JP2002361661A - 配線基板用多孔質膜の製造方法 - Google Patents

配線基板用多孔質膜の製造方法

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JP2002361661A
JP2002361661A JP2001169254A JP2001169254A JP2002361661A JP 2002361661 A JP2002361661 A JP 2002361661A JP 2001169254 A JP2001169254 A JP 2001169254A JP 2001169254 A JP2001169254 A JP 2001169254A JP 2002361661 A JP2002361661 A JP 2002361661A
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porous film
polyamic acid
film
solution
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Shinji Tawara
伸治 田原
Toshiyuki Kawashima
敏行 川島
Kenichi Ikeda
健一 池田
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の湿式凝固法により得られるポリイミド
多孔質膜より、誘電正接を低減でき、しかも機械的強度
も向上させることができる配線基板用多孔質膜の製造方
法、及びその製造方法により得られる配線基板用多孔質
膜を提供する。 【解決手段】 ポリアミド酸を含有する溶液を用いて湿
式凝固法により多孔質膜を製膜する製膜工程と、得られ
た多孔質膜を水洗する水洗工程と、得られた多孔質膜の
イミド転化を行うイミド化工程とを含む配線基板用多孔
質膜の製造方法において、前記ポリアミド酸として、G
PC測定による重量平均分子量が8000以上のものを
使用すると共に、GPC測定によるポリアミド酸の重量
平均分子量が8000未満に低下する前に前記イミド化
工程を開始する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿式凝固法により
ポリアミド酸の多孔質膜を製膜した後、多孔質膜のイミ
ド転化を行う工程を含む配線基板用多孔質膜の製造方
法、及びその製造方法により得られる配線基板用多孔質
膜に関し、特に高周波用配線基板の絶縁層を構成する多
孔質膜として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年の情報・通信機器における情報処理
の高速化や通信電波の高周波数化などに伴い、電子部品
等を実装する配線基板にも、高周波に対応できる性能が
要求されている。例えば、配線基板の絶縁層には、優れ
た高周波伝送特性と低クロストーク特性を発現すべく、
高周波における誘電率及び誘電正接が小さいことなどが
要求される。
【0003】すなわち、配線基板の回路内では誘電損失
といわれる伝送過程におけるエネルギー損失が生じ、こ
の誘電損失は、信号の周波数fと比誘電率εと材料の誘
電正接tanδの積に比例する。このため周波数fが大
きい高周波用の配線基板では、特に比誘電率εと誘電正
接tanδとが小さい材料が要求される。また、信号の
伝送速度は比誘電率εの1/2乗に逆比例するため、こ
の点からも高周波用途では、比誘電率εの小さいものが
望まれる。
【0004】このような低誘電率、低誘電正接の絶縁層
を形成する方法として、樹脂材料自体が低い誘電率等を
有するものを使用する方法が従来は一般的であった。こ
のような低誘電率の樹脂材料としては、例えば、ポリテ
トラフルオロエチレンなどの含フッ素高分子やポリイミ
ド樹脂などが知られている。
【0005】一方、材料樹脂自体の誘電率より更に低い
誘電率の絶縁層を形成する方法として、絶縁層を多孔質
構造とする技術も存在する。例えば特開2000−31
9442号公報には、微細な連続孔を有する多孔質構造
を持ち、空孔率が15〜80%である高耐熱性樹脂フィ
ルムからなる多孔質絶縁材料が開示され、特に湿式凝固
法によりポリアミド酸の多孔質膜を製膜した後、多孔質
膜のイミド転化を行って得られたポリイミド多孔質膜
が、具体的な例として記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの検討によると、ポリアミド酸の多孔質膜のイミド
転化を適切な時期に行わないと、あるいはイミド転化さ
せる際にポリアミド酸が十分な分子量を維持していない
と、イミド転化後の多孔質膜の誘電正接が増大し、機械
的強度も低下することが判明した。従って、上記公報に
記載のポリイミド多孔質膜についても、改善の余地があ
ることが分かった。
【0007】そこで、本発明の目的は、従来の湿式凝固
法により得られるポリイミド多孔質膜より、誘電正接を
低減でき、しかも機械的強度も向上させることができる
配線基板用多孔質膜の製造方法、及びその製造方法によ
り得られる配線基板用多孔質膜を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究したところ、湿式凝固法によりポ
リイミド多孔質膜を製造する過程の水洗工程等で、ポリ
アミド酸の低分子量化が生じており、これを防止して適
切な分子量の多孔質膜をイミド転化させることで上記目
的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】即ち、本発明の配線基板用多孔質膜の製造
方法は、ポリアミド酸を含有する溶液を用いて湿式凝固
法により多孔質膜を製膜する製膜工程と、得られた多孔
質膜を水洗する水洗工程と、得られた多孔質膜のイミド
転化を行うイミド化工程とを含む配線基板用多孔質膜の
製造方法において、前記ポリアミド酸として、GPC測
定による重量平均分子量が8000以上のものを使用す
ると共に、GPC測定によるポリアミド酸の重量平均分
子量が8000未満に低下する前に前記イミド化工程を
開始することを特徴とする。ここで、GPC測定による
重量平均分子量は、具体的には実施例における測定方法
により測定される値である。
【0010】上記において、前記製膜工程で使用する凝
固液が、水を50重量%以上含有するものであることが
好ましい。
【0011】また、前記製膜工程が、凝固液に浸漬前の
溶液に水分を吸湿させて前記溶液を凝固又は部分凝固さ
せた後に、凝固液に浸漬するものであることが好まし
い。
【0012】一方、本発明の配線基板用多孔質膜は、G
PC測定による重量平均分子量が8000以上のポリア
ミド酸がイミド転化してなるポリイミド樹脂からなり、
10GHzにおける誘電正接(tanδ)が0.004
5以下であることを特徴とする。
【0013】[作用効果]本発明の製造方法によると、
ポリアミド酸の分子量の低下が起こり易い水洗工程を含
むプロセスにおいて、ポリアミド酸の重量平均分子量が
8000未満に低下する前にイミド化工程を開始するた
め、実施例の結果が示すように、従来法と比較して誘電
正接を低減でき、しかも機械的強度も向上させることが
できる。その結果、高周波特性に優れた配線基板の絶縁
層を形成することができる。
【0014】前記製膜工程で使用する凝固液が、水を5
0重量%以上含有する場合、凝固時から水分が存在する
ため、更にポリアミド酸の分子量の低下が起こり易いと
ころ、本発明の製造方法によって、より確実に誘電正接
の低減と機械的強度の向上とが可能になる。
【0015】前記製膜工程が、凝固液に浸漬前の溶液に
水分を吸湿させて前記溶液を凝固又は部分凝固させた後
に、凝固液に浸漬するものである場合、吸湿によって気
相から徐々に水分を与えて凝固させるため、多孔質膜の
表面付近の空孔率が大きくなり、膜全体の空孔率も高め
られ、誘電率をより低減させることができる。本発明
は、このような吸湿した水分によるポリアミド酸の分子
量の低下に対しても有効である。
【0016】一方、本発明の配線基板用多孔質膜による
と、重量平均分子量が8000以上のポリアミド酸がイ
ミド転化してなるポリイミド樹脂からなるため、膜の機
械的強度が高く、同じ強度のものが高い空孔率で得られ
るので、誘電率をより小さくすることができる。また、
10GHzにおける誘電正接(tanδ)が0.004
5以下であるため、低誘電率とあいまって高周波特性に
優れた配線基板の絶縁層を形成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の製造方法は、前記のような製膜工
程、水洗工程、及びイミド化工程を含むものである。本
発明における製膜工程は、ポリアミド酸(ポリアミック
酸)を含有する溶液を用いて湿式凝固法により多孔質膜
を製膜する工程であり、ポリアミド酸としては、GPC
測定による重量平均分子量が8000以上のものを使用
する。但し、水洗工程等における若干の低分子量化は避
けられないので、重量平均分子量を10000以上とす
るのが好ましい。重量平均分子量の上限は、製膜溶液の
高粘度化による塗布性、ワニス状態のポリマー濃度を考
慮して、60000以下が好ましい。
【0018】ポリアミド酸を製膜溶液に使用する場合、
ポリイミドと比較して溶解性が高いために、分子構造上
の制約が少ないという利点がある。このため、ポリアミ
ド酸を構成する酸成分及びアミン成分としては、下記の
ようなものが使用できる。また、熱イミド化ではカルボ
ン酸の状態でも使用できる。
【0019】酸成分であるテトラカルボン酸二無水物の
具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカル
ボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,
4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレ
ンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸
無水物等が挙げられる。
【0020】一方、ジアミンの例としては、4,4’−
ジアミノジフェニルエーテル(DDE)、4,4’−ジ
アミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニ
ルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4−ジ
アミノジフェニルスルフィド−3,3’−ジアミノジフ
ェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フ
ェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン(PD
A)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジア
ミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、
3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノ
フェニルスルホン、4,4’−ジアミノフェニルスルホ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,
4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β
−アミノ−第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミ
ノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メ
チル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−
(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼ
ン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミ
ン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミ
ン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメ
チレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチ
レンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジ
アミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチル
ヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチ
レンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−
ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチル
プロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジア
ミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,
5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチ
ルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレン
ジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11
−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカ
ン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジア
ミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノ
オクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン H2 N(CH23 O(CH22 O(CH2 )NH
2 、H2 N(CH23 S(CH23 NH2 、H2
(CH23 N(CH32 (CH23 NH2 、等が
挙げられる。
【0021】以上の酸成分及びアミン成分は、予め重合
してポリアミド酸にしたものを溶媒に溶解させて製膜溶
液としてもよく、また、両者を溶液重合して得られる溶
液に添加剤等を加えた製膜溶液として使用してもよい。
なお、溶液重合の際にはできるだけ水分のない条件で重
合を行うのが好ましい。
【0022】ポリアミド酸としては、上記の如き成分の
酸残基とアミン残基とがアミド結合した繰り返し単位を
主体とするするものであればよく、他の共重合成分やブ
レンド成分を含むものでもよい。また、製膜溶液中のポ
リアミド酸は、溶解性を損なわない範囲で、その一部が
イミド化していてもよい。上記の成分のうち、得られる
ポリイミドの耐熱性、低線膨張係数、低吸湿率の点か
ら、主鎖に芳香族基を有するポリアミド酸が好ましく、
テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の重合物か
らなるポリアミド酸を挙げることができる。
【0023】湿式凝固法では、一般的に、溶剤に樹脂と
添加剤等を溶解した製膜溶液(ドープ)を調製し、これ
を基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に浸漬して
溶剤置換させることで樹脂を凝固(ゲル化)させ、水洗
等により更に溶剤等を除去した後、凝固液等を乾燥除去
するなどして多孔質膜を得る。
【0024】ポリアミド酸の溶剤としては、溶解可能な
ものであれば特に限定されないが、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロ
トン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換
スピードの点で好ましく使用できる。好ましい例とし
て、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができ
る。また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリ
コールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエ
チルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジ
エトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等の溶剤を
混合して、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0025】本発明におけるドープは、好ましくは−2
0〜80℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液とし
ては用いるポリアミド酸を溶解せずに、上記溶剤と相溶
性を有するものであれば、限定されないが、水やメタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコ
ール類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に
用いられる。本発明は、特に凝固液が水を50重量%以
上含有する場合に有効である。浸漬時の凝固液の温度は
特に限定されないが、好ましくは0〜80℃の温度であ
る。
【0026】製膜溶液のポリアミド酸の濃度は、5重量
%から25重量%の範囲が好ましく、7重量%から20
重量%がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高く
なりすぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると
多孔質膜が形成しにくくなる傾向がある。
【0027】孔径形状や孔径コントロールのために硝酸
リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのよう
な有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液
中に1重量%から10重量%まで添加するのが好まし
い。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速
度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造
(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニ
ルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を
加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得
ることができる。
【0028】製膜溶液をガラス板のような無孔質の基材
上に一定の厚みに塗布し、水中に浸積して凝固させた
り、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水中に浸積
するなどして、脱溶剤された多孔質膜を得る。無孔質の
基材としてはガラス板やステンレス板などの無機物の
他、ポリエステルやポリエチレンのシートのような高分
子フィルムも使用できる。塗布面にコロナ処理などの表
面処理がしてあると作業性の面で有利である。
【0029】本発明では、凝固液に浸漬前の溶液に水分
を吸湿させて溶液を凝固又は部分凝固させた後に、凝固
液に浸漬することにより、気相から徐々に水分を与えて
凝固させ、多孔質膜の表面付近の空孔率が高めたり、表
面の平均孔径を大きくすることが可能である。このよう
な凝固速度を制御する方法としては、特開2000−3
19442号公報に記載のように溶媒置換速度調整材を
用いる方法も採用できる。
【0030】吸湿の条件としては、例えば相対湿度70
〜100%、温度25〜45℃の雰囲気に、製膜溶液を
20秒〜2分間接触させればよい。
【0031】製膜溶液を塗布する厚さは特に限定されな
いが、あまりフィルム厚みが厚すぎると脱溶剤に時間が
かかることなどの問題が発生する。また、最近の多層配
線基板では薄くて軽くさらに機械強度のある物が望まれ
るため、絶縁層を形成する多孔質膜厚さとしては150
μm以下から2μmが望ましい。好ましくは90μmか
ら5μmである。
【0032】本発明における水洗工程は、得られた多孔
質膜を水洗する工程である。水洗工程は、凝固液への浸
漬(凝固過程)に引き続いて行ってもよく、別途行って
もよい。本発明における水洗工程は水を利用して溶剤等
を除去するものであり、水洗液には水を90重量%以上
含有するのが好ましい。任意に含有される成分として
は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド等の極性溶媒、メタノール、イソプロピルア
ルコール等のアルコール等が挙げられる。
【0033】水洗時間としては、溶剤等の除去効果を維
持しながら、ポリアミド酸の低分子量化を防止する観点
から、製膜溶液を凝固液に浸漬した時点(凝固開始時
点)から1秒乃至12時間までの時間とするのが好まし
い(これが水との接触時間に相当する)。なお、水洗温
度としては、20〜70℃が好ましい。
【0034】水洗後、多孔質膜を取り出した後、必要に
応じて乾燥が行われるが、しわの寄らないように乾燥す
るのが好ましい。しわができるのは、部分的に収縮率が
異なるためであり、しわがよらない乾燥方法としては、
多孔質膜の両端にテンションをかけた状態で乾燥する方
法やスペーサーの上に多孔質膜をのせ、片面より真空に
引きながら乾燥させる方法などが好ましい。乾燥の温度
は多孔質膜の細孔が閉塞しなければ特に制限されない
が、取り扱いの面から200℃以下での乾燥が望まし
い。乾燥に引き続いて、或いは乾燥と同時に後述するイ
ミド化を行ってもよい。
【0035】本発明におけるイミド化工程は、水洗後又
は乾燥後の多孔質膜のイミド転化を行うものであり、G
PC測定によるポリアミド酸の重量平均分子量が800
0未満に低下する前にイミド化工程を開始する。但し、
イミド転化後の多孔質膜の誘電正接や機械的強度の改善
する観点から、好ましくは重量平均分子量が10000
未満に低下する前にイミド化工程を開始する。
【0036】この点以外については、本発明におけるイ
ミド転化は、従来と同じ条件が採用でき、例えば加熱装
置内で300〜500℃で1〜3時間保持するなどすれ
ばよい。また、閉環水を好適に除去する上で、熱風循環
し、窒素雰囲気とするのが好ましい。
【0037】以上のようにして得られる配線基板用多孔
質膜は、表面の平均孔径が0.01〜2μm、断面の平
均孔径が0.2〜20μmが好ましく、また、空孔率が
30〜80%が好ましい。
【0038】本発明の配線基板用多孔質膜は、本発明の
製造方法によって好適に得られるものであり、GPC測
定による重量平均分子量が8000以上のポリアミド酸
がイミド転化してなるポリイミド樹脂からなり、10G
Hzにおける誘電正接(tanδ)が0.0045以下
である。配線基板用の多孔質膜としてより好ましいの
は、重量平均分子量が10000以上のポリアミド酸が
イミド転化してなる、誘電正接(tanδ)が0.00
4以下のものである。
【0039】本発明の配線基板用多孔質膜は、そのまま
配線基板の多孔質絶縁層として使用するのが好ましい
が、一旦、熱硬化性樹脂の半硬化物を含浸させたプリプ
レグとして、配線基板の製造に使用してもよい。プリプ
レグとして本発明の多孔質膜を使用する場合でも、材料
自体が改善されているため、誘電正接を低減でき、機械
的強度も向上させることができる。一旦、プリプレグと
する場合、表面の平均孔径が0.1〜1μm、断面の平
均孔径が0.1〜1μmが好ましく、また、空孔率が3
0〜60%が好ましい。
【0040】プリプレグは、本発明の多孔質膜と、その
孔内に含浸された熱硬化性樹脂の半硬化物を含むもので
ある。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられる
が、エポキシ樹脂が価格や取扱い易さの点から好まし
い。熱硬化性樹脂の半硬化物には、触媒、硬化剤、難燃
剤、充填剤、可塑剤、促進剤等を含有してもよい。
【0041】孔内に樹脂を含浸してプリプレグを得る方
法としては、溶剤で希釈した樹脂溶液を多孔質膜に含浸
させた後、乾燥工程(例えば120〜170℃)で溶剤
を除去しながら、樹脂をある程度反応させる方法が挙げ
られる。このようにして得られたプリプレグは、樹脂が
半硬化したベタツキの少ないシートになり、これを熱プ
レスすることで、絶縁層の積層が可能となる。また、プ
リプレグは銅箔などの導電体との積層物としても使用さ
れ、絶縁層の表面に配線層を形成することが可能にな
る。
【0042】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実
施例等について説明する。なお、多孔質膜の各評価値
は、次のようにして測定した。
【0043】(1)多孔質膜の平均孔径 多孔質膜の表面について、走査型電子顕微鏡(SEM)
を用いて、写真撮影を行い、その写真のコンピュータに
よる画像解析から平均孔径を求めた。
【0044】(2)多孔質膜の空孔率 多孔質膜の容積と重量を測定し、多孔質膜の比重を求
め、これと素材の比重より、下式: 空孔率(%)=(1−(多孔質膜の比重/素材比重))
×100 により、空孔率を求めた。
【0045】(3)多孔質膜の比誘電率(ε/ε0 )、
誘電正接 10GHzの領域において、ベクトルネットワークアナ
ライザー(HP87220)と空洞共振器(関東電子
(株))を用いて、摂動法により測定し、各測定点10
回の平均より求めた。
【0046】(4)GPCによる重量平均分子量 イミド転化開始直前のポリアミド酸の多孔質膜をジメチ
ルホルムアミドに溶解させ、GPC分析計(東ソー
(株)製,HLC−8020)によって測定した。検量
線は、ポリエチレンオキサイドを基準に作成し、重量平
均分子量をUVのクロマトグラフィーにより算出した。
【0047】(5)多孔質膜の引張強度 銅箔をエッチングして除去した後、幅10mm×長さ2
00mmのサンプルに切断し、このサンプルをJIS
K7127に準拠して、つかみ幅100mm、引張速度
50mm/分にて引張試験機で測定した。
【0048】実施例1〜3、比較例1〜2 BPDA(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物)とジアミン混合物(p−フェニレ
ンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル=
85/15)を略等モル重合させて得られたポリアミド
酸19重量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NM
P)81重量部からなる製膜溶液を、銅箔(厚み18μ
m)の表面上に、バーコートの要領にて100μmで均
一な厚さに塗布した。塗布後に35℃×RH100%×
30秒で吸湿させた後に60℃の純水中に浸漬し、ポリ
アミド酸を凝固させて多孔質膜とした。引き続き所定の
時間(0〜96時間)で、温度50℃の純水中で水洗を
行い、その後、120℃で20分間乾燥させた。乾燥
後、多孔質膜の一部をサンプリングしてGPCにより分
子量測定すると共に、窒素雰囲気中にて430℃で30
分間熱処理し、ポリアミド酸をイミド転化させ、銅箔上
に形成されたポリイミド多孔質膜を得た。
【0049】得られた多孔質膜は、厚み20μmで、ス
ポンジ構造となっており、断面の平均孔径0.2μmで
あった。また、イミド転化開始時の重量平均分子量、多
孔質膜の空孔率、比誘電率、誘電正接、引張強度を測定
した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】 表1の結果が示すように、水洗条件が長くなるとポリア
ミド酸の低分子量化が顕著になり、低分子量化した多孔
質膜をイミド転化させると、誘電正接が大きくなり、ま
た機械的強度も低下する。本発明では、適切な分子量の
多孔質膜をイミド転化させることで、従来の湿式凝固法
により得られるポリイミド多孔質膜より、誘電正接を低
減でき、しかも機械的強度も向上させることができる。
【0051】実施例4、比較例3 実施例3で得られた銅箔付多孔質膜を用いて、多孔質層
に対し臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のメチル
エチルケトン50重量%溶液よりなる熱硬化性樹脂の原
料組成物を多孔膜側に塗布して含浸させたところ、良好
な含浸性が得られた。これを160℃で加熱して溶媒の
除去と硬化を行って完全に硬化させた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 池田 健一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F205 AA40 AC05 AG01 AG20 AH36 GA07 GB02 GE24 GN22 GW05 GW31 GW38 5E314 AA36 BB02 BB13 CC01 FF01 FF05 FF06 GG26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド酸を含有する溶液を用いて湿
    式凝固法により多孔質膜を製膜する製膜工程と、得られ
    た多孔質膜を水洗する水洗工程と、得られた多孔質膜の
    イミド転化を行うイミド化工程とを含む配線基板用多孔
    質膜の製造方法において、 前記ポリアミド酸として、GPC測定による重量平均分
    子量が8000以上のものを使用すると共に、GPC測
    定によるポリアミド酸の重量平均分子量が8000未満
    に低下する前に前記イミド化工程を開始することを特徴
    とする配線基板用多孔質膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記製膜工程で使用する凝固液が、水を
    50重量%以上含有するものである請求項1に記載の配
    線基板用多孔質膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記製膜工程が、凝固液に浸漬前の溶液
    に水分を吸湿させて前記溶液を凝固又は部分凝固させた
    後に、凝固液に浸漬するものである請求項1又は2に記
    載の配線基板用多孔質膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 GPC測定による重量平均分子量が80
    00以上のポリアミド酸がイミド転化してなるポリイミ
    ド樹脂からなり、10GHzにおける誘電正接(tan
    δ)が0.0045以下である配線基板用多孔質膜。
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