JP2003000174A - おから加工食品およびその製造方法 - Google Patents
おから加工食品およびその製造方法Info
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Abstract
る。 【解決手段】 おから加工食品は、おからと1種または
2種以上の澱粉質材料とを、おから100重量部に対し
て澱粉質材料1〜100重量部の割合で混合した混合原
料を、加熱するとともに、該混合原料の水分量を30〜
55%に調整する前処理工程、前記前処理工程で水分調
整した混合原料に麹菌を接種して発酵させる発酵工程、
前記発酵工程で発酵させた発酵物の水分除去を行う乾燥
工程を経て製造される。さらに、この後焙煎処理を行
う。
Description
せてなるおから加工食品およびその製造方法に関する。
豊富に含む良質の食品であり、その加工品である豆腐、
味噌、醤油、納豆は日本人の食生活に日常的に取り入れ
られている。
ガン細胞増殖抑制、骨密度減少阻止、動脈硬化抑制、更
年期障害緩和等に効果のあるイソフラボンおよびその誘
導体が豊富に含有していることが知られている。さら
に、近年の研究により、イソフラボンは、大豆の発酵に
よって分子表面の糖鎖が切れてアグリコン(ゲニステイ
ン)になると、体内への吸収率が高まって上記作用が助
長されることも解明されている。
いては、豆乳を絞った後に副産物としておからができ
る。後掲の表1に示すとおり、おからは豆乳以上に栄養
分や繊維質を豊富にかつバランス良く含んでいる。しか
も、上述したイソフラボンを多く含む胚芽部分はおから
に残留している。
ソフラボンを豊富に含みしかも安価であるにも拘わら
ず、おからは食材としてあまり利用されておらず、その
大半は肥料や飼料として使用されるかあるいは廃棄され
ているのが現状である。その原因としては、日本人の嗜
好が変化したこと、含水量が多いために保存性が悪いこ
と、食味や風味の点で食品として流通させるには調理や
加工が必要であることなどが考えられる。
ソフラボンを豊富に含む極めて有用な食材であることか
ら、おいしくまた流通面でも扱いやすい食品への加工方
法が模索されている。
て、食味や風味の良いおから加工食品およびその製造方
法の提供を目的とする。
に、この発明のおから加工食品は、おからと1種または
2種以上の澱粉質材料とを含む混合原料を麹菌によって
発酵させてなることを基本要旨とする。
とが好ましい。
処理されたおから加工食品を水に浸して有効成分を浸出
させてなるものである。
法は、おからと1種または2種以上の澱粉質材料とを、
おから100重量部に対して澱粉質材料1〜100重量
部の割合で混合した混合原料を、加熱するとともに、該
混合原料の水分量を30〜55%に調整する前処理工
程、前記前処理工程で水分調整した混合原料に麹菌を接
種して発酵させる発酵工程、前記発酵工程で発酵させた
発酵物の水分除去を行う乾燥工程、を備えることを基本
要旨とする。
処理を施すことが好ましい。
豆、マッペ、ふすまのうちのいずれかであることが好ま
しい。
しい。
して澱粉質材料2〜50重量部が混合されてなることが
好ましい。
の多量の水分を含んでいるため、麹菌の生育に適してお
らず発酵困難な水分環境である。また、大豆は豆類の中
でも脂質およびタンパク質を多く含んでいるが、おから
と豆乳との脂質量およびタンパク質量を比べると、大豆
中のこれらの多くがおからに移行していることがわか
る。そして、この脂質およびタンパク質の含有も発酵を
妨げる要因となっている。
分、脂質、タンパク質によって発酵困難な原料である。
これに対し、この発明のおから加工食品の製造方法で
は、そのままでは発酵困難なおからに対し、発酵の前段
階の前処理工程において、発酵を促すために澱粉質材料
を加えるとともに水分量を調整している。
される澱粉質材料は、麹菌の培地となって菌の生育を促
し、発酵しにくいおからの発酵を促進する。澱粉質材料
の配合量は、おから100重量部に対して1〜100重
量部とする。1重量部未満では発酵を促進するに至ら
ず、一方100重量部を越えて多量に配合すると、製造
した食品においておからの有効成分が相対的に減少する
ためである。澱粉質材料量の好ましい配合量は2〜50
重量部であり、特に好ましい配合量は5〜20重量部で
ある。
精製したもののみを意味するのではなく、米、麦、トウ
モロコシ等の穀類、小豆、マッペ等の糖質を多く含む豆
類、芋類等の澱粉を豊富に含む材料を意味し、ぬか、ふ
すま、豆の脱皮殻をも含み、1種または任意の2種以上
を併用することができる。澱粉質材料は、おからの水分
を吸収しかつ加熱することを勘案して、混合加熱状態に
おいても混合原料が団子様の大きな塊にならず、粒状や
細塊状となるものが好ましい。大きな塊状になると、次
の発酵工程で麹菌を接種しても空気が内部まで行き渡ら
ないために、麹菌の生育が阻害されて発酵が進まない。
また、嫌気性発酵により混合原料を腐敗させるおそれも
ある。このような観点で、澱粉質材料としては、小豆、
もやしの原料豆であるマッペ、ふすまが好ましく、さら
に小豆が最も好ましい。
熱することによって澱粉質材料のα化、雑菌の殺菌を行
うとともに、過剰な水分を除去して発酵に適した水分量
に調整する。加熱温度は80〜120℃が好ましく、特
に90〜110℃が好ましい。また、この加熱によっ
て、混合原料の水分量を麹菌の好適生育条件である30
〜55%に調整する。好ましい水分量は35〜50%で
あり、特に好ましい水分量は40〜45%である。加熱
は所定水分量になるまで行い、加熱時間はおからの水分
量、澱粉質材料の水分量および配合量に依存して変動
し、30〜180分程度である。澱粉質材料のα化およ
び殺菌は、水分量が所定範囲にまで調整される間に遂行
されているが、不十分であれば適宜延長する。この間に
水分が過剰に除去されるようであれば適宜補給する。な
お、おからの水分は、澱粉質材料と混合する前に適宜除
去しても良い。
た加熱釜内に蒸気を導入しながら、真空引きによって蒸
発した水分を除去する方法、加熱釜を外部からヒータで
加熱しながら蒸発した水分を排気する方法等を例示でき
る。
料に麹菌を接種して発酵させる。
豆の発酵に適した麹菌が好ましく、味噌の醸造に用いら
れる味噌用麹菌が好ましい。具体的には、黄麹菌の一種
であるAspergillus Oryzaeを推奨できる。麹菌は、種菌
のみを接種しても良いし、培地とともに接種しても良
い。
35℃に加温することが好ましく、前記水分量を維持で
きる湿度に調整する。この加温によって混合原料を約5
〜48時間で発酵させる。発酵中は、特に攪拌する必要
は無く静置しておけば良い。むしろ、静置状態で発酵さ
せることによって、水分の蒸発による水分量低下と温度
低下を防いで安定した発酵環境を維持することができ
る。
除去を行う。
加工方法に適した水分量に調整することであって、必ず
しも所謂「乾物」状態になるまで水分除去を行う必要は
なく、乾燥の程度は任意に設定することができる。ただ
し、後工程で焙煎処理を行う場合や食品の保存性を高め
るためには、食品中の水分量は15%以下が好ましい。
もに食品を変性させないために80〜120℃に加熱し
て行うことが好ましい。また、加熱することで発酵は完
全に停止しかつ殺菌できるから、食品としての安全性お
よび安定性を高めることができる。また、乾燥によって
湿潤臭を取り除き、食品としての食味や風味を良くする
ことができる。加熱時間は、目的の水分量に従う。
食品は、そのまま単独で食する他、揚げ物、パン、菓子
類の調理加工品の主材料として、あるいはイソフラボン
による作用を与え、タンパク質、ミネラル分、食物繊維
等の栄養分を強化するための副材料として用いることが
できる。おから加工食品をそのまま単独食品として利用
する場合、粉末で食する他、微細粉末に粉砕した後に押
し固めて錠剤に加工したり、カプセルに充填して利用す
ることもできる。
意に焙煎処理を施すことが好ましい。焙煎処理は、食品
に香ばしさを与え、発酵臭や大豆臭を消して食味や風味
を倍加させる。また、焦げ色を付けることで視覚的にも
風味を倍加させることができる。また、焙煎時の加熱で
さらに水分が除去されるから、より一層保存性が高ま
る。焙煎処理は、焙煎釜への直接加熱やオーブン内での
雰囲気加熱によって適宜行い、全体が均一に加熱される
ように適宜揺動させながら加熱することが好ましい。な
お、焙煎すると熱によってイソフラボンが減少するおそ
れがあるため、イソフラボンの効果を最大限に得ようと
する用途では、焙煎前の状態で利用することが好まし
い。
た単独食品、調理加工品の主材料または副材料として用
いた場合に、その調理加工品の食味や風味を倍加させ
る。
または湯に浸し、その浸出液をおから加工飲料として利
用することができる。この浸出液にはおから加工食品中
の各種水溶性有効成分が含まれているから、これらの有
効成分を飲料としても摂取することができる。
た。
質材料として粉砕した小豆10kgとを混合した混合原
料を加熱釜に投入し、該加熱釜の回転により混合原料を
攪拌しながら加熱した。加熱は、該加熱釜内に100℃
の蒸気を導入することによって行い、同時に真空引きす
ることで混合原料から蒸発した水分を除去して水分調整
を行った。この方法で100分間加熱することによっ
て、混合原料中の水分は43%となり、混合原料は湿潤
した粒状となった。
30℃まで放冷したのち、麹菌ASPERGILLUS ORYZAE
(今野もやし株式會社製、味噌用麹菌、商品名「今野
菌」)50gを均一に接種し、木製発酵槽内で発酵させ
た。発酵は25〜30℃に保持して静置状態で行い、発
酵時間は20時間とした。
し、外部からヒータで加熱するとともに攪拌しながら、
水分を除去して水分量5%まで乾燥させた。この乾燥物
の成分分析を行ったところ、イソフラボン誘導体の含有
量は下記表2に示すものであった。
250℃で15分間焙煎して、おから加工食品を得た。
この焙煎したおから加工食品は、焦げ茶色を呈する香ば
しいものであった。
を沸騰水150mlに浸し、室温で1分間放置しておから
加工飲料とした。このおから加工飲料について、表3に
示す各項目について分析を行った。
才の男女100人に10日間試飲させ、次項目について
調査した。()内は回答人数である。 (1)味 :おいしい(60)、ふつう(31)、まずい(9) (2)香り:とても香ばしい(96)、香ばしい(4)、特に感じない(0) (3)臭い(不快臭の有無):ない(100)、かすかに感じる(0) (4)日常飲料として飲みたいか:おいしいから飲みたい(55) 健康のために飲みたい(28) 時々なら飲みたい(12) 飲みたくなくない(5) さらに、上記調査項目以外の感想を聞いたところ、便秘
が改善された、胃腸の調子が良くなったとの回答があっ
た。
ら加工食品およびおから加工飲料が栄養的に優れ、かつ
嗜好性も高いことを確認できた。
加工食品は、おからを麹菌で発酵させて食味や風味が改
善されたものであるから、イソフラボンや栄養分の豊富
なおからを食品としておいしく摂取できる。さらに、焙
煎処理によって香ばしさが加わってさらに食味や風味が
倍加される。また、焙煎によって水分が除去されるた
め、保存性の高い食品となる。また、この焙煎されたお
から加工食品を水に浸したおから加工飲料では、おから
のイソフラボンや栄養分が浸出しているから、これらの
有効成分を飲料として手軽に摂取することができる。
法によれば、単独では発酵しにくいおからに、おから1
00重量部に対して澱粉質材料を1〜100重量部の割
合で配合するとともに水分量を30〜55%に調整する
ことによって、麹菌による発酵が促進されて、上記おか
ら加工食品を製造することができる。
品に焙煎処理を施すことによって、香ばしさを付加し、
さらに食味や風味が倍加させ、かつ保存性を高めること
ができる。
小豆、マッペ、ふすまのうちのいずれかである場合は、
特におからの発酵が促進される。
は、特におからの発酵が促進される。
材料が2〜50重量部が配合されている場合は、特に発
酵が促進される。
Claims (8)
- 【請求項1】 おからと1種または2種以上の澱粉質材
料とを含む混合原料を麹菌によって発酵させてなること
を特徴とするおから加工食品。 - 【請求項2】 前記発酵後に焙煎処理されてなる請求項
1に記載のおから加工食品。 - 【請求項3】 請求項2のおから加工食品を水に浸して
有効成分を浸出させてなることを特徴とするおから加工
飲料。 - 【請求項4】 おからと1種または2種以上の澱粉質材
料とを、おから100重量部に対して澱粉質材料1〜1
00重量部の割合で混合した混合原料を、加熱するとと
もに、該混合原料の水分量を30〜55%に調整する前
処理工程、 前記前処理工程で水分調整した混合原料に麹菌を接種し
て発酵させる発酵工程、 前記発酵工程で発酵させた発酵物の水分除去を行う乾燥
工程、を備えることを特徴とするおから加工食品の製造
方法。 - 【請求項5】 前記乾燥工程で水分除去した発酵物に焙
煎処理を施す請求項4に記載のおから加工食品の製造方
法。 - 【請求項6】 前記澱粉質材料の少なくとも1種は、小
豆、マッペ、ふすまのうちのいずれかである請求項4ま
たは5に記載のおから加工食品の製造方法。 - 【請求項7】 前記麹菌は、味噌用麹菌である請求項4
〜6のいずれかに記載のおから加工食品の製造方法。 - 【請求項8】 前記混合原料は、おから100重量部に
対して澱粉質材料2〜50重量部が混合されてなる請求
項4〜7のいずれかに記載のおから加工食品の製造方
法。
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JP2001183443A JP3569503B2 (ja) | 2001-06-18 | 2001-06-18 | おから加工食品およびその製造方法 |
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- 2001-06-18 JP JP2001183443A patent/JP3569503B2/ja not_active Expired - Fee Related
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