JP3367853B2 - 反射型液晶表示装置 - Google Patents

反射型液晶表示装置

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JP3367853B2
JP3367853B2 JP04179497A JP4179497A JP3367853B2 JP 3367853 B2 JP3367853 B2 JP 3367853B2 JP 04179497 A JP04179497 A JP 04179497A JP 4179497 A JP4179497 A JP 4179497A JP 3367853 B2 JP3367853 B2 JP 3367853B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反射型液晶表示装置
に関し、さらに詳しくは、ワードプロセッサやノート型
パーソナルコンピュータ、電子スチルカメラ、携帯ビデ
オカメラ、携帯情報端末、自動車情報表示装置などの各
種映像機器、情報表示機器およびゲーム機器などに好適
に用いられる反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノートブック型パーソナルコンピ
ュータあるいは携帯型テレビジョン受信機などの各種情
報および映像表示機器への液晶表示装置の応用が急速に
進展している。特に液晶表示装置の中でも、外部から入
射した周囲光を反射させて表示を行う反射型液晶表示装
置は、光源となるバックライトが不要であり、また消費
電力が低く、かつ薄型軽量化が可能であるため注目され
ている。
【0003】そして、従来より反射型液晶表示装置に
は、TN(ツイステッドネマティック)方式、およびS
TN(スーパーツイステッドネマティック)方式の液晶
表示素子が用いられているが、これらは、表示方式の原
理の点で液晶表示素子を一対の偏光板で挟む構成にし、
その外側に反射板を設置する必要がある。このため、液
晶表示素子に用いられるガラス基板の厚さのために、使
用者がガラス基板を見る角度、すなわちガラス基板の法
線方向と前記使用者が液晶表示素子を見る方向とのなす
角度によって視差が生じ、表示が二重に認識されるとい
う問題点がある。
【0004】ここで、偏光板1枚と1/4波長板とを用
いた反射型TN(45度ツイスト型)方式の液晶表示装
置が、特開昭55−48733号公報に開示されてい
る。この先行技術は、液晶層を狭持する上下基板間で4
5度捩れた液晶層を用い、印加される電界の制御によっ
て、入射直線偏光の偏光面を、1/4波長板の光軸に平
行な状態と45度の角度を持つ状態の2つの状態を制御
し、白黒表示を行う。この液晶表示素子は、入射光側か
ら、偏光板、液晶層を狭持する上下基板間で45度捩れ
た液晶層を有する45度ツイスト液晶表示素子、1/4
波長板および反射板で構成されている。
【0005】前記技術の表示状態の電圧制御方法につい
て、以下に説明する。偏光板からの直線偏光は入射側か
ら液晶層に入射し、その偏光面を液晶の配向の捻れ(ツ
イスト)に追随して偏光面を回転させながら液晶層を通
過し、1/4波長板の遅相軸または速相軸に平行な振動
方向の光となって1/4波長板に入射する。1/4波長
板の光軸に平行な偏光面の直線偏光は、直線偏光状態を
保ったまま1/4波長板を通過し、反射板で反射され
る。反射光は、入射時と同様に直線偏光のまま1/4波
長板を通過し偏光面を液晶の配向の捻れに追随して回転
させながら液晶層を通過して、結果として入射時と同方
向偏光面を持った直線偏光になる。このとき、出射光は
偏光板を通過して明表示となる。
【0006】一方、液晶層に電圧を印加してツイストを
解消した状態では、偏光板からの直線偏光は、液晶層を
偏光面を回転させることなく直線偏光のまま通過し、1
/4波長板の光軸とほぼ45度に入射する。1/4波長
板では、たとえば右回りの円偏光に偏光状態が変化し、
反射板に入射する。反射板で反射した円偏光は進行方向
が反転し、たとえば左回りの円偏光となる。さらに、反
射光となって再び1/4波長板を通過すると、入射時の
1/4波長板に入射した直線偏光と直交した偏光面の直
線偏光になり、ツイストの解けた液晶層を入射時と逆向
きに直線偏光のまま通過する。このとき、入射時と同
様、偏光面は回転しないため、偏光板の吸収方位の直線
偏光になり、暗表示が達成される。上記説明では、入射
光が液晶層および1/4波長板を通過した後の偏光状態
は右回りの円偏光であったが、これが左回りであっても
同様の効果になる。つまり、本先行技術は、1/4波長
板に入射する直線偏光の偏光面を液晶層で変調すること
によって表示が実現するものである。
【0007】このような電圧印加時に暗表示を実現し、
電圧無印加時は明表示になる配置(以下、ノーマリーホ
ワイトの配置と呼ぶ)以外にも、1/4波長板の光軸の
設置方位を45°ずらして電圧無印加時に暗表示を実現
し電圧印加時に明表示を実現する配置(以下、ノーマリ
ーブラックの配置と呼ぶ)も可能である。この場合は1
/4波長板による直線偏光の振動方向の変換が電圧無印
加時に行われる。
【0008】そして、ノーマリーブラック、ノーマリー
ホワイトのいずれの場合にも、偏光板1枚と1/4波長
板の間に、ねじれ角45度の配向を施した液層セルを配
置し、従来のTN型液晶表示素子と同様な表示を偏光板
1枚で可能としている点は同様である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
反射型液晶の表示原理において、反射板が良好な偏光性
を保持しない場合、前述したような右回りの円偏光から
左回りの円偏光への変換、またはこの逆の変換、さら
に、直線偏光から直線偏光の変換が効率的に行われなく
なり、コントラストが低下する。そこで、偏光性を保持
する反射板としては、平坦な鏡面反射部材が適用され得
るが、これは外部の物体がそのまま映るため、明表示で
は表示が見にくくなる欠点がある。
【0010】この欠点を補い、周囲光を観察方位にも散
乱させることを目的に、反射板には周囲光を拡散させる
延伸したアルミ膜を用いる必要がある。しかし、この反
射板では、前述した右回りの円偏光から左回りの円偏光
への変換、またはこの逆の変換、さらに直線偏光から直
線偏光への変換が効率的に行われなくなり、コントラス
トが低下する課題がある。即ち、従来の反射板では拡散
性と偏光保持特性を両立させることは不可能であった。
【0011】例えば、特開昭55−70817号公報に
記載されている液晶表示装置では、液晶セルの外側に1
/4波長板と反射板を設けているため、入射時と反射時
に通過する液晶層のずれが生じ、これが視差となって、
高精細かつ高品位な表示が観察できる方向が限定され
る。そこで、本発明の目的は、かかる課題を解決し、高
精細でコントラストが高く、視差がない反射型液晶表示
装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1記載の反射型液晶表示装置
は、液晶素子の光の入射側に偏光板を有する反射型液晶
表示装置において、液晶素子は少なくとも透明電極を形
成した絶縁性基板と、該絶縁性基板の一方表面に形成さ
れた光反射膜と前記透明電極と協働して表示駆動する対
向電極が形成された光反射部材と、前記絶縁性基板と前
記反射部材との間に配向処理が施された配向膜と、液晶
相と高分子樹脂相からなる複合層で、かつ液晶配向のツ
イスト角絶縁性基板と反射部材との間で40〜50度
になるように設定された高分子分散液晶層と、前記光反
射部材と前記高分子分散液晶層との間に形成された1/
4波長板と、を備え、前記偏光板の吸収軸あるいは透過
軸の軸方向が、高分子分散液晶のツイストしている液晶
配向の観察者側基板に接した側の配向にほぼ一致して配
置されることを特徴とする。
【0013】このように構成することにより、偏光保持
性能の良い反射膜を用いることで、暗表示を行う場合
は、良好な黒表示を実現し、明表示を行う場合は、反射
とともに散乱効果を利用して周囲光を観察者方向に向け
て明るい白表示を実現し、コントラストの高い表示を得
ることができ、また、視差も解消できる。
【0014】
【0015】また、前記液晶高分子複合層における偏光
面の回転は、散乱作用の少ない場合でも良く、そのため
には、偏光面の回転が可能な液晶状態において、散乱状
態を示さないように、液晶と似た高分子を液晶と同様に
配向させても良く、また、前記液晶高分子複合層におけ
る偏光面の回転は、散乱作用の少ない場合でも良く、そ
のためには、偏光面の回転が可能な液晶状態において、
散乱状態を示さないように、液晶と似た高分子を液晶と
同様に配向させても良く、前記高分子分散液晶層を構成
する高分子材料が、常温で液晶相を示し、紫外線照射に
より液晶分子の配列を保持したまま重合硬化し、硬化後
にも液晶層と同様の複屈折を示す材料であって、該高分
子分散液晶層は電圧無印加状態にて散乱状態を示さず、
電圧印加状態にて散乱状態を示すことを特徴とし、さら
に好ましくは、前記高分子分散液晶層を構成する液晶材
料が、P型ネマティック液晶であることを特徴とする。
【0016】さらに、反射された光が入射時と同じ表示
状態にある液晶層を通過させるように、反射膜が液晶層
に近いことも高精彩な表示を得る手段となる。そこで、
請求項4記載のように、前記光反射部材の光反射面を形
成する光反射膜が、該光反射部材の前記高分子分散液晶
層側に配置されることを特徴とする。
【0017】本発明のうち請求項5記載の反射型液晶表
示装置は、前記光反射面が、フラットな鏡面ミラーかも
しくはなめらかな凹凸を有する拡散ミラーであることを
特徴とする。
【0018】本発明のうち請求項6記載の反射型液晶表
示装置は、前記1/4波長板が、液晶性高分子からなる
かもしくは液晶性を有する低分子から液晶配向を固定化
して得られた高分子からなることを特徴とする。
【0019】本発明のうち請求項7記載の反射型液晶表
示装置は、前記光反射部材における光反射膜の上に前記
1/4波長板が構成され、この1/4波長膜の上に透明
電極を形成し、当該透明電極が前記絶縁性基板上に形成
された透明電極に対向する電極として定められることを
特徴とする。
【0020】本発明のうち請求項8記載の反射型液晶表
示装置は、前記絶縁性基板上、または絶縁性基板上に形
成された透明電極上のいずれかにカラーフィルタ層を形
成したことを特徴とする。
【0021】本発明のうち請求項9記載の反射型液晶表
示装置は、前記1/4波長板が少なくとも2層からな
り、該複数層のうち、第1層は層に垂直に入射する光線
に対し120〜150nmのリタデーションを有し、第
2層は第1層を第2層と反射面で狭持するように配置さ
れ、該第2層は第1層のほぼ2倍のリタデーションを有
し、第1層と第2層の層面内の遅相軸の方位が60°〜
120°異なっていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明について、図面を用い、以
下に説明する。ここで、偏光保持性能の高い反射板で黒
状態を表示し、明表示では散乱作用を利用した反射型液
晶表示装置の光学特性の品位向上について説明する。ま
ず、暗表示の場合には、観察者方向への表示光成分を可
能な限り小さくすることが高コントラスト表示に必要で
ある。そのため、液晶表示装置の低反射率化および、反
射膜の偏光保持性能が高いことが重要である。さらに、
通常の観察条件では、観察者はたとえば表示素子前面な
どで天井灯などからの光源の映り込みを避けるように、
光源からの鏡面反射成分を避けるような位置にて使用す
る。この位置では、反射膜が鏡面や散乱性(拡散性)の
小さな反射面である場合に、観察者方向へ向かう表示光
量が少なく、黒表示には好ましい。こうして偏光保持性
のよい反射板によって実現された黒表示効果とあいまっ
て良好な黒表示状態が実現される。
【0023】一方、明表示の場合に反射膜の鏡面性が強
く、その散乱作用が弱いと、液晶表示素子自身の反射率
が高いため、周囲の状況が映り込みやすい。さらに、観
察者の好むような配置、つまり光源の映り込みを防ぐよ
うな位置では、光源からの光は液晶表示面で鏡面反射す
る成分が多くなり、観察者に向かう表示光は少なく、明
るい表示になりにくく、良好な視認性は得られない。
【0024】ところが、この明表示の反射が鏡面に近い
ものでなく、その散乱作用が強い場合、周囲の映り込み
は散乱作用のために不鮮明になり、表示内容の認識が容
易になり、いわゆるペーパーホワイト表示が実現され
る。また、光源の映り込みを防ぐ配置では上記の反射膜
の鏡面性が強い場合に比べて、表示光量のうち観察者に
向かう割合が増加し、観察者にとっては明るい表示にな
り、良好な視認性が得られる。以上のように明るい表示
と良好な黒表示を実現するには液晶によって反射率を制
御するのみならず、散乱性を制御することが有効な手段
となる。
【0025】そこで、本発明の代表的な液晶層の構成に
よって、詳細な説明を行う。例えば、液晶高分子複合膜
として、電圧が印加されていない場合には散乱状態を示
し、電圧が印加されている場合は透明状態を示すいわゆ
る高分子分散液晶モードを利用した液晶層について説明
する。前記高分子分散液晶モードをラビングなどの配向
処理し、液晶の配向を40〜50度ツイストさせた液晶
層を2枚の基板で作製する。液晶高分子複合膜として
は、電圧の切り替えで透明と散乱状態を切り替えること
が可能な、例えば、高分子の中に微小な液晶滴がカプセ
ル状に分散されているいわゆるNCAP(Nemait
c Curvilinear Aligned Pha
se)を利用する(米国特許4、435、047)。ま
た、連続した液晶層の中に高分子の網目状組織が形成さ
れたPN(PolymerNetwork)LCも同様
に好適である(Japan Display1989、
690−693)。
【0026】このような散乱制御型の液晶表示モード
で、液晶層がツイストしている場合には高分子液晶複合
層を進行する光は偏光面を回転させながら伝播し、さら
にその複合膜の散乱作用も同時に被る。この様子を図1
(a)に模式的に示している。つまり、液晶分子が通常
のTN型の液晶素子の様に偏光面を回転させ、さらにポ
リマーとの屈折率差によって散乱効果が発生する。
【0027】上述の例では、配向処理を行った高分子分
散液晶層の液晶は、電圧無印加時にはツイスト配向さ
れ、この中を透過した光は散乱しながら偏光を液晶分子
配向にあわせて回転し、1/4波長板に入射する。この
時、1/4波長板の主軸方位が1/4波長板に入射する
直線偏光の偏光面に向くように配置(ノーマリーホワイ
ト配置)されていると、従来技術である特開昭55−4
8733号公報と同様の明表示に散乱作用が付加された
明るい表示が実現される。
【0028】一方、電圧印加時において液晶は透光性電
極と反射電極に対して垂直に配向され、外部から入射し
て再び外部へ出射される光は、入射側の偏光板の透過方
位を偏光面としたまま1/4波長板に達し、往復2回通
過する。このため、実質的に、1/2波長分の位相差を
生ずることとなり、偏光面が90度回転し、出射時に
は、入社光は偏光板に吸収されて、表示状態は暗表示と
なる。この際、反射膜は鏡面性が良く偏光保持性能も良
いものを利用すれば良好な黒状態を示す。また、液晶高
分子複合膜による散乱作用はほとんど無いため、偏光板
で吸収されない入射光があった場合にも観察者には到達
しない。この液晶部分を透過する光の様子を図1(b)
に模式的に示している。液晶とポリマーとの屈折率差が
無く、ほとんど散乱効果は生じない。以下、このよう
に、ツイストしている液晶高分子複合層によって散乱さ
れた光が1/4波長板によって、偏光面を回転させるこ
となく明表示を行うモードをツイスト散乱モードと称す
ることとする。
【0029】次に、電圧が印加されていない場合には透
明状態で、電圧が印加されている場合には散乱状態を示
す高分子分散液晶層を利用した液晶層について説明す
る。この表示モードは、上記ツイスト散乱モードと区別
するため、以下、ツイスト透明モードと称することとす
る。この高分子分散型液晶の配向処理を行った、配向高
分子分散液晶層の液晶および高分子は、電圧無印加時に
はツイスト配向され、この中を透過した光は、散乱作用
をほとんど受けず、偏光をツイストした配向にあわせて
回転させながら透過する。この時、透過する光の様子を
図2(a)に模式的に示している。前記複合膜と1/4
波長板の主軸方位が、1/4波長板に入射する直線偏光
の偏光面と45゜異なる方向に配置(ノーマリーブラッ
ク配置)されている1/4波長板と組み合わせることに
より、以下のように表示状態が制御される。即ち、電圧
無印加状態では、上記のツイスト散乱モードの電圧印加
時と同様に往復1/2波長分の位相差を生じ、この波長
板の効果のために、入射時と直交した直線偏光は液晶高
分子複合層を通過し、出射時の偏光子において吸収され
るため、暗表示になる。つまり、液晶が通常のTN型の
液晶素子のように偏光面を回転させるが、この時ポリマ
ーとの屈折率差がないため、散乱効果は生じない。
【0030】電圧印加時には、散乱効果を生じ、偏光面
の回転も生じない。1/4波長板が上記のように設置さ
れている場合、1/4波長板の主軸方位に偏光した直線
偏光が入射することになり、1/4波長板の存在でその
偏光状態の変化を生じることなく、明表示になる。この
明表示も、ツイスト散乱モードの明表示の場合と同様
に、透過率の高い状態に散乱効果が付加された明るい明
表示になる。この時、透過する光の様子を図2(b)に
模式的に示している。つまり、液晶は基板に対し立ち上
がっているため、液晶層を通過する光の偏光面は回転せ
ず、さらにポリマーとの屈折率差によって散乱作用を生
じる。
【0031】このようなツイスト透明モードに好適な液
晶高分子複合膜としては、低分子状態で液晶相を示し、
重合して高分子になってもその光学的な異方性を保存し
ているような有機材料と、重合しない液晶材料を混合し
て重合相分離にて作製された高分子分散型液晶複合膜が
利用できる。上記液晶相を用いた反射型液晶表装置につ
いて、以下に、実施形態をあげてより具体的に説明する
が、本発明はこれに限定されるものでないことは言うま
でもない。
【0032】<実施形態1>図1に挙げて説明したツイ
スト散乱モードの一実施形態を、以下に説明する。図3
は本発明の第1の実施形態の反射型液晶表示装置(以
下、液晶表示装置と略す)の断面図である。液晶表示装
置1は、一対の透明なガラス基板2、3を備え、ガラス
基板2上にはアルミニウム、ニッケル、クロムあるいは
銀などの金属材料からなる金属反射膜7が形成され、光
反射部材である反射板8を構成する。前記金属反射膜7
上に1/4波長板5を形成し、さらに配向膜9を形成す
る。
【0033】前記ガラス基板2と対向するガラス基板3
の表面には、ITO(インジウムスズ酸化物)などから
なる透明電極10が形成され、金属反射膜7と透明電極
10とで液晶層に電界が印加される。また、ガラス基板
3の表示面側には偏光板4を配置する。透明電極10が
形成されたガラス基板3を被覆して配向膜11が形成さ
れ、相互に対向するガラス基板2、3の周縁部は後述す
るシール材12で封止される。配向膜9、11間は、4
5度ツイスト配向となるようにラビング処理されてい
る。
【0034】反射電極7は、例えば、Al、Ag等の高
反射率で低抵抗な金属部材をスパッタリング法や蒸着法
により成膜されてなるものであるが、偏光解消性を有し
ないようにするために、成膜温度、成膜速度等を制御し
て、その表面が鏡面に形成されたものであることが必要
である。また、その膜厚は十分な反射率で且つ低抵抗と
なる範囲に設定される必要があり、0.2乃至2μm程
度が好適である。
【0035】液晶層13には、例えば、誘電異方性Δε
が正であるポリマー分散型液晶材料として、商品名PN
M−106(大日本インキ社製)などの液晶材料を封入
する。ツイスト角度の設定にあわせ、カイラル剤を調整
し、液晶層は上下基板間で45度ツイストするように調
整のうえ真空注入後封止し、紫外線照射を行い、ポリマ
ーと液晶を相分離し、液晶分子は45度ツイスト配向さ
せる。尚、この基板2を形成する部材は、透光性基板3
と同一素材であってもよいが、必ずしも透光性である必
要はない。
【0036】高分子分散液晶層13は、液晶14が高分
子からなる固形部(以下、高分子マトリクスと称す。)
15中に分散、保持されているものであればよく、例え
ば、液晶が独立した液泡を形成してマイクロカプセル状
に封じ込めらているもの(NCAP)や、これら液泡が
連通したもの(PNLC)が用いられる。また、高分子
マトリクスがゲル状に架橋されたものや、細かな孔が多
数開口された高分子マトリクスの孔の部分に液晶が充填
されたものであってもよい。高分子マトリクス15に
は、ツイスト散乱モードを採用しているため複屈折が無
いものが望ましい。例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂
が好適である。なお、液晶14と高分子マトリクス15
の境界は図では省略する。
【0037】また、液晶14にはシアノビフェニル系、
フェニルシクロヘキサン系等の通常TN型やSTN型に
用いられる誘電異方性が正の液晶が使用される。高分子
分散液晶層13における液晶と高分子の含有割合は、液
晶が50乃至98重量%程度の範囲で設定するのが好適
である。
【0038】なお、液晶の含有割合が低い場合には、電
圧印加時の透明性を上げるために、高分子の屈折率と液
晶の常光に対する屈折率との差は0.04以内、より好
ましくは0.02以内であることが望ましい。液晶の含
有割合が十分に高い場合には、このような点について特
に留意する必要はない。また、表示面に観察者の顔や周
囲が映り込む作用の防止と動作電圧の低電圧化のため
に、液晶の光散乱性は高い方がよく、そのために液晶の
複屈折率は、0.1以上、より好ましくは0.15以上
であることが望ましい。
【0039】この高分子分散液晶層13の製造方法とし
ては、高分子マトリクスの原料と液晶とを予め混合し、
熱重合させることにより相分離を生じさせる方法(例え
ば、特開昭63−501512号公報)、あるいは紫外
線で重合させることにより相分離を生じさせる方法(例
えば、特開平1−198725号公報)のいずれの方法
によってもかまわない。
【0040】尚、一定の厚みの高分子分散液晶層13を
得る方法としては、高分子マトリクスの原料と液晶との
混合溶液を準備し、電極基板上に流延供給して硬化させ
る方法や、従来のTN型液晶表示装置の場合のように、
電極基板の周辺を接着剤で封止し、注入口から高分子マ
トリクスの原料と液晶との混合溶液を注入して、熱又は
紫外線により硬化させる方法等が利用できる。この際、
上記散乱性の確保のため、液晶滴や網目状高分子の散乱
単位の大きさを適宜制御することが必要になることはい
うまでもない。
【0041】1/4波長板5は、例えば、UVキュアラ
ブル液晶を用いることができる。視感度が最高となる波
長が530〜550nmであるため、本実施形態におい
ては1/4波長板5のリタ−デ−ションは133〜13
8nmに設定するのが好ましいが、用いる材料固有の屈
折率異方性の波長分散にあわせ、適宜調整される。本実
施形態においては、上述のツイスト散乱モードの表示装
置を作製するため、偏光板4の偏光軸と1/4波長板5
の遅延光軸は、それぞれの偏光軸と光軸が互いに45度
をなすように配置する。
【0042】また、さらに好ましくは、視感度の良い5
50nm付近のみではなく、より広い波長域の光に対し
て1/4波長条件を成立させるため、130nmの位相
差を生じさせる前に、その波長による波長毎の偏光状態
のずれを補償するための層を設けても良い。その際、こ
の補償層の複屈折量は、1/2波長条件にするのが最適
であり、さらに1/4波長板と補償用1/2波長層の光
軸同志の方位は60°〜120°の間に設定すると、こ
の補償が最適に行えることを見いだした。このようにし
て構成される通常よりも広い帯域で。1/4波長条件を
満たす位相差フィルムを1/4波長板5の代わりに用い
ても良く、この場合の1/4波長板の光軸に相当する方
位は、直線偏光を円偏光にする方位であれば良いことは
言うまでもない。
【0043】また、反射膜7は、視差の効果をなくすた
めに、基板2の高分子分散液晶層13側に形成すること
が望ましく、この場合は、1/4波長板5も図1のよう
に基板2の高分子分散液晶層13側に配置される。前記
ガラス基板3の液晶層13と反対側には、例えば単体透
過率48%の偏光板4を配置する。
【0044】上記構成において、高分子分散液晶層13
の液晶14は、電圧無印加時には45度ツイスト配向さ
れ、この中を透過した光は散乱するものの、その散乱光
の偏光特性を保持することとなり、そのため、散乱光の
ほとんどの光は偏光板7を通過でき、本装置の表示状態
はいわゆる明表示となる。この明表示においては、高分
子分散液晶層13は白色散乱状態であるので、反射電極
7の高分子分散液晶層13と接合する面が鏡面であって
も、周囲からのいわゆる映り込みが生じる可能性は小さ
く、視認性を低下させることが殆どない。本発明者ら
は、鋭意検討の結果、図4に示すように散乱光がほとん
ど偏光性を保持することを見いだした。図4は、図5
(a)で示した配置で、平面内で液晶セルを回転させ、
その回転の角度ごとの散乱光の強度を測定し、さらにそ
の散乱光を図5(b)に示すようにクロスニコルの偏光
板で受光し測定した結果である。ここに示した図4は、
簡単のため平行配向の液晶配向で上記手順にて作製され
た液晶セルの散乱光の偏光依存性を示す図である。
【0045】図4に示すように、入射光の液晶配向方向
の偏光成分のみが散乱され、その散乱光も、偏光を保存
したまま散乱しているため、クロスニコル受光では散乱
光は受光偏光板で吸収される。また、クロスニコルの偏
光板の配置で、液晶は配向がどちらの偏光板とも異なる
方位の例えば45度異なる場合、液晶の散乱作用によっ
て液晶の配向方向に偏光が揃い、さらにその偏光成分が
45度異なる受光偏光板で受光するため、クロスニコル
受光の中では強度はもっとも高くなり、非偏光受光のピ
ーク強度の約1/4になる。この性質は、液晶配向が4
5度ツイストしていても同様であることを確認した。そ
のため、入射時の偏光板による吸収以外での光量のロス
はほとんど無く、本実施形態における液晶表示装置の散
乱光の強度を図6の配置で測定すると、装置上面の偏光
板の有無で10%の変化しか生じないことを確認した。
【0046】一方、電圧印加時、液晶14は電極7、1
0に対して垂直に配向されるために、垂直入射光に対し
て複屈折効果は生じない。そのため、偏光状態の変化は
1/4波長板5に起因するものだけとなる。外部から入
射した光は、反射電極7で反射され1/4波長板5及び
偏光板4を透過して再び外部へ出ることとなるが、本装
置に入射して再び外部へ出るまでの間に1/4波長板6
を2回通過するので、実質1/2波長分の位相変化を生
ずることとなる。したがって、偏光面は90度回転し、
出射時に偏光板7に吸収されて、本装置の表示状態はい
わゆる暗表示となる。この場合、電圧を印加により散乱
効果は起こらず、散乱のない黒表示が可能となる。
【0047】図7の様に、前記金属反射膜7および透明
電極10は、それぞれ走査回路16およびデータ回路1
7に接続される。走査回路16およびデータ回路17
は、マイクロプロセッサなどの制御回路18の制御によ
り、表示内容に対応する表示データに基づいて金属反射
膜7および透明電極10を走査しつつ、電圧発生回路1
9からの表示電圧または非表示電圧を印加し表示を実現
する。
【0048】図8(a)は偏光板4、高分子分散型液晶
層13、1/4波長板5の光学的構成を示す図である。
偏光板4の吸収軸あるいは透過軸の軸方向L1に対し
て、1/4波長板の遅相軸の軸方向L2が時計回り方向
になす角度θ1を、例えば45度に定める。一方、高分
子分散型液晶層13の図3に示す液晶分子の配向方向の
うち、基板3に接した側の配向L3が、前記軸方向L1
に対して反時計回りになす角度θ2(不図示)を、例え
ば0度に定める。
【0049】次に本実施形態の作製手順について述べ
る。各ガラス基板3上に、ポリイミド樹脂膜を形成し、
200℃で1時間焼成する。例えば液晶を基板に平行に
配向させるSE150(日産化学社製)を用いた。これ
により配向膜9、11が形成される。この後、前記高分
子分散型液晶分子13を配向させるためのラビング処理
を行う。
【0050】一方、ガラス基板2には、予め反射電極7
としてアルミニウム2000Åが形成されており、その
後1/4波長板5の形成を行った。この方法として、ガ
ラス基板2上の反射電極7上に基板3と同様のポリイミ
ド樹脂膜(不指示)を形成、焼成の後、ラビング処理を
行う方法を用いた。このラビング方向はL2方位に1/
4波長板5の遅相軸を形成するための下地処理であり、
この処理の後、UVキュアラブル液晶を塗布、加熱、配
向処理、紫外線露光重合硬化の過程を経て、1/4波長
板5を形成した。重合硬化した1/4波長板5上にさら
にポリイミド樹脂膜を形成、焼成して配向膜9を形成す
る。さらに、ラビング処理により基板3に形成した配向
膜11とこの配向膜9で、高分子分散液晶層13の配向
を決めるべく作製した。このとき、ラビング方向は、基
板2、3の間で45度のツイスト角が実現されるように
決めた。これらのガラス基板2、3間を封止するシール
剤12は、例えば直径11μmのスペーサを混入したエ
ポキシ系接着性シール剤をスクリーン印刷またはディス
ペンサー塗布することによって形成される。
【0051】このようにして形成される反射板8と、前
記透明電極10および配向膜11が形成されたガラス基
板3とを組み合わせるに際して、ガラス基板2、3間に
直径10μmのスペーサを散布し、液晶層の層厚の規制
を行う。ガラス基板2、3を対向して、前記シール剤1
2で貼り合わせた後、シール剤を硬化してセルを組立
て、液晶層13を構成する液晶高分子前駆体混合物が真
空注入法により封入される。封入後、透明基板3側から
高圧水銀灯により紫外線を照射し、配向高分子分散型液
晶を作製した。
【0052】図9は、本実施形態の液晶表示装置1の電
圧/反射率特性を示すグラフである。本実施形態におい
て、電圧を印加した場合、液晶表示装置1の法線方向に
関して角度30度だけ傾斜した方向から入射した光に対
する前記法線方向の反射率は最大約45%であり、最大
コントラスト比は7であった。このときの反射率を決定
するための基準となる部材として、酸化マグネシウムM
gOの標準白色板を用いた。
【0053】図10および図11は本実施形態の液晶表
示装置1の動作を説明する図であり、説明の便宜のた
め、液晶表示装置1を分解して示す。図10に示す遮光
動作時では、入射光28は偏光板4を通過すると偏光板
4の前記軸方向L1と平行な直線偏光29となる。液晶
層13を通過して、そのままの直線偏光のまま1/4波
長板5に入射し、例えば右回りの円偏光30となる。こ
の円偏光30は反射板7で反射し左回りの円偏光31と
なる。この円偏光31は、1/4波長板5を通過し、液
晶高分子複合層13を通過すると、前記入射時の直線偏
光29の方向と直交する方向の偏光面を有する直線偏光
32となる。この直線偏光32は偏光板4によって遮光
される。すなわち、反射板8からの反射光は遮光され
る。この場合には配向高分子分散型液層は散乱しないた
め、散乱効果のない良好な黒表示が達成される。他方の
例として、1/4波長板を通過して右回りの円偏光とな
る場合には、当該円偏光は反射板8で反射すると左回り
の円偏光となる。
【0054】一方、図11に示す光透過動作時には、入
射光28は偏光板4を通過すると、前記軸方向L1と平
行な直線偏光となった29は、液晶層13を通過し配向
膜9、11に施した配向処理の方向に合わせて、偏光面
が回転し、例えば左回りに45偏光面の回転した直線偏
光29となる。液晶層13を通過した直線偏光29は1
/4波長板を通過しても元の偏光状態を維持し、反射板
8で反射し、再度1/4波長板を通過しても同様な直線
偏光状態を保持する。さらに液晶層13を通過する場合
に、入射時と逆の偏光の回転を伴い、偏光板の透過方位
の直線偏光になって偏光板4を通過し出射する。この場
合、配向高分子分散型液晶を通過する時に配向方向に一
致した偏光が散乱し、液晶の配向の捩れに合わせて偏光
面を回転させながら透過して行くため、明るい散乱光が
偏光板から出射し、反射膜に鏡面ミラーを用いても良好
な白状態を得ることができる。このようにして、従来の
偏光板と液晶および1/4波長板による反射透過率変調
に加え、散乱の効果がこの変調幅を増加するように有効
に変化させる方式が実現された。
【0055】なお、本発明では、1/4波長板5を高分
子分散液晶層13と反射膜8の間に形成する必要があ
り、反射膜8が基板2の高分子分散液晶層13側に形成
されている。本実施形態においては、UVキュアラブル
液晶を用いたが、本発明における1/4波長板はこれに
限定されるものではなく、例えばポリカーボネイト製の
延伸フィルポリビニルアルコール(PVA)あるいはポ
リメチルメタアクリレート(PMMA)などの延伸フィ
ルムも使用することができる。この場合には、基板2の
液晶と接していない面にフィルムを配置し基板2に透光
性が必要であることは言うまでもないが、更に透光性基
板2の厚さを0.1〜0.7mmの程度に薄くし、視差
を小さくする必要がある。
【0056】本実施形態の反射型液晶表示装置1では、
反射板8の金属反射膜7を形成した面が高分子分散液晶
層13側に配置されているので、液晶表示装置1を観測
する場合の視差が解消され、良好な表示画面が得られ
る。さらに液晶表示装置1がアクティブマトリクス駆動
される構成の場合に、スイッチング素子として用いられ
る薄膜トランジスタやMIM(金属−絶縁膜−金属)構
造の非線形素子などに接続される絵素電極として用いら
れる場合も、前述したように良好な表示品位が実現でき
ることを確認している。
【0057】また、反射膜7を電極とする場合に、本実
施形態のように反射電極7と透明電極11の間に高分子
分散液晶層13と、1/4波長板5が入り、駆動電圧の
上昇や電荷吸着に伴う残像が引き起こされる。これを防
止するために、高分子分散液晶層13と1/4波長板5
の間に、透明電極(不図示)を形成し、これと透明電極
7とを駆動に用いることも効果的である。
【0058】<実施形態2>次に、高分子分散型液晶と
して、p型ネマティック液晶にE44(メルク社製)、
n型ネマティック液晶にRDN−94207(ロディッ
ク社製)を用い、これに混合する高分子マトリックス材
料としてUVキュアラブル液晶を用いた実施形態につい
て説明する。このUVキュアラブル液晶は常温で液晶相
を示し、通常の液晶材料と同じく配向し、紫外線を照射
することで液晶分子の配列を保持したまま重合硬化し、
硬化後にも、液晶相と同様の複屈折を保持している。こ
の液晶を実施形態1と区別して、以下、配向高分子分散
液晶と称する。
【0059】配向膜としてはp型ネマティック液晶の場
合には液晶を基板に平行に配向させるSE150(日産
化学社製)を、またn型ネマティック液晶には液晶を基
板に対して垂直に配向させるJALS204(日本合成
ゴム社製)を用いた。
【0060】液晶とUVキュアラブル液晶を重量比8
5:15で混合した。セル厚10ミクロンのセルに真空
注入し、強度15mW/cm2の紫外線を500秒照射
し、相分離させて配向高分子分散型液晶を作製した。電
圧を印加しない状態での目視観察の結果は、表1のよう
になった。比較のため、通常の複屈折の生じない高分子
材料のものも記載した。
【0061】
【表1】
【0062】このように、例えばp型液晶を用いた場合
に高分子複合層を挟持する基板に平行に配向している液
晶の場合であっても、通常の高分子樹脂の場合は高分子
と液晶の屈折率のミスマッチによって散乱作用が見られ
るのに対し、UVキュアラブル液晶では散乱は見られ
ず、電圧を印加すると、液晶が電界方向に配向するた
め、散乱が生じる。
【0063】この作用をp型液晶の場合について、図示
したのが図2である。電圧無印加状態では、液晶滴とU
Vキュアラブル液晶によって作製された液晶性高分子マ
トリクスと光学的に等価なため、あたかも複合層全体が
液晶層単相によって構成されているように光が伝搬す
る。一方、電圧印加状態では散乱作用が生じる。
【0064】このため、散乱効果を明表示に利用し、暗
表示では散乱を抑制するという本発明の原理にかなって
いるのは、UVキュアラブル液晶とp型液晶の複合系で
は、「ノーマリーブラック配置」即ち、液晶が基板平行
方向に配向して、複合層の透過光が45゜ツイスト偏光
面の回転を生じせしめる場合は1/4波長によって偏光
状態を変化させ、黒表示を得るような配置であり、その
例を図8(b)に示した。偏光板4の吸収軸あるいは透
過軸の軸方向L1に対して、1/4波長板の遅相軸の軸
方向L2が時計回り方向になす角度θ1(不図示)は、
例えば0度に定める。一方、配向高分子分散型液晶層1
3の図3に示す液晶分子の配向方向のうち、基板3に接
した側の配向L3が、前記軸方向L1に対して反時計回
りになす角度θ2(不図示)は、例えば0度に定める。
【0065】また、UVキュアラブル液晶とn型液晶の
配向高分子分散液晶層13の液晶14は、電圧無印加で
はホメオトロピック配向した配向高分子分散液晶によっ
て入射光の偏光面は回転しないため、L1とL2の関係
は図8(a)に示す向きに取る。この暗表示において
も、高分子分散液晶層13は透明状態であるので、良好
な暗表示が得られる。
【0066】一方、電圧印加時、液晶14がp型である
場合、電極10、7に対して垂直に配向されるために、
垂直入射光に対して複屈折効果は生じない。そのため、
偏光状態の変化は1/4波長板5に起因するものだけと
なる。外部から入射した光は、反射電極7で反射され、
1/4波長板5及び偏光板4を透過して再び外部へ出る
こととなるが、本装置に入射して再び外部へ出るまでの
間に1/4波長板5を2回通過するので、実質1/2波
長分の位相変化を生ずることとなる。したがって、偏光
面は90度回転し、出射時に偏光板7に吸収されて本装
置の表示状態はいわゆる暗表示となる。また、電圧印加
時のn型液晶は基板に対し、平行方位に液晶が向くた
め、配向した高分子マトリクスとの屈折率差により散乱
が生じる。このとき、予め液晶にカイラル剤を添加して
おくことにより、1/4波長板5への入射光の偏光方向
をL2方位に向けることができ、1/4波長板5による
偏光状態の変化が生じなくなり、明表示となる。
【0067】また、本実施形態におけるガラス基板2に
代えて、例えばシリコン基板のような不透明基板でも同
様な効果が発揮できることを確認している。このような
シリコン基板を前述の実施形態におけるガラス基板2と
して用いる場合には、前述した走査回路16、データ回
路17、制御回路18および電圧発生回路19などの回
路素子を、シリコン基板上に集積化して形成できる利点
を有している。また、同様の回路集積化は、他の方式、
例えば石英ガラス基板上に形成されたポリシリコン層を
利用したり、ガラス基板上に作製された低温プロセスの
ポリシリコン層でも実現可能である。また、一方の基板
にカラーフィルタ層を形成することにより、マルチカラ
ーあるいはフルカラー表示が可能となる。
【0068】<比較例>比較として、図12に図示する
ような構成例について説明する。この例では、実施形態
と同様に、2枚の基板2、3に液晶層、1/4波長板、
散乱性反射膜が挟持されているが、実施形態に詳細に述
べたような散乱特性の電圧制御は不可能である。従っ
て、明表示と暗表示の散乱特性は変更不可能であり、明
状態に合わせて散乱性反射膜の散乱作用を強くすれば、
暗状態は明るくなり、暗状態に合わせて散乱効果を少な
くすれば、明状態は暗くなる。
【0069】また、他の比較例として、反射膜は鏡面と
し、液晶表示素子の全面に散乱膜を付加する構成例とも
比較する。この場合、液晶の偏光特性は理想的である
が、散乱板による後方散乱が入射光の一部を直ちに観察
者側に返してしまうために、黒状態を明るくするととも
に、ドットマトリックス表示の場合、隣接画素の表示内
容が散乱されるため、表示精細度を悪化させる。また、
これらを防止するために散乱効果を弱く設計すると、明
状態が暗くなるのは同様であり、液晶部分の反射率で明
暗の表示を行うに過ぎない。
【0070】
【発明の効果】以上のように、本発明に従えば、入射光
は偏光板、配向高分子分散型液晶層および1/4波長板
を介して反射部材に到達し、反射部材で反射されて1/
4波長板、液晶層、および偏光板を介して出射すること
となる。すなわち、光反射膜を液晶表示素子の内部に構
成し、しかも光反射部材の反射面は平坦であり、多重反
射がなく、偏光性を保持した良好な黒表示を実現する反
射面とすることができる。
【0071】しかも電極の一方が反射電極であっても、
明表示における高分子分散液晶の白濁状態により、周囲
のいわゆる映り込みを生ずることがなく、視差がなく、
その上、観察方向に対して光を散乱させるので十分な明
るさを有するという効果を奏するものである。
【0072】また、バックライトが不要であるので、バ
ックライトを備えた液晶表示装置と比較して低消費電力
で且つ視認性に優れた高精細で表示品位の高い反射型液
晶表示装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のツイスト散乱モードによる液晶高分子
複合膜の散乱透過制御動作を説明する図である。
【図2】本発明のツイスト透明モードによる液晶高分子
複合膜の散乱透過制御動作を説明する図である。
【図3】本発明による第1の実施形態の液晶表示装置1
の断面図である。
【図4】実施形態1による液晶高分子複合膜の透過散乱
特性の測定結果の一例を示す図である。
【図5】図4に示す測定、評価のための光学配置図であ
る。
【図6】実施形態1による液晶高分子複合膜の反射特性
の測定方法の配置図である。
【図7】液晶表示装置1を駆動する回路系の構成図であ
る。
【図8】実施形態1による液晶高分子複合膜の液晶配向
と偏光板透過軸及び1/4波長板の光学的構成図であ
る。
【図9】液晶表示装置1の電圧ー反射率特性の特性図で
ある。
【図10】液晶表示装置1の遮光動作時の表示説明図で
ある。
【図11】液晶表示装置1の光透過動作時の表示説明図
である。
【図12】比較例の構成例1の液晶表示装置の断面図で
ある。
【符号の説明】
1 液晶表示装置 2、3 ガラス基板 4 偏光板 5 1/4波長板 7 金属反射性電極 8 反射部材 9、11 配向膜 10 透明電極 13 液晶高分子複合層 14 液晶組成物 15 高分子マトリクス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−218905(JP,A) 特開 平7−84250(JP,A) 特開 平7−333600(JP,A) 特開 平3−263013(JP,A) 特開 平8−114797(JP,A) 特開 平7−28054(JP,A) 特開 昭55−70817(JP,A) 特開 昭55−48733(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 - 1/141

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶素子の光の入射側に偏光板を有する
    反射型液晶表示装置において、液晶素子は少なくとも透
    明電極を形成した絶縁性基板と、該絶縁性基板の一方表
    面に形成された光反射膜と前記透明電極と協働して表示
    駆動する対向電極が形成された光反射部材と、前記絶縁
    性基板と前記反射部材との間に配向処理が施された配向
    膜と、液晶相と高分子樹脂相からなる複合層で、かつ液
    晶配向のツイスト角絶縁性基板と反射部材との間で4
    0〜50度になるように設定された高分子分散液晶層
    と、前記光反射部材と前記高分子分散液晶層との間に形
    成された1/4波長板と、を備え、前記偏光板の吸収軸
    あるいは透過軸の軸方向が、高分子分散液晶のツイスト
    している液晶配向の観察者側基板に接した側の配向にほ
    ぼ一致して配置されることを特徴とする反射型液晶表示
    装置。
  2. 【請求項2】 前記高分子分散液晶層を構成する高分子
    材料が、常温で液晶相を示し、紫外線照射により液晶分
    子の配列を保持したまま重合硬化し、硬化後にも液晶層
    と同様の複屈折を示す材料であって、該高分子分散液晶
    層は電圧無印加状態にて散乱状態を示さず、電圧印加状
    態にて散乱状態を示すことを特徴とする請求項1記載の
    反射型液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 前記高分子分散液晶層を構成する液晶材
    料が、P型ネマティック液晶であることを特徴とする請
    求項2記載の反射型液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 前記光反射部材の光反射面を形成する光
    反射膜が、該光反射部材の前記高分子分散液晶層側に配
    置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の反射型液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 前記光反射面が、フラットな鏡面ミラー
    かもしくはなめらかな凹凸を有する拡散ミラーであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 前記1/4波長板が、液晶性高分子から
    なるかもしくは液晶性を有する低分子から液晶配向を固
    定化して得られた高分子からなることを特徴とする請求
    項1記載の反射型液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 前記光反射部材における光反射膜の上に
    前記1/4波長板が構成され、この1/4波長膜の上に
    透明電極を形成し、当該透明電極が前記絶縁性基板上に
    形成された透明電極に対向する電極として定められるこ
    とを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 前記絶縁性基板上、または絶縁性基板上
    に形成された透明電極上のいずれかにカラーフィルタ層
    を形成したことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶
    表示装置。
  9. 【請求項9】 前記1/4波長板が少なくとも2層から
    なり、該複数層のうち、第1層は層に垂直に入射する光
    線に対し120〜150nmのリタデーションを有し、
    第2層は第1層を第2層と反射面で狭持するように配置
    され、該第2層は第1層のほぼ2倍のリタデーションを
    有し、第1層と第2層の層面内の遅相軸の方位が60°
    〜120°異なっていることを特徴とする請求項1に記
    載の反射型液晶表示装置。
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