.85未満の場合にはエアーバッグの耐
久性が低下し、0.95を越える場合には糸品質がバラ
ツキ均一な特性の織物を得ることができなくなる。
【0025】次ぎに、本発明のマルチフィラメント糸は
無撚のまま経糸及び緯糸に用いて、ウォータージェット
ルームにより製織して生機となし、該生機を精練又は熱
処理して織物上の残存油剤付着量を0.03〜0.09
重量%とすることによって容易にエアーバッグ用織物を
製造することができる。
【0026】ここで経糸及び緯糸は無撚とすることが大
切で、いずれかが有撚の場合には得られる織物が粗硬と
なり、また表面平滑性が不良となって、エアーバッグ用
織物としては不適当となる。
【0027】また織物組織は、平織、マット織、綾織、
リップストップ織等いずれであってもよいが、軽量コン
パクト性、破裂強度の観点より平織が好ましい。なお経
糸及び緯糸の打ち込み数は、用いる糸の総繊度及び得ら
れる生機の熱収縮割合により異なり、最終的に得られる
エアーバッグ用織物のカバーファクターが経緯ともに9
00〜1400となるようにすることが好ましく、さら
に経緯のカバーファクター差は100以下、特に10〜
95にするとエアーバッグの応力集中が発生し難くなる
ので好ましい。
【0028】なおウォータージェットルームは、水を利
用して製織するため本発明の糸からは製織中に油剤成分
の一部が脱落するものの、その量は製織性を悪化させる
ほどまでは大きくならず、製織後の生機上の残存油剤付
着量を容易に0.15〜0.25重量%の範囲内にコン
トロールでき製織毛羽を防止することができる。しか
も、この残存油剤はその量がそれ程大きくないので、精
練や熱処理を施すことによって容易に0.09重量%以
下まで低減することができ、難燃性の良好なエアーバッ
グが得られる。さらに、本発明にかかる油剤は比較的分
子量の大きい含イオウエステル化合物が平滑剤成分の6
0重量%以上を占める平滑剤成分が含有されているの
で、上記精練や熱処理後における残存油剤付着量を0.
03重量%以上とすることも極めて容易にでき、破裂強
度に優れたエアーバッグが得られる。
【0029】なおエアーバッグ用織物は、エアーバッグ
の破裂強度を高めるために収縮熱セットを施すことが好
ましいので、前記熱処理はこの収縮熱処理で代用実施す
れば良く、例えば実質表面温度150〜230℃の金属
ロール群を有する多段金属ロールセット機を使用すれば
良い。ここで多段金属ロールセット機は、トルクモータ
式多段金属ロールセット機であることが好ましく、ピン
テンターやクリップテンターと異なり耳部を把持せずに
セットできるので幅方向に均一に収縮熱セットできる。
【0030】精練する方法については特に限定する必要
はなく、従来公知の方法をそのまま採用し、残存油剤付
着量が0.03〜0.09重量%の範囲内になるよう
に、用いる精練剤の種類、量、及び精練温度、時間等の
条件を選択設定すれば良い。
【0031】
【作用】本発明のポリエステルマルチフィラメント糸上
には、前述の油剤が0.3〜1.0重量%付着している
ので、製織中には製織毛羽の発生を抑制できる程度の付
着量に油剤を脱落させることができる。また生機上の残
存油剤付着量は原糸と比較するとその油剤付着量は少な
いので、さらに精練や熱処理を施すによって織物上の残
存油剤付着量を0.03〜0.09重量%の範囲とする
ことが容易にできる結果、破裂強度及び難燃性が両立し
たエアーバッグ用織物を提供することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。なお、実施例における各評価は夫々下記の方
法にしたがった。 (1)繊度 JIS L1096の方法にしたがって測定した。
【0033】(2)破断強度 JIS L1017の方法にしたがって測定した。
【0034】(3)加水粘度 油剤をビーカーにとり、30℃恒温水槽中で撹拌しなが
ら所定量の水を添加し、十分撹拌した後B型粘度計(株
式会社東機産業製)で粘度測定する。次いで所定量の水
を順次追加添加するごとにその粘度を測定し、その油剤
濃度が10〜90重量%の範囲内で最大となる粘度を加
水粘度の最大値とする。
【0035】(4)油剤付着量及び残存油剤付着量 原糸又は織物10gに対してシクロヘキサン200gを
使用してソックスレー抽出法により測定した。原糸の絶
乾重量に対する抽出油剤量を残存油剤付着量(重量
%)、また織物の絶乾重量に対する抽出油剤量を残存油
剤付着量(重量%)とした。
【0036】(5)原糸毛羽 原糸を10本巻取り、夫々の長さ105 mの毛羽数をカ
ウントし、下記基準により評価した。 ○:毛羽個数0〜3個/106 m △:毛羽個数4〜9個/106 m ×:毛羽個数10個以上/106
【0037】(6)製織毛羽 幅174cmに製織し、その長さ200mあたりの毛羽
数をカウントし、下記基準により評価した。 ○:毛羽個数0〜4個/300m △:毛羽個数5〜9個/300m ×:毛羽個数10個以上/300m
【0038】(7)難燃性 MVSS302の方法にしたがって測定した。0mm/
分又は自消(SE)を良好とした。
【0039】(8)エア−バッグの破裂強度 直径700mmφのクロスを2枚裁断して、これを二重
環縫製直径670mmで縫製してエアーバッグを作成し
た。次に高速バースト試験機を用いて、30Kg/cm
2 、40リットルに蓄圧した高圧空気を瞬時に注入して
100msec以内に破裂したときの最大内圧(Kg/
cm2 G)をエアーバッグの織物目付(Kg/m2 )で
除した目付あたりの値をエアーバッグの破裂強度とし
た。この値が4.0(Kg/cm2 G)/(Kg/
2 )以上であれば良好である。
【0040】[実施例1]固有粘度が0.88のポリエ
チレンテレフタレートを溶融吐出して249フィラメン
トの糸条となし、この糸条の固化後オイリングローラー
を介して表1に記載の油剤エマルジョンを油剤有効成分
にして糸重量を基準として0.8重量%となるように付
与し、900m/分の速度で引取り一旦巻き取った。得
られた未延伸糸を60℃に予熱後、150℃の乾熱浴中
及び220℃の乾熱浴中にて2段に延伸し、引き続いて
圧力2.5Kg/cm2 の圧空を用いて交絡処理して3
00m/分の速度で巻取、420デニール/249フィ
ラメント、破断強度が9.6g/deのマルチフィラメ
ント糸を得た。これを無撚のまま経糸及び緯糸に使用し
てウォータージェットルームにより製織し、次に該生機
をオープンソーパー機により、水温95℃中を10分間
通すことにより精練し、多段金属ロールセット機によ
り、第1回目金属表面温度155℃で1分間、第2回目
金属表面温度200℃で1.5分間収縮熱セットして、
織物密度が経60本/インチ、緯57本/インチの平織
物となした。得られたフィラメント糸及び織物の評価結
果を表1及び2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】[実施例2]実施例1において、実験No.3
で用いた油剤成分のうちPOE(n)ラウリルエーテ
ル、及び硬化ヒマシ油エーテルのエチレンオキシド付加
モル数を変更する以外は実施例1と同様に評価した。結
果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】[実施例3]実施例1において、実験No.3
で用いた油剤の付与量を表4に記載のごとくする以外は
実施例1と同様に評価した。この時の結果を表4に示
す。
【0046】
【表4】
【0047】
【発明の効果】本発明のエアーバッグ用ポリエステルマ
ルチフィラメント糸は、製糸・製織時には毛羽が発生し
にくく、またウォータージェットルーム製織後にはその
油剤付着量が低下しているので、エアーバッグのような
高密度織物であっても精練又は熱セット条件を選択する
ことにより極めて容易に織物上の油剤を調節することが
でき、破裂強度及び難燃性に優れたポリエステルエアー
バッグを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺阪 冬樹 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量500〜800の含イオウエステ
    ル化合物が全平滑剤成分の60重量%以上を占める平滑
    剤成分(A)を50〜80重量%、平均分子量が100
    0〜7000のテトラメチレンオキシド/エチレンオキ
    シド共重合体(B)を1〜10重量%、平均分子量が1
    000〜3000のプロピレンオキシド/エチレンオキ
    シド共重合体(C)を1〜15重量%及びHLBが6〜
    13の非イオン系界面活性剤(D)を15〜30重量%
    含有する油剤が、繊維重量を基準として0.3〜1.0
    重量%付着していることを特徴とするエアーバッグ用ポ
    リエステルマルチフィラメント糸。
  2. 【請求項2】 油剤の最大加水粘度が3万センチポイズ
    以下である請求項1記載のエアーバッグ用ポリエステル
    マルチフィラメント糸。
  3. 【請求項3】 マルチフィラメント糸の単糸繊度が1.
    0〜3.0デニール、破断強度が8.0〜10.0g/
    deである請求項1又は2記載のエアーバッグ用ポリエ
    ステルマルチフィラメント糸。
  4. 【請求項4】 分子量500〜800の含イオウエステ
    ル化合物が全平滑剤成分の60重量%以上を占める平滑
    剤成分(A)を50〜80重量%、平均分子量が100
    0〜7000のテトラメチレンオキシド/エチレンオキ
    シド共重合体(B)を1〜10重量%、平均分子量が1
    000〜3000のプロピレンオキシド/エチレンオキ
    シド共重合体(C)を1〜15重量%及びHLBが6〜
    13の非イオン系界面活性剤(D)を15〜30重量%
    含有する油剤が、繊維重量を基準として0.3〜1.0
    重量%付着しているポリエステルマルチフィラメント糸
    を無撚のまま経糸及び緯糸に用いて、ウォータージェッ
    トルームにより製織して生機となし、該生機を精練又は
    熱処理して織物上の残存油剤付着量を0.03〜0.0
    9重量%となすエアーバッグ用ポリエステル織物の製造
    方法。
JP7077761A 1995-04-03 1995-04-03 エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法 Pending JPH08269870A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7077761A JPH08269870A (ja) 1995-04-03 1995-04-03 エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7077761A JPH08269870A (ja) 1995-04-03 1995-04-03 エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08269870A true JPH08269870A (ja) 1996-10-15

Family

ID=13642927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7077761A Pending JPH08269870A (ja) 1995-04-03 1995-04-03 エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08269870A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007284826A (ja) * 2006-04-18 2007-11-01 Toray Ind Inc エアバッグ用基布の製造方法
JP2009185421A (ja) * 2008-02-08 2009-08-20 Toray Ind Inc シリコーンコートエアバッグ用基布およびその製造方法
JP2012092482A (ja) * 2010-10-01 2012-05-17 Sanyo Chem Ind Ltd 合成繊維用処理剤
KR101480851B1 (ko) * 2014-02-18 2015-01-09 주식회사 효성 고강력 폴리에틸렌테레프탈레이트 멀티필라멘트 원사와 그의 제조방법
KR101527523B1 (ko) * 2014-02-18 2015-06-09 주식회사 효성 에어백용 원사, 이의 제조방법 및 이를 이용한 직물
WO2017135591A1 (ko) * 2016-02-02 2017-08-10 (주)효성 에어백용 폴리에틸렌테레프탈레이트 직물의 제조방법
EP4130365A4 (en) * 2020-03-31 2024-04-10 Seiren Co Ltd UNCOATED AIR BAG FABRIC AND INFLATABLE SAFETY BAG

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007284826A (ja) * 2006-04-18 2007-11-01 Toray Ind Inc エアバッグ用基布の製造方法
JP2009185421A (ja) * 2008-02-08 2009-08-20 Toray Ind Inc シリコーンコートエアバッグ用基布およびその製造方法
JP2012092482A (ja) * 2010-10-01 2012-05-17 Sanyo Chem Ind Ltd 合成繊維用処理剤
KR101480851B1 (ko) * 2014-02-18 2015-01-09 주식회사 효성 고강력 폴리에틸렌테레프탈레이트 멀티필라멘트 원사와 그의 제조방법
KR101527523B1 (ko) * 2014-02-18 2015-06-09 주식회사 효성 에어백용 원사, 이의 제조방법 및 이를 이용한 직물
WO2015126061A1 (ko) * 2014-02-18 2015-08-27 (주) 효성 고강력 폴리에틸렌테레프탈레이트 멀티필라멘트 원사와 그의 제조방법
WO2017135591A1 (ko) * 2016-02-02 2017-08-10 (주)효성 에어백용 폴리에틸렌테레프탈레이트 직물의 제조방법
KR20170091966A (ko) * 2016-02-02 2017-08-10 주식회사 효성 에어백용 폴리에틸렌테레프탈레이트 직물의 제조방법
EP4130365A4 (en) * 2020-03-31 2024-04-10 Seiren Co Ltd UNCOATED AIR BAG FABRIC AND INFLATABLE SAFETY BAG

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3279377B1 (en) Coated base fabric for airbag, airbag, and method for producing coated base fabric for airbag
EP2334856A2 (en) Fabric for airbag and method of preparing the same
JP2007284826A (ja) エアバッグ用基布の製造方法
JP3180524B2 (ja) エアバッグ用基布
JP4172089B2 (ja) ノンコートエアバッグ用基布およびその製造方法
JPH08269870A (ja) エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法
JPH06306728A (ja) エアバッグ用基布
JP3334252B2 (ja) ノンコートエアバッグ用基布
JP3089155B2 (ja) エアーバッグ用ポリエステルフィラメント織物
WO2012014309A1 (ja) 耐摩耗性ポリエステル繊維及び織編物
JPH0790747A (ja) ノンコートエアバッグ用基布
JP2003020566A (ja) ポリアミド繊維
JP3378181B2 (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2001214373A (ja) エアバッグ用基布及びエアバッグ
JP3421135B2 (ja) 破裂強度と難燃性の改良された柔軟性ポリエステルエアーバッグ用織物の製造方法
JP7380549B2 (ja) エアバッグ用基布およびエアバッグ用基布の製造方法
JP3284805B2 (ja) 産業資材用織物
JP4496451B2 (ja) 高密度織物の製織方法
JPH1060750A (ja) ノンコートエアーバッグ用基布
JP2011058132A (ja) エアバッグ用基布およびその製造方法
JP3830333B2 (ja) エアバッグ用基布及びエアバッグ
JP3510744B2 (ja) シートベルト用原着ポリエステル繊維
JPH0784707B2 (ja) 無撚無糊織物経糸用の油剤組成物および該油剤組成物を用いる高速製糸方法
JP3089764B2 (ja) 合成繊維用処理剤
JP3089763B2 (ja) 合成繊維用処理剤