JP2002527341A - シリコン結晶成長を制御するための方法およびシステム - Google Patents

シリコン結晶成長を制御するための方法およびシステム

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モーセン・バナン
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Abstract

(57)【要約】 チョクラルスキ単結晶成長装置において、溶融レベルおよび反射体の位置を求めるための方法およびシステムである。この結晶成長装置は、シリコン溶融物を収容する加熱された坩堝を有し、単結晶はこの溶融物から引き揚げられる。この結晶装置は、同様に、中央開口部を有し、坩堝内に配置された反射体を有し、結晶はこの中央開口部を介して引き揚げられる。カメラにより、反射体の一部、および溶融物の上側表面上に映る反射体の反射部の一部の画像が形成される。画像プロセッサは、画素値の関数として画像を処理し、この画像において、反射体のエッジおよび反射部のエッジを検出する。制御回路は、画像における検出されたエッジの相対的位置に基づいて、カメラから反射体までの距離、およびカメラから反射体の虚像までの距離を求める。制御回路は、求められた距離に基づいて、結晶成長装置の状態を示す少なくとも1つのパラメータを求め、求められたパラメータに応じて結晶成長装置を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 本発明は、一般に、シリコン結晶成長プロセスの制御に対する改良に関し、と
りわけ、チョクラルスキシリコン結晶成長プロセスにおいて、成長プロセスを制
御する際に用いられる溶融レベルを測定するための観察システムおよび観察方法
に関する。
【0002】 半導体電子部品を製造するほとんどのプロセスにおいて、単体結晶、または単
結晶シリコンが原材料となる。チョクラルスキ法を用いた結晶引揚装置により、
大部分の単結晶シリコンが製造される。簡単に言えば、チョクラルスキ法は、高
純度の多結晶性シリコンの充填物を、特別に設計された炉内に配置された石英坩
堝の中で溶融することを含む。坩堝内のシリコンが溶融すると、結晶引揚メカニ
ズムが溶融シリコンと接触するように種結晶を降下させる。
【0003】 結晶ネック部が形成された後、通常のプロセスにより、結晶が所望の直径を有
するまで引揚速度および/または溶融温度を下げることにより、成長する結晶の
直径を大きくする。降下する溶融レベルを補償しながら、引揚速度および溶融温
度を制御することにより、結晶の本体部がほぼ一定の直径を有するように(一般
に、円筒状となるように)、結晶の円筒状本体部を成長させる。成長プロセスの
最終段階近くにおいて、溶融シリコンが坩堝内からなくなる前に、終端円錐(en
d-corn)を形成するために、結晶の直径を徐徐に小さくする。通常、引揚速度お
よび坩堝に供給される熱量を増加させることにより、終端円錐は形成される。直
径が十分小さくなった場合、インゴットは溶融部と分離される。成長プロセス中
、坩堝は溶融物を一方方向に回転させ、結晶引揚メカニズムは、種結晶および結
晶ともに、引揚ケーブルまたは引揚シャフトを反対方向に回転させる。
【0004】 チョクラルスキ法は、坩堝内の溶融シリコンのレベルの関数として部分的に制
御される。したがって、結晶の品質を確保するためには、結晶成長の異なる段階
において、正確に、かつ高い信頼性で溶融レベルを測定することが必要である。
共通の譲受人に譲渡された米国特許第5,665,159号、第5,653,7
99号、および米国特許出願第08/896,177号(許可された)の開示内
容はここに一体のものとして統合されるが、これらによれば、溶融レベルを含む
数多くの結晶成長パラメータに関して、正確で、信頼性の高い測定を行うことが
できる。これらの特許において、画像プロセッサが、結晶−溶融物の界面の画像
を処理して、溶融レベルを判断する。
【0005】 米国特許第3,740,563号および第5,286,461号の開示内容は
、ここに一体のものとして統合されるが、これらの特許は、溶融レベルを測定す
る手段を開示している。米国特許第3,740,563号では、移動閉ループ電
子光学システムが溶融レベルを測定し、米国特許第5,286,461号では、
レーザビームの反射を検出することにより溶融レベルを測定する。
【0006】 現在利用できるチョクラルスキ成長法は、広範な用途において有用な単結晶シ
リコンを成長させる上で満足できるものであるが、さらにいっそうの改良が求め
られる。例えば、高温域装置は、熱およびガスの流れを制御するために、坩堝内
に配置されることがしばしばある。制御するためには、高温域装置を基準とした
溶融レベルを測定し、異なる高温部品の互いに対する位置を測定することが、し
ばしば好ましい。
【0007】 1つの既知の方法によれば、例えば、多数の支持部品の寸法および公差の「累
積」に基づいて反射体の位置が予想される。しかしながら、これらの部品のほと
んどは、熱膨張に影響を受けやすいため、満足できる製品品質に要求される精度
で、反射体の実際の位置を知ることができない。別の一般的な方法は、反射体か
らの長さが既知である石英ピンを吊るすことである。溶融物がピンに接触するま
で坩堝を動かすことにより、溶融物に対する反射体の位置を設定する。ただし、
これには、追加的な製造コストを要し、別のプロセス手順を導入し、さらに、引
揚装置の設定時および清掃時において、ピンに損傷を与えることなくピンを正確
に取り付け、利用するように、より多くの注意が必要となる。
【0008】 米国特許第5,437,242号は、その開示内容がここに一体のものとして
統合されるが、反射体と溶融物上に映る反射体の反射(部)の間の距離を直接的
に計測することを開示している。この特許の方法は、残念ながら、反射体の位置
を与えることはできない。また、この方法によれば、例えば、三角形、四角形、
または円形の形状を有する機械的な基準マークを反射体に付す必要が生じる。こ
のマークにより、反射体とその反射部の遠くにあるエッジを観察しにくくなり、
追加的な製造コストが必要となる。反射体に機械的な基準マークを用いると、同
様に、引揚装置の設定時に、マークを正確に位置合わせする上で、より多くの注
意を必要とし、さらに反射体自体の熱およびガスの流れ特性に影響を与える。
【0009】 これらの理由により、追加的な設定手続および処理ステップを行うことなく、
追加的な消耗部品を用いることなく、チョクラルスキ法において、溶融レベルお
よび高温域部品の測定および制御を行うための改良されたシステムおよび方法が
望まれている。
【0010】 (発明の要約) 本発明は、制御および動作に関する改善された方法およびシステムを提供する
ことにより、上述の要請を満足させ、先行技術が有する問題点を克服するもので
ある。これは、高温域装置、および溶融物の上部表面上に映る高温域装置の反射
部の位置を検出するために、エッジ検出ルーチンを実行する観察システムにより
実現される。本発明によれば、好適にも、基準物および溶融物に対する高温域装
置の位置が求められ、さらに基準物に対する溶融レベルが求められる。加えて、
こうした方法は、効率的で安価に実施することができ、こうしたシステムは、安
価に実現でき、一般的に実現可能なものである。簡単に言えば、本発明の態様を
具現化する方法は、シリコン単結晶を成長させる装置とともに用いられる。この
結晶成長装置は、シリコン溶融物を収容する加熱された坩堝を有し、単結晶はこ
の溶融物から引き揚げられる。この結晶装置は、同様に、中央開口部を有し、坩
堝内に配置された反射体を有し、結晶はこの中央開口部を介して引き揚げられる
。この方法は、反射体の一部、および溶融物の上側表面上に映る反射体の反射部
の一部の画像をカメラを用いて形成することから始まる。また、この方法は、こ
の画像において、反射体のエッジおよび反射部のエッジを検出するために、画素
値の関数として画像を処理するステップを含む。この場合、反射部のエッジは、
反射体である虚像と対応する。さらに、この方法は、画像における検出されたエ
ッジの相対的位置に基づいて、カメラから反射体までの距離、およびカメラから
反射体の虚像までの距離を求めるステップとをさらに有する。結晶成長装置を制
御するために、求められた距離に基づいて、結晶成長装置の状態を示す少なくと
も1つのパラメータが求められる。
【0011】 一般に、本発明の別の実施形態は、シリコン単結晶を成長させる装置とともに
用いられるシステムである。この結晶成長装置は、シリコン溶融物を収容する加
熱された坩堝を有し、単結晶はこの溶融物から引き揚げられる。この結晶装置は
、同様に、中央開口部を有し、坩堝内に配置された反射体を有し、結晶はこの中
央開口部を介して引き揚げられる。このシステムは、反射体の一部、および溶融
物の上側表面上に映る反射体の反射部の一部の画像を形成するためのカメラを有
する。画像プロセッサは、画像の画素値の関数として画像を処理し、この画像に
おいて、反射体のエッジおよび反射部のエッジを検出する。この場合、反射部の
エッジは、反射体である虚像と対応する。このシステムは、同様に、画像におけ
る検出されたエッジの相対的位置に基づいて、カメラから反射体までの距離、お
よびカメラから反射体の虚像までの距離を求める。制御回路は、求められた距離
に基づいて、結晶成長装置の状態を示す少なくとも1つのパラメータを求め、求
められたパラメータに応じて結晶成長装置を制御する。
【0012】 択一的には、本発明は、多様なその他の方法およびシステムを有していてもよ
い。その他の目的および特徴が部分的に明らかとなり、以下で部分的に説明され
る。
【0013】 (好適な実施形態の詳細な説明) ここで図1を参照すると、チョクラルスキ結晶成長装置13を用いるためのシ
ステム11が図示されている。本発明によれば、システム11は、結晶成長プロ
セスを制御するための数多くのパラメータを決定している。図示された実施形態
において、結晶成長装置13は、坩堝19を取り囲む真空チャンバ15を有する
。抵抗ヒータ21などの加熱手段により、坩堝19が包囲される。1つの実施形
態において、断熱材23が真空チャンバ15、および周囲に水が供給されるチャ
ンバ冷却ジャケット(図示せず)の内壁に並べられる。アルゴンガスの不活性雰
囲気が真空チャンバ15内に供給されるとき、真空ポンプ(図示せず)により、
真空チャンバ15内の気体が取り除かれる。
【0014】 チョクラルスキ単結晶成長法によれば、多量の多結晶性シリコンまたはポリシ
リコンが坩堝19内に充填される。ヒータ供給電源27は、抵抗ヒータ21に電
流を流し、充填物を溶融することにより、シリコン溶融物を形成する。そして、
このシリコン溶融物から単結晶31が引き揚げられる。当業者には広く知られて
いることであるが、単結晶31は、引揚シャフトまたは引揚ケーブル37に固定
された種結晶35から始まる。図1で示すように、単結晶31および坩堝19は
、一般に、共通の回転対称軸39を有する。
【0015】 加熱して結晶を引き揚げる間、坩堝駆動ユニット43は、坩堝19を(例えば
、時計回り方向に)回転させる。また、坩堝駆動ユニット43は、成長プロセス
中、必要に応じて、坩堝19を上昇および下降させることができる。例えば、符
号45で示す溶融レベルを維持する上で、溶融物が枯渇した場合、坩堝駆動ユニ
ット43は坩堝19を所望の高さまで上昇させる。同様に、結晶駆動ユニット4
7は、坩堝駆動ユニット43が坩堝19を回転させる方向とは逆方向に、ケーブ
ル37を回転させる。加えて、結晶駆動ユニット47は、成長プロセス中、必要
に応じて、溶融レベル45に対して結晶31を上昇および下降させる。
【0016】 1つの実施形態において、結晶成長装置13は、坩堝19に収容された溶融物
29の溶融シリコンとほとんど接触するほど種結晶35を降下させることにより
、種結晶35を予備加熱する。予備加熱した後、結晶駆動ユニット47は、ケー
ブル37を介して、種結晶35をさらに降下させて、溶融レベル45にある溶融
物29と接触させる。種結晶35が溶融すると、結晶駆動ユニット47は、種結
晶35を溶融物29からゆっくりと引き出す、または引き揚げる。種結晶35は
、引き揚げられたとき、溶融物29からシリコンを引き出して、シリコン単結晶
を成長させる。結晶駆動ユニット47は、溶融物29から結晶31を引き揚げる
とき、結晶31を基準速度で回転させる。同様に、坩堝駆動ユニット43は、別
の基準速度で、結晶31に対して通常反対の方向に坩堝19を回転させる。
【0017】 制御ユニット51は、最初の段階では、結晶31のネック部を下方に形成する
ために、引揚速度と、供給電源27がヒータ21に供給する電力とを制御する。
好適には、種結晶35が溶融物29から引き揚げられるとき、結晶成長装置13
は、結晶ネック部を実質的に一定の直径を有するように成長させる。例えば、制
御ユニット51は、ネック部の直径を所望する直径の約15%に、実質的に一定
となるように維持する。ネック部が所望する長さに達したとき、制御ユニット5
1は、結晶本体部が所望する直径を有するようになるまで、回転パラメータ、引
揚パラメータ、および/または加熱パラメータを調整して、円錐状となるように
、結晶31の直径を大きくする。結晶が所望する直径を有するようになると、制
御ユニット51は、プロセスが最終段階に近づくまで、成長パラメータを制御し
て、システム11が測定する直径を比較的に一定に維持する。この段階において
、単結晶31の終端部において傾斜部分を形成するように直径を小さくするため
に、引揚速度および熱量を増加させる。共通の譲受人に譲渡された米国特許第5
,178,720号は、その開示内容がすべてここに一体のもとして統合される
が、結晶の直径の関数として結晶および坩堝の回転速度を制御する1つの好適な
方法を開示している。
【0018】 制御ユニット51は、溶融レベル45を含む成長プロセスの複数のパラメータ
を決定するために、少なくとも1つの2次元カメラ53と協働して作動すること
が好ましい。例えば、カメラ53は、ソニー(登録商標)製XC−75CCDビ
デオカメラ(768×494画素の解像度を有する)などのモノクロ電荷結合素
子(CCD)アレイカメラである。別の好適なカメラは、JAVELIN(登録
商標)製のSMARTCAM JEカメラである。カメラ53は、チャンバ15
の覗き窓(図示せず)の上方に取り付けられ、一般には、長手方向軸39および
溶融レベル45の交点に向けられる。(図3を参照されたい。)結晶成長装置1
3のオペレータは、例えば、実質的な垂直軸39に対して、約34°の角度でカ
メラを配置する。
【0019】 1つの好適な実施形態において、カメラ53は、比較的に広い視野(例えば、
約300mm以上)を有するレンズ(例えば、16mm)を備えている。これに
より、結晶31の成長プロセス中、坩堝19内の比較的に広い部分に関するビデ
オ画像を形成することができる。カメラ53により形成される画像は、好適にも
、溶融物29および結晶31の間の界面にあるメニスカス101(図3を参照さ
れたい。)の部分を含む。溶融物29および結晶31は、本質的に、自ら発光す
るので、外部からの光源を用いることなく、カメラ53に対して光を放つ。異な
る視野を得るために、別のカメラを用いてもよいことを理解すべきである。
【0020】 制御ユニット51は、カメラ53からの信号を処理することに加えて、他のセ
ンサからの信号を処理する。例えば、光電セルなどの温度センサ59を用いて、
溶融物の表面温度を測定することができる。
【0021】 図2は、好適な実施形態に係る制御ユニット51をブロック図の形態で示す。
カメラ53は、坩堝19の内部のビデオ画像を、ライン61(例えば、RS−1
70ビデオケーブル)を介して、エッジ検出および測定値計算を行う映像システ
ム63に通信する。図2から分かるように、映像システム63は、ビデオ画像フ
レームバッファ67、およびビデオ画像を取り込んで処理するための画像プロセ
ッサ69を有する。次に、映像システム63は、ライン75を介して、プログラ
ム可能なロジックコントローラ(PLC)71と通信する。一例として、映像シ
ステム63は、CX−100、IMAGENATIONフレームグラバ、または
COGNEX(登録商標)製のCVS−4400映像システムである。1つの好
適な実施形態において、PLC71は、テキサス・インスツルメンツ社製のモデ
ル575PLCまたはモデル545PLCであり、ライン75は、通信インター
フェイス(例えば、VMEバックプレーンインターフェイス)を意味する。PL
C71を用いた特定のコントローラに依存するが、通信インターフェイス75は
、例えば、追加的な通信ボード(例えば、RS−422シリアル双方向性PLC
ポートを用いたモデル2571プログラムポート拡張モジュール)を含むカスタ
ムVMEラックであってもよい。このように、映像システム63の画像プロセッ
サ69は、溶融レベル値、タイミング信号、制御信号などをVMEバスを介して
PLC71と通信する。
【0022】 また、制御ユニット51は、カメラ53からの処理された信号の関数として、
中でも、坩堝駆動ユニット43、単結晶駆動ユニット47、およびヒータ供給電
源27を制御するために用いられる、デジタル式またはアナログ式のプログラム
コンピュータを有する。図2で示すように、PLC71は、ライン79(例えば
、RC−232ケーブル)を介してコンピュータ77と通信し、ライン85(例
えば、RS‐485ケーブル)を介してさらに1つ以上のプロセス入出力モジュ
ール83と通信する。本発明によれば、コンピュータ77は、結晶成長装置13
のオペレータが成長させたい特定の結晶に対する所望の一連のパラメータを入力
すことができるようなオペレータインターフェイスを有する。
【0023】 1つの実施形態において、映像システム63は、同様に、ライン91(例えば
、RC−232ケーブル)を介してパーソナルコンピュータと通信する。ビデオ
ディスプレイ93は、カメラ53で形成されたビデオ画像を表示し、コンピュー
タ87は、映像システム63をプログラムするために用いられる。択一的には、
コンピュータ77,87を1つのコンピュータを用いて実現し、結晶成長プロセ
スの自動制御をプログラムし、オペレータインターフェイスを提供するようにし
てもよい。さらに、理解すべきことであるが、特定のシステムを用いて実現され
る映像システム63は、自らのコンピュータ(図示せず)を有していてもよいし
、パーソナルコンピュータ77と協働して、取り込まれた画像を処理するために
用いてもよい。
【0024】 プロセス入出力モジュール83は、成長プロセスを制御するために、結晶成長
装置13に対する往復の経路を提供する。例えば、PLC71は、温度センサ5
9から溶融物の温度に関する情報を受け、溶融物の温度を制御するための制御信
号を、プロセス入出力モジュール83を介して、ヒータ供給電源27に出力する
ことにより、成長プロセスを制御する。
【0025】 図3は、溶融して、種結晶35が溶融して浸漬された後の結晶成長プロセスの
後半段階を図示する。図示するように、結晶31は、結晶性シリコン(すなわち
、インゴット)からなる一般的に円筒形状の本体部を構成する。理解すべきこと
であるが、結晶31などの成長したままの結晶は、一般には、円筒形状を有する
ものの、通常均一な直径を有さない。こうした理由から、軸39に沿った異なる
軸方向位置において、結晶31の直径が若干異なる。さらに、結晶31の直径は
、結晶成長(例えば、シード部、ネック部、クラウン部、ショルダ部、本体部お
よび円錐端部)の異なる段階において変化する。溶融物29の表面99は、結晶
31および溶融物29の間の界面において形成される液体メニスカス101を有
する。当業者には広く知られているように、メニスカス101上の坩堝19の反
射部は、結晶31の近傍において、輝くリングのように見えることがしばしばあ
る。
【0026】 図3は、シリコン結晶31が成長する間に、結晶成長装置13内に配置された
例示的な反射体装置103を図示する。当業者には広く知られたように、反射体
装置103などの高温域装置は、熱の流れおよび/またはガスの流れを制御する
ために、しばしば坩堝19内に配置される。例えば、反射体103は、一般に、
熱を反射体の下方で、溶融物29の上方に保持するための熱シールドである。当
業者ならばさまざまな反射体のデザインおよび材料(例えば、グラファイトおよ
び灰色石英)を熟知している。図3で示すように、反射体装置103は、中央開
口部を含む内側表面105を有する。この開口部を介して、結晶31が引き揚げ
られる。本発明によれば、システム11は、反射体103の開口部の既知の直径
、溶融物29の表面上に映る反射体103の反射部または虚像103’ の測定
値に基づいて、溶融レベルを測定し、制御する。以下で詳細に説明するように、
システム11は、好適にも、反射体103および溶融レベル45の両方の高さを
計算し、加えて、これら両者間のギャップの測定値HRを求める。
【0027】 カメラ53は、チャンバ15の覗き窓に取り付けられ、一般に、軸39および
溶融物29の表面99の間にある交点に向いている。このように向いているので
、カメラ53の光学軸107は、軸39に対して鋭角α(例えば、α≒15−3
5°)を有する。したがって、カメラ53は、反射体103、および溶融物表面
99上の反射部103’の両方の最大直径を含む垂直方向領域を観察する。カメ
ラ53のレンズは、好適には、反射体103の開口部(すなわち、反射体の内側
表面105の幅)の最大直径を含む水平方向領域を観察する。カメラ53および
反射体103の間の距離が変わることに主に起因して、光学系の倍率に影響を与
えることがある。例えば、カメラ53から反射体103までの距離が長くなると
、反射体103はより小さく見える。さらに、カメラ53から溶融物29までの
距離は、反射部103’の見え方にも影響を与える。好適にも、カメラ53は較
正されているので、焦点距離および画像サイズが正確に分かる。図3で示すよう
に、高さHおよび半径Rによりカメラ53の位置が決まり、高さHRにより反射
体103の位置が決まる。図示された実施形態において、高さHおよび高さHR
は、溶融レベル45に対して測定される。
【0028】 検査を開始するようにPLC71より指令を受けると、映像システム63のフ
レームバッファ67は、カメラ53が定期的な間隔で(例えば、1秒毎に)形成
する坩堝19の内部の画像を受ける。フレームバッファ67により取り込まれた
坩堝19の内部の画像は、それぞれ複数の画素により構成される。当業者には広
く知られるように、各画素は、画像の光学的特性を示す値を有する。例えば、画
素値、または中間調レベルが画素の強度に対応する。本発明の好適な実施形態に
おいて、画像プロセッサ69は、図4の符号109で示す、件の少なくとも2つ
の領域または区域を画定する。これらの領域109は、ウィンドウとも呼ばれる
。この実施形態では、画像プロセッサ69は、これらの領域109内にある画素
に対して、画像の光学的特性(例えば、画素の強度または強度勾配)を調べる。
特に、画像プロセッサ69は、検出された特性に基づいて、画像におけるエッジ
を検出するために、各領域109内にある2つのエッジツール111(図5を参
照されたい。)を実行する。この映像システムの技術分野において、エッジは、
比較的に微小な空間領域に亙って、中間調レベルの変化が比較的に大きいところ
の画像領域として求められる。理解すべきことであるが、強度や強度勾配に加え
て、あるいはこれらに代わって、色またはコントラストを検出して、エッジ座標
を求めることができる。
【0029】 図4で示すように、システム11は、領域109内の画像を調べて、反射体1
03の左側端部113、反射部103’の左側端部115、反射体103の右側
端部117、および反射部103’の右側端部119を検出する。この場合、左
側端部113および右側端部117の間の画像に亙る距離により、反射体103
の中央開口部の直径が測定される。同様に、左側端部115および右側端部11
9の間の画像に亙る距離により、反射部103’の直径が測定される。
【0030】 画像プロセッサ69は、画像が反射体103および反射部103’を含むと予
想される位置に一般に対応する画像において、事前設定された位置で領域109
を画定する。換言すると、画像プロセッサ69は、画定された中央線(すなわち
、軸39)に対して領域109を画定する。事前設定された位置で領域109を
画定することにより、画像プロセッサ69は、不正確な測定値を与える可能性の
ある、既知の、あるいは予想される反射部、高温域装置などを回避する。1つの
好適な実施形態において、件の領域109は、不要な画像を排除するプログラム
可能な矩形領域、寸法、および位置を有する。画像プロセッサ69は、この領域
109内でエッジツール111を動的に移動させて、固定された反射体103お
よび変動可能な反射部103’のエッジを検出する。こうして、画像プロセッサ
69は、以下説明するように処理することにより、反射体103の内側表面10
5に沿ってエッジ座標を求めるとともに、その対応する反射部103’に沿って
エッジ座標を求める。
【0031】 図5は、エッジツールを含む件の右側の領域109の一例を示す拡大図である
。理解すべきことに、左側の領域109内でのエッジ検出は、対応する右側の領
域109と同様に行われる。本発明の1つの実施形態において、画像内のエッジ
は、画像の底部で左側角部に原点を有する(x,y)座標系において求められる
。映像システム63は、4つのエッジ検出ツール111を領域109内に配置し
て、垂直方向に移動させるソフトウェアを実行することにより、左側エッジ11
3,115の「x位置」の最小値、および右側エッジ117,119の「x位置
」の最大値を検出する。反射体103および反射部103’の両方に関する「x
位置」の最小値を、「x位置」の最大値から差し引くことにより、それぞれの直
径を画素数で求めることができる。しかし、いくつかの場合(例えば、溶融レベ
ルが極めて低い場合)においては、反射体103が反射部の最大直径を遮ること
もある。こうした場合、画像プロセッサ69は、「x位置」のみならず「y位置
」を含む円形対象物に対する既知の公式を用いて直径を計算する。
【0032】 好適な走査技術によれば、件の各領域109は、2つのエッジ検出ツール11
1(走査領域ともいう。)を含む。図示された実施形態において、下側(内側)
のエッジツール111aが領域109の所定の下側部分を走査し、上側(外側)
のエッジツール111bが領域109の所定の上側部分を走査することにより、
件の領域109内にある反射体103および反射部103’のエッジを検出する
。一例として、下側エッジツール111aは、領域109の底部から始まって、
上方向に移動して、領域109の62%を走査し、上側エッジツール111bは
、領域109の頂部から始まって、下方向に移動して、領域109の38%を走
査する。また、図5は、例示的な水平方向の基準線121を図示し、上側エッジ
ツール111bがその周りを走査している。この実施形態において、オペレータ
は、領域109の高さの関数として、エッジツール111の垂直方向の大きさを
決めるオフセットパラメータをプログラムすることができる。このオフセットパ
ラメータにより、上側走査領域111bが、水平方向の基準線121の周りに垂
直方向の中央に配置されるように、領域109を上方向または下方向に移動させ
ることができる。例えば、オフセット値を62として、下側走査領域111aが
領域109の62%を占め、上側走査領域111bが領域109の38%を占め
、件の領域の19%が水平基準線の上方に配置されるようにすることができる。
【0033】 下側エッジツール111aは、領域109の底部から始めて、中心軸39に対
して領域109の内側から外側に向かって水平方向に走査することが好ましい。
換言すると、下側エッジツール111aは、反射部103’の右側端部119を
検出するために左側から右側に走査する。その後、画像プロセッサ69は、下側
エッジツール111aを垂直方向の上方向に移動させる。反対に、上側エッジツ
ール111bは、領域109の頂部から始めて、中心軸39に対して領域109
の外側から内側に向かって水平方向に走査する。こうして、上側エッジツール1
11bは、反射体103の右側端部117を検出するために右側から左側に走査
する。その後、画像プロセッサ69は、上側エッジツール111bを垂直方向の
下方向に移動させる。好適には、画像プロセッサ69は、エッジツール111を
用いて、領域109の端から端まで1秒間に約3回走査する走査速度で走査する
【0034】 本発明の実施形態によれば、画像プロセッサ69のエッジツール111は、領
域109内の1つまたはそれ以上のエッジを検出する。例えば、エッジツール1
11aを用いて、端から端まで数回走査した場合、画像プロセッサ69がエッジ
ツール111aを領域109内において上方向に移動させる毎に、反射部103
’のエッジが検出される。好適には、画像プロセッサ69は、右側の領域109
において、エッジツール111a,111bが検出するエッジの「x位置」の最
大値を選択して、反射体103および反射部103’の直径を測定するために、
この最大値を用いる。さらに、画像プロセッサ69は、先に検出されたエッジの
「x位置」の最大値を記録している。図5において、符号117’は、反射体1
03の先の最右端エッジを示し、符号119’は、反射部103’の先の最右端
エッジを示す。同様に、左側の領域109において検出されたエッジの「x位置
」の最小値が同様に選択されて、直径を測定するために用いられる。
【0035】 ここで図6を参照すると、システム11は、溶融レベルを測定し、反射体10
3の開口部の既知の直径に基づいて、さらに反射体103およびその反射部また
は虚像103’の測定された寸法に基づいて、溶融レベルを制御する。例えば、
平面鏡の場合、虚像は、物体と同じ大きさを有し、鏡に対して前方にある物体ま
での距離と同じ距離だけ鏡から「後方」に配置される。システム11は、反射体
103の既知の直径およびカメラ53に対する較正情報とともに、反射体103
の直径に対する画素数、および反射部103’の直径に対する画素数を用いて、
カメラ53から反射体103までの距離D、およびカメラ53から反射部103
’すなわち反射体103の虚像までの距離D’を計算することができる。1つの
実施形態において、PLC71は、反射体103の中央開口部の既知の直径(ミ
リメートル)に較正ファクタ(画素)を掛けて(乗算)、この積を反射体103
および反射部103’の測定された直径(画素)で割る(除算)ことにより、そ
れぞれ距離DおよびD’を得る。オペレータは、カメラ53の仕様に基づいて設
定するとき、較正ファクタを決定する。例えば、カメラ53のレンズが12.5
mmの焦点距離を有し、カメラ53の画像平面が9.804×10−3mm/画
素で測定する。本発明によれば、PLC71は、較正ファクタとして、12.5
/(9.804×10−3)画素を用いる。この実施例では、反射体103は、
他のファクタの中でも成長する結晶31の大きさに依存するが、数百ミリメート
ルの直径を有する。
【0036】 1つの好適な実施形態において、表面99が厳密に平坦でないという事実(坩
堝19の回転により、表面99は皿状となる傾向がある。)を考慮して、PLC
71が実行するプログラムにより、距離D’を求める前に、反射部103’の直
径の測定値を補正する。したがって、画像の大きさにおける差異は、カメラ53
までの距離DおよびD’の関数となる。
【0037】 図6において、システム11は、距離DおよびD’に基づいて、反射体103
および反射部103’の「y位置」を計算する。この場合、システム11は、中
軸上のカメラ53の高さ位置に原点を有する(x,y)座標系を定義する。また
、システム11は、引揚装置の中心線(すなわち、軸39)からカメラ53まで
の距離Xを計算する。好適には、オペレータが結晶成長装置13の機械的仕様お
よびカメラ53の実装情報から、距離Xを求める。この場合x=X=Rである。
これらの寸法を用いて、システム11は次の値を求める。
【数4】
【0038】 本出願においては、溶融レベル45は、カメラ53から溶融物29の表面99
までの垂直距離として求められる。カメラ53からヒータ21の頂部までの垂直
距離は固定されているので、この計算に基づいて、溶融レベル45を同様に求め
ることができる。
【0039】 動作中、画像プロセッサ69は、画像の左側および右側における領域109を
画定し、エッジツール111内における画像の強度勾配特性を検出する。制御ユ
ニット51は、好適にも、結晶成長プロセスを制御する際に用いられる検出され
たエッジに基づいて、溶融レベルのパラメータML、および反射体の高さパラメ
ータHRを算出することができる。こうして、画像プロセッサ69は、検出回路
、画定回路、および測定回路を構成し、PLC71は、制御回路を構成する。
【0040】 図7は、システム11のための例示的な初期化ルーチン123を示す。ステッ
プ125で開始して、初期化ルーチンは、PLC71に既知のデータを入力する
ように指示する。この場合、既知のデータとは、反射体103の直径と、(較正
するための)カメラ53のレンズの焦点距離および画像平面寸法と、距離Xが含
まれる。距離Xは、Rともいうが、カメラ53から中心軸39(すなわち、引揚
ケーブル37)までの距離を意味する。1つの好適な結晶成長装置13において
、カメラ53は、中心軸39から約400mmの位置に配置される。いくつかの
例において、オペレータは、同様に、反射体103の垂直方向の厚みを入力し、
反射体の高さに関する未加工の測定値からこの厚みを差し引く。例えば、灰色石
英製の反射体が約4mmの厚みを有し、グラファイト製の反射体が約33mmの
厚みを有する。
【0041】 ステップ127において、カメラの視野に件の高温域部品(例えば、反射体1
03および溶融物29の表面上の反射部103’の両方)が入るように、オペレ
ータはカメラ53を位置合わせする。通常、結晶成長装置13の覗き窓には、金
製の赤外線フィルタなどのフィルタを有する。ステップ127で、オペレータは
、フィルタの数ミリメートル(例えば、2ないし5mm)の範囲内で、カメラ5
3のレンズを配置する。オペレータは、同様に、除き窓の底部および頂部に対し
て、カメラ53を配置する。例えば、レンズの底側端部は、覗き窓のフィルタの
底側端部から約40ないし45mmのところにある。そうでなければ、カメラ5
3は、覗き窓において、あまりにも高く、中心軸39に対してあまりにも接近し
すぎる可能性がある。これにより、覗き窓自体が反射体103の視野を遮ること
になる。反対に、カメラ53が覗き窓においてあまりにも低く、中心軸に対して
あまりにも離れる場合、反射体103の頂部により、最大直径にある結晶31の
視野を遮ることになる。好適には、オペレータは、カメラ53を、覗き窓の左側
および右側に対して中央に配置する。
【0042】 ステップ131の一部として、オペレータは、カメラと観察ツールの最終的な
位置合わせを行う。とりわけ、オペレータは、エッジツール111が検出する不
必要なエッジ数を減らすために、領域109の大きさと位置をプログラムする。
例えば、オペレータは、件の各領域109の高さを垂直方向の画像サイズの関数
として設定する。好適には、領域109の頂部付近において最大直径を有する反
射体103のエッジを含み、領域109の底部付近において、反射部103’が
反射体103により視野から隠れるまで、反射部103’の全体を含むように、
オペレータは高さを設定する。同様に、オペレータは、各領域109の幅を水平
方向の画像サイズの関数として設定して、領域109の外側付近において、反射
体103のエッジを含み、内側のエッジツール走査のためのエッジ「目標」を与
えるために、十分な反射部103’を含む。さらにオペレータは、除き窓による
すべてのエッジを取り除くために「精密調整」するように、カメラ53の位置を
補正することもできる。ステップ131において、オペレータは、同様に、外側
および内側(それぞれ、上側および下側)のエッジツール111の両方に対して
十分な走査領域を確保することもできる。外側エッジツール111は、固定され
た目標(すなわち、反射体103のエッジ)を走査するので、これらの領域は、
溶融レベル45の変動に起因して移動する可能性のある移動目標、つまり反射部
103’のエッジに関して走査する内側エッジツール111よりもはるかに小さ
くすることができる。
【0043】 ステップ133において、オペレータは、反射体103を検出するために、エ
ッジツール111に対するエッジ検出閾値を決める。同様に、ステップ135に
おいて、オペレータは、反射部103’を検出するために、エッジ検出閾値を補
正する。エッジ強度閾値パラメータにより、検出されるエッジと無視されるエッ
ジを制御する。エッジツール111は、光の強度変化を測定し、ウィンドウの長
さに沿って、これらの変化に対する「得点(scores)」を計算する。得点が閾値
よりも高い場合に、ツール111は、その場所においてエッジ検出したことを出
力する。1つの実施形態において、エッジツール111は、最初のエッジをPL
C71に出力するように設定される。結晶メニスカス101を検出した場合、例
えば、他のエッジ検出ツールは、最強かつ最良のエッジを出力するように設定し
てもよい。エッジツール111は方向性を有し、外側エッジに対しては内側方向
に測定し、内側エッジに対しては外側方向に測定する。例えば、オペレータは、
外側エッジツール111が反射体103の頂部を正確に検出するように、外側エ
ッジの強度閾値を設定する。外側エッジツール111は、画像の中央方向に向か
って内側に走査するので、エッジがあまりにも直ちに(反射体103より外側で
)検出される場合、この値を増やし、正確なエッジが検出されない場合、この値
を減らす必要があるかも知れない。同様に、オペレータは、内側エッジツール1
11が反射部103’を正確に検出するように内側エッジの強度閾値を設定する
。内側エッジツール111は、画像の中央方向から離れるように外側に走査する
ので、エッジがあまりにも直ちに(反射部103より内側で)検出される場合、
この値を増やし、正確なエッジが検出されない場合、この値を減らす必要がある
かも知れない。異なる材料で形成される異なる種類の反射体に対して、閾値は異
なることを理解されたい。
【0044】 ここで図8aおよび図8Bを参照すると、制御ユニット51を含むシステム1
1は、結晶成長装置13の閉ループを制御するための初期化処理の後に、フロー
チャート141に従って作動する。ステップ143から開始して、カメラ53は
、反射体103およびその反射部103’を含む坩堝19の内部の画像を形成す
る。映像システム63のフレームバッファ67は、ステップ145において、画
像プロセッサ69が処理できるように、カメラ53のビデオ画像信号から画像を
取り込む。
【0045】 映像システム63は、ステップ149において、領域109内でエッジ検出を
開始する。PLC71と協働して作動する画像プロセッサ69は、画像における
エッジを検出するために、画素値の関数として画像を処理する。好適には、プロ
セッサ69は、画像を分析するために、画定された画像領域における中間調レベ
ルの変化を(画像強度の変化として)分析するためのエッジ検出ルーチンを含む
いくつかの画像分析ルーチンを実行する。画像内のエッジを検出し、計測するた
めのさまざまなエッジ検出のための機械語、またはアルゴリズムが、当業者には
広く知られている。例えば、適当なエッジ検出ルーチンには、カニー(Canny)
アルゴリズムまたはハフ(Hough)アルゴリズムが含まれる。強度に加えて、強
度勾配、色、またはコントラストなどのその他の画像特性を用いて、メニスカス
101、または溶融物29の表面99上のその他の物体と、溶融物29とを光学
的に区別することができる。
【0046】 ステップ149において、画像プロセッサ69は、反射体103のエッジを検
出するために、左側の領域109の上側エッジツール111に関して内側方向に
走査する。ステップ151において、エッジが検出されないと画像プロセッサ6
9が判断した場合、ステップ153において、画像の左側境界の近傍においてエ
ッジ検出されたことを出力する。換言すると、画像の幅が640画素である場合
、画像プロセッサ69は、第1番画素においてエッジを出力する。これにより、
PLC71は、走査した結果、有効なエッジが検出されなかったことを認識する
。同様に、ステップ157において、画像プロセッサ69は、反射部103’の
エッジを検出するために、左側の領域109の下側エッジツール111に関して
外側方向に走査する。ステップ159において、エッジが検出されないと画像プ
ロセッサ69が判断した場合、ステップ161において、画像の右側境界の近傍
においてエッジ検出されたことを出力する。この場合、画像プロセッサ69は、
第639番画素においてエッジを出力することにより、PLC71は、有効なエ
ッジが検出されなかったことを認識する。
【0047】 右側の領域109を処理するためにステップ165に進み、画像プロセッサ6
9は、反射部103’のエッジを検出するために、右側の領域109の下側ツー
ル111に関して外側方向に走査する。ステップ167において、エッジが検出
されないと画像プロセッサ69が判断した場合、ステップ169において、画像
の左側境界の近傍においてエッジ検出されたことを出力する。換言すると、画像
プロセッサ69は、第1番画素において無効なエッジを出力する。同様に、ステ
ップ175において、エッジが検出されないと画像プロセッサ69が判断した場
合、ステップ177において、画像の右側境界の近傍においてエッジ検出された
ことを出力する。この場合、画像プロセッサ69は、第639番画素において無
効なエッジを出力する。ステップ179において、画像プロセッサ69が領域1
09の走査を完了した場合、画像プロセッサ69は、図8Bのステップ181に
進む。一方、エッジツール111が、それぞれの走査領域109の端部にない場
合、画像プロセッサ69は、ステップ149から始まる走査ルーチンに戻る。
【0048】 検出されたエッジに基づいて、画像プロセッサ69は、反射体103および反
射部103’の直径を画素数で測定する際に用いられる「x位置」の最大値およ
び最小値を選択する。ステップ181において、画像プロセッサ69は、ステッ
プ173で検出された最右側のエッジ、およびステップ149で検出された最左
側のエッジの間の差異に基づいて、反射体103の直径を求める。同様に、ステ
ップ183において、画像プロセッサ69は、ステップ165で検出された最右
側のエッジ、およびステップ157で検出された最左側のエッジの間の差異に基
づいて、反射部103’の直径を求める。その後、画像プロセッサ69は、ステ
ップ185に進み、求められた直径をVMEバス75を介して、制御ユニット5
1のPLC71に出力する。
【0049】 ステップ189において、PLC71は、反射部103’の測定された直径を
受けて、溶融物の表面99上で坩堝が回転する効果に対して、ある程度補償する
ために、測定された直径を補正する。上述のように、坩堝19が回転することに
より、表面99は、完全に平坦ではなく、「皿状」となる。好適な実施形態におい
ては、PLC71は、反射部103’の測定された直径に補正係数CFを掛ける
ことにより、坩堝の回転効果を補正する。 補正係数: CF=(1−0.00012×(1分当たりの回転数)
【0050】 当業者ならば理解されるように、補正ファクタは、その他の手段を用いて求め
ることができる。例えば、ここに一体のものとして統合される、フェーバ著「物
理学者のための流体動力学(Fluid Dynamic for Physicists)」(1995年、
42頁)によれば、容器内の液体表面上を回転する容器が有する効果について教
示し、補正ファクタが数学的に算出できる方程式を開示している。
【0051】 ステップ191に進んで、PLC71は、反射体103の測定された直径およ
び反射部103’の補正された直径を用いて、数多くのパラメータを計算する。
本発明のこの実施形態では、PLC71は、カメラ53から反射体までの距離D
、およびカメラ53から対応する虚像(すなわち、反射部103’)までの距離
D’を計算する。これらの計算値に基づいて、PLC71は、反射体103の垂
直方向の位置Y、および対応する虚像(すなわち、反射部103’)の垂直方向
の位置Y’を求める。最終的に、PLC71は、反射体の高さパラメータHR、
および溶融レベルパラメータML(図3における高さHともいう。)を算出する
。制御ユニット51は、結晶成長装置13を制御するために、これらの算出され
たパラメータに応じてプログラムを実行する。好適な実施形態においては、制御
ユニット51のPLC71は、結晶成長プロセスのための溶融レベル、反射体の
レベル、および溶融物のギャップに対して責任を有する。とりわけ、PLC71
は、結晶成長装置13を制御するために、坩堝19のレベル、ヒータ21の温度
、回転速度、および/または引揚速度を制御するためのパラメータを算出するこ
とにおいて責任を有する。こうして、閉ループ制御が実行される。
【0052】 上述の観点において、本発明のいくつかの目的が実現され、他の好適な利点が
得られる。
【0053】 本発明の範疇を逸脱することなく、上述の構成および方法において、さまざま
な変更を加えることができる。上述の明細書に含まれ、添付図面に図示された事
項は、例示的なものであって、限定的な意味合いをもって解釈すべきではない。
【0054】 対応する参照符号は、これら図面を通して、対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、結晶成長装置、および本発明の好適な実施形態による結
晶成長装置を制御するためのシステムを示す図である。
【図2】 図2は、図1で示すシステムの制御ユニットのブロック図である
【図3】 図3は、図1で示す結晶成長装置の概略的な断面図であって、結
晶成長装置内に収容された溶融物から引き揚げられたシリコン結晶、およびシリ
コン結晶の成長時に配置されたときの反射体装置を示す。
【図4】 図4は、図3で示す結晶成長装置の断面斜視図であって、溶融物
から引き揚げられる結晶に対する画像処理領域を示す。
【図5】 図5は、図4で示す一方の画像処理領域の拡大図である。
【図6】 図6は、図3ないし図5で示す反射体装置、および結晶成長装置
の内部画像を形成するカメラの間の位置関係を概略的に示す。
【図7】 図7は、図1で示すシステムのための初期化ルーチンに関する例
示的なフローチャートである。
【図8A】 図8Aは、図2で示す制御ユニットの動作に関する例示的なフ
ローチャートである。
【図8B】 図8Bは、図2で示す制御ユニットの動作に関する例示的なフ
ローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 モーセン・バナン アメリカ合衆国63376ミズーリ州セント・ ピーターズ、ポスト・オフィス・ボックス 8、パール・ドライブ501番、エムイーエ ムシー・エレクトロニック・マテリアル ズ・インコーポレイテッド内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BA04 CF10 EH06 PF04 PF09 PF13

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン単結晶を成長させる装置と協働して、使用する方法
    であって、 この結晶成長装置は、シリコン溶融物を収容する加熱された坩堝を有し、単結
    晶はこの溶融物から引き揚げられ、 この結晶装置は、同様に、溶融物の上方にあって、坩堝内に配置された反射体
    を有し、 この反射体は、中央開口部を有する内側表面を有し、結晶はこの中央開口部を
    介して引き揚げられ、 溶融物は、上側表面を有し、この上側表面上に反射体の反射部が映り、 結晶は、一般に中心軸に沿って引き揚げられ、この中心軸は、溶融物の上側表
    面とは実質的に直交し、 この方法は、 反射体の一部、および溶融物の上側表面上に映る反射体の反射部の一部に関し
    、光学的特性を示す値を有する画素を複数有する画像を、カメラを用いて形成す
    るステップと、 この画像において、反射体のエッジ、および反射体の虚像に対応する反射部の
    エッジを検出するために、画素値の関数として画像を処理するステップと、 画像における検出されたエッジの相対的位置に基づいて、カメラから反射体ま
    での距離、およびカメラから反射体の虚像までの距離を求めるステップと、 求められた距離に基づいて、結晶成長装置の状態を示す少なくとも1つのパラ
    メータを求めるステップと、 求められたパラメータに応じて、結晶成長プロセスを制御するステップとを有
    することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、 画像を処理するステップは、 反射体の少なくとも2つのエッジを検出するステップと、 これらエッジ間の距離を測定して、反射体の直径を画素で求めるステップと、 反射部の少なくとも2つのエッジを検出するステップと、 これらエッジ間の距離を測定して、反射部である虚像の直径を画素で求めるス
    テップとを有することを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法であって、 反射体の中央開口部は、所定の直径を有し、 反射体の中央開口部の直径およびカメラの較正ファクタの関数として、反射体
    および虚像の測定された寸法を、それぞれ、カメラから反射体までの距離および
    カメラから虚像までの距離に変換するステップをさらに有することを特徴とする
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法であって、 パラメータを求めるステップは、 基準物に対する溶融物の上側表面のレベルを示す溶融レベルパラメータと、 基準物に対する反射体の位置を示す反射体位置パラメータと、 溶融物の上側表面に対する反射体の位置を示す反射体の高さパラメータのうち
    、少なくとも1つのパラメータを求めるステップを有することを特徴とする方法
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法であって、 溶融レベルパラメータを求めるステップは、 MLがカメラの垂直位置に対する溶融レベルで、Dがカメラから反射体までの
    距離で、D’がカメラから反射体の虚像までの距離で、Xがカメラから中心軸ま
    での距離であるとき、次式を計算するステップと、 【数1】 Yがカメラの垂直位置に対する反射体の位置であるとき、次式を計算するステ
    ップとを有し、 【数2】 反射体の高さパラメータを求めるステップは、 HRが溶融物の上側表面に対する反射体の高さであるとき、次式を計算するス
    テップとを有することを特徴とする方法。 【数3】
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の方法であって、 溶融物の上側表面は、結晶成長中、坩堝の回転により平坦でなく、 カメラから反射体の虚像までの距離を求める際、坩堝の回転を補償するステッ
    プと、 補償された距離に基づいて、結晶成長装置の状態を示す少なくとも1つのパラ
    メータを求めるステップとをさらに有することを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法であって、 補償するステップは、坩堝が回転する速度の関数として、カメラから反射体の
    虚像までの求められた距離を補正するステップを有することを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の方法であって、 反射体の中央開口部は、所定の直径を有し、 中央開口部の直径のほぼ半分の距離だけ、中心軸に対して半径方向に配置され
    た位置において、複数の画像ウィンドウ領域を画定するステップをさらに有する
    ことを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法であって、 画像を処理するステップは、 反射体のエッジを検出するために、各ウィンドウ領域内のエッジ検出ツールを
    定義するステップと、 反射部のエッジを検出するために、各ウィンドウ領域内のエッジ検出ツールを
    定義するステップとを有することを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の方法であって、 結晶成長装置は、結晶および坩堝の間を相対的に移動し、 制御するステップは、求められたパラメータに応じて、結晶および坩堝の間の
    相対的な移動、結晶が溶融物から引き揚げられるときの引揚速度、および溶融物
    の温度のうち1つまたはそれ以上を制御するステップを有することを特徴とする
    方法。
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