JP2003012860A

JP2003012860A - タイヤ用ゴム組成物

Info

Publication number: JP2003012860A
Application number: JP2001194835A
Authority: JP
Inventors: Takumi Oda; 拓美小田
Original assignee: Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Current assignee: Toyo Tire Corp
Priority date: 2001-06-27
Filing date: 2001-06-27
Publication date: 2003-01-15

Abstract

(57)【要約】【課題】耐摩耗性および加工性を損なうことなく、耐
カット・チップ性が向上したゴム組成物の提供。【解決手段】天然ゴムまたは／及びイソプレンゴム３
５〜９０重量部、重量平均分子量が５０〜７０万、シス
１、４結合含有量が９６％以上、好ましくはシス１、４
結合含有量が９８％以上であってビニル結合含有量が１
％以下のブタジエンゴム６５〜１０重量部よりなるゴム
成分１００重量部に対し、カーボンブラック４５〜６０
重量部、シリカ２〜１０重量部、水酸基または／及びカ
ルボキシル基を有する変性液状ブタジエンゴム２〜１０
重量部配合したタイヤ用ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性及び加工
性を損なうことなく、耐カット性及び耐チップ性を向上
させたタイヤのトレッドに用いるゴム組成物に関する。

【０００２】

【従来技術】非舗装路を走行する機会のある自動車に装
着されるタイヤは、各種のタイヤ性能の中で経済性の面
から耐摩耗性及び石を踏んでも外傷の生じにくさ、所謂
耐カット性、耐チップ性が重視される。耐カット性、耐
チップ性（以下、耐カット性と耐チップ性を合わせて耐
カット・チップ性と言う）をよくするために従来から各
種の方法が検討されてきた。例えば、カーボンブラック
の配合量を多くする方法、シリカを配合する方法（特開
平３−７６０２）、フェノール樹脂、変性ロジンなどの
樹脂を配合する方法（特開２０００−１８６１７０）な
どが試みられてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】カーボンブラックの配
合量を調整することにより、耐カット・チップ性の改良
は可能であるが、加工性、耐摩耗性、発熱性など他の物
性との両立が非常に難しい。シリカを配合する方法は、
耐カット・チップ性の効果を奏させるには多量のシリカ
を配合する必要があり、シリカを多量配合すれば耐摩耗
性が大幅に低下し、モジュラスに大きく影響して適正範
囲を逸脱し、他の特性も低下する欠点がある。樹脂を配
合する方法は耐摩耗性の低下を伴う欠点がある。上記す
るように、耐カット・チップ性が大幅に向上するまでカ
ーボンブラック、シリカまたは樹脂の配合量を多くすれ
ば耐摩耗性などの他の物性が低下し、これらの物性と両
立させることが難しくなる。

【０００４】本発明は、耐摩耗性および加工性を損なう
ことなく、耐カット・チップ性が向上したゴム組成物を
提供することを目的にするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、耐カット・チ
ップ性に優れた天然ゴムまたは／及びイソプレンゴムに
大きい耐カット・チップ性改良作用を有するシリカを配
合して耐カット・チップ性を高めると同時に、シリカを
配合したことによって生じる問題点、すなわち耐摩耗性
の低下、加工性の低下を重量平均分子量が５０〜７０
万、シス１、４結合含有量が９６％以上あってビニル結
合含有量の少ないブタジエンゴムを配合して耐摩耗性を
高め、さらにシリカとの親和性が大きい水酸基または／
及びカルボキシル基と、ゴムとの親和性が大きいポリブ
タジエン構造を有する変性液状ブタジエンゴムを配合
し、これを仲介にゴムとシリカとの結合を高めてシリカ
の耐カット・チップ性作用を増幅させ、シリカの必要配
合量を減少させて耐摩耗性の低下が発現しなようにする
と同時に変性液状ブタジエンゴムを加硫後の物性を低下
させない軟化剤として作用させることを要旨にするもの
である。

【０００６】本発明は、天然ゴムまたは／及びイソプレ
ンゴム３５〜９０重量部と重量平均分子量が５０〜７０
万、シス１、４結合含有量が９６％以上、好ましくはシ
ス１、４結合含有量が９８％以上であってビニル結合含
有量が１％以下であるブタジエンゴム６５〜１０重量部
よりなるゴム成分１００重量部に対し、ハード・カーボ
ンブラックが４５〜６０重量部、シリカが２〜１０重量
部、水酸基または／及びカルボキシル基を有する変性液
状ブタジエンゴムが２〜１０重量部配合されたタイヤ用
ゴム組成物である。

【０００７】耐カット・チップ性を高める目的で配合し
たシリカによって低下する耐摩耗性をミクロ構造のシス
１、４結合含有量が９６％以上、重量平均分子量が一般
より高めの５０〜７０万にされて耐摩耗性が高くなった
ブタジエンゴムをブレンドすることにより改善すること
ができる。しかし、ニッケル系触媒を用いて重合された
シス１、４結合含有量が９６〜９８％のハイシスＢＲま
たは高シスＢＲと称して広く使用されているブタジエン
ゴムは耐カット・チップ性が天然ゴムなどより劣り、実
用的には配合量はゴム成分の４０重量部以下にされ、低
下を見込んでブタジエンゴムのブレンド率を高くして耐
摩耗性を大きくした上でシリカを大量配合することによ
る耐カット・チップ性の改良は十分に行えなかった。一
方ネオジウム系触媒を用いて重合されたシス１、４結合
含有量が９８％以上、ビニル結合含有量が１％以下のブ
タジエンゴムは、異物として作用して耐カット・チップ
性を阻害するビニル結合含有量が少ないため、耐カット
・チップ性が高く、しかもブタジエンゴムの特徴である
高耐摩耗性も有するので、多量に配合して耐摩耗性を大
幅に向上させても耐カット・チップ性の低下が小さい。
そこで多量に配合して耐摩耗性に余裕を設け、余裕を耐
摩耗性と二律背反の関係にある他の手段による耐カット
・チップ性の向上に当て、更に耐カット・チップ性を高
めることができる。

【０００８】シリカは、カーボンブラックと比べてゴム
ポリマーとの結合がルーズで、これが加えられることに
より引張強さ、伸びが大きくなり、その結果耐カット・
チップ性が向上する。シリカとゴムポリマーの結合を強
固にしてモジュラス、硬度を大きくし、発熱を小さくす
るために、通常シランカップリンク剤またはジエチレン
グリコール、エタノールアミン、ヘキサメチレンテトラ
ミンなどの活性剤がシリカ配合に添加される。シランカ
ップリンク剤、活性剤などが添加されてシリカとゴムポ
リマーとの結合が強固になれば、ゴムポリマーとの結合
がルーズなことによる耐カット・チップ性向上効果が失
われるので、本発明のゴム組成物にはシランカップリン
ク剤、活性剤の添加は好ましくない。

【０００９】本発明に用いる変性液状ブタジエンゴム
は、分子の末端または側鎖にシリカと親和性がよい水酸
基またはカルボキシル基を有し、カーボンブラックと共
に配合された場合、ゴムポリマー及びカーボンブラック
と親和性が良いポリブタジエン構造の主鎖がこれらと結
合し、水酸基またはカルボキシル基部分がシリカと結合
するのでゴムポリマー及びカーボンブラックとシリカが
変性液状ブタジエンゴムを介して結合させられ、シリカ
がゴム中に単に分散した状態からマトリックスゴムに結
合した状態に変化するためにシリカによる耐摩耗性の低
下が生じにくくなる。上記したように、本発明の課題
は、特定したブタジエンゴム、シリカ及び変性液状ブタ
ジエンゴムの相互作用がもたらす相乗効果によって解決
される。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について説明する。本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天
然ゴムまたは／及びイソプレンゴム３５〜９０重量部に
重量平均分子量が５０〜７０万、シス１、４結合含有量
が９６％以上であるブタジエンゴム（以下、高シスＢＲ
と言う）、好ましくはシス１、４結合含有量が９８％以
上であってビニル結合含有量が１％以下であるブタジエ
ンゴム（以下、低ビニルＢＲと言う）６５〜１０重量部
よりなるゴム成分１００重量部に対し、ＡＳＴＭＤ１
７６５が分類する１００番台、２００番台及び３００番
台のハードカーボンブラックを４５〜６０重量部、シリ
カを２〜１０重量部、水酸基または／及びカルボキシル
基を有する変性液状ブタジエンゴムを２〜１０重量部配
合し、更にタイヤ用ゴム組成物に用いられる一般配合
剤、例えば硫黄、加硫促進剤、亜鉛華、ステアリン酸、
老化防止剤、ワックス、軟化剤を一般量配合して混合す
ることにより得られる。

【００１１】ブタジエンゴムのシス１、４結合含有量が
９６％未満であれば、耐摩耗性の改良効果が小さく、配
合量がゴム成分の１０重量部未満では耐摩耗性の改善効
果が認められず、６５重量部より多くなれば、耐カット
・チップ性と加工性が悪くなる。耐カット・チップ性を
大幅に改良するには、耐カット・チップ性と二律背反関
係にある耐摩耗性をブタジエンゴムの多量配合によって
高くする必要がある。そためにブタジエンゴムとして、
ネオジウム触媒を用いて重合したシス１、４結合含有量
が９８％以上あってビニル結合含有量が１％以下の耐カ
ット・チップ性が優れる低ビニル・ブタジエンゴムを用
いるのが好ましい。

【００１２】ＡＳＴＭＤ１７６５が分類する１００番
台、２００番台及び３００番台のハードカーボンブラッ
クはタイヤ用ゴム組成物に通常用いられるもので、ゴム
成分１００重量部に対して４５〜６０重量部の配合量も
タイヤ用ゴム組成物に用いられる通常の量である。シリ
カの配合量は、ゴム成分１００重量部に対し２〜１０重
量部にされる。配合量が２重量部未満では耐カット・チ
ップ性改良効果が認められず、１０重量部より多くなる
と耐摩耗性が低下する。尚、本発明はシリカをゴムポリ
マーとルーズに結合させて耐カット・チップ性、耐摩耗
性改良を目的にしており、ゴムポリマーとの結合を強く
してモジュラス、硬度、発熱などの物性を改良するため
にシリカ配合に通常添加されるシランカップリング剤ま
たはジエチレングリコール、エチレングリコール誘導
体、エタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミンなど
の活性剤は、本発明のゴム組成物に悪影響を及ぼすので
添加されない。シリカとゴムポリマーを結合する変性液
状ブタジエンゴムの配合量は、２〜１０重量部にされ、
２重量部未満では液状ブタジエンゴムを配合した効果が
現われず、１０重量部より多くなれば耐摩耗性が低下す
る。

【００１３】

【実施例】第１表に示した特性を有するブタジエンゴム
すなわち低シスＢＲ（旭化成工業株式会社製 Diene NF3
5）、高シスＢＲ（宇部興産株式会社製 Ubepol BR150
B）または低ビニルＢＲ（バイエル社製 CB24）を第２表
に示す重量部の割合で天然ゴムとブレンドして変性液状
ＢＲ（分子末端に水酸基を有する液状ブタジエンゴム、
宇部興産株式会社製 HYCAR RLP）、カーボンブラック
Ｎ１１０、シリカを第２表に示す重量部割合で配合し、
その他に亜鉛華３重量部（以下、重量部を単に部と云
う）、ステアリン酸２部、硫黄１部、加硫促進剤ＣＢＳ
１．５部、老化防止剤ＤＰＰＤ２部、ワックス１部を配
合して通常の方法で混合し、混合ゴムを得た。各混合ゴ
ムから試料をサンプリングして下記に示す方法で加工性
の評価を行なった。結果を第２表に示した。残余の混合
ゴムでトレッドを形成したサイズ１１Ｒ２２．５のタイ
ヤを試作し、１台のダンプトラックに２種類のタイヤを
組合せて装着し、約１万km走行した後、耐摩耗性と耐カ
ット・チップ性の評価を下記に示す方法で行なった。結
果を第２表に示した。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【表２】

【００１６】評価方法加工性：ＪＩＳｋ６３００に準拠してムーニー粘度を
測定し、次の式で算出した値を加工性とした。値が大き
いほど、加工性がよい。（試作６の混合ゴムのムーニー粘度／各試作混合ゴムの
ムーニー粘度）×１００耐摩耗性：残溝深さを測定して各タイヤの摩耗比を求
め、次の式で算出した値を耐摩耗性とした。値が大きい
ほど、耐摩耗性がよい。（試作６タイヤの摩耗比／各試作タイヤの摩耗比）×１
００耐カット・チップ性：各タイヤに生じたカットとチップ
の個数を数え、次の式で算出した値を耐カット・チップ
性とした。値が大きいほど、耐カット・チップ性がよ
い。（試作６タイヤのカットとチップ数／各試作タイヤのカ
ットとチップ数）×１００

【００１７】性能評価の基準にした試作６ゴム組成物
は、摩耗を重視した大形タイヤの一般的なトレッド用ゴ
ム組成物である。試作６のブタジエンゴムをシス１、４
結合含有量が多いブタジエンゴムに代え、変性液状ブタ
ジエンゴムとシリカを追加配合した実施例の試作１〜４
は、試作６と比較していずれも加工性、耐摩耗性を損な
うことなく耐カット・チップ性が向上している。試作
２、試作７及び試作８からシリカが耐カット・チップ性
を向上させる作用があり、試作１、試作３及び試作７か
ら変性液状ＢＲがシリカの耐カット・チップ性を向上さ
せる作用を増幅することが分かる。しかし、シリカまた
は変性液状ブタジエンゴムが特定範囲より多くなれば耐
摩耗性が低下し、これらはそれぞれの作用の単なる和で
はなく、相互作用が生じていることを示している。試作
２と４からブタジエンゴムのシス結合含有量を多くし、
ビニル結合含有量を少なくすれば耐カット・チップ性が
向上することが分かる。

【００１８】

【発明の効果】本発明は、ゴム成分を天然ゴムまたは／
及びイソプレンゴム３５〜９０重量部と特定したブタジ
エンゴム６５〜１０重量部で構成し、一般配合剤の他に
２〜１０重量部のシリカ及び２〜１０重量部の変性液状
ブタジエンゴムを配合することを要旨にし、それにより
加工性、耐摩耗性を損なうことなく、耐摩耗性と二律背
反関係にある耐カット・チップ性を向上させる効果を有
する。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】天然ゴムまたは／及びイソプレンゴム３
５〜９０重量部、重量平均分子量が５０〜７０万、シス
１、４結合含有量が９６％以上であるブタジエンゴム６
５〜１０重量部よりなるゴム成分１００重量部に対し、
ハード・カーボンブラックが４５〜６０重量部、シリカ
が２〜１０重量部、水酸基または／及びカルボキシル基
を有する変性液状ブタジエンゴムが２〜１０重量部配合
されたタイヤ用ゴム組成物。
【請求項２】ブタジエンゴムのシス１、４結合含有量
が９８％以上、ビニル結合含有量が１％以下である請求
項１記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項３】シリカが配合された場合、通常添加され
るシランカップリン剤または活性剤が添加されていない
請求項１または２記載のタイヤ用ゴム組成物。