JP2007051394A - ポリエステル仮撚加工糸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高ドレープ性、ドライタッチを呈するポリエステル仮撚加工糸を毛羽、断糸の発生がなく、しかも、高速で安定して得られる製造方法を提供すること。
【解決手段】二酸化チタンを重量基準で、1.0〜3.5重量%含有するポリエステル未延伸糸を延伸同時仮撚加工して、単糸繊度が1.0dtex以下のポリエステル仮撚加工糸を得るに際し、下記(1)〜(4)を満足するポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
(1)仮撚具が3軸フリクションデイスクタイプで解撚部に位置する最下段のディスク材質がセラミックスで、かつ、走行糸条とディスクとの接触長を2.5〜0.5mmとし、かつ、直上のディスク径よりも90〜98%の径とする。
(2)仮撚温度:Tg+100℃〜Tg+200℃(ここで、Tgは上記ポリエステルのガラス転移点を示す。)
(3)加工倍率:1.4〜1.7
(4)仮撚直前に60個/m以上の空気交絡処理を施す。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル仮撚加工糸の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、特に、加工毛羽、の発生がなく、高ドレープ性、ドライタッチを呈するポリエステル仮撚加工糸を高速で安定して得られる製造方法に関するものである。
仮撚加工により得られるポリエステル加工糸は、嵩高性に富み、強伸度特性も良好なので、そのイージーケア性やドライ感などから衣料用途に好んで用いられてきた。
従来、差別化素材としての高ドレープ性、ドライタッチを呈するポリエステル仮撚加工糸は、種々の方法で製造されている〔例えば、特許文献1(特開平3−161533号公報)参照〕。
一方、近年、生産性の一層の向上を図ることを目的として、ポリエステル仮撚加工糸を高速で安定して生産できる方法が提案されている〔特許文献2(特許第3098340号公報参照)〕。
しかし、最近になって、二酸化チタンを多く含むポリエステル仮撚加工糸を得ようとすると、摩擦係数が高くなり、紡糸捲取り時、端面の耳部の部分が筋斑(染斑不良)となり、しかも加工毛羽が多発する傾向が出易いことが判明した。従って、従来のポリエステル加工糸の製造方法では、高速でしかも、毛羽を抑制しつつ、高ドレープ性、ドライタッチを呈するポリエステル仮撚加工糸を得ることが困難であった。
特開平03−161533号公報 特許第3098340号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は高ドレープ性、ドライタッチを呈するポリエステル仮撚加工糸を毛羽、断糸の発生がなく、しかも、高速で安定して得られる製造方法を提供することにある。
本発明は、二酸化チタンを重量基準で1.0〜3.5重量%含有するポリエステル未延伸糸を延伸同時仮撚加工して、単糸繊度が1.0dtex以下のポリエステル仮撚加工糸を得るに際し、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするポリエステル仮撚加工糸の製造方法に関する。
(1)仮撚具が3軸フリクションデイスクタイプで、解撚部に位置する最下段のディスク材質がセラミックスであり、かつ、走行糸条と該ディスクとの接触長を2.5〜0.5mmとし、かつ、該ディスクの径を直上のディスク径の90〜98%の径とする。
(2)仮撚温度:Tg+100℃〜Tg+200℃(ここで、Tgは上記ポリエステルのガラス転移点を示す。)
(3)加工倍率:1.4〜1.7
(4)仮撚直前に60個/m以上の空気交絡処理を施す。
本発明では、上記ポリエステル未延伸糸が、複屈折率が0.02〜0.06の範囲である高配向ポリエステル未延伸マルチフィラメントからなり、これに60個/m以上の空気交絡処理を仮撚直前に付与することが好ましい。
また、上記ポリエステル未延伸糸は、その繊維表面に、下記のポリオキシアルキレングリコール共重合体含有量が2〜20重量%である処理剤が、繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%付着していることが好ましい。
ポリオキシアルキレングリコール共重合体:プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)との共重合体で、その平均分子量が7,000〜20,000、PO/EO共重合重量比が20/80〜80/20
本発明によれば、高ドレープ性、ドライタッチを呈する風合を呈するポリエステル仮撚加工糸を高速で長期間安定して、安価に得ることができる製造方法であり、工業的に有意義なものである。
本発明で使用するポリエステルは、全繰り返し単位の85モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレートからなるポリエステルである。テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の成分を少量(通常は、テレフタル酸成分に対して15モル%以下)共重合したものであってもよい。本発明に用いるポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定)は、通常、衣料用布帛素材として使用されるポリエステルと同じ範疇の固有粘度0.7dL/g以下が好ましい。
また、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤を含んでもよい。
本発明に用いられるポリエステル未延伸糸は、二酸化チタンを1.0〜3.5重量%含有するポリエステルから構成されることが肝要である。ポリエステル仮撚加工糸に含まれる二酸化チタン量が1.0重量%未満の場合は、ドレープ性、ドライタッチを充分に発現することができない。一方、二酸化チタン量が多すぎて、3.5重量%を超える場合は、二酸化チタン粒子の凝集が起こり、フィルターの目詰まりが生じ、操業性が低下し、また、仮撚加工糸の物性が低下する。
また、本発明におけるポリエステル未延伸糸は、通常、複屈折率が0.02以上、好ましくは0.02〜0.06である。複屈折率が0.02未満の場合、加工中の糸切れを防止し、捲縮へたりを防ぐために、延伸倍率を高くしなくてはならず、その結果、ポリエステル仮撚加工糸としての十分な強度を得ることが難しく、また、加工毛羽が発生しやすく、加工性(断糸)が不安定で風合いも損なわれる。さらには、未延伸糸の内部構造が不安定であるため、経時による、染色性、物性面で問題がある。
本発明のポリエステル仮撚加工糸は、以下の方法で製造することができる。
二酸化チタンを1.0〜3.5重量%含有するポリエステルを常法で乾燥する。
次いで、二酸化チタンを1.0〜3.5重量%含有する上記ポリエステルからなるポリマー流を通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤を付与し、2,500〜4,000m/min、より好ましくは3,000〜3,500m/minの紡糸速度で同時にポリエステル未延伸糸として引き取る。
ここで、紡糸速度が2,500m/min未満で得られたポリエステル未延伸糸は、延伸仮撚工程で走行中にヒーターへの熱融着が起こったり、仮撚ディスクあるいは冷却プレートからの糸外れが起こりやすくなるので好ましくない。一方、紡糸速度が4,000m/minを超える条件では、紡糸工程での断糸が頻発するようになるので好ましくない。
なお、ポリエステル未延伸糸は、複屈折率が0.02〜0.06の範囲であることが、好ましい。複屈折率が0.02未満では、仮撚時の加工張力が低く糸揺れが発生し易く、熱セット斑による、染斑不良となり、好ましくない。一方、高配向ポリエステル未延伸の複屈折率が0.06を超える場合は、加工糸のセクション扁平が大きくなり、加工毛羽が、著しく発生し、工程不調となるので、好ましくない。
次に、得られたポリエステル未延伸糸を、2段式ヒーターを備えた延伸仮撚機に掛けて微細で強固な捲縮を有するポリエステル仮撚加工糸とする。
図1は、本発明で使用できる延伸仮撚工程の1実施態様を示す模式図である。上記ポリエステル未延伸糸(1)は、糸ガイド(2)を経て、2対のフィードローラー(3、3’)の間に設置されたインターレースノズル(4)により空気交絡され、延伸仮撚域に供給される。次いで、フィードローラー(3’)と第1デリベリーローラー(8)との間で延伸されながら、回転している仮撚ディスク(7)との摩擦により加撚される。引き続き、第1ヒーター(5)で熱処理され、冷却プレート(6)で冷却され、仮撚ディスク(7)を通過し解撚される。さらに、走行糸条は、第1デリベリーローラー(8)と第2デリベリーローラー(10)との間に設置された第2ヒーター(9)で再熱処理され、巻取ローラー(11)でパッケージ(12)として巻き取られ、ポリエステル仮撚加工糸が製造される。
ここで、高速での延伸仮撚加工を考慮し、第1ヒーター(5)および第2ヒーター(9)は非接触式とするのが好ましい。
本発明においては、下記(1)〜(4)、好ましくは下記(1)〜(5)を同時に満足する条件で延伸仮撚を実施することが肝要である。
(1)仮撚具が3軸フリクションデイスクタイプで、解撚部に位置する最下段のディスク材質がセラミックスであり、かつ、走行糸条と該ディスクとの接触長を2.5〜0.5mmとし、かつ、該ディスクの径を直上のディスク径の90〜98%の径とする。 (2)仮撚温度:Tg+100℃〜Tg+200℃(ここで、Tgは上記ポリエステルのガラス転移点を示す。)
(3)加工倍率:1.4〜1.7
(4)仮撚直前に60個/m以上の空気交絡処理を施す。
(5)仮撚数を(15,000〜35,000)/(仮撚糸繊度(dtex))1/2回/mとする。
図2に、好ましく使用される三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具の一例を示すが、ガイドディスクの数や配置などは、該図に示されたものに限定されるものではない。
ここで、図2において、13は撚掛ディスク、14はガイドディスク、15は駆動軸、16はタイミングベルト、17は駆動ベルトである。
本発明においては、図2に示すように、仮撚具が3軸フリクションデイスクタイプで、解撚部に位置する最下段のディスク材質がセラミックスであり、かつ、走行糸条と該ディスクとの接触長を2.5〜0.5mmとし、かつ、該ディスクの径を直上のディスク径の90〜98%の径とすることが肝要である。
また、本発明で使用する最下段のディスクの模式図を図3に示し、従来ディスクの模式図を図4に示す。
本発明では、最下段のディスク材質を摩耗の点から、セラミックスとする。また、走行糸条とディスクとの接触長を2.5〜0.5mmとする。これにより、加撚が終了して、捲縮状態の糸条が最後の解撚部に入り、接触面積を極力少なく、抵抗を少なくすることができ、毛羽を著しく減少することができる。同様に、最下段のディスク径は、直上のディスク径の90〜98%の径とすることが、糸導をスムースに次のステップに移動する際の、抵抗値が少なくなり、仮撚の適正ゾーンとすることができる。
これにより、著しく、加工毛羽の低減が可能であり、この範囲を外れると、加工毛羽が発生して、市場での、製織性、解舒性、織物製品での品質に悪影響を及ぼす要因となる。
特に、走行糸条とディスクとの接触長を2.5〜0.5mmとすることが、本発明の仮撚加工においては、得られる仮撚加工糸の加工毛羽を著しく減少させることができる。
次に、仮撚温度は、用いられるポリエステルのガラス転移点をTgとすると、Tg+100℃〜Tg+200℃(好ましくは、170〜300℃)とすることが必要である。
仮撚温度が、Tg+100℃(約170℃)未満では、捲縮性能が低く、風合いが硬く、一方、Tg+200℃(約300℃)を超える場合は、極端に、加工糸の扁平が進み、加工毛羽が発生するようになるので、好ましくない。
さらに、加工倍率についても同様に、1.4〜1.7が最適ゾーンであり、この領域をはずれると、低倍率ゾーンでは、サージング、発生、糸揺れによる熱セット斑、高倍率ゾーンでは、加工糸の扁平が進み、加工毛羽が発生するようになるので、好ましくない。
なお、第1段目非接触式のヒーターの温度は、170〜300℃として熱処理するのが好ましい。なお、ここでいう適正ヒーター温度は、現在市販されている仮撚機(帝人製機製216錘建HTS−15V)によるもので、非接触式の1.0〜1.5m長のもの、糸速として800m/min〜などの仕様によるものを想定しており、従って、特殊なヒーターを用いたり、超高速度で加工する場合などはこの限りでないことはもちろんのことである。
次に、延伸仮撚加工する前のポリエステル未延伸糸には、空気交絡処理が施されていることが必要である。かかる交絡処理は、延伸仮撚加工と別の工程で行ってもよいが、図1に示すように、延伸仮撚加工装置にインターレースノズルを設置して延伸仮撚加工直前に施すのが好ましい。かくすることにより、加工時の取扱い性が向上すると共に得られる加工糸の風合が向上する。さらには、仮撚加工後に再度、空気交絡処理を施せば、混繊交絡の均一化が向上し、高級感ある風合が発現するので好ましい。なお、空気交絡の度合いは、少なすぎると延伸仮撚加工中に単糸群が分離して織編物にした際の織物表面が不均一なものとなりやすいので、ポリエステル未延伸糸に対する交絡度は60個/m以上であり、仮撚加工糸で測定した交絡度が20個/m以上、特に30個/m以上とするのが好ましい。一方、交絡度が大きくなりすぎると、単糸どうしの絡み合いが強くなりすぎ、織編物にした際の風合が粗硬なものとなりやすいので、80個/m以下とするのが好ましい。
次に、仮撚数を、好ましくは(15,000〜35,000)/(仮撚糸繊度(dtex))1/2回/m、より好ましくは(20,000〜30,000)/(仮撚糸繊度(dtex))1/2回/m、の範囲に設定する。仮撚数が15,000/(仮撚糸繊度(dtex))1/2回/m未満の場合には、微細で強固な捲縮を付与するのが難しくなる。一方、仮撚数が35,000/(仮撚糸繊度(dtex))1/2回/mを超える場合は、断糸および毛羽の発生が多くなる。
なお、仮撚ディスクは、直径が好ましくは50〜70mm、より好ましくは直径58〜62mmの仮撚ディスクを使用して加撚・解撚を行う。上記仮撚ディスクは、例えば図2に示すように2枚を3軸に配置した仮撚ユニットとして組み立てて使用する。仮撚ディスク直径が50mm未満では、ポリエステルからなる糸条群への仮撚ディスクによる摩擦損傷が急激に増加し、断糸および毛羽の発生が多くなる。一方、仮撚ディスク直径が70mmを超える場合は、仮撚ディスクによる撚掛け力が低下し、微細で強固な捲縮が得られない場合が多く好ましくない。また、加撚張力が上昇し毛羽の発生が多くなる。さらに、走行糸条を仮撚ディスクに導く作業(スレッディング)が極めてむずかしくなる。
また、上記ポリエステル未延伸糸には、下記のポリオキシアルキレングリコール共重合体含有量が2〜20重量%である処理剤が、繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%付着していることが好ましい。
ポリオキシアルキレングリコール共重合体:プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)との共重合体で、その平均分子量が7,000〜20,000、PO/EO共重合重量比が20/80〜80/20
このようなポリオキシアルキレングリコール共重合体を含有させた処理剤は、糸・糸間の静摩擦を下げるとともに、油膜強度も向上するために糸表面を極圧下での保護機能も増大するため、糸どうしの摩擦によるくびれ部を有する横断面形状の潰れを防止することができ、さらには毛羽発生を抑制しながら延伸仮撚加工速度を増大させることができる。なお、上記共重合体の平均分子量はあまりに小さいと油膜強化機能が低下し、一方、あまりに大きいと粘性アップにより平滑性が低下するので7,000〜20,000の範囲が適当であり、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合重量比は、前者の割合が多すぎると粘性がアップし、逆に少なすぎると油膜強化機能が低下するのでEO/POは20/80〜80/20の範囲が適当である。また、上記共重合体の処理剤中の含有量は、少なすぎると仮撚加工時の断面形状のつぶれ抑制や毛羽発生抑制の効果が低下し、一方、多すぎると粘性アップにより平滑性が低下するので2〜20重量%の範囲が適当である。
上記で用いられるポリオキシアルキレングリコール共重合体は、ランダム型共重合体であっても、ブロック型であってもよい。さらには、これらのポリオキシアルキレングリコール共重合体の片末端または両末端はアルキル基などでエーテル、エステル、チオエーテル、アミノエーテルなどの結合を介して封鎖されていてもよい。
このようなポリオキシアルキレングリコール共重合体は、従来公知の方法でプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとを共重合することにより得られるが、通常はアルキレンオキサイドと反応できるような活性水素を少なくとも1ケもつ化合物を用い、これにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとを共重合することにより製造される。ここで活性水素を有する化合物としては、活性水素を有する基が水酸基ならば1価以上のアルコール類、カルボキシル基ならば1価以上の塩基酸類、そしてアミノ基であれば1価以上のアミノ化合物などを挙げることができる。なかでもアルコール類を用いたものは加熱残査が少なくなるので好ましい。
なお、上記処理剤には、通常の油剤中に含まれている平滑剤、乳化剤、制電剤などが含まれていることが好ましく、特に平滑剤として平均分子量が5,000未満のポリエーテル系平滑剤が含まれていることが好ましい。かかる処理剤は、ポリエステルを2,500〜4,000m/分で溶融紡糸して未延伸繊維を得る際に紡糸油剤として付与すると、該未延伸繊維を巻き取る際の綾落ちなどを抑制することができる。
処理剤の付着量は、あまりに少なすぎると仮撚加工時の毛羽発生や断面形状のつぶれを抑制することが難しくなり、逆に多すぎるとヒータースカムが発生しやすくなるので繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%の範囲が適当である。
このようにして得られる本発明のポリエステル仮撚加工糸の単糸繊度は、1.0dtex以下、好ましくは0.1〜0.8dtexである。1.0dtexを超えると、ドレープ性、ドライタッチを充分に発現することができない場合がある。
なお、本発明のポリエステル仮撚加工糸の総繊度は、通常、30〜225dtex、好ましくは50〜150dtex、フィラメント数は、通常、48〜225本、好ましくは72〜150本である。
このようにして得られた本発明のポリエステル仮撚加工糸は、無撚または追撚してそのまま、製織または製編したのち、染色され、織編物となる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
o-クロロフェノールに溶解し、ウベローデ粘度管を用い、35℃で測定した。
複屈折率(Δn)
オリンパス光学(株)製、オリンパスBH−2 偏光顕微鏡を使用し、コンペンセーター法により単糸のレターデーションと糸径を測定し、複屈折率を求めた。
(2)紡糸断糸
複合紡糸設備で1週間溶融紡糸を行い断糸した回数を記録し、1日1錘当りの紡糸断糸回数を紡糸断糸とした。ただし、人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
(3)処理剤付着量(OPU)
ポリエステル未延伸糸 約3gを、105℃×2時間乾燥後に重量Wを測定する。次いで、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダを主成分とする洗浄用水溶液300cc中に浸漬し、40℃にて超音波を少なくとも10分かける。洗浄液を廃棄し、40℃の温水により30分流水洗浄後、室温にて風乾する。その後、105℃×2時間乾燥後に重量Wを測定し、下記式より算出した。
OPU(%)=(W−W)/W×100
(4)走行角度
摩擦仮撚具上を走行している糸条を写真撮影し、各摩擦円盤上の糸条の走行角度θを写真の上で実測して、それらの測定値の平均値をもって走行角度とした。
(5)交絡度
約1.2mのポリエステル仮撚加工糸の糸端にデシテックス当たり0.2gの荷重をかけて、つい立上部に取り付けられた固定点から垂直にたらす。次に、デシテックス当たり0.1gの荷重に相当する重量の釣り針型のフックを用い、上部固定点より、該釣り針型フックを挿入し、フックが自然落下し止まるのを待って取り外す。次いで、停止点から2mm下の位置にフックを再び挿入する。この繰り返しを糸長1mにわたって行い、その間でフックの止まった回数を交絡度(個/m)とした。
(6)延伸仮撚断糸
帝人製機製216錘建HTS−15Vにて、延伸仮撚加工を1週間連続実施し、延伸仮撚機1台・1日当たりの断糸回数を延伸仮撚断糸とした。ただし、糸繋ぎ前後による断糸(ノット断糸)あるいは自動切替え時の断糸などの人為的あるいは機械的要因による断糸は断糸回数から除外した。
(7)捲縮率
ポリエステル仮撚加工糸サンプルに0.044cN/(仮撚糸繊度(dtex))の張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作成した。該カセの一端に、0.00177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの2個の荷重を負荷し、1分間経過後の長さS0(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後0.00177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥し、再び0.00177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さを測定しS1(cm)とした。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さを測定しS2とし、次の算式で捲縮率を算出し、10回の測定値の平均値で表した。
捲縮率(%)=[(S1−S2)/S0]×100
(8)仮撚加工糸の強度、伸度
JIS L―1013に準じて測定した。
(9)毛羽個数
東レ(株)製DT−104型毛羽カウンター装置を用いて、ポリエステル仮撚加工糸サンプルを500m/minの速度で20分間連続測定して発生毛羽数を計測し、サンプル長1万m当たりの個数で表した。
(10)編地風合い(ソフト感)
得られた仮撚加工糸を筒編地に編み立て、常法により染色、熱セットした後の編地の風合いを下記の基準で判定した。
1級:ソフトでしなやかな感触がある。
2級:ややソフト感が乏しいが反撥性は感じられる。
3級:カサカサした触感あるいは硬い触感である。
(ドライ感)
1級:極めてドライタッチな感触がある。
2級:ややドライ感が乏しいが反撥性は感じられる。
3級:ドライ触感がなくぬめり感の触感である。
(11)嵩高性
複合仮撚加工糸を綛(周長1.25m)に320回転とり、2つ折りにしたサンプルの一端に5.88cN(6.0g)の荷重を吊るし、乾熱180℃下で5分間熱処理し、冷却後一定の重量(Wg)の体積(Vcm3)を6.4gの荷重下で測定し以下の式で算出した。
嵩高性(cm/g)=V/W
(12)沸水収縮率(BWS)
JIS L―1013に準じて測定した。
実施例1
固有粘度が0.64で酸化チタンを3.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートチップを常法で乾燥した。このチップを用い、孔径0.15mm、ランド長0.8mmの吐出孔を72個穿設した紡糸口金より42g/minの流量で吐出した。
引き続き、吐出された2群のポリマー流を、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、下記の紡糸油剤Aを、繊維重量を基準にして0.4重量%付与しつつ一つの糸条として集束し、3,200m/minの速度で引き取り90dtex/72フィラメントのポリエステル未延伸糸(複屈折率Δn=0.04)を得た。
(紡糸油剤Aの組成)
重量平均分子量が2,000でEO/PO共重合重量比が50/50のポリオキシアルキレングリコール:70重量%
重量平均分子量が5,000でEO/PO共重合重量比が50/50のポリオキシアルキレングリコール:23重量%
重量平均分子量が10,000でEO/PO共重合重量比が50/50のポリオキシアルキレングリコール:5重量%
ラウリルスルホネートナトリウム塩:2重量%
上記ポリエステル未延伸糸を、帝人製機製216錘建HTS−15Vに掛け、孔径1.8mmの圧空吹き出し孔を有するインターレースノズルを通過させつつ60nL/minの流量で交絡度61個/mの空気交絡を施し、延伸倍率1.60、第1ヒーター温度前半30cm部500℃、第1ヒーター温度後半70cm部250℃で、直径58mm、厚み6mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとし、最下段のディスクを直径55mm、厚み6mmのセラミックス製ディスクとして、走行角43度で仮撚数×仮撚糸繊度(dtex)1/2が26,000近傍となるように延伸仮撚を行い、速度800m/minでチーズ形状に巻き取り、58dtex/72フィラメント、捲縮率12%のポリエステル仮撚加工糸を得た。このポリエステル仮撚加工糸の単糸繊度は0.6dtexであった
実施例2〜3、比較例1〜2
二酸化チタンの含有量や、ディスク接触長を表1のとおりに変更する以外は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
Figure 2007051394
*)ディスク径、St対比%:Stはスタンダード(標準)の略で、ここでは標準品、すなわち従来品の径が58mmであり、それに対するセラミックスディスクの径の比を示す。
実施例4〜5、比較例3〜5
ディスク接触長さとディスク径St対比%を変化させる以外は、実施例1と同様にして実施した。結果を表2に示す。
Figure 2007051394
実施例6〜9、比較例6〜9
仮撚条件を変化させる以外は、実施例1と同様にして実施した。結果を表3に示す。
Figure 2007051394
本発明によれば、高ドレープ性、ドライタッチを呈する風合を呈するポリエステル仮撚加工糸を高速で長期間安定して、安価で、得ることができ、得られる仮撚加工糸は、各種衣料用途などに有用である。
本発明の仮撚加工糸を製造する装置の概略図である。 仮撚ディスクの模式図である。 本発明の最下段のディスク形状の模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 従来の最下段のディスク形状の模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
符号の説明
1 ポリエステル高配向未延伸糸
2 ガイド
3 フィードローラー
4 インターレースノズル
5 熱セットヒーター(仮撚温度)
6 冷却プレート
7 撚掛装置(仮撚ディスク)
8 第1デリベリーローラー
9 再熱処理ヒーター(再熱処理温度)
10 第2デリベリーローラー
11 巻取ローラー
12 パッケージ

Claims (3)

  1. 二酸化チタンを重量基準で、1.0〜3.5重量%含有するポリエステル未延伸糸を延伸同時仮撚加工して、単糸繊度が1.0dtex以下のポリエステル仮撚加工糸を得るに際し、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
    (1)仮撚具が3軸フリクションデイスクタイプで、解撚部に位置する最下段のディスク材質がセラミックスであり、かつ、走行糸条と該ディスクとの接触長を2.5〜0.5mmとし、かつ、該ディスクの径を直上のディスク径の90〜98%の径とする。
    (2)仮撚温度:Tg+100℃〜Tg+200℃(ここで、Tgは上記ポリエステルのガラス転移点を示す。)
    (3)加工倍率:1.4〜1.7
    (4)仮撚直前に60個/m以上の空気交絡処理を施す。
  2. ポリエステル未延伸糸が、複屈折率が0.02〜0.06の範囲である高配向ポリエステル未延伸マルチフィラメントからなり、これに60個/m以上の空気交絡処理を仮撚直前に付与する請求項1記載のポリエステル仮撚加工糸の製造方法
  3. ポリエステル未延伸糸が、その繊維表面に、下記のポリオキシアルキレングリコール共重合体含有量が2〜20重量%である処理剤が、繊維重量を基準として0.2〜1.0重量%付着している請求項1または2記載のポリエステル仮撚加工糸の製造方法。
    ポリオキシアルキレングリコール共重合体:プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)との共重合体で、その平均分子量が7,000〜20,000、PO/EO共重合重量比が20/80〜80/20
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108441999A (zh) * 2018-04-27 2018-08-24 长乐恒申合纤科技有限公司 一种纺制石墨烯弹力丝的加弹机及整机升头方法

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