JP2003013918A - 二分割長尺材の接合構造 - Google Patents

二分割長尺材の接合構造

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JP2003013918A JP2001200916A JP2001200916A JP2003013918A JP 2003013918 A JP2003013918 A JP 2003013918A JP 2001200916 A JP2001200916 A JP 2001200916A JP 2001200916 A JP2001200916 A JP 2001200916A JP 2003013918 A JP2003013918 A JP 2003013918A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二分割した樹脂製長尺材の寸法管理を容易に
すること。二分割した長尺材の端部同士を、接合部品を
増すことなく容易に接合すること。 【解決手段】 二分割した樹脂製長尺材20L,20R
の端部同士を対向させるとともに、これらの端部同士を
係合手段にて接合する二分割長尺材の接合構造である。
係合手段30は、二分割した長尺材のうち一方の長尺材
20Rに形成した係合爪部31と、この係合爪部を掛け
止めるべく他方の長尺材20Lに形成した被係合部41
とからなる。これらの係合爪部並びに被係合部によっ
て、二分割した長尺材の端部同士を互いに離反する方向
への変位を阻止でき、且つ、互いに接近する方向への変
位を許容できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二分割した樹脂製
長尺材の端部同士を係合手段にて接合する二分割長尺材
の接合構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂製品からなる長尺材は、例えば車両
用フロントスポイラ等の車両用部材として用いる比較的
長い材料である。フロントスポイラは、車幅方向に延ば
して車両の前下部に備える部材として知られている。以
下、従来の車両用フロントスポイラを図9に基づき説明
する。
【0003】図9は従来の車両用フロントスポイラの説
明図(その1)であり、車両100の前部下部に備えた
フロントバンパフェイス101にフロントスポイラ10
2を多数のビス103にて取付けるようにしたことを示
す。フロントスポイラ102は樹脂製長尺材からなる。
このような長尺材を成形するには、大型の成形用金型が
必要であり、金型代が増す。金型代を下げるには、長尺
材を長手方向に二分割することで、成形用金型を小型に
することが考えられる。二分割したフロントスポイラを
図10に示す。
【0004】図10(a),(b)は従来の車両用フロ
ントスポイラの説明図(その2)である。(a)は、車
両110の前部下部に備えたフロントバンパフェイス1
11に、長手方向に二分割したフロントスポイラ112
を多数のビス113にて取付けるようにしたことを示
す。フロントスポイラ112は、スポイラ左半体114
Lとスポイラ右半体114Rとに二分割した樹脂製長尺
材である。(b)に示すように、スポイラ左半体114
Lの端面115Lにスポイラ右半体114Rの端面11
5Rをボルト116にて接合することで、一体化するこ
とができる。左右一体化されたフロントスポイラ112
をフロントバンパフェイス111にビス止めする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
10に示す従来のフロントスポイラ112は、スポイラ
左半体114Lとスポイラ右半体114Rとを別々の金
型で成形するものであるから、それぞれ固有の寸法精度
を有する。フロントスポイラ112の全体としての寸法
誤差が大き過ぎると、フロントバンパフェイス111に
対するビス止めの位置がずれてしまい、ビス止めできな
い。このため、スポイラ左半体114L並びにスポイラ
右半体114Rの寸法管理が面倒であり、管理工数が増
す。しかも、端面115L,115R同士をボルト11
6にて接合するので、接合部品が多くなるとともに、接
合工数が増加する。
【0006】そこで本発明の目的は、二分割した樹脂製
長尺材の寸法管理を容易にすることができる技術を提供
することにある。さらに本発明の目的は、二分割した長
尺材の端部同士を、接合部品を増すことなく容易に接合
することができる技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1は、二分割した樹脂製長尺材の端部同士を対
向させるとともに、これらの端部同士を係合手段にて接
合する二分割長尺材の接合構造であって、係合手段を、
二分割した長尺材のうち一方の長尺材に形成した係合爪
部と、この係合爪部を掛け止めるべく他方の長尺材に形
成した被係合部とで構成し、これらの係合爪部並びに被
係合部によって、二分割した長尺材の端部同士を互いに
離反する方向への変位を阻止でき、且つ、互いに接近す
る方向への変位を許容できるように構成したことを特徴
とする。
【0008】二分割された樹脂製長尺材同士を係合手段
で接合した後に、長尺材の長手方向へ一定の範囲内で長
尺材同士を相対的に変位させることができる。従って、
この変位可能な範囲内の寸法誤差であれば、長尺材同士
を相対的に変位させることで、誤差を吸収することがで
きる。このため、二分割した樹脂製長尺材の寸法管理を
容易にすることができる。例えば、二分割された長尺材
同士を係合手段で接合した後に、他の部材に組付ける場
合であっても、ビス止め位置等の位置合せが容易であ
る。さらには、係合手段を、係合爪部と被係合部との組
合せ構造としたので、ボルト接合の場合のように別部材
を必要としない。接合部品数を増すことなく容易に接合
することができるので、接合作業性を高めることができ
る。
【0009】請求項2は、二分割した長尺材のうち一方
の長尺材の端面に突起部を一体に形成することで、二分
割した長尺材の端面同士を突起部を介して対向させるよ
うに構成したことを特徴とする。長尺材のうち、比較的
広い端面の寸法管理をする場合に比べて、小型の突起部
の突出寸法を管理する方が容易である。従って、突起部
の突出寸法を管理することで、二分割した長尺材の長さ
を、より一層容易に管理することができる。このため、
設計の自由度が高まる。
【0010】請求項3は、被係合部が、他方の長尺材の
側板の一部を表裏方向に折返すことで、その折返し板と
側板との間に長尺材の長手方向に貫通した係合溝であ
り、係合爪部が、係合溝に嵌合することで二分割した長
尺材同士の位置決めをなすとともに、係合溝の縁に掛け
止める部材であることを特徴とする。簡単な構成によっ
て、二分割した長尺材同士の位置決めを容易に行うこと
ができる。
【0011】請求項4は、係合手段から離れた位置に、
二分割した長尺材同士の位置決めをする位置決め手段を
設けたことを特徴とする。2箇所で位置決めをすること
ができるので、より確実に且つ容易に位置決めをするこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に
基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、
「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向
に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側
を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0013】本発明に係る二分割した樹脂製長尺材を、
車両用フロントスポイラに適用した例について説明す
る。図1は本発明に係る車両前部の斜視図であり、車両
10の前部下部にフロントバンパフェイス11を備え、
このフロントバンパフェイス11の下端にフロントスポ
イラ12を多数のビス13・・・(・・・は複数を示す。以下
同じ。)で取付けるようにしたことを示す。
【0014】フロントバンパフェイス11は、車幅方向
に延びるバンパビーム(図示せず)の前部を覆う樹脂製
カバーであり、ラジエータ冷却用グリル14を備える。
フロントスポイラ12は、走行風を通過させることによ
って、車両10を下方へ押え付けるための下向き力を発
生させて、揚力を軽減する部材である。このようなフロ
ントスポイラ12はスポイラ長手方向、すなわち車幅方
向にスポイラ左半体20Lとスポイラ右半体20Rとに
二分割した樹脂製長尺材であり、例えばポリプロピレン
樹脂からなる。フロントバンパフェイス11の分割位置
は、車幅中央位置であることが好ましい。スポイラ左半
体20Lの成形用金型とスポイラ右半体20Rの成形用
金型とを、同じ大きさにできるからである。
【0015】このようなフロントスポイラ12は、二分
割した長尺材に相当する。スポイラ右半体20Rは、二
分割した長尺材のうちの一方の長尺材に相当する。スポ
イラ左半体20Lは、二分割した長尺材のうちの他方の
長尺材に相当する。図中、15はフード、16,16は
ヘッドランプ、17,17はウインカである。
【0016】図2は本発明に係るフロントバンパフェイ
スにスポイラ左半体を取付けた状態の縦断面図であり、
スポイラ左半体20Lが、ほぼ垂直な側板21と、側板
21の上端から後方へ水平に延びた上部フランジ22
と、側板21の下端から後方へ水平に延びた短い下部フ
ランジ23とからなる、略コ字状断面体であることを示
す。側板21は、上半部に対して下半部が前方へ湾曲し
つつ若干突出した断面形状を呈する。
【0017】想像線にて示すフロントバンパフェイス1
1の下端にクリップ24を差込み、フロントバンパフェ
イス11の下端面にスポイラ左半体20Lの上部フラン
ジ22を当て、クリップ24にビス13をねじ込むこと
で、フロントバンパフェイス11の下端にスポイラ左半
体20Lをビス止めすることができる。上記図1に示す
スポイラ右半体20Rについても、同様の断面構成並び
に止め構成であり、同一符号を付してその説明を省略す
る。
【0018】図3は本発明に係るフロントスポイラの中
央部を背面から見た分解図であり、スポイラ右半体20
Rにおける接合側の端面25Rに突起部26を一体に形
成することで、スポイラ左半体20Lの端面25Lとス
ポイラ右半体20Rの端面25Rとを、突起部26を介
して対向させるようにしたことを示す。突起部26は、
端面25Rの大きさに比べて十分に小さい角形突起であ
る。突起部26を設ける位置は、端面25Rのうち、端
面25L,25R同士の位置合せが容易な部分であれば
よい。
【0019】フロントスポイラ12は、スポイラ左半体
20Lの端部とスポイラ右半体20Rの端部とを係合手
段30にて取外し可能に接合するようにした構成であ
る。係合手段30は、スポイラ右半体20Rに形成した
係合爪部31と、この係合爪部31を掛け止めるべくス
ポイラ左半体20Lに形成した被係合部41とからな
る。この係合手段30は、スポイラ左半体20L並びに
スポイラ右半体20Rの端部同士を互いに離反する方向
への変位を阻止でき、且つ、互いに接近する方向への変
位を許容できるようにしたことを特徴とする。
【0020】被係合部41は、スポイラ左半体20Lの
側板21の一部を表裏方向、例えば裏側に折返すことで
設けた折返し板42と、側板21と折返し板42との間
に形成した略J字状又は略L字状の係合溝43とからな
る。折返し板42は、その上端部並びに中央部をステー
部44,45を介して側板21に一体に固定されるよう
に形成した部材である。このような折返し板42は樹脂
成形品であるから、側板21の表裏方向に弾性変形可能
である。係合溝43は、フロントスポイラ12の長手方
向に貫通した溝である。なお、この溝には貫通した孔を
含む。
【0021】一方、上記係合爪部31は、スポイラ右半
体20Rにおける接合側の端部からスポイラ左半体20
Lへ向って延びたアーム部32と、アーム部32の下部
から後方へ突出した爪36とからなる。
【0022】アーム部32は、係合溝43の形状に対応
した概ねJ字状又はL字状の断面体であり、概ね起立し
た縦板部33と縦板部33の下端から後方へ延びた横板
部34とからなる。このようなアーム部32は、係合溝
43へ嵌合した際に、ステー部44,45に対する干渉
を避けるために、先端を窪ませて回避凹部35とした構
成である。爪36は、横板部34の後端から更に後方へ
延びた、平面視二等辺三角形状の係合突起である。
【0023】係合溝43にアーム部32を挿入したとき
に、係合溝43を通過して突き出た爪36が折返し板4
2の縁に当ることで、この縁に掛け止めることができ
る。このように、係合溝43は、折返し板42と側板2
1との間に設けた、被係合部としての溝である。係合爪
部31は、係合溝43に嵌合することで、二分割された
スポイラ左半体20Lとスポイラ右半体20Rとの位置
決めをなすとともに、係合溝43の縁(即ち折返し板4
2の縁)に掛け止める部材である。
【0024】さらにフロントスポイラ12は、係合手段
30から離れた位置に、係合手段30の係合方向とは異
なる方向で、スポイラ左半体20Lとスポイラ右半体2
0Rとの位置決めをする位置決め手段50を設けたこと
を特徴とする。
【0025】位置決め手段50は、スポイラ左半体20
Lの上部フランジ22から上に延した丸棒状の位置決め
突起52と、スポイラ右半体20Rの上部フランジ22
に上下貫通するように開けた位置決め孔53とからな
る。位置決め孔53は、スポイラ右半体20Rの長手方
向、すなわち車幅方向に長い長孔である。
【0026】係合手段30について更に詳しく説明す
る。スポイラ左半体20Lの上部フランジ22及びスポ
イラ右半体20Rの上部フランジ22は、車幅中央位置
で互いに上下方向に重ね合わせができるように、各端面
25L,25Rよりも長手方向へ延すとともに、その重
ね合わせる部分を合わせ部51L,51Rとする。合わ
せ部51L,51Rの厚みは、上部フランジ22,22
の半分程度である。
【0027】このようなスポイラ左半体20Lは、側板
21の背面と合わせ部51Lとの間に隙間54を有す
る。この隙間54は、スポイラ左半体20Lの端面25
Lにスポイラ右半体20Rの端面25Rを合せたとき
に、アーム部32が嵌合し得る上下貫通溝である。
【0028】位置決め突起52はスポイラ左半体20L
の合わせ部51Rに有する。位置決め孔53はスポイラ
右半体20Rの合わせ部51Rに有する。各合わせ部5
1L,51Rに有するビス孔55,55は、合わせ部5
1L,51R同士を重ねたときに概ね合致する、フロン
トスポイラ12の長手方向に長い長孔である。
【0029】図4は本発明に係るスポイラ右半体の端部
を正面から見た斜視図であり、スポイラ右半体20Rに
おける接合側の端面25Rに対して、側板21の概ね厚
み分だけ後方へずれた位置にアーム部32を設けたこと
を示す。
【0030】図5は本発明に係るフロントスポイラの中
央下部の正面図であり、スポイラ左半体20Lの端面2
5Lに突起部26の先端を当てるとともに、スポイラ左
半体20Lとスポイラ右半体20Rとを接合した状態を
示す。
【0031】図6は図5の6−6線断面図であり、スポ
イラ左半体20Lとスポイラ右半体20Rとを接合した
状態で、想像線にて示すフロントバンパフェイス11の
下端にビス止めしたことを示す。
【0032】詳しくは、スポイラ左半体20Lの略J字
状又は略L字状の係合溝43にスポイラ右半体20Rの
略J字状又は略L字状のアーム部32を嵌合すること
で、両者の位置決めをすることができる。
【0033】J字・L字状の係合溝43にJ字・L字状
のアーム部32を嵌合するので、スポイラ左半体20L
に対してスポイラ右半体20Rが前後方向や上下方向に
相対的に変位することはない。すなわち、スポイラ長手
方向に対して交差する方向へ、相対的に変位することは
ない。
【0034】また、スポイラ左半体20Lの合わせ部5
1Lにスポイラ右半体20Rの合わせ部51Rを重ね合
わせるとともに、位置決め突起52を位置決め孔53に
挿入することで、両者の位置決めすることができる。さ
らには、係合溝43に対するアーム部32の位置合せ
と、位置決め突起52に対する位置決め孔53の位置合
せとを、2箇所で位置決めをすることができるので、よ
り確実に且つ容易に位置決めをすることができる。
【0035】フロントバンパフェイス11の下端にクリ
ップ24を差込み、フロントバンパフェイス11の下端
面に左右一体化されたフロントスポイラ12の上端を当
て、クリップ24にビス13をねじ込むことで、フロン
トバンパフェイス11の下端にフロントスポイラ12を
ビス止めすることができる。
【0036】図7(a),(b)は本発明に係るフロン
トスポイラの中央下部の構成図であり、スポイラ左半体
20Lとスポイラ右半体20Rとを接合したことを示
す。(a)は、図5の7−7線断面に相当する断面構成
を示し、スポイラ左半体20Lの端面25Lとスポイラ
右半体20Rの端面25Rとを対向させるとともに、ス
ポイラ左半体20Lの端面25Lに突起部26を突き当
てたことを示す。
【0037】突起部26の突出長さはL1であり、折返
し板42の幅はL2である。爪36のうち、折返し板4
2の縁42a(係合溝43の縁)に当ることで掛け止る
点を係合点P1とする。端面25Lに突起部26が当っ
たときに、縁42aから係合点P1までの隙間S1の寸
法(大きさ)はδ1である。従って、突起部26の突出
端から係合点P1までの寸法L3は、折返し板42の幅
L2に隙間S1の大きさδ1を加えた寸法である(L3
=L2+δ1)。
【0038】(b)は、上記(a)の状態から、スポイ
ラ右半体20Rをスポイラ長手方向の外側へ引くこと
で、スポイラ左半体20Lの端面25Lから突起部26
を離したことを示す。このとき、折返し板42の縁42
aに爪36の係合点P1が当ることで掛け止っている。
突起部26の突出端からスポイラ左半体20Lの端面2
5Lまでの隙間S2の寸法(大きさ)はδ2である。従
って、スポイラ左半体20Lの端面25Lからスポイラ
右半体20Rの端面25Rまでの距離L4は、突起部2
6の突出長さL1に隙間S2の大きさδ2を加えた寸法
である(L4=L1+δ2)。隙間S1の寸法δ1は隙
間S2の寸法δ2と等しい。
【0039】以上の図7(a),(b)の説明をまとめ
ると、次の,の通りである。 スポイラ左半体20L並びにスポイラ右半体20R
の端部25L,25R同士を互いに接近する方向へ変位
させたとき、(a)に示すように、スポイラ左半体20
Lの端面25Lに突起部26が当ることで、これ以上の
変位を阻止できる。(b)から(a)へ変位するとき
の、許容変位量は隙間S1,S2の寸法δ1,δ2に相
当する量だけである。
【0040】 スポイラ左半体20L並びにスポイラ
右半体20Rの端部25L,25R同士を互いに離反す
る方向へ変位させたとき、(b)に示すように、折返し
板42の縁42aに爪36の係合点P1が当ることで、
これ以上の変位を阻止できる。(a)から(b)へ変位
するときの、許容変位量は隙間S1,S2の寸法δ1,
δ2に相当する量だけである。
【0041】このように、二分割された長尺材同士を長
手方向へ、すなわちスポイラ左半体20Lとスポイラ右
半体20Rとをスポイラ長手方向へ、相対的に隙間S
1,S2の寸法δ1,δ2の分だけ変位させることがで
きる。なお、このような隙間S1,S2の寸法δ1,δ
2は、突起部26の突出長さL1又は爪36の形状や大
きさを変更することで、容易に且つ任意に設定すること
ができる。
【0042】言い換えると、二分割された長尺材20
L,20R同士を係合手段30で接合した後に、スポイ
ラ長手方向へ一定の範囲内、すなわち隙間S1,S2の
寸法δ1,δ2の範囲内で、長尺材20L,20R同士
を相対的に変位させることができる。従って、この変位
可能な範囲内の寸法誤差であれば、長尺材20L,20
R同士を相対的に変位させることで、誤差を吸収するこ
とができる。このため、二分割した樹脂製長尺材20
L,20Rの寸法管理を容易に行うことができる。
【0043】例えば、二分割された長尺材20L,20
R同士を係合手段30で接合した後に、他の部材に組付
ける場合であっても、ビス止め位置等の位置合せが容易
である。さらには、係合手段30を、係合爪部31と被
係合部41との組合せ構造としたので、ボルト接合の場
合のように別部材を必要としない。接合部品数を増すこ
となく容易に接合することができるので、接合作業性を
高めることができる。
【0044】二分割された長尺材20L,20R同士の
うち、比較的広い端面25L,25Rの寸法管理を行う
場合に比べて、小型の突起部26の突出寸法を管理する
方が容易である。従って、突起部26の突出寸法を管理
することで、二分割した長尺材20L,20Rの長さ
を、ひいては隙間S1,S2の寸法δ1,δ2を、より
一層容易に管理することができる。このため、設計の自
由度が高まる。
【0045】また、スポイラ左半体20Lの背面にアー
ム部32を重ね合わせたので、端面25L,25R間に
隙間があるにもかかわらず、この隙間を通してフロント
スポイラ12の後方を目視することはできない(図5も
参照)。従って、フロントスポイラ12の外観性が高ま
る。
【0046】図8(a)〜(d)は本発明に係るフロン
トスポイラの作用図であり、フロントスポイラ12の接
合手順を示す。(a)は、スポイラ左半体20Lの端面
25Lにスポイラ右半体20Rの端面25Rを対向させ
たことを示す。この状態から、スポイラ左半体20Lに
対してスポイラ右半体20Rをスポイラ長手方向へ移動
させることで、係合溝43に係合爪部31を差込む。
【0047】(b)は、係合溝43に係合爪部31を差
込む途中を示す。爪36の先端で折返し板42を外方へ
押出して弾性変形させることができる。この結果、係合
溝43は広がり、爪36を受入れる。(c)は、爪36
が係合溝43を貫通して突き出たことを示す。このとき
に、折返し板42の縁42aに爪36の係合点P1が当
ることで、掛け止る。突起部26の突出端は、スポイラ
左半体20Lの端面25Lから離れた位置にあり、その
隙間S2の寸法はδ2である。(d)は、係合溝43に
係合爪部31を更に差込むことで、突起部26の突出端
をスポイラ左半体20Lの端面25Lに当てたことを示
す。
【0048】このように、係合溝43にアーム部32を
挿入したときに、係合溝43を貫通して突き出た爪36
を折返し板42の縁42aに当てることで、この縁42
aに掛け止めることができる。
【0049】なお、上記本発明の実施の形態において、
二分割した樹脂製長尺材は、車両用フロントスポイラ1
2に限定されるものではなく、車両用部材に限定される
ものでもない。突起部26の形状や寸法については任意
であり、角形の他に円形、円錐形、台形であってもよ
い。
【0050】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、係合手段を、二分割した長尺材のう
ち一方の長尺材に形成した係合爪部と、この係合爪部を
掛け止めるべく他方の長尺材に形成した被係合部とで構
成し、これらの係合爪部並びに被係合部によって、二分
割した長尺材の端部同士を互いに離反する方向への変位
を阻止でき、且つ、互いに接近する方向への変位を許容
できるように構成したので、二分割された樹脂製長尺材
同士を係合手段で接合した後に、長尺材の長手方向へ一
定の範囲内で長尺材同士を相対的に変位させることがで
きる。従って、この変位可能な範囲内の寸法誤差であれ
ば、長尺材同士を相対的に変位させることで、誤差を吸
収することができる。このため、二分割した樹脂製長尺
材の寸法管理を容易にすることができる。例えば、二分
割された長尺材同士を係合手段で接合した後に、他の部
材に組付ける場合であっても、ビス止め位置等の位置合
せが容易である。さらには、係合手段を、係合爪部と被
係合部との組合せ構造としたので、ボルト接合の場合の
ように別部材を必要としない。接合部品数を増すことな
く容易に接合することができるので、接合作業性を高め
ることができる。
【0051】請求項2は、二分割した長尺材のうち一方
の長尺材の端面に突起部を一体に形成することで、二分
割した長尺材の端面同士を突起部を介して対向させるよ
うに構成したので、突起部の突出寸法を管理することに
より、二分割した長尺材の長さを、より一層容易に管理
することができる。このため、設計の自由度が高まる。
【0052】請求項3は、被係合部が、他方の長尺材の
側板の一部を表裏方向に折返すことで、その折返し板と
側板との間に長尺材の長手方向に貫通した係合溝であ
り、係合爪部が、係合溝に嵌合することで二分割した長
尺材同士の位置決めをなすとともに、係合溝の縁に掛け
止める部材であるので、簡単な構成によって、二分割し
た長尺材同士の位置決めを容易に行うことができる。
【0053】請求項4は、係合手段から離れた位置に、
二分割した長尺材同士の位置決めをする位置決め手段を
設けたことにより、2箇所で位置決めをすることができ
るので、より確実に且つ容易に位置決めをすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両前部の斜視図
【図2】本発明に係るフロントバンパフェイスにスポイ
ラ左半体を取付けた状態の縦断面図
【図3】本発明に係るフロントスポイラの中央部を背面
から見た分解図
【図4】本発明に係るスポイラ右半体の端部を正面から
見た斜視図
【図5】本発明に係るフロントスポイラの中央下部を正
面図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係るフロントスポイラの中央下部の構
成図
【図8】本発明に係るフロントスポイラの作用図
【図9】従来の車両用フロントスポイラの説明図(その
1)
【図10】従来の車両用フロントスポイラの説明図(そ
の2)
【符号の説明】
12…二分割した長尺材(フロントスポイラ)、20R
…一方の長尺材(スポイラ右半体)、20L…他方の長
尺材(スポイラ左半体)、21…側板、25R…一方の
長尺材(スポイラ右半体)の端面、25L…他方の長尺
材(スポイラ左半体)の端面、26…突起部、30…係
合手段、31…係合爪部、41…被係合部、42…折返
し板、43…係合溝、43a…係合溝の縁、50…位置
決め手段、S1,S2…隙間、δ1,δ2…隙間の寸
法。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年3月5日(2002.3.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】フロントバンパフェイス11は、車幅方向
に延びるバンパビーム(図示せず)の前部を覆う樹脂製
カバーであり、ラジエータ冷却用グリル14を備える。
フロントスポイラ12は、走行風を通過させることによ
って、車両10を下方へ押え付けるための下向き力を発
生させて、揚力を軽減する部材である。このようなフロ
ントスポイラ12はスポイラ長手方向、すなわち車幅方
向にスポイラ左半体20Lとスポイラ右半体20Rとに
二分割した樹脂製長尺材であり、例えばポリプロピレン
樹脂からなる。フロントスポイラ12の分割位置は、車
幅中央位置であることが好ましい。スポイラ左半体20
Lの成形用金型とスポイラ右半体20Rの成形用金型と
を、同じ大きさにできるからである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱野 茂雄 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 大貫 俊明 埼玉県狭山市柏原393番地 八千代工業株 式会社内 Fターム(参考) 3J001 FA15 GA06 GB01 HA04 JD24 KB01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二分割した樹脂製長尺材の端部同士を対
    向させるとともに、これらの端部同士を係合手段にて接
    合する二分割長尺材の接合構造であって、 前記係合手段は、前記二分割した長尺材のうち一方の長
    尺材に形成した係合爪部と、この係合爪部を掛け止める
    べく他方の長尺材に形成した被係合部とからなり、これ
    らの係合爪部並びに被係合部によって、前記二分割した
    長尺材の端部同士を互いに離反する方向への変位を阻止
    でき、且つ、互いに接近する方向への変位を許容できる
    ように構成したことを特徴とする二分割長尺材の接合構
    造。
  2. 【請求項2】 前記二分割した長尺材のうち一方の長尺
    材の端面に突起部を一体に形成することで、二分割した
    長尺材の端面同士を突起部を介して対向させるように構
    成したことを特徴とした請求項1記載の二分割長尺材の
    接合構造。
  3. 【請求項3】 前記被係合部は、前記他方の長尺材の側
    板の一部を表裏方向に折返すことで、その折返し板と側
    板との間に長尺材の長手方向に貫通した係合溝であり、 前記係合爪部は、前記係合溝に嵌合することで二分割し
    た長尺材同士の位置決めをなすとともに、前記係合溝の
    縁に掛け止める部材であることを特徴とした請求項1又
    は請求項2記載の二分割長尺材の接合構造。
  4. 【請求項4】 前記係合手段から離れた位置に、前記二
    分割した長尺材同士の位置決めをする位置決め手段を設
    けたことを特徴とした請求項1、請求項2又は請求項3
    記載の二分割長尺材の接合構造。
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