JPH0995625A - 絶縁性ブラックマトリックス用カーボンブラック - Google Patents
絶縁性ブラックマトリックス用カーボンブラックInfo
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Abstract
いブラックマトリックスを提供しうる絶縁性ブラックマ
トリックス用カーボンブラックを得る。 【解決手段】 カーボンブラックを樹脂で被覆処理して
なる絶縁性ブラックマトリックス用カーボンブラック。
Description
トリックス用カーボンブラックに関し、さらに詳しくは
たとえばカラーテレビ、液晶カラーテレビ、カメラ等に
使用される光学的カラーフィルターに用いる絶縁性ブラ
ックマトリックス用のカーボンブラックに関する。
ス等の透明な基板を1ないし10μm程度に間隔を設け
てその間に液晶物質を封入し、電極間に印加した電圧に
よって液晶を一定の方向に配向させて透明部分と不透明
部分を形成して画像を表示している。カラー液晶表示装
置は、いずれかの透明電極基板上に光の三原色に対応す
る赤(R)、緑(G)、青(B)の三色のカラーフィル
ターを設けており、透明電極への印加電圧の調整によっ
て液晶の光の透過を制御してR,G,Bの3色のフィル
ターを透過する光量を制御して三原色の加色による発色
によってカラー表示を行っている。
間を区画するブラックマトリックスの膜を設けた基板上
に形成する方式や、R,G,Bを形成後ブラックマトリ
ックス膜を設ける方法等種々あるが、ブラックマトリッ
クスの役割としては、いずれもR,G,B三原色を区画
すると共に、カラーフィルターに対向する基板上に設け
た液晶の駆動用の電極あるいはTFT(薄膜トランジス
タ)等のトランジスタを遮光する作用を果している。こ
のような目的で使用されるカラーフィルターのブラック
マトリックスは二つに大別することができる。
たCr等の金属膜からなるブラックマトリックス:解像
度、および遮光率が高く、光学濃度(OD)3.0以上
が膜厚0.1μm近辺で容易に得られるが、金属膜のた
め可視光の反射率が約40%と高く、外光の反射による
表示画像のコントラスト低下や、周囲にある明るい物体
がブラックマトリックス面で反射して表示画像に重な
る、いわゆる写り込みが生じ画質の低下を来たしやす
い。また、Cr膜のスパッタ、フォトリソグラフィー加
工と工程が長いので低コスト化が困難であるという難点
もある。
ォトリソグラフィー法、印刷法、あるいはフォトエッチ
ング法でパターニングするか、または、感光性樹脂膜を
パターニングした後、黒色染料で染色して得られる黒色
有機樹脂膜からなるブラックマトリックス、黒色である
ため可視光の反射率が数%以下と低く、外光の反射によ
る表示画像のコントラスト低下や、周囲にある明るい物
体の写り込みが金属膜ブラックマトリックスに比べ大幅
に減少し、画質が向上する。しかし、遮光率が低いとい
う難点がある。すなわち、フォトリソグラフィー法では
遮光率を上げると、基板との界面に到達する露光光量が
減少するため、高遮光率とすると(例えば光学濃度3.
0では基板に到達する透過光量は1/1000)、現像
時に有機樹脂膜のパターン剥がれが生じ、ブラックマト
リックスが形成できなくなる。これを避けるため露光量
を増やすと、パターン寸法の太りが生じ、所定の解像度
が実現できなくなりやすい。また、印刷法やフォトエッ
チング法ではフォトリソグラフィー法に比べ制約はやや
ゆるいが、黒色着色材の含有量に限界があるので、高遮
光率とすると印刷時の膜厚が大となり(例えば膜厚1.
0μmで光学濃度2.0の場合、光学濃度を3.0に上
げると膜厚は3.3μmになる)、本質的にフォトリソ
グラフィー法に比べて劣る解像度が、さらに大幅に低下
し、実質的にブラックマトリックスが形成できなくなる
おそれがある。
トリックスは、金属膜からなるブラックマトリックスに
比べ光学濃度2.0〜2.5において膜厚が1〜2μm
と厚いが、膜厚1.5μmを超えると、その上にカラー
フィルターや保護膜および透明電極を形成して完成した
基板の表面平坦度が0.5μmを超えるようになり、対
向電極基板と組み合せて液晶表示パネルとした場合、色
むら、白しみ、輝度むら等が発生し、表示画質が低下す
る。したがって、ブラックマトリックスの膜厚は1μm
以下好ましくは0.5μm以下とすることが極めて重要
である。
て、例えば、特開平4−130401号公報には、透明
基板上に導電性遮光パターン層、透明絶縁層、カラーフ
ィルターパターン層、透明保護膜層、透明導電性パター
ン層を順次形成した電極付カラーフィルターが記載され
ている。ここで、透明保護膜や透明絶縁層は、透明電極
の表面平滑性を向上させることと、カラーフィルターの
耐溶媒性の向上、更には、導電性遮光層(ブラックマト
リックス)と透明導電性層(透明電極)との電気的絶縁
を目的とし形成されている。
示装置)の低コスト化や更なる薄膜化を目的に透明保護
膜や透明絶縁膜を除去し、カラーフィルターやブラック
マトリックス自体で使用可能な平滑性と絶縁性を持たせ
ようとの研究が活発である。しかしながら、特に絶縁性
に関しては、ブラックマトリックスの主成分としてクロ
ムや酸化クロム等の金属膜並びにカーボンブラックやグ
ラファイト等の炭素粉等いずれも導電性素材を用いてい
るため極めて困難であり、新規の素材が望まれていた。
観点に基づいて、従来法では実現できなかった、薄膜で
高遮光率を示しかつ表面反射率も低い黒色遮光膜からな
るブラックマトリックスを有するカラーフィルターに好
適なカーボンブラックを提供するとともに併せて透明保
護膜や透明絶縁膜の機能まで有する絶縁性ブラックマト
リックス用カーボンブラックを低コストで提供すること
を目的とする。
ックを樹脂で被覆処理してなる絶縁性ブラックマトリッ
クス用カーボンブラックを要旨とする。
処理するカーボンブラックとしては次のようなカーボン
ブラックが用いられる。 (i)全酸量が15mg/g以上でかつ全酸素量/比表
面積が0.10以上であることが必要である。カーボン
ブラックの粒子表面には、水素基(−OH)やカルボニ
ル基
能基が存在し、これの量により樹脂等に配合した場合の
抵抗が大幅に変化する。通常酸素官能基は、揮発分組成
で測定し、水酸基やカルボニル基の量はCOまたはカル
ボキシル基の量はCO2 として定量できる。全酸素量
は、COおよびCO2 から換算した量であり、この全酸
素量を15mg/g以上とすることが必要であり、好ま
しくは20mg/g以上とすることである。また比表面
積で除した単位表面積当りの酸素量の値が0.10以上
であることが必要である。好ましいのは0.15以上に
することである。
ボンブラックを耐熱性の試料管に入れ、10-2mmHg
まで減圧した後、950℃に加熱した電気炉に装着し、
30分間揮発分を脱離した。これを全量タンクに集め混
合した後、ガスクロマトグラフィーによってガスの組成
および量を測定しCO2 /CO比(重量比)および全酸
素量/比表面積を算出する。
のである。即ち、低温窒素吸着装置「ソープトマチック
1800」(イタリヤ、カルロ・エルバ社製)を用い低
温窒素吸着法によりカーボンブラックの窒素吸着量を測
定し、これからBETの式を用い多点法により算出した
ものである。
吸収量が140ml/100g以下、粒子径が10〜3
5nmのカーボンブラックが好ましい。灰分の組成は、
Na,K,Ca等のアルカリ金属やアルカリ土類金属等
であり、これらを含有したカーボンブラックを樹脂等に
配合すると絶縁性が低下する。これは、NaやK,Ca
等のイオン性導電性物質が吸水性大であるため、カーボ
ンブラック−樹脂複合体の吸収性が増大し、その結果絶
縁性が低下するものと考えられる。
は、カーボンブラック製造時の原料油の吟味、急冷時に
使用するスプレー水の吟味、添加物の吟味などにより達
成される。また製造炉から製出したカーボンブラックを
水洗或いは酸洗いすることによっても達成される。更に
上記製造時の原料、スプレー水、添加物等の吟味と、水
洗、酸洗い等とを組合わせることによっても達成でき
る。カーボンブラック中に存在するイオン性導電物質の
含量は、そのカーボンブラックを750℃において空気
中で4〜6時間焼成したときに残る灰分量で表わされ、
本発明配合物のカーボンブラックの灰分量は1.0重量
%以下であることが好ましく、さらに好ましいのは0.
5重量%以下である。
たDBP吸収量が140ml/100gを越えると、カ
ーボンブラック自体の黒色度が低下しブラックマトリッ
クス用樹脂ワニスに配合し塗布した場合の濃度感が十分
でないだけでなくペーストの粘度も高くなり、平滑性の
良い塗膜が得られなくなるおそれがある。DBP吸収量
としては、140ml/100g以下であることが好適
であり、さらに好ましくは120ml/100g以下で
ある。
は10〜35nmであることが好適であり、10nm未
満の場合には、分散性の点で好ましくなく、一方35n
mを超えると、光学濃度の高いブラックマトリックスを
得にくくなるので好ましくない。被覆処理する樹脂の種
類も特に限定されるものではないが、合成樹脂が一般的
であり、さらに構造の中にベンゼン核を有した樹脂の方
が両性系活面活性剤的な働きがより強いため分散性及び
分散安定性の点から好ましい。
脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート
樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼ
ン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリス
ルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリ
アミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミ
ド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、
ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、等の熱
可塑性樹脂が使用できる。
は、カーボンブラックと樹脂の合計量に対し1〜30w
t%が好ましく、1wt%未満の量では、未処理のカー
ボンブラックと同様の分散性や分散安定性しか得られな
いおそれがある。一方、30wt%を超えると、樹脂同
士の粘着性が強く、団子状の固まりとなり、分散が進ま
なくなるおそれがある。
ーボンブラックは、常法に従い絶縁性ブラックマトリッ
クスの遮光材として用いることができ、この絶縁性ブラ
ックマトリックスを構成要素とするカラーフィルターを
常法により作成することができる。本発明のカーボンブ
ラックを用いると、高遮光率でかつ表面反射率が低くま
た膜厚小の絶縁性ブラックマトリックスが低コストで達
成できる。絶縁性ブラックマトリックス液を構成する樹
脂や溶媒に対し、カーボンブラックの分散性や分散安定
性が格段に向上したためと推測される(従来のカーボン
ブラックであると、いかに混練しても0.1μm以下ま
で分散することは困難であり、分散したとしても安定性
が悪く、時間とともに凝集が大きくなる。)。
電性ポリマーの研究と応用」)によると、電気が流れる
際に必要な電荷の移動は、充填剤の粒子で構成される鎖
の表面及び熱輻射熱を利用した粒子内部を中心に行なわ
れると共に、印加電圧、温度等の条件によっては、電位
障壁(ポテンシャルバリヤー)を越えての電子のジャン
プいわゆるトンネル効果で行なわれると考えられてい
る。本発明によれば好適には、表面官能基の多いカーボ
ンブラックを用い更に表面を高絶縁性樹脂で被覆したこ
とにより、CaやNa等のイオン性物質を封じ込める働
きと共に、導体同士の接触を絶縁したこと、更に、被覆
膜により電子のジャンプが不可能になったこと等によ
り、高絶縁性が達成されたものと推測される。
明する。 〔実施例−1〕カーボンブラックは、通常のオイルファ
ーネス法で製造した。但し、原料油としては、Na、C
a、S分量の少ないエチレンボトム油を用い、燃焼用に
はコークス炉ガスを用いた。更に、反応停止水として
は、イオン交換樹脂で処理した純水を用い製造した。
原料油の量と添加助剤量等を変更することにより作り分
けした。また、A、B、Cのカーボンブラックは、カー
ボンブラックD50gを内径10cm、長さ15cmの
円筒形キルンに入れ、9rpmで回転させつつ空気とオ
ゾンの混合ガス(オゾン6000ppm)にAは4時
間、Bは3時間、Cは2時間接触させることにより処理
した。
水14500gと共にホモミキサーを用い6,000r
pmで30分撹拌しスラリーを得た。このスラリーをス
クリュー型撹拌機付容器に移し約1,000rpmで混
合しながらエポキシ樹脂「エピコート828」60gを
溶解したトルエン600gを少量ずつ添加していった。
約15分で、水に分散していたカーボンブラックは全量
トルエン側に移行し約1mmの粒となった。
後、真空乾燥機に入れ70℃で7時間乾燥し、トルエン
と水を完全に除去した。得られたカーボンブラック中の
残存トルエン量は110ppm、水は、500ppmで
あった。このカーボンブラックは、樹脂と溶剤、必要に
応じ分散剤を加え、ボールミル等で微細化しブラックマ
トリックス評価用ペーストを作成した。
ルカリ可溶性高分子化合物(アトケミ(株)製、「SM
A−17352」)37.8%とエチルセロソルブアセ
テート54.1%を混合したワニス中に上記カーボンブ
ラック8.1%を加え1mm径のガラスビーズを入れた
サンドミルを用い、2,000rpmで10時間混合分
散させペーストを作成した。得られたペーストは、中性
洗剤と水、アルコールで洗浄した透明ガラス板上にスピ
ンコーターを用い、2,000rpmで塗布し常温で3
0分セッティングした後120℃で10分間乾燥した。
乾燥後の塗膜厚さは、1.0μmであった。
られた塗膜の評価結果は、表−1と表−2に示した通り
である。表中のOD(光学的濃度)値は、マクベス反射
濃度計「RD−914」(サカタインクス社販売)を用
い測定した。また、粉体抵抗は、前述のペーストを15
0℃加熱減量が1.0%以下となるまで120℃で乾燥
し、ジューサーミキサーで1分間粉砕した後、直径20
mm、内容積110mlの「ポリ四フッ化エチレン製容
器(上下に金属電極有り)にサンプル2.0gを入れ5
0kg/cm2 の圧力でプレスした状態の抵抗値であ
る。カーボンブラック中の灰分の定量は、2.0gのカ
ーボンブラックを750℃、空気雰囲気で焼成、灰化し
て測定した。
ラス板上に約0.5mmの厚さに塗布、乾燥した塗膜を
エポキシ樹脂で包理した後、ウルトラミクロトームで約
800Åの切片を切り出し、電子顕微鏡(5000倍)
で観察した。評価は、肉眼で 殆ど0.1μm以下の凝集塊……◎ 殆ど0.1〜1μmの凝集塊……○ 殆ど1μm以上の凝集塊…………△ の3レベルに分類した。
するエポキシ樹脂の被覆量を5wt%と20wt%とし
た以外実施例1と同様である。 〔実施例4、5及び6〕カーボンブラックの種類を表1
のB、Cとした以外実施例1と同じである。
いカーボンブラックAを用いた以外実施例1と同じであ
る。 〔比較例2及び3〕実施例1のカーボンブラックAのか
わりに、D及びEを用いた以外実施例1と同じである。
遮光率で、表面反射率が低く、膜厚の小さいブラックマ
トリックスを低コストで達成しうるとともに、透明保護
膜や透明絶縁膜の不要なブラックマトリックスを達成し
うる。
Claims (5)
- 【請求項1】 全酸素量が15mg/g以上、全酸素量
/比表面積が0.10mg/m2 以上であるカーボンブ
ラックを樹脂で被覆処理してなる絶縁性ブラックマトリ
ックス用カーボンブラック。 - 【請求項2】 カーボンブラックの灰分が1.0重量%
以下、DBP吸収量が140ml/100g以下、粒子
径が10〜35nmである請求項1記載の絶縁性ブラッ
クマトリックス用カーボンブラック。 - 【請求項3】 樹脂が、構造の中にベンゼン核を有して
いる請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁性ブラックマ
トリックス用カーボンブラック。 - 【請求項4】 樹脂の被覆量が、カーボンブラックと樹
脂の合計量に対し1〜30wt%である請求項1〜3の
いずれかに記載の絶縁性ブラックマトリックス用カーボ
ンブラック。 - 【請求項5】 絶縁性ブラックマトリックスを有するカ
ラーフィルターにおいて、全酸素量が15mg/g以
上、全酸素量/比表面積が0.10mg/m2以上であ
るカーボンブラックを樹脂で被覆したカーボンブラック
を遮光材とした絶縁性ブラックマトリックスを用いてな
るカラーフィルター。
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