JP2003008233A - 多層配線基板 - Google Patents

多層配線基板

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JP2003008233A
JP2003008233A JP2001184567A JP2001184567A JP2003008233A JP 2003008233 A JP2003008233 A JP 2003008233A JP 2001184567 A JP2001184567 A JP 2001184567A JP 2001184567 A JP2001184567 A JP 2001184567A JP 2003008233 A JP2003008233 A JP 2003008233A
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layer
porous film
wiring board
porosity
multilayer wiring
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JP2001184567A
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English (en)
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Mitsuru Motogami
満 本上
Toshiyuki Kawashima
敏行 川島
Shinji Tawara
伸治 田原
Kenichi Ikeda
健一 池田
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波特性や耐ノイズ性に優れるため信号層
の高密度化が可能で、しかも特性インピーダンスの整合
に影響を与えにくい多層配線基板を提供する。 【解決手段】 グランド層1又は電源層と信号層3とが
絶縁層2を介して配置された構造を有する多層配線基板
において、前記絶縁層2を厚み方向で空孔率が異なる多
孔質膜で構成すると共に、その多孔質膜の空孔率が高い
側の面2aを前記信号層3側に配置してあることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グランド層又は電
源層と信号層とが絶縁層を介して配置された構造を有す
る、導体層が2層以上の多層配線基板に関し、特に高密
度化された高周波用の多層配線基板として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器等の小形化や軽量化に伴
い、配線基板に対しても高密度化の要求が高まり、これ
に対応すべく配線層の多層構造化が行われている。かか
る多層配線基板の構造としては、絶縁層とパターン形成
された配線層とが順次積層されたものが一般的である。
【0003】一方、デジタル信号の処理の高速化や携帯
通信機器の普及により、多層配線基板においても、高周
波特性や耐ノイズ性の改善の要求が高まっている。特
に、近年の高密度化された多層配線基板では、隣接する
配線パターン間で一方から他方へ電圧が誘起して干渉を
起こすクロストークが問題となり易い。
【0004】このクロストークは、誘電率の低い材料を
絶縁層に使用することで改善できることが知られてい
る。このため、絶縁層の誘電率を低減すべく絶縁層に多
孔質膜を使用することで空孔が存在する分だけ誘電率を
低減する技術が存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、絶縁層
を構成する多孔質膜の空孔率を大きくしすぎると、膜の
強度、耐圧密性、製膜性などが劣化し易く、これらの制
約から、多孔質膜の全体を高い空孔率にする方法には限
界があった。
【0006】一方、高周波用の多層配線基板では、電子
部品の入出力インピーダンスが配線パターンのインピー
ダンスと整合していないと、境界部で信号の反射が生じ
て伝送信号の質を低下させるため、特性インピーダンス
の整合が行われることが多い。特性インピーダンスの制
御は、一般に信号層の配線パターンとグランド層とに介
在する絶縁層の厚み方向の誘電率の調整によって行われ
る。従って、特性インピーダンスの制御という観点から
も、絶縁層である多孔質膜の厚み方向の空孔率に制約が
生じることになる。
【0007】従って、多孔質膜を絶縁層とする従来法で
は、配線基板の更なる高密度化や機器類の高周波数化に
おいて、高周波特性や耐ノイズ性が十分とは言えなかっ
た。
【0008】そこで、本発明の目的は、高周波特性や耐
ノイズ性に優れるため信号層の高密度化が可能で、しか
も特性インピーダンスの整合に影響を与えにくい多層配
線基板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の如き
本発明により達成できる。即ち、本発明の多層配線基板
は、グランド層又は電源層と信号層とが絶縁層を介して
配置された構造を有する多層配線基板において、前記絶
縁層を厚み方向で空孔率が異なる多孔質膜で構成すると
共に、その多孔質膜の空孔率が高い側の面を前記信号層
側に配置してあることを特徴とする表裏両面で表面近傍
の空孔率が異なる多孔質膜にて前記絶縁層を構成すると
共に、その多孔質膜の空孔率が高い側の面を前記信号層
側に配置してあることを特徴とする。
【0010】上記において、前記信号層は、前記多孔質
膜の製膜時に一体化された金属箔をパターン形成したも
のであることが好ましい。
【0011】また、前記多孔質膜は、空孔率が高い側の
表面近傍にまで成長したフィンガーボイド構造を有する
ことが好ましい。
【0012】[作用効果]本発明の多層配線基板による
と、前記絶縁層を厚み方向で空孔率が異なる多孔質膜で
構成するため、厚み方向全体の空孔率を維持しながら、
一方の表面の空孔率を高めて誘電率を低減することがで
きる。このため、特性インピーダンスに影響を殆ど与え
ずに、一方の表面のみを低誘電率化することができる。
そして、多孔質膜の空孔率が高い側の面を前記信号層側
に配置してあるため、信号層側の誘電率が小さくなり、
配線パターン間の静電結合を小さくできる。逆にグラン
ド層又は電源層の側の誘電率は大きくなるが、この点は
特に問題とならない。その結果、高周波特性や耐ノイズ
性に優れるため信号層の高密度化が可能で、しかも特性
インピーダンスの整合に影響を与えにくい多層配線基板
を提供することができる。
【0013】前記信号層が、前記多孔質膜の製膜時に一
体化された金属箔をパターン形成したものである場合、
金属箔を多孔質膜の製膜基材として利用するため、製造
工程が簡易化でき、しかも金属箔と多孔質膜との界面に
接着剤層などが存在しないため、空孔率の低下による誘
電率の上昇を防ぐことができる。
【0014】前記多孔質膜は、空孔率が高い側の表面近
傍にまで成長したフィンガーボイド構造を有する場合、
当該フィンガーボイド構造によって信号層の近傍での空
孔率を高めて、誘電率を確実に低減することができ、高
周波特性や耐ノイズ性をより改善することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の多層
配線基板の一例を模式的に示す断面図である。
【0016】本発明の多層配線基板は、図1に示すよう
に、グランド層1又は電源層と信号層3とが絶縁層2を
介して配置された構造を有する。本実施形態では、1層
の信号層3と1層のグランド層1が形成された2層構造
の配線基板の例を示す。
【0017】本発明では、絶縁層2を厚み方向で空孔率
が異なる多孔質膜で構成すると共に、その多孔質膜の空
孔率が高い側の面2aを信号層3側に配置してあること
を特徴とする。逆に多孔質膜の空孔率が低い側の面2b
をグランド層1側に配置してある。
【0018】多孔質膜の空孔率については、膜の強度、
耐圧密性、製膜性などの観点から、厚み方向の平均値で
20〜95%が好ましく、50〜80%がより好まし
い。また、信号層3側の空孔率は、信号層3近傍の空孔
率を高めて誘電率を低減する上で、70〜90%が好ま
しい。ここで空孔率の測定方法は実施例の記載による。
なお、絶縁層2の厚みとしては膜強度を維持しつつ近年
の基板の高密度化に対応する上で、10〜50μmが好
ましい。
【0019】厚み方向で空孔率が異なる多孔質膜の両側
の面2a、2bは、接着剤層などを介してグランド層1
又は信号層3と積層一体化されていてもよいが、多孔質
膜の面2aと信号層3との間には、接着剤層が存在しな
いことが好ましい。このような信号層3は、多孔質膜の
製膜時に一体化された金属箔をパターン形成することで
得ることができる。
【0020】また、多孔質膜の空孔率を厚み方向で変え
る方法としては、多孔質膜に表面近傍にまで成長したフ
ィンガーボイド構造などのマクロボイド構造を形成させ
る方法などが挙げられる。このようなマクロボイド構造
は、湿式相分離による製膜法において、表面にスキン層
が形成され易い条件で製膜することによって容易に得る
ことができる。また、ポリマー濃度の異なる成膜溶液を
用いて2層塗布後、均一拡散する前に凝固液に浸漬する
などの方法によっても、厚み方向で空孔率が異なる多孔
質膜を得ることができる。
【0021】本発明における多孔質膜がフィンガーボイ
ド構造を有する場合、信号層3側の誘電率を効果的に低
減させる上で、フィンガーボイドの平均長さが、絶縁層
2の厚みの1/3〜1/2の長さを有することが好まし
い。また、信号層3の配線パターン3a、3bを確実に
支持する上で、フィンガーボイドの最大径部の平均直径
は、2〜20μmが好ましい。なお、多孔質膜の平均孔
径は特に限定されないが、上記の如きフィンガーボイド
構造を形成する上で、空孔率が低い側の面2bの平均孔
径は0.1〜10μmが好ましい。
【0022】以下、湿式相分離による製膜法を例にとり
説明する。本発明に用いられる多孔質膜の材質として
は、良好な耐熱性と機械的強度を有する樹脂が好まし
く、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、特に芳香
族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルサルホン等の各種樹脂を採用すること
ができる。これら樹脂のなかでもポリイミド系樹脂が絶
縁性、耐熱性が良好であり、また金属層との密着性も良
好であり好ましい。また、芳香族ポリアミドも絶縁性、
耐熱性が良好であり、低熱線膨張率であるため好まし
い。
【0023】これらの多孔質膜としては、多孔質膜単体
で使用してもよいが、前述の理由より、銅箔等の金属箔
の表面に製膜されたものを使用するのが好ましい。特
に、芳香族ポリイミドの多孔質膜を用いる場合、イミド
転化の際に高温に加熱する場合が多いため、製膜時の基
材は耐熱性の高い金属等を使用するのが好ましい。
【0024】製膜基材となる金属箔としては、銅、白
銅、青銅、黄銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステン
レス、金、銀、白金等の各種のものを使用できる。これ
らの金属箔の厚さは好ましくは1〜50μmである。本
発明では配線基板の信号層を構成する配線パターンとし
て好適な銅箔を用いるのが特に好ましい。金属箔の表面
には、多孔質膜との密着性を高めるために、粗面化処
理、黒色処理などの物理的又は化学的な各種表面処理を
行ってもよい。
【0025】本発明では、金属箔以外の製膜基材を使用
して製膜してもよく、その場合、樹脂フィルム等が使用
できる。かかる樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエス
テルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミド
フィルムなどが挙げられる。また、後の工程で剥離し易
いように、製膜溶液を塗布する表面に離型処理等を施し
たものでもよい。
【0026】多孔質膜の形成は、湿式凝固法、乾式凝固
法、延伸法など種々の製膜法が挙げられるが、フィンガ
ーボイド構造を得る上で湿式凝固法が好ましい。湿式凝
固法では、一般的に、溶剤に樹脂と添加剤等を溶解した
製膜原液(ドープ)を調製し、これを製膜基材に塗布
(キャスト)したものを凝固液に浸漬して溶剤置換させ
ることで、樹脂を凝固(ゲル化)させ、その後、凝固液
等を乾燥除去するなどして多孔質膜を得る。
【0027】ポリイミド系樹脂としては、酸残基とアミ
ン残基とがイミド結合した繰り返し単位を主体とするす
るものであれば、他の共重合成分やブレンド成分を含む
ものでもよい。好ましくは、耐熱性、吸湿性、機械的強
度の点から、主鎖に芳香族基を有するポリイミドであ
り、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の重合
物からなるポリイミドを挙げることができる。特に、
0.55〜3.00、好ましくは0. 60〜0.85の
極限粘度(30℃での測定値)有している高分子である
ことが望ましい。上記範囲の極限粘度を有するものは、
多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合に、溶剤への溶
解性が良好で、機械的強度が大きく自立性の多孔質膜と
なる。
【0028】ポリイミド系樹脂は、当該重合体またはそ
の前駆体(ポリアミド酸)を製膜に用いることができる
が、ポリアミド酸はポリイミドと比較して溶解性が高い
ために、分子構造上の制約が少ないという利点がある。
なお、重合体としては、完全にイミド化しているものが
よいが、イミド化率が70%以上のものでも良い。イミ
ド化率が比較的高いものをドープに用いる場合、ブタン
テトラカルボン酸二無水物等の屈曲性の高い成分を繰り
返し単位に含む重合体を使用するのが好ましい。
【0029】ポリイミド系樹脂又はその前駆体を溶解さ
せる溶剤は、これらを溶解する物であれば特に限定され
ないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の
面や、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合の凝固溶
剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。好
ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示す
ることができる。また、ジエチレングリコールジメチル
エーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の
溶剤を混合して、前記湿式凝固法における溶剤置換の速
度を調整してもよい。
【0030】一方、芳香族ポリアミドとしては、いわゆ
るパラ型アラミドやメタ型アラミドの他、骨格の一部を
ジフェニルエーテル、ジフェニルプロパン、ジフェニル
メタン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホキシド、
ビフェニル等で置換したものや、芳香環の水素基をメチ
ル基、ハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられ
る。
【0031】パラ型アラミドとしては、ポリp−フェニ
レンテレフタラミド等が挙げられるが、このポリマーの
ように剛直な成分のみで構成されたアラミドは、特殊な
薬剤で溶解させる必要がある。従って、多孔質膜に用い
る芳香族ポリアミドとしては、屈曲性を付与する成分で
骨格の一部を置換したアラミドやメタ型アラミドを少な
くとも一部に使用することが好ましい。屈曲性を付与す
る成分としては、m−フェニレン、2,7−ナフタレ
ン、ジフェニルエーテル、2,2−ジフェニルプロパ
ン、ジフェニルメタンなどが挙げられる。このような成
分は、ジカルボン酸モノマー又はジアミンモノマーとし
て、共重合に使用されて骨格に導入されるが、当該成分
の共重合比が大きいものほど、一般に溶剤に対する溶解
性が高くなる。
【0032】芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解
性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチ
ルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−
2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,
N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロ
ラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチル
アセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジ
メチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチ
ルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチル
プロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更
に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロ
トン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換
スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例と
して、N−メチル−2−ピロリドンを例示することがで
きる。
【0033】また、ジエチレングリコールジメチルエー
テル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチ
レングリコールジブチルエーテル、等の溶剤を混合し
て、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0034】湿式凝固法におけるドープは、好ましくは
−20〜40℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液
としては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を
有するものであれば、限定されないが、水やメタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用
いられる。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されない
が、好ましくは0〜90℃の温度である。
【0035】製膜原液のポリマー濃度は、5重量%から
25重量%の範囲が好ましく、7重量%から20重量%
がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりす
ぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質
膜が形成しにくくなる傾向がある。
【0036】孔径形状や孔径コントロールのために硝酸
リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのよう
な有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液
中に1重量%から10重量%まで添加するのが好まし
い。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速
度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造
(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニ
ルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を
加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得
ることができる。
【0037】また、凝固液に浸漬する前に、例えば30
℃以上、相対湿度90%以上の雰囲気に所定時間(例え
ば1秒〜10分間)放置することにより水分等をドープ
に吸収させることで、表面付近の多孔質膜の孔径コント
ロールを行ってもよい。例えばこの操作により、表面に
スキン層が形成されるようなドープ組成でも、孔径をあ
る程度大きくすることができる場合がある。
【0038】ドープは一定の厚みに塗布し、水等の凝固
液中に浸積して凝固させたり、水蒸気雰囲気下に放置し
て凝固した後、水中に浸積するなどして、脱溶剤され多
孔質膜となる。多孔質膜の形成後、凝固液から取り出し
た後、乾燥する。乾燥温度は特に制限されないが、20
0℃以下での乾燥が望ましい。
【0039】ポリイミド系樹脂の多孔質膜を形成する
際、その前駆体(ポリアミド酸)を用いる場合には、最
終的に200〜500℃で熱処理して、前駆体(ポリア
ミド酸)を加熱閉環させてポリイミドとする。
【0040】以上のようにして、金属箔の表面に多孔質
膜が形成された金属箔積層板は、エッチング液を用いた
エッチング等により金属箔にパターン形成されて信号層
が形成される。エッチングは金属の種類に応じたエッチ
ング液が使用され、パターンエッチングには、ドライフ
ィルムレジスト等が使用できる。多孔質膜単体の場合
は、金属箔を積層一体化した後、上記と同様にしてパタ
ーン形成すればよい。
【0041】その後、熱硬化性樹脂等からなる接着性シ
ートや接着剤を用いて、多孔質膜側に金属箔を積層一体
化してグランド層1を形成することで、図1に示す多層
配線基板を得ることができる。
【0042】図2を用いて本発明の効果を説明すると次
のようになる。図2(a)に示すように、従来の多孔質
膜を絶縁層2に使用する方法では、厚み方向で空孔率が
一定のため、特性インピーダンスZo1を一定に維持し
つつ、配線パターン3a,3b間の静電結合容量C1を
小さくできなかった。これに対して、本発明の多層配線
基板によると、絶縁層2を厚み方向で空孔率が異なる多
孔質膜で構成すると共に、空孔率が高い側の面2aを信
号層3側に配置してあるため、厚み方向全体の空孔率、
即ち特性インピーダンスZo2を維持しながら、一方の
表面2aのみを低誘電率化して、配線パターン3a,3
b間の静電結合容量C2を小さくできる。逆にグランド
層1又は電源層の側の誘電率は大きくなるが、この点は
特に問題とならない。その結果、高周波特性や耐ノイズ
性に優れるため信号層3の高密度化が可能で、しかも特
性インピーダンスの整合に影響を与えにくい多層配線基
板を提供することができる。
【0043】[他の実施形態]以下、本発明の他の実施
の形態について説明する。
【0044】(1)前述の実施形態では、1層の信号層
と絶縁層の全面に設けられた1層のグランド層が形成さ
れた2層構造の配線基板の例を示したが、図3(a)に
示すように、グランド層1は絶縁層2の一部に設けられ
たものでもよい。また、グランド層1の代わりに、電源
層を設けたものでもよい。
【0045】更に多層化したものでもよく、例えば図3
(b)に示すものが挙げられる。この実施形態はコア基
板の両面にグランド層1又は電源層が形成され、その両
側の表面に多孔質膜よりなる絶縁層2と信号層3とが形
成されている。その多孔質膜の空孔率が高い側の面を信
号層3側に配置してある。なお、グランド層1にはクリ
アランスホール1aが設けられており、また、信号層3
の両表面にはソルダーレジスト4が形成されている。コ
ア基板の絶縁層としては、ガラス基材エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、BT樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ
る。
【0046】(2)前述の実施形態では、信号層に対応
するグランド層が1層で形成された構造の配線基板の例
を示したが、図4に示すように信号層3の両側にグラン
ド層1及び電源層1が形成されていてもよい。
【0047】図4(a)に示すものは、信号層3の両面
に絶縁層2が形成され、各絶縁層2を構成する多孔質膜
の空孔率が高い側の面を信号層3側に配置してある。一
方の絶縁層2は信号層3と一体に形成され、他方の絶縁
層2は接着層5を介して積層されている。接着層5とし
ては、熱硬化性樹脂を含有する接着性シートや接着剤が
挙げられる。
【0048】図4(b)に示すものは、信号層3と、そ
の配線パターンと直交する配線パターンを有する信号層
3cとの2層で信号層が形成され、その両面に絶縁層2
が形成され、各絶縁層2を構成する多孔質膜の空孔率が
高い側の面を信号層3側に配置してある。両者の絶縁層
2は信号層3、3cと各々一体に形成され、両者の絶縁
層2は接着層5を介して積層されている。なお、信号層
3と信号層3cとはバイアホール等で部分的に層間接続
されていてもよい。
【0049】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実
施例等について説明する。なお、多孔質膜の空孔率等の
評価は、次のようにして行った。
【0050】(1)多孔質膜の全体の空孔率 多孔質膜の容積と重量を測定し、多孔質膜の比重を求
め、これと素材の比重より、下式: 空孔率(%)=(1−(多孔質膜の比重/素材比重))
×100 により、空孔率を求めた。
【0051】(2)多孔質膜の両表面付近の空孔率 多孔質膜の断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)
を用いて、写真撮影を行い、多孔質膜の表面から1/3
の厚さにおける空孔面積の割合いから多孔質膜の両表面
付近の空孔率を求めた。
【0052】〔ポリイミド多孔質膜の調製例〕BPDA
(ビフェニルテトラカルボン酸二無水和物)−DDE
(ジアミノジフェニルエーテル)−PPD(パラフェニ
レンジアミン)系のポリイミド前駆体15重量部、N−
メチル−2−ピロリドン(NMP)85重量部からなる
製膜原液を、35μm圧延銅箔(ジャパンエナジー社
製)の粗化面上に、フィルムアプリケーターを用いて、
ギャップ100μmで均一の厚さに塗布した。塗布後直
ちに25℃の純水中に浸着し、ポリイミド前駆体を凝固
させた。凝固後90℃で1時間以上乾燥させた。乾燥
後、窒素雰囲気中にて400℃で3時間熱処理し、ポリ
イミド前駆体を加熱閉環させ、銅箔上に形成されたポリ
イミド多孔質膜を得た。このものは、厚み30μmであ
り、長さ12μm、最大径部の平均直径5μmのフィン
ガーボイド構造となっていた。全体の空孔率は50%、
銅箔側から1/3の厚みの空孔率は90%、表面側から
1/3の厚みの空孔率は20%であった。
【0053】この金属箔積層板を用いて、線幅50μm
のパターンを形成すべく、ドライフィルムレジストによ
り、露光、現像後に、エッチング液でエッチングしたこ
とろ、パターンの剥離や浸食が殆ど生じることなく、パ
ターン形成することができた。
【0054】〔アラミド多孔質膜の調製例〕芳香族ポリ
アミド(帝人(株)製,コーネックス)を、N−メチル
−2−ピロリドン(NMP)中に溶解し、さらにポリビ
ニルピロリドン(PVP)(アイエスピージャパン
(株)製、K−90)と水を加えて、芳香族ポリアミド
(9重量部)、NMP(83重量部)、PVP(4重量
部)、水(4重量部)のポリマー溶液を得た。これを厚
み35μm圧延銅箔(ジャパンエナジー社製)の粗化面
上に塗布し、その後直ちに60℃の水槽に浸漬して多孔
質膜を形成した。その後、1昼夜水中保存して脱溶剤を
行った。
【0055】得られた多孔質膜は、厚み50μmであ
り、長さ20μm、最大径部の平均直径5μmのフィン
ガーボイド構造となっていた。全体の空孔率は40%、
銅箔側から1/3の厚みの空孔率は80%、表面側から
1/3の厚みの空孔率は10%であった。
【0056】この金属箔積層板を用いて、線幅100μ
mのパターンを形成すべく、ドライフィルムレジストに
より、露光、現像後に、エッチング液でエッチングした
ことろ、パターンの剥離や浸食が殆ど生じることなく、
パターン形成することができた。
【0057】実施例1〜2 上記の調製例で得た2種の金属箔積層板をそれぞれ2枚
用いて、成形した信号線が直角方向になるように向かい
合わせてエポキシ系接着剤にて貼り合わせ、更に35μ
m圧延銅箔2枚を、両面にエポキシ系接着剤にて貼り合
わせることで、4層の配線基板を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の一例を模式的に示す断
面図
【図2】本発明の多層配線基板の作用を説明するための
説明図
【図3】本発明の多層配線基板の他の例を模式的に示す
断面図
【図4】本発明の多層配線基板の他のを模式的に示す断
面図
【符号の説明】
1 グランド層(又は電源層) 2 絶縁層 2a 多孔質膜の空孔率が高い側の面 2b 多孔質膜の空孔率が低い側の面 3 信号層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田原 伸治 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 池田 健一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 5E338 AA03 CC01 CC04 CC06 EE11 EE13 5E346 AA12 AA15 AA32 AA51 BB02 BB03 BB04 BB06 CC02 DD02 HH04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グランド層又は電源層と信号層とが絶縁
    層を介して配置された構造を有する多層配線基板におい
    て、前記絶縁層を厚み方向で空孔率が異なる多孔質膜で
    構成すると共に、その多孔質膜の空孔率が高い側の面を
    前記信号層側に配置してあることを特徴とする多層配線
    基板。
  2. 【請求項2】 前記信号層は、前記多孔質膜の製膜時に
    一体化された金属箔をパターン形成したものである請求
    項1記載の多層配線基板。
  3. 【請求項3】 前記多孔質膜は、空孔率が高い側の表面
    近傍にまで成長したフィンガーボイド構造を有する請求
    項1又は2に記載の多層配線基板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8345444B2 (en) 2007-11-01 2013-01-01 Panasonic Corporation Structure with electronic component mounted therein and method for manufacturing such structure
WO2022149450A1 (ja) * 2021-01-08 2022-07-14 株式会社村田製作所 多層基板、電子機器及び多層基板の製造方法
WO2022260094A1 (ja) * 2021-06-09 2022-12-15 株式会社村田製作所 導体層付き樹脂フィルム、積層基板、及び、導体層付き樹脂フィルムの製造方法

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