JP2002504687A - 癌の治療法 - Google Patents

癌の治療法

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ローレンス アンソニー シーブラ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗癌剤に対する癌細胞の感受性を測定する方法を提供する。 【解決手段】 試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および/または機能を試験する工程;並びに、試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然変異状態、発現および/または機能を試験する工程を包含し、該方法が、野生型p53細胞またはその抽出液を含有する試料中のRaf-1蛋白量をウエスタンブロットにより試験することによって野生型p53癌細胞の放射線感受性を測定する工程を包含するときは、Raf-1蛋白質に特異的な抗体を用いることを特徴とする抗癌剤に対する癌細胞の感受性を測定する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、癌患者に対し、最も適切な治療法を選択する方法に関するものであ
る。本発明は特に、抗癌剤に対する癌細胞の耐性を測定することに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】
今世紀後半、放射線療法および化学療法は多くの癌患者の治療に用いられてき
たが、治療に対する応答が殆ど無いか、治療初期のみ応答し、後に再発するとい
った多くの腫瘍がなお残存している。特に、女性患者の卵巣癌を白金化剤で治療
した場合、初期には、化学療法(第一に選択される薬剤として、シスジアミンジ
クロロ白金(CDDP)の使用を伴う場合が多い)に対して有望な兆候を示す場合が 多いが、診断5年以内に、そのうちの3分の2が再発してしまう。同様に、肺癌患 者も治療開始時には、CDDPを用いた複合化学療法に対し、良好な兆候を示すが、
長期生存者は殆どいない。CDDPに対する癌の反応の根拠となるメカニズムを充分
理解することは、どの患者がCDDPによる利益を最も被るのか、或いは、タキソー
ルの様な別の細胞毒性剤若しくは放射線療法の様な別の治療法が適切であるのか
を予測する際に役立つ。治療に対する応答メカニズムを理解することはまた、こ
れらのメカニズムを選択的に調節することにより、例えばCDDPの使用によるヒト
の癌治療を改善するという可能性にもつながるものである。
【0003】 特定の癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子は、発癌に関与するのみならず、治療剤
に対する悪性腫瘍細胞の感受性にも影響することが一層明らかにされている。従
って、放射線療法および/または細胞毒性化学療法の様な現在有用な治療法に対
するヒト癌の治療応答を検討し、予測する為に、上記の遺伝子及び他の遺伝子を
用いる試みが行われている。しかしながら、現時点までの研究では、一般に治療
応答を予測する方法として、単一の腫瘍関連遺伝子の発現を調べることのみが行
われている。パブリックドメインの研究によれば、乳癌、肺癌、卵巣癌の様な通
常の癌の約50%に認められるp53腫瘍抑制遺伝子の突然変異が、細胞毒性剤また は放射線照射に対する耐性に関与していることが示唆されている。しかしながら
、多くの研究がなされているにもかかわらず、現時点では、p53遺伝子のみの突 然変異を検出することにより、患者の癌が、例えば白金化剤、またはタキサン類
(例えばタキソール)の様な新しい細胞毒性剤を用いた化学療法に応答し易いか
どうかを、許容し得る程度の確実性で予測する為に用いることができる様な良好
な臨床試験法は未だ提供されていない。
【0004】 CDDPの様な細胞毒性剤を用いた治療では、ヒトin vitro細胞系で、ヒト癌細胞
系の応答に対してのみ単一遺伝子の発現作用が研究されているが、その理由は、
これらが臨床現場におけるヒト癌の応答に適切なモデル系を提供する為である。
特にこれらは、臨床現場で通常用いられる細胞毒性剤および電離放射線に対する
感受性域を有している。従って、ヒトin vitro細胞系における知見は、癌がどの
程度治療に応答すると期待できるのかについて、臨床上有用な試験へとつながる
可能性が強い。
【0005】 細胞周期を通じた細胞の進行は、その濃度が細胞周期を通じて変動するサイク
リンと呼ばれる蛋白質と、サイクリン結合して活性となるサイクリン依存性キナ
ーゼ(CDK)との組合せによって形成されるホロ酵素により決定される。サイク リン/CDKの複合体は、蛋白質p21 WAF1/CIP1(p21)を含むサイクリン依存性キ
ナーゼ阻害剤(CDKI)と呼ばれる蛋白質によって阻害される。
【0006】 サイクリンD1遺伝子およびB1遺伝子の蛋白質産生、並びに夫々のサイクリン依
存性キナーゼパートナーであるCDK4およびCDK1について研究されている。サイク
リンD1およびCDK4は、G1期とS-期の間(DNA合成期)の細胞周期チェックポイン トを通じて細胞の進行を制御する。サイクリンB1およびCDK1は、有糸分裂直前の
細胞周期チェックポイントを制御する。一連の16ヒト癌細胞系におけるサイクリ
ンD1蛋白質の発現は、細胞毒性剤CDDPに対する内因性耐性と関連していることが
示されている(Warenius等、1996)が、サイクリンD1蛋白質の濃度は、別の治療
法である放射線感受性とは無関係である。しかしながら、サイクリンD1とCDDP耐
性との関係はそれ自身、臨床上有用な予測試験の根拠となる程、強いものではな
い。
【0007】 タキサン類として周知の抗癌剤類の一つであるパクリタキセルは、卵巣癌の臨
床治療において、白金化剤と併用して治療した場合に有効であることが、臨床上
示されている。ヒトパピローマウイルス構築物またはSV40ウィルス構築物に感染
し、正常なp53の機能が失われたときには、細胞はパクリタキセルに対し、一層 高い感受性を示す様になる旨報告されている(Wahl等,Nature Medicine, vol.2
, No.1, 72-79, 1996)。これは、G2/Mが停止し、アポトーシスが増加した為と
考えられる。しかしながら、全てのp53突然変異癌細胞がタキソールに対し、感 受性を示す訳ではない。従って、それ自身の相関関係に基づき、上記研究が、特
定の症状に有効な治療法を決定する為の信頼性の高い予測方法を与えることは困
難である。
【0008】 従って、ヒト癌細胞における単一癌遺伝子、癌原遺伝子または腫瘍抑制遺伝子
の突然変異状態または蛋白質産物の発現濃度を測定することが、白金化剤および
CDDPを含む化学療法剤を用いた治療法に臨床上の腫瘍が応答するかどうかについ
て、信頼性の高い臨床試験の根拠を提供する指標とはならないのである。
【0009】 今世紀後半、放射線療法は多くの癌患者の治療に用いられてきたが、治療に対
する応答が殆ど無いか、治療初期のみ応答し、後に再発するといった多くの腫瘍
がなお残存している。放射線療法に対する癌の反応の根拠となるメカニズムを充
分理解することは、どの患者が放射線療法による利益を最も被るのかを予測する
ことが可能になり、更には、放射線療法を用いたヒトの癌治療を改善するメカニ
ズムを選択的に調節するという可能性も包含するものである。
【0010】 内因性放射線感受性の分子レベルでの基礎は長年の間研究されている。研究の
大部分は、DNA二重鎖の切断(dsbs)発生率に反映されるDNA損傷度およびその後
の修復(Kelland等,1988;Schwartz等、1991)、dsbsの細胞内再結合後、DNA中
に残存する損傷(Nunez等、1995;Whitaker等、1995)、およびDNA修復の正確さ
(Powell&McMillan,1994)に絞られている。しかしながら、DNA損傷に加え、 特定の癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子は発癌に関与するのみならず、電離放射線
に対する悪性腫瘍細胞の感受性にも影響を及ぼすことが益々明らかになってきた
【0011】 この様に癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子は、治療剤に対する悪性腫瘍細胞の感
受性に関与するという証拠が増えるにつれ、放射線療法および/または細胞毒性
化学療法の様に現在有用な治療法に対するヒト癌の治療応答を検討し、予測する
為に、上記遺伝子及び他の遺伝子を用いようとする試みがなされている。しかし
ながら、現在までの研究は通常、治療応答を予測する方法として、単一腫瘍関連
遺伝子の発現を検査することのみが行われていた。選択された遺伝子の発現と内
因性放射線感受性との関係を調べる際、試験の為に選択された遺伝子以外の他の
候補遺伝子も実験結果に影響するのかどうかについては、必ずしも考慮されてい
なかった。
【0012】 各遺伝子の役割に関しては、多くの細胞周期遺伝子およびシグナル導入遺伝子
に着目し、研究されてきた。mycまたはrasの様な優性癌遺伝子を正常細胞系にト
ランスフェクションすると(McKenna等、1991)、dsb誘導率が検出可能な程度変
化しない場合であっても、放射線耐性は増加することが報告されている(Iliaki
s等、1990)。c-fms、v-sis、v-erb-B、v-abl、v-src、v-cot(Fitzgerald等、1
990、Suzuki等、1992、Shimm等、1992)およびc-Raf(Kasid等、1989、Pirollo 等、1989)を含有する幾つかの他の癌遺伝子も、哺乳類細胞における細胞の放射
線感受性を調節することが報告されている。これらの所見が潜在的に臨床的放射
線療法と関連することは、高濃度のRaf-1(c-Raf-1癌原遺伝子の正常蛋白質産物
)がヒトin vitro細胞系における内因性放射線感受性に関連しているという観察
結果によって裏付けられている(Warenius等、1994)。しかしながら、これらの
結果だけで、臨床検査における放射線療法に対する腫瘍の感受性を測定すること
は不充分である。
【0013】 別の研究結果によれば、p53腫瘍抑制遺伝子の突然変異と細胞放射線耐性の増 加との間には正の相関関係があることが、げっ歯類の腫瘍細胞およびヒトの腫瘍
細胞において(Fan等、1994、Radford 1994、Zhen等、1995、Xia等、1995、Lee およびBernstein,1993)、並びに突然変異p53(mp53)遺伝子をトランスフェク
トした正常細胞において(Pardo等、1994、Bristow等、1994、Kawashima等、199
5)認められている。パブリックドメインの研究によれば、乳癌、肺癌、卵巣癌 の様な通常の癌の約50%に認められるp53腫瘍抑制遺伝子の突然変異が、細胞毒 性剤または放射線照射に対する耐性に関与していることが示唆されている。しか
しながら、多くの研究がなされているにもかかわらず、現時点では、p53遺伝子 のみの突然変異を検出することにより、患者の癌が、放射線療法に応答し易いか
どうかを、許容し得る程度の確実性で予測する為に用いることができる様な良好
な臨床試験法は未だ提供されていない。腫瘍の応答とp53の状態とを比較する臨 床病理学的研究の結果には大きな相違が見られる為、現時点では、p53突然変異 またはp53蛋白質の過剰発現のみによって、ヒトの癌が放射線療法に応答し易い かどうかを予測するには不充分であるという結論に達している。
【0014】 癌遺伝子および癌抑制遺伝子は、細胞周期のチェックポイントにおいて放射線
誘導ブロックを介して照射された細胞の進行に影響を及ぼすことによって内因性
放射線感受性を調節することが多くの報告で示唆されている。電離放射線を照射
した後、p53により媒介されるG1/Sの遅延は、相対的放射線感受性と相関する細 胞周期撹乱の重要な尺度として提案されている(Kastan等、1991、McIlwrath等 、1994;Siles等(1996)。また、mycおよびras(McKenna等、1991)の様な優性
癌遺伝子、またはSV40(Su&Little、1993)の発現が、放射線耐性および照射後
に同時に起こるG2/Mチェックポイント遅延の増加の双方を誘発することが知られ
ている。更に、正常なc-Raf-1癌原遺伝子の蛋白質産物は、19ヒトin vitro 細胞
系において放射線感受性に関連することが知られている(Warenius等、1994)。
近年、上記19細胞系のうちの6細胞系において、以前に観察されたRaf-1/放射線 感受性の関連性は極めて強く、G2/Mの細胞周期チェックポイントで放射線誘発ブ
ロックから如何に迅速に細胞が離脱できるかに関係していることが明らかになっ
た。正常Raf-1蛋白質の発現が増加する放射線感受性ヒト癌細胞は、Raf-1の発現
が低い放射線耐性細胞よりも迅速に、2Gy照射によって誘発されるG2/Mブロック から離脱する(Warenius等、1996)。正常なc-Raf癌原遺伝子のRaf-1蛋白質産物
が多く発現することは放射線感受性に関連しているが、CDDPに対する耐性とは関
連していない。しかしながら、サイクリンD1とCDDP耐性との関係はそれ自体、臨
床上有用な予測試験の根拠となる程、強いものではない。同様のことは、単一遺
伝子の作用を治療の成功と相関させる他の試みにも当てはまる。
【0015】 残念なことに、癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子が相互作用して、ヒト癌細胞の
放射線感受性表現型に影響を及ぼすかどうか、或いはどの様にして相互作用する
のかどうかについては、殆ど知られていない。しかしながら、REF(ラット胚腺 維芽細胞)の様な他の哺乳類細胞を用いたトランスフェクション実験によれば、
単一優性癌遺伝子のみを発現する細胞よりも、優性+協同作用性の癌遺伝子を発
現する細胞の方が、放射線耐性が一層増加することが分かった(McKenna等、199
0、Su&Little 1992、Pirollo等、1993)。同様に、多重組込み突然変異p53−pr
o193対立遺伝子でトランスフェクションすることによりREF細胞に誘導された放 射線耐性は、突然変異p53遺伝子をH‐rasで同時にトランスフェクトした場合に 比べ、遥かに大きかった(Bristow等,1994)。
【0016】 極く最近(Warenius等、1994,1996)では、野生型p53に関してRaf-1蛋白質を 測定することにより、放射線感受性の予測試験の根拠となる可能性のある相関関
係が得られることが分かった。この関連性は、定量的ウエスタンブロットにより
Raf-1蛋白質を測定することにより明らかになった。しかしながら、ウエスタン ブロットは高価であり、時間も労力もかかる。更に、多数の細胞が必要である。
従って、この様な特定条件は、ルーチンの臨床試験として現実的でない。臨床検
査では、ウエスタンブロットで用いられている様に100万個以上の細胞ホモジネ ートを測定するのではなく、個々の細胞蛋白質濃度を測定できる方が好ましい。
腫瘍細胞中のRaf蛋白質の発現を正常細胞中のRaf蛋白質の発現と判別できること
も重要である。これには、フローサイトメトリー試験において異数状態ではなく
倍数状態に基づいて細胞を選別する能力、または、組織学的基準により結合組織
、血管浸潤性白血球または壊死領域から腫瘍領域を識別できる様な組織切片上で
、組織学的に観察できる個々の細胞中のRaf蛋白質を測定する能力が必要とされ る。
【0017】 残念なことに、ウエスタンブロットで試験した場合、現在使用できるRafに対 する抗体は全て、48kD分子上の関連しないエピトープと交差反応する(図3参照 )。Raf-1は72〜74kDの分子であり、ウエスタンブロットで識別でき、別途、測 定することができる。しかしながら、フローサイトメトリーまたは免疫細胞化学
の様なRaf-1細胞試験法では、関連しない48kD分子と適切な72〜74kD分子とを識 別することができない。ウエスタンブロットでは、48kD蛋白質は72kD蛋白質より
も遥かに多く検出される為、48kD蛋白質は72kDのRaf癌原遺伝子の断片ではない と考えられる。
【0018】 この様に上記技術水準に基づいたとしても、現時点では、ヒト癌細胞における
癌遺伝子、癌原遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の突然変異状態または蛋白質産物の
発現量を測定することが、薬剤および/または放射線治療に臨床的腫瘍が応答す
るかどうかについて、信頼性の高い臨床試験の根拠を提供する指標は未だ提供さ
れていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決することにある。即ち、本発明は、抗癌剤
に対する癌細胞の感受性を測定する方法であって、該方法は、試料中の負シグナ
ル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および/または機能を試験する工程;
並びに、試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然変異状態、発現および/ま
たは機能を試験する工程を包含し、該方法が、野生型p53細胞またはその抽出液 を含有する試料中のRaf-1蛋白量をウエスタンブロットにより試験することによ って野生型p53癌細胞の放射線感受性を測定する工程を包含するときは、Raf‐1 蛋白質に特異的な抗体を用いることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の構成】
本発明の記述において、因子とは、如何なる遺伝子、分子、成分または産物も
包含しており、特に細胞内に含まれる因子である。NSTFを試験する工程およびPS
TFを試験する工程は、いずれの順序で行っても良い。
【0021】 また本発明の記述において、NSTFとは、細胞周期を阻害若しくは停止させる因
子であるか、細胞周期から細胞を離脱させる因子であるか、および/または、ア
ポトーシスまたは他の細胞死を誘発することにより細胞分裂を阻害する因子を意
味するものである。即ち、NSTFはサプレッサーおよび/またはPSTF阻害剤であっ
ても良い。NSTFの例としては、p53(特にその突然変異状態)、p21(特にp21の 発現量および/またはp21蛋白質の量)、Raf-1阻害剤、サイクリンD1阻害剤、並
びに、CDK1阻害剤およびCDK4阻害剤等のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤が挙げ
られる。
【0022】 本発明において、PSTFは、転写因子、癌遺伝子、癌原遺伝子、細胞周期の分裂
を阻害および/または制御する遺伝子、および/または、細胞表面受容体を包含
するものである。即ち、PSTFには、Raf-1(特にRaf-1の発現量および/またはRa
f-1蛋白質の量)、サイクリンD1(特にサイクリンD1の発現量および/またはサ イクリンD1蛋白質の量)、またはCDK1またはCDK4の様なサイクリン依存性キナー
ゼ(特にこの様なサイクリン依存性キナーゼの量)が含まれる。
【0023】 また、本発明には、抗癌剤に対する癌細胞の感受性を測定するキットであって
、該キットは、 (i)試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および/ま たは機能を試験する手段、並びに、 (ii)試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然変異状態、発現および/ま
たは機能を試験する手段 を包含することを特徴とするものである。
【0024】 添付図面を参照しながら本発明を更に詳細に説明するが、これは例示に過ぎな
い。
【0025】 第1の実施態様において、本発明は、2つ以上の腫瘍関連遺伝子の特性を同時に
測定することにより、CDDPの様な白金化剤等の化学療法剤による細胞毒性作用に
対し、ヒト癌細胞が感受性を有するかどうかを予測する方法に関するものである
。更に、本発明において同定された相互に独立して発現する特定の癌遺伝子との
相関関係は、従来報告されていなかった標的を提供するものであり、癌に一層特
異的な潜在的直接治療法となり得るものである。
【0026】 特に本発明の実施態様は、化学療法剤による細胞毒性作用に対するp53突然変 異癌細胞の耐性を測定する方法に関し、該方法は、p53突然変異細胞またはその 抽出液を含有する試料中のサイクリンD1の発現濃度またはサイクリンD1蛋白質の
量を調べることを包含するものである。本発明の実施態様は更に、化学療法剤に
よる細胞毒性作用に対するp53突然変異癌細胞の耐性を測定するキットに関し、 該キットは、 (i)サイクリンD1の発現濃度またはサイクリンD1蛋白質の量を調べる手段; および、 (ii)p53突然変異癌細胞を同定する手段 を包含するものである。
【0027】 同様の実施態様において、本発明は、化学療法剤による細胞毒性作用に対する
細胞の耐性を測定する方法に関し、該方法は細胞またはその抽出液を含有する試
料中の (a)p21の発現濃度またはp21蛋白質の量;および、 (b)サイクリンD1の発現濃度またはサイクリンD1蛋白質の量 を調べることを包含するものである。
【0028】 本発明の実施態様はまた、化学療法剤による細胞毒性作用に対する細胞の耐性
を測定するキットに関し、該キットは、 (i)p21の発現濃度またはp21蛋白質の量を調べる手段;および、 (ii)サイクリンD1の発現濃度またはサイクリンD1蛋白質の量を調べる手段 を包含するものである。
【0029】 即ち、上記実施態様は、好ましくは、例えばCDDPに対する腫瘍の耐性を調べる
為に、p53突然変異状態が(例えばDNA配列決定により)測定されている細胞およ
び/または実質的に検出不可能なp21蛋白質濃度を示す細胞中のサイクリンD1蛋 白質濃度またはサイクリンD1の発現を測定することを含んでいる。高いサイクリ
ンD1濃度または高いサイクリンD1発現と、p53突然変異または上昇しない(好ま しくは実質的に検出不可能な)p21蛋白質濃度(またはp21発現が実質的に上昇し
ない(好ましくは実質的に存在しない)との組合せは、ヒト癌細胞において、CD
DPの様な化学療法剤に対する耐性と密接に関連するものである。
【0030】 サイクリンD1の過剰発現またはサイクリンD1蛋白質濃度の上昇は、適切な方法
、例えばウエスタンブロットによって測定することができる。濃度が上昇してい
るか、または、発現が過剰であると考えられる点は、ヒト細胞系におけるサイク
リンD1の通常濃度に関する文献の記載に従って、当業者が容易に知り得るもので
ある(Oncogene, 1993, 第8巻、2127-2133;およびOncogene、1995、第10巻、77
5-778参照)。この点は、特定の癌細胞および対象患者に応じて、本発明方法を 実施する者の判断によって決定することができる。
【0031】 同様にp21の発現またはp21蛋白質の濃度は、サイクリンD1濃度の測定に関する
上記の方法に相当する方法を含む如何なる適切な方法によって測定することがで
きる。特にp21はサイクリン依存性キナーゼ阻害剤であり、これは、ウエスタン ブロット、免疫細胞化学法、またはより新しい開発技術、例えば、p21mRNAの相 対量を測定する等の方法によって検出することができる。p21が有効に発現され ない(または発現が上昇しない)またはp21蛋白質が有効に検出されない(また は有効に上昇しない)と考えられる点は、ヒト細胞系におけるp21蛋白質の通常 濃度に関する文献の記載に基づき、当業者ならば容易に知ることができる(Onco
gene、1995、11巻、2021-2028;Oncogene、1996、12巻(6)、1319‐13243)。
【0032】 p53突然変異または実質的に上昇しない(好ましくは実質的に検出不能な)p21
蛋白質濃度と、サイクリンD1蛋白質の高濃度発現との組合せを有するヒト癌細胞
系は、CDDPの様な化学療法剤による細胞毒性作用に対して耐性を示す。この所見
は、CDDPへの応答性に関する予測試験の為の潜在的に新しいパラメーターまたは
CDDPへの応答性を調節する為の新しい標的を提供することに関し、重要な臨床上
の可能性を含んでいる。
【0033】 p53突然変異およびp21蛋白質濃度と、高いサイクリンD1濃度またはサイクリン
D1の過剰発現との高い相関性はまた、薬剤開発における潜在的な標的を提供する
ものである。p53突然変異型に対する薬剤、および、それとは独立してサイクリ
ンD1に対する薬剤の開発が行われている。この様な薬剤は、上記p53突然変異お よびサイクリンD1の過剰発現を有する癌を治療する際に併用したときに、一層有
効であると考えられる。この様な薬剤はまた、CDDPの様な他の薬剤と組合せて、
その有効性を強化する為に使用することもできる。
【0034】 図1は、p53突然変異ヒト細胞において、サイクリンD1蛋白質濃度とCDDPに対す
る相対的耐性を、D0.1値により測定すると強い関連性があることを示している。
このことは、p53突然変異および高濃度のサイクリンD1蛋白質を示すヒト癌細胞 は、CDDPの様な白金化剤に応答するとは考えられず、代替の化学療法剤を検討す
べきであることを意味している。サイクリンD1/p53突然変異試験はまた、エト ポシドの様な他の細胞毒性剤に対する耐性も検出することができる。従って、こ
の試験は、CDDPの代わりに放射線照射が可能な状況を教示するか、または、他の
細胞毒性剤がより適切であるかどうかを教示するものである。
【0035】 即ち、上記記載より明らかな通り、サイクリンD1蛋白質の発現とp53遺伝子の 突然変異の存在の2重測定に基づいて、CDDP感受性に関する臨床試験を提供し得 るものである。サイクリンD1蛋白質は典型的には、ウエスタンブロットまたは免
疫細胞化学法により測定される。
【0036】 p53の突然変異状態の測定は、患者の遺伝子を有するゲノム遺伝子座を配列決 定することにより、または、発現mRNAをcDNAに変換後に配列決定することにより
、行うことができる。現在、種々の核酸配列決定法を使用することができるが、
その全てが、この診断方法に好適に用いられる。典型的な方法は、Sanger等(19
77)の方法を用いた鋳型ポリメラーゼ生成複写物への末端ヌクレオチドの取込み
に基づくものである。最近、多くの代替法が可能となり、数例を挙げれば、アダ
プター配列決定(PCT/US95/12678)、連結に基づく配列決定(PCT/US96/052
45)、ハイブリダイゼーションによる配列決定(A.D.Mirzabekov、TIBTech12:2
7‐32、1994)等である。特定の突然変異を調べる為の様々な方法は当該分野で 知られており、例えば、TaqMan試験、オリゴヌクレオチドリガーゼ法、一重鎖コ
ンホメーション多形性および鋳型核酸のオリゴヌクレオチドアレーへのハイブリ
ダイゼーションに基づく試験法が挙げられる。
【0037】 サイクリンD1は、周期的な(cyclical)転写制御下では比較的短命の蛋白質で
ある為、サイクリンD1のmRNA濃度はサイクリンD1蛋白質と同様の様式に従い、CD
DP耐性に対して同様に密接な関連性を示すと考えられる。これにより、腫瘍試料
からmRNAを抽出し、これを用いてサイクリンD1mRNAの相対量を測定し、p53mRNA における突然変異を検出することにより、CDDPに対する耐性に関する機能試験を
行うことが可能になる。
【0038】 オリゴヌクレオチドアレー mRNA濃度の測定は多くの方法で行うことができる。逆転写を用いてポリ‐A担 持mRNAをcDNAに容易に変換することができ、この方法は本発明を説明する実施例
の中でも記載する。逆転写酵素PCR(RTPCR)法では単一RNAの量を測定すること はできるが、精度は比較的低い。オリゴヌクレオチドアレーは比較的新しい核酸
分析方法であり、突然変異分析、ハイブリダイゼーションによる配列決定および
mRNA発現の分析が可能である。この様なアレーの構築方法(例えばA.C.Pease等 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91, 5022‐5026, 1994;U.MaskosおよびE.M.Souther
n、Nucleic Acids Research 21, 2269‐2270,1993;E.M.Southern等、Nucleic A
cids Research 22, 1368‐1373,1994)が開発されており、更に別の方法も検討 されている。mRNAの発現濃度を測定し、この様なRNAの突然変異を検出するアレ ーは現在開発中であり、これらは本発明で提案する診断試験の好適な実施態様を
提供するものである。
【0039】 免疫細胞化学 本発明の別の実施態様では、共焦点レーザー蛍光顕微鏡観察を用いた免疫細胞
化学によってサイクリンD1蛋白質濃度を測定することができる。好ましくは、PC
T/US91/09217、PCT/NL/00081およびPCT/US95/01886に記載された走査シス
テムが用いられる。更に顕微鏡システムでは、複数の蛍光染料を分析できること
が望ましい。実施態様として好ましいのは、p53突然変異型に対する抗体を1番目
の染料で標識し、サイクリンD1に対する抗体(sc‐6281, Santa Cruz Biotechno
logy, CA)を2番目の染料で標識し、そして3番目のDNA結合染料を用いて異数性 細胞を選択することである。ATが豊富なDNAに結合するHoechst33258染料、また はGCが豊富なDNAに結合するクロモマイシンA3の様なDNA結合染料が適切である。
抗体は、p53蛋白質の既知の突然変異型の多くに対して存在する。診断試験は下 記工程を包含する。
【0040】 ・患者から腫瘍の生検材料を取出す。 ・必要に応じて上記材料を微細切断し、腫瘍部から正常組織を分離する。 ・下記工程に従って顕微鏡検査用の生検材料を調製する。 ・サイクリンD1に対する上記蛍光標識抗体プローブで生検材料を 標識する。必要に応じて生検材料は、p53突然変異蛋白質に対する抗体 プローブ、およびDNA結合染料で標識する。 ・標識された細胞を非結合の標識プローブから分離する。 ・走査共焦点顕微鏡に標識された生検材料を載せ、下記細胞を計数する。 ・サイクリンD1を過剰発現するか濃度上昇を示す、即ち、サイクリ ンD1に対する抗体の少なくとも閾値量で標識される。 ・必要に応じてp53の変異型を発現する、即ち、p53変異体に対する 抗体の少なくとも閾値量で標識される。或いは上記した通り、p53の 突然変異状態はmRNAまたはゲノムDNAの分析によって測定される。 ・必要に応じて、DNA結合蛍光染料からの蛍光強度により検出される 染色体増幅を示す。
【0041】 蛍光活性化細胞分類 診断試験の別の実施態様は、蛍光活性化細胞分類(FACS)を利用したものであ
る。FACS機器は、蛍光マーカーで標識される細胞に依存した様式で懸濁液中の細
胞を分離する。典型的なFACS装置を以下に記載する。単一のファイル内を移動す
る懸濁液中の細胞は振動ノズルを通過すると、単細胞を含有するか、若しくは全
く含有しない液滴を形成する。この液滴は、レーザー光を通過する。レーザーに
より液滴中の個々の細胞各々から生じた蛍光を測定する。検出器の後方では、懸
濁液中の細胞流は静電気カラー部を通過すると、液滴の表面が荷電する。細胞を
担持した液滴には、正電荷または負電荷が与えられる。液滴中に特定の閾値を超
える強度の蛍光を示す細胞が含まれている場合には、この液滴は、一方の極性の
電荷を獲得する。未標識の細胞は逆の極性の電荷を獲得する。次に、荷電した液
滴が電場により偏向し、その表面電荷に応じて個別の容器内に輸送された液滴を
計数したとき、液滴中に1個より多い細胞を含有するときは、個々の細胞よりも 多くの光を散乱するが、これは容易に検出される為、これらは未荷電のままで第
3の廃棄用容器に入る。マルチチャンネル蛍光検出装置は、複数の異なる蛍光標 識による標識に基づいて細胞を分離できる様に構築されている。これらは複数の
レーザーを有しており、これが異なる周波数の蛍光を励起することができる結果
、検出器は異なる発光周波数を検出し得る。本試験には、3標識系が適切である 。共焦点蛍光顕微鏡用に用いた上記と同様の標識プローブが適切である。診断試
験は下記工程を包含する。
【0042】 ・患者から腫瘍の生検材料を取出す工程。 ・必要に応じて上記材料を微細切断し、腫瘍部から正常組織を分離する 工程。 ・細胞内接着を破壊して単細胞の懸濁液を生成する工程。 ・サイクリンD1に対する上記蛍光標識抗体プローブで懸濁細胞を標識 する工程。必要に応じて生検材料は、p53突然変異蛋白質に対する抗体 プローブおよびDNA結合染料で標識する。 ・標識された細胞を非結合の標識プローブから分離する工程。 ・FACS装置に標識された細胞懸濁液を載せ、下記細胞を計数する工程。 ・サイクリンD1を過剰発現するか濃度上昇を示す、即ち、閾値の 「正常」発現を超えて抗サイクリンD1抗体で標識される。 ・必要に応じて、p53の変異型を発現する、即ち、p53変異型に対す る抗体の少なくとも閾値量で標識される。 ・必要に応じて、DNA結合蛍光染料からの蛍光強度により検出される 染色体増幅を示す。
【0043】 P53突然変異ヒト癌におけるサイクリンD1発現の調節 現在、サイクリンD1を阻害する薬剤を開発する為に多くの試みがなされている
。この分子は、G1/Sチェックポイントの「開始」部分を通じて正常な細胞の進行 を制御する際、重要な機能を果たしている為、この様な阻害剤は極めて非選択的
であり、正常細胞に対する毒性が極めて強いと考えられる。本明細書では、サイ
クリンD1濃度の高いp53突然変異ヒト癌細胞において、CDDPに対する耐性とタキ サン類に対する感受性の特異的な関連性について記載しているが、このことは、
新規な治療剤へと導く明確な標的を提供するものであり、更に、多くの(だが全
てではない)癌を治癒した実績のある薬剤であるタキサン類と併用できる可能性
もある。この方法は、既にある程度機能している治療剤と共に使用を開始するこ
とができ、遺伝子標的設定の様な技術を用いて既存の治療剤の薬効を増強させる
という概念に基づいている。
【0044】 P53の突然変異型を有する患者の場合は、サイクリンD1の濃度を低下させるこ とにより白金化剤に対する応答性を高めることが可能である。サイクリンD1阻害
剤は非選択的に毒性を示すと考えられるが、タキサン類の様な薬剤と組合せて低
用量で投与したときは、その組合せは、特にサイクリンD1を過剰に発現している
細胞に対し、単独の場合と比較して、一層効果的に腫瘍に作用すると考えられる
【0045】 本発明の第2の実施態様は、2種以上の腫瘍関連遺伝子の特性を同時に測定する
ことにより、ヒト癌細胞が放射線感受性であるかどうかを予測する方法に関する
ものである。
【0046】 本発明の上記実施態様は、好ましくは放射線療法に癌細胞が応答するかどうか
を予測する臨床検査として用いることができる試験法に関するものである。本発
明の上記実施態様では、より安価な診断試験を行う為に、Raf-1蛋白質に特異的 な抗体を使用する。この実施態様は更に、2種以上の腫瘍関連遺伝子の特性を同 時に測定することにより、癌細胞が放射線療法に応答するかどうかを予測する抗
体を用いた方法に関するものである。
【0047】 具体的には上記実施態様は、野生型p53癌細胞の放射線感受性を測定する方法 に関するものである。上記方法は、野生型p53細胞またはその抽出液を含有する 試料中のRaf-1発現濃度またはRaf-1蛋白量を測定する工程を包含し、当該測定を
ウエスタンブロットにより行うときは、Raf-1に特異的な抗体を使用する。上記 実施態様は、野生型p53癌細胞の放射線感受性を測定するキットであって、該キ ットは、 (i)Raf-1の発現濃度またはRaf-1蛋白質の量を調べる手段;および、 (ii)野生型p53細胞を同定する手段 を包含する。
【0048】 本発明の同様の実施態様は細胞の放射線感受性を測定する方法に関し、該方法
は、細胞またはその抽出液中、 (a)p21の発現濃度またはp21蛋白質の量;および、 (b)Raf-1蛋白質の発現濃度またはRaf-1蛋白質の量 を調べる工程を包含するものである。
【0049】 上記工程(a)および(b)を実施する順序は特に限定されない。即ち、工程 (a)の後に工程(b)を行っても良いし、或いは工程(b)の後に工程(a)を 行っても良い。本発明の実施態様はまた、細胞の放射線感受性を測定するキット
に関し、該キットは、 (i)Raf-1の発現濃度またはRaf-1蛋白質の量を調べる手段;および、 (ii)p21の発現濃度またはp21蛋白質の量を調べる手段 を包含する。
【0050】 従って、上記第2の実施態様は好ましくは、野生型p53癌細胞またはp21蛋白質 濃度が検出可能である(好ましくは上昇している)細胞の放射線感受性を測定す
る方法に関するものである。上記方法は、野生型p53細胞若しくはその抽出液、 またはp21蛋白質濃度が検出可能である(好ましくは上昇している)細胞または その抽出液を含有する試料中のRaf-1蛋白量を調べる工程を包含し、該試験は、R
af-1蛋白質に特異的な抗体を用いて行なわれる。
【0051】 P21の濃度の測定及び説明は前述した通りである。Raf-1の発現濃度またはRaf-
1蛋白質濃度の上昇は、例えば前述したウエスタンブロットの様な方法のうち任 意の適切な方法で測定することができる。正常値を超え、有用な放射線感受性を
示すに充分な水準まで蛋白質濃度または発現が上昇していると考えられる点は、
ヒト細胞系におけるRaf-1の通常濃度に関する文献の教示内容に基づけば、当業 者には明らかである(European Journal of Cancer, B Oral Oncology, 1995, N
ov.,31B(6), 384-391参照)。この点は、特定の癌細胞および対象患者に応じて 、本発明の方法を実施する者の判断により決定される。
【0052】 本発明の上記実施態様は、Raf-1蛋白質に特異的な抗体の製造方法に関するも のである。上記抗体は、Raf-1蛋白質含有細胞に共存する48kDの蛋白質と交差反 応せず、該方法は、48kDの蛋白質上に存在しないRaf-1蛋白質のエピトープを含 有するかその一部を成すペプチドを形成する工程、および該ペプチドに対する抗
体を調製する工程を包含する。本発明の実施態様では更に、Raf-1蛋白質に特異 的な抗体を調製する為の別の方法が用いられ、該抗体は、Raf-1蛋白質含有細胞 に共存する48kDの蛋白質と交差反応しない。上記別の方法は、Raf-1蛋白質およ び48kDの蛋白質に特異的な抗体で動物を免疫し、やはり48kDの蛋白質上に存在す
るRaf-1蛋白質上の潜在的エピトープ部位をマスクする工程、およびマスクされ たRaf-1蛋白質に対する抗体を得る工程を包含する。
【0053】 具体的には本発明の実施態様では、p53の突然変異状態またはp21濃度が確認さ
れている細胞において、好ましくはp53の場合はDNA配列決定により、C‐Raf-1プ
ロト癌遺伝子のRaf-1蛋白質産物の濃度を測定し、これにより、腫瘍の放射線感 受性を判断して、放射線療法が患者にとって適切な治療法であるかどうかを決定
する。突然変異していないp53または上昇したp21蛋白質のバックグラウンドでは
、Raf-1発現濃度が高い程電離放射線に対する腫瘍の感受性は高い。
【0054】 放射線感受性、細胞周期の進行と、Raf-1、p53およびp21の機能との間に観察 されている関連性を説明するメカニズムは未だ不明であるが、野生型p53または 検出可能な(好ましくは上昇した)p21濃度を示すヒト癌細胞において、Raf-1と
放射線感受性との間に密接な関連性があるということは、臨床放射線感受性に関
する2重パラメーターRaf-1/p53またはRaf-1/p21試験の開発を可能にするもので ある。
【0055】 図4は、p53野生型細胞系において、Raf-1蛋白質が高値である程、2Gyにおけ る対数生存率(SF2)で測定したときの細胞の放射線感受性が高くなることを示 している。一方、図5はp53突然変異の存在下において、Raf-1濃度と放射線感受
性との間には、関連性が殆ど無いかまたは全く無いことを示している。図6は、
p21蛋白質濃度が上昇しない細胞系では、Raf-1濃度と放射線感受性との間には、
関連性が殆ど無いかまたは全く無いことを示している。一方、図7は、p21蛋白 質濃度が上昇している細胞系では、Raf-1蛋白質が高値である程、2Gyにおける対
数生存率(SF2)により測定したときの細胞の放射線感受性が高くなることを示 している。
【0056】 臨床試験では、患者の腫瘍由来生検材料において、Raf-1発現濃度の測定と組 合せて、野生型としてのp53の突然変異状態を測定することが必要である。或い は、上記試験では、患者の腫瘍由来生検材料において、Raf-1発現濃度の測定と 組合せて、p21蛋白質の濃度を測定することが必要である。p21蛋白質の濃度は上
記の様にして測定することができる。p53の突然変異状態の測定は、患者の遺伝 子を担持するゲノム遺伝子座の配列決定により、または、発現mRNAをcDNAに変換
後に配列決定することにより、行うことができる。現在、種々の核酸配列決定法
を使用することができるが、その全てを、本発明の診断法として適切に使用する
ことができる。具体的な方法は、Sanger等(1977)の方法を用いた鋳型のポリメ
ラーゼ生成複写物への末端ヌクレオチドの取込みに基づくものである。最近、多
くの代替法が可能である。数例を挙げれば、アダプター配列決定(PCT/US95/1
2678)、連結に基づく配列決定(PCT/US96/05245)、オリゴヌクレオチドアレ
ーへのハイブリダイゼーションによる配列決定(A.D.Mirzabekov、TIBTech12:2
7‐32、1994)等である。特定の突然変異を調べる種々の方法は当該分野で知ら れており、例えば、TaqMan試験またはオリゴヌクレオチドリガーゼ法が挙げられ
る。しかしながら、これらの方法では、既知の突然変異が存在しないことは、腫
瘍中のp53が実際に野生型であることを必ずしも意味するのではない為、充分適 切であるとは言えない。
【0057】 Raf-1発現濃度の測定は、Raf-1蛋白質の量を測定することによって行う。Raf-
1蛋白質濃度は、免疫細胞化学法またはフローサイトメトリー(FCM)によって測
定することができる。従来、後者の方法では、既存の抗体が非Raf-1蛋白質と交 差反応するという問題があった。現時点では、ウエスタンブロット上で極めて大
量に存在するが非関連性の48kD蛋白質とも交差反応しないRaf-1に対する抗体を 入手することはできない。免疫細胞化学法またはFCMの様な方法では、非特異的 結果を与えるのみである。これには、非関連性の48kD種からRaf-1(72〜74kD蛋 白質)を分離する為に、ウエスタンブロットにおいて電気泳動の様なある種の分
子分離法が必要である。ゲル濾過またはイオン交換クロマトグラフィーの様なカ
ラムクロマトグラフィー法が適切である。高速液体クロマトグラフィーまたはキ
ャピラリー電気泳動法も、分離方法として有用である。これらは全て、その後に
免疫検定法を行っても良い。Raf-1蛋白質に対するRNAアプタマーの開発を含め、
別の特異的認識手段を採用することも考えられる。しかしながら、これらの方法
は全て、時間がかかり高価であり、臨床試験としては不適切である。Raf-1に特 異的な抗体が使用できれば、分離を必要としない診断試験の実施が可能である。
【0058】 本発明に用いられる抗体を製造する第1の方法では、DNAおよび蛋白質の遺伝子
配列を決定できる様、48kD交差反応エピトープの単離及び同定が必要である。こ
の情報を用いて、48kD蛋白質の配列を全長Rafプロト癌遺伝子蛋白質配列と比較 することにより、48kD蛋白質を共有しない全長プロト癌遺伝子蛋白質上のエピト
ープを選択することができる。これは、NCTC2544の様な高濃度のRaf-1および48k
D蛋白質を有する細胞系を用いることにより達成できる(図3を参照)。大量の細
胞溶解物を調製し、48kD蛋白質を精製する。上記精製は、免疫沈降法、または、
発明者等により調整されたモノクローナル抗体を用いるか若しくは市販の抗Raf-
1抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより行うことができるが、 これらは共に、72〜74kDおよび48kDの蛋白質の双方に強く結合することがウェス
タンブロットによって判明しているものである。モノクローナル抗体産生細胞は
、Balb/Cマウスの腹水中に、アフィニティークロマトグラフィー用に高収率で増
殖させた。この腹水より得られた抗体を、アフィニティーカラム調製用に用いる
臭化シアンセファクリルおよび抗体セファクリルと反応させた。NTCT細胞の細胞
溶解物をアフィニティーカラムに載せ、非特異的物質を洗浄して除去した後、同
じエピトープを共有し、カラム上の抗体に結合した48kDおよび72〜74kDの分子を
低pHで溶出した。次に、免疫沈降物またはアフィニティークロマトグラフィーカ
ラムの溶出液を濃縮した後、蛋白質の推定を行い、ウエル当たり150μgを、分子
マーカーと共に10〜20の隣接するウエル上で、10%SDSポリアクリルアミドゲル 電気泳動にかけた。次に48kDのバンドを切出し、可能な限り長いアミノ酸配列を
N末端から(またはC末端から)決定した。ペプチド配列を用いて、遺伝子配列が
N-(またはC-)末端において蛋白質配列と合致する(特定のアミノ酸をコードす
る際、縮重も認められる)プライマーを調製した。一連のPCRは、48kDの長さのD
NAが得られるまで反復した。次に、これを配列決定した。48kDと72〜74kDの全長
Raf-1プロト癌遺伝子との間の配列を比較することにより、48kD蛋白質上には存 在しない72〜74kDのRafプロト癌遺伝子蛋白質の潜在的エピトープから合成ペプ チドを合理的に設計することが可能となった。独特の合成ペプチドを用いること
により、Raf-1蛋白質には反応するが48kD蛋白質には反応しないポリクローナル 抗体およびモノクローナル抗体を調製することができる。これらの抗体は、フロ
ー若しくは共焦点顕微鏡のサイトメトリー、および/または免疫蛍光法若しくは
免疫細胞化学法において有用である。
【0059】 本発明に用いられる抗体を製造する第2の方法では48kD蛋白質に対する抗体に 加えて、Raf蛋白質で動物を免疫することが必要である。例えば、72〜74kD全長 のRaf-1蛋白質(細菌中の発現ベクター内のDNA配列より製造される)を、従来よ
り入手可能な抗Raf-1抗体(48kD蛋白質と交差反応する)と共に予備加温し、得 られた免疫複合体を遠心分離で分離した後、動物(例えばマウス)に注射するか
、或いは、抗Raf-1(抗48kD蛋白質)抗体および全長72〜74kDのRaf-1蛋白質を別
々に同じ動物に注射する。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、免
疫原として全長72〜74kDのRafプロト癌遺伝子蛋白質を用いて調製した。上記蛋 白質は、発現ベクター内の組換えRaf-1によって調製した。48kD蛋白質に対する 抗体は、市販の抗体を用いた。その機能は、48kD蛋白質と交差反応するRaf蛋白 質上の潜在的エピトープ部位を把握することにある。この様にしてマスクされた
Raf蛋白質免疫原は、48kD蛋白質に比べ、全長72〜74kDのRafプロト癌遺伝子蛋白
質を認識する抗体の産生をより選択的に促進することができる。
【0060】 この様にしてRaf-1蛋白質濃度を測定し得る上記抗体を用いることにより、ヒ と癌細胞の放射線感受性を測定する為の信頼性の高い臨床試験法を提供すること
ができる。
【0061】 本発明の第3の実施態様は、2種以上の腫瘍関連遺伝子の特性を同時に測定する
ことにより、癌を治療する化学療法剤を選択する方法に関するものである。
【0062】 特に上記実施態様は、癌治療用化学療法剤を選択する方法に関し、該方法は、 (a)p53突然変異細胞またはその抽出液を含有する試料中のサイクリンD1の発
現濃度またはサイクリンD1蛋白質の量を調べる工程; (b)サイクリンD1が過剰に発現するとき、および/またはサイクリンD1蛋白 質が高濃度で存在するときは、タキサン類含有化学療法剤による治療を選択する
工程; (c)サイクリンD1が過剰に発現しないとき、および/またはサイクリンD1蛋白
質が実質的に高濃度で存在しないときは、タキサン以外の薬剤を含有する化学療
法剤による治療を選択する工程 を包含するものである。上記実施態様は更に、治療用化学療法剤を選択するキッ
トに関するものであり、該キットは (a)p53突然変異細胞を同定する手段;および、 (b)細胞またはその試料中のサイクリンD1の発現濃度、またはサイクリンD1 蛋白質の量を調べる工程 を包含する。
【0063】 同様の実施態様では、本発明は癌治療用化学療法剤を選択する方法に関し、該
方法は、 (a)p21を実質的に発現しないか、および/またはp21蛋白質が実質的に検出 不可能である細胞またはその抽出液を含有する試料中のサイクリンD1の発現濃度
またはサイクリンD1蛋白質の量を調べる工程;および (b)サイクリンD1が過剰に発現するとき、および/またはサイクリンD1蛋白 質が高濃度で存在するときは、タキサン類含有化学療法剤による治療を選択する
工程; (c)サイクリンD1が過剰に発現しないとき、および/またはサイクリンD1蛋白
質が実質的に高濃度で存在しないときは、タキサン以外の薬剤を含有する化学療
法剤による治療を選択する工程 を包含する。
【0064】 上記実施態様はまた、治療用化学療法剤を選択するキットを提供するものであ
り、該キットは (a)p21を実質的に発現しないか、および/またはp21蛋白質が実質的に検出 不可能である細胞を同定する手段;および (b)細胞またはその試料中のサイクリンD1の発現濃度、またはサイクリンD1 蛋白質の量を調べる手段 を包含する。
【0065】 即ち、本発明の第3の実施態様は、好ましくは癌治療用化学療法剤を選択する 方法について扱うものであり、該方法は (a)下記試料中のサイクリンD1蛋白質の量を調べる工程: (i) p53突然変異細胞またはその抽出液、 (ii) またはp21を実質的に発現しないか、および/またはp21蛋白質が実 質的に検出不可能である細胞またはその抽出液 (b)サイクリンD1が過剰に発現するとき、および/またはサイクリンD1蛋白 質が高濃度で存在するときは、タキサン類含有化学療法剤による治療を選択する
工程; (c)サイクリンD1が過剰に発現しないとき、および/またはサイクリンD1蛋白
質が実質的に高濃度で存在しないときは、タキサン以外の薬剤を含有する化学療
法剤による治療を選択する工程 を包含する。
【0066】 サイクリンD1蛋白質の濃度またはサイクリンD1の発現は、上記の様にして測定
することができる。同様に、p21発現濃度またはp21蛋白質は、上記の様にして測
定することができる。サイクリンD1の過剰発現の意味、および検出不可能なp21 の意味も上述した通りである。
【0067】 p53突然変異、及びサイクリンD1蛋白質の高濃度発現を示すヒト癌細胞系は、C
DDPの様な化学療法剤による細胞毒性作用に対して耐性を示すが、タキサン類に 対しては感受性である。同様に、実質的に検出不可能なp21蛋白質濃度とサイク リンD1蛋白質の高発現濃度の組合せを示すヒト癌細胞系も、CDDPの様な化学療法
剤による細胞毒性作用に対して耐性を示すが、タキサン類に対しては感受性であ
る。この様な所見は、タキサン類への応答性に関する予測試験に対して潜在的に
新しいパラメータを提供するか、またはタキサン類への応答性を調節する新しい
標的を提供するという重要な臨床的可能性を秘めている。
【0068】 p53突然変異を有するかまたは実質的にp21蛋白質が存在しない細胞において、
CDDP耐性に対するタキサン感受性と、高濃度サイクリンD1またはサイクリンD1過
剰発現との高い相関性はまた、薬剤開発の潜在的標的を提供するものである。上
述した通り、p53の突然変異型、および、それとは独立してサイクリンD1に対す る薬剤の開発が行われている。この様な薬剤は、上記のp53突然変異およびサイ クリンD1過剰発現を示す癌を治療する為に併用したときに、一層効果的であると
考えられる。この様な薬剤は、タキソールの様な他の薬剤と組合せて、その有効
性強化物質として使用することもできる。
【0069】 図10は、高濃度サイクリンD1またはサイクリンD1過剰発現を示すp53突然変 異ヒト細胞系において、CDDPに対する耐性とタキソールへの感受性との間には、
D0.1値(対照群:非処理細胞の10%までクローン原性生存率を低下させる薬剤の
用量)で測定したとき、密接な関連性があることを示している。即ち、CDDPに応
答しないp53突然変異と高濃度のサイクリンD1蛋白質を示すヒト癌細胞では、代 替薬剤であるタキサン類に応答する可能性が極めて高い。サイクリンD1/p53突然
変異試験では、タキサン類への感受性と、エトポシドの様な他の細胞毒性剤に対
する耐性との相関性も示唆している。
【0070】 サイクリンD1蛋白質発現およびp53遺伝子の突然変異の存在を測定することに より、タキサンへの感受性に関わる臨床試験を開発することができる。具体的に
はサイクリンD1蛋白質は、ウエスタンブロットまたは免疫細胞化学法によって測
定する。
【0071】 抵抗性は、タキサン感受性と比較される場合が多いが、その典型的な化学療法
剤の例がCDDPである。即ち、本発明を採用することにより、適切な症例では、 治療を開始する前にCDDPを治療計画から除外し、タキソールで置きかえることが
できる。タキサン類で置きかえることのできる他の薬剤の例としては、他の白金
化剤、例えば、カルボプラチンおよびパラプラチン、並びに他の化学療法剤、例
えばアルキル化剤、DNA挿入剤、例えばドキソルブシン、トポイソメラーゼ阻害 剤、抗代謝剤、例えばメトトレキセート、5-フルオロウラシル、DNA合成阻害剤 、例えばシトシンアラビノシド、および有糸分裂抑制剤、例えばツルニチニチソ
ウアルカロイド類が挙げられる。
【0072】 実施例1−p53/サイクリンD1関連性に基づくCDDPに対する感受性 クローン原性細胞生存性試験により測定したときに、細胞毒性剤に対し、一定
範囲の内因性感受性を示す種々の組織学的起源からなるヒトin vitro細胞系は、
化学療法に対する臨床的腫瘍の応答の適切なモデルを提供することが知られてい
る。特にこれらの細胞系は、臨床現場で通常適用される細胞毒性剤および電離放
射線に対し、ある程度の感受性を示す。この様なヒトin vitro癌細胞系は、現在
では、化学療法における腫瘍の臨床応答に関する該当モデルとして広く認識され
ている。
【0073】 細胞毒性剤に対する内因性感受性は、ある範囲のヒト癌細胞系をクローン原性
試験に付すことによって測定される。従って、標的遺伝子の発現を測定すること
、および/またはその突然変異状態を判定することにより、並びに広範なヒトin
vitro細胞系において、これらのパラメーターを、細胞毒性剤に対する細胞系の
感受性に相関づけることにより、その発現および/または突然変異状態が細胞毒
性剤に対する内因性感受性に関連する遺伝子を同定することが可能である。この
方法では、CDDPに対する臨床的応答に関連する遺伝子を同定している。従って、
本発明に到達するに至ったヒトin vitro細胞系における上記発見は、癌が治療に
充分応答すると期待できるかについて、有用な臨床試験に組込まれ得る可能性が
極めて高い。以下、CDDPを投与した後、種々の組織の広範なヒトin vitro細胞系
クローン原性細胞の生存性を測定すべく実施した研究について記載する。
【0074】 材料および方法 細胞系およびクローン原性細胞生存率試験 本分析に用いたヒトin vitro細胞系の生育特性クローン原生試験法は、Wareni
us ら、1994に記載されている。細胞系とその組織学的分類を表1に示す。これ らは全て充分成熟しており、多くは数年間in vitroで生育させたものである。細
胞系は寄贈されたものか、当研究室が購入したものである。受領後全て5代継代 培養し、液体窒素のバッチ保存用に充分な細胞とした。この期間中、抗生物質を
含有しない培地中で、少なくとも1回継代することにより汚染を防止し、全ての 系についてマイコプラズマ試験を実施した。クローン原性試験は、細胞を所定の
一次液体窒素バッチから取出し、充分な成熟細胞が得られるまで3〜6代継代培養
した。これらの細胞から得られた追加のバッチは、液体窒素中に凍結した。RT11
2及びH322は、RPMI1640及びMGHU-1で生育させ、Ham's F12培地で生育させたが、
それ以外の細胞は通常、DMEM培地中に維持した。全ての系に、10%加熱不活性化
ウシ胎児血清(HIFCS)を添加した。
【0075】
【表1】
【0076】 CDDP感受性を調べる為に、102〜105個の細胞を6穴プレート中10%FCS添加Ham'
s F12培地3mlに接種し、5%CO2雰囲気下、3℃で8時間インキュベートした。次に
、CDDPの1mg/ml保存溶液(遮光保存)より希釈液0.02〜2.0μg/mlを調製し、適 切な希釈液1mlを各プレートに添加して最終容を4mlとした。次に、このプレート
をCDDP存在下、暗所で5%CO2雰囲気下、37℃で14日間インキュベートした。次に
培地を除き、細胞を70%エタノール中に固定し、10%ギームザ染色し、コロニー
数が100よりも大きい細胞を計数した。6穴プレート1枚を各希釈度につき使用し た。全ての試験で得られたデータポイントを合わせた。各細胞系につき、6ポイ ント/投与用量/試験を有する3つの個別のクローン原性試験が最低限必要であ った。CDDP細胞生存率は、適切な回帰曲線で補間し、10%クローン原性細胞生存
濃度(D0.1)で測定した。
【0077】 PCRおよびDNA配列決定によるp53遺伝子中の突然変異の同定 p53のPCR及びDNA配列決定用の材料、並びにサイクリンD1蛋白質のウエスタン ブロット用の材料は、クローン原性細胞生存率のデータ用に細胞を提供するのに
用いたものと同じ液体窒素バッチから得た。細胞は3代継代培養した後、以下の
処置に付した。
【0078】 核酸の単離 RNAおよびゲノムDNAは、グアニジニウムイソチオシアネートCsCl勾配法により
、本明細書に記載の細胞系から調製した(Chirgwin等, 1979, Barraclough等, 19
87)。即ち、細胞を氷冷リン酸緩衝食塩水(PBS)中に採取し、グアニジニウムイソ
チオシアネート緩衝液(4Mグアニジウムイソチオシアネート、50mM Tris pH7.5
,25mM EDTA pH8.0)中でホモジナイズした。0.5%(w/v)ナトリウムラウリルサル
コシンおよび8%(v/v)2-メルカプトエタノールを使用直前に添加した。このホモ
ジネートを4℃で10分間、8,000rpmで遠心分離(SS34ローター、 Sorvall RC-5B遠
心分離機)して清澄化した後、得られたホモジネ−トを、5.7M塩化セシウム/0.1
M EDTAの緩衝液を介して20℃で20時間、32,000rpmで遠心分離(TST41.14ローター
、Kontron Centrikon T20 60超遠心分離機)し、RNAをペレット化した。RNAのペ レットを0.1%(w/v)SDS中に再懸濁し、-20℃で一晩エタノール中に沈殿させた後
、定量した。
【0079】 ポリメラーゼ連鎖反応、cDNA合成およびヌクレオチドの配列決定 PCR(エクソン2-8およびエクソン9-11)は、ヒト癌細胞系から抽出したDNAおよ びRNAを用いて行った。次に、各エクソンをDNA配列決定で調べた。PCRプライマ ーは、各エクソンを平坦化する様に設計され、Applied Biosystems 381A DNA合 成装置で合成した。1ユニットとして増幅させたエクソン2および3、並びに、逆 転写ポリメラーゼ連鎖反応(RTPCR)で一緒に増幅させたエクソン9,10および11を 除き、各エクソンは個別に増幅させた。下記プライマーを使用した。 エクソン 2/3 センス 5'-CCC ACT TTT CCT CTT GCA GC-3' エクソン 2/3 アンチセンス 5'-AGC CCA ACC CTT GTC CTT AC-3' エクソン 4 センス 5'-CTG CTC TTT TCA CCC ATC TA-3' エクソン 4 アンチセンス 5'-GCA TTG AAG TCT CAT GGA AG-3' エクソン 5 センス 5'-TGT TCA CTT GTG CCC TGA CT-3' エクソン 5 アンチセンス 5'-CAG CCC TGT CGT CTC TCC AG-3' エクソン 6 センス 5'-GCC TCT GAT TCC TCA CTG AT-3' エクソン 6 アンチセンス 5'-TTA ACC CCT CCT CCC AGA GA-3' エクソン 7 センス 5'-ACT GGC CTC ATC TTG GGC CT-3' エクソン 7 アンチセンス 5'-TGT GCA GGG TGG CAA GTG GC-3' エクソン 8 センス 5'-T ATC CTG AGT AGT GG-3' エクソン 8 アンチセンス 5'-T GCT TGC TTA CCT CG-3' エクソン 9/10/11 センス 5'-AGA AAG GGG AGC CTC ACC AC-3' エクソン 9/10/11 アンチセンス 5'-CTG ACG CAC ACC TAT TGC AA-3'
【0080】 ゲノムDNAをEcoR1で消化し、エタノールで沈殿させた後、水50μl(Sigma)に再
懸濁し、PCR増幅に付した。DNA(1μg)を、各プライマー20pmolを含有する50μl のPCR反応溶液中で増幅した。ワックス緩衝液上で残りの反応成分から予め分離 しておいたdNTPおよびTaq酵素を用い、「ホットスタート」PCR法を行った。反 応混合物を95℃で2分間、予備加熱PCRブロック上に置き、その後、変性(95℃で3
0秒)、アニーリング(エクソン2〜3、4および6は60℃で30秒、エクソン5および
8は65℃、エクソン7は67℃、エクソン9〜11は68℃)、および伸長(72℃で1分)
を30サイクル行った。PCR産物を0.8%(w/v)アガロースゲル上で確認した後、Wiz
ardミニカラム(Promega)を用いて精製し、直接配列決定反応に付した。
【0081】 cDNA合成およびRTPCR 相補DNAは、プライマーとしてオリゴ(dT)を用い、総RNA約5μgから合成した。
総RNA(5μg)、ヒト胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤(HPRI)20U、および1μgのオリゴ
(dT)を70℃で10分間加熱した後、氷冷し、これを、1×第1鎖緩衝液(50mMTris-HC
l,pH8.3,75mM塩化カリウムおよび3mM塩化マグネシウム)、0.01M DTT、dNTP(各 デオキシリボヌクレオシド3リン酸につき0.5mM)、スーパースクリプト逆トラン
スクリプターゼ(Superscript Reverse Transcriptase)(Gibco)400Uに添加し、
37℃で1時間インキュベートした。エクソン9〜11のPCRは前述の通り、PCR反応溶
液50μL中で上記インキュベーション液5μlを用いて行った。
【0082】 ヌクレオチド配列の決定 配列決定用プライマー(10pmole)を、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)(9.7U 、Pharmacia)および1×T4PNK緩衝液(10mMTris酢酸、10mM酢酸マグネシウムおよ び50mM酢酸カリウム)を含有する反応混合物中、37℃で30分間、32P-ATP(45μCi)
で5’末端において放射標識した。使用したプライマーは、別のセンス配列決定 プライマーを5’-TAC TCC CCT GCC CTC-3’となる様に設計したエクソン5を除き
、PCRに用いたものと同一であった。配列決定はfmol DNA Sequencing System(Pr
omega)を用い、ジデオキシヌクレオチド酵素法(Sanger等,1977)により行った。
この様にして同定した突然変異型の推定配列の全てについて、アンチセンス方向
のエクソン配列決定を更に行うと共に、PCRを反復し、細胞系の配列決定を行っ て確認した。
【0083】 サイクリンD1のウエスタンブロット 各ゲル上に対にして載せた各細胞系の溶解物を用いて、2つの独立したウエス タンブロットを行った。細胞系の各々のウエスタンブロットにつき、細胞溶解物
の調製は標準的条件で行った。即ち、107個の細胞を162cm2の組織培養フラスコ (Costar Ltd., High Wycombe, Bucks)中、前集密的(pre-conflunet)ではあ るがなお指数的に生育していることがフローサイトメトリーで確認されるまで生
育させた。次に、細胞をトリプシン処理により回収し、完全培地+10%FCS中に再
懸濁し、連続遠心分離で3回洗浄した後、血清無添加PBS中に再懸濁した。次に、
1-3×108の生存細胞を遠心分離によりペレット化し、溶解緩衝液1ミリリットル
当たり3×107個の細胞となる様に再懸濁した(保存溶液:10% SDS 10mL、0.5M
Tris pH6.8, グリセロール10mL, 2重蒸留水62mL。保存溶液10mLに10mMロイペプ チン100mL+100mM PMSF 10mLを添加する)。蛋白質の推定を行い、溶解液の最終 濃度を、100μL当たり総細胞蛋白質300μgとなる様に調節した。サイクリンD1蛋
白質を測定する為に、レーンウエル当たり溶解液緩衝液50μl中総細胞蛋白質150
μgを7.5%Laemmli分離ゲルに添加し、16℃で16時間、60vおよび500mA定電流で 電気泳動を行った。ブロットを、半乾燥ブロット装置(Biorad, Richmond, CA)を
用いて22℃で16時間、ニトロセルロースに移しかえた後、哺乳類サイクリン(G12
4-259.5,Pharmingen)に対するマウスIgG1モノクローナル抗体と共にインキュベ ートし、次に1/1000のウサギ抗マウスコンジュゲート抗体(Dako, UK)と共にイン
キュベートしてから、暗所下にて室温で1時間、ニトロブルーテトラゾリウムお よび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(Sigma,Poole,Dorset,UK)( ジメチルホルムアミド中50mg/mL)を含有するアルカリホスファターゼ緩衝液で発
色させた。発色化を2重蒸留水で停止させた後、ブロットを乾燥平板化した。サ イクリンは明確なバンドとして明瞭に分離され、このうちサイクリンD1は最も低
い移動度を示した。
【0084】 サイクリンD1遺伝子の蛋白質産物の定量は、タングステン光による島津製走査
光学密度計で光学密度を測定することにより行い、総細胞蛋白質150μg当たりの
OD単位で表した。様々な量の総細胞蛋白質を適用して得られた滴定曲線により、
光学密度(OD)の直線関係は、細胞系を通じてサイクリンD1蛋白質に対して見出さ
れた範囲に渡って得られることが、従来より知られている(Warenius等,1994,Bro
wning 1997)。様々なサイクリンD1蛋白質の濃度を細胞系間で比較する為に、全 ての系の平均OD値を計算し、個々の細胞系各々におけるサイクリンD1蛋白質に対
する相対的OD値を平均OD値で規格化し、任意値5.0を掛けた。
【0085】 結果 多くの細胞系において、p53遺伝子から発現したmRNA中に突然変異が認められ た(表1を参照)。本明細書に記載した細胞系で確認された突然変異は、大部分 のp53突然変異を含むことが知られているエクソン5〜8で観察された(Hollstein 等、1991)。これらの突然変異は全て、RPMI7951系のコドン166で確認されたナン
センス突然変異以外、従来より報告されているものである。これとH417のコドン
298におけるGからTへの変異は、p53遺伝子が最も高度に維持された領域内には存
在しない。OAW42卵巣癌細胞系においては、CGAからCGGへの1塩基ミスセンス突 然変異はサイレントであり、突然変異3塩基はなお、野生型p53(wtp53)蛋白質中
に存在するものと同様のアミノ酸(Arg)をコードしていた。即ち、正常p53蛋白質
は細胞系の半数で発現していた。細胞系の残り半数のmRNAは、異常p53蛋白質を コードしていた。RPMI7951およびH417は停止突然変異を有しており、夫々、165 および297アミノ酸で蛋白質を切断していた。COLO320およびH322は夫々独立して
、ミスセンスのG:CからA:Tへの突然変異を同じ部位で示しており、その結果、
ArgからTrypへのアミノ酸置換が生じていた。RT112とHT29/5もまた、Argにおけ る(夫々、GlyおよびHisへの)変化をコードする突然変異を有していた。COLO32
0,H322およびRT112は、p53突然変異に関してホモ接合体であった。その他の突然
変異系は、ヘテロ接合度を有しているという証拠を示していた。HT29/5およびRP
MI7951は共に、野生型p53のmRNAを少量発現したのに対し、H417は比較的高濃度 で発現していた。
【0086】 サイクリンD1濃度とCDDP感受性との関連性を全ての細胞系について調べた後、
夫々独立して、wtp53およびmp53細胞について調べた。wtp53およびmp53細胞中の
サイクリンD1蛋白質の濃度範囲は重複していた(夫々、3.33〜10.39および3.58 〜8.46)。p53突然変異細胞においてのみ、サイクリンD1蛋白質濃度とCDDPに対す
る耐性との間に有用な相関関係が認められた。
【0087】 この様に突然変異p53細胞系において、サイクリンD1濃度が高い程、細胞がCDD
Pに対して耐性である可能性が高かった(図1)。この様な相関関係は、野生型p53 細胞系では見られなかった(図2)。
【0088】 実施例2−p21/サイクリンD1関連性に基づくCDDPに対する耐性 多数の細胞系を選択し、それらのCDDPに対する耐性を実施例1と同様にして調 べると共に、サイクリンD1蛋白質濃度についても調べた。これらの細胞のp21蛋 白質濃度も、実質的に標準的方法に従い、ウエスタンブロットにより測定した。
p21蛋白質濃度が上昇しなかった(検出不可能であった)細胞系の結果を図8に示し
、p21蛋白質濃度が上昇した細胞系の結果を図9に示す。p21蛋白質濃度が上昇し なかったときは、サイクリンD1濃度が高い程、CDDPに対する耐性が大きかった。
この様な相関関係は、治療の選択を可能にするものである。p21蛋白質濃度が上 昇したときは、この様な相関関係は特に顕著に見られず、適切な治療を選択する
には不充分であった。
【0089】 実施例3および4−p53/Raf-1およびp21/Raf-1の関連性に基づく放射線感受性 多数の細胞系を選択し、その放射線感受性をRaf-1蛋白質の濃度と共に調べた 。p53突然変異状態は、実施例1に記載の方法で調べた。p21およびRaf-1の濃度は
、上記の如く実質的に標準的な方法に従い、ウエスタンブロットにより測定した
。p53突然変異株の結果を図4に、p53野生株細胞系に対応する結果を図5に示す。
p21蛋白質濃度が上昇しなかった(検出不可能であった)細胞系の結果を図6に、p2
1蛋白質濃度が上昇した細胞系の結果を図7に示す。p53野生型細胞系およびp21蛋
白質濃度が上昇した細胞系では、Raf-1濃度が高い程、細胞の放射線感受性は高 かった。この様な相関関係は、治療の選択を可能にするものである。p53突然変 異細胞系およびp21蛋白質濃度が上昇しなかった細胞系では、この様な相関関係 は特に顕著に見られず、適切な治療を選択するには不充分であった。
【0090】 実施例5および6−p53/サイクリンD1およびp21/サイクリンD1関連性に 基づくタキサンまたは他の化学療法剤の選択 以下、タキサンを投与した種々の組織の広範囲のヒトin vitro細胞系クローン
原性細胞生存率を測定する為に行った実験について記載する。
【0091】 材料および方法 細胞系およびクローン原性細胞生存率試験 本分析に用いたヒトin vitro細胞系の生育特性クローン原生試験法は、Britte
n R.A.およびWarenius H., Eur. J. Canc. 29A,1315-1320(1993)に記載されてい
る。細胞系とその組織学的分類を表4に示す。これらは全て充分成熟しており、
多くは数年間in vitroで生育させたものである。細胞系は寄贈されたものか、当
研究室が購入したものである。受領後全て5代継代培養し、液体窒素のバッチ保 存用に充分な細胞とした。この期間中、抗生物質を含有しない培地中で、少なく
とも1回継代することにより汚染を防止し、全ての系についてマイコプラズマ試 験を実施した。クローン原性試験は、細胞を所定の一次液体窒素バッチから取出
し、充分な成熟細胞が得られるまで3〜6代継代培養した。これらの細胞から得ら
れた追加のバッチは、液体窒素中に凍結した。細胞は、ルーチンにはDMEM培地中
に維持した。全ての系に10%加熱不活性化ウシ胎児血清(HIFCS)を添加した。表 2に、5つのp53突然変異株および6つのp53野生型ヒトin vitro細胞系におけるサ
イクリンD1濃度の相対値を示す。CDDPおよびタキソールに関する絶対的および相
対的D0.1値(即ち、未処置対照群細胞の10%までクローン原性細胞生存率が低下
する薬剤投与量)も示す。D0.1値は、幾つかの独立したクローン原性試験より得
られたもので、直線回帰分析に適合させたデータである。クローン原性試験は、
統計学的に充分直線回帰上に適合するまで繰返した。D0.1値は直線回帰直線を補
間して求めた。細胞毒性剤のD0.1値を規格化し、相対的D0.1値として表わし、こ
れにより、薬剤各々に対する各細胞の相対的感受性を比較できる様にした。数値
を規格化する為に、CDDPおよびタキソールについて、夫々独立して平均D0.1を計
算し、次いで、各々のD0.1絶対値を平均値で割って調整することにより、各細胞
系における各薬剤の相対的D0.1値を得た。
【0092】 表2の結果を、図10および11に示すグラフにプロットした。図10は、5つのp53
突然変異細胞系におけるCDDPおよびタキソールに関する相対的D0.1値を示す。細
胞系のうち3つは、CDDPに対して比較的耐性であったが、タキソールに対しては 耐性を示さなかった。CDDPに対し、比較的耐性が低い残りの2細胞系は、CDDPよ りもタキソールに対し、僅かではあるが感受性が高かった。即ち、前者の3系で は、シスプラチンよりもタキソールの使用が有効であるのに対し、後者の2系で はそうではないことが示されている。
【0093】 図11は、野生型p53細胞では、サイクリンD1蛋白質濃度とCDDPに対する相対 的感受性との間に関連性が無いことを示している。更に一部の細胞系では、CDDP
よりもタキソールに対して比較的高い耐性を示す。即ち、野生型のp53細胞系は 、サイクリンD1は、CDDPに対する耐性においても、或いはCDDPよりもむしろタキ
ソールに対して良好に応答するかどうかに関しても、有用な指標とはなり得ない
のである。
【0094】
【表2】
【0095】 上記の様にして調べた突然変異p53細胞系では全て、p21蛋白質濃度は実質的に
検出不可能であったのに対し、野生型p53細胞系では全て、検出可能なp21蛋白量
を含有していた。即ち、p21蛋白質とサイクリンD1濃度との相関性に関し、得ら れたデータを下記表3に示すが、これは、表2に示すデータに全く合致する。
【0096】
【表3】
【0097】 表3の結果を、図12および13に示すグラフにプロットした。図12は、p2
1蛋白質が実質的に検出不可能である5つの細胞系において、CDDPおよびタキソー
ルに関する相対的D0.1値を示す。細胞系のうち3つは、CDDPに対し、比較的耐性 であったが、タキソールに対しては耐性を示さなかった。CDDPに対し、比較的耐
性が低い残りの2細胞系では、CDDPよりもタキソールに対し、僅かではあるが感 受性が高かった。即ち、前者の3細胞系では、シスプラチンよりもタキソールの 使用が有用であるのに対し、後者の2系ではそうではないことが示されている。
【0098】 図13は、p21蛋白質が検出可能な量で存在する細胞では、サイクリンD1蛋白 質濃度とCDDPに対する相対的感受性との間に関連性が無いことを示している。更
に一部の細胞系では、CDDPよりもタキソールに対し、比較的高い耐性を示してい
る。即ち、p21蛋白質が検出可能な細胞系では、サイクリンD1は、CDDPに対する 耐性に関しても、或いは、CDDPよりもむしろタキソールに良好に応答するかどう
かに関しても、有用な指標とはなり得ないのである。
【0099】 下記表4に、上記調査で使用した細胞系の組織学的特徴を示す。
【0100】
【表4】
【0101】 CDDP感受性を調べる為に、102〜105個の細胞を6穴プレート中10%FCS添加Ham'
s F12培地3mLに接種し、5%CO2雰囲気下、37℃で8時間インキュベートした。次 に、CDDPの1mg/mL保存溶液(遮光保存)より希釈液0.02〜2.0μg/mLを調製し、 適切な希釈液1mLを各プレートに添加して最終容を4mLとした。次に、このプレー
トをCDDP存在下、暗所で5%CO2雰囲気下、37℃で14日間インキュベートした。次
に培地を除き、細胞を70%エタノール中に固定し、10%ギームザ染色し、コロニ
ー数が100よりも大きい細胞を計数した。6穴プレート1枚を各希釈度につき使用 した。各細胞系につき、6ポイント/投与用量/試験を有する3つの個別のクロー
ン原性試験が最低限必要であった。CDDP細胞生存率は適切な回帰曲線で補間し、
10%クローン原性細胞生存濃度(D0.1)で測定した。
【0102】 タキソールの感受性を測定する為に、両親媒性溶解剤をタキソールと共に添加
したこと以外は、上述したCDDPと同じ手順に従って実施した。
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、突然変異p53細胞系において、サイクリンD1蛋白量とCDDPに対する相 対的耐性との関係を示すものである。
【図2】 図2は、野生型p53細胞系における上記関係を示すものである。
【図3】 図3は、一次抗血清を1/750の希釈倍率で希釈してRaf-1に対するURP‐2653モ ノクローナル抗体とし、7.5%ゲル上に100μg/50μlの試料蛋白質を負荷したと き、総細胞内蛋白質当たりのRaf-1蛋白量の範囲、特に以下に示す17ヒトin vitr
o細胞系における74kDおよび48kDの蛋白質相対量を示すウエスタンブロットであ る。
【図4】 図4は、野生型p53細胞系において、SF2(2Gyにおける対数生存率)として測 定した放射線感受性とRaf-1量との関係を示すものである。
【図5】 図5は、突然変異p53細胞系において、SF2として測定した放射線感受性とRaf-
1量との関係を示すものである。
【図6】 図6は、p21蛋白質濃度が上昇しない(検出不能)細胞系において、SF2として
測定した放射線感受性とRaf-1量との関係を示すものである。
【図7】 図7は、p21蛋白質濃度が上昇する細胞系において、SF2として測定した放射線
感受性とRaf-1量との関係を示すものである。
【図8】 図8は、p21蛋白質濃度が上昇しない(検出不能)細胞系において、サイクリ ンD1蛋白質濃度とCDDPに対する相対的耐性との関係を示すものである。
【図9】 図9は、p21蛋白質濃度が上昇する細胞系において、サイクリンD1蛋白質濃度 とCDDPに対する相対的耐性との関係を示すものである。
【図10】 図10は、サイクリンD1濃度の上昇に伴う突然変異p53細胞系において、シス プラチンに対する耐性(黒)とタキソールに対する耐性(白)との関係を示すも
のである。
【図11】 図11は、野生型p53細胞系における上記関係を示すものである。
【図12】 図12は、p21(p21 WAF1/CIP1)蛋白質濃度が実質的に検出不能な細胞系に おいて、シスプラチンに対する耐性(黒)とタキソールに対する耐性(白)との
関係を示すものである。
【図13】 図13は、p21WAF1/CIP1蛋白質濃度が検出可能な細胞系における上記関係を示
すものである。
【符号の説明】
1. KB、経口表皮様癌腫 2. HT29、腺癌、結腸 3. MGH‐U1、膀胱癌 4. HRT18、腺癌、直腸 5. A431、扁平癌、外陰部 6. NCTC2544、皮膚線争ロ芽細胞 7. CORL23、大型細胞肺癌 8. SK-MEL3、黒色腫 9. AT5BIVA、運動失調末梢血管拡張線維芽細胞 10. OAW42、卵巣癌 11. I407、胚腸上皮 12. 2780、卵巣癌 13. HEP-2、扁平癌 14. HX142、神経芽腫 15. RT112、膀胱癌 16. HeLa、扁平上皮癌 17. NCTC2544
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年5月18日(2000.5.18)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項27】 癌を第1の化学療法剤で治療するか第2の化学療法剤で治 療するか判断する為に、試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、
発現および/または機能を試験する手段、並びに試料中の正シグナル導入因子(
PSTF)の突然変異状態、発現および/または機能を試験する手段を用いる方法。
【手続補正書】
【提出日】平成13年4月18日(2001.4.18)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、上記問題点を解決することにある。即ち、本発明は、抗癌剤
に対する癌細胞の感受性を測定する方法であって、該方法は、 (a)試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および/また は機能を試験する工程;並びに、 (b)試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然変異状態、発現および/また は機能を試験する工程を包含し、 該抗癌剤は、化学療法剤または生物学的癌治療剤を含むことを特徴とするもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 9812151.0 (32)優先日 平成10年6月5日(1998.6.5) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9814545.1 (32)優先日 平成10年7月3日(1998.7.3) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9903035.5 (32)優先日 平成11年2月10日(1999.2.10) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 2G045 AA26 AA40 BB16 BB20 CB02 DA12 DA13 DA14 DA36 DA80 FA16 FA37 FB02 FB03 FB05 FB06 FB07 FB12 FB15 GC22 GC30 JA03 JA20

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗癌剤に対する癌細胞の感受性を測定する方法であって、 該方法は、試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および
    /または機能を試験する工程;並びに、試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の
    突然変異状態、発現および/または機能を試験する工程を包含し、 該方法が、野生型p53細胞またはその抽出液を含有する試料中のRaf-1蛋白量を
    ウエスタンブロットにより試験することによって野生型p53癌細胞の放射線感受 性を測定する工程を包含するときは、Raf-1蛋白質に特異的な抗体を用いること を特徴とする測定方法。
  2. 【請求項2】 上記NSTFは、細胞周期を阻害若しくは停止させる因子である
    か、細胞周期から細胞を離脱させる因子であるか、および/または、アポトーシ
    スまたは他の細胞死を誘発することにより細胞分裂を阻害する因子である請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記NSTFはサプレッサーである請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 上記NSTFはp53またはp21である請求項1〜3のいずれかに記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 上記NSTFはPSTF阻害剤である請求項1または2に記載の方法
  6. 【請求項6】 上記PSTFはRaf-1阻害剤、サイクリンD1阻害剤またはサイク リン依存性キナーゼ阻害剤である請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 上記PSTFは、細胞が細胞周期に入ることを促進する因子か、
    DNA合成を開始および/または実行する因子か、および/または細胞周期を通じ て細胞の継代を制御する因子である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 上記PSTFは、転写因子、癌遺伝子、癌原遺伝子、細胞周期の
    分裂を阻害および/または制御する遺伝子、および/または、細胞表面受容体で
    ある請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 上記PSTFは、Raf-1蛋白質、サイクリンD1蛋白質、またはCDK
    1若しくはCDK4の様なサイクリン依存性キナーゼである請求項7または8に記載 の方法。
  10. 【請求項10】 上記抗癌剤は電離放射線か、または、化学療法剤若しくは
    生物学的癌治療剤の様な分子抗癌剤である請求項1〜9のいずれかに記載の方法
  11. 【請求項11】 上記化学療法剤は白金化剤である請求項10に記載の方法
  12. 【請求項12】 上記白金化剤はCDDPである請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 上記試料は試験対象物から抽出されるものである請求項1
    〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 上記試料は細胞の試料である請求項1〜13のいずれかに
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 細胞計数を行うことにより試験を実施するものである請求
    項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 マルチパラメーターフローサイトメトリーを用いて細胞計
    数を行うものである請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 走査型共焦点顕微鏡検査を用いて細胞計数を行うものであ
    る請求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 蛍光活性化細胞分類法を用いて細胞計数を行うものである
    請求項15に記載の方法。
  19. 【請求項19】 上記細胞計数を行う前に、細胞の試料を微細切断すること
    によって正常組織と腫瘍組織を分けるものである請求項15〜18のいずれかに
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 上記細胞計数を行う前に、試料中の細胞内接着を破壊して
    単細胞の懸濁液を生成するものである請求項15〜19のいずれかに記載の方法
  21. 【請求項21】 (a)試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および/ま たは機能を試験する工程;並びに、試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然
    変異状態、発現および/または機能を試験する工程(ここで、該方法が、野生型
    p53細胞またはその抽出液を含有する試料中のRaf-1蛋白量をウエスタンブロット
    により試験することによって野生型p53癌細胞の放射線感受性を測定する工程を 包含するときは、Raf-1蛋白質に特異的な抗体を用いる工程を包含する);およ び、 (b)上記NSTFの突然変異状態、発現および/または機能と、上記PSTFの突然 変異状態、発現および/または機能との関係に基づき、治療用薬剤を選択する工
    程、 を包含することを特徴とする癌治療用薬剤を選択する方法。
  22. 【請求項22】 複数のヒト癌細胞系において2種以上の遺伝子の状態また は挙動を測定する工程を包含することを特徴とする癌治療用薬剤の有効性を判断
    する方法。
  23. 【請求項23】 上記2種以上の遺伝子の状態または挙動は、遺伝子の突然 変異状態、発現および/または機能を包含するものである請求項22に記載の方
    法。
  24. 【請求項24】 抗癌剤に対する癌細胞の感受性を測定するキットであって
    、該キットは、 (i)試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および/ま たは機能を試験する手段、並びに、 (ii)試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然変異状態、発現および/ま
    たは機能を試験する手段 を包含することを特徴とする測定キット。
  25. 【請求項25】 上記手段は、NSTFの量または突然変異状態を試験する手段
    、および/またはPSTFの量または突然変異状態を試験する手段を包含するもので
    ある請求項24に記載のキット。
  26. 【請求項26】 癌を放射線療法で治療するか化学療法で治療するか判断す
    る為に、試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発現および/ま
    たは機能を試験する手段を用いる方法。
  27. 【請求項27】 癌を放射線療法で治療するか化学療法で治療するか判断す
    る為に、試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然変異状態、発現および/ま
    たは機能を試験する手段を用いる方法。
  28. 【請求項28】 癌を第1の化学療法剤で治療するか第2の化学療法剤で治療
    するか判断する為に、試料中の負シグナル導入因子(NSTF)の突然変異状態、発
    現および/または機能を試験する手段を用いる方法。
  29. 【請求項29】 癌を第1の化学療法剤で治療するか第2の化学療法剤で治療
    するか判断する為に、試料中の正シグナル導入因子(PSTF)の突然変異状態、発
    現および/または機能を試験する手段を用いる方法。
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