JP2002511345A - 耐蝕性研磨物品および製造方法 - Google Patents

耐蝕性研磨物品および製造方法

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Abstract

(57)【要約】 研磨粒子は、耐蝕性マトリックス材料で基板に固定して貼付された複数の研磨粒子を含む。マトリックス材料は、焼結された耐蝕性粉末とブレージング合金とを含む。ブレージング合金は、研磨粒子と反応し、これとの化学結合を形成する要素を含み、それによって、研磨粒子を適所に固定して保持する。研磨物品を形成する方法は、研磨粒子およびマトリックス材料を配列して、十分な熱および圧力を研磨粒子およびマトリックス材料の混合物に加えて、耐蝕性粉末を焼結させ、ブレージング合金を研磨粒子のまわりに流れさせ、これと反応させ、これとの化学結合を形成させて、ブレージング合金が焼結された耐蝕性粉末の隙間を通って流れ、それを用いて金属間化合物を形成するのを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 発明の分野 本発明は、おもに研磨物品に関する。特に、本発明は、研磨粒子が基板に貼付
され、耐蝕性マトリックス材料が焼結された耐蝕性粉末と研磨粒子に化学的に結
合されたブレージング合金（ｂｒａｚｉｎｇ ａｌｌｏｙ）とを含み、それによ
って、粒子を適所に固定的に保持する研磨物品に関し、さらにそのような研磨物
品を製造する方法にも関する。
【０００２】 発明の背景 磨きディスクまたは状態調節ディスク等の研磨物品は一般に、研磨粒子をマト
リックス材料でキャリヤまたは基板に貼付することによって形成される。そのよ
うな研磨物品を使用して、ウレタンパッド等の工作物の表面を滑らかにするかま
たは磨いて、工作物は今度はシリコンウェハ等の部品を磨くのに使用されること
ができる。状態調節ディスクは、物品の構造的一体性を劣化させる高腐蝕環境を
含む様々な環境で使用される。したがって、研磨粒子が適切に基板に固定されな
いと、粒子はマトリックス材料から取り除かれる傾向がある。ひとたび取り除か
れると、研磨粒子は工作物の磨かれた表面を容易に傷つけ損傷する可能性がある
。さらに、ひとたび１つの粒子が取り除かれると、隣接する粒子のためのサポー
トが減少し、さらなる粒子が取り除かれやすくなる。したがって、腐蝕環境でそ
の強度、耐摩耗性および構造的一体性を維持する状態調節ディスクが高度に望ま
れている。
【０００３】 研磨粒子を基板に貼付するには様々な技術が使用されてきた。各技術は、粒子
と基板との間で結合を形成するマトリックス材料で形成する粒子を囲繞し、それ
によって、粒子を適所に保持するよう作用することを含む。そのような公知の技
術の１つが、粒子の高さの４０〜７５％の範囲の厚さに、一般にニッケルである
金属を堆積させ、それによって、研磨粒子と純粋に機械的接着である結合を形成
することを含む電気めっきである。たとえば、Ｂｒｕｘｖｏｏｒｔ ｅｔ ａｌ
．に付与された米国特許第５,２５１,８０２号には、裏地に結合された複数の研
磨複合材料を含む研磨物品が開示されている。研磨複合材料の各々は、ダイヤモ
ンドまたは立方晶窒化ホウ素等の研磨粗粒、および、好ましくは、研磨粗粒を裏
地に固定するためのスズ、青銅、ニッケル、銀、鉄およびこれらの合金または組
み合わせの金属結合剤を含む。結合剤は電気めっき過程によって裏地に加えられ
、研磨粗粒は電気めっき過程の間に同時に加えられる。必ずしもすべての研磨粒
子が電着した金属と適切な結合を形成するのではないため、電気めっきは限定さ
れる。さらに、すべての金属が電着することができるわけではないため、電気め
っき過程に使用することができる金属組成物の範囲は限られている。
【０００４】 研磨粒子を基板に貼付するための別の公知の技術は、マトリックス材料を焼結
することである。焼結は、研磨粒子を含む可融性のマトリックス材料に熱および
／または圧力を加え、それによって研磨粒子を基板に貼付するように作用する。
たとえば、Ｔｓｅｌｅｓｉｎに付与された米国特許第５,３８０,３９０号には、
研磨粒子と、焼結可能なまたは可融性のマトリックス材料によって研磨粒子が基
板に貼付される方法とが開示されている。Ｌｏｗｄｅｒに付与された米国特許第
５,５１１,７１８号には、ダイヤモンドをブレージングして、ニッケル−クロム
−ホウ素合金を備えた単一層ツールを形成する方法が開示されている。焼結は一
般に、研磨粒子を基板に貼付するように作用するが、研磨粒子は、操作の間に、
特に腐蝕環境において、マトリックス材料から取り除かれる傾向を有する。した
がって、有害な操作状況下で長い操作期間にわたって研磨粒子が基板に貼付した
ままである耐蝕性研磨粒子の必要性が存在する。
【０００５】 発明の開示 本発明は、腐蝕環境に使用される研磨物品と、そのような研磨物品を製造する
方法とを提供する。特に本発明は、研磨粒子と化学結合を形成し且つ機械的接着
を形成する耐蝕性マトリックス材料を使用して研磨粒子が基板の一方の側または
両側に貼付され、それによって様々な操作状況において粒子を基板上の適所に固
定的に保持する研磨粒子を提供する。基板は研磨粒子およびマトリックス複合材
料が貼付される別個の部品であってもよく、または、基板はマトリックス材料と
一体的に形成されてもよい。
【０００６】 研磨粒子のサイズおよび型は、その意図される用途によって研磨物品の所望の
特性を達成するように選択される。「研磨粒子」という用語は、結合剤によって
一緒に結合され、研磨凝集物または複合材料を形成する単一の研磨粒子を含む。
研磨凝集物は、Ｋｒｅｓｓｎｅｒに付与された米国特許第４,３１１,４８９号、
Ｂｌｏｅｃｈｅｒ ｅｔ ａｌ．に付与された米国特許第４,６５２,２７５号お
よびＢｌｏｅｃｈｅｒ ｅｔ ａｌ．に付与された米国特許第４,７９９,９３９
号にさらに記載されている。研磨る粒子は、カップリング剤、または、金属コー
ティングまたはセラミックコーティング等の表面処理またはコーティングをさら
に含んでもよい。本発明に有用な研磨粒子は、およそ２０〜１０００マイクロメ
ートルの平均サイズを有する。より具体的には、研磨粒子は、約４５〜６２５マ
イクロメートル、または約７５〜３００マイクロメートルの平均サイズを有する
。研磨粒子のサイズが「メッシュ」または「グレード」によって報告されること
もあるが、両方とも一般に公知の研磨粒子をサイズで分類する方法である。研磨
粒子は、少なくとも８のモース硬度を有することが好ましく、より好ましくは少
なくとも９である。適切な研磨粒子は、たとえば、溶融酸化アルミニウム、酸化
セラミックアルミニウム、熱処理された酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホ
ウ素、炭化タングステン、アルミナジルコニア、酸化鉄、ダイヤモンド（天然お
よび合成）、セリア、立方晶窒化ホウ素、ガーネット、カーボランダム、亜酸化
ホウ素およびそれらの組み合わせを含む。
【０００７】 本発明の特徴的な特色にしたがって、マトリックス材料はブレージング合金と
焼結された耐蝕性粉末とを含む。所定の温度に加熱されると、ブレージング合金
は液体になり、研磨粒子のまわりを流れる。さらに、ブレージング合金は、研磨
粒子に反応し、これとの化学結合を形成する。化学結合を形成するために、ブレ
ージング合金の組成物は、特定の研磨粒子に反応すると知られた予め選択された
要素を含み、それによって化学結合を形成する。たとえば、ダイヤモンド研磨粒
子を使用する場合、ブレージング合金は、ダイヤモンドと反応してこれと化学結
合する次の要素の少なくとも１つを含んでもよい。すなわち、クロム、タングス
テン、コバルト、チタン、亜鉛、鉄、マンガンまたはケイ素である。さらなる実
施例のために、立方晶窒化ホウ素研磨粒子を使用する場合、ブレージング合金は
、研磨粒子との化学結合を形成することができるアルミニウム、ホウ素、炭素お
よびケイ素の少なくとも１つを含んでもよく、また、酸化アルミニウム形成する
粒子を使用する場合は、ブレージング合金は、アルミニウム、ホウ素、炭素およ
びケイ素の少なくとも１つを含んでもよい。しかし、ブレージング合金は、研磨
粒子に反応し、これとの化学結合を形成する単数または複数の要素に加えて、様
々な不活性要素を含んでもよいことも認識される。
【０００８】 一定の量の耐蝕性粉末が、ブレージング合金と混合され、結合特性を改良し、
強度を高め、耐蝕性特性を改良し、マトリックス材料のコストを削減する。耐蝕
性粉末は、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合
金、ニッケルおよびニッケル合金等の金属および金属合金を含んでもよい。より
具体的には、ニッケル合金は、ニクロム、すなわち、８０重量％のニッケルと２
０重量％のクロムを含むニッケル合金を含むことができる。あるいは、耐蝕性粉
末は、炭化ケイ素または炭化タングステン等の炭化物を含むセラミックから形成
することもできる。
【０００９】 １つの実施態様において、基板はステンレス鋼から形成され、エポキシフィル
ムを使用してステンレス鋼シムの形態であるサポートキャリヤに貼付される。し
かし、基板とキャリヤとの両方が、たとえば、合成プラスチック材料、セラミッ
ク材料または他の適切な耐蝕性金属等の他の金属から形成されてもよい。基板お
よびキャリヤが、接着剤または機械的締結具を含むいずれの適切な締結技術で接
続されることができることも明らかである。
【００１０】 本発明の他の実施態様において、キャリヤはＬＥＸＡＮ登録商標等のポリカー
ボネート材料から形成され、略環状形状を有し、その外側縁表面に沿って含まれ
た複数の歯車の歯を有する。研磨粒子およびマトリックス材料は、適切な締結手
段でキャリヤに直接貼付される研磨セグメントに形成される。各セグメントは、
研磨粒子を含む研磨部分と、全体的にマトリックス材料から形成される本来位置
の基板部分とを含む。
【００１１】 基板が所望の形状に切断される領域で基板から研磨粒子が脱出する可能性を減
少するために、切断される基板の部分は、研磨粒子なしで設けられる。この粒子
のないゾーンは、たとえば、基板の縁全体に沿って一定の距離を延在する。略円
形のまたは環状の形状を有する一般的な状態調節ディスク用に、粒子のないゾー
ンは、基板の外側周縁部分に設けられる。用途によって、研磨粒子は基板の一方
の側または両側に設けることができる。
【００１２】 本発明は、ブレージング合金と耐蝕性粉末とを含む耐蝕性マトリックス材料で
基板に研磨粒子が貼付される研磨粒子を製造する方法も提供する。この方法は、
最初に基板にマトリックス材料の層を加えて、次に、各研磨粒子の一部がマトリ
ックス材料によって囲繞されるように、研磨粒子をマトリックス材料に配列する
ことを含む。研磨粒子は基板に配列されて粒子のないゾーンを提供し、それによ
って、そのゾーンに研磨粒子を有すると、切断過程によって引き起こされた弱化
の結果としてゆるくなるという問題を排除する。次に、マトリックス材料を熱お
よび／圧力で処理して、ブレージング合金を液体にし、研磨粒子の間および耐蝕
性粉末の隙間の間を流させる。このステップの間に、ブレージング合金は研磨粒
子と化学結合を形成し、耐蝕性粉末との界面で金属間合金を形成し、それによっ
て、ブレージング合金を耐蝕性粉末に結合する。さらに、熱と圧力との組み合わ
せが、耐蝕性粉末を焼結させる。
【００１３】 加熱および加圧ステップの間に、物品は、およそ５００℃〜１２００℃の範囲
の温度に加熱され、およそ７５〜４００ｋｇ／ｃｍ2の範囲の圧力へ加圧され、
ブレージング合金が研磨粒子と化学結合を形成することができ、ブレージング合
金が耐蝕性粉末と金属間合金を形成することができ、粉末を焼結することができ
るのに十分な時間、この温度および圧力が維持される。およそ３〜１５分の間の
時間が十分であることがわかった。
【００１４】 熱および圧力を物品に加えるより具体的な方法は、たとえば電気的に伝導性が
あり、研磨表面の輪郭に従うグラファイト紙等の材料の層で研磨粒子およびマト
リックス材料を覆うことを含む。この方法は、たとえば、サンドブラスト、水で
の圧力洗浄または高圧ウォータージェットクリーニング等の公知の技術を使用し
て伝導性層を取り除くか、または層を化学的に溶解して、熱および／圧力処理の
後に研磨粒子を露出するさらなるステップを必要とする。
【００１５】 本発明を形成する方法は、粒子のないゾーンを通ってたとえば環状ディスク形
状等の所望の形状に物品を切断するステップ、物品を平らにするステップ、物品
をクリーニングするステップおよび物品をキャリヤに接着するステップをさらに
含んでもよい。
【００１６】 詳細な説明 図１、２を参照すると、状態調節ディスクの形態で研磨物品２が示される。研
磨物品２は、向かい合った略平坦な頂表面４ａと底表面４ｂとを有する基板４を
含む。基板４は、たとえばステンレス鋼等のいずれの適切な材料から形成される
。複数の研磨粒子６が、頂基板表面４ａに隣接して配置され、第１の囲繞された
部分６ａがマトリックス材料８内に包埋され、マトリックス材料８は粒子を基板
４に貼付し各粒子を適所に固定して保持するように作用し、第２の露出した部分
６ｂはマトリックス材料８から外側に突出し、それによって研磨表面を形成する
。粒子のないゾーン１０が、状態調節ディスク２の周縁に沿って設けられ、ディ
スクの縁近傍にある研磨粒子に適切な側方向サポートを確実にする。
【００１７】 マトリックス材料８は、焼結された耐蝕性粉末とブレージング合金とを含む。
耐蝕性粉末とブレージング合金との金属間化合物が、ブレージング合金を焼結さ
れた耐蝕性粉末に接続し、化学結合がブレージング合金を研磨粒子に結合する。
本明細書で使用される「化学結合」という用語は、ブレージング合金と研磨粒子
との間の分子相互作用によって形成される結合を意味するものとして使用される
。化学結合という用語は、ブレージング合金が、研磨粒子の還元状態、たとえば
炭化物との相互作用する場合も含む。たとえば、ブレージング合金内のクロムは
、ダイヤモンド表面の炭素と相互作用し、炭化クロムを形成する。ブレージング
合金が還元または酸化に責任がある場合もある。化学結合は、マトリックス材料
が個別の粒子のまわりに構造的に配列することによって、粒子を適所に保持する
ように作用する純粋な機械的接着よりもまさる。機械的接着では、その形状によ
って一定の粒子が、適所に固定的に保持されず、したがって状態調節ディスクの
操作の間に取り除かれる傾向を有する。対称的に化学結合では、分子結合がブレ
ージング合金と研磨粒子との間の界面フェースに形成され、結果として、化学結
合は、より強力な保持特性を呈し、これは研磨粒子の形状とは関係がない。
【００１８】 化学結合を形成するために、ブレージング合金の組成物は、使用される特定の
研磨粒子に反応すると知られている十分な量の要素を含む。たとえば、ダイヤモ
ンド研磨粒子を使用する場合、ブレージング合金は、ダイヤモンドに反応してこ
れとの化学結合を形成する次の要素の少なくとも１つを高含有量（すなわち７重
量％を超える）含む。すなわち、クロム、タングステン、コバルト、チタン、亜
鉛、鉄、マンガンまたはケイ素である。立方晶窒化ホウ素研磨粒子を使用する場
合、ブレージング合金は、研磨粒子との化学結合を形成するアルミニウム、ホウ
素、炭素またはケイ素を含んでもよく、酸化アルミニウム研磨粒子を使用する場
合は、ブレージング合金は、アルミニウム、ホウ素、炭素またはケイ素を含んで
もよい。当然ながら、ブレージング合金は、様々な非反応材料をさらに含んでも
よい。
【００１９】 耐蝕性粉末は、ブレージング合金と混合されて、結合特性を改良し、強度を高
め、耐蝕性特性を改良し、マトリックス材料のコストを削減する。マトリックス
材料内の耐蝕性粉末の量は、およそ５重量％〜９９重量％の範囲でありうる。あ
るいは、マトリックス材料は４０〜９８重量％の耐蝕性粉末、または５０〜９５
重量％の耐蝕性粉末を含むことができる。本発明の特定の実施態様は、８０重量
％の耐蝕性粉末と２０重量％のブレージング合金とを含む。
【００２０】 図３に示される実施態様において、研磨粒子６およびマトリックス材料８は、
剛性キャリヤ１４に装着される可撓性のある基板１２に貼付される。基板１２は
、たとえば、ステンレス鋼箔等のいずれの適切な材料から形成される。キャリヤ
１４は、基板１２に剛性サポートを提供し、たとえば、適切な構造的サポートを
提供するのに十分な厚さを有するステンレス鋼シム等のいずれの適切な材料から
形成される。可撓性のある基板１２は、たとえば、ミネソタ州セントポールのミ
ネソタマイニングアンドマニュファクチャリング社が販売しているＡＦ−１６３
−２Ｋアエロスペースエポキシ等の接着剤でキャリヤ１４に貼付される。基板１
２は、リベットまたはねじ等の公知の機械的締結具でキャリヤ１４に取り付けら
れてもよい。
【００２１】 図４、５に示される本発明の第３の実施態様は、図２の状態調節ディスクに類
似するが、状態調節ディスクは中央に位置する円形開口１６を含み、基板４の頂
表面４ａおよび底表面４ｂの両方に貼付された研磨粒子を含むことが異なる。
【００２２】 図６、７は、研磨粒子６およびマトリックス材料８が、複数の歯車の歯２０ａ
を有する歯車形状のキャリヤ２０に貼付され、中央に位置する円形開口２２を含
む状態調節ディスクの第４の実施態様を示す。キャリヤ２０は、たとえば、ＬＥ
ＸＡＮ登録商標等のポリカーボネートから形成される。他の合成プラスチック材
料または金属が使用されてもよいことを当業者は認識する。研磨粒子６およびマ
トリックス材料８は、接着剤または機械的締結具等のいずれの適切な技術を使用
してキャリヤ２０に直接装着される剛性研磨セグメント２４内に形成される。各
セグメント２４は、研磨粒子６を含む研磨部分２４ａと、マトリックス材料から
形成された本来位置の基板部分２４ｂとを含む。あるいは、研磨粒子６およびマ
トリックス材料８は、図３を参照して記載されたステンレス鋼箔等の適切な材料
から形成された基板（図示せず）に沿って配列され、類似の方法でキャリヤ２０
に貼付されてもよい。
【００２３】 本発明によって研磨粒子を形成する方法は、最初に基板上にマトリックス材料
を提供して、次に、各粒子の第１の部分がマトリックス材料内に包埋されてこれ
によって囲繞され、第２の露出部分がマトリックス材料から外側に延在するよう
に、研磨粒子をマトリックス材料に配列することを含む。マトリックス材料は、
耐蝕性粉末とブレージング合金とを含み、ブレージング合金は、図１、２を参照
して先に検討された特定の研磨粒子と反応してこれと化学結合する要素を含む。
研磨粒子は、基板上に無作為に分布されてもよく、または、たとえば、ｄｅＫｏ
ｋ ｅｔ ａｌ．に付与された米国特許第４,９２５,４５７号に開示された方法
等の公知の方法を使用して、所定のパターンに配列されてもよい。次いで、熱お
よび圧力が、基板、マトリックス材料および研磨粒子に加えられ、ブレージング
合金を固相から液相へ転移させる。次いで、液体ブレージング合金は、各研磨粒
子の一部に密接に接触するように流れてこれを囲繞する。ブレージング合金が冷
却して固相に戻ると、ブレージング合金は、機械的接着の形態で構造的サポート
を提供することによって、各研磨粒子を適所に保持するように作用する。さらに
、研磨粒子と反応するように選択されたブレージング合金の構成要素は、各研磨
粒子との化学結合を形成し、それによって、粒子の形状とは関係なく各粒子を適
所に固定して保持する追加機構を提供する。液体ブレージング合金は、耐蝕性粉
末の隙間の間も流れ、ブレーズと粉末との界面フェースでブレージング合金と耐
蝕性粉末とから構成される金属間合金を形成する。熱および圧力も耐蝕性粉末を
焼結させ、すなわち、耐蝕性粉末は、溶融なしで個別の粒子耐蝕性粉末を部分的
に溶接することによって、均質な集合体を形成する。
【００２４】 実施例 本発明の特定の実施態様において、８０／１００ダイヤモンド研磨粒子が、２
０重量％のブレージング合金と８０重量％のステンレス鋼粉末とを具備するマト
リックス材料に包埋された。使用されたブレージング合金は、ニューヨーク州ウ
ェストベリーのスルザー・メテコ（Ｓｕｌｚｅｒ Ｍｅｔｃｏ）が販売のＡＭＤ
ＲＹ合金番号７６７であり、ニッケル、リンおよびクロムを含む。クロムは、ダ
イヤモンド研磨粒子と反応して、これとの化学結合を形成するように作用する。
使用されたステンレス鋼粉末は、ニュージャージー州リバートンのホーガネーズ
社（Ｈｏｅｇａｎａｅｓ Ｃｏ．）が販売のＡｎｃｏｒ４３４Ｌ−１００であっ
た。次いで、ダイヤモンド研磨粒子、ブレージング合金およびステンレス鋼粉末
は、およそ９００℃〜１１００℃の範囲の温度へ加熱され、およそ７５〜４００
ｋｇ／ｃｍ2の範囲の圧力へ加圧され、およそ３〜１５分の間の時間にこれらの
状態で維持され、下記の１つまたはそれ以上を可能にした。すなわち、（１）ス
テンレス鋼が焼結されること、（２）ブレージング合金が、研磨粒子のまわりに
流れ、これと反応し、これとの化学結合を形成すること、（３）ブレージング合
金が焼結されたステンレス鋼粉末の隙間を通って流れること、および、（４）ブ
レージング合金が焼結されたステンレス鋼粉末との金属間合金を形成することで
ある。これらの事象は同時に起こってもいずれの順に起こってもよい。
【００２５】 熱および圧力処理を提供するための特定の技術は、研磨粒子およびマトリック
ス材料を、オハイオ州クリーブランドのＵＣＡＲカーボン社（ＵＣＡＲ Ｃａｒ
ｂｏｎ Ｃｏ．， Ｉｎｃ．）が販売のグラファイト紙等の、研磨粒子およびマ
トリックス材料の表面輪郭に従うことができる材料の電気伝導層で覆うことを含
む。熱は、電流をグラファイト紙の層に加えることによって発生され、圧力は、
圧力をグラファイト紙に加えることによって提供され、これが今度は圧力を研磨
粒子およびマトリックス材料に伝える。加熱および加圧ステップの後に、サンド
ブラスト、圧力洗浄、高圧ウォータージェットクリーニング等のいずれの公知の
技術を使用して、適合伝導層が取り除かれるか、または適切な化学溶液で層を溶
解して、それによって研磨粒子を露出する。
【００２６】 この方法は、研磨粒子を基板上に配列して、研磨粒子を含まない粒子のないゾ
ーンを提供することと、次いで、特定の構成を有する研磨粒子を得るために、粒
子のないゾーンを通って切断することとをさらに含んでもよい。粒子のないゾー
ンを提供することによって、切断操作はいずれの粒子を取り除かず、さもなけれ
ば粒子のサポートに影響を及ぼす。最後に、この方法は、接着剤または機械的締
結具を含むいずれの適切な締結手段を使用して、基板をキャリヤに装着すること
を含んでもよい。
【００２７】 上記に述べた本発明の概念から逸脱することなく様々な変更および修正を加え
ることができることは当業者には明らかである。したがって、本発明の範囲は、
本願に述べられた構造物に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の文言によ
って述べられた構造物およびそれらの構造物の等価物によってのみ限定されるべ
きである。
【図面の簡単な説明】
本発明は、添付の図面を参照してさらに説明される。
【図１】 本発明による状態調節ディスクの上面図である。
【図２】 図１の線２−２に沿って取られた詳細断面図である。
【図３】 図１の状態調節ディスクの代替実施態様の詳細断面図である。
【図４】 本発明の第３の実施態様の上面図である。
【図５】 図４の線５−５に沿って取られた詳細断面図である。
【図６】 本発明の第４の実施態様の上面図である。
【図７】 図６の線７−７に沿って取られた詳細断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ) ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ， ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，Ｄ Ｋ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ， ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，Ｌ Ｖ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ， ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，Ｕ Ｚ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 研磨物品であって、 （ａ）向かい合った略平坦な頂表面と底表面とを有する基板と、 （ｂ）該基板頂表面および該基板底表面の少なくとも一方の少なくとも一部に
    配列され、マトリックス材料で貼付された複数の研磨粒子であって、該マトリッ
    クス材料はブレージング合金と耐蝕性粉末とを具備する複数の研磨粒子と、 を具備する研磨物品。
  2. 【請求項２】 前記耐蝕性粉末は焼結され、該焼結された耐蝕性粉末は、耐
    蝕性粉末とブレージング合金とを具備する金属間化合物で該ブレージング合金に
    接続され、該ブレージング合金は化学結合で前記研磨粒子に接続され、それによ
    って、該研磨粒子を前記基板に適所に固定して保持する請求項１記載の研磨物品
    。
  3. 【請求項３】 前記耐蝕性粉末は、ステンレス鋼、チタン、ジルコニウム、
    炭化タングステンおよびニクロムの少なくとも１つを具備する請求項２記載の研
    磨物品。
  4. 【請求項４】 前記研磨粒子はダイヤモンドであり、前記ブレージング合金
    は、クロム、タングステン、コバルト、チタン、亜鉛、鉄、マンガンおよびケイ
    素からなる群から選択される少なくとも１つの要素を具備する請求項３記載の研
    磨物品。
  5. 【請求項５】 前記研磨粒子は立方晶窒化ホウ素であり、前記ブレージング
    合金は、チタン、ケイ素およびホウ素からなる群から選択される少なくとも１つ
    の要素を具備する請求項３記載の研磨物品。
  6. 【請求項６】 前記研磨粒子は酸化アルミニウムであり、前記ブレージング
    合金は、アルミニウム、炭素、ケイ素およびホウ素からなる群から選択される少
    なくとも１つの要素を具備する請求項３記載の研磨物品。
  7. 【請求項７】 前記基板は耐蝕性金属から形成される請求項３記載の研磨物
    品。
  8. 【請求項８】 前記基板は前記マトリックス材料から形成される請求項３記
    載の研磨物品。
  9. 【請求項９】 前記基板はキャリヤに貼付される請求項３記載の研磨物品。
  10. 【請求項１０】 前記基板は接着剤で前記キャリヤに貼付される請求項９記
    載の研磨物品。
  11. 【請求項１１】 前記キャリヤは、ステンレス鋼とポリカーボネートとの一
    方から形成される請求項１０記載の研磨物品。
  12. 【請求項１２】 前記キャリヤは、略円形形状を有し、複数の歯を有する外
    側縁表面を含む請求項１１記載の研磨物品。
  13. 【請求項１３】 前記基板頂表面および前記基板底表面の各々は、それに固
    定された複数の研磨粒子を含む請求項３記載の研磨物品。
  14. 【請求項１４】 前記基板は粒子のないゾーンを含み、それによって、該粒
    子のないゾーンを通って切断することで該基板が所定の形状に切断されることを
    可能にする請求項３記載の研磨物品。
  15. 【請求項１５】 前記基板は略円形形状を有し、前記粒子のないゾーンは該
    基板の周縁に沿って設けられる請求項１４記載の研磨物品。
  16. 【請求項１６】 （ａ）前記基板上に前記マトリックス材料を設けるステッ
    プと、 （ｂ）該マトリックス材料に前記研磨粒子を配列し、それによって、各研磨粒
    子の少なくとも一部が該マトリックス材料内に包埋されるステップと、 （ｃ）前記ブレージング合金を流れさせ、前記耐蝕性粉末を焼結させ、該ブレ
    ージング合金を該研磨粒子との化学結合および機械的接着の両方を形成させ、該
    マトリックス材料および焼結された耐蝕性粉末を該マトリックス材料と耐蝕性粉
    末との界面で金属間化合物を形成させるのに十分な熱および圧力を該マトリック
    ス材料に加えるステップと、 を具備する方法によって形成される請求項１記載の研磨物品。
  17. 【請求項１７】 （ｃ）の熱および圧力を加えるステップは、前記マトリッ
    クス材料をおよそ５００℃〜１２００℃の範囲の温度へ加熱し、およそ７５〜４
    ００ｋｇ／ｃｍ2の範囲の圧力を加え、この温度および圧力をおよそ３〜１５分
    の範囲の時間の間維持することを含む請求項１６記載の方法によって形成された
    研磨物品。
  18. 【請求項１８】 （ｄ）前記基板に研磨粒子のないゾーンを設けるステップ
    と、 （ｅ）該研磨粒子のないゾーンを通って該基板を切断するステップと、 （ｆ）前記物品をキャリヤに接着するステップと、 をさらに具備する請求項１７記載の方法によって形成された研磨物品。
  19. 【請求項１９】 （ｃ）の熱および圧力を加えるステップは、適合伝導性層
    を提供して、前記研磨粒子およびマトリックス材料を覆い、電流および圧力を該
    層に加えることを含む請求項１８記載の方法によって形成された研磨物品。
  20. 【請求項２０】 前記適合伝導性層はグラファイト紙であり、さらに該グラ
    ファイト紙はサンドブラストによって取り除かれ、それによって前記研磨粒子を
    露出する請求項１９記載の方法によって形成された研磨物品。
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