JP2002368052A - 珪素脱離方法及びシリコンウェーハの不純物分析方法 - Google Patents
珪素脱離方法及びシリコンウェーハの不純物分析方法Info
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Abstract
を受けることなく、分析機器に投入する前に珪素含有溶
液から低汚染で簡単に珪素を脱離させることができる方
法、及びこの珪素脱離方法を適用することにより分析感
度を向上させ高感度で安定した分析が行えるようにした
シリコンウェーハの不純物分析方法を提供する。 【解決手段】珪素含有溶液から珪素を脱離する方法であ
って、珪素含有溶液と弗化水素水及び硝酸を含有した脱
離溶液とを同一密閉容器内に配置し各溶液を所定時間加
熱することにより該珪素含有溶液中の珪素を脱離するよ
うにした。
Description
珪素を効果的に脱離する方法及びシリコンウェーハ(以
下、単にウェーハと言うこともある)表面の金属不純物
を分析する方法に関し、特に珪素による分析精度の低下
を防止するための方法に関する。
の製造プロセスに要求される清浄度が厳しくなってい
る。特に、Fe,Ni,Cr等の重金属は半導体の特性
に大きな影響を与え、pn接合のリーク等の不良を引き
起こすとされており、半導体素子の電気的特性を劣化さ
せないためにはこれらの金属汚染を抑制することが重要
である。従って、ウェーハ表面の汚染を正確に定性およ
び定量する技術が必要になる。
金属不純物を測定するのに最もよく用いられる方法は、
気相分解法(VPD:Vapor Phase Dec
omposition)により表面の金属不純物を溶液
中に回収し、回収液を原子吸光分析法(AAS:Ato
mic Absorption Spectrosco
py)や誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS:
Inductively Coupled Plasm
a Mass Spectrometry)により分析
し、定量する方法である。
この酸化物をHF蒸気に曝露して分解し、この分解液を
回収し、回収した分解液を純水等で希釈して試料溶液と
し、分析する方法が知られている。
面の金属不純物を回収し、分析する方法(特開平2−2
8533号等)がある。これは、ウェーハ上に溶解液
(本明細書でいう分解液に相当)を滴下して、ウェーハ
を種々の方向に傾けたり、回転運動を加えながらウェー
ハ表面を一様に走査し、ウェーハ全体から不純物を回収
する方法である。
F+HNO3等の分解液を蒸発させウェーハ表面を分解
し、シリコン分解生成物を分析する方法等がとられてき
た。なお、このシリコン分解生成物とは、シリコンウェ
ーハやバルクシリコンとHF+HNO3等が反応するこ
とによって生成した反応生成物を意味する。シリコンウ
ェーハやバルクシリコンとHF+HNO3との反応は、
一般的にHNO3によってシリコンウェーハやバルクシ
リコンが酸化され、その後HFで分解される一連の反応
と考えられている。本明細書においては、この反応によ
る生成物をシリコン分解生成物、この反応に用いるHF
+HNO3溶液を分解液、またこの様な処理を分解処理
又は単に分解とそれぞれ称して説明する。
備(ステップ100)の後に、分解液(HF又はHF/
HNO3混酸溶液)を蒸発させウェーハ表面に曝露しシ
リコン分解生成物を生成させ(ステップ102a)、次
にウェーハ表面に純水等(回収液)を滴下し、生成した
シリコン分解生成物(不純物が含まれた分解液)を回収
し(ステップ102b)、この回収した溶液を珪素脱離
処理(ステップ102m)の後、分析する(ステップ1
04)ことでウェーハ表層のバルク領域の汚染を高感度
に分析している。この方法においては、上記分解処理
(ステップ102a)、回収処理(ステップ102b)
及び珪素脱離処理(102m)によって前処理工程(ス
テップ102)が構成されている。
に封入して温水に浸漬し、ウェーハと薬液とを反応さ
せ、その反応液の一部を元素分析することにより、ウェ
ーハ表面の不純物を分析する方法等が知られている。こ
れは、図8に示すように、ウェーハ準備(ステップ10
0)の後に、希HF/HNO3混酸溶液を入れた袋にウ
ェーハを入れ煮込む工程(ステップ102c)を行い、
煮込んだ溶液の一部を抽出(ステップ102d)し、こ
の抽出した溶液を珪素脱離処理(ステップ102m)の
後、分析する(ステップ104)方法である。図8の方
法においては、上記煮込みによる分解処理(ステップ1
02c)、抽出による回収処理(ステップ102d)及
び珪素脱離処理(ステップ102m)によって前処理工
程(ステップ102)が構成されている。
コンの分析にも強力な酸蒸気にてバルクシリコンを直接
分解する方法が近年開発され、(固体の)分解生成物を
純水で回収する方法が取られている。これは、図9に示
すように、ウェーハを劈開するなどして作製した微小な
バルク状のシリコンを準備し(ステップ100)、その
後、分解液(HF/HNO3混酸溶液)を蒸発させてバ
ルクシリコンを分解してシリコン分解生成物を生成させ
(ステップ102e)、次に回収液(純水等)をシリコ
ン分解生成物に滴下し、生成したシリコン分解生成物を
回収し(ステップ102f)、この回収した溶液を珪素
脱離処理(ステップ102m)の後、分析する(ステッ
プ104)方法である。図9の方法においては、上記分
解処理(ステップ102e)、回収処理(102f)及
び珪素脱離処理(ステップ102m)によって前処理工
程(ステップ102)が構成されている。
リコンであっても、基本的に分析用の試料を得るにはH
F/HNO3等で分解処理し、それにより生じるシリコ
ン分解生成物を回収処理し、その回収した液を分析する
方法で金属不純物の評価が行なわれている。
方法で、シリコン表面を分解し、シリコン分解生成物が
含まれた分解液を回収した場合、回収された回収液の中
には金属不純物以外に多くの珪素が含まれている。
器へ投入すると、特にICP−MS等では目的元素が現
われるはずのピーク位置に珪素の複合分子によるゴース
トピークが現われ精度を悪くすることや、ノイズ等によ
る検出下限の上昇、装置によっては珪素が装置の基幹部
〔溶液の導入系(経路)や分析系(経路)〕に堆積し、
経時的に分析感度が低下してしまうこともある。特に装
置の基幹部に珪素が堆積することは大きな問題である。
そこで、図7〜図9の従来方法において示したように、
分析の前に珪素脱離処理が行われるのが通常である。
化剤を添加し加熱、揮散する方法が知られている。強酸
化剤としては過塩素酸や王水が用いられる。しかし、こ
れらの強酸化剤は酸化剤自身が汚染の影響を受けている
ことが多く、その場合高感度で金属不純物分析ができな
いという問題がある。
もので、操作及び薬液自身に起因する不純物汚染の影響
を受けることなく、分析機器に投入する前に珪素含有溶
液から低汚染で簡単に珪素を脱離させることができる方
法、及びこの珪素脱離方法を適用することにより分析感
度を向上させ高感度で安定した分析が行えるようにした
シリコンウェーハの不純物分析方法を提供することを目
的とする。
に、本発明の珪素脱離方法は、珪素含有溶液から珪素を
脱離する方法であって、珪素含有溶液と弗化水素水及び
硝酸を含有した脱離溶液とを同一密閉容器内に配置し各
溶液を所定時間加熱することにより該珪素含有溶液中の
珪素を脱離するようにしたものである。
から珪素を効率よく除去でき珪素の少ない分析用の試料
を準備することができる。これは、同一密閉容器内にお
いて加熱状態で両溶液を保持すると珪素含有溶液内でH
F/HNO3の蒸気が反応し、珪フッ化物が生成され、
この珪フッ化物は加熱加圧化で長時間保持すると蒸発又
は昇華してしまい溶液中から脱離し、結果として珪素が
除去できるからであると考えられる。特に本発明のよう
に珪素脱離をする対象が溶液の場合、珪素が脱離されづ
らいので珪素含有溶液と弗化水素水(HF)とを同一密
閉容器内で処理し、かつ珪素含有溶液自体も加熱するこ
とが重要である。
重量%及びHNO3濃度70〜30重量%で、かつ両者
の和が100重量%を超えず残部が水であるように調合
した混酸を使用し、前記各溶液を100〜150℃で2
〜24時間加熱するのが好ましい。
金属不純物はもとのままで珪素を含まない溶液を得るこ
とができることから、分析時にゴーストピークの発生
や、装置の汚れを防止でき安定した評価が行える。
法は、シリコンウェーハ表面の不純物を分析するための
方法であって、シリコンウェーハに対して弗化水素水及
び硝酸を含有した分解液の蒸気を曝露してシリコンウェ
ーハ表層にシリコン分解生成物を生成させ、該シリコン
分解生成物を弗化水素水及び過酸化水素水を含有した回
収溶液により回収してシリコン分解生成物含有回収溶液
を作製し、該シリコン分解生成物含有回収溶液と弗化水
素水及び硝酸を含有した脱離溶液とを同一密閉容器内に
配置し各溶液を所定時間加熱することにより該シリコン
分解生成物含有回収溶液中の珪素を脱離して脱珪素シリ
コン分解生成物含有回収溶液を作製し、該脱珪素シリコ
ン分解生成物含有回収溶液を蒸発乾固し、得られた残渣
を希弗化水素水で溶解して試料溶液を作製し、該試料溶
液を分析するようにしたものである。
理は、上記分解液として、HF濃度15〜35重量%及
びHNO3濃度70〜30重量%で、かつ両者の和が1
00重量%を超えず残部が水であるように調合した混酸
を使用し、該分解液を100〜150℃に加熱し発生し
た分解液蒸気にシリコンウェーハを10分〜2時間曝露
することによってシリコンウェーハ表層にシリコン分解
生成物を生成させるのが好適である。処理時間は、分析
したい表層深さ等により調整する。
化膜及びシリコンを分解する。分解された生成物中には
金属不純物が存在する。これによりウェーハ表層1〜1
0μmの領域に存在する金属不純物を分析することがで
きる。このような分解液で処理した後のシリコン分解生
成物として(NH4)2SiF6等の化合物が形成され
る。
解生成物の回収処理は、ウェーハ上に分解液の蒸気を曝
露した後、ウェーハ表面に希HF/H2O2水溶液からな
る回収溶液を滴下して、ウェーハ表面上を一様に走査し
回収処理した後、該回収溶液を回収することによって行
えばよい。この回収溶液として、特にHF濃度が1.5
〜3.5重量%程度、H2O2が0.5〜2.5重量%程
度である希HF/H2O2水溶液を用いると、効率的にウ
ェーハ表面からシリコン分解生成物を回収できるので好
ましい。つまり従来の純水による回収に比べ、シリコン
分解生成物の回収が容易である。
HF濃度15〜35重量%及びHNO3濃度70〜30
重量%で、かつ両者の和が100重量%を超えず残部が
水であるように調合した混酸を使用し、前記したシリコ
ン分解生成物含有回収溶液及び脱離溶液のそれぞれを同
一密閉容器内で100〜150℃で2〜24時間加熱す
ることによって行うのが好ましい。処理時間はシリコン
分解生成物含有回収溶液の量などにより適宜調整する。
を更に珪素脱離処理して分析に与える珪素の影響を排除
し、この珪素を脱離した脱珪素シリコン分解生成物含有
回収溶液中に含まれる硝酸成分を除去するために蒸発乾
固することで、残渣中には珪素や余分な物質を含まない
金属不純物が得られる。
10重量%程度の希フッ酸水溶液等の処理液で残渣を溶
解し試料溶液を作製し、この作製した試料溶液を分析す
る。この分析の方法としてはAAS又はICP−MSを
用いればよい。
図面中図1〜図6に基づいて説明するが、図示例は例示
的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない
限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
分析方法の工程順を示すフローチャート、図2〜図4は
本発明のシリコンウェーハの不純物分析方法で用いられ
るウェーハ処理装置の1例及びその使用態様を示す断面
的概略説明図で、図2はウェーハに対する分解液蒸気の
曝露方法の一態様、図3はシリコン分解生成物が表層に
形成されたウェーハの表面に回収溶液を滴下する一態様
及び図4はウェーハ表面に滴下された回収溶液を回収す
る一態様をそれぞれ示す。
1のフローチャートに示されるように、分析対象である
ウェーハを準備する工程(ステップ100)と、このウ
ェーハを前処理する工程(ステップ102)と、前処理
工程で得られた試料溶液を分析する工程(ステップ10
4)とから構成されている。
リコンウェーハを、分解液(HF/HNO3混酸溶液)
を加熱して発生させた蒸気に曝露してシリコン分解生成
物を生成する分解処理工程(ステップ102a)、回収
溶液(HF/H2O2混合水溶液)をウェーハ表面に滴下
しシリコン分解生成物を回収する回収処理工程(102
b)及び珪素脱離処理工程(102n)を有している。
は、図2に示すようなウェーハ処理装置10を用いて行
われる。このウェーハ処理装置10は下部にホットプレ
ート12を備えかつ上方に開口する開口部14を設けた
容器16と、該開口部14を開閉自在に閉塞しかつ該容
器16の周縁雄ネジ部17に周縁雌ネジ部18を介して
着脱自在に螺着される蓋体19とを有している。
載置するウェーハステージ20が設けられている。21
は分解液収容部で、分解液(HF/HNO3混酸溶液)
22を収容する。この収容された分解液22はホットプ
レート12によって加熱され分解液の蒸気22aを発生
する。この発生した分解液蒸気22aがウェーハWの表
面に接触してシリコン分解生成物S(図3)が生成す
る。
周縁雄ネジ部17の上面に設けられたPTFE(ポリテ
トラフルオルエチレン)製シールで、蓋体19の周縁雌
ネジ部18が該周縁雄ネジ部17に螺着された時に該周
縁雄ネジ部17の上面と蓋体19の周縁雌ネジ部18の
下面との間を密封する作用を行う。26は蓋体19に取
りつけられたガス抜きで、該容器16内部の分解液蒸気
を必要に応じて外部に排気する場合に用いられる。
処理工程(102b)は、図3に示すように、ウェーハ
処理装置10の蓋体19を取り外した状態で行われる。
分解液蒸気22aへの曝露の後、ウェーハWの表面に生
成したシリコン分解生成物Sを上にして水平に保持しな
がら、図3に示すように、定量の回収溶液28を滴下用
ピペット30等を用いてウェーハWの表面に滴下し、ウ
ェーハ表面に回収溶液28の液滴ができるようにする。
このとき滴下した回収溶液28は被測定物表面が平面で
あれば表面張力により表面上に留まっている。
で走査し、回収溶液28にシリコン分解生成物Sを含有
させてシリコン分解生成物含有回収溶液28Sとする
(図4)。図4に示すように、このシリコン分解生成物
含有回収溶液28Sを回収用ピペット32等の清浄な器
具を用いて採取すると、シリコン分解生成物含有回収溶
液の液滴28Sはほぼ100%採取できる。従来は親水
性の表面から液滴を採取することは困難であったが、本
方法を用いると親水性にかかわらず、効率よく試料を採
取できる。その後、珪素脱離処理を行い分析装置に掛け
含有されている金属不純物を分析する。
図2に示すように分解液22の入った分解液収容部21
をヒータ等の加熱手段(図示例ではホットプレート1
2)により加熱し、蒸気を発生させる。被分解物がシリ
コンならば分解液はHNO3によって表面を酸化した
後、その酸化物がHFによって分解する。また、被分解
物がシリコン酸化物ならばHFのみでも分解する。
蒸気22aに曝露する時間を変えることによってウェー
ハWのエッチング量を制御しながら不純物の抽出を行
い、ウェーハWの表面から任意の深さまでの不純物の定
性と定量を行うことができる。分解液22に用いるHF
はEL(電子工業用)グレードの50重量%HFが好ま
しく、またHNO3は98重量%の特級発煙硝酸が好ま
しい。HF/HNO3混酸溶液の混合割合は特に制限は
ないが、50重量%HFと98重量%HNO3を2:1
又は1:1又は1:2で調合した混酸(HF濃度15〜
35重量%及びHNO3濃度70〜30重量%で調合し
た混酸)の範囲が好ましい。特に2:1又は1:1で調
合したものが適当である。
分解生成物SはウェーハW表面に保持されている(図
3)。シリコン分解生成物Sは固体状の膜でウェーハW
表面に存在する。これに図3に示すように滴下用ピペッ
ト30等により回収溶液28を滴下し、シリコン分解生
成物SをウェーハW表面から回収する。
溶液を用いることができ、特に薄いHF/H2O2混合水
溶液が好ましい。この薄めのHF/H2O2混合水溶液中
のHF濃度が1.5〜3.5重量%程度及びH2O2濃度
が0.5〜2.5重量%程度で混在する溶液とすればよ
い。具体的には38重量%HF2ml〜4mlに対し、
31重量%H2O2を1ml〜4mlで混合し、純水で5
0mlに希釈した溶液が好適である。
物に対し最も疎水性となり、使用薬液量も少なくする事
ができる。高純度のHF及びH2O2を用い、濃度の薄い
状態で用いる事で、この回収溶液(薬液)自体からの汚
染の影響を少なくする事ができる。
2O2混合水溶液はシリコン分解生成物Sに対して撥水性
であるため、図3に示すようにHF/H2O2混合水溶液
がウェーハW上で液滴28となり、図4に示すようにシ
リコン分解生成物Sを回収した後も液滴28Sの状態で
あって、回収用ピペット32等で回収しやすい。
分解生成物Sとの反応で若干の自力による走査能力があ
るためウェーハW上を一様に走査させつつシリコン分解
生成物Sの回収作業を行うことができ、シリコン分解生
成物Sの回収が極めて容易に行える。回収溶液28によ
る走査及び回収の操作が簡便である事から、外部からの
汚染の影響なども抑えることができる。
インチウェーハでは約0.15gのシリコンが分解され
ることになる。この全量が約1mlの回収溶液28に含
まれた場合、シリコン濃度は約15重量%となり、回収
された溶液(シリコン分解生成物含有回収溶液28S)
は非常に多くの珪素を含んだ溶液となる。
からのシリコン分解生成物含有回収溶液28S中に含ま
れる多量の珪素を効率的に脱離することによってシリコ
ン分解生成物の分析の際の珪素の影響を低下させ、分析
精度の向上を図ることであるが、以下に珪素脱離処理に
ついて図5及び図6に基づいて説明する。図5は本発明
の珪素脱離方法における珪素脱離工程の一態様を模式的
に示す説明図及び図6は本発明の珪素脱離処理後に行わ
れる金属不純物回収工程の一態様を模式的に示す説明図
である。
に、珪素含有溶液、例えばシリコン分解生成物回収溶液
(珪素含有回収溶液)28Sから珪素を脱離する工程を
有する。珪素含有溶液から珪素を脱離する工程は、容器
60に入れられた珪素含有回収溶液28Sと容器62に
入れられた脱離溶液64、例えばHF/HNO3混酸溶
液を密閉容器66内に設置し各溶液をヒータ68,70
によって所定の時間加熱することで行われる。なお、図
5において、ヒータ68,70は密閉容器66の内部に
配置した例が示されているが、これらのヒータ68,7
0を密閉容器66の外側に配置してもよいことはいうま
でもない。
6は、耐薬品性があり、ある程度の耐熱性のあるPTF
E製容器が好ましい。量の限られた脱離溶液64を効率
よく珪素含有溶液28Sと反応させるため、気密性の高
い容器を用いるのが好適である。珪素脱離作用の具体的
な反応機構は不明であるが、密閉性の高い容器内で長時
間加熱すると蒸気圧が高い状態になるため溶液中の珪素
の脱離が促進されると考えられる。また、密閉容器66
内では容器の上部と下部で温度差が生じ、蒸発した溶液
が再度凝縮するような作用が繰り返されていると考えら
れ、このような作用も珪素が効率よく脱離される要因の
ひとつと考えられる。上記した点から珪素の脱離及び容
器の耐圧性等を考慮すると100〜150℃程度の温度
で加熱することが好ましい。
いるHFはEL(電子工業用)グレードの50重量%H
Fが好ましく、またHNO3は98重量%の特級発煙硝
酸が好ましい。HF/HNO3混酸溶液の混合割合は特
に制限はないが、50重量%HFと98重量%HNO3
を2:1又は1:1又は1:2で調合した混酸(HF濃
度15〜35重量%及びHNO3濃度70〜30重量%
で調合した混酸)の範囲が好ましい。特に脱離溶液中の
HF濃度よりHNO3濃度が多い方が好ましく1:1又
は1:2で調合したものが適当である。
コン分解生成物含有回収溶液28S Mから、分析対象と
なる金属不純物が回収される。この金属不純物回収工程
は、図6に示すように、上記珪素脱離処理後、容器72
(通常は容器60をそのまま利用)に入れられた珪素脱
離シリコン分解生成物含有回収溶液28SMをヒータ7
4(通常はヒータ68をそのまま利用)で加熱すること
によって蒸発乾固し、蒸発乾固して得られた残渣76を
処理液(2〜10重量%程度の希弗化水素水)78で溶
解して回収することで行われる。残渣76を溶解した処
理液78は金属不純物を含有した試料溶液80となる。
この試料溶液80を分析することによって残渣中の金属
不純物の分析を行うことができる。
離されているか明確には確認できなかったが、珪素脱離
処理をした場合としない場合で溶液を蒸発乾固し、残渣
の量を確認した。その結果珪素脱離処理をした場合は、
ほとんど残渣が確認されなかったが、珪素脱離処理しな
かった場合は、明らかに大量の残渣が残っていた。この
残渣の差は珪素が脱離したものと考えられる。
に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもの
であり限定的に解釈されるべきものではない。
製造工程を経た8インチ鏡面研磨ウェーハ(被測定物)
を図2に示す処理装置を用いクリーンルーム内で処理し
た。ウェーハステージに表面を上に向けて保持し、ヒー
タを有したPTFE製の容器の中で加熱された分解液
(HF/HNO3)の蒸気を20分間曝露した。分解液
は50重量%HF:98重量%HNO3を1.3:0.
7の割合で混合した混酸2ml(具体的には50重量%
HF1.3mlに対し98重量%HNO3を0.7ml
で混合した溶液)をPTFEビーカに入れ、ヒータによ
り加熱蒸発させている。分解のための加熱温度(正確に
はヒータの設定温度)は150℃である。
ーハ)をウェーハステージで保持したまま、回収溶液
(HF/H2O2水溶液)を750μlマイクロピペット
で滴下した。ウェーハステージは回転機構を有するPT
FE製の保持台で若干傾斜をもって保持でき、このウェ
ーハステージを動かすことで回収溶液を試料ウェーハ全
面に走査する。本実施例で用いた回収溶液はHF濃度
3.2重量%、H2O2濃度2.5重量%の混合溶液を用
いた。
覆った回収溶液(試料溶液)を採取した。回収溶液は液
滴状となっており回収は容易に行えた。
素含有溶液)からの珪素脱離処理の脱離工程として、ま
ず、回収溶液(珪素含有溶液)と10mlのHF/HN
O3溶液を密閉容器に設置し各溶液を所定時間加熱し
た。HF/HNO3溶液は、50重量%HF5ml、9
8重量%HNO3(発煙硝酸)5mlを混合した溶液で
ある。この時の加熱温度は100℃から150℃(ヒー
タの設定値)でよい。本実施例では150℃で行った。
このような温度で長時間密閉すると密閉容器中で加圧さ
れた状態で保持される。保持時間は10〜18時間程度
加熱することで完全に珪素が脱離する。本実施例では1
2時間で行った。
した後の溶液を200℃で蒸発乾固し、蒸発乾固して得
られた残渣を処理液1mlで回収した。処理液は9.5
重量%HFを用いた。つまりこの残渣を希フッ酸で溶解
し珪素を含まない分析用の溶液を調製した。蒸発乾固し
た残渣には試料ウェーハ中にもともと存在した金属不純
物は存在するものの珪素は非常に少なくなっていた。
水等のそれ自体が金属汚染されやすい強酸化剤を用いる
ことなく実施できるので外部からの汚染等を気にするこ
と無く実施できる。
で測定した。分析に用いた試料は1mlである。なお、
ICP−MSは、FinniganMAT社製ELEM
ENTを用いた。以下、この装置をHR−ICP−MS
という。HRはHigh Resolutionの意味
である。
Ni、Cuを評価した。その結果、Fe:1×1012a
toms/cm3、Ni:0.5×1012atoms/
cm3、Cu:0.2×1012atoms/cm3であっ
た。その他にもMg、Al、V、Cr、Mn、Znの軽
金属及び重金属を分析したが、珪素の影響も無く高感度
で分析することができた。繰り返し精度も十分であっ
た。
ハを用い、珪素脱離処理を行わなかった以外は、実施例
1と同様の手順で不純物の分析を行った。その結果、H
R−ICP−MSの分析系が詰まってしまい分析するこ
とができなかった。本比較例では約15%ものシリコン
を含むため、更に詰まりやすかったと考えられる。
ICP−MSには、脱溶媒システムがついており、分析
溶液にHFを添加した場合、700ppm程度の珪素で
あれば影響しないが、1000ppmを越えた場合に、
比較例1と同様に装置の分析系や導入系に珪素が詰まる
と言う現象が見られた。1000ppm程度の試料を頻
繁に分析すると繰り返し使用すれば経時的に分析精度を
低下してしまう。本発明の珪素脱離処理を行い分析すれ
ばこのような経時的な変化も防止でき長期的に安定な評
価が行えた。
ついて気相分解法を用いた例を示したが、珪素脱離する
対象が溶液であればバルクシリコンをHF/HNO3で
分解し回収した溶液や気相分解法以外にウェーハとHF
/HNO3等の薬液とを合成樹脂製の袋に封入して温水
に浸漬し、ウェーハと薬液とを反応させた溶液等の珪素
を多く含んだ溶液に対して本発明の珪素脱離方法は有効
である。
液を、ICP−MS以外の装置、例えば原子吸光分析法
等の分析装置で分析してもよい。
作及び薬液自身に起因する不純物汚染の影響を受けるこ
となく、珪素含有溶液から低汚染で簡便に珪素を脱離す
ることができ、このような珪素脱離処理をシリコンウェ
ーハの不純物分析に適用することによって分析感度を向
上させ高感度で安定した不純物分析を行うことができ
る。
ン分解生成物を弗化水素水(HF)及び過酸化水素水
(H2O2)により回収したことによりウェーハ表面から
効率的に金属不純物も回収でき分析精度が向上した。
の工程順を示すフローチャートである。
で用いられるウェーハ処理装置の1例を示す断面的概略
説明図で、ウェーハに対する分解液蒸気の曝露方法の一
態様を示す。
で用いられるウェーハ処理装置の1例を示す断面的概略
説明図で、シリコン分解生成物が表層に形成されたウェ
ーハの表面に回収溶液を滴下する一態様を示す。
で用いられるウェーハ処理装置の1例を示す断面的概略
説明図で、シリコン分解生成物含有回収溶液を回収する
一態様を示す。
す説明図である。
示す説明図である。
工程順の1例を示すフローチャートである。
工程順の他の例を示すフローチャートである。
程順の1例を示すフローチャートである。
4:開口部、16:容器、17:周縁雄ネジ部、18:
周縁雌ネジ部、19:蓋体、20:ウェーハステージ、
21:分解液収容部、22:分解液、22a:分解液蒸
気、28S:シリコン分解生成物含有回収溶液、28S
M:珪素脱離シリコン分解生成物含有回収溶液、30:
滴下用ピペット、32:回収用ピペット、60,62,
72:容器、64:脱離溶液、66:密閉容器、68,
70,74:ヒータ、76:残渣、80:試料溶液、
S:シリコン分解生成物、W:ウェーハ。
Claims (6)
- 【請求項1】 珪素含有溶液から珪素を脱離する方法で
あって、珪素含有溶液と弗化水素水及び硝酸を含有した
脱離溶液とを同一密閉容器内に配置し各溶液を所定時間
加熱することにより該珪素含有溶液中の珪素を脱離する
ことを特徴とする珪素脱離方法。 - 【請求項2】 前記脱離溶液として、HF濃度15〜3
5重量%及びHNO3濃度70〜30重量%で調合した
混酸を使用し、前記各溶液を100〜150℃で2〜2
4時間加熱することを特徴とする請求項1記載の珪素脱
離方法。 - 【請求項3】 シリコンウェーハ表面の不純物を分析す
るための方法であって、シリコンウェーハに対して弗化
水素水及び硝酸を含有した分解液の蒸気を曝露してシリ
コンウェーハ表層にシリコン分解生成物を生成させ、該
シリコン分解生成物を弗化水素水及び過酸化水素水を含
有した回収溶液により回収してシリコン分解生成物含有
回収溶液を作製し、該シリコン分解生成物含有回収溶液
と弗化水素水及び硝酸を含有した脱離溶液とを同一密閉
容器内に配置し各溶液を所定時間加熱することにより該
シリコン分解生成物含有回収溶液中の珪素を脱離して脱
珪素シリコン分解生成物含有回収溶液を作製し、該脱珪
素シリコン分解生成物含有回収溶液を蒸発乾固し、得ら
れた残渣を希弗化水素水で溶解して試料溶液を作製し、
該試料溶液を分析することを特徴とするシリコンウェー
ハの不純物分析方法。 - 【請求項4】 前記分解液として、HF濃度15〜35
重量%及びHNO3濃度70〜30重量%で調合した混
酸を使用し、該分解液を100〜150℃に加熱し発生
した分解液蒸気にシリコンウェーハを10分〜2時間曝
露することによってシリコンウェーハ表層にシリコン分
解生成物を生成させることを特徴とする請求項3記載の
シリコンウェーハの不純物分析方法。 - 【請求項5】 前記脱離溶液として、HF濃度15〜3
5重量%及びHNO3濃度70〜30重量%で調合した
混酸を使用し、前記各溶液を100〜150℃で2〜2
4時間加熱することを特徴とする請求項3又は4記載の
シリコンウェーハの不純物分析方法。 - 【請求項6】 前記試料溶液を分析する方法が、AAS
又はICP−MSであることを特徴とする請求項3〜5
のいずれか1項記載のシリコンウェーハの不純物分析方
法。
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