JP4733299B2 - ポリアミド繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグ等に有用なポリアミド繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
エアバッグは収納スペースが制限されているので、最近の傾向として、エアバッグ装置の小型化、軽量化の要求が特に高まっている。
【0003】
最近、エアバッグ装着部位であるステアリングホイール、インスツルメントパネルは、各種の装置を新たに組み込んで自動車の高機能化を狙うべく検討されており、これに伴い、エアバッグ装置の小型化の要求が高まってきている。
【0004】
また、最近では、横方向からの衝突にも衝撃を和らげるべく、サイドバッグ、サイドカーテンのような装着も検討が進んできている。つまり、従来、設置スペースがほとんどなかったような部位へも装着する必要が生じたため、コンパクト化の要求が一層高まってきている。更には、自動車全体の省燃費化のため、安全装置についても軽量化の要求が高まってきている。さらには昨今の傾向として、これらのエアバッグをより安価に製造することも要求されている。
【0005】
エアバッグ装置の中で、エアバッグそのものを小型化、軽量化するためには、1)糸条の繊度を下げて織布厚みを薄くすること、2)単糸繊度を下げ柔軟にして折り畳み性を良くすること、3)高強度繊維を高密度で製織して高強力織布を得ること、が必要である。
【0006】
上記1)の要求を満足するためには、布帛強力を保証するために繊度低下に見合った原糸強度の向上が必要となる。原糸強度の向上には、延伸比を向上させることが一般に有効であるが、単純に延伸比を増加させても、延伸ロールもしくはガイド等と糸条との擦過が大きくなり、糸条の毛羽が増加して、製織時の停台の原因となる。
【0007】
毛羽を抑制する技術として、例えば、特開平7−3643号公報には、紡糸油剤として、チオジオプロピオン酸エステル65〜80wt%、飽和一価アルコールのジエステル10〜20wt%、特定の多価アルコールエチレンオキサイド付加物とステアリン酸のエステル10〜20wt%及び特定の硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物を10〜25wt%配合したものを、製糸時に付与することが開示されている。しかし、この技術は、タイヤコードのような太い繊度の糸条(例えば、全繊度1400dtex、単糸繊度6.6dtexなど)においては有効であるが、軽量化を目的としたエアバッグに使用出来るような少ない毛羽数を達成するには不十分である。これは、チオジプロピオン酸エステルのみでは金属−糸間の油膜強度が擦過に対し十分でない事が主な原因である。また、チオジプロピオン酸エステルが65wt%以上であるために、付着量によっては単糸間の摩擦が低くなり、交絡がばらけて入りにくい場合があった。これは、製織時に単糸ばらけによる停台の原因になる。
【0008】
さらに、特開平6−228886号公報には、高分子活性剤により毛羽を抑制するため、二種以上のアルキレンオキシドとポリオールのランダムブロック共重合体と、炭化水素基を少なくとも一つ有するアミノ化合物のアルキレンオキシド付加物及びポリカルボン酸または無水ポリカルボン酸を重縮合した分子量1000〜20000である窒素を有するポリエーテルポリエステル化合物を含有する油剤を用いることが開示されている。しかし、高分子活性剤は油剤組成の相溶性が悪くなる場合があり、例えば、冬期には低温時に相分離を起こすことがある。この場合、紡糸時であれば毛羽や糸切れ、製織時であれば停台につながる。また、最近の紡糸条件では、延伸ゴデットロールの温度は200℃以上になる場合があり、窒素を含む高分子活性剤は、それ自体の劣化が早く、急激に油膜強化の機能が低下し、毛羽の増加につながる。
【0009】
次に、上記2)の単糸繊度を下げることについては、例えば、特開平5−59632号公報では、単糸繊度3.5〜4.5dtexの繊維を使用することにより、コンパクトで折り畳み性の良好なエアバッグが得られている。しかしながら、この実施例での糸条は毛羽が800〜1800個/tonと多いため、後述する高密度、高速製織には不向きである。
【0010】
上記3)の高密度製織では、織機回転数の高速化が必要となり、高速でスムーズな製織のためには、低い毛羽発生率と交絡数の増加が必要となる。これは、毛羽が多かったり交絡数が少ないと、製織時の織機停台が起こり易くなる為である。
【0011】
交絡数を増加させる手段は、例えば、インタレーサー圧力を高くすることが有効であるが、インタレーサー圧力を高くすると、インタレーサー内壁と糸条の接触の機会も多くなり毛羽が増加する。交絡数を増加させる方法としては、例えば、特開平5−148764号公報には、エチレンオキサイドを含む二価脂肪酸エステルとポリエーテル系高分子活性剤及びアルキルフェノールEO付加物よりなる紡糸油剤を付与することにより、単糸間摩擦係数を増加せしめる方法が開示されている。この方法は、繊維強度7cN/dtex以下、単糸繊度6.5dtex以上の糸条においては有効な方法である。しかし、軽量かつコンパクトなエアバッグに用いるための繊維である、繊維強度7.5cN/dtex以上、単糸繊度4.5dtex以下の糸条を生産する場合には、細い繊度で多フィラメントの糸条であるため、単糸間の摩擦が増加することによる影響で、毛羽が増加し、製織時における停台の増加につながることが判明した。この傾向は、高強度の糸条ほど増加する傾向にある。
【0012】
以上の通り、軽量のエアバッグに有用で、毛羽が少なく、高い交絡を有し、単糸繊度1.1〜4.5dtexの高強力繊維は未だに得られていないのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、比較的細い単糸繊度を有し、毛羽の少ない高交絡で高強度のポリアミド繊維、特に、軽量でコンパクトなエアバッグを得るために好適なポリアミド繊維を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
【0015】
即ち、本発明は下記の通りである。
【0016】
1.下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する油剤が繊維表面に0.6〜3.0wt%付着しており、かつ、単糸繊度が1.1〜4.5dtexであることを特徴とするポリアミド繊維。
【0017】
(A)二塩基酸と一価アルコールから誘導されるエステルを30〜50wt%
(B)一塩基酸と三価以上の水酸基を持つ物質から誘導されるエステルを20〜50wt%
(C)二塩基酸及び/又は一塩基酸と三価以上の水酸基を持つ物質から誘導される分子量10000〜30000のエステル多量体を1〜10wt%
(D)分子量1000〜2000のアルキル燐酸アミン塩を0.5〜5wt%
2.全繊度が50〜470dtexであることを特徴とする上記1記載のポリアミド繊維。
【0018】
3.繊維強度が7.5cN/dtex以上であることを特徴とする上記1又は2記載のポリアミド繊維。
【0019】
4.交絡数が30個/m以上であることを特徴とする上記1、2又は3記載のポリアミド繊維。
【0020】
5.上記1〜4のいずれかに記載のポリアミド繊維より作成されてなる布帛。
【0021】
6.質量が250g/m2以下であることを特徴とする上記5記載の布帛。
【0022】
本発明のポリアミド繊維は、単糸繊度1.1〜4.5dtexにおいても低い毛羽と高い交絡を両立させた製織に極めて有効な糸条であり、これを製織する事により、高品位で軽量かつコンパクトなエアバッグを高い生産効率で得ることができる。
【0023】
以下、本発明につき詳述する。
【0024】
本発明に用いる油剤の成分(A)において、二塩基酸としては、飽和、不飽和及び側鎖を含むものが使用できる。例えば、アジピン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、チオジプロピオン酸等が挙げられる。また、一価アルコールとしては、飽和、不飽和及び側鎖を含むものが使用できる。例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。成分(A)のエステルは、糸に平滑性を付与する。
【0025】
成分(A)の油剤中の含有率は、30〜50wt%であり、好ましくは40〜48wt%である。含有率がこの範囲であると、単糸間の摩擦が適度で、交絡数及び加工時の交絡保持性が良く、平滑性の低下がなく、製糸時の切れ糸や毛羽の発生を大きく抑制できる。
【0026】
本発明に用いる油剤の成分(B)において、一塩基酸は、飽和及び不飽和アルキル基で、側鎖を含むこともできる。例えば、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、三価以上の水酸基をもつ物質としては、トリメチロールプロパン、ひまし油及びその硬化物、グリセリン及びポリグリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ショ糖等が挙げられる。成分(B)にはアルキレンオキサイドを含んでも良い。成分(B)は、油剤構成成分の相溶性を向上させると共に、繊維−繊維間の油膜強化に寄与する。
【0027】
成分(B)の油剤中の含有率は、20〜50wt%であり、好ましくは20〜35wt%である。含有率がこの範囲であると、油剤中の配合物質の相溶性が良好であり、分離することがなく、平滑性の低下や製糸時の毛羽の発生を大きく抑制できる。
【0028】
本発明に用いる油剤の成分(C)において、二塩基酸としては、飽和、不飽和及び側鎖を含むものが使用できる。例えば、アジピン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、チオジプロピオン酸等が挙げられ、アルキレンオキサイドを含んでも良い。一塩基酸としては、飽和、不飽和及び側鎖を含むものが使用できる。例えば、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、三価以上の水酸基をもつ物質としては、例えば、ひまし油及びその硬化物、ポリアルキレンポリマー、グリセリン及びポリグリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ビスフェノール、ショ糖等が挙げられ、アルキレンオキサイドを含んでもかまわない。また、成分(C)のエステルは、複数種の有機酸との複合エステルとしてもよい。成分(C)は、金属−繊維間及び繊維−繊維間の油膜強化に大きく寄与する。
【0029】
ここで重要なのは、成分(C)のエステルの分子量は10000〜30000であり、好ましくは13000〜25000、より好ましくは15000〜22000である。分子量がこの範囲であると、油剤の粘性が適度で、製糸に悪影響を及ぼさず、繊維間の油膜及び金属−繊維間の油膜が製糸応力に負けることがないため、擦過のダメージを最小限に止め、また、繊維間の摩擦抵抗を低下することが出来るので、スムーズな単糸引きそろえが行われて、延伸時の毛羽の発生を大きく低減できる。
【0030】
成分(C)の油剤中の含有率は、1〜10wt%であり、好ましくは2〜8wt%、より好ましくは3〜7wt%である。含有率がこの範囲であると、油剤の粘性が適度で、製糸に悪影響を及ぼさず、繊維間の油膜及び金属−繊維間の油膜が製糸応力に負けることがないため、擦過のダメージを最小限に止め、また、繊維間の摩擦抵抗を低下することが出来るので、スムーズな単糸引きそろえが行われて、延伸時の毛羽の発生を大きく低減できる。
【0031】
本発明に用いる成分(D)において、アルキル燐酸アミン塩は、アルキル基の炭素数が8〜23のものを用いる事が望ましい。アルキル基としては、例えば、オクチル基、セチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基等が挙げられる。成分(D)は、主に金属−繊維間の油膜強化に寄与する。
【0032】
該アルキル燐酸アミン塩の分子量は1000〜2000であり、好ましくは1200〜1700である。分子量がこの範囲であると、油膜強度が十分であり、毛羽の発生が抑制される。
【0033】
成分(D)の油剤中の含有率は0.5〜5wt%であり、好ましくは、1〜3wt%である。含有率がこの範囲であると、油膜強度が十分であり、毛羽の発生が抑制される。
【0034】
油剤を調合する際は、必要に応じて乳化助剤、制電防止剤、酸化防止剤、PH調整剤、消泡剤、防腐剤等を添加しても良い。
【0035】
繊維への油剤の付与は、非水型あるいは水型の状態で、ノズル、ロール、噴霧等の公知の方法で付与することができる。
【0036】
本発明において、繊維の油剤付着量は、繊維の質量に対して0.6〜2.0wt%である。油剤付着量がこの範囲であると、付着斑がなく、摩擦が低いので、製糸時の毛羽の発生を大きく低減できる。また、油剤の飛散が少ないので、経済性や環境の面からも好ましい。
【0037】
本発明に用いる繊維は、ポリアミド類の繊維である。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610等に代表される脂肪族ポリアミドの繊維や、ナイロン6T、ナイロン6I等の芳香族ポリアミドの繊維、もしくは、ナイロン66/6I、ナイロン66/6T、ナイロン66/610等の共重合ポリマーの繊維、もしくはブレンドポリマーの繊維である。この中で、特にナイロン66繊維が、耐熱性及び柔軟性の点で好ましい。ナイロン66繊維を用いる場合は、蟻酸相対粘度が35〜100のものが望ましい。蟻酸相対粘度がこの範囲であると、ポリマーのゲル化等がなく、安定した紡糸が出来る。また、必要に応じて、ポリマー中に酢酸銅、沃化銅及び沃化カリ等を添加することが出来る。
【0038】
本発明のポリアミド繊維は、単糸繊度が1.1〜4.5dtexであり、好ましくは2.2〜3.3dtexである。単糸繊度がこの範囲であると、紡糸時に単糸接触による毛羽の発生が著しく少なく、エアバッグに用いた場合、コンパクトなエアバッグが得られ、また、単糸自体の熱容量が適度であるために、エアバッグ展開時の高温ガスによって溶断することがない。
【0039】
本発明のポリアミド繊維は、全繊度は特に制限はないが、50〜470dtexの範囲が好ましく適用できる。全繊度がこの範囲であると、十分な強力を有するコンパクトなエアバッグとなり、エアバッグ展開時に破裂する恐れがない。また、繊維強度は7.5cN/dtex以上であることが好ましい。
【0040】
本発明のポリアミド繊維は、製織等の後工程を円滑に行うという点から、交絡数が30個/m以上であることが好ましく、交絡数の上限は特に制限されない。交絡は、インターレース等の方法により行うことができる。
【0041】
本発明のポリアミド繊維を製造する方法は、湿式紡糸、乾式紡糸及び溶融紡糸等の方法が適用できるが、経済性の点から、溶融紡糸が好ましい。
【0042】
本発明のポリアミド繊維を用いた布帛は、質量が250g/m2以下であることが好ましく、布帛の形態としては、織物が好ましい。織物組織としては、平織、格子織、綾織、朱子織などの織物が使用される。織物の経方向、緯方向の打ち込み本数の割合は、経、緯が同数であることが望ましいが、数本程度異なっていてもよい。
【0043】
織物の製織は、既存のエアージェット織機、ウォータージェット織機、レピア織機、多相織機等を使用してよく、特に制限を受けないが、製織後の工程の簡便性からノンサイジングでエアージェット製織を行うことが好ましい。
【0044】
また、エアバッグ用の基布として用いる場合、布帛にコーティング剤を塗布する方法としては、既存のコーティング装置を適用することができ、特に制限を受けるものではない。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に説明がない限り、%、部、ppmは、wt%、wt部、質量ppmを示すものとする。
【0046】
また、測定法、評価法等は下記の通りである。
【0047】
(1)強伸度物性
東洋精機社製テンシロンRTC1210を用い、試料長200mm、引っ張り速度200mm/分で行った。
【0048】
(2)毛羽
春日電機株式会社製FLUF DETECTOR F6−Aを検出器とした光電管式毛羽測定装置を用い、測定速度300m/分で300万m測定し、1000万m当たりに換算した。
【0049】
(3)織機停台数
繊維に製経油剤を1%塗布し、次いでエアジェットルームにて、経83本/2.54cm、緯83本/2.54cmの平織り織布を、回転数450rpmにて製織したときの1日当たりの停台数をカウントした。
【0050】
(4)エアバッグのコンパクト性
布帛にシリコーン水性エマルジョン(旭化成−ワッカー株式会社製「DEHENSIVE38197 VP」)84部、Si結合した水素原子を少なくとも3個を有するオルガノポリシロキサン(旭化成−ワッカー株式会社製「V20」)7.7部、付着助剤として適当な有機ケイ素化合物(旭化成−ワッカー株式会社製「HF86」)7.7部を攪拌混合した混合液に、カーボンブラック粉末(デグサ−ヒュルス製「Printex L」)0.6部を加え、攪拌、混合し、コーティング組成物とした。(カーボンブラック固形分)/(組成物全固形分)の質量比は0.011である。
【0051】
該コーティング組成物を、ナイフコーターを用いて、塗布量15g/m2となるように布帛にコーティングした。得られたコーティング布を100cm×100cmに切り出し、これを10cm×10cmに折り畳み1000gの荷重をかけたときの嵩高さを測定した。結果は、後記の比較例16を標準品としてこの嵩高さを100としたときの相対値で示した。
【0052】
(5)布帛の品位
作製したコーティング前の布帛(幅1.5m)を50cm検反し、これを任意の20個所について実施し、織物欠点の存在する個所の数をカウントした。判定は下記の基準で行った。
【0053】
◎:欠点個所ゼロ(極めて高品位)
○:欠点個所1以下(良好な品位)
△:欠点個所2以下(使用可能)
×:欠点個所3以上(使用不可)
〔製造例〕
90%蟻酸に8.4%のナイロン66を溶解し、25℃でオストワルド粘度管で測定した蟻酸相対粘度(以下、VRと略す)60のポリアミド66を溶融し、孔径0.23mm、孔数56の紡糸口金から吐出して糸条化し、冷却しつつ油剤付与ノズルにて所定の紡糸油剤を所定量付与し、1000m/分で引き取った。この未延伸糸を一旦巻き取ること無く、直ちに熱延伸ローラーにて4.5倍に延伸した後、インタレーサーにて交絡を与えて、目的の繊維を得た。
【0054】
得られた繊維は、繊度175dtex、強度7.8〜8.0cN/dtex、伸度20〜25%の範囲の糸条であった。
【0055】
〔実施例1〜11、比較例1〜13〕
表3及び表4に示す組成にて調製した油剤を、上記製造例に適用して紡糸し、製織した。結果を表1、表2に示す。
【0056】
表1、2より明らかなごとく、実施例1〜11では、十分な交絡および低い紡糸毛羽を有する糸条が得られ、この糸条を用いて製織すると、停台が少なく生産性が良いことが判る。得られた布帛の品位も良好であった。
【0057】
一方、比較例1〜13では、毛羽数が増大し、条件によっては安定した紡糸や製織ができないことが判る。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
なお、表3及び表4において、油剤の各構成物質は下記の記号で示す。
【0063】
A1;ジオレイルアルコールチオジプロピオネート
A2;ジラウリルアルコールEO3チオジプロピオネート
A3;ジイソステアリルチオジプロピオネート
B1;トリメチロールプロパントリラウレート
B2;ペンタエリスリトールEO20ジステアレート
B3;硬化ヒマシ油トリラウレート
C1;硬化ヒマシ油EOAマレイン酸ステアリン酸エステル多量体(分子量4500)
C2;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体(分子量12000)
C3;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体(分子量19500)
C4;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体(分子量28300)
C5;硬化ヒマシ油EOAアゼライン酸エステル多量体(分子量39000)
C6;PEG400ジラウレート
D1;オクチルフォスフェートオクチルアミン塩(分子量340)
D2;オクチルフォスフェートEOAラウリルアミン塩(分子量1100)
D3;セチルフォスフェートEOAステアリルアミン塩(分子量1500)
D4;ベヘニルフォスフェートPOEOステアリルアミン塩(分子量1900)
D5;ベヘニルフォスフェートPOEOステアリルアミン塩(分子量2200)
E1;硬化ヒマシ油EOA(分子量1300)
E2;POEOステアリルポリエーテル
E3;POEラウリルアミノエーテル
F;酸化防止剤
〔実施例12及び13、比較例14及び15〕
油剤および油剤の付着量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして織物を作製し、得られた織物を用いてエアバッグを作製した。結果を表5に示す。
【0064】
実施例12及び13では、高交絡かつ、低毛羽で、製織停台も低く抑えられているのに対し、比較例14及び15では、毛羽が急増し、条件によっては製織が出来なかった。
【0065】
【表5】
【0066】
〔実施例14及び15、比較例16及び17〕
単糸繊度を変更した以外は実施例1と同様にして織物を作製し、その織物を用いてエアバッグを作製した。
【0067】
エアバッグのコンパクト性を評価し、同時に実施例1で得た織物を用いて作製したエアバッグのコンパクト性も評価した。結果を表6に示す。
【0068】
実施例14及び15では、コンパクト性の優れたエアバッグが得られるのに対し、比較例16及び17では、繊度が小さすぎるため、毛羽が急増し、製織が出来なかった。
【0069】
【表6】
【0070】
【発明の効果】
本発明のポリアミド繊維は、高強度であるため比較的細い単糸繊度でも十分な強力を有する布帛が得られ、また、毛羽が少ないため製織性に優れている。したがって、本発明のポリアミド繊維を用いた布帛を基布とすることにより、軽量かつコンパクトで高品位なエアバッグ得ることが出来る。
Claims (7)
- 下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する油剤が繊維表面に0.6〜3.0wt%付着しており、かつ、単糸繊度が1.1〜4.5dtexであることを特徴とするポリアミド繊維。
(A)二塩基酸と一価アルコールから誘導されるエステルを30〜50wt%
(B)一塩基酸と三価以上の水酸基を持つ物質から誘導されるエステルを20〜50wt%
(C)二塩基酸と三価以上の水酸基を持つ物質から誘導される分子量10000〜30000のエステル多量体を1〜10wt%
(D)分子量1000〜2000のアルキル燐酸アミン塩を0.5〜5wt% - (C)成分が硬化ヒマシ油エステル多量体であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド繊維。
- 全繊度が50〜470dtexであることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド繊維。
- 繊維強度が7.5cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド繊維。
- 交絡数が30個/m以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアミド繊維。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド繊維より作成されてなる布帛。
- 質量が250g/m 2 以下であることを特徴とする請求項6記載の布帛。
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