JP2004207640A - メッキスルーホールの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質膜を配線基板の絶縁層に使用する場合に、好適にメッキ層が形成でき、メッキ液の進入や残存による問題も生じにくいメッキスルーホールの形成方法、及び当該方法で形成したメッキスルーホールを有する配線基板を提供する。
【解決手段】1層以上の樹脂多孔質層12を有する積層板SPにドリリングにより貫通孔H1を形成する工程、及び少なくとも前記貫通孔H1の内周にメッキ層を形成する工程を含むメッキスルーホールの形成方法において、前記ドリリングによって貫通孔H1の内周に前記樹脂多孔質層12が緻密化した緻密層12aを形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】1層以上の樹脂多孔質層12を有する積層板SPにドリリングにより貫通孔H1を形成する工程、及び少なくとも前記貫通孔H1の内周にメッキ層を形成する工程を含むメッキスルーホールの形成方法において、前記ドリリングによって貫通孔H1の内周に前記樹脂多孔質層12が緻密化した緻密層12aを形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質層を有する積層板にメッキスルーホールを形成するためのメッキスルーホールの形成方法、及び当該メッキスルーホールで配線層が導電接続されている配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報・通信機器における情報処理の高速化や通信電波の高周波数化などに伴い、電子部品等を実装する配線基板にも、高周波に対応できる性能が要求されている。例えば、配線基板の絶縁層には、優れた高周波伝送特性を発現すべく、高周波における誘電率及び誘電正接が小さいことなどが要求される。
【0003】
すなわち、配線基板の回路内では誘電損失といわれる伝送過程におけるエネルギー損失が生じ、この誘電損失は、信号の周波数fと誘電率εの1/2乗と材料の誘電正接tanδの積に比例する。このため周波数fが大きい高周波用の配線基板では、特に誘電率εと誘電正接tanδとが小さい材料が要求される。また、信号の伝送速度は誘電率εの1/2乗に逆比例するため、この点からも高周波用途では、誘電率εの小さいものが望まれる。
【0004】
このような低誘電率、低誘電正接の絶縁層を形成する方法として、樹脂材料自体が低い誘電率等を有するものを使用する方法が従来は一般的であった。このような低誘電率の樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素高分子やポリイミド樹脂などが知られている。
【0005】
また、材料樹脂自体の誘電率より更に低い誘電率の絶縁層を形成する方法として、絶縁層を多孔質構造とする技術も存在する。例えば、微細な連続孔を有する多孔質構造を持ち、空孔率が15〜80%である高耐熱性樹脂フィルムからなる多孔質絶縁材料が知られており、具体的には、湿式凝固法によりポリアミド酸の多孔質膜を製膜した後、多孔質膜のイミド転化を行って得られたポリイミド多孔質膜が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、両面配線基板、多層配線基板、その製造に用いるコア基板などの配線層を、2層間又は3層以上の層間で導電接続する構造として、貫通孔の内周面にメッキを施した、いわゆるメッキスルーホールが知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−319442号公報(第1頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような樹脂多孔質膜を配線基板の絶縁層に使用する場合、ドリリングやレーザーで貫通孔を形成すると、貫通孔の内周面が多孔質構造となる。このため、貫通孔のメッキの際にメッキ液が樹脂多孔質層の内部に進入して残存し、マイグレーションによる短絡等の問題が生じ易かった。また、多孔質構造の孔径や空孔率によっては、メッキ自体が行えない場合もあった。
【0009】
一方、不織布等に樹脂を含浸したプリプレグに対して、レーザー照射等で貫通孔を形成すると、貫通孔の周壁面に変質層が形成される場合があり、これによって、導電性ペーストの金属粒子の拡散を防止する技術が知られている。しかし、樹脂を含浸してない多孔質膜を用いた場合には、変質層の形成が好適に行われず、メッキを行った後にマイグレーションによる短絡が生じ易い。
【0010】
そこで、本発明の目的は、多孔質膜を配線基板の絶縁層に使用する場合に、好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題も生じにくいメッキスルーホールの形成方法、及び当該方法で形成したメッキスルーホールを有する配線基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、樹脂多孔質層の貫通孔の内周壁を閉塞させる方法について鋭意研究したところ、ドリリングの条件として比較的高速の条件を採用することにより、緻密層の形成が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明のメッキスルーホールの形成方法は、1層以上の樹脂多孔質層を有する積層板にドリリングにより貫通孔を形成する工程、及び少なくとも前記貫通孔の内周にメッキ層を形成する工程を含むメッキスルーホールの形成方法において、前記ドリリングによって貫通孔の内周に前記樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を形成することを特徴とする。
【0013】
本発明のメッキスルーホールの形成方法によると、実施例の結果が示すように、ドリリングの条件によって、貫通孔の内周に前記樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を形成することができるため、好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題も生じにくいメッキスルーホールを形成することができる。
【0014】
上記において、前記ドリリングの条件が、ドリルの回転数10000rpm以上、又はドリルの回転周速180mm/秒以上であることが好ましい。このような条件によって、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を好適に形成することができる。
【0015】
また、前記ドリリングの条件が、ドリルの送り速度0.3〜9m/minであることが好ましい。このような条件によって、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層をより確実に形成することができる。
【0016】
一方、1層以上の樹脂多孔質層と2層以上の配線層とを有し、それらの配線層がメッキスルーホールで導電接続されている配線基板において、前記メッキスルーホールとその周囲の樹脂多孔質層との間には、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層が介在することを特徴とする。本発明の配線基板によると、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層が介在するため、好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題も生じにくいものとなる。
【0017】
上記において、前記緻密層が形成された樹脂多孔質層と前記配線層との間には接着層を有すると共に、前記緻密層はその接着層まで連続していることが好ましい。接着層が介在しない場合、緻密層と配線層との界面からメッキ液が進入し易くなるが、上記のように接着層が介在しつつ緻密層がその接着層まで連続することにより、緻密層と接着層との界面の密着性が高まり、メッキ液の進入をより確実に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のメッキスルーホールの形成方法の一例を示す工程図である。
【0019】
本発明のメッキスルーホールの形成方法は、図1(a)〜(b)に示すように、1層以上の樹脂多孔質層12を有する積層板SPにドリリングにより貫通孔H1を形成する工程を含む。本実施形態では、樹脂多孔質層12の表面に接着層11,13、更にその表面に金属層14,15が積層一体化されている積層板SPを用いる例を示す。
【0020】
まず、樹脂多孔質層12について説明する。樹脂多孔質層12の材質としては、良好な耐熱性と機械的強度を有する樹脂が好ましく、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、特に芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂を採用することができる。これら樹脂のなかでもポリイミド系樹脂が絶縁性、耐熱性が良好であり好ましい。また、芳香族ポリアミドも絶縁性、耐熱性が良好であり、低熱線膨張率であるため好ましい。
【0021】
樹脂多孔質層12としては、空孔率10〜90%、平均孔径0.01〜3μmが好ましい。樹脂多孔質層12の厚みは、2〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。このような樹脂多孔質層12は、予め多孔質膜として湿式凝固法、延伸法、乾式凝固法などで製膜したものを使用することができる。
【0022】
湿式凝固法では、一般的に、溶剤に樹脂と添加剤等を溶解した製膜原液(ドープ)を調製し、これを製膜基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に浸漬して溶剤置換させることで、樹脂を凝固(ゲル化)させ、その後、凝固液等を乾燥除去するなどして多孔質膜を得る。製膜基材としては、ポリエステルなどの樹脂シート等が使用されるが、第1接着層11に対して樹脂多孔質膜を製膜・付着させてもよい。また、第1接着層11を設けない場合には、金属層14を製膜基材として、樹脂多孔質膜を製膜・付着させてもよい。
【0023】
ポリイミド系樹脂としては、酸残基とアミン残基とがイミド結合した繰り返し単位を主体とするするものであれば、他の共重合成分やブレンド成分を含むものでもよい。好ましくは、耐熱性、吸湿性、機械的強度の点から、主鎖に芳香族基を有するポリイミドであり、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の重合物からなるポリイミドを挙げることができる。特に、0.55〜3.00、好ましくは0. 60〜0.85の極限粘度(30℃での測定値)有している高分子であることが望ましい。上記範囲の極限粘度を有するものは、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合に、溶剤への溶解性が良好で、機械的強度が大きく自立性の多孔質膜となる。
【0024】
ポリイミド系樹脂は、当該重合体またはその前駆体(ポリアミド酸)を製膜に用いることができるが、ポリアミド酸はポリイミドと比較して溶解性が高いために、分子構造上の制約が少ないという利点がある。なお、重合体としては、完全にイミド化しているものがよいが、イミド化率が70%以上のものでも良い。イミド化率が比較的高いものをドープに用いる場合、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の屈曲性の高い成分を繰り返し単位に含む重合体を使用するのが好ましい。
【0025】
ポリイミド系樹脂又はその前駆体を溶解させる溶剤は、これらを溶解する物であれば特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合の凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の溶剤を混合して、前記湿式凝固法における溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0026】
一方、芳香族ポリアミドとしては、いわゆるパラ型アラミドやメタ型アラミドの他、骨格の一部をジフェニルエーテル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホキシド、ビフェニル等で置換したものや、芳香環の水素基をメチル基、ハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられる。
【0027】
パラ型アラミドとしては、ポリp−フェニレンテレフタラミド等が挙げられるが、このポリマーのように剛直な成分のみで構成されたアラミドは、特殊な薬剤で溶解させる必要がある。従って、多孔質膜に用いる芳香族ポリアミドとしては、屈曲性を付与する成分で骨格の一部を置換したアラミドやメタ型アラミドを少なくとも一部に使用することが好ましい。屈曲性を付与する成分としては、m−フェニレン、2,7−ナフタレン、ジフェニルエーテル、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルメタンなどが挙げられる。このような成分は、ジカルボン酸モノマー又はジアミンモノマーとして、共重合に使用されて骨格に導入されるが、当該成分の共重合比が大きいものほど、一般に溶剤に対する溶解性が高くなる。
【0028】
芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。
【0029】
また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0030】
湿式凝固法におけるドープは、好ましくは−20〜40℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液としては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有するものであれば、限定されないが、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられる。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されないが、好ましくは0〜90℃の温度である。
【0031】
製膜原液のポリマー濃度は、5重量%から25重量%の範囲が好ましく、7重量%から20重量%がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質膜が形成しにくくなる傾向がある。
【0032】
孔径形状や孔径コントロールのために硝酸リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのような有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液中に1重量%から10重量%まで添加するのが好ましい。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得ることができる。
【0033】
製膜原液は一定の厚みに塗布し、水等の凝固液中に浸漬して凝固させたり、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水中に浸漬するなどして、脱溶剤され多孔質膜となる。多孔質膜の形成後、凝固液から取り出した後、乾燥する。乾燥温度は特に制限されないが、200℃以下での乾燥が望ましい。
【0034】
ポリイミド系樹脂の多孔質層を形成する際、その前駆体(ポリアミド酸)を用いる場合には、最終的に200〜500℃で熱処理して、前駆体(ポリアミド酸)を加熱閉環させてポリイミドとする。
【0035】
接着層11,13は非多孔質の材料が使用され、金属層14,15と樹脂多孔質層12とを接着状態とする機能の他、金属層14,15のエッチング時に樹脂多孔質層12にエッチング液が進入・残存するのを防止する機能を有する。
【0036】
従って、接着層11,13の材質としては、いわゆる接着性樹脂以外のものを使用でき、また各層で材質が同一でも異なっていてもよい。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられる。好ましくは、接着性の観点から樹脂多孔質層12と同じ材料の樹脂である。第1接着層11と第2接着層13の厚みは、金属層14,15や樹脂多孔質層12との接着性を確保する観点より、2〜50μmが好ましい。
【0037】
金属層14,15の材質は何れでも良いが、配線パターンとしての導電性、加工性等の点から、配線層となる金属層14,15としては銅であることが好ましい。金属層14,15の厚さは、メッキ層と共に配線層を形成するため、何れでもよいが、好ましくは1〜50μmである。金属箔部分の表面には、接着層11,13との密着性を高めるために、粗面化処理、黒色処理などの物理的又は化学的な各種表面処理を行ってもよい。
【0038】
積層板SPを形成する方法としては、各層を予めシート状に形成し、それらを加熱プレス、ラミネート等により積層一体化する方法や、樹脂多孔質膜の両面に接着剤を塗布形成する方法、樹脂付銅箔を使用する方法、金属箔の表面に設けた接着層の表面に樹脂多孔質膜を形成したものを2枚用意して、これらを別の接着層で貼着する方法等が挙げられる。従って、積層板SPの樹脂多孔質層12には第1接着層11及び第2接着層13が一部含浸されていてもよく、仮着状態であってもよい。
【0039】
本発明では、積層板SPにドリリングによって貫通孔H1を形成する際に、貫通孔H1の内周に前記樹脂多孔質層12が緻密化した緻密層12aを形成することを特徴とする。この緻密層12aの樹脂多孔質層12が変形又は変質したものと推測され、緻密層12aの厚みは、例えば0.001〜1μmであることが分かっている。このような緻密層12aによって、その表面に好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題、特にマイグレーションによる短絡を防止することができる。
【0040】
前記ドリリングの条件は、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を好適に形成する上で、ドリルの回転数10000rpm以上が好ましく、60000〜250000rpmがより好ましい。
【0041】
あるいは、ドリルの直径によっては、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を好適に形成する上で、ドリルの回転周速180mm/秒以上が好ましく、1100〜4580mm/秒がより好ましい。
【0042】
更に、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層をより確実に形成する上で、ドリルの送り速度0.3〜9m/minが好ましく、送り速度0.5〜4m/minがより好ましい。また、1孔当たりのドリルの接触時間は、10〜0.01秒が好ましい。なお、積層板SPのドリリング時には、あて板を施して加工してもよい。あて板には、アルミ等の金属板やガラスエポキシなどの樹脂板が使用できる。
【0043】
貫通孔H1の孔径は、一般的なメッキスルーホールと同じ径が採用でき、例えば50〜1000μmであり、好ましくは50〜500μmである。
【0044】
本発明は、図1(c)に示すように、少なくとも貫通孔H1の内周面にメッキ層18を形成する工程を含む。本実施形態では、同時に金属層14,15の表面にもメッキを施す例を示す。これによって、メッキスルーホール18a、及び表面メッキ層18bが形成される。メッキ層18を構成する金属としては、金属層14,15と同様に銅であることが好ましい。
【0045】
メッキ層18の形成は、例えば全面に無電解メッキを行った後に電解メッキを行えばよいが、無電解メッキに先立って貫通孔H1の内周面にメッキ触媒を沈着させてもよい。
【0046】
無電解メッキおよび電解メッキの方法は、従来公知の方法が何れも使用可能である。例えば、無電解メッキには、通常、銅、錫等のメッキ液が使用されるが、無電解メッキのメッキ液は、各種金属に対応して周知であり、各種のものが市販されている。一般的には、液組成として、金属イオン源、アルカリ源、還元剤、キレート剤、安定剤などを含有する。また、電解メッキは、一般に対象となる積層板をメッキ浴内に浸漬しながら、その表面金属を陰極とし、メッキする金属の金属イオン補給源を陽極として、電気分解反応により陰極側に金属を析出させることにより行われる。なお、メッキ層18の厚みは、1〜50μmが好ましい。
【0047】
次に、図1(d)に示すように、必要に応じて、表面メッキ層18bにパターン形成を行う。この工程は例えばエッチング液を用いたエッチング等により行われる。エッチングは金属の種類に応じたエッチング液が使用され、パターンエッチングには、ドライフィルムレジスト等が使用できる。本実施形態では、金属層14,15と、メッキ層18とが同種金属のため、これらの層が同時にエッチングされて、配線層19となる。
【0048】
本実施形態では、エッチング時に接着層11,13が絶縁体からなるバリヤー層として機能するため、エッチング液を進入を防止することができる。本発明では、積層板SPが絶縁体からなるバリヤー層を樹脂多孔質層12の少なくとも一方の表面に有することが好ましく、両方の表面にバリヤー層を有することが更に好ましい。
【0049】
本発明の配線基板は、図1(d)に示すように、1層以上の樹脂多孔質層12と2層以上の配線層19とを有し、それらの配線層19がメッキスルーホール18aで導電接続されている配線基板において、メッキスルーホール18aとその周囲の樹脂多孔質層12との間には、樹脂多孔質層12が緻密化した緻密層12aが介在することを特徴とする。また、緻密層12aが形成された樹脂多孔質層12と配線層19との間には接着層11,13を有すると共に、緻密層12aはその接着層11,13まで連続していることが好ましい。
【0050】
〔他の実施形態〕
以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0051】
(1)前述の実施形態では、金属層を両面に有する積層板を使用する例を示したが、図2(a)〜(d)に示すように、本発明では、金属層を有さずに接着層11,13と樹脂多孔質層12とからなる積層板SPを用いて実施してもよい。つまり、積層板SPが絶縁体からなるバリヤー層を少なくとも一方の表面に有し、メッキ層18を形成する工程でそのバリヤー層にもメッキ層18が形成される。
【0052】
なお、金属層を有さない積層板SPを用いる場合、接着層11,13に無電解メッキを施す際に、触媒の添着を全面に行うのが好ましい。また、メッキ層18の密着性を高めるために、接着層11,13の表面を粗面化処理するのが好ましい。その他の工程は、前述の実施形態と同じである。
【0053】
(2)前述の実施形態では、1層の樹脂多孔質層を有する積層板にメッキスルーホールを形成した配線基板の例を示したが、図3に示すように、2層以上の樹脂多孔質層12と3層以上の配線層19とを有する積層板に、配線層19を導電接続するためのメッキスルーホール18aを形成してもよい。
【0054】
この例では、外層の配線層19a,19dと内層に位置する一方の配線層19bとがメッキスルーホール18aに導電接続されており、内層に位置する他方の配線層19cはメッキスルーホール18aに導電接続されていない。メッキスルーホール18aの周囲には緻密層12aが介在せずに、配線層19bと接触して導電接続される。
【0055】
なお、メッキスルーホール18aを形成する前の配線基板は、樹脂多孔質層12の表面に接着層11,13を介して配線層19b,19cを形成したものをプリプレグ20を介して積層一体化する方法などで作製することができる。
【0056】
(3)前述の実施形態では、貫通孔H1の内周面を含む全面にメッキ層を形成する例を示したが、貫通孔H1の内周面のみ、又は内周面とその周辺のみににメッキ層を形成してもよい。その場合、メッキレジストとして第2貫通孔の形成位置又はその周辺に開口を有するものを使用すればよい。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0058】
(積層板の製作例)
BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水和物)−DDE(ジアミノジフェニルエーテル)−PPD(パラフェニレンジアミン)系のポリイミド前駆体のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)15重量%溶液を製膜原液(PPD/DDEの比率はモル比で85/15)として、18ミクロン厚みの銅箔(古川サーキット社製)の粗化面上にフィルムアプリケーターを用いて、ギャップ15μmで均一の厚さに塗布した。塗布後直ちに100℃の乾燥機に15分間以上入れ、送風乾燥した。乾燥後、窒素雰囲気中にて250℃で30分間熱処理し、ポリイミド前駆体を加熱閉環させた。キュア終了後、常温まで温度が下がってから、乾燥させたポリイミド前駆体フィルム上に同上成分で固形分濃度が19重量%の製膜原液をフィルムアプリケーターを用いて、ギャップ65μmで均一の厚さに塗布した。塗布後25℃の純水中に浸漬し、ポリイミド前駆体を凝固させた。凝固後90℃で1時間以上乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気中にて400℃で3時間熱処理し、ポリイミド前駆体を加熱閉環させ、フィルム層付のポリイミド多孔体を得た。多孔体層は均一なスポンジ層であった。得られた銅箔付ポリイミド積層体は、フィルム層3μm、多孔質層22μmの厚みであり、空孔率=40%であった。
【0059】
次に、ポリイミド系接着剤(UPA−AH、宇部興産株式会社製)を前記銅箔付ポリイミド積層体のポリイミド面上にフィルムアプリケーターにて厚み100μmに塗布し、温度90℃で5分間乾燥後、前記銅箔付ポリイミド積層体を接着剤を介してポリイミドの多孔質部が向き合うように積層した。積層後、真空プレス機によりチャンバー内圧力3torr、加熱温度180℃、プレス圧力30kg/cm2 の条件下で1時間熱プレスを行い、多孔質ポリイミドの両面銅箔基板を製作した。
【0060】
(実施例1)
日立ビアメカニクス(株)社製プリント基板ドリル穴明機(ND4K18MARK90)にて、回転数:65000rpm(回転周速1190mm/秒)、送り速度:2.5m/minの条件にて上記両面基板に所定の評価パターン(図4参照)に沿って直径350ミクロンのドリル加工を行った。ドリル加工後の断面写真を図5(a)〜(b)に示した。ドリル加工後のスルーホール壁面には多孔質層の細孔は確認されず、スルーホール壁面に薄い皮膜状の緻密層を確認した。
【0061】
ドリル加工後、銅箔表面をペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液APS(和光純薬工業製、配合:APS400g、硫酸20mL、純水1.5L)にて室温で2分間エッチングを行い、表面の清浄な状態にした後、日立化成(株)社製CUST2000を用い無電解銅メッキを行い、更にジャパンエナジー社製CC−1220を使用し電気銅メッキを行い、約25ミクロンの銅メッキをスルーホール内面、および基板表面に行った。メッキを行った後、レジストフィルムを用いてパターニング、その後FeCl2 にて50℃、70秒間エッチングを行い図4の様な評価パターンを形成した。メッキ後のスルーホール断面観察写真を図6に示す。スルーホール断面にはメッキの銅が緻密層に進入して基板内部に成長した形跡は見られなかった。
【0062】
上記の様にして得られた評価パターンを温度85℃×湿度85%、電圧40Vにてスルーホール間の高温高湿バイアス試験を行った。その結果、試験800時間経過後も漏れ電圧は10mV以下と絶縁性を保った。なお、評価パターンの各部の寸法は次の通りである。d:ドリル径=350ミクロン、e:ランド径=500ミクロン、p:ドリルピッチ=700ミクロン、s:バレル間距離=200ミクロン、c:ライン幅=100ミクロン、配列=5×4列である。
【0063】
(実施例2)
日立ビアメカニクス(株)社製プリント基板ドリル穴明機にて回転数:160000rpm(回転周速2930mm/秒)、送り速度:2.5m/minの条件にて上記両面基板に所定の評価パターンに沿って直径350ミクロンのドリル加工を行った。ドリル加工条件以外は実施例1の方法で評価パターンを作成し、同様に高温高湿バイアス試験を行った結果、800時間経過後も漏れ電圧は10mV以下であった。
【0064】
(比較例1)
日立ビアメカニクス(株)社製プリント基板ドリル穴明機にて回転数:5000rpm(回転周速92mm/秒)、送り速度:10m/minの条件にて上記両面基板に所定のパターンに沿って直径350ミクロンのドリル加工を行った。ドリル加工条件以外は実施例1の方法で評価パターンを作成し、同様に高温高湿バイアス試験を行った結果、100時間経過時に回路は短絡した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメッキスルーホールの形成方法の一例を示す工程図
【図2】本発明のメッキスルーホールの形成方法の他の例を示す工程図
【図3】本発明の配線基板の他の例を示す要部断面図
【図4】実施例で用いた評価パターンを示す説明図
【図5】実施例1で形成された貫通孔の走査型電子顕微鏡(SEM)写真((b)は(a)におけるA部の拡大写真)
【図6】実施例1で形成されたメッキスルーホールの断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真
【符号の説明】
11 第1接着層
12 樹脂多孔質層
12a 緻密層
13 第2接着層
18 メッキ層
18a メッキスルーホール
19 配線層
H1 貫通孔
SP 積層板
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質層を有する積層板にメッキスルーホールを形成するためのメッキスルーホールの形成方法、及び当該メッキスルーホールで配線層が導電接続されている配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報・通信機器における情報処理の高速化や通信電波の高周波数化などに伴い、電子部品等を実装する配線基板にも、高周波に対応できる性能が要求されている。例えば、配線基板の絶縁層には、優れた高周波伝送特性を発現すべく、高周波における誘電率及び誘電正接が小さいことなどが要求される。
【0003】
すなわち、配線基板の回路内では誘電損失といわれる伝送過程におけるエネルギー損失が生じ、この誘電損失は、信号の周波数fと誘電率εの1/2乗と材料の誘電正接tanδの積に比例する。このため周波数fが大きい高周波用の配線基板では、特に誘電率εと誘電正接tanδとが小さい材料が要求される。また、信号の伝送速度は誘電率εの1/2乗に逆比例するため、この点からも高周波用途では、誘電率εの小さいものが望まれる。
【0004】
このような低誘電率、低誘電正接の絶縁層を形成する方法として、樹脂材料自体が低い誘電率等を有するものを使用する方法が従来は一般的であった。このような低誘電率の樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素高分子やポリイミド樹脂などが知られている。
【0005】
また、材料樹脂自体の誘電率より更に低い誘電率の絶縁層を形成する方法として、絶縁層を多孔質構造とする技術も存在する。例えば、微細な連続孔を有する多孔質構造を持ち、空孔率が15〜80%である高耐熱性樹脂フィルムからなる多孔質絶縁材料が知られており、具体的には、湿式凝固法によりポリアミド酸の多孔質膜を製膜した後、多孔質膜のイミド転化を行って得られたポリイミド多孔質膜が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、両面配線基板、多層配線基板、その製造に用いるコア基板などの配線層を、2層間又は3層以上の層間で導電接続する構造として、貫通孔の内周面にメッキを施した、いわゆるメッキスルーホールが知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−319442号公報(第1頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような樹脂多孔質膜を配線基板の絶縁層に使用する場合、ドリリングやレーザーで貫通孔を形成すると、貫通孔の内周面が多孔質構造となる。このため、貫通孔のメッキの際にメッキ液が樹脂多孔質層の内部に進入して残存し、マイグレーションによる短絡等の問題が生じ易かった。また、多孔質構造の孔径や空孔率によっては、メッキ自体が行えない場合もあった。
【0009】
一方、不織布等に樹脂を含浸したプリプレグに対して、レーザー照射等で貫通孔を形成すると、貫通孔の周壁面に変質層が形成される場合があり、これによって、導電性ペーストの金属粒子の拡散を防止する技術が知られている。しかし、樹脂を含浸してない多孔質膜を用いた場合には、変質層の形成が好適に行われず、メッキを行った後にマイグレーションによる短絡が生じ易い。
【0010】
そこで、本発明の目的は、多孔質膜を配線基板の絶縁層に使用する場合に、好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題も生じにくいメッキスルーホールの形成方法、及び当該方法で形成したメッキスルーホールを有する配線基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、樹脂多孔質層の貫通孔の内周壁を閉塞させる方法について鋭意研究したところ、ドリリングの条件として比較的高速の条件を採用することにより、緻密層の形成が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明のメッキスルーホールの形成方法は、1層以上の樹脂多孔質層を有する積層板にドリリングにより貫通孔を形成する工程、及び少なくとも前記貫通孔の内周にメッキ層を形成する工程を含むメッキスルーホールの形成方法において、前記ドリリングによって貫通孔の内周に前記樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を形成することを特徴とする。
【0013】
本発明のメッキスルーホールの形成方法によると、実施例の結果が示すように、ドリリングの条件によって、貫通孔の内周に前記樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を形成することができるため、好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題も生じにくいメッキスルーホールを形成することができる。
【0014】
上記において、前記ドリリングの条件が、ドリルの回転数10000rpm以上、又はドリルの回転周速180mm/秒以上であることが好ましい。このような条件によって、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を好適に形成することができる。
【0015】
また、前記ドリリングの条件が、ドリルの送り速度0.3〜9m/minであることが好ましい。このような条件によって、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層をより確実に形成することができる。
【0016】
一方、1層以上の樹脂多孔質層と2層以上の配線層とを有し、それらの配線層がメッキスルーホールで導電接続されている配線基板において、前記メッキスルーホールとその周囲の樹脂多孔質層との間には、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層が介在することを特徴とする。本発明の配線基板によると、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層が介在するため、好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題も生じにくいものとなる。
【0017】
上記において、前記緻密層が形成された樹脂多孔質層と前記配線層との間には接着層を有すると共に、前記緻密層はその接着層まで連続していることが好ましい。接着層が介在しない場合、緻密層と配線層との界面からメッキ液が進入し易くなるが、上記のように接着層が介在しつつ緻密層がその接着層まで連続することにより、緻密層と接着層との界面の密着性が高まり、メッキ液の進入をより確実に防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のメッキスルーホールの形成方法の一例を示す工程図である。
【0019】
本発明のメッキスルーホールの形成方法は、図1(a)〜(b)に示すように、1層以上の樹脂多孔質層12を有する積層板SPにドリリングにより貫通孔H1を形成する工程を含む。本実施形態では、樹脂多孔質層12の表面に接着層11,13、更にその表面に金属層14,15が積層一体化されている積層板SPを用いる例を示す。
【0020】
まず、樹脂多孔質層12について説明する。樹脂多孔質層12の材質としては、良好な耐熱性と機械的強度を有する樹脂が好ましく、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、特に芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂を採用することができる。これら樹脂のなかでもポリイミド系樹脂が絶縁性、耐熱性が良好であり好ましい。また、芳香族ポリアミドも絶縁性、耐熱性が良好であり、低熱線膨張率であるため好ましい。
【0021】
樹脂多孔質層12としては、空孔率10〜90%、平均孔径0.01〜3μmが好ましい。樹脂多孔質層12の厚みは、2〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。このような樹脂多孔質層12は、予め多孔質膜として湿式凝固法、延伸法、乾式凝固法などで製膜したものを使用することができる。
【0022】
湿式凝固法では、一般的に、溶剤に樹脂と添加剤等を溶解した製膜原液(ドープ)を調製し、これを製膜基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に浸漬して溶剤置換させることで、樹脂を凝固(ゲル化)させ、その後、凝固液等を乾燥除去するなどして多孔質膜を得る。製膜基材としては、ポリエステルなどの樹脂シート等が使用されるが、第1接着層11に対して樹脂多孔質膜を製膜・付着させてもよい。また、第1接着層11を設けない場合には、金属層14を製膜基材として、樹脂多孔質膜を製膜・付着させてもよい。
【0023】
ポリイミド系樹脂としては、酸残基とアミン残基とがイミド結合した繰り返し単位を主体とするするものであれば、他の共重合成分やブレンド成分を含むものでもよい。好ましくは、耐熱性、吸湿性、機械的強度の点から、主鎖に芳香族基を有するポリイミドであり、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の重合物からなるポリイミドを挙げることができる。特に、0.55〜3.00、好ましくは0. 60〜0.85の極限粘度(30℃での測定値)有している高分子であることが望ましい。上記範囲の極限粘度を有するものは、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合に、溶剤への溶解性が良好で、機械的強度が大きく自立性の多孔質膜となる。
【0024】
ポリイミド系樹脂は、当該重合体またはその前駆体(ポリアミド酸)を製膜に用いることができるが、ポリアミド酸はポリイミドと比較して溶解性が高いために、分子構造上の制約が少ないという利点がある。なお、重合体としては、完全にイミド化しているものがよいが、イミド化率が70%以上のものでも良い。イミド化率が比較的高いものをドープに用いる場合、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の屈曲性の高い成分を繰り返し単位に含む重合体を使用するのが好ましい。
【0025】
ポリイミド系樹脂又はその前駆体を溶解させる溶剤は、これらを溶解する物であれば特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合の凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の溶剤を混合して、前記湿式凝固法における溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0026】
一方、芳香族ポリアミドとしては、いわゆるパラ型アラミドやメタ型アラミドの他、骨格の一部をジフェニルエーテル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホキシド、ビフェニル等で置換したものや、芳香環の水素基をメチル基、ハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられる。
【0027】
パラ型アラミドとしては、ポリp−フェニレンテレフタラミド等が挙げられるが、このポリマーのように剛直な成分のみで構成されたアラミドは、特殊な薬剤で溶解させる必要がある。従って、多孔質膜に用いる芳香族ポリアミドとしては、屈曲性を付与する成分で骨格の一部を置換したアラミドやメタ型アラミドを少なくとも一部に使用することが好ましい。屈曲性を付与する成分としては、m−フェニレン、2,7−ナフタレン、ジフェニルエーテル、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルメタンなどが挙げられる。このような成分は、ジカルボン酸モノマー又はジアミンモノマーとして、共重合に使用されて骨格に導入されるが、当該成分の共重合比が大きいものほど、一般に溶剤に対する溶解性が高くなる。
【0028】
芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。
【0029】
また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0030】
湿式凝固法におけるドープは、好ましくは−20〜40℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液としては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有するものであれば、限定されないが、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられる。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されないが、好ましくは0〜90℃の温度である。
【0031】
製膜原液のポリマー濃度は、5重量%から25重量%の範囲が好ましく、7重量%から20重量%がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質膜が形成しにくくなる傾向がある。
【0032】
孔径形状や孔径コントロールのために硝酸リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのような有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液中に1重量%から10重量%まで添加するのが好ましい。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得ることができる。
【0033】
製膜原液は一定の厚みに塗布し、水等の凝固液中に浸漬して凝固させたり、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水中に浸漬するなどして、脱溶剤され多孔質膜となる。多孔質膜の形成後、凝固液から取り出した後、乾燥する。乾燥温度は特に制限されないが、200℃以下での乾燥が望ましい。
【0034】
ポリイミド系樹脂の多孔質層を形成する際、その前駆体(ポリアミド酸)を用いる場合には、最終的に200〜500℃で熱処理して、前駆体(ポリアミド酸)を加熱閉環させてポリイミドとする。
【0035】
接着層11,13は非多孔質の材料が使用され、金属層14,15と樹脂多孔質層12とを接着状態とする機能の他、金属層14,15のエッチング時に樹脂多孔質層12にエッチング液が進入・残存するのを防止する機能を有する。
【0036】
従って、接着層11,13の材質としては、いわゆる接着性樹脂以外のものを使用でき、また各層で材質が同一でも異なっていてもよい。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられる。好ましくは、接着性の観点から樹脂多孔質層12と同じ材料の樹脂である。第1接着層11と第2接着層13の厚みは、金属層14,15や樹脂多孔質層12との接着性を確保する観点より、2〜50μmが好ましい。
【0037】
金属層14,15の材質は何れでも良いが、配線パターンとしての導電性、加工性等の点から、配線層となる金属層14,15としては銅であることが好ましい。金属層14,15の厚さは、メッキ層と共に配線層を形成するため、何れでもよいが、好ましくは1〜50μmである。金属箔部分の表面には、接着層11,13との密着性を高めるために、粗面化処理、黒色処理などの物理的又は化学的な各種表面処理を行ってもよい。
【0038】
積層板SPを形成する方法としては、各層を予めシート状に形成し、それらを加熱プレス、ラミネート等により積層一体化する方法や、樹脂多孔質膜の両面に接着剤を塗布形成する方法、樹脂付銅箔を使用する方法、金属箔の表面に設けた接着層の表面に樹脂多孔質膜を形成したものを2枚用意して、これらを別の接着層で貼着する方法等が挙げられる。従って、積層板SPの樹脂多孔質層12には第1接着層11及び第2接着層13が一部含浸されていてもよく、仮着状態であってもよい。
【0039】
本発明では、積層板SPにドリリングによって貫通孔H1を形成する際に、貫通孔H1の内周に前記樹脂多孔質層12が緻密化した緻密層12aを形成することを特徴とする。この緻密層12aの樹脂多孔質層12が変形又は変質したものと推測され、緻密層12aの厚みは、例えば0.001〜1μmであることが分かっている。このような緻密層12aによって、その表面に好適にメッキ層が形成でき、しかもメッキ液の進入や残存による問題、特にマイグレーションによる短絡を防止することができる。
【0040】
前記ドリリングの条件は、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を好適に形成する上で、ドリルの回転数10000rpm以上が好ましく、60000〜250000rpmがより好ましい。
【0041】
あるいは、ドリルの直径によっては、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を好適に形成する上で、ドリルの回転周速180mm/秒以上が好ましく、1100〜4580mm/秒がより好ましい。
【0042】
更に、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層をより確実に形成する上で、ドリルの送り速度0.3〜9m/minが好ましく、送り速度0.5〜4m/minがより好ましい。また、1孔当たりのドリルの接触時間は、10〜0.01秒が好ましい。なお、積層板SPのドリリング時には、あて板を施して加工してもよい。あて板には、アルミ等の金属板やガラスエポキシなどの樹脂板が使用できる。
【0043】
貫通孔H1の孔径は、一般的なメッキスルーホールと同じ径が採用でき、例えば50〜1000μmであり、好ましくは50〜500μmである。
【0044】
本発明は、図1(c)に示すように、少なくとも貫通孔H1の内周面にメッキ層18を形成する工程を含む。本実施形態では、同時に金属層14,15の表面にもメッキを施す例を示す。これによって、メッキスルーホール18a、及び表面メッキ層18bが形成される。メッキ層18を構成する金属としては、金属層14,15と同様に銅であることが好ましい。
【0045】
メッキ層18の形成は、例えば全面に無電解メッキを行った後に電解メッキを行えばよいが、無電解メッキに先立って貫通孔H1の内周面にメッキ触媒を沈着させてもよい。
【0046】
無電解メッキおよび電解メッキの方法は、従来公知の方法が何れも使用可能である。例えば、無電解メッキには、通常、銅、錫等のメッキ液が使用されるが、無電解メッキのメッキ液は、各種金属に対応して周知であり、各種のものが市販されている。一般的には、液組成として、金属イオン源、アルカリ源、還元剤、キレート剤、安定剤などを含有する。また、電解メッキは、一般に対象となる積層板をメッキ浴内に浸漬しながら、その表面金属を陰極とし、メッキする金属の金属イオン補給源を陽極として、電気分解反応により陰極側に金属を析出させることにより行われる。なお、メッキ層18の厚みは、1〜50μmが好ましい。
【0047】
次に、図1(d)に示すように、必要に応じて、表面メッキ層18bにパターン形成を行う。この工程は例えばエッチング液を用いたエッチング等により行われる。エッチングは金属の種類に応じたエッチング液が使用され、パターンエッチングには、ドライフィルムレジスト等が使用できる。本実施形態では、金属層14,15と、メッキ層18とが同種金属のため、これらの層が同時にエッチングされて、配線層19となる。
【0048】
本実施形態では、エッチング時に接着層11,13が絶縁体からなるバリヤー層として機能するため、エッチング液を進入を防止することができる。本発明では、積層板SPが絶縁体からなるバリヤー層を樹脂多孔質層12の少なくとも一方の表面に有することが好ましく、両方の表面にバリヤー層を有することが更に好ましい。
【0049】
本発明の配線基板は、図1(d)に示すように、1層以上の樹脂多孔質層12と2層以上の配線層19とを有し、それらの配線層19がメッキスルーホール18aで導電接続されている配線基板において、メッキスルーホール18aとその周囲の樹脂多孔質層12との間には、樹脂多孔質層12が緻密化した緻密層12aが介在することを特徴とする。また、緻密層12aが形成された樹脂多孔質層12と配線層19との間には接着層11,13を有すると共に、緻密層12aはその接着層11,13まで連続していることが好ましい。
【0050】
〔他の実施形態〕
以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0051】
(1)前述の実施形態では、金属層を両面に有する積層板を使用する例を示したが、図2(a)〜(d)に示すように、本発明では、金属層を有さずに接着層11,13と樹脂多孔質層12とからなる積層板SPを用いて実施してもよい。つまり、積層板SPが絶縁体からなるバリヤー層を少なくとも一方の表面に有し、メッキ層18を形成する工程でそのバリヤー層にもメッキ層18が形成される。
【0052】
なお、金属層を有さない積層板SPを用いる場合、接着層11,13に無電解メッキを施す際に、触媒の添着を全面に行うのが好ましい。また、メッキ層18の密着性を高めるために、接着層11,13の表面を粗面化処理するのが好ましい。その他の工程は、前述の実施形態と同じである。
【0053】
(2)前述の実施形態では、1層の樹脂多孔質層を有する積層板にメッキスルーホールを形成した配線基板の例を示したが、図3に示すように、2層以上の樹脂多孔質層12と3層以上の配線層19とを有する積層板に、配線層19を導電接続するためのメッキスルーホール18aを形成してもよい。
【0054】
この例では、外層の配線層19a,19dと内層に位置する一方の配線層19bとがメッキスルーホール18aに導電接続されており、内層に位置する他方の配線層19cはメッキスルーホール18aに導電接続されていない。メッキスルーホール18aの周囲には緻密層12aが介在せずに、配線層19bと接触して導電接続される。
【0055】
なお、メッキスルーホール18aを形成する前の配線基板は、樹脂多孔質層12の表面に接着層11,13を介して配線層19b,19cを形成したものをプリプレグ20を介して積層一体化する方法などで作製することができる。
【0056】
(3)前述の実施形態では、貫通孔H1の内周面を含む全面にメッキ層を形成する例を示したが、貫通孔H1の内周面のみ、又は内周面とその周辺のみににメッキ層を形成してもよい。その場合、メッキレジストとして第2貫通孔の形成位置又はその周辺に開口を有するものを使用すればよい。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0058】
(積層板の製作例)
BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水和物)−DDE(ジアミノジフェニルエーテル)−PPD(パラフェニレンジアミン)系のポリイミド前駆体のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)15重量%溶液を製膜原液(PPD/DDEの比率はモル比で85/15)として、18ミクロン厚みの銅箔(古川サーキット社製)の粗化面上にフィルムアプリケーターを用いて、ギャップ15μmで均一の厚さに塗布した。塗布後直ちに100℃の乾燥機に15分間以上入れ、送風乾燥した。乾燥後、窒素雰囲気中にて250℃で30分間熱処理し、ポリイミド前駆体を加熱閉環させた。キュア終了後、常温まで温度が下がってから、乾燥させたポリイミド前駆体フィルム上に同上成分で固形分濃度が19重量%の製膜原液をフィルムアプリケーターを用いて、ギャップ65μmで均一の厚さに塗布した。塗布後25℃の純水中に浸漬し、ポリイミド前駆体を凝固させた。凝固後90℃で1時間以上乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気中にて400℃で3時間熱処理し、ポリイミド前駆体を加熱閉環させ、フィルム層付のポリイミド多孔体を得た。多孔体層は均一なスポンジ層であった。得られた銅箔付ポリイミド積層体は、フィルム層3μm、多孔質層22μmの厚みであり、空孔率=40%であった。
【0059】
次に、ポリイミド系接着剤(UPA−AH、宇部興産株式会社製)を前記銅箔付ポリイミド積層体のポリイミド面上にフィルムアプリケーターにて厚み100μmに塗布し、温度90℃で5分間乾燥後、前記銅箔付ポリイミド積層体を接着剤を介してポリイミドの多孔質部が向き合うように積層した。積層後、真空プレス機によりチャンバー内圧力3torr、加熱温度180℃、プレス圧力30kg/cm2 の条件下で1時間熱プレスを行い、多孔質ポリイミドの両面銅箔基板を製作した。
【0060】
(実施例1)
日立ビアメカニクス(株)社製プリント基板ドリル穴明機(ND4K18MARK90)にて、回転数:65000rpm(回転周速1190mm/秒)、送り速度:2.5m/minの条件にて上記両面基板に所定の評価パターン(図4参照)に沿って直径350ミクロンのドリル加工を行った。ドリル加工後の断面写真を図5(a)〜(b)に示した。ドリル加工後のスルーホール壁面には多孔質層の細孔は確認されず、スルーホール壁面に薄い皮膜状の緻密層を確認した。
【0061】
ドリル加工後、銅箔表面をペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液APS(和光純薬工業製、配合:APS400g、硫酸20mL、純水1.5L)にて室温で2分間エッチングを行い、表面の清浄な状態にした後、日立化成(株)社製CUST2000を用い無電解銅メッキを行い、更にジャパンエナジー社製CC−1220を使用し電気銅メッキを行い、約25ミクロンの銅メッキをスルーホール内面、および基板表面に行った。メッキを行った後、レジストフィルムを用いてパターニング、その後FeCl2 にて50℃、70秒間エッチングを行い図4の様な評価パターンを形成した。メッキ後のスルーホール断面観察写真を図6に示す。スルーホール断面にはメッキの銅が緻密層に進入して基板内部に成長した形跡は見られなかった。
【0062】
上記の様にして得られた評価パターンを温度85℃×湿度85%、電圧40Vにてスルーホール間の高温高湿バイアス試験を行った。その結果、試験800時間経過後も漏れ電圧は10mV以下と絶縁性を保った。なお、評価パターンの各部の寸法は次の通りである。d:ドリル径=350ミクロン、e:ランド径=500ミクロン、p:ドリルピッチ=700ミクロン、s:バレル間距離=200ミクロン、c:ライン幅=100ミクロン、配列=5×4列である。
【0063】
(実施例2)
日立ビアメカニクス(株)社製プリント基板ドリル穴明機にて回転数:160000rpm(回転周速2930mm/秒)、送り速度:2.5m/minの条件にて上記両面基板に所定の評価パターンに沿って直径350ミクロンのドリル加工を行った。ドリル加工条件以外は実施例1の方法で評価パターンを作成し、同様に高温高湿バイアス試験を行った結果、800時間経過後も漏れ電圧は10mV以下であった。
【0064】
(比較例1)
日立ビアメカニクス(株)社製プリント基板ドリル穴明機にて回転数:5000rpm(回転周速92mm/秒)、送り速度:10m/minの条件にて上記両面基板に所定のパターンに沿って直径350ミクロンのドリル加工を行った。ドリル加工条件以外は実施例1の方法で評価パターンを作成し、同様に高温高湿バイアス試験を行った結果、100時間経過時に回路は短絡した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメッキスルーホールの形成方法の一例を示す工程図
【図2】本発明のメッキスルーホールの形成方法の他の例を示す工程図
【図3】本発明の配線基板の他の例を示す要部断面図
【図4】実施例で用いた評価パターンを示す説明図
【図5】実施例1で形成された貫通孔の走査型電子顕微鏡(SEM)写真((b)は(a)におけるA部の拡大写真)
【図6】実施例1で形成されたメッキスルーホールの断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真
【符号の説明】
11 第1接着層
12 樹脂多孔質層
12a 緻密層
13 第2接着層
18 メッキ層
18a メッキスルーホール
19 配線層
H1 貫通孔
SP 積層板
Claims (5)
- 1層以上の樹脂多孔質層を有する積層板にドリリングにより貫通孔を形成する工程、及び少なくとも前記貫通孔の内周にメッキ層を形成する工程を含むメッキスルーホールの形成方法において、前記ドリリングによって貫通孔の内周に前記樹脂多孔質層が緻密化した緻密層を形成することを特徴とするメッキスルーホールの形成方法。
- 前記ドリリングの条件が、ドリルの回転数10000rpm以上、又はドリルの回転周速180mm/秒以上である請求項1に記載のメッキスルーホールの形成方法。
- 前記ドリリングの条件が、ドリルの送り速度0.3〜9m/minである請求項2に記載のメッキスルーホールの形成方法。
- 1層以上の樹脂多孔質層と2層以上の配線層とを有し、それらの配線層がメッキスルーホールで導電接続されている配線基板において、前記メッキスルーホールとその周囲の樹脂多孔質層との間には、樹脂多孔質層が緻密化した緻密層が介在することを特徴とする配線基板。
- 前記緻密層が形成された樹脂多孔質層と前記配線層との間には接着層を有すると共に、前記緻密層はその接着層まで連続している請求項4に記載の配線基板。
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JP2002377609A JP2004207640A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | メッキスルーホールの形成方法 |
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-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002377609A patent/JP2004207640A/ja active Pending
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