JP2003342876A - 経時安定性に優れた仮撚加工用ポリエステル繊維 - Google Patents

経時安定性に優れた仮撚加工用ポリエステル繊維

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JP2003342876A
JP2003342876A JP2002147426A JP2002147426A JP2003342876A JP 2003342876 A JP2003342876 A JP 2003342876A JP 2002147426 A JP2002147426 A JP 2002147426A JP 2002147426 A JP2002147426 A JP 2002147426A JP 2003342876 A JP2003342876 A JP 2003342876A
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Masao Uchida
正夫 内田
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経時安定性に優れた平滑性を有し、長期間保
管しても毛羽や断糸が殆どない高品位の仮撚加工糸を安
定して得ることができる、仮撚加工用のポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維を提供すること。 【解決手段】 複屈折率が0.03〜0.08、伸度が
30〜180%、10%伸長弾性回復率が30〜100
%であるポリトリメチレンテレフタレート繊維に、平均
分子量が1000〜20000、プロピレンオキサイド
/エチレンオキサイド共重合比が2/8〜8/2である
ポリオキシアルキレングリコール共重合体を60〜9
9.5重量%、及び、イソシアヌレート系酸化防止剤を
0.1〜1重量%含有する処理剤を0.2〜1重量%付
与する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、経時安定性に優れ
た仮撚加工用のポリトリメチレンテレフタレート系ポリ
エステル繊維に関するものである。さらに詳しくは、紡
糸から仮撚加工までに長期間経時した繊維を使用して
も、処理剤の組成変化が殆どなく安定して仮撚加工でき
るポリトリメチレンテレフタレート系のポリエステル繊
維に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレートからな
るポリエステル繊維は低弾性率であるため、かかる繊維
から得られる編織物はソフトな風合を呈するばかりでな
く、弾性回復性や染色性がポリアミド繊維並みの性能を
有し、且つ、ポリエチレンテレフタレートからなるポリ
エステル繊維の特徴である寸法安定性、耐光性、低吸湿
性などの特性も良好なため、広範囲への展開が期待され
ている。 【0003】従来、衣料用途に使用される糸の形態は、
何らかの方法により嵩高加工されたものが多く、なかで
も仮撚加工が施された嵩高糸を使用するのが一般的であ
る。この仮撚加工方法は、従来のスピンドル方式から摩
擦仮撚方式(以後フリクションと呼称することがある)
に移行されるに至り、その加工速度は飛躍的にアップさ
れてきた。さらには、フリクション方式における諸機械
設備の進歩から、最近では800m/分から1200m
/分といった極めて高速度での加工が一般的になってき
ている。 【0004】一方、摩擦仮撚加工が施される原糸として
は、生産性向上の点から紡糸速度3000m/分以上で
紡糸された部分配向糸(以下POYと呼称することがあ
る)が用いられ、延伸と同時に摩擦仮撚を行う方法(以
下DTYと呼称することがある)、高速度で紡糸と延伸
を連続して行った(以下直延と呼称することがある)後
に摩擦仮撚を行う方法(以下PTYと呼称することがあ
る)、さらには紡糸速度5000m/分以上で紡糸され
た配向糸(以下USYと呼称することが)を摩擦仮撚加
工する方法等が従来提案されている。 【0005】しかしながら、主たる繰返し単位がトリメ
チレンテレフタレートであるポリエステル繊維を仮撚加
工する場合、該繊維は低張力下でも変形しやすいため、
各種接触体との接触面積が増大して、糸・糸間の静摩擦
や糸・各種接触体間の動摩擦がポリエチレンテレフタレ
ートからなるポリエステル繊維の場合と比べて大きくな
る結果、糸条の通過性は悪くなって高速加工が困難にな
るという問題がある。 【0006】このような問題を解消するため、特開平1
1−229276号公報には、ポリエーテル主体の処理
剤において、ポリエーテルの1成分として分子量が10
000〜20000のポリエーテルを1〜20重量%使
用する方法が提案されている。確かにこの方法によれ
ば、糸・糸間の静摩擦が下がって糸摩擦に起因する断糸
の抑制は可能であるものの、該処理剤が付与されたPO
Yを海外から輸入または輸出してDTY加工を施す場
合、保管場所の温湿度や梱包条件によっては、主として
POY巻糸体の外層部分で該ポリエーテルが酸化分解し
て分子量が1000程度のポリエーテルに変化するた
め、糸・糸間の静摩擦が逆に高くなって加工時の毛羽や
断糸が逆に増大するという問題が発生する。したがっ
て、仮撚加工前にPOY巻糸体の外層部分を剥ぎ取る必
要があるため、生産効率の低下やコストアップの問題が
発生する。 【0007】一方、処理剤に酸化防止剤を添加すること
は公知である。例えば特開平7−216735号公報、
特開平8−120563号公報等には、エステル系の処
理剤にフェノール系酸化防止剤を少量添加した処理剤が
開示され、また、特開昭57−171766号公報に
は、ポリオキシアルキレングリコール共重合体系の処理
剤にアミン系の酸化防止剤を少量添加した処理剤が開示
されている。しかしながら、これらの目的は、合成繊維
の製糸工程において高温処理される場合、発煙の発生や
ローラー上へのタール堆積を防止するため、あるいは、
水系処理剤の経時によるPH低下を抑制するためという
ものであり、いずれも長期保管時における処理剤の経時
変化(処理剤成分の酸化分解)を抑制することについて
は何ら開示がない。 【0008】もちろん、これらの酸化防止剤は経時によ
る処理剤成分の酸化分解を抑制することは可能である。
しかし、本発明者の研究によれば、フェノール系酸化防
止剤はポリオキシアルキレングリコール共重合体との相
溶性が不十分なため、仮撚加工時の冷却プレート等に析
出しやすく、工程安定性が低下するという問題、またア
ミン系酸化防止剤は長期間の保管中にNOx等のガスに
接触すると変色(黄変)しやすいという問題があること
が判明した。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を鑑みなされたもので、その目的は、経時安定性に優
れた平滑性を有し、長期間保管しても毛羽や断糸が殆ど
ない高品位の仮撚加工糸を安定して得ることができる、
主たる繰返し単位がトリメチレンテレフタレート単位で
あるポリエステルからなる仮撚加工用ポリエステル繊維
を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために鋭意検討した結果、ポリオキシアルキレ
ングリコール共重合体を主体成分とする処理剤にイソシ
アネート系酸化防止剤を併用すれば、該酸化防止剤とポ
リオキシアルキレングリコール共重合体との相溶性が良
好で、しかも紡糸から仮撚加工まで長期間経時しても変
色等の問題がなく、毛羽や断糸が殆どない高品位の仮撚
加工糸が安定して得られることを見いだし、本発明に到
達した。 【0011】かくして本発明によれば、「全繰返し単位
の80モル%以上がトリメチレンテレフタレートである
ポリエステルからなり、複屈折率が0.03〜0.0
8、伸度が30〜180%、10%伸長弾性回復率が3
0〜100%であるポリエステル繊維であって、該繊維
表面には下記成分(A)および(B)を含有する処理剤
が、繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%付着し
ていることを特徴とする経時安定性に優れた仮撚加工用
ポリエステル繊維、 (A)プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサ
イド(EO)との共重合体であって、平均分子量が10
00〜20000、PO/EO共重合重量比が20/8
0〜80/20であるポリオキシアルキレングリコール
共重合体:60〜99.5重量% (B)イソシアヌレート系酸化防止剤:0.1〜1.0
重量%」 が提供される。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の繊維を構成するポリエステ
ルは、その全繰返し単位の80モル%以上、好ましくは
90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上がトリ
メチレンテレフタレートであるものが好ましく、本発明
の目的を損なわない範囲内であれば第3成分が共重合さ
れていてもよい。例えばアジピン酸、セバシン酸、イソ
フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸等の酸成分、エチレングリコール、テトラメチレング
リコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレン
グリコール等のジオール成分を共重合成分として例示す
ることができる。また、本発明の目的を損なわない範囲
内(通常20重量%)であればポリエチレンテレフタレ
ート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート等の多種ポリエ
ステルをブレンドしてもよく、さらには、必要に応じ
て、艶消し剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、末端停止
剤、蛍光増白剤等の各種添加剤を配合してもよい。 【0013】かかるポリエステルの固有粘度(オルソク
ロロフェノールを溶媒とし、温度35℃で測定)は、紡
糸時の安定性及び得られる繊維の力学的特性(強度等)
の観点から0.4〜2.0の範囲、好ましくは0.5〜
1.5の範囲、特に好ましくは0.6〜1.2の範囲が
適当である。 【0014】上記ポリトリメチレンテレフタレート系ポ
リエステルからなる本発明の繊維は、優れた平滑性、耐
熱性、集束性、制電性を有し、長期間経時しても毛羽や
断糸の発生が殆どなく安定して仮撚加工できるために
は、以下の繊維特性を有すると共に、繊維表面に後述す
る処理剤が付着している必要がある。 【0015】すなわち、ポリエステル繊維の特性として
は、まず第1に複屈折率が0.03〜0.08の範囲に
ある必要がある。この範囲の繊維は、通常部分配向糸
(POYと呼称することがある)と称されているもので
ある。複屈折率が0.03未満の場合には、仮撚加工す
る前の経時で原糸の物性が変化したり、仮撚加工時に部
分融着などが発生し、品質斑を起こし易くなる。一方、
複屈折率が0.08を越える場合には、延伸糸に近い物
性を有するため、高速度で仮撚加工すると糸切れや毛羽
が発生し易くなり、安定した仮撚加工ができなくなる。
第2には伸度が30〜180%の範囲、好ましくは60
〜150%の範囲にある必要がある。伸度がこの範囲を
外れると、仮撚加工時に糸切れや毛羽が発生し易くな
り、安定して加工できなくなる。第3には10%伸長弾
性回復率30〜100%、好ましくは50〜80%の範
囲にある必要がある。該弾性回復率がこの範囲を外れる
場合には、編織物した場合にソフトな風合を呈するもの
が得られなくなる。 【0016】次に、上記物性を有するポリエステル繊維
表面に付着させる処理剤は、ポリオキシアルキレングリ
コール共重合体を主体成分として含有することが大切で
ある。ここで、(A)成分であるポリオキシアルキレン
グリコール共重合体は、高温時における平滑性を向上さ
せ、仮撚加工時の毛羽や断糸の発生を抑制するためのも
ので、プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサ
イド(EO)との共重合体であって分子量が1000〜
20000、好ましくは2000〜6000の範囲のも
のと10000〜20000の範囲のものを併用し、P
O/EO共重合重量比が20/80〜80/20、好ま
しくは30/70〜70/30である、ランダムまたは
ブロック型の共重合体である。特に分子量が10000
以上のポリオキシアルキレングリコール共重合体は、比
較的少量でも糸・糸間の静摩擦を調整して耐毛羽性を改
善することができる。もちろん、このポリオキシアルキ
レングリコール共重合体の片末端あるいは両末端は、エ
ーテル、エステル、チオエーテル、アミノエーテルなど
の結合を介してアルキル基等で封鎖されてもよい。 【0017】かかるポリオキシアルキレングリコール共
重合体は、従来公知の方法でPO及びEOを共重合する
ことにより得られるが、通常はアルキレンオキサイドと
反応できるような活性水素を少なくとも1ケ以上有する
化合物を用い、これにPO及びEOを共重合することに
より製造される。ここで活性水素を有する化合物として
は、活性水素を有する基が水酸基ならば1価以上のアル
コール類、カルボキシル基ならば1価以上の塩基酸類、
そしてアミノ基であれば1価以上のアミノ化合物などを
挙げることができる。なかでもアルコール類を用いたも
のは、延伸仮撚加工時におけるヒータータールの発生が
少なくなるので好ましい。 【0018】また、ポリオキシアルキレングリコール共
重合体の分子量が1000未満の場合には、熱安定性が
乏しくって高温時の平滑性が不十分となるだけでなく、
摩擦仮撚具に使用されるウレタンゴムも膨潤しやすくな
るので好ましくない。一方、分子量が20000を越え
る場合には、粘性アップにより平滑性が低下するため不
適当である。またEOの共重合比が80重量%を越えて
も、摩擦仮撚具に使用されるウレタンゴムが膨潤しやす
くなるので好ましくなく、逆にEOの共重合比が20重
量%未満の場合では、自己乳化性が低下するため、処理
剤調整時に必要な乳化剤が多くなり、仮撚加工性が低下
するので好ましくない。 【0019】かかるポリオキシアルキレングリコール共
重合体の処理剤中における含有量は、60〜99.5重
量%、好ましくは80〜99重量%である必要がある。
含有量がこの範囲未満の場合には、高温時における平滑
性が低下し、逆にこの範囲を越える場合には、制電剤等
の他の処理剤成分の含有量が不十分となるので好ましく
ない。 【0020】次に、ポリオキシアルキレングリコール共
重合体と併用するイソシアヌレート系酸化防止剤は、極
めて少量でも原糸の経時によるポリオキシアルキレング
リコール共重合体の酸化分解を抑制し、安定して延伸仮
撚加工できるようにするための成分である。該酸化防止
剤の処理剤中における含有量は0.1〜1.0重量%、
好ましくは0.2〜0.5重量%とする必要がある。こ
の含有量が0.1重量%未満の場合には、ポリオキシア
ルキレングリコール共重合体の酸化分解を抑制すること
が困難となる。一方、1.0重量%を越える場合には、
延伸仮撚加工時のヒーターやヒーターガイドにタール状
物質の堆積・固着が多くなり、毛羽や断糸の発生が増加
するので好ましくない。 【0021】なお、本発明でいうイソシアヌレート系酸
化防止剤とは、ヒンダードフェノールとイソシアヌル酸
との化合物であり、例えばトリス(3,5−ジ−ter
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
[旭電化製アデカスタブAO−20、吉富ファインケミ
カル製ヨシノックス314等]、1,3,5−トリス
(4−Ter−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメ
チルベンジル)イソシアヌレート[サンケミカル製サイ
アノックスCY−1790等]が挙げられる。これらの
酸化防止剤は、NOxに対する黄変性が極めて少なく、
しかも、少量でポリオキシアルキレングリコール共重合
体の酸化分解を抑制することが可能である。なお、かか
る酸化防止剤は単独で使用しても構わないが、本発明に
影響しない範囲であれば他の酸化防止剤と併用しても構
わない。併用し得る他の酸化防止剤としては、例えば旭
電化製マークAO−412Sのテトラチオエステル等が
挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。な
お、これらの酸化防止剤を添加する時期は任意である
が、例えばポリオキシアルキレングリコール共重合体を
重合する際の後期又は重合後の段階にくわえればよい。 【0022】以上に説明した処理剤には、上記成分の
他、本発明の目的を阻害しない範囲内で、従来使用され
ている非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、
弗素化合物等を配合してもよい。例えば非イオン系界面
活性剤としては、繊維の濡れ性向上のために用いられ、
ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリアル
キレングリコールアリールエーテル、部分エステル多価
アルコールのアルキレンオキサイド付加物等が例示さ
れ、なかでも、ポリアルキレングリコールアルキルエー
テルが好ましく用いられる。またアニオン系界面活性剤
は、主に制電性向上のために用いられ、具体的にはアル
キルスルホネート塩、アルキルホスフェート塩、ポリア
ルキレングリコールアルキルエーテルホスフェート塩、
アルキルカルボン酸塩、アルキルサルフェート塩などが
例示される。 【0023】上記処理剤をポリエステル繊維表面に付着
させる方法は特に限定されないが、通常溶融紡糸された
未延伸糸条に付与した後、所望に応じて延伸処理され
る。通常は濃度3〜20重量%の水性エマルジョンと
し、従来公知の方式、例えばオイリングローラー方式や
ノズル方式で付与される。 【0024】処理剤のポリエステル繊維への付与量(処
理剤有効成分として)は、繊維重量を基準として0.2
〜1.0重量%、好ましくは0.3〜0.5重量%の範
囲にする必要がある。該付与量が1.0重量%を越える
場合には、紡糸時の巻取り性には特に問題を生じない
が、得られた繊維を摩擦仮撚加工する際にヒータープレ
ートにタールが付着して安定に仮撚加工できなくなる。
一方、付与量が0.2重量%未満の場合には、繊維の集
束性及び潤滑性が不十分となり、紡糸時の巻取り性が低
下すると共に、仮撚加工時の加工安定性も不十分とな
る。 【0025】以上に説明した本発明の仮撚加工用ポリエ
ステル繊維は、従来公知の方法のいずれでも仮撚加工す
ることができるが、摩擦仮撚具としてウレタンもしくは
セラミックディスクまたはベルトを使用し、摩擦仮撚加
工される。仮撚加工機のヒーターは、要求される捲縮の
状態や加工速度によって、接触1段方式、接触と非接触
の2段方式、更には非接触2段方式などがあるが、いず
れをも採用できる。また、ヒーターの温度は、接触ヒー
ターの場合には150〜200℃、非接触ヒーターの場
合には150〜500℃が適当である。加工速度は加工
機の機種によって300〜1200m/分の範囲で適宜
選択される。 【0026】仮撚加工を施して得られる加工糸は、通常
製編織して織編物に加工されるが、この際必要に応じて
さらに平滑性を向上させる目的で低粘度の鉱物油やエス
テル化合物を主体とした処理剤を0.3〜3重量%追油
してもよい。 【0027】 【発明の作用・効果】本発明の延伸仮撚加工用ポリエス
テル繊維に付与されている処理剤には、イソシアヌレー
ト系酸化防止剤が配合されているので、主体成分である
ポリオキシアルキレングリコール共重合体は、長期間経
時しても酸化分解が抑制されてその分子量の低下が少な
く、毛羽や断糸の殆どない高品位の仮撚加工糸が安定し
て得られる。しかも、イソシアヌレート系酸化防止剤
は、他の酸化防止剤では抑制することが困難であったN
Oxに起因する経時黄変着色の抑制も良好である。 【0028】 【実施例】以下、本発明を実施例をあげてさらに具体的
に説明する。なお、実施例における各評価項目は以下の
方法にしたがった。 (1)複屈折率(△n) 1−ブロモナフタレンを浸透液として用い、偏光顕微鏡
にて波長530nmの単色光を用いて干渉縞を測定し、
定法にしたがって測定した。 (2)10%伸長弾性回復率 試料繊維を、チャック間距離250mmで引張試験機に
取付け、引張速度50mm/分で伸長率10%まで伸長
した後1分間放置する。次いで、引張と同じ50mm/
分の速度で元の試料長までもどし、この時応力がかかっ
ている状態でのチャックの移動距離(L’mm)を読み
取り、下記式により算出する。 弾性回復率(%)=〔L’/25〕×100 【0029】(3)OPU(油剤付着量) ポリエステル繊維サンプル約3gを、105℃×2時間
乾燥後に重量WAを測定する。次いで、アルキルベンゼ
ンスルホン酸ソーダを主成分とする洗浄用水溶液300
cc中に浸漬し、40℃にて超音波を少なくとも10分
かける。洗浄液を廃棄し、40℃の温水により30分流
水洗浄後、室温にて風乾する。その後、105℃×2時
間乾燥後に重量WBを測定し、下記式より算出する。 OPU(%)=(WA−WB)/WB×100 【0030】(4)糸・糸間の静摩擦 138dtex/36フィラメントのポリエステル繊維
Aを円筒の周りに、ラセン角±15°で約10g
(9.8cN)の巻き張力で前後に巻き付ける。この円
筒は直径が2インチ(5.1cm)で、長さが3インチ
(7.6cm)である。上述のポリエステル繊維を12
インチ(30.5cm)FBとって、この円筒の上に掛
けて、この時、FBがFAの上層部にのっており、且つそ
の巻き付け方向と平行になるようにする。0.035c
N/dtexの荷重(0.04g/de)をFBの一端
にかけ、もう一方の端には、ストレインゲージを連結さ
せる。円筒を0.0016cm/秒の周速で180度回
転させて、その時の張力を連続記録する。フィラメント
間摩擦係数(f)は、円筒上を走行するベルトの摩擦に
関する良く知られた下記式より算出される。 f=1/π×ln(T2/T1) ここで、T2はピーク張力の平均値(n=25)、T1
はFBの一端にかけられた0.035cN/dtex
(0.04g/de)の荷重により与えられる張力、l
nは自然対数記号である。なお、測定中に非可逆的な伸
長、すなわち延伸が起ったサンプルのデータは使用しな
かった。また測定雰囲気温度は25℃とした。 【0031】(5)糸・金属接触体間の動摩擦 83dtex/36フィラメントのポリエステル繊維を
サンプルとし、繊維・金属間走行摩擦測定機で、走行速
度300m/分、摩擦体として径60mmの梨地クロム
ピンを用い、接触角180度、摩擦体入側張力9.8c
N(10g:T1)で摩擦体出側の張力(T2)を測定
して、糸・糸間の静摩擦の算出に使用した式を用い、同
様にして摩擦係数をもとめた。 【0032】(6)毛羽数 25mの仮撚加工糸について、目視にて毛羽の個数を数
えて1mあたりの毛羽数を求めた。 【0033】(7)発煙 仮撚機第1ヒーター出側の発煙の発生状態を肉眼観察
し、3段階で示した。 ○;殆ど認められない、△;多少認められる、×;多く
認められる。 【0034】(8)冷却プレート上のスカム 冷却プレート上のスカムの発生状況を、3日間連続加工
した後に冷却プレート上に発生したスカム量の大小を肉
眼観察し、3段階で示した。 ○;スカムが認められない、△;スカムが多少認められ
る、×;スカムが多く認められる。 【0035】(9)NOx黄変性 仮撚加工糸を筒編みに製編し、これをデシケーター内に
吊るした後、デシケーター内にNOxガスを充填し、室
温で1週間放置後、筒編みを取り出して着色の状態を肉
眼観察し、3段階で示した。 ○;着色(黄変)が認められない、△;着色が多少認め
られる、×;着色が多く認められる。 【0036】(10)付着処理剤の分子量分析 138dtex/36フィラメントのポリエステル未延
伸糸を冷延伸後、10gをサンプルとし、n−ヘキサン
/エタノール=1/1の溶剤にて付着処理剤を抽出し、
GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ−)
にて該抽出処理剤の分子量分布を求めた。 【0037】[実施例1]固有粘度が1.03のポリトリ
メチレンテレフタレートを、孔径0.3mmの吐出孔を
36ホール有する紡糸口金から溶融吐出し、該吐出糸条
を冷却固化後3300m/分の速度で引取るに際し、該
冷却固化糸条に表1記載の処理剤を水系エマルジョン
(エマルジョン濃度10重量%)を純分付着量が0.3
5重量%となるように付着させ巻き取った。得られた1
38dtex/36フィラメントのポリエステル繊維は
複屈折率が0.035、伸度が145%、弾性回復率が
55%であった。この繊維を直径45mmの円板を備え
たウレタン製の外接式摩擦仮撚装置を用いて延伸倍率
1.65、ヒーター温度180℃、摩擦円板回転数62
50rpm、加工速度800m/分で延伸しながら仮撚
加工を行った。その結果を表1に示す。また、仮撚加工
前の繊維を35℃の室内に2カ月保管した後、付着処理
剤の分子量分布をGPCで測定した。その結果を併せて
表1に示す。 【0038】 【表1】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 全繰返し単位の80モル%以上がトリメ
    チレンテレフタレートであるポリエステルからなり、複
    屈折率が0.03〜0.08、伸度が30〜180%、
    10%伸長弾性回復率が30〜100%であるポリエス
    テル繊維であって、該繊維表面には下記成分(A)およ
    び(B)を含有する処理剤が、繊維重量を基準として
    0.2〜1.0重量%付着していることを特徴とする経
    時安定性に優れた仮撚加工用ポリエステル繊維。 (A)プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサ
    イド(EO)との共重合体であって、平均分子量が10
    00〜20000、PO/EO共重合重量比が20/8
    0〜80/20であるポリオキシアルキレングリコール
    共重合体:60〜99.5重量% (B)イソシアヌレート系酸化防止剤:0.1〜1.0
    重量%
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