JP2003000774A

JP2003000774A - ゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JP2003000774A
Application number: JP2001185347A
Authority: JP
Inventors: Masaru Kono; 賢甲野
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 2001-06-19
Filing date: 2001-06-19
Publication date: 2003-01-07
Also published as: US20030013548A1; US6719645B2

Abstract

(57)【要約】【課題】耐久性を損ねることなく反発性能を向上す
る。【解決手段】ボールを打球するフェース面Ｆを有する
フェース部材１２と、このフェース部材１２を固着する
ヘッド本体１３とからなるゴルフクラブヘッドである。
前記フェース部材１２は、前記フェース面Ｆを形成する
基部７と、該基部７の前記フェース面Ｆの周縁Ｅの少な
くとも一部からヘッド後方に５〜３０mmの長さでのびる
延長部９とを含む。該延長部９の厚さを前記基部７の厚
さよりも小とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性を損ねるこ
となく反発性能を向上しうるゴルフクラブヘッドに関す
る。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】特開平
５−１５６２０号公報は、図８（Ａ）に示すように、ボ
ールを打球するフェース面ｆを有するフェース部材ｂ
と、このフェース部材ｂを固着するヘッド本体ｃとから
構成されたゴルフクラブヘッドａを提案している。前記
フェース部材ｂは、β型チタン合金を冷間プレスするこ
とにより、前記フェース面ｆを形成する基部ｂ１と、該
基部ｂ１からヘッド後方に折れ曲がってのびる延長部ｂ
２とを一体に具えた断面がコ字状に形成されている。

【０００３】このようなヘッドａは、ヘッド本体ｃとフ
ェース部材ｂとの接合部ｊがフェース面ｆの周縁Ｅより
もヘッド後方側へ寄るため、打球時の衝撃による前記接
合部ｊへの応力集中の緩和がある程度期待できる。しか
しながら、発明者らの解析の結果、前記延長部ｂ２の長
さが適切でないとかかる効果は十分に期待できないこと
が判明した。

【０００４】また前記ヘッドａは、β型チタン合金の板
材を冷間プレスにより折り曲げ成形されたものであるか
ら、通常、基部ｂ１と延長部ｂ２とは実質的に同一の厚
さになる。この場合、β型チタン合金の板材は、ボール
を打撃する基部ｂ１に要求される強度に見合った厚さの
ものが選択されるが、この厚さは、クラウン部やソール
部の一部を構成する延長部ｂ２にとっては過大のものと
なり易い。即ち、このようなヘッドａでは、延長部ｂ２
によってフェース面ｆの周辺領域の剛性が過度に高めら
れてしまい、フェース部の撓み特性が損なわれ反発性能
が低下して打球の飛距離向上が得られない傾向がある。
他方、図８（Ｂ）のように、フェース部材ｂを薄い板材
から形成したときには、ヘッドの反発性能を高めること
はできるが、基部ｂ１において強度が得られず、ヘッド
の耐久性を損ねるという問題がある。

【０００５】本発明、以上のような問題点に鑑み案出な
されたもので、フェース部材を、フェース面を形成する
基部と、前記フェース面の周縁の少なくとも一部から一
定長さでヘッド後方にのびる延長部とを一体として形成
するとともに、延長部の厚さを前記基部の厚さよりも小
とすることを基本として耐久性を損ねることなく反発性
能を向上しうるゴルフクラブヘッドを提供することを目
的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項１記
載の発明は、ボールを打球するフェース面を有するフェ
ース部材と、このフェース部材を固着するヘッド本体と
からなるゴルフクラブヘッドであって、前記フェース部
材は、前記フェース面を形成する基部と、前記フェース
面の周縁の少なくとも一部から５〜３０mmの長さでヘッ
ド後方にのびる延長部とを一体に具えるとともに、該延
長部の厚さを前記基部の厚さよりも小としたことを特徴
としている。

【０００７】また請求項２記載の発明は、前記延長部
は、クラウン面の一部を形成するクラウン部側の延長部
と、ソール面の一部を形成するソール部側の延長部とを
含むことを特徴とする請求項１記載のゴルフクラブヘッ
ドである。

【０００８】また請求項３記載の発明は、前記フェース
面の中心点を通りかつ該フェース面と直角な垂直面での
ヘッド切断面において、フェース面の上の周縁から該フ
ェース面に沿って５mmの距離を隔てるフェース面上の点
Ａ１の厚さｔａ１と、前記上の周縁から前記クラウン部
側の延長部に沿って５mmの距離を隔てるクラウン部側の
延長部上の点Ｂ１での厚さｔｂ１との差Δｔ１（＝ｔａ
１−ｔｂ１）が１．０〜２．５mmであることを特徴とす
る請求項２記載のゴルフクラブヘッドである。

【０００９】また請求項４記載の発明は、前記フェース
面の中心点を通りかつ該フェース面と直角な垂直面での
ヘッド切断面において、フェース面の下の周縁から該フ
ェース面に沿って５mmの距離を隔てるフェース面上の点
Ａ２の厚さｔａ２と、前記下の周縁から前記ソール部側
の延長部に沿って５mmの距離を隔てるソール部側の延長
部上の点Ｂ２での厚さｔｂ２との差Δｔ２（＝ｔａ２−
ｔｂ２）が１．０〜２．５mmであることを特徴とする請
求項２又は３に記載のゴルフクラブヘッドである。

【００１０】また請求項５記載の発明は、前記フェース
部材は、β型チタン合金からなることを特徴とする請求
項１乃至４のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドであ
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図１は本発明の実施形態に係るゴル
フクラブヘッドの斜視図、図２は、その分解斜視図、図
３はヘッドの断面図をそれぞれ例示している。図におい
て、ゴルフクラブヘッド（以下、単に「ヘッド」という
ことがある。）１は、ボールを打撃するフェース面Ｆを
表面とするフェース部２と、ヘッド上面をなすクラウン
部３と、ヘッド底面をなすソール部４と、前記クラウン
部３とソール部４との間をのびヘッド側面を形成するサ
イド部５と、図示しないシャフトが装着されるネック部
６とを具えたものが例示される。また本例のヘッド１
は、金属材料からなりかつ内部を中空としたウッド型の
ものが示される。

【００１２】また図２に示すように、本実施形態のヘッ
ド１は、前記フェース面Ｆを有するフェース部材１２
と、このフェース部材１２と本例では溶接により固着さ
れて該ヘッド１を形成するヘッド本体１３とからなり、
２つのパーツを接合することにより構成される所謂２ピ
ース構造のものを例示する。このような２ピース構造
は、溶接箇所を減じて生産工程数を削減し生産性を向上
し得るほか、寸法や角度のバラツキなどを抑制するのに
も役立つ。

【００１３】前記ヘッド本体１３は、クラウン部３の主
要部をなすクラウン基体部１４と、ソール部４の主要部
をなすソール基体部１５と、前記クラウン基体部１４と
ソール基体部１５との間を継ぎかつヘッド周囲をなすサ
イド基体部１６と、前記ネック部６とを一体に具えると
ともに、前面に前記フェース部材１２が配される開口部
Ｏを有するものが示される。開口部Ｏには、前記フェー
ス部材１２を仮保持しうる爪片１７などを適宜設け、接
合時の作業性を向上できる。なおネック部６は、円形の
シャフト差込孔６ａが内部に形成されており、ヘッド１
を規定のライ角に傾ける際にはこのシャフト差込孔６ａ
の軸中心線ＣＬ（図４に示す）を基準としうる。

【００１４】またヘッド本体１３は、例えばアルミニウ
ム合金、チタン、チタン合金、ステンレスなどの各種の
金属材料により形成することができる。本例ではα＋β
型チタン合金であるＴｉ−６Ａｌ−４Ｖが採用され、ロ
ストワックス精密鋳造法によって前記各部が一体成形さ
れたものを例示している。このため、ソール基体部１５
に対してネック部６を精度良く成形することができ、ラ
イ角などのバラツキを減じるのに効果がある。ただし、
ヘッド本体３は、このような態様に限定されるものでは
なく、他の種々の材料を用いることや、また２以上のパ
ーツを溶接等により接合して形成されるものなど種々の
態様を含むことができる。

【００１５】前記フェース部材１２は、前記フェース面
Ｆを形成する基部７と、前記フェース面Ｆの周縁Ｅの少
なくとも一部から５〜３０mmの長さＤでヘッド後方にの
びる延長部９とを一体に具えて構成される。

【００１６】前記基部７は、本例では前記フェース部２
の実質的に全域を形成する板状のものが例示されるが、
必ずしもフェース部４の全域を形成する必要はない。前
記延長部９は、本実施形態では、クラウン部３の表面で
あるクラウン面３ａの一部を形成するクラウン部側の延
長部９ａと、ソール部４の表面であるソール面４ａの一
部を形成するソール部側の延長部９ｂとを含み、図３に
示す如く本例では断面略コ字状に形成されたものを示
す。また延長部９としては、サイド部５の表面であるサ
イド面５ａの一部を形成するサイド部側の延長部９ｃな
どを設けることもできる。前記基部７と延長部９とは、
溶接等により接合されているのではなく、プレス等によ
る曲げ加工、鋳造又は鍛造等によって一体に構成されて
いる。

【００１７】発明者らの種々の解析の結果、打球時にボ
ールの反発に影響を与えるヘッドの振動は、主にフェー
ス面Ｆを主体とする振動であり、効果的な反発をボール
に与えるためには、フェース面Ｆの周縁の剛性を低く設
定するのが良いことが判った。一方、前記延長部９とヘ
ッド本体１３との溶接による接合部ｊは、ヘッド内部に
残存する溶接ビード（図示省略）によって厚さが増し、
その部分の剛性を高めるなどヘッドの固有振動数を大と
し反発性能を低下させる傾向がある。

【００１８】本発明では、前記延長部９のヘッド後方へ
の長さＤを５mm以上に限定することによって、前記接合
部ｊをフェース面Ｆの周縁Ｅからヘッド後方により遠ざ
け、ヘッド１の反発性能の低下を抑制する。このような
観点より、特に好ましくは、延長部９の長さＤを１０mm
以上、さらに好ましくは１５mm以上とするのが望まし
い。前記長さＤが５mm未満では、かかる効果は得ること
ができない。また接合部ｊをヘッド後方へと離隔しうる
ことにより、フェース面Ｆに生じた打球時の衝撃力は延
長部９を伝達する際に減衰されて接合部ｊに作用するた
め、接合部ｊを起点とする損傷の防止にも役立つ。

【００１９】他方、前記延長部９の長さＤが大きすぎる
と、例えば鍛造、プレス等の塑性加工によってフェース
部材１２を成形するのが困難となり、生産性を低下させ
るおそれがある。かかる観点より、延長部９の前記長さ
Ｄは３０mm以下、特に好ましくは、前記下限値のいずれ
かとの組み合わせにおいて、２８mm以下、さらに好まし
くは２５mm以下とするのが望ましい。

【００２０】前記延長部９の長さＤは、図４、図５に示
すように、ヘッド１の測定状態において、前記フェース
面Ｆの中心点Ｆｃを通りかつ該フェース面Ｆと直角（フ
ェース面Ｆの中心点ＦＣで害フェース面Ｆに接する平面
と直角であることを意味する。）な垂直面ＶＰでのヘッ
ド切断面（これを図３に示している。）において水平方
向に測定するものとし、この断面で前記長さＤの規定を
満たすものであれば良い。この部分が特に打球時の影響
を受け易いためである本例ではクラウン部側の延長部９
ａ、ソール部側の延長部９ｂは、図６に示すように、い
ずれも前記切断面近傍で長さＤを最大とし、トウ及びヒ
ール側の端部で徐々に長さＤが減少するものを例示す
る。そして、各延長部９ａ、９ｂは、ヒール側の端部分
を除いた実質的な全域で前記長さＤの規定を充足してい
る。

【００２１】本明細書において前記「ヘッドの測定状
態」とは、前記シャフト差込孔６ａの軸中心線ＣＬを垂
直面内に配しかつ規定のライ角βで傾けるとともに、フ
ェース面Ｆを該ヘッド１のロフト角として水平面ＨＰに
載置した状態とする。また「フェース面の中心点Ｆｃ」
は、図４に示すように、ヘッドの測定状態において、フ
ェース高さｈの中間点を通る水平面Ｐ１と、フェース幅
ｗの中間点を通る垂直面Ｐ２とが交わる交線がフェース
面Ｆと交差する点として定める。また前記フェース部の
周縁は、図７（Ａ）に示す如く、前記スイートスポット
点ＳＳを通るフェース面Ｆに対する接線（図７（Ａ）で
は、ＡないしＤの４本のみを例示）Ｒを引くとともに、
同図（Ｂ）、（Ｃ）に示すように、この各接線Ｒに対し
て４５゜の角度でヘッド後方へと広がる傾斜線Ｕを引
き、この傾斜線Ｕとヘッド表面とが交わる交点を連続し
て求めて特定しうる。なお符号Ｇはヘッド重心、同Ｋは
該ヘッド重心Ｇからフェース面Ｆに引いた法線であり、
この法線Ｋとフェース面Ｆとの交点をスイートスポット
点ＳＳとなる。

【００２２】また本発明においては、延長部９の厚さを
前記基部７の厚さよりも小に形成する。このように、延
長部９の厚さを基部７の厚さよりも小とすることによ
り、ボールと直接衝突する基部７の強度を確保しつつ延
長部９について不必要に剛性を高めることが防止でき
る。従って、ヘッドの耐久性を損ねることなく反発性能
を向上しうる。

【００２３】より好ましくは、図３に示した前記ヘッド
切断面において、フェース面Ｆの上の周縁Ｅａから該フ
ェース面Ｆに沿って５mmの距離を隔てるフェース面上の
点Ａ１での厚さｔａ１と、前記上の周縁Ｅａから前記ク
ラウン部側の延長部９ａに沿って５mmの距離を隔てるク
ラウン部側の延長部上の点Ｂ１での厚さｔｂ１との差Δ
ｔ１（＝ｔａ１−ｔｂ１）が１．０〜２．５mm、より好
ましくは１．２〜２．０mm、さらに好ましくは１．３〜
１．５mmとすることが望ましい。

【００２４】同様に前記ヘッド切断面において、フェー
ス面Ｆの下の周縁Ｅｂから該フェース面Ｆに沿って５mm
の距離を隔てるフェース面上の点Ａ２での厚さｔａ２
と、前記下の周縁Ｅｂから前記ソール部側の延長部に沿
って５mmの距離を隔てるソール部側の延長部上の点Ｂ２
での厚さｔｂ２との差Δｔ２（＝ｔａ２−ｔｂ２）が
１．０〜２．５mm、より好ましくは１．０〜２．０mm、
さらに好ましくは１．３〜１．５mmとすることが望まし
い。

【００２５】ヘッドの前記各点Ａ１、Ａ２、Ｂ１、Ｂ２
をフェース面Ｆの周縁Ｅから５mmの距離を隔てる点とし
たのは、通常、夫々、基部７、延長部９を代表する厚さ
となり得るためである。即ち、周縁Ｅから５mmよりも内
側の領域は、研磨時の手癖や形状を整えるために厚さが
変化する傾向が強いという理由に基づいている。そし
て、このように基部７の厚さと延長部９の厚さとを規制
することによって、より効果的にヘッド１の耐久性と反
発性能とをバランス良く向上できる。

【００２６】基部７の厚さｔａ１又はｔａ２（以下、総
称するとき、単に符号「ｔａ」を用いる。）は、特に限
定はされないが例えば１．８〜３．５mm、より好ましく
は２．０〜３．０mmで形成されるのが望ましい。該基部
７の厚さｔａが１．８mm未満であると、打球時の衝撃等
により、該基部７に割れや凹みといった損傷ないし塑性
変形が生じるおそれがあり、逆に３．５mmを超えると、
ヘッド重量が増大化したり、反発性能が悪化しやすい傾
向がある。

【００２７】また延長部９の厚さｔｂ１又はｔｂ２（以
下、総称するとき、単に符号「ｔｂ」を用いる。）も、
特に限定はされないが例えば０．５〜１．７mm、より好
ましくは０．５〜１．２mm、さらに好ましくは０．７〜
１．０mmで形成されるのが好ましい。これにより、延長
部９の長さＤの限定との相乗作用によって、より効果的
にフェース部２の周縁付近の強度を維持しつつ剛性を低
下させることができ、フェース部４の反発性能をさらに
向上しうる。なお延長部９の前記厚さが０．５mm未満に
なると、過度に強度が低下したり、また溶接が困難とな
る傾向がある。

【００２８】前記フェース部材１２としては、各種の金
属材料を用いうるが、本例ではβ型チタン合金から形成
されたものを例示している。β型チタン合金は、チタン
に固溶してβ相を安定化させる元素、例えばバナジウム
（Ｖ）又はモリブデン（Ｍ）を含み、室温でβ型結晶が
準安定状態で存在しうるもので、例えばＴｉ−１５Ｖ−
３Ｃｒ−３Ａｌ−３Ｓｎ、Ｔｉ−２２Ｖ−４Ａｌ、Ｔｉ
−１５Ｍｏ−５Ｚｒ−３Ａｌ、Ｔｉ−１０Ｖ−２Ｆｅ−
３Ａｌ、Ｔｉ−１３Ｖ−１１Ｃｒ−３Ａｌ、Ｔｉ−８Ｍ
ｏ−８Ｖ−２Ｆｅ−３Ａｌ、Ｔｉ−３Ａｌ−８Ｖ−６Ｃ
ｕ−４Ｍｏ−４Ｚｒ、Ｔｉ−１１．５Ｍｏ−６Ｚｒ−
４．５Ｓｎ、又はＴｉ−１５Ｍｏ−５Ｚｒ等が挙げられ
るが、本例ではＴｉ−１５Ｖ−３Ｃｒ−３Ａｌ−３Ｓｎ
を用いている。

【００２９】またフェース部材１２は、基部７と延長部
９とを一体形成したものであれば、プレスフォーミング
成形品、鋳造成形品、又は鍛造成形品など種々採用で
き、用いる金属材料に適した種々の方法を採用すること
ができる。本例では鋳造が困難なβ型チタン合金を用い
ているため鍛造により成形している。なおプレスにてフ
ェース部材１２を加工する際には、予め厚さが異なる板
材を折り曲げ加工することにより形成できる。

【００３０】以上本発明の実施形態について説明した
が、延長部９は、上記の実施形態に限定されるものでは
なく、例えば基部７のヒール側にも設けることもでき
る。またクラウン部側の延長部９ａのみとすること、ま
たソール部側の延長部９ｂのみとすることもできる。ま
たクラウン部側の延長部９ａとソール部側の延長部９ｂ
とで長さを違えることもできる。さらに上記実施形態で
はウッド型のゴルフクラブヘッドを例に挙げ説明した
が、本発明はこのような形態に限定されるものではな
く、中空部を有するヘッドであれば、アイアン型やユー
ティリティ型、パター型などについても適用することが
可能である。

【００３１】

【実施例】本発明の効果を確認するために表１の仕様に
よりゴルフクラブヘッドを試作し、各種のテストを行っ
た。実施例のヘッドの共通仕様は次の通りである。ヘッド質量：１８５ｇクラウン部の厚さ：１．０mm ソール部の厚さ：１．３mm サイド部の厚さ：１．０mm ロフト角：１０゜ライ角：５６゜フック各２．５゜ヘッド本体：Ｔｉ−６Ａｌー４Ｖのロストワックス精密
鋳造品フェース部材：クラウン部側の延長部とソール部側の延
長部とを有し、長さＤ、厚さは同一に設定した。テスト
方法は、次の通りである。

【００３２】＜耐久テスト１＞各供試ヘッドを移動不能
に治具で固定するとともに、ゴルフボール（住友ゴム工
業（株）製／ＭＡＸＦＬＩＨＩ−ＢＲＩＤ）を速度５
５ｍ／ｓで前記ヘッドのフェース面に垂直に衝突させ、
これを３００回繰り返してフェース面の損傷具合を目視
により観察した。

【００３３】＜耐久テスト２＞各供試ヘッドにＦＲＰ製
の同一のシャフトを装着し４５インチのウッド型ゴルフ
クラブを試作するとともに、該クラブをスイングロボッ
トに取り付け、ヘッドスピードが５０ｍ／ｓとなるよう
に調節して上記ゴルフボールを各クラブ毎に３０００球
づつ打撃し、フェース面の凹み量を測定した。

【００３４】＜反発性能＞Ｕ．Ｓ．Ｇ．Ａ．の Procedu
re for Measureing the Velocity Ratio of a Club Hea
d for Conformance to Rule 4-1e, Revision 2 (Februa
ry 8, 1999) に類似して行った。具体的にはゴルフボー
ルをボール発射装置を用いて発射し、台座上に固着する
ことなく載置されたヘッドのフェース部のスイートスポ
ットに衝突させ、ゴルフボールの衝突直前の入射速度Ｖ
ｉと跳ね返り速度Ｖｏとを測定する。そして、ゴルフボ
ールの入射速度をＶｉ、跳ね返り速度をＶｏ、ヘッド質
量をＭ、ゴルフボールの平均質量をｍとした場合に、次
式により反発係数ｅを算定した。（Ｖｏ／Ｖｉ）＝（ｅＭ−ｍ）／（Ｍ＋ｍ）なおゴルフボールの発射口からフェース部までの距離は
１ｍとし、ボールがヘッドのスイートスポットの位置か
ら５mm以上離れない位置でかつフェース面に対して直角
に衝突させる。またゴルフボールはタイトリスト社製の
ピナクルゴールドを使用し、ボール初速は４８．７７ｍ
／ｓに設定した。速度センサーの位置は、ヘッドから３
６０．２mm、同６３５mmに設置した。テストの結果など
を表１に示す。

【００３５】

【表１】

【００３６】テストの結果、実施例のものは比較例に比
べると、明らかに耐久性、反発性能とも良好な結果を示
していることが確認できた。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、フェ
ース部材を、フェース面を形成する基部と、フェース面
の周縁の少なくとも一部から一定長さでヘッド後方にの
びる延長部とを含む。これにより、剛性が大となり易い
ヘッド本体と延長部との接合部をフェース面の周縁から
ヘッド後方に所定の距離で遠ざけることができる。これ
により、ヘッドの反発性能の悪化が抑制される。またフ
ェース面に生じる打球時の衝撃力は、減衰されて前記接
合部に作用するため、接合部での割れ等の発生を防止す
るのに役立つ。また延長の長さが一定範囲に限定されて
いるため、フェース部材を鍛造やプレスによって容易に
成形することが可能になる。さらに本発明では、延長部
の厚さを基部の厚さよりも小とすることにより、ボール
と直接衝突する基部の強度を確保しつつ延長部について
不必要に剛性を高めることを防止できる。従って、ヘッ
ドの耐久性を損ねることなく反発性能を向上しうる。

【００３８】また請求項２記載の発明のように、前記延
長部は、クラウン面の一部を形成するクラウン部側の延
長部と、ソール面の一部を形成するソール部側の延長部
とを含むときには、より効果的にヘッドの耐久性と反発
性能とをバランス良く向上できる。

【００３９】また請求項３又は４記載の発明のように、
延長部の厚さと基部の厚さとの差Δｔを一定範囲に限定
することにより、効果的にヘッドの耐久性と反発性能と
をバランス良く向上しうる。

【００４０】また請求項５記載の発明のように、フェー
ス部材を高い強度を有するβ型チタン合金から形成した
ときには、さらに耐久性と反発性能を向上しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施形態のヘッドの斜視図である。

【図２】その分解斜視図である。

【図３】ヘッドの断面図である。

【図４】フェース中心を説明するヘッドの正面図であ
る。

【図５】ヘッドの測定状態を説明する斜視図である。

【図６】ヘッドの測定状態を示す平面図である。

【図７】（Ａ）〜（Ｃ）は、フェース面の周縁を説明す
るヘッドの断面図である。

【図８】（Ａ）、（Ｂ）は従来のゴルフクラブヘッドの
断面図である。

【図９】比較例のヘッドの断面図である。

【符号の説明】

１ゴルフクラブヘッド２フェース部３クラウン部４ソール部５サイド部６ネック７基部９延長部９ａクラウン側の延長部９ｂソール側の延長部１２フェース部材１３ヘッド本体Ｆフェース面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ボールを打球するフェース面を有するフェ
ース部材と、このフェース部材を固着するヘッド本体と
からなるゴルフクラブヘッドであって、前記フェース部材は、前記フェース面を形成する基部
と、前記フェース面の周縁の少なくとも一部から５〜３
０mmの長さでヘッド後方にのびる延長部とを一体に具え
るとともに、該延長部の厚さを前記基部の厚さよりも小としたことを
特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項２】前記延長部は、クラウン面の一部を形成す
るクラウン部側の延長部と、ソール面の一部を形成する
ソール部側の延長部とを含むことを特徴とする請求項１
記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項３】前記フェース面の中心点を通りかつ該フェ
ース面と直角な垂直面でのヘッド切断面において、フェース面の上の周縁から該フェース面に沿って５mmの
距離を隔てるフェース面上の点Ａ１の厚さｔａ１と、前
記上の周縁から前記クラウン部側の延長部に沿って５mm
の距離を隔てるクラウン部側の延長部上の点Ｂ１での厚
さｔｂ１との差Δｔ１（＝ｔａ１−ｔｂ１）が１．０〜
２．５mmであることを特徴とする請求項２記載のゴルフ
クラブヘッド。
【請求項４】前記フェース面の中心点を通りかつ該フェ
ース面と直角な垂直面でのヘッド切断面において、フェース面の下の周縁から該フェース面に沿って５mmの
距離を隔てるフェース面上の点Ａ２の厚さｔａ２と、前
記下の周縁から前記ソール部側の延長部に沿って５mmの
距離を隔てるソール部側の延長部上の点Ｂ２での厚さｔ
ｂ２との差Δｔ２（＝ｔａ２−ｔｂ２）が１．０〜２．
５mmであることを特徴とする請求項２又は３に記載のゴ
ルフクラブヘッド。
【請求項５】前記フェース部材は、β型チタン合金から
なることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載
のゴルフクラブヘッド。