JP2003239176A - 仮撚加工用ポリエステル繊維 - Google Patents

仮撚加工用ポリエステル繊維

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JP2003239176A
JP2003239176A JP2002035020A JP2002035020A JP2003239176A JP 2003239176 A JP2003239176 A JP 2003239176A JP 2002035020 A JP2002035020 A JP 2002035020A JP 2002035020 A JP2002035020 A JP 2002035020A JP 2003239176 A JP2003239176 A JP 2003239176A
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Masao Uchida
正夫 内田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた平滑性、耐熱性、集束性、制電性を有
し、しかも仮撚加工温度をあげてもヒータータールの堆
積が少なく安定して仮撚加工できるポリトリメチレンテ
レフタレート系ポリエステル繊維を提供すること。 【解決手段】 複屈折率が0.03〜0.08、伸度が
30〜180%、10%伸長弾性回復率が30〜100
%であるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステ
ル繊維表面に、下記式のエーテルエステル化合物を50
〜80重量%、分子量が1万以上のポリエーテル化合物
を2〜20重量%、及び、平均分子量が2500〜10
000のポリエーテル変性ポリシロキサンを0.5〜
5.0重量%含有する処理剤を、0.2〜1.0重量%
付着させる。 R1OCO−(A)X−(CH2Z−(A)Y−COOR2 (R1及びR2は炭素数7〜21のアルキル基、Aは炭素
数2〜4のオキシアルキレン基、X、Yは夫々0以上で
X+Yが1〜20となる整数、Zは3〜12の整数を示
す)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、仮撚加工性に優れ
たポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル繊維
に関するものである。さらに詳しくは、優れた平滑性、
耐熱性、集束性、制電性を有し、毛羽や断糸の発生が殆
どなく安定して仮撚加工できるポリトリメチレンテレフ
タレート系のポリエステル繊維に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレートからな
るポリエステル繊維は低弾性率なため、かかる繊維から
得られる編織物はソフトな風合を呈するばかりでなく、
弾性回復性や染色性がポリアミド繊維並みの性能を有
し、且つ、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエ
ステル繊維の特徴である寸法安定性、耐光性、低吸湿性
などの特性も維持していることから、広範囲への展開が
期待されている。 【0003】通常、衣料用途に使用される糸の形態は、
何らかの嵩高加工されたものが多く、中でも仮撚加工が
施された嵩高糸を使用するのが一般的である。この仮撚
加工方法は、従来のスピンドル方式から摩擦仮撚方式
(以後フリクション方式と呼称することがある)に移行
されるに至り、その加工速度は飛躍的にアップされてき
た。さらには、フリクション方式における諸機械設備の
進歩から、最近では800m/分から1200m/分と
いった極めて高速度での加工が一般的になってきてい
る。 【0004】一方、摩擦仮撚加工が施される原糸とし
て、生産性向上の点から紡糸速度が3000m/分以上
の部分配向糸(以下POYと呼称することがある)を用
い、延伸と同時に摩擦仮撚加工を行う方法(以下DTY
と呼称することがある)、さらには高速度で紡糸と延伸
を連続して実施(以下直延と呼称することがある)した
後、摩擦仮撚加工を行う方法(以下PTYと呼称するこ
とがある)、あるいは紡糸速度が5000m/分以上の
配向糸(以下USYと呼称することがある)を摩擦仮撚
加工する方法等の仮撚加工方法が従来提案されている。 【0005】しかし、これらの方法はいずれも、生産性
向上による生産コストダウンが目的であり、このような
条件下で製糸、仮撚加工する場合には、糸条と各種接触
体(例えばガイド、ローラー、ヒーターなど)との接圧
の増大、加工速度の増大にともなう熱処理温度のアップ
等により、糸条がますます過酷な条件に瀑されることに
なる場合が多い。例えば加工速度の増大にともなって各
種接触体との間の摩擦が著しく増大する結果、繊維損傷
による白粉の発生や毛羽の発生、断糸の発生などが増大
して加工性が低下する。また、高速度加工することによ
り顕著にあらわれる現象として、仮撚速度も当然それに
対応して増大してくるため糸条に大きな遠心力が働き、
従来多用されている処理剤では絞られて繊維表面から振
り切られやすく、ヒーター上に飛散する量が多くなる。
その結果、ヒーターが著しく汚染されて極端な場合には
ヒーターの溝を伝って流下するといった、いわゆるター
ルが流れるという不都合な現象が発生する。また、ヒー
ター上にタールが発生すると糸条の通過性が極端に低下
するため、得られる加工糸に毛羽や捲縮異常が発生しや
すく、極端な場合には断糸にいたる。したがって、生産
性を高めるためにはヒーターの清掃を頻繁に実施しなけ
ればならないが、ヒーターを頻繁に清掃することは逆に
生産性を低下させることになり、結局コストアップを招
くこととなる。従来、ポリトリメチレンテレフタレート
繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べるとヒ
ーター温度が低くても十分な捲縮性が得られるとされて
いたが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維といえど
も、ヒーター温度が高いほど、例えば200℃前後にす
ると、より安定した捲縮性が得られる。しかし、ヒータ
ータールは急激に増大するため、ヒータータールの発生
が抑制された処理剤が要望されている。 【0006】さらに別の問題として、ポリトリメチレン
テレフタレート繊維を仮撚加工する場合、該繊維は低張
力下でも変形し易すいため、各種接触体との接触面積が
増大して糸・糸間の静摩擦や糸・各種接触体間の動摩擦
がポリエチレンテレフタレート繊維の場合と比べて大き
くなる結果、糸条の通過性が悪くなって高速加工が難し
くなるという問題がある。 【0007】我々の研究によれば、このような問題は、
従来ポリエチレンテレフタレート繊維に多用されている
ポリエーテルを主成分とする処理剤を用いても、糸・糸
間の静摩擦や糸・各種接触体間の動摩擦は依然として高
いため、糸条の通過性は改善できないことが判明した。
このような問題を解消するため、特開平11−2292
76号公報にはポリエーテル主体の処理剤において、該
ポリエーテルの1成分として分子量が10000〜20
000のポリエーテルを1〜20重量%使用することに
より糸・糸間の静摩擦を下げて断糸を抑制する方法が提
案されている。 【0008】確かにこのような分子量10000〜20
000の高分子量ポリエーテルを併用すると、糸・糸間
の静摩擦が下がって糸摩擦による断糸の抑制は期待でき
るものの、そのレベルは未だ不十分である。しかも、ポ
リエーテル主体の処理剤は糸・各種接触体間の動摩擦が
高い上に粘度の高い高分子量ポリエーテルを併用してい
るため、糸・各種接触体間の動摩擦は一段とアップする
ので毛羽や断糸の発生を抑制することが困難になり、摩
擦仮撚加工時の糸条の通過性を改善することはできな
い。 【0009】かかる問題を解消するため、先にエーテル
エステル化合物を主成分とし、分子量が10000以上
のポリエーテル化合物を配合した処理剤を提案した(特
開2001−288682号公報)。しかしながらこの
処理剤でも、より安定した捲縮特性を付与するためにヒ
ーター温度を200℃前後と高くすると、ヒーターター
ルは急激に増大することが判明した。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を鑑みなされたもので、その目的とするところは、優
れた平滑性、耐熱性、集束性、制電性を有し、しかも仮
撚加工温度をあげてもヒータータールの堆積が少なく安
定して仮撚加工できるポリトリメチレンテレフタレート
系ポリエステル繊維を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、上記目的は、「繊維を構成するポリマー成分の80
重量%以上がポリトリメチレンテレフタレートからなる
ポリエステル繊維において、該繊維の複屈折率が0.0
3〜0.08、伸度が30〜180%、10%伸長弾性
回復率が30〜100%であり、且つ該繊維表面に下記
組成の処理剤が繊維重量を基準として0.2〜1.0重
量%付着している仮撚加工用ポリエステル繊維。 処理剤組成: a.下記一般式(化2)で示されるエーテルエステル化
合物の含有量:50〜80重量%、 【0012】 【化2】 R1OCO−(A)X−(CH2Z−(A)Y−COOR2 (式中、R1及びR2は夫々炭素数7〜21のアルキル
基、Aは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、X、Yは
夫々0以上でX+Yが1〜20となる整数、Zは3〜1
2の整数を示す) b.平均分子量が10000以上のポリエーテル化合物
の含有量:2.0〜20重量%、 c.平均分子量が2500〜10000の、ポリエーテ
ル変性ポリシロキサンの含有量:0.5〜5.0重量
%」により達成できることが見出された。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明においては、ポリエステル繊
維を構成するポリマー成分の80重量%以上はポリトリ
メチレンテレフタレートであるが、本発明の目的を損な
わない範囲内(通常は20重量%以下)で第3成分が共
重合されていてもよく、例えばアジピン酸、セバシン
酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸等の酸成分、エチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポ
リエチレングリコール等のジオール成分を共重合成分と
して例示することができる。また、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシ
クロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等の他種ポリ
エステルをブレンドしてもよく、さらには、必要に応じ
て、艶消し剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、
末端停止剤、蛍光増白剤等を添加してもよい。 【0014】上記ポリトリメチレンテレフタレート系ポ
リエステルの固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒
とし、温度35℃で測定)は、紡糸時の安定性及び得ら
れる繊維の力学的特性(強度等)の観点から0.4〜
2.0の範囲、好ましくは0.5〜1.5の範囲、さら
に好ましくは0.6〜1.2の範囲が適当である。 【0015】本発明のポリエステル繊維は、上記ポリト
リメチレンテレフタレートからなる繊維であるが、優れ
た平滑性、耐熱性、集束性、制電性を有し、毛羽や断糸
の発生が殆どなく安定して仮撚加工するためには、以下
の特性を有すると共に繊維表面には後述する特定の処理
剤が付着していることが肝要である。 【0016】すなわち、先ずポリエステル繊維の特性と
しては、第1には複屈折率が0.03〜0.08の範囲
にある必要がある。この範囲の繊維は、通常部分配向糸
(POYと呼称することがある)と称せられるものであ
る。複屈折率が0.03未満の場合には、仮撚加工する
前の経時で原糸の物性が変化したり、仮撚加工時に部分
融着などが発生して、品質斑を起こし易くなるため好ま
しくない。一方、複屈折率が0.08を越える場合に
は、延伸糸に近い物性を有するため、高速度で仮撚加工
すると糸切れや毛羽が発生し易くなり安定した仮撚加工
ができなくなるので好ましくない。第2には伸度が30
〜180%の範囲、好ましくは60〜150%の範囲に
ある必要がある。伸度がこの範囲を外れると、仮撚加工
時に糸切れや毛羽が発生し易くなり、安定して加工でき
なくなるので好ましくない。第3には10%伸長弾性回
復率が30〜100%、好ましくは50〜80%の範囲
にある必要がある。該弾性回復率がこの範囲を外れる場
合には、編織物した場合にソフトな風合を呈するものが
得られなくなるので好ましくない。 【0017】さらに、上記物性を有するポリエステル繊
維の表面には、下記一般式(化3)で示されるエーテル
エステル化合物、分子量が10000以上、好ましくは
20000〜100000、さらに好ましくは2000
0〜50000のポリエーテル化合物、及び平均分子量
が2500〜20000のポリエーテル変性ポリシロキ
サンを含有する処理剤が付着している必要がある。 【0018】 【化3】 R1OCO−(A)X−(CH2Z−(A)Y−COOR2 式中、R1及びR2は夫々炭素数7〜21のアルキル基、
Aは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、X、Yは夫々
0以上でX+Yが1〜20となる整数、Zは3〜12の
整数を示す。 【0019】上記式で表されるエーテルエステル化合物
は、仮撚加工時のヒータータール発生を抑制すると共
に、糸・各種接触体間の動摩擦を調整して糸掛け性等の
取り扱い性を改善するための成分である。かかる成分
は、従来公知の直鎖状飽和グリコールに炭素数2〜4の
アルキレンオキシドを1〜20モルをランダム又はブロ
ック状に付加せしめた後、脂肪族カルボン酸でエステル
化することにより合成される。該炭素数が3〜12の直
鎖状飽和グリコールとしては、具体的には1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8−オ
クタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12
−ドデカンジオール等が挙げられる。好ましくは1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオールである。また炭素数2〜4のアルキ
レンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピンオ
キシド、ブチレンオキシドを例示することができ、これ
らは単独または併用してもかまわない。アルキレンオキ
シドの付加モル数(X+Y)は多くなりすぎると粘性が
アップして平滑性が低下するため21以下とする必要が
あり、特に10以下が好ましい。また、エステル化する
ために使用される脂肪族カルボン酸としては、炭素数8
〜22の脂肪族カルボン酸(式中におけるアルキル基の
炭素数では7〜21)である必要があり、具体的にはカ
プリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、
ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の直鎖飽和脂肪族
カルボン酸、トウハク酸、ゾーマリン酸、オレイン酸等
のノルマル不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができ
る。この炭素数が8未満の場合には、耐熱性が不十分と
なって仮撚加工時にヒーター上で発煙しやすくなるため
好ましくない。一方炭素数が22を超える場合には、平
滑性が不十分となるため好ましくない。 【0020】このようなエーテルエステル化合物の処理
剤中における含有量は50〜80重量%、好ましくは6
0〜80重量%の範囲であることが必要である。該含有
量が50重量%未満の場合には平滑性が不十分となって
本発明の目的は達成できない。一方、80重量%を越え
る場合には該エーテルエステルを乳化させるために使用
する乳化剤の量が減少して該処理剤の安定性が低下する
ため好ましくない。 【0021】上記エーテルエステル化合物と併用される
分子量が10000以上のポリエーテル化合物は、比較
的少量でも糸・糸間の静摩擦を調整して耐毛羽性を改善
するための成分である。かかる成分は、分子量が1万〜
2万のものは従来のアルキレンオキサイドをアニオン重
合させる方法で製造することができるが、2万を超える
ものは一般的に配位アニオン重合法により製造される。
この方法で製造されたポリエーテル化合物は、従来多用
されているアニオン重合法により製造されたポリエーテ
ル化合物と比べてより分子量が大きいために耐毛羽性の
改善効果が極めて大となる。さらに、アニオン重合法で
製造されたポリエーテル化合物は分子量分布が幅広いの
に対して、配位アニオン重合法で製造されたポリエーテ
ル化合物はその分子量分布が小さく、糸・糸間の静摩擦
の調整がよりし易いため耐毛羽性を改善するには極めて
有効である。 【0022】配位アニオン重合法で製造されるポリエー
テル化合物は、通常エチレンオキサイドとプロピレンオ
キサイドが共重合され、分子量は2万〜10万の範囲が
製造しやすく好ましいが、取り扱い性の点を考慮すると
2万〜5万程度がより好ましい。エチレンオキサイドと
プロピレンオキサイドの共重合比(重量比)は20/8
0〜50/50の範囲が適当である。勿論、これらの共
重合体の片末端あるいは両末端がアルキル基などでエー
テル、エステルなどの結合を介して封鎖されていてもよ
く、この末端基の種類によって本発明は何等制限される
ものではない。 【0023】このような分子量が1万以上のポリエーテ
ル化合物の処理剤中における含有量は、仮撚加工時の毛
羽発生防止のためには2.0重量%以上必要であるが、
あまりに多くなりすぎると処理剤の粘性アップにより平
滑性が低下して製糸時の工程安定性が低下すると共に、
糸・糸間の静摩擦が低下して巻取性に問題を生じるよう
になるので20重量%以下とする必要がある。好ましい
範囲は5.0〜20重量%である。 【0024】次にポリエーテル変性ポリシロキサンは、
ヒーター上の糸導周辺に付着・移行した処理剤を広がり
難くし、該ヒーター上に移行した処理剤を走行糸条でセ
ルフクリーニングできるようにして、ヒータータールの
堆積を少なくするために使用するものであり、その平均
分子量は2500〜1万、好ましくは4000〜800
0で、ポリシロキサンの側鎖の一部が炭素数2〜3のア
ルキレンオキシド単位からなるポリエーテル鎖に置換さ
れたものである。ここで、炭素数2〜3のアルキレンオ
キシド単位からなるポリエーテルとしては、エチレンオ
キサイドとプロピレンオキサイドがランダム又はブロッ
ク状に共重合されたものが好ましい。プロピレンオキサ
イドとエチレンオキサイドとのモル比率は20/80〜
80/20の範囲であり、特に40/60〜60/40
の範囲が好ましい。なお、ポリエーテル部分の分子量は
500〜5000の範囲が適当であり、該ポリエーテル
側鎖は、分子内に2個以上有していてもよい。また、該
ポリエーテル変性ポリシロキサン中のポリエーテルが占
める重量割合は30〜50重量%が適当である。 【0025】好ましく用いられるポリエーテル変性ポリ
シロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とハイド
ロジェンメチルシロキサン単位とがランダムまたはブロ
ック状に共重合したメチルハイドロジェンポリシロキサ
ンと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの
共重合ポリエーテルの一方のOH末端がアリルエーテル
化され、他方のOH末端がアセチル化された化合物との
ヒドロシリル化反応により合成される下記式で示される
化合物(化4)を例示することができる。 【0026】 【化4】 (Me)3Si(OSiMeR)nOSi(Me)3 式中、Rはメチル基または−C36−(EO)x−(P
O)y−Ac基であり、EO(エチレンオキシド単位)
とPO(プロピレンオキシド単位)はランダムまたはブ
ロック状に配置されている。 【0027】このようなポリエーテル変性ポリシロキサ
ンの含有量は、0.5〜5.0重量%、好ましくは1.
0〜3.0重量%とする必要がある。この含有量が0.
5重量%未満の場合には、ヒーター上のタール堆積抑制
効果が不十分となり、一方、5.0重量%を超える場合
には、加熱残渣率が高くなってヒーター上のタール堆積
は逆に増加するので好ましくない。 【0028】以上に説明した本発明で用いられる処理剤
には、上記成分の他、本発明の目的を阻害しない範囲内
で、従来使用されている非イオン系界面活性剤、アニオ
ン系界面活性剤、弗素化合物、酸化防止剤等を配合して
もよい。例えば非イオン系界面活性剤としては、エーテ
ルエステル化合物の乳化性向上や繊維の濡れ性向上のた
めに用いられ、ポリアルキレングリコールアルキルエー
テル、ポリアルキレングリコールアリールエーテル、部
分エステル多価アルコールのアルキレンオキサイド付加
物等が例示され、なかでも、ポリアルキレングリコール
アルキルエーテルが好ましく用いられる。また、アニオ
ン系界面活性剤としては、主に制電性向上のために用い
られ、具体的にはアルキルスルホネート塩、アルキルホ
スフェート塩、ポリアルキレングリコールアルキルエー
テルホスフェート塩、アルキルカルボン酸塩、アルキル
サルフェート塩などが例示される。 【0029】上記処理剤をポリエステル繊維表面に付着
させる方法は特に限定されないが、通常溶融紡糸された
未延伸糸条に付与した後、所望に応じて延伸処理され
る。未延伸糸条に処理剤を付与する方法についても任意
であるが、通常は濃度が3〜20重量%の水性エマルジ
ョンとし、従来公知の方式、例えばオイリングローラー
方式やノズル方式で付与される。 【0030】処理剤のポリエステル繊維への付与量(処
理剤有効成分として)は、繊維重量を基準として0.2
〜1.0重量%、好ましくは0.3〜0.5重量%の範
囲にする必要がある。該付与量が1.0重量%を越える
場合には、紡糸時の巻取り性には特に問題を生じない
が、得られた繊維を摩擦仮撚加工する際にヒータープレ
ートにタールが付着して安定に仮撚加工できなくなるの
で好ましくない。一方、付与量が0.2重量%未満の場
合には、繊維の集束性及び潤滑性が不十分となり紡糸時
の巻取り性が低下すると共に、摩擦仮撚加工時の加工性
も不十分となるため好ましくない。 【0031】以上に説明した本発明のポリエステル繊維
は、従来公知の方法のいずれでも仮撚加工することがで
きるが、一般的には摩擦仮撚具として、ウレタンもしく
はセラミックのディスク、又はベルトが使用される。仮
撚加工機のヒーターは、要求される捲縮の状態や加工速
度によって、接触1段方式、接触と非接触の2段方式、
さらには非接触2段方式などがあるがいずれも採用でき
る。また、ヒーターの温度は、接触ヒーターの場合には
170〜220℃、好ましくは200〜220℃、非接
触ヒーターの場合には200〜500℃、好ましくは2
50〜500℃が適当である。加工速度は加工機の機種
によって300〜1200m/分の範囲で適宜選択され
る。 【0032】仮撚加工を施して得られる加工糸は、通常
製編織して織編物に加工されるが、この際必要に応じて
さらに平滑性を付与する目的で低粘度の鉱物油やエステ
ル化合物を主体とした処理剤を0.3〜3重量%追油し
てもよい。 【0033】 【発明の作用・効果】ポリトリメチレンテレフタレート
からなるポリエステル繊維は低張力下でも変形し易すい
ため、各種接触体との接触面積が増大しやすい。そのた
め、糸・糸間の静摩擦や糸・各種接触体間の動摩擦がポ
リエチレンテレフタレートからなるポリエステル繊維の
場合と比べて大きくなるため、糸条の通過性が低下して
毛羽や断糸が発生しやすいという問題があった。 【0034】これに対して本発明のポリエステル繊維
は、前述のような特定のエ−テルエステル化合物を主体
成分とし、分子量が1万以上のポリエーテル化合物を2
〜20重量%と分子量が2500〜1万のポリエーテル
変性ポリシロキサンとを含有する処理剤を0.2〜1.
0重量%付着させているので、糸・糸間の静摩擦が低く
なると同時に糸・各種接触体間の動摩擦も低くなってお
り、しかも、良好な捲縮特性を得るためにヒーター温度
を高温にしてもヒータータールやヒータースラッジの堆
積が発生し難くなっているので、極めて安定して高速仮
撚加工できるのである。 【0035】 【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例における各評価項目は以下の
方法にしたがった。 【0036】(1)複屈折率(△n) 1−ブロモナフタレンを浸透液とし、偏光顕微鏡を用い
て波長530nmの単色光で干渉縞を測定し、定法に従
って測定した。 【0037】(2)10%伸長弾性回復率 試料繊維を、チャック間距離250mmで引張試験機に
取付け、引張速度50mm/分で伸長率10%まで伸長
した後1分間放置する。次いで、引張と同じ50mm/
分の速度で元の試料長までもどし、この時応力がかかっ
ている状態でのチャックの移動距離(L’mm)を読み
とり、以下の式に従って求めた。 弾性回復率(%)=〔L’/25〕×100 【0038】(3)油剤付着量(OPU) ポリエステル繊維サンプル約3gを採取し、105℃×
2時間乾燥後直ちに、重量(A)を測定する。次いでア
ルキルベンゼンスルホン酸ソーダを主成分とする洗浄用
水溶液300cc中に浸漬し、40℃にて超音波を少な
くとも10分かける。洗浄液を廃棄し、40℃の温水に
より30分流水洗浄後、室温にて風乾する。その後、1
05℃×2時間乾燥後直ちに重量(B)を測定する。 OPU(%)=(A−B)/B×100 【0039】(4)糸・糸間の静摩擦 138dtex/36フィラメントのポリエステル繊維
(A)を、円筒の周りにラセン角±15°で約9.8c
N(10g)の巻き張力で前後に巻き付ける。この円筒
は直径が2インチ(5.1cm)で、長さが3インチ
(7.6cm)である。上述と同じポリエステル繊維を
12インチ(30.5cm)(B)とり、この円筒の上
に掛ける。この時、該(B)は前記(A)の上層部にの
っており、且つその巻き付け方向と平行になるようにす
る。0.035cN/dtexの荷重(0.04g/d
e)を(B)の一端にかけ、もう一方の端には、ストレ
インゲージを連結させる。円筒を0.0016cm/秒
の周速で180度回転させ、その時の張力を連続記録す
る。フィラメント間摩擦係数(f)は下記式より算出さ
れる。 f=1/π×ln(T2/T1) ここで、T2はピーク張力の平均値(n=25)、T1
マルチフィラメントに0.035cN/dtexの荷重
(0.04g/de)により与えられる張力、lnは自
然対数記号である。なお、測定中に非可逆的な伸長、す
なわち延伸が起ったサンプルのデータは使用しなかっ
た。また、測定雰囲気温度は25℃とした。 【0040】(5)糸・金属接触体間の動摩擦 83dtex/36フィラメントのポリトリメチレンテ
レフタレートからなる繊維をサンプルとし、繊維・金属
間走行摩擦測定機で、走行速度300m/分で摩擦体と
して径60mmの梨地クロムピンを用い、接触角180
度、摩擦体入側張力9.8cN(10g:T1)で摩擦
体出側の張力(T2)を測定して、糸・糸間の静摩擦の
算出に使用した式を用い、同様にして摩擦係数をもとめ
た。 【0041】(6)エマルジョン安定性 10%の水系エマルジョンを30℃で1日放置し、エマ
ルジョンの状態を肉眼観察し、○(変化なし)、△(ク
リーミング発生)、×(分離)の3段階で判定を行っ
た。 【0042】(7)巻姿(バルジ) バルジは、巻取り量8Kgのパッケージの本来の巻取り
幅に対する端面の膨らみ幅をmm単位で測定した。 【0043】(8)毛羽数ケ/m 25mの仮撚加工糸について、目視にて毛羽の個数を数
え、1mあたりの毛羽数を求めた。 【0044】(9)ヒーター上のスカムの発生状況 ヒーター上のスカムの発生状況は、3週間加工後にヒー
ター上に発生したスカム量の大小を肉眼判定し、1〜5
級の判定を行った。1級(不可)〜5級(良) 【0045】(10)ヒーター上の発煙の発生状況 ヒーター上の発煙の発生状況は、ヒーター出側に発生し
た発煙量の大小を肉眼判定し、1〜5級の判定を行っ
た。1級(不可)〜5級(良) 【0046】[実施例1]固有粘度が1.03のポリト
リメチレンテレフタレートを孔径0.3mmの吐出孔を
36ホール有する紡糸口金から溶融吐出し、該吐出糸条
を冷却固化後3300m/分の速度で引取るに際し、該
冷却固化糸条に表1に記載の処理剤を水系エマルジョン
(エマルジョン濃度10重量%)を純分付着量が0.3
5重量%となるように付着させ巻き取った。得られた1
38dtex/36フィラメントのポリエステル繊維は
複屈折率が0.035、伸度が145%、弾性回復率が
55%であった。この繊維を直径45mmの円板を備え
たウレタン製の外接式摩擦仮撚装置を用いて延伸倍率
1.65、ヒーター温度200℃、摩擦円板回転数62
50rpm、加工速度800m/分で延伸しながら仮撚
加工を行った。その結果を表1に合わせて示す。 【0047】 【表1】【0048】表中、油剤成分の略号は以下のとおりであ
る。 1−1:(EO)51,6−ヘキサンジオールのジラウ
レート 1−2:(EO)5ラウリルエーテルデカネート 2−1:PO/EO=30/70で分子量2万のランダ
ムポリエーテル 2−2:PO/EO=50/50で分子量1万のランダ
ムポリエーテル 3−1:分子量5000のポリエーテル(PO/EO=
50/50モル比)変性ポリシロキサン(ポリエーテル
部分35重量%) 4−1:PO/EO=50/50で分子量2000のラ
ンダムポリエーテル 4−2:(EO)5(PO)1の2−エチルヘキシルエー
テル 4−3:ラウリルスルホネートNa塩 4−4:(EO)3ラウリルホスフェートK塩

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 繊維を構成するポリマー成分の80重量
    %以上がポリトリメチレンテレフタレートからなるポリ
    エステル繊維において、該繊維の複屈折率が0.03〜
    0.08、伸度が30〜180%、10%伸長弾性回復
    率が30〜100%であり、且つ該繊維表面に下記組成
    の処理剤が繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%
    付着している仮撚加工用ポリエステル繊維。 処理剤組成: a.下記一般式(化1)で示されるエーテルエステル化
    合物の含有量:50〜80重量%、 【化1】 R1OCO−(A)X−(CH2Z−(A)Y−COOR2 (式中、R1及びR2は夫々炭素数7〜21のアルキル
    基、Aは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、X、Yは
    夫々0以上でX+Yが1〜20となる整数、Zは3〜1
    2の整数を示す) b.平均分子量が10000以上のポリエーテル化合物
    の含有量:2.0〜20重量%、 c.平均分子量が2500〜10000の、ポリエーテ
    ル変性ポリシロキサンの含有量:0.5〜5.0重量%
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101230637B1 (ko) 2008-06-30 2013-02-06 코오롱인더스트리 주식회사 해양용 폴리에스테르 원사
CN106319970A (zh) * 2015-06-30 2017-01-11 松本油脂制药株式会社 合成纤维用处理剂及其用途

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