JP2003012787A - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ポリエステル樹脂が有する優れた色調
や溶融熱安定性を維持しつつ、含有する粗大粒子が少な
く、さらに向上した成形加工性を有する熱可塑性ポリエ
ステル樹脂組成物およびそれからなるフィルムの提供。 【解決手段】 チタン化合物とリン化合物の反応析出物
を合成触媒として用いた芳香族ポリエステル樹脂からな
り、反応析出物が(1)構造が内部に不活性粒子を有す
るコアシェル構造で、平均粒径が0.01〜5μmの範
囲にあること、(2)含有するチタン元素とリン元素の
モル比が、1:4〜1:1の範囲にあること、および、
(3)ポリエステル樹脂組成物中の反応析出物の含有量
が、反応析出物の重量で0.01〜10重量%の範囲に
あり、チタン元素の含有量で10〜200ppmの範囲
にある熱可塑性ポリエステル樹脂組成物ならびにそれか
らなるフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性ポリエステ
ル樹脂組成物およびそれからなる成形加工品に関し、更
に詳しくは、優れた色相および溶融熱安定性を有しつ
つ、結晶化速度が速く異物の少ない優れた成形性も有す
る、特にフィルムに好適な熱可塑性ポリエステル樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
る芳香族ポリエステル樹脂は、優れた力学特性、耐熱
性、耐候性、耐電気絶縁性および耐薬品性を有すること
から、フィルム、繊維またはボトルなどの成形品として
広く使用されている。
【0003】かかる芳香族ポリエステル樹脂は、その製
造にあたっては、重合反応を円滑に進行させるために重
合触媒を用いる。この重合触媒としては種々の金属化合
物が知られているが、中でも三酸化アンチモンの如きア
ンチモン(Sb)化合物が安価でかつ高い重合活性を持
つことから、広く使用されている。しかし、Sb化合物
は、その一部が反応中に還元されて金属Sbやその他の
異物を生成し、ポリマーの色を黒ずませたり、工程調子
を悪化させたり、成形品の品質を悪化させるなどの問題
を抱えている。
【0004】アンチモン化合物以外の重縮合触媒として
は、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物が提
案されている。チタン化合物を重合触媒として使用した
場合、上記のような金属Sbやその他の異物の生成が抑
制され、上述の問題は改善される。しかし、異物に起因
する成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステ
ル自身が黄色く着色されたり、また、溶融熱安定性が乏
しいというチタン化合物特有の問題を抱えている。
【0005】そこで、チタンテトラブトキシドなどのチ
タン化合物、トリメリット酸などの芳香族多価カルボン
酸およびフェニルホスホン酸などのりん化合物を反応さ
せた生成物を、ポリエステルの触媒として用いること
が、国際公開番号WO01/00706号公報で提案さ
れている。該公報によれば、上述のSb化合物からなる
触媒が抱える問題を惹起することなく、芳香族ポリエス
テル樹脂自身が黄色く着色されたり、溶融熱安定性が乏
しくなるといったチタン化合物特有の問題も解消できる
とある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記国
際公開番号WO01/00706号公報に提案されてい
る反応生成物を用いたところ、優れた色調や溶融熱安定
性を有しつつ発生する異物量が抑制されたポリエステル
組成物が製造できることを確認した。しかし、該ポリエ
ステル組成物を用いてフィルムや容器への成形加工を行
なう際、さらなる成形加工性の向上や未だ微量ながら存
在する粗大粒子をさらに減らすことが必要であることが
判明した。
【0007】したがって、本発明の課題は、前記公報の
芳香族ポリエステル樹脂が有する優れた色調や溶融熱安
定性を維持しつつ、含有する粗大粒子が少なく、さらに
向上した成形加工性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂
組成物およびそれからなるフィルムを提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決しようと鋭意研究した結果、触媒として用いる反
応析出物を不活性粒子と併用し、かつ、これらに特定の
構造をもたせるとき、優れた色調および溶融熱安定性を
維持したまま、異物の少ない優れた成形性を有する、特
にポリエステル容器やポリエステルフィルムへの成形に
有用な熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が得られること
を見出し、本発明に到達したものである。
【0009】かくして本発明によれば、チタン化合物と
リン化合物の反応析出物を合成触媒として用いた芳香族
ポリエステル樹脂からなり、反応析出物が以下の(1)
〜(3) (1)構造が内部に不活性粒子を有するコアシェル構造
で、平均粒径が0.01〜5μmの範囲にあること; (2)含有するチタン元素とリン元素のモル比が、1:
4〜1:1の範囲にあること;および、 (3)ポリエステル樹脂組成物中の反応析出物の含有量
が、反応析出物の重量で0.01〜10重量%の範囲に
あり、チタン元素の含有量で10〜200ppmの範囲
にあることを同時に具備する熱可塑性ポリエステル樹脂
組成物が提供される。
【0010】また、本発明によれば、本発明の好ましい
態様として、(イ)芳香族ポリエステル樹脂が、ポリエ
チレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレートであること、(ロ)チタン
化合物が、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソ
プロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテト
ラエトキシド、オクタアルキルトリチタネートおよびヘ
キサアルキルジチタネートよりなる群より選ばれた少な
くとも1種からなること、さらには、チタン化合物が、
チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシ
ド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシ
ド、オクタアルキルトリチタネートおよびヘキサアルキ
ルジチタネートよりなる群より選ばれた少なくとも1種
と、芳香族多価カルボン酸またはその無水物とからなる
こと、特に、芳香族多価カルボン酸またはその無水物
が、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロ
メリット酸およびそれらの無水物よりなる群より選ばれ
た少なくとも1種であること、(ハ)リン化合物が、リ
ン化合物が、ホスホン酸誘導体またはホスフィン酸誘導
体であること、または(ニ)不活性粒子が、架橋シリコ
ーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、三
二酸化アルミニウム粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ケ
イ素粒子、酸化ジルコニウム粒子、合成炭酸カルシウム
粒子、硫酸バリウム粒子、ダイアモンド粒子およびカオ
リン粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種である
ことを具備する熱可塑性ポリエステル樹脂組成物も提供
される。
【0011】さらにまた、本発明によれば、上述の本発
明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を用いて成形した
成形加工品、特にポリエステルフィルムに成形した成形
加工品も提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル組成物は、
チタン化合物とリン化合物の反応析出物を合成触媒とし
て用いた芳香族ポリエステル樹脂である。
【0013】本発明における芳香族ポリエステル樹脂と
は、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グ
リコールを主たるグリコール成分とするポリエステルで
ある。かかるポリエステルは実質的に線状であり、そし
てフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性
を有する。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフ
ェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸
等を挙げることができる。また、脂肪族グリコールとし
ては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリ
コール等の如き炭素数2〜10のポリメチレングリコー
ルあるいはシクロヘキサンジメタノールの如き脂肪族ジ
オール等を挙げることができる。
【0014】かかるポリエステルの中でも、特に好まし
いのは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−
2,6−ナフタレートであり、これらのポリエステル
は、全ジカルボン酸成分の80モル%以上がテレフタル
酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸で、全グリコ
ール成分の80モル%以上がエチレングリコールである
ものを包含する。具体的には、得られる成形加工品の表
面平坦性や耐乾熱劣化性を損なわない程度で、全酸成分
の20モル%以下を、テレフタル酸または2,6−ナフ
タレンジカルボン酸以外の上述の芳香族ジカルボン酸ま
たはイソフタル酸,アジピン酸,セバチン酸もしくはシ
クロヘキサン−1,4−ジカルボン酸に置き換えたもの
でも、全グリコール成分の20モル%以下を、エチレン
グリコール以外の上述のグリコール、例えばハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼ
ン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等に置き換えたもの
でもよい。もちろん、本発明における芳香族ポリエステ
ル樹脂は、本発明の効果を損なわないかぎり、例えばヒ
ドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸,ω−ヒドロキ
シカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン
酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分及びオキシカル
ボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共重合させた
ものも包含し、実質的に芳香族ポリエステル樹脂の分子
鎖が線状である限り、例えば全酸成分に対し2モル%以
下の量で、3官能以上のポリカルボン酸又はポリヒドロ
キシ化合物、例えばトリメリット酸やペンタエルスリト
ール等を共重合したものでもよい。芳香族ポリエステル
樹脂のο−クロロフェノールを溶媒として35℃で測定
して求めた固有粘度は、0.4〜0.9の範囲にあるこ
とが好ましい。
【0015】本発明におけるチタン化合物は、チタンテ
トラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタ
ンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドなどの
チタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタ
ネート、ヘキサアルキルジチタネートなどのアルキルチ
タネートよりなる群より選ばれた少なくとも1種からな
るものが好ましい。これらの中でも、リン化合物成分と
の反応性が良好なことから、チタンテトラアルコキシド
が好ましく、特にチタンテトラブトキシドがより好まし
い。
【0016】ところで、本発明におけるチタン化合物
は、得られるポリエステルの色調を向上できることおよ
び軟化点の低下を抑えられることから、前述のチタンテ
トラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタ
ンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドなどの
チタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタ
ネート、ヘキサアルキルジチタネートなどのアルキルチ
タネートよりなる群より選ばれた少なくとも1種と芳香
族多価カルボン酸又はその無水物との反応物であること
が好ましい。本発明における芳香族多価カルボン酸及び
その無水物は、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリッ
ト酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物が好まし
く、これらの中でもチタン化合物との反応性がよく、ポ
リエステルとの親和性が高いことからトリメリット酸無
水物を用いることが好ましい。芳香族多価カルボン酸又
はその無水物とチタン化合物の反応は、前記芳香族多価
カルボン酸又はその無水物を溶媒中に溶解し、この溶液
にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で30分
以上、好ましくは30〜150℃の温度に40〜90分
間加熱することによって行われる。この際の反応系の圧
力は特に制限されず、常圧でも構わない。なお、前記溶
媒としては、チタン化合物および芳香族多価カルボン酸
又はその無水物を溶解し得るものから適宜選択でき、エ
タノール、エチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレンを
好ましくあげることができる。
【0017】この反応におけるチタン化合物と前記芳香
族多価カルボン酸又はその無水物とのモル比(チタン化
合物/前記芳香族多価カルボン酸又はその無水物)は、
得られるポリエステルの色調の悪化を抑えかつ軟化点の
低下も抑えられることから、2以下であることが好まし
く、重縮合反応を比較的速やかに進行できることから、
0.4以上であることが好ましい。この反応によって得
られる反応生成物を後述のリン化合物と反応させる際の
状態は、チタン化合物と前記芳香族多価カルボン酸又は
その無水物を反応させた直後の状態のままでも、アセト
ン、メチルアルコールまたは酢酸エチルなどによって再
結晶し、精製された状態でもよい。
【0018】本発明におけるリン化合物は、ホスホン酸
誘導体またはホスフィン酸誘導体が好ましく挙げられ、
具体的には、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、
エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピル
ホスホン酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キ
シリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホ
スホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェ
ニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、
4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボ
キシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニ
ルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン
酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4
−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボ
キシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシ
フェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェ
ニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニル
ホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホス
ホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン
酸、フェニルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、エチ
ルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピル
ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、トリルホスフィン
酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン
酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、
ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイ
ソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジト
リルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェ
ニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリ
ルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン
酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボ
キシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェ
ニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホス
フィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン
酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,
4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカ
ルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカル
ボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボ
キシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキ
フェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフ
ェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェ
ニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホ
スフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィ
ン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、
ビス(2,3−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン
酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン
酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン
酸、ビス(2,6−ジカルボキシルフェニル)ホスフィ
ン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィ
ン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィ
ン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホ
スフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニ
ル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシ
フェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカル
ボキシフェニル)ホスフィン酸及びビス(2,4,6−
トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸などを好ましく
挙げることが出来る。
【0019】本発明における反応析出物は、上述のチタ
ン化合物とリン化合物との反応析出物、好ましくは上述
のチタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水
物との反応物と、リン化合物との反応析出物である。該
反応析出物(触媒)の調製は特に制限されず、例えば、
前記リン化合物の少なくとも1種と溶媒とを混合して、
リン化合物成分を溶媒中に溶解し、この溶液に前記のチ
タン化合物、好ましくは前記のチタン化合物と芳香族多
価カルボン酸またはその無水物との反応物を滴下し、0
〜200℃の温度で30分以上、好ましくは60〜15
0℃の温度で40〜90分間保持すればよい。この反応
における圧力は特に制限されず、加圧下(0.1〜0.
5MPa)、常圧下又は減圧下(0.001〜0.1M
Pa)のいづれであってもよく、好ましくは常圧下で行
う。また反応は系内を攪拌して、原料や反応物を分散さ
せながら行うことが好ましく、例えばミキサー、ホモゲ
ナイザー、超音波分散機などを用いることが好ましい。
なお、前記触媒調製反応に用いられるリン化合物を溶解
するための溶媒は、リン化合物を溶解し得る限り格別の
制限はないが、例えば、エタノール、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ベンゼン、及びキシレン等から選ばれた少なくとも
1種からなる溶媒が好ましい。特に、最終的に得ようと
するポリエステルを構成しているグリコール成分と同一
の化合物を溶媒として用いることが好ましい。また前記
の両分散液を各々、スプレードライヤーへ供給噴霧し、
気相下(20〜200℃)で反応析出させても構わな
い。
【0020】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
の最大の特徴は、前記反応析出物をそのまま用いるので
はなく、反応析出物の内部に不活性粒子を内在させたコ
アシェル構造にしたものを用いたことにある。具体的に
は、前記反応析出物は、その粒径の制御が困難で、非常
に粒径の小さいものから、得られる成形加工品の表面特
性を悪化させるような粗大粒子と呼ばれる極めて粒径の
大きなものが混在していた。そして、成形加工性を向上
させるには、結晶化速度を速めることが効果的で、得ら
れる成形加工品の表面特性を悪化させること無く結晶化
速度を速めるには、結晶核となるのに適した粒径の反応
析出物の割合を高めることが必要であった。そこで、本
願発明は、前記反応析出物をそのまま用いるのではな
く、粒径の調整が容易な不活性粒子を併用し、かつ、反
応析出物を、その内部に不活性粒子を内在させたコアシ
ェル構造のものにしたのである。
【0021】本発明における反応析出物の内部に内在さ
せる不活性粒子は、粒径の揃った溶媒中で安定した分散
を示すものであれば特に制限はされず、(1)耐熱性ポ
リマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリス
チレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒ
ド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
アミドイミド樹脂、架橋ポリエステル等からなる粒
子)、(2)金属酸化物(例えば、三二酸化アルミニウ
ム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、
酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等からなる粒子)、(3)
金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウム等)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等からなる粒子)、(5)炭素(例え
ば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンド等
からなる粒子)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオ
リン、クレー、ベントナイト等からなる粒子)が好まし
く挙げられる。これらのなかでも、架橋シリコーン樹脂
粒子、架橋ポリスチレン粒子、メラミン−ホルムアルデ
ヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、三二酸化ア
ルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ
素、酸化ジルコニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、ダイアモンドおよびカオリンが好ましく、とりわ
け、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒
子、アルミナ、二酸化チタン、二酸化ケイ素および炭酸
カルシウムが好ましい。本発明に用いられる不活性粒子
は形状などに特に制限はなく、例えば球状、板状、塊
状、無定形状であって構わない。またその構造は単一粒
子でも凝集体でも構わない。
【0022】前記不活性粒子を核(コア)とし反応析出
物を表層(シェル)とすることにより、粗大な反応析出
物を低減し平均粒径の調整が容易になる。なお、不活性
粒子を添加するのは、前記のチタン化合物を溶解させた
溶液やリン化合物を溶解させた溶液のどちらでもよい。
この際、混合反応後の溶媒中の可溶成分量(例えば、不
活性粒子に沈着しない可溶化した反応物または未反応の
チタン化合物もしくはリン化合物)は、調製に使用した
両化合物量の30重量%以下が好ましく、10重量%以
下が更に好ましい。
【0023】この不活性粒子を核(コア)とし反応析出
物を表層(シェル)とする反応析出物の平均粒径は、結
晶化速度を速めるために、0.01〜5μmの範囲にあ
ることが必要であり、好ましくは0.05〜5μm、更
に好ましくは0.1〜3μmの範囲である。この平均粒
径が5μmを超えるとポリエステルが結晶化する際の結
晶核となり得ず、結晶化促進効果が発現しないばかり
か、フィルムとした際は表面で大突起となり、削れ粉が
多発する。他方、平均粒径が0.01μm未満では、フ
ィルムとした際に易滑性を付与することが出来ない。
【0024】また、該コアシェル構造の反応析出物中の
チタン化合物とリン化合物との割合は、チタン元素(T
i)とリン元素(P)のモル比(Ti/P)が、0.2
5〜1の範囲にあることが必要である。好ましいモル比
は0.35〜1、特に好ましいのは0.4〜0.7の範
囲である。ここで、反応析出物中のチタン元素とリン元
素の量は、蛍光X線分析によって測定できる。該モル比
が1を超えると、チタン化合物の量が過多となり、この
反応析出物(触媒)を用いて得られるポリエステルの色
調(b値)が不良になり、かつ、ポリエステルの耐熱性
が低下する。また前記モル比が0.25未満になると、
チタン化合物の量が過少となり、この反応析出物(触
媒)のポリエステル生成反応に対する触媒活性が不十分
となる。また、該反応析出物のポリエステル組成物中の
含有量は、チタン元素(Ti)の換算値として10〜2
00ppmの範囲にあることが必要である。この値が2
00ppmを超えると該反応析出物の量が過多となり、
ポリエステルの色調(b値)が不良になったり、ポリエ
ステルの耐熱性が低下したりする。他方、該含有量が1
0ppm未満だと、該反応析出物の量が過少となり、や
はりポリエステル生成反応に対する触媒活性が不十分と
なる。
【0025】さらにまた、該コアシェル構造の反応析出
物のポリエステル中の含有量は0.01〜10重量%で
ある。含有量が10重量%を超えると、ポリエステル中
での分散性が低下し、粗大粒子が発生しやすくなり、他
方、0.01重量%未満だと、例えば、フィルムとした
際に易滑性を付与できなかったり、目的とする結晶化速
度の促進効果が十分に得られなくなる。
【0026】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
を製造する方法について説明する。本発明における芳香
族ポリエステル樹脂は、それ自体公知の方法、例えば、
芳香族ジカルボン酸エステルとグリコールとをエステル
交換反応により反応させ後、重縮合反応を行う方法や、
芳香族ジカルボン酸とグリコールを脱水反応、いわゆる
直接エステル化反応させた後、重縮合反応を行う方法な
どで製造できる。
【0027】前記コアシェル構造の反応析出物(触媒)
の添加時期は、反応系の固有粘度が0.2に到達するま
でに添加するのが好ましい。なお、エステル交換反応を
経由する場合、前記コアシェル構造の反応析出物(触
媒)をエステル交換反応開始前に添加すると、エステル
交換反応触媒として利用でき、不要な触媒の添加を削減
できるので好ましく、さらにエステル交換反応を加圧下
で行うことは、より添加する反応析出物の量を少なくで
きるので好ましい。また、前記重縮合反応は、例えば2
30〜320℃の温度で、常圧下または減圧下(0.1
Pa〜0.1MPa)で、15〜300分間行なえばよ
い。
【0028】ところで、本発明では、熱可塑性ポリエス
テル樹脂組成物を製造する反応系に、必要に応じて、ト
リメチルホスフェートなどの安定剤を、任意の段階添加
てもよい。また、得られる熱可塑性ポリエステル樹脂組
成物のカラーを微調整するため、溶融熱安定性を過度に
低下させない範囲で、前記反応系にアゾ系、トリフェニ
ルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシ
アニン系等の有機青色顔料及び無機青色顔料の1種以上
からなる整色剤を任意の段階で添加してもよい。
【0029】このようにして得られた本発明の熱可塑性
ポリエステル樹脂組成物は、前述のとおり、前記コアシ
ェル構造の反応析出物が結晶核剤として機能するので結
晶化速度が速い。好ましい結晶化速度は、差動走査熱量
計によって測定される熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
の降温結晶化温度(Tcd)と昇温結晶化温度(Tc
i)との差(Tcd−Tci)で40℃以上、特に50
℃以上である。なお、このTcdとTciとの差は、大
きいほど結晶化速度が速いことを意味する。
【0030】ところで、本発明の熱可塑性ポリエステル
樹脂組成物は、前記芳香族ポリエステル樹脂のほかに、
表面平坦性、乾熱劣化性を損なわない程度であれば、例
えば滑剤,顔料,染料,酸化防止剤,光安定剤,遮光剤
(例えばカーボンブラック,酸化チタン等)の如き添加
剤を必要に応じて含有させてもよい。
【0031】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
を用いたフィルムについて、以下に詳述する。本発明の
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物をフィルムに成形する
手段は、それ自体公知の方法を好適に用いることができ
る。例えば、乾燥した本発明の熱可塑性ポリエステル樹
脂組成物を、(Tm)〜(Tm+65)℃(Tmは熱可
塑性ポリエステル樹脂組成物の融点℃である)の温度範
囲でシート状に溶融押出し、急冷固化して未延伸フィル
ム(シート)を得る。次いで該未延伸フィルムを縦方向
に延伸した後、横方向に延伸する、いわゆる縦・横逐次
二軸延伸法あるいは、この順序を逆にして延伸する方法
などにより延伸すればよい。この延伸温度、延伸倍率等
は公知の条件から適宜選ぶことができ、例えば、延伸温
度は70〜180℃の範囲から、また延伸倍率は面積延
伸倍率として9〜35倍の範囲から選択するのが好まし
い。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実
施例によって限定されるものではない。なお、実施例に
おける種々の物性および特性の測定方法、定義は以下の
通りである。また、実施例における「部」は、特に断ら
ない限り重量部を意味する。
【0033】(1)固有粘度 ポリエステル樹脂の固有粘度は、オルソクロロフェノー
ル溶液について、35℃において測定した粘度の値から
求めた。
【0034】(2)色調フィルムの色相 フィルムを縦10cm、横10cmの大きさに切り出
し、これを10枚重ねて白色の画用紙上に置く。これを
30人の熟練者が100Wの白熱灯の下で目視観察し、
フィルムの色相に関し官能評価を行い、以下の基準によ
り評価する。 ◎:フィルムの色に黄色味あるいは黒ずみを感じる人が
3人以下 ○:フィルムの色に黄色味あるいは黒ずみを感じる人が
4〜6人 △:フィルムの色に黄色味あるいは黒ずみを感じる人が
6〜10人 ×:フィルムの色に黄色味あるいは黒ずみを感じる人が
10人以上
【0035】(3)チタン元素量及びリン元素量 反応析出物中および熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中
のチタン及びリン元素の量は、リガク社製蛍光X線測定
装置3270を用いて測定した。
【0036】(4)ポリエステルの結晶化評価 サンプル10mgを採取しTA社製、Thermal
Analyst2200型にて、300℃の温度で3分
間溶融した後、氷水中に急冷する。この急冷試料を20
℃/分で昇温し、ガラス状態からの結晶化発熱ピーク温
度をもって冷結晶化温度(Tci)とし、同じように降
温時の結晶化発熱ピーク温度を降温結晶化温度(Tc
d)とした。そして、TcdとTciの差で評価する。
【0037】(5)反応析出物の平均粒径 株式会社島津製作所製、商品名「SACP−4L型セン
トリフュグル パーティクル サイズ アナライザー
(Centrifugal ParticleSize
Analyser)」を用い測定する。得られる遠心
沈降曲線を基に計算した各粒径の粒子とその存在量との
積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等
価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とする
(単行本「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、197
5年、頁242〜247参照)。
【0038】(6)熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中
の異物数評価 フィルムを偏光顕微鏡下で観察し、偏光のかかる箇所が
最長径で5μm以上の箇所を粗大突起とし、100cm
2当たりの個数を測定し次のように表示している。尚、
測定はn数=5回で実施した。 ◎:0 〜5 個(粗大突起数が少なく非常に良好であ
る。) ○:6 〜10個(粗大突起数はややあるが、実用上は
問題ない。) △:11〜20個(粗大突起数多く、実用上問題であ
る。) ×:20個以上 (粗大突起数非常に多く、実用上極め
て問題である。)
【0039】(7)紡糸口金に発生する付着物の評価 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物をチップとし、これを
300℃で溶融し、孔径0.3mmφ、孔数24個の紡
糸口金から15g/分吐出し、600m/分の引き取り
速度で2日間紡糸した。そして、口金の吐出口外縁に発
生する付着物の層の高さを測定した。なお、この付着物
層の高さが高いほど、吐出されたポリエステルメルトの
フィラメント状流にベンディングが発生しやすく、この
ポリエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金
に発生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形
性(特に繊維)の指標となる。
【0040】[実施例1] <反応析出物の調製>エチレングリコール5重量部に無
水トリメリット酸1.6重量部を溶解し、この溶液にチ
タンテトラブトキシド1.4重量部(後記ポリエステル
の製造に用いられる無水トリメリット酸のモル量を基準
として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気
中、常圧下、100℃に120分間保持してチタンテト
ラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させる。こ
の反応物をチタン化合物とする。
【0041】次に、エチレングリコール150重量部中
にフェニルホスホン酸4.2重量部を120℃に10分
間加熱して溶解し、このエチレングリコール溶液135
重量部に平均粒径0.1μmの真球状シリカ(日本触媒
化学工業製、KE−P10)を1.2重量部添加分散
し、さらにエチレングリコール40重量部を加えた後、
攪拌機付き丸底フラスコに入れ、攪拌下(回転数=12
0rpm)、前記チタン化合物を5重量部を120℃温
度下で滴下し、100分間、チタン化合物とフェニルホ
スホン酸とを反応させ、真球状シリカをコアに有するコ
アシェル構造の反応析出物を含む白色スラリーを得た。
この反応析出物の平均粒径は0.4μm、蛍光X線で測
定したチタン元素及びリン元素へ換算したモル比率は
0.7であった。
【0042】<熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造
>テレフタル酸166重量部とエチレングリコール73
重量部とを240℃においてエステル化反応させ、次い
で得られた反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ
入れ、重縮合触媒として、前記反応析出物のスラリー
1.8重量部(生成ポリエステル中、チタン元素換算値
として70ppm)を加え、得られた反応系を温度28
5℃、常圧で30分間加熱し、さらに上記温度において
4.0kPa(30mmHg)の減圧下で15分間加熱
して反応を進行させた後、反応系内を徐々に減圧にし、
上記温度において撹拌しながら120分間加熱して反応
を完了させた。このときの最終内温は285℃、最終内
圧は49.3Pa(0.37mmHg)であり、得られ
たポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.62で
あった。この結果を表1に示す。
【0043】<ポリエステルフィルムの製造>前記ポリ
エチレンテレフタレートのペレットを170℃で3時間
乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度295℃で
溶融し、この溶融ポリマーを1mmのスリット状ダイを
通して、表面仕上げ0.3s、表面温度20℃の回転冷
却ドラム上に押出し、200μmの未延伸フィルムを得
た。このようにして得られた未延伸フィルムを75℃に
て予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上方よ
り900℃の表面温度のIRヒーター1本にて加熱して
3.6倍に延伸し、続いてステンターに供給し、105
℃にて横方向に3.9倍に延伸した。得られた二軸配向
フィルムを210℃の温度で5秒間熱固定し、厚み14
μmの熱固定二軸配向フィルムを得た。このフィルムの
特性を表1に示す。
【0044】[実施例2]加圧反応が可能なSUS製容
器に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル
100部とエチレングリコール60部、及びエステル交
換反応触媒としての表1に示す量の実施例1の反応析出
物スラリーを添加し、0.05MPaの加圧を行い14
0℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応さ
せ、実質的にエステル交換反応を終了させた。その後、
反応混合物を重合反応器に移し、295℃まで昇温し2
6.7Pa以下の高真空下にて重縮合反応させて固有粘
度0.61のポリエチレンナフタレートを得た。
【0045】このポリエチレンナフタレートのペレット
を185℃で6時間乾燥した後、押出し機ホッパーに供
給し、溶融温度300℃で溶融し、この溶融ポリマーを
1mmのスリット状ダイを通して表面仕上げ0.3s程
度、表面温度20℃の回転冷却ドラム上に押出し、20
0μmの未延伸フィルムを得た。このようにして得られ
た未延伸フィルムを75℃にて予熱し、更に低速、高速
のロール間で15mm上方より900℃の表面温度のI
Rヒーター1本にて加熱して3.6倍に延伸し、続いて
ステンターに供給し、105℃にて横方向に3.9倍に
延伸した。得られた二軸配向フィルムを230℃の温度
で5秒間熱固定し、厚み14μmの熱固定二軸配向フィ
ルムを得た。このフィルム品質を表1に示す。
【0046】[比較例1]反応析出物の調製において真
球状シリカを添加分散しなかったのと、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂の製造において反応析出物のスラリーの添加
量を1.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様に
してポリエステル及びフィルムを得た。この結果を表1
に示す。
【0047】[比較例2]反応析出物の調製においてチ
タンテトラブトキシドの添加量を2.6重量部へ変更
し、次にポリエステル製造において反応析出物(A)ス
ラリーの添加量を0.9重量部へ変更する以外は、比較
例1と同様にしてポリエステル及びフィルムを得た。こ
の結果を表1に示す。
【0048】[比較例3]反応析出物の調製においてチ
タンテトラブトキシドの添加量を0.4重量部へ変更
し、次にポリエステル製造において反応析出物スラリー
の添加量を3.5重量部へ変更する以外は、実施例1と
同様にしてポリエステル製造しようとしたが、反応が遅
延したためポリエステル製造を中止し、その後の評価も
行わなかった。表1のポリエステル中のチタン換算量は
添加量からの理論値を記載する。
【0049】[比較例4]ポリエステル製造において反
応析出物スラリーの添加量を5.4重量部へ変更する以
外は、実施例1と同様にしてポリエステル及びフィルム
を得た。この結果を表1に示す。
【0050】[比較例5]ポリエステル製造において反
応析出物スラリーの添加量を0.2重量部へ変更する以
外は、実施例1と同様にしてポリエステル製造しようと
したが、反応が遅延したためポリエステル製造を中止
し、その後の評価も行わなかった。表1のポリエステル
中のチタン換算量は添加量からの理論値を記載する。
【0051】[比較例6]ポリエステル製造において反
応析出物スラリーの換わりに、酸化アンチモン(Sb2
3)を表1に示すように用いる以外は、実施例1と同
様にしてポリエステル及びフィルムを得た。この結果を
表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】ここで、表1中の比較例3および5は、エ
ステル化反応が遅延したため、その後の評価は実施せ
ず、比較例6は、チタン化合物の変わりにアンチモン化
合物をアンチモン元素換算で340ppmになるように
加えたものである。
【0054】表1の結果から明らかなように、本発明の
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、実質的にアンチモ
ン化合物の代わりにチタン化合物を触媒とすることで、
アンチモン化合物に起因する弊害を無くし、かつ、チタ
ン化合物を触媒として用いるにも関わらず、得られるポ
リエステルは色相や溶融熱安定性に優れ、しかも、結晶
化速度が速いことから優れた成形加工性を有し、フィル
ム、繊維またはボトル容器などの成形用原料として極め
て有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見延 信夫 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA41 AA45 AA46 AA60 AA67 AA84 AA88 AA89 AB03 AB18 AB21 AB24 AB25 AB26 AF02 AF11 AF34 AF45 AF53 AF57 AH04 AH05 AH19 BA01 BB06 BB08 BC01 BC04 BC06 4J002 BC022 CC182 CF031 CF061 CF081 CM042 CP032 DA016 DE096 DE136 DE146 DE236 DG046 DJ016 DJ036 FB072 FB076 FB082 FB086 FB166 FD050 FD202 FD206 GG00 GK00 GT00 4J029 AA03 AB01 AB04 AB07 AC01 AD01 AD06 AD10 AE02 AE03 BA02 BA03 BA04 BA05 BB04A BB05A BB10A BB12A BB13A BF23 CB04A CB05A CB06A CB12A CC05A CC06A CC09 DB03 EA02 FC08 FC36 FC38 HA00 HB00 HB06 JA021 JA023 JA091 JA093 JA111 JA113 JA121 JA123 JA281 JA283 JA291 JA293 JB131 JC411 JC561 JC571 JC751 JD03 JD05 JE053 JE182 JE193 JE213 JE223 JF143 JF163 JF223 JF251 JF333 JF353 KB05 KB25 KD06 KD07 KE02 KE03 KE05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン化合物とリン化合物の反応析出物
    を合成触媒として用いた芳香族ポリエステル樹脂からな
    り、反応析出物が以下の(1)〜(3) (1)構造が内部に不活性粒子を有するコアシェル構造
    で、平均粒径が0.01〜5μmの範囲にあること; (2)含有するチタン元素とリン元素のモル比が、1:
    4〜1:1の範囲にあること;および、 (3)ポリエステル樹脂組成物中の反応析出物の含有量
    が、反応析出物の重量で0.01〜10重量%の範囲に
    あり、チタン元素の含有量で10〜200ppmの範囲
    にあることを同時に具備することを特徴とする熱可塑性
    ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリエステル樹脂が、ポリエチレ
    ンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタ
    レンジカルボキシレートである請求項1記載の熱可塑性
    ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 チタン化合物が、チタンテトラブトキシ
    ド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロ
    ポキシド、チタンテトラエトキシド、オクタアルキルト
    リチタネートおよびヘキサアルキルジチタネートよりな
    る群より選ばれた少なくとも1種からなる請求項1記載
    の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 チタン化合物が、チタンテトラブトキシ
    ド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロ
    ポキシド、チタンテトラエトキシド、オクタアルキルト
    リチタネートおよびヘキサアルキルジチタネートよりな
    る群より選ばれた少なくとも1種と、芳香族多価カルボ
    ン酸またはその無水物とからなる請求項3記載の熱可塑
    性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 芳香族多価カルボン酸またはその無水物
    が、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロ
    メリット酸およびそれらの無水物よりなる群より選ばれ
    た少なくとも1種である請求項4記載の熱可塑性ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 リン化合物が、ホスホン酸誘導体または
    ホスフィン酸誘導体である請求項1記載の熱可塑性ポリ
    エステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 不活性粒子が、架橋シリコーン樹脂粒
    子、架橋ポリスチレン粒子、メラミン−ホルムアルデヒ
    ド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、三二酸化アル
    ミニウム粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ケイ素粒子、
    酸化ジルコニウム粒子、合成炭酸カルシウム粒子、硫酸
    バリウム粒子、ダイアモンド粒子およびカオリン粒子か
    らなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記
    載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑
    性ポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とするフ
    ィルム。
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