JP2002363426A - 半導電性弾性体及び電子写真装置 - Google Patents
半導電性弾性体及び電子写真装置Info
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Abstract
ラツキが小さく、かつ、抵抗の電圧依存性の小さな半導
電性弾性体と、上記半導電性弾性体を用いた電子写真装
置を提供する。 【解決手段】 半導電性弾性体を作製する際に、弾性体
に添加する導電剤として、電荷減衰性の高い樹脂をコー
ティングした導電剤を用いるようにした。
Description
関するもので、主に電子写真装置の部材である、帯電ロ
ーラ,現像ローラ,転写ローラ,トナー供給ローラ,除
電ローラなどに用いられる半導電性弾性体と、この半導
電性弾性体を装着して成る電子写真装置に関するもので
ある。
の電子写真装置に用いられる部材としては、帯電ロー
ラ,現像ローラ,転写ローラ,トナー供給ローラ,除電
ローラなどが挙げられるが、これらの部材に対しては、
いずれも半導電性領域の抵抗を有する弾性体であること
が要求されている。一般に、上記半導電性弾性体の抵抗
を制御する方法としては、基材となるウレタン、ゴムな
どの弾性体に、イオン,カーボン,金属酸化物等の導電
物質を添加して、その添加量をコントロールする方法が
採られている。
を用いた場合には、抵抗のバラツキは少ないものの、比
較的高抵抗領域しかカバーできないだけでなく、抵抗が
環境に左右されやすいといった問題点があった。その
上、通電により抵抗が変化しやすく、また、イオンがブ
リードして汚染源になりやすいなどの問題を抱えてい
る。一方、カーボンや金属酸化物等の導電物質を用いた
場合には、抵抗が環境に左右されにくい、通電による抵
抗の変化が少ない、汚染問題が発生しにくい、必要とす
る抵抗領域をカバーできる、など多くのメリットがある
ものの、抵抗のバラツキが大きいことや、抵抗の電圧依
存性が大きいなどの問題を抱えている。そこで、抵抗の
再現性・安定性を向上させるため、上記導電物質ととも
に分散剤を添加する試みが一部で検討されているが、上
記添加剤自体が汚染源となりやすいといった新たな問題
を生じさせている。
もので、弾性体に添加する導電剤を改質し、帯電ローラ
や現像ローラなどに好適に用いられる、102〜10
14Ω・cmの領域において、抵抗のバラツキが小さ
く、かつ、抵抗の電圧依存性の小さな半導電性弾性体
と、上記半導電性弾性体を用いた電子写真装置を提供す
ることを目的とする。
を重ねた結果、弾性体に添加する導電剤として、電荷減
衰性の高い樹脂を予めコーティングしたカーボン,金属
粉,金属酸化物等の導電剤を用いることにより、102
〜1012Ω・cm程度の半導体領域の抵抗を有し、か
つ、抵抗のバラツキの少ない半導電性弾性体を安定的に
得ることができることを見いだし、本発明に到ったもの
である。すなわち、請求項1に記載の半導電性弾性体
は、弾性体から成る基材に添加する導電剤として、予め
電荷減衰性の高い樹脂をコーティングした導電剤を用い
たことを特徴とするものである。請求項2に記載の半導
電性弾性体は、上記樹脂のコーティング量を、上記導電
剤に対して、0.01〜50wt%としたものである。
請求項3に記載の半導電性弾性体は、上記樹脂を、樹脂
表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器
に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて上
記樹脂表面を帯電させた場合に、0.3秒後における表
面電位の最大値が300V以下になるような樹脂とした
ものである。請求項4に記載の半導電性弾性体は、上記
導電剤を、カーボン,金属粉,金属酸化物の少なくとも
1つあるいはこれらの混合物としたものである。請求項
5に記載の半導電性弾性体は、上記樹脂をコーティング
した導電剤において、下記の関係式に示す、上記樹脂成
分の溶剤不溶率を50%以上としたものである。 ここで、溶剤不溶率(%)=(B/A)×100 但し、A;樹脂コーティングした導電剤中の樹脂成分の
溶剤浸漬前重量 B;樹脂コーティングした導電剤を、良溶媒中に、25
℃,24hr浸漬した後の樹脂成分の重量 請求項6に記載の半導電性弾性体は、上記弾性体をウレ
タン、シリコーン、ゴムのいずれか1つ、または、これ
らを2種以上混合した材料から構成するとともに、上記
弾性体の形状をロール状としたものである。また、請求
項7に記載の電子写真装置は、上記請求項1〜請求項6
のいずれかに記載の半導電性弾性体を備えたことを特徴
とするものである。
する。本発明の半導電性弾性体は、プリンター,複写
機,FAXなどの電子写真装置に装着される、帯電ロー
ラ,現像ローラ,転写ローラ,トナー供給ローラ,除電
ローラ,などに用いられるもので、特にその形状が限定
されるものではないが、例えば、ロール状,プレート
状,ブロック状などの各種形状のものが適用可能であ
り、通常は、ロール状が好ましい。ロール状の場合に
は、例えば、図1(a),(b)に示すように、金属あ
るいはプラスチック製のシャフト11と、このシャフト
11の外周に形成された、導電剤を添加した半導電性弾
性体から成る弾性層12と、上記弾性層12の表面に形
成された外層13とを備えた帯電ローラ10を例示する
ことができる。
をコーティングした導電剤を添加して半導電性の弾性体
を得る。すなわち、上記導電剤として、予め樹脂をコー
ティングした導電剤を用いることにより、コーティング
されていない導電剤である、通常のカーボンや金属酸化
物などの導電剤をそのまま用いた場合に比べて、上記導
電剤の分散性を制御することが容易となり、抵抗のバラ
ツキや抵抗の電圧依存性を小さくすることができる。こ
のとき、上記樹脂のコーティング量としては、コーティ
ングされる元の導電剤に対して、0.01〜50wt
%、好ましくは0.01〜30wt%、更に好ましくは
0.01〜20wt%が適当である。コーティング量が
上記範囲よりも少ないと十分な分散性改良の効果は得ら
れず、また、上記範囲よりも多いと、後述するように導
電性が十分に得られない。ところで、単に樹脂をコーテ
ィングすると、当然、上記導電剤の有する本来の導電性
を損なう方向になり、分散性は制御できるものの、導電
剤を添加した弾性体の導電性を発現しにくくなる。そこ
で、本発明においては、導電剤にコーティングする樹脂
として、体積抵抗が高いにもかかわらず、電荷減衰性の
高い(電荷減衰の早い)樹脂を選択することにより、分
散性と導電性という二律背反する問題を解決する。
を厚みが3〜10μmのフィルム状とし、そのフィルム
表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器
に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて上
記樹脂表面を帯電させてその表面電位の変化を測定する
ことにより求められる。本発明においては、上記コーテ
ィングする樹脂として、0.3秒後における表面電位の
最大値が300V以下、好ましくは200V以下になる
ような樹脂を選択する。なお、上記電荷減衰性の測定に
おいて、表面電位の測定を0.3秒後としたのは以下の
理由による。上記測定において、コロナ放電と同時に表
面電位の測定を開始することは不可能であり、また、ご
く初期の表面電位は不安定であるため、上記初期の表面
電位の値を用いることは好ましくない。そこで、例え
ば、電子写真プロセスでの帯電ローラの場合、回転速度
は通常0.3秒/1回程度が使用されていることから、
表面における電位の制御を上記時間で規定するのが適当
であると判断した。上記表面電位の測定は、例えば、米
国QEA社(Quality Engineering Associates,In
c.)のCharge Roller Test System CRT200
0で測定される。図2にその主要部分の概略図を示す。
すなわち、コーティング樹脂を表面に配置した金属製の
被検体ローラ21のシャフト22両端部をチャック23
にて保持し、小型のスコロトロン放電器24と表面電位
計25とを所定間隔で離して併設した計測ユニット20
を、上記被検体ローラ21の表面と1mmの間隔を保っ
て対向配置し、上記被検体ローラ21を静止させた状態
のまま、上記計測ユニット20を被検体ローラ21の一
端から他端まで一定速度で移動させることにより、被検
体ローラ21に表面電荷を与えつつ、その表面電位を測
定する方法が好適に採用される。表面電位は、温度及び
湿度に依存するので、標準条件として常温常湿(20℃
/50%RH)の雰囲気下で実施する。また、スコロト
ロン放電器24から被検体ローラ21に与えるコロナ電
荷は、負の電荷とし、印加電圧は8kVとする。被検体
ローラ21にコロナ放電を与えてから、0.3秒後の表
面電位を測定するように、計測ユニット20の速度を調
整する。
荷減衰の条件を満足すれば、いずれの樹脂種であっても
よい。このコーティングする樹脂の例としては、ウレタ
ン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変
性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポ
キシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリ
デン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂
などが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよい
し、二種以上を組み合わせて用いてもよく、特に、ウレ
タン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルウレ
タン樹脂が好適であり、更には、後述する弾性体材料と
同種の樹脂種を少なくとも1種含むことが好適である。
ゆる導電性物質であり、カーボン、金属、金属酸化物な
どが挙げられる。例示すると、ケッチェンブラック,ア
セチレンブラック等の導電性カーボン、SAF,ISA
F,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT等の
ゴム用カーボン、酸化処理を施したインク用カーボン、
熱分解カーボン、天然グラファイト、あるいは、アンチ
モンドープの酸化錫,酸化チタン,酸化亜鉛、ニッケ
ル,銅,銀,ゲルマニウム等の金属、金属酸化物などが
挙げられる。
しては、例えば、ディスパコート、コートマイザーなど
が挙げられる。ディスパコートは、上部に設けられた粉
体供給部と、横方向から多段に液体を供給できる多段分
散器とを備えたもので、この多段分散器の操作条件を制
御して、上記粉体供給部から供給される導電性粉体の表
面にコーティング樹脂を含む液体成分を付着させたり、
導電性粉体表面を液で濡らす操作を非常に短時間で実施
することができる。コートマイザーは、ジェット噴流中
にコーティングすべき導電性粉末を供給して分散層を作
り、次に、これと並行する位置にコーティング樹脂を含
む液滴の微粒子で作られた霧状の流れを形成して上記被
コーティング導電性粉体と衝突させ、上記導電性粉体の
表面を樹脂コーティングする方法である。
に関して、下記の関係式に示す、上記樹脂成分の溶剤不
溶率を50%以上、特に70%以上とすることが好まし
い。 溶剤不溶率(%)=(B/A)×100 但し、A;樹脂コーティングした導電剤中の樹脂成分の
溶剤浸漬前重量 B;樹脂コーティングした導電剤を、良溶媒中に、25
℃,24hr浸漬した後の樹脂成分の重量 上記溶剤不溶率が50%未満では、本発明の半導電性部
材を、プリンター,複写機,FAXなどの電子写真装置
に装着される帯電ローラ,現像ローラ,転写ローラ,除
電ローラなどの半導電性ローラとして用いた場合に、O
PCなどの感光体接触部位に汚染が発生し、画像上に不
具合を生じる。なお、上記溶剤不溶率測定用の溶剤とし
ては、フッ素樹脂に対してはメチルエチルケトンなど
を、ポリアミド樹脂に対してはメタノールなどを、アク
リルウレタン樹脂に対してはメチルエチルケトン,トル
エンなどを、メラミン樹脂に対してはアセトン,イソプ
パノールなどを、また、シリコーン樹脂に対してはトル
エンなどを用いることが好ましい。
電剤を添加する弾性体としては、特に制限はないが、例
示すれば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴ
ム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエ
ンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イ
ソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレン
ゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを挙げ
ることができる。これらは、単独で用いてもよいし、二
種以上を組み合わせて用いてもよいが、特に、ウレタン
ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴムが好ま
しい。また、必要に応じてシリカ,炭酸カルシウムなど
の充填剤、可塑剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、老化防止
剤、着色剤などを適宜配合してもよい。なお、上記弾性
体は発泡体でもよく、この場合には、密度としては0.
05〜0.9g/cm3が適当である。また、上記予樹
脂をコーティングした導電剤を添加した弾性体の抵抗は
適宜選定されるが、102〜1014Ω・cm、特に、
102〜109Ω・cmの半導電性領域に調整するのが
好適である。この抵抗のバラツキの発生しやすい半導電
性領域においては、本発明の予め樹脂をコーティングし
た導電剤を添加することにより、半導電性弾性体の抵抗
のバラツキ、及び、抵抗の電圧依存性を効果的に低減す
ることができる。
面に設けられる外層を構成する材料は、特に限定されな
いが、上記表面の柔軟性、平滑性を付与し得るものが好
適に用いられる。具体的には、ポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ナイ
ロン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、
塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、な
どが挙げられる。更に、この樹脂層にも、必要に応じ
て、導電剤、架橋剤、増粘剤などの適宜な添加剤を適量
添加することができる。
ば、プリンター,複写機,FAXなどの電子写真装置に
用いられる帯電ローラ,現像ローラ,転写ローラ,トナ
ー供給ローラ,除電ローラなど部材に好適に用いられる
もので、具体的には、図3に示すように、感光ドラム
(OPCドラム)30に、本発明の半導電性弾性体であ
る帯電ローラ10を接触させつつ従動回転させるととも
に、電圧印加手段40により、上記感光ドラム30と帯
電ローラ10との間に、直流電圧、あるいは直流電圧に
交流電圧を重畳した電圧を印加して上記感光ドラム30
を帯電させるように構成されたプリンタの帯電装置を例
示することができる。本発明の半導電性弾性体は、抵抗
のバラツキが小さく、かつ安定した抵抗を有するだけで
なく、汚染問題も発生しにくいので、良好な画像を得る
ことができる電子写真装置を安定して供給することがで
きる。
し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定
されるものではない。 [実施例1]導電剤としてFTカーボン(旭カーボン
製)を用い、予めコーティングする樹脂として、アクリ
ルウレタン樹脂EAU65B(亜細亜工業製)/IPD
I系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業製)を
選択した。なお、EAU65BとエクセルハードナーH
Xとの比率は、固形分重量比で6対4となるように調整
して用いた。コーティング方法は、スパイラルフロー装
置(フロイント製)を用いて、FTカーボンを流動させ
た状態で、MEK溶剤中に上記アクリルウレタン樹脂と
架橋剤とを混合した溶液を霧状で吹き込み、上記FTカ
ーボンデン表面に上記樹脂をコーティングするととも
に、加温し、予め樹脂をコーティングしたFTカーボン
粒子を作製した。次に、この予め樹脂をコーティングし
たFTカーボンを用いて弾性体を作製した。弾性体は、
ポリエーテル系ポリオール:サニックスGR5000
(三洋化成製)を100g、MID系イソシアネート:
ルプラネートMB301(BASF製)を23g、整泡
剤SF2941F(東レダウコーニング製)を4g、上
記予め樹脂をコーティングしたCBを10g、混合機で
混合し、金属シャフトを配置した金型に注型し、90
℃,6時間で硬化させた後、研磨し、上記金属シャフト
の外周に、長さ2cm、肉厚0.6cmの導電性弾性体
を形成した弾性体ローラAを作製した。
ティングする樹脂を、ウレタン樹脂DP307(三洋化
成製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜
細亜工業製)とした以外は、上記実施例1と同様にし
て、弾性体ローラBを作製した。なお、DP307とエ
クセルハードナーHXとの比率は、固形分重量比で4.
5対1なるように調整して用いた。
ングの噴霧条件を調節し、コーティング樹脂の量を増量
した以外は、上記実施例1と同様にして、弾性体ローラ
Cを作製した。 [参考例2]上記実施例1において、予めコーティング
する樹脂を、電荷減衰の遅い樹脂であるエポキシ樹脂A
ER6071(旭化成製)/硬化剤スミキュアーM(住
友化学製)とした以外は、上記実施例1と同様にして、
帯電ローラDを作製した。 [参考例3]上記実施例1において、予めコーティング
する樹脂を、アクリルウレタン樹脂EAU65B(亜細
亜工業製)のみとした以外は、上記実施例1と同様にし
て、帯電ローラEを作製した。
ーボンを、樹脂コーティングをせずにそのまま用い、そ
れ以外については上記実施例1と同様にして帯電ローラ
Fを作製した。
及び比較例のそれぞれの弾性体ローラについて、各特性
を測定するとともに、上記弾性体をプリンタに搭載して
汚染テストを行った結果を図4の表に示す。なお、特性
の測定及びテスト結果については、以下の基準に従って
行った。 (1)予めコーティングする樹脂の帯電電位 帯電ローラと同じ径の金属製ローラの外周に、コーティ
ングする樹脂のみを厚さ5μmになるように被覆して被
検体ローラを作製した。この被検体ローラをQEA社製
CRT2000装置を用い、被検体ローラと1mmの間
隔をもって配置されたスコロトロン放電器に8kVの電
圧を印加してコロナ放電を発生させて、被検体ローラ表
面を帯電させ、0.3秒後における表面電位を測定し
た。測定は、常温常湿(20℃/50%RH)の雰囲気
下で実施した。 (2) コーティングされた樹脂量 予め樹脂をコーティングしたカーボンについて、TGA
装置を用いて、昇温速度20℃/min.で800℃ま
で昇温し、その重量変化により、コーティングされた樹
脂量を算出した。 (3) 溶剤不溶率 予め樹脂コーティングしたカーボンについて、MEK溶
液中に25℃で24時間浸漬した後、100℃で5時間
乾燥させ、乾燥後の重量を測定した。上記TGAからの
浸漬前の樹脂量、及び浸漬前後の重量変化により、以下
の式にしたがって溶剤不溶率を算出した。 溶剤不溶率(%)=(B/A)×100 ここで、Aは樹脂コーティングした導電剤中の樹脂成分
の溶剤浸漬前重量を示し、Bは良溶媒中に樹脂コーティ
ングした導電剤を、25℃,24hr浸漬した後の樹脂
成分の重量を示す。 (4) ローラ表面粗さ 作製した弾性体ローラ表面を、表面粗さ測定装置(東京
精密製サーフコム120A)を用い、十点平均粗さRz
を測定した。 (5) ローラ抵抗及び抵抗のバラツキ 作製した弾性体ローラと金属ドラムとを500g荷重で
圧接し、回転させた状態で、上記ローラと金属ドラム間
に500Vを印加して上記ローラの抵抗を測定した。ロ
ーラ抵抗は平均値を、ローラ抵抗のバラツキはローラ1
回転内における最大抵抗と最小抵抗との差とした。 (6) 汚染テスト 作製した弾性体ローラとOPCドラムとを1000kg
荷重で圧接し、40℃,85%RH環境下に10日間放
置した後、上記OPCドラムをプリンタ装置に装着し、
画像出しを10枚行い、この10枚のプリント時の画像
不良具合にて汚染状態を判断した。このとき、上記圧接
部位に相当する画像位置にライン状の不良が発生した場
合をNGと判定した。
果から明らかなように、本発明の実施例1,2の弾性体
ローラは、抵抗のバラツキが小さく、かつ安定した抵抗
を有し、プリンターに搭載した際にも汚染問題は発生し
なかった。これに対して、カーボンを樹脂コーティング
せずにそのまま用いた比較例では、抵抗値は調整できた
ものの、分散性が悪く、抵抗のバラツキも1桁以上大き
くなった。一方、上記実施例1のコーティング量を増加
させた参考例1と、コーティング樹脂に電荷減衰の遅い
樹脂を用いた参考例2では、抵抗のバラツキは小さいも
のの、抵抗が大幅に増加した。また、実施例1の架橋剤
を省略した参考例3では、抵抗と抵抗のバラツキは実施
例1と同程度であるが、汚染問題が発生した。
半導電性弾性体を作製する際に、弾性体に添加する導電
剤として、電荷減衰性の高い樹脂をコーティングした導
電剤を用いるようにしたので、抵抗のバラツキが小さ
く、かつ安定した抵抗を有する半導電性弾性体を得るこ
とができる。また、上記半導電性弾性体を、プリンタ
ー,複写機,FAXなどの電子写真装置に用いられる帯
電ローラ,現像ローラ,転写ローラ,トナー供給ロー
ラ,除電ローラなど部材として用いることにより、良好
な画像を安定して得ることができる電子写真装置を提供
することができる。
図である。
る。
成図である。
示す図である。
3 外層、20 計測ユニット、21 被検体ローラ、
22 シャフト、23 チャック、24 スコロトロン
放電器、25 表面電位計、30 感光ドラム、40
電圧印加手段。
1)
に関して、下記の関係式に示す、上記樹脂成分の溶剤不
溶率を50%以上、特に70%以上とすることが好まし
い。 溶剤不溶率(%)=(B/A)×100 但し、A;樹脂コーティングした導電剤中の樹脂成分の
溶剤浸漬前重量 B;樹脂コーティングした導電剤を、良溶媒中に、25
℃,24hr浸漬した後の樹脂成分の重量 上記溶剤不溶率が50%未満では、本発明の半導電性部
材を、プリンター,複写機,FAXなどの電子写真装置
に装着される帯電ローラ,現像ローラ,転写ローラ,除
電ローラなどの半導電性ローラとして用いた場合に、O
PCなどの感光体接触部位に汚染が発生し、画像上に不
具合を生じる。なお、上記溶剤不溶率測定用の溶剤とし
ては、フッ素樹脂に対してはメチルエチルケトンなど
を、ポリアミド樹脂に対してはメタノールなどを、アク
リルウレタン樹脂に対してはメチルエチルケトン,トル
エンなどを、メラミン樹脂に対してはアセトン,イソプ
ロパノールなどを、また、シリコーン樹脂に対してはト
ルエンなどを用いることが好ましい。
し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定
されるものではない。 [実施例1]導電剤としてFTカーボン(旭カーボン
製)を用い、予めコーティングする樹脂として、アクリ
ルウレタン樹脂EAU65B(亜細亜工業製)/IPD
I系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業製)を
選択した。なお、EAU65BとエクセルハードナーH
Xとの比率は、固形分重量比で6対4となるように調整
して用いた。コーティング方法は、スパイラフロー装置
(フロイント製)を用いて、FTカーボンを流動させた
状態で、MEK溶剤中に上記アクリルウレタン樹脂と架
橋剤とを混合した溶液を霧状で吹き込み、上記FTカー
ボンデン表面に上記樹脂をコーティングするとともに、
加温し、予め樹脂をコーティングしたFTカーボン粒子
を作製した。次に、この予め樹脂をコーティングしたF
Tカーボンを用いて弾性体を作製した。弾性体は、ポリ
エーテル系ポリオール:サニックスGR5000(三洋
化成製)を100g、MID系イソシアネート:ルプラ
ネートMB301(BASF製)を23g、整泡剤SF
2941F(東レダウコーニング製)を4g、上記予め
樹脂をコーティングしたCBを10g、混合機で混合
し、金属シャフトを配置した金型に注型し、90℃,6
時間で硬化させた後、研磨し、上記金属シャフトの外周
に、長さ2cm、肉厚0.6cmの導電性弾性体を形成
した弾性体ローラAを作製した。
Claims (7)
- 【請求項1】 弾性体から成る基材に導電剤を添加した
半導電性弾性体において、上記導電剤に予め電荷減衰性
の高い樹脂をコーティングしたことを特徴とする半導電
性弾性体。 - 【請求項2】 上記樹脂のコーティング量を、上記導電
剤に対して、0.01〜50wt%としたことを特徴と
する請求項1に記載の半導電性弾性体。 - 【請求項3】 上記樹脂を、樹脂表面と1mmの間隔を
もって配置されたコロナ放電器に、8kVの電圧を印加
してコロナ放電を発生させて上記樹脂表面を帯電させた
場合に、0.3秒後における表面電位の最大値が300
V以下になるような樹脂としたことを特徴とする請求項
1または請求項2に記載の半導電性弾性体。 - 【請求項4】 上記導電剤を、カーボン,金属粉,金属
酸化物の少なくとも1つあるいはこれらの混合物とした
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載
の半導電性弾性体。 - 【請求項5】 上記樹脂をコーティングした導電剤にお
いて、下記の関係式に示す、上記樹脂成分の溶剤不溶率
を50%以上としたことを特徴とする請求項1〜請求項
4のいずれかに記載の半導電性弾性体。 溶剤不溶率(%)=(B/A)×100 但し、A;樹脂コーティングした導電剤中の樹脂成分の
溶剤浸漬前重量 B;樹脂コーティングした導電剤を、良溶媒中に、25
℃,24hr浸漬した後の樹脂成分の重量 - 【請求項6】 上記弾性体をウレタン、シリコーン、ゴ
ムのいずれか1つ、または、これらを2種以上混合した
材料から構成するとともに、上記弾性体の形状をロール
状としたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれ
かに記載の半導電性弾性体。 - 【請求項7】 上記請求項1〜請求項6のいずれかに記
載の半導電性弾性体を備えたことを特徴とする電子写真
装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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