JP2004066763A - 金属箔積層板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】突起付金属箔の突起を絶縁層に挿通させ易く、突起の露出も容易に行えるため、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有する金属箔積層板の製造方法、及びその製造方法で得られる金属箔積層板、並びにこれを用いた配線基板を提供する。
【解決手段】略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10に対し、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13を積層する工程と、前記第2接着層13から前記導電性突起2aを露出させる工程と、その導電性突起2aに導電接続するように金属層8を前記第2接着層13により積層一体化する工程とを含む金属箔積層板の製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10に対し、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13を積層する工程と、前記第2接着層13から前記導電性突起2aを露出させる工程と、その導電性突起2aに導電接続するように金属層8を前記第2接着層13により積層一体化する工程とを含む金属箔積層板の製造方法。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性突起を有する突起付金属箔に樹脂多孔質膜を有する絶縁層を形成する工程を含む金属箔積層板の製造方法、及びその製造方法で得られる金属箔積層板、並びにこれを用いた配線基板に関するものであり、多層配線基板の配線層間を導電接続するための技術として有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器等の小形化や高機能化に伴い、配線基板に対しても高密度化の要求が高まり、これに対応すべく配線層の多層構造化が行われている。かかる多層配線基板の構造としては、絶縁層とパターン形成された配線層とが順次積層され、配線層がインナービアホールを介して導電接続されたものが一般的である。当該導電接続の方法としては、ビアホールの内周面にメッキを施す方法、ビアホールの内部空間にメッキして金属柱を形成する方法、ビアホールの内部空間に導電性ペーストを充填する方法などが知られている。
【0003】
中でも、特開平6−268345号公報に開示されているように、多孔性プリプレグ基材の少なくとも片面に離型性フィルムを備えたプリプレグに貫通孔を設ける工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、前記離型性フィルムを剥離する工程と、前記離型性フィルムを剥離した面に金属箔を積層する工程と、この積層体を加熱加圧して圧縮する工程とを有するものが、層間接続の信頼性などの点から注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにビアホールの形成後に金属のメッキや導電性ペーストの充填を行う方法では、レーザー加工が必要となったり、工程が複雑化する傾向があった。
【0005】
一方、導電性ペースト等で突起を形成した突起付金属箔と、補強繊維を含有するプリプレグとを積層して突起を貫通させた上で、更に金属箔を加熱プレス等により積層一体化して層間接続構造を形成する方法も知られている。
【0006】
しかし、この方法では、プリプレグに補強繊維を使用しているため、突起の形状を工夫する必要があるなど、突起を貫通させるのが通常容易ではなかった。また、補強繊維を含有するプリプレグは、通常、厚みが厚くなるため(例えば50μm以上)、この点からも突起を貫通させるのが困難になり、また配線基板の薄層化も行いにくくなる。更に、積層により突起をプリプレグの表面付近まで挿通した後に、表面研磨等で突起を露出させようとしても、補強繊維が存在するため、突起を露出させにくいと言う問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、突起付金属箔の突起を絶縁層に挿通させ易く、突起の露出も容易に行えるため、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有する金属箔積層板の製造方法、及びその製造方法で得られる金属箔積層板、並びにこれを用いた配線基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の金属箔積層板の製造方法は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔に対し、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を積層する工程と、前記第2接着層から前記導電性突起を露出させる工程と、その導電性突起に導電接続するように金属層を前記第2接着層により積層一体化する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の金属箔積層板の製造方法は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔に対し、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグを積層する工程と、前記プリプレグから前記導電性突起を露出させる工程と、その導電性突起に導電接続するように金属層を前記プリプレグにより積層一体化する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
上記において、前記導電性突起を露出させる工程が、プラズマエッチングにより行われることが好ましい。
【0011】
一方、本発明の金属箔積層板は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔と、その突起付金属箔に接着しつつ導電性突起を貫通させる第1接着層と、その第1接着層に接着しつつ導電性突起を貫通させる樹脂多孔質層と、その樹脂多孔質層を接着しつつ導電性突起を貫通させる第2接着層と、その導電性突起に導電接続した状態で前記第2接着層により積層一体化された金属層とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の金属箔積層板は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔と、その突起付金属箔に接着しつつ導電性突起を貫通させる、樹脂多孔質膜を補強相とする絶縁層と、その導電性突起に導電接続した状態で前記絶縁層により積層一体化された金属層とを備えることを特徴とする。
【0013】
他方、本発明の配線基板は、上記の金属箔積層板の突起付金属箔と金属層とをパターン形成して配線パターンとしたことを特徴とする。
【0014】
[作用効果]
本発明の製造方法によると、突起付金属箔に対して第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を積層するため、第1接着層は樹脂多孔質層に支持されるので貫通し易くなり、樹脂多孔質層は一般のプリプレグに比べて空孔の存在により導電性突起を挿通(又は貫通)し易くなる。また第2接着層から導電性突起を露出させてこれに金属層が導電接続するように積層一体化するため、信頼性の高い導電接続構造を形成することができ、その際、突起の上部に補強繊維が存在しないため導電性突起を容易に露出させることができる。従って、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有する金属箔積層板を製造することができる。更に、樹脂多孔質層の両面の接着層により金属層を積層一体化するため、樹脂多孔質層の空孔がある程度維持されるので、絶縁層の低誘電率化を図ることができる。
【0015】
また、本発明の別の製造方法によると、突起付金属箔に対して樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグを積層するため、補強繊維等を含有する場合と比べて、導電性突起を挿通し易くなる。またプリプレグから導電性突起を露出させてこれに金属層が導電接続するように積層一体化するため、信頼性の高い導電接続構造を形成することができ、その際、突起の上部に補強繊維が存在しないため導電性突起を容易に露出させることができる。従って、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有する金属箔積層板を製造することができる。
【0016】
前記導電性突起を露出させる工程が、プラズマエッチングにより行われる場合、機械的な研磨等に比べて、粒子が発生しにくいため、金属層の積層一体化時に導電接続がより確実に行えるようになる。また、粘着性を有する接着層に対しても、効果的に表層部の除去を行うことができる。
【0017】
一方、本発明の金属箔積層板によると、絶縁層として突起付金属箔に接着した樹脂多孔質層を備えるため、樹脂多孔質層の空孔によって、絶縁層の低誘電率化を図ることができる。また、樹脂多孔質層の両面に接着層を備えるため、金属層等のエッチングの際にエッチング液が空孔に進入しにくく、エッチング液の残存による問題も生じにくくなる。更に、導電性突起を貫通させた接着層によって、樹脂多孔質層と金属層とを積層一体化する際に、導電性突起に金属層を導電接続した状態にするため、信頼性の高い導電接続構造を形成することができる。
【0018】
また、本発明の別の金属箔積層板によると、絶縁層が樹脂多孔質膜を補強相とするため、突起付金属箔に積層する際に導電性突起の貫通と露出が行い易く、信頼性の高い導電接続構造を形成することができる。また、補強繊維を補強相とする場合と比較して、配線基板の薄層化もより容易になる。
【0019】
他方、本発明の配線基板によると、上記の金属箔積層板の突起付金属箔と金属層とをパターン形成して配線パターンとしているため、上記の如き作用効果により、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有するものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1〜図2は本発明の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図である。
【0021】
本発明の金属箔積層板の製造方法は、図1(e)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10に対し、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13を積層する工程を含む。
【0022】
まず、突起付金属箔10の成形方法について説明する。突起付金属箔10の成形方法としては、図1に示すようにエッチングで形成する方法の他、メッキで形成する方法、導電性ペーストで形成する方法などが挙げられる。これらの突起付金属箔10の金属箔部分の厚さは好ましくは1〜50μmである。金属箔部分の表面には、第1接着層11との密着性を高めるために、粗面化処理、黒色処理などの物理的又は化学的な各種表面処理を行ってもよい。導電性突起2aの高さは、2〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
【0023】
エッチングで形成する方法では、図1(a)に示すような、2種の金属層1,2からなる積層板を用意する。積層板を構成する金属層1,2のうち、一方を配線層となり、他方を導電性突起2aとなるため、各々の材料に応じた金属が選択される。但し、配線パターンとしての導電性、加工性等の点から、配線層となる金属層1が銅であることが好ましい。また、他方の金属層2としては、そのエッチング時に金属層1を浸食しない選択的なエッチングが可能な金属が選ばれる。具体的には、アルミニウム、金、ニッケル、などが挙げられる。積層板としてはクラッド材や、メッキ材などが使用できる。また、積層板として、導電性突起2aとなる金属層と、配線層となる金属層とを同一金属(例えば銅等)とし、その間に選択的なエッチングが可能な金属の中間層を介在させた3層構造のものを使用してもよい。その場合、配線層のパターン形成後に、中間層もエッチング等でパターン形成される。
【0024】
次いで、図1(b)に示すように、金属層2の表面の導電性突起2aを形成する部分に、エッチングをレジストするマスク層3を形成する。マスク層3の形成はスクリーン印刷やフォトリソグラフィー法が利用できる。個々のマスク層3の大きさは、導電性突起2aの上面面積に応じて決定されるが、直径5〜500μmが可能である。また、個々のマスク層3の形状によって導電性突起2aの上面形状を制御でき、円形、四角形、配線パターンに沿った形状などが挙げられる。
【0025】
次いで、図1(c)に示すように、金属層2のエッチングを行い、導電性突起2aを形成する。その際、アンダーカットが多すぎないようにエッチング条件を調整するのが好ましい。エッチングは、金属層2を選択的にエッチングするエッチング液を用いて行えばよい。
【0026】
次いで、図1(d)に示すように、マスク層3を除去する。除去の方法としては、薬剤による除去や剥離除去を行えばよい。これにより、製膜側面に略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10を製造することができる。
【0027】
本発明では、図1(e)〜(f)に示すように、以上のような突起付金属箔10に対し、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13を積層する工程を含む。本実施形態では、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13が予め積層一体化された積層物LPを使用して、その積層を行う例を示す。
【0028】
本発明における樹脂多孔質層12の材質としては、良好な耐熱性と機械的強度を有する樹脂が好ましく、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、特に芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂を採用することができる。これら樹脂のなかでもポリイミド系樹脂が絶縁性、耐熱性が良好であり好ましい。また、芳香族ポリアミドも絶縁性、耐熱性が良好であり、低熱線膨張率であるため好ましい。
【0029】
樹脂多孔質層12としては、空孔率10〜90%、平均孔径0.01〜3μmが好ましい。樹脂多孔質層12の厚みは、導電性突起2aより小さいことが好ましい。このような樹脂多孔質層12は、予め多孔質膜として湿式凝固法、延伸法、乾式凝固法などで製膜したものを使用することができる。
【0030】
湿式凝固法では、一般的に、溶剤に樹脂と添加剤等を溶解した製膜原液(ドープ)を調製し、これを製膜基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に浸漬して溶剤置換させることで、樹脂を凝固(ゲル化)させ、その後、凝固液等を乾燥除去するなどして多孔質膜を得る。製膜基材としては、ポリエステルなどの樹脂シート等が使用されるが、第1接着層11に対して樹脂多孔質膜を製膜・付着させてもよい。
【0031】
ポリイミド系樹脂としては、酸残基とアミン残基とがイミド結合した繰り返し単位を主体とするするものであれば、他の共重合成分やブレンド成分を含むものでもよい。好ましくは、耐熱性、吸湿性、機械的強度の点から、主鎖に芳香族基を有するポリイミドであり、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の重合物からなるポリイミドを挙げることができる。特に、0.55〜3.00、好ましくは0. 60〜0.85の極限粘度(30℃での測定値)有している高分子であることが望ましい。上記範囲の極限粘度を有するものは、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合に、溶剤への溶解性が良好で、機械的強度が大きく自立性の多孔質膜となる。
【0032】
ポリイミド系樹脂は、当該重合体またはその前駆体(ポリアミド酸)を製膜に用いることができるが、ポリアミド酸はポリイミドと比較して溶解性が高いために、分子構造上の制約が少ないという利点がある。なお、重合体としては、完全にイミド化しているものがよいが、イミド化率が70%以上のものでも良い。イミド化率が比較的高いものをドープに用いる場合、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の屈曲性の高い成分を繰り返し単位に含む重合体を使用するのが好ましい。
【0033】
ポリイミド系樹脂又はその前駆体を溶解させる溶剤は、これらを溶解する物であれば特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合の凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の溶剤を混合して、前記湿式凝固法における溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0034】
一方、芳香族ポリアミドとしては、いわゆるパラ型アラミドやメタ型アラミドの他、骨格の一部をジフェニルエーテル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホキシド、ビフェニル等で置換したものや、芳香環の水素基をメチル基、ハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられる。
【0035】
パラ型アラミドとしては、ポリp−フェニレンテレフタラミド等が挙げられるが、このポリマーのように剛直な成分のみで構成されたアラミドは、特殊な薬剤で溶解させる必要がある。従って、多孔質膜に用いる芳香族ポリアミドとしては、屈曲性を付与する成分で骨格の一部を置換したアラミドやメタ型アラミドを少なくとも一部に使用することが好ましい。屈曲性を付与する成分としては、m−フェニレン、2,7−ナフタレン、ジフェニルエーテル、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルメタンなどが挙げられる。このような成分は、ジカルボン酸モノマー又はジアミンモノマーとして、共重合に使用されて骨格に導入されるが、当該成分の共重合比が大きいものほど、一般に溶剤に対する溶解性が高くなる。
【0036】
芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。
【0037】
また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0038】
湿式凝固法におけるドープは、好ましくは−20〜40℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液としては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有するものであれば、限定されないが、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられる。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されないが、好ましくは0〜90℃の温度である。
【0039】
製膜原液のポリマー濃度は、5重量%から25重量%の範囲が好ましく、7重量%から20重量%がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質膜が形成しにくくなる傾向がある。
【0040】
孔径形状や孔径コントロールのために硝酸リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのような有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液中に1重量%から10重量%まで添加するのが好ましい。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得ることができる。
【0041】
製膜原液は一定の厚みに塗布し、水等の凝固液中に浸積して凝固させたり、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水中に浸積するなどして、脱溶剤され多孔質膜となる。多孔質膜の形成後、凝固液から取り出した後、乾燥する。乾燥温度は特に制限されないが、200℃以下での乾燥が望ましい。
【0042】
ポリイミド系樹脂の多孔質層を形成する際、その前駆体(ポリアミド酸)を用いる場合には、最終的に200〜500℃で熱処理して、前駆体(ポリアミド酸)を加熱閉環させてポリイミドとする。
【0043】
第1接着層11と第2接着層13の材質は、同一でも異なっていてもよいが、第1接着層11は、導電性突起2aを貫通させる上で、第2接着層13より少ない伸びで破断する材料が好ましい。
【0044】
何れの接着層11,13も、加熱プレスにより軟化して、最終的に硬化状態となるものが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられる。第1接着層11と第2接着層13の厚みは、金属層1や樹脂多孔質層12との接着性を確保する観点より、2〜50μmが好ましい。
【0045】
第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13からなる積層物LPを形成する方法としては、各層を予めシート状に形成し、それらを加熱プレス、ラミネート等により積層一体化する方法や、樹脂多孔質膜の両面に接着剤を塗布形成する方法等が挙げられる。従って、積層物LPの樹脂多孔質層12には第1接着層11及び第2接着層13が一部含浸されていてもよく、仮着状態であってもよい。第2接着層13は、プレス面7から離型し易いように、離型フィルムを備えるものも使用したり、別途、離型フィルムをプレス面7との間に介在させたりするのが好ましい。また、プレス面7を離型処理してもよい。
【0046】
積層物LPを突起付金属箔10に積層する際、加熱プレスや常温プレスなどを採用することができるが、導電性突起2aの上面2bが第2接着層13の上面付近まで到達するように、加熱プレスを行うのが好ましい。加熱プレスには、真空プレス装置、熱プレス装置、連続プレス装置などの各種プレス装置が利用でき、また、加熱プレスの温度、圧力は、接着剤の硬化反応が完了しないような、従来公知の条件が何れも適用できる。
【0047】
また、加熱プレスで積層物LPを積層一体化すると、接着層11,13が軟化して、軟化した接着層11,13の一部は樹脂多孔質層12の表面部に一部含浸される(これも接着層に相当する)場合がある。更に、プレス面7による加圧で、プレス面7と導電性突起2aの上面2bとの間に介在する第2接着層13を微量にすることができる。
【0048】
本発明は、図2(g)に示すように、第2接着層13から導電性突起2aを露出させる工程を含む。具体的には、スパッタエッチング、表面のアルカリ処理、プラズマエッチング、研磨ロール等により、第2接着層13の表面部分を除去すればよい。これによって、第2接着層13の全体の厚みが小さくなって、導電性突起2aの上面2bが露出する。
【0049】
本発明は、図2(j)に示すように、導電性突起2aに導電接続するように金属層8を第2接着層13により積層一体化する工程を含む。本実施形態では、導電性突起2aと金属層8とが直接接触して導電接続される例を示す。積層一体化の方法としては、上記と同様の加熱プレスによる接着、加熱による接着などが挙げられる。
【0050】
本発明の金属箔積層板は、本発明の製造方法により好適に製造されるものであり、図2(h)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10と、その突起付金属箔10に接着しつつ導電性突起2aを貫通させる第1接着層11と、その第1接着層11に接着しつつ導電性突起2aを貫通させる樹脂多孔質層12と、その樹脂多孔質層12を接着しつつ導電性突起2aを貫通させる第2接着層13と、その導電性突起2aに導電接続した状態で第2接着層13で積層一体化された金属層8とを備える。当該金属箔積層板は、必要によりパターン形成された後に、両面配線基板、多層配線基板のコア基板や積層用基板として使用することができる。
【0051】
つまり、本発明の配線基板は、以上のような金属箔積層板の突起付金属箔と金属層とをパターン形成して配線パターンとしたものである。パターン形成は、例えばエッチング液を用いたエッチング等により行われる。エッチングは金属の種類に応じたエッチング液が使用され、パターンエッチングには、ドライフィルムレジスト等が使用できる。エッチングの後には、エッチング液が残存しないように、水等による洗浄工程を行うのが好ましい。
【0052】
一方、本発明の別の製造方法は、図3に示すように、積層物LPを使用する代わりに、プリプレグ15を用いて絶縁層16を形成するものである。以下、前述の製造方法と異なる点について説明する。
【0053】
本発明の別の製造方法は、図3(a)〜(b)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10に対し、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグ15を積層する工程を含む。プリプレグ15の補強相となる樹脂多孔質膜は、樹脂多孔質層を形成するための前記の樹脂多孔質膜と同じものを使用することができる。
【0054】
プリプレグ15に含浸される樹脂成分としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられるが、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂と他の樹脂の混合物などが価格や取り扱い易さの点から好ましい。
【0055】
プリプレグ15の製造は、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂の原料液などを含浸させた後、これを半硬化させて行うことができる。熱硬化性樹脂の原料液には、溶剤の他に、触媒、硬化剤、難燃剤、充填剤、可塑剤、促進剤等を含有してもよい。溶剤としては、熱硬化性樹脂の種類によるが、ケトン類、酢酸エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられる。
【0056】
プリプレグ15を積層する方法としては、加熱プレスや常温プレスなどを採用することができるが、導電性突起2aの上面2bが積層したプリプレグ15aの上面付近まで到達するように、加熱プレスを行うのが好ましい。加熱プレスには、真空プレス装置、熱プレス装置、連続プレス装置などの各種プレス装置が利用でき、また、加熱プレスの温度、圧力は、接着剤の硬化反応が完了しないような、従来公知の条件が何れも適用できる。
【0057】
本発明は、図3(c)に示すように、積層したプリプレグ15aから導電性突起2aを露出させる工程を含む。具体的には、スパッタエッチング、表面のアルカリ処理、プラズマエッチング、研磨ロール等により、プリプレグ15aの表面部分を除去すればよい。これによって、プリプレグ15aの全体の厚みが小さくなって、プリプレグ15bから導電性突起2aの上面2bが露出する。
【0058】
本発明は、図3(d)に示すように、導電性突起2aに導電接続するように金属層8をプリプレグ15bにより積層一体化する工程を含む。本実施形態では、導電性突起2aと金属層8とが直接接触して導電接続される例を示す。積層一体化の方法としては、上記と同様の加熱プレスによる接着、加熱による接着などが挙げられる。
【0059】
本発明の別の金属箔積層板は、本発明の別の製造方法により好適に製造されるものであり、図3(d)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10と、その突起付金属箔10に接着しつつ導電性突起2aを貫通させる、樹脂多孔質膜を補強相とする絶縁層16と、その導電性突起2aに導電接続した状態で絶縁層16で積層一体化された金属層8とを備える。
【0060】
〔他の実施形態〕
以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0061】
(1)本発明の前述の実施形態では、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層が予め積層一体化された積層物を使用する例を示したが、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を別々に配置してから、突起付金属箔に積層してもよい。
【0062】
その場合、加熱プレスにより積層一体化させるのが好ましく、積層一体化により第1接着層が軟化して突起付金属箔と樹脂多孔質層とを接着させ、また、第2接着層が軟化して金属層と樹脂多孔質層とを接着させる。その後の工程は同様にして実施することができる。
【0063】
(2)本発明の前述の実施形態では、各層を予めシート状に形成し、それらを積層一体化した積層物を突起付金属箔に積層する例を示したが、第1接着層と第2接着層を樹脂多孔質層に塗布形成してもよい。その場合、シート状物と同様の材料が使用できる。また、塗布の方法としては、ブレードコーター、コンマコーター、ロールコーター、カレンダコーター、バーコーターによる塗布方法が挙げられる。塗布後、必要に応じて加熱しながら、乾燥を行う。この状態で、熱硬化性樹脂は、未硬化又は半硬化の状態となる。
【0064】
(3)前述の実施形態では、エッチングで略同じ高さの導電性突起を形成した突起付金属箔を用いる例を示したが、本発明では、メッキで形成したものや、導電性ペーストで形成したものを用いてもよい。
【0065】
突起付金属箔10をメッキで形成する方法としては、まず、図4(a)〜(d)に示すように、金属層1にドライフィルムレジスト9を積層し、露光・現像して開口9aを形成し、その部分に電解メッキ等することで導電性突起2aを形成することができる。その後、ドライフィルムレジスト9は、薬剤除去又は剥離除去などすればよい。この方法によると、導電性突起2aと金属層1とを同じ金属で形成することができる。
【0066】
また、導電性突起2aを導電性ペーストで形成する場合、スクリーン印刷などの印刷法により、所定の部分に導電性ペーストを印刷するなどすればよい。その際、厚みを一定以上にするために、複数回に分けて印刷してもよい。
【0067】
(4)前述の実施形態では、導電性突起と金属層とが直接接触して導電接続される例を示したが、導電性ペーストなどを介して両者が導電接続されてもよい。その場合、スクリーン印刷などの方法で、接着層から露出させた導電性突起の上面に、導電性ペーストを塗布すればよい。導電性ペーストとしては、金属層を接着層により積層一体化する際に、加熱等で硬化する樹脂成分を含有するものが好ましい。
【0068】
(5)前述の実施形態では、突起付金属箔に対し、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を積層する工程、あるいは、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグを積層する工程によって、突起付金属箔の導電性突起が貫通しない例を示したが、積層によって一部の導電性突起が貫通して露出し、未露出の導電性突起が存在する場合に、導電性突起を露出させる工程を実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図
【図2】本発明の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図
【図3】本発明の別の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図
【図4】本発明の金属箔積層板の製造方法の他の例を示す工程図
【符号の説明】
2a 導電性突起
8 金属層
10 突起付金属箔
11 第1接着層
12 樹脂多孔質層
13 第2接着層
15 プリプレグ
16 絶縁層
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性突起を有する突起付金属箔に樹脂多孔質膜を有する絶縁層を形成する工程を含む金属箔積層板の製造方法、及びその製造方法で得られる金属箔積層板、並びにこれを用いた配線基板に関するものであり、多層配線基板の配線層間を導電接続するための技術として有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器等の小形化や高機能化に伴い、配線基板に対しても高密度化の要求が高まり、これに対応すべく配線層の多層構造化が行われている。かかる多層配線基板の構造としては、絶縁層とパターン形成された配線層とが順次積層され、配線層がインナービアホールを介して導電接続されたものが一般的である。当該導電接続の方法としては、ビアホールの内周面にメッキを施す方法、ビアホールの内部空間にメッキして金属柱を形成する方法、ビアホールの内部空間に導電性ペーストを充填する方法などが知られている。
【0003】
中でも、特開平6−268345号公報に開示されているように、多孔性プリプレグ基材の少なくとも片面に離型性フィルムを備えたプリプレグに貫通孔を設ける工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、前記離型性フィルムを剥離する工程と、前記離型性フィルムを剥離した面に金属箔を積層する工程と、この積層体を加熱加圧して圧縮する工程とを有するものが、層間接続の信頼性などの点から注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにビアホールの形成後に金属のメッキや導電性ペーストの充填を行う方法では、レーザー加工が必要となったり、工程が複雑化する傾向があった。
【0005】
一方、導電性ペースト等で突起を形成した突起付金属箔と、補強繊維を含有するプリプレグとを積層して突起を貫通させた上で、更に金属箔を加熱プレス等により積層一体化して層間接続構造を形成する方法も知られている。
【0006】
しかし、この方法では、プリプレグに補強繊維を使用しているため、突起の形状を工夫する必要があるなど、突起を貫通させるのが通常容易ではなかった。また、補強繊維を含有するプリプレグは、通常、厚みが厚くなるため(例えば50μm以上)、この点からも突起を貫通させるのが困難になり、また配線基板の薄層化も行いにくくなる。更に、積層により突起をプリプレグの表面付近まで挿通した後に、表面研磨等で突起を露出させようとしても、補強繊維が存在するため、突起を露出させにくいと言う問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、突起付金属箔の突起を絶縁層に挿通させ易く、突起の露出も容易に行えるため、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有する金属箔積層板の製造方法、及びその製造方法で得られる金属箔積層板、並びにこれを用いた配線基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の金属箔積層板の製造方法は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔に対し、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を積層する工程と、前記第2接着層から前記導電性突起を露出させる工程と、その導電性突起に導電接続するように金属層を前記第2接着層により積層一体化する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の金属箔積層板の製造方法は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔に対し、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグを積層する工程と、前記プリプレグから前記導電性突起を露出させる工程と、その導電性突起に導電接続するように金属層を前記プリプレグにより積層一体化する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
上記において、前記導電性突起を露出させる工程が、プラズマエッチングにより行われることが好ましい。
【0011】
一方、本発明の金属箔積層板は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔と、その突起付金属箔に接着しつつ導電性突起を貫通させる第1接着層と、その第1接着層に接着しつつ導電性突起を貫通させる樹脂多孔質層と、その樹脂多孔質層を接着しつつ導電性突起を貫通させる第2接着層と、その導電性突起に導電接続した状態で前記第2接着層により積層一体化された金属層とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の金属箔積層板は、略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔と、その突起付金属箔に接着しつつ導電性突起を貫通させる、樹脂多孔質膜を補強相とする絶縁層と、その導電性突起に導電接続した状態で前記絶縁層により積層一体化された金属層とを備えることを特徴とする。
【0013】
他方、本発明の配線基板は、上記の金属箔積層板の突起付金属箔と金属層とをパターン形成して配線パターンとしたことを特徴とする。
【0014】
[作用効果]
本発明の製造方法によると、突起付金属箔に対して第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を積層するため、第1接着層は樹脂多孔質層に支持されるので貫通し易くなり、樹脂多孔質層は一般のプリプレグに比べて空孔の存在により導電性突起を挿通(又は貫通)し易くなる。また第2接着層から導電性突起を露出させてこれに金属層が導電接続するように積層一体化するため、信頼性の高い導電接続構造を形成することができ、その際、突起の上部に補強繊維が存在しないため導電性突起を容易に露出させることができる。従って、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有する金属箔積層板を製造することができる。更に、樹脂多孔質層の両面の接着層により金属層を積層一体化するため、樹脂多孔質層の空孔がある程度維持されるので、絶縁層の低誘電率化を図ることができる。
【0015】
また、本発明の別の製造方法によると、突起付金属箔に対して樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグを積層するため、補強繊維等を含有する場合と比べて、導電性突起を挿通し易くなる。またプリプレグから導電性突起を露出させてこれに金属層が導電接続するように積層一体化するため、信頼性の高い導電接続構造を形成することができ、その際、突起の上部に補強繊維が存在しないため導電性突起を容易に露出させることができる。従って、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有する金属箔積層板を製造することができる。
【0016】
前記導電性突起を露出させる工程が、プラズマエッチングにより行われる場合、機械的な研磨等に比べて、粒子が発生しにくいため、金属層の積層一体化時に導電接続がより確実に行えるようになる。また、粘着性を有する接着層に対しても、効果的に表層部の除去を行うことができる。
【0017】
一方、本発明の金属箔積層板によると、絶縁層として突起付金属箔に接着した樹脂多孔質層を備えるため、樹脂多孔質層の空孔によって、絶縁層の低誘電率化を図ることができる。また、樹脂多孔質層の両面に接着層を備えるため、金属層等のエッチングの際にエッチング液が空孔に進入しにくく、エッチング液の残存による問題も生じにくくなる。更に、導電性突起を貫通させた接着層によって、樹脂多孔質層と金属層とを積層一体化する際に、導電性突起に金属層を導電接続した状態にするため、信頼性の高い導電接続構造を形成することができる。
【0018】
また、本発明の別の金属箔積層板によると、絶縁層が樹脂多孔質膜を補強相とするため、突起付金属箔に積層する際に導電性突起の貫通と露出が行い易く、信頼性の高い導電接続構造を形成することができる。また、補強繊維を補強相とする場合と比較して、配線基板の薄層化もより容易になる。
【0019】
他方、本発明の配線基板によると、上記の金属箔積層板の突起付金属箔と金属層とをパターン形成して配線パターンとしているため、上記の如き作用効果により、簡易な工程でより確実に配線層間を導電接続できる接続構造を有するものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1〜図2は本発明の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図である。
【0021】
本発明の金属箔積層板の製造方法は、図1(e)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10に対し、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13を積層する工程を含む。
【0022】
まず、突起付金属箔10の成形方法について説明する。突起付金属箔10の成形方法としては、図1に示すようにエッチングで形成する方法の他、メッキで形成する方法、導電性ペーストで形成する方法などが挙げられる。これらの突起付金属箔10の金属箔部分の厚さは好ましくは1〜50μmである。金属箔部分の表面には、第1接着層11との密着性を高めるために、粗面化処理、黒色処理などの物理的又は化学的な各種表面処理を行ってもよい。導電性突起2aの高さは、2〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
【0023】
エッチングで形成する方法では、図1(a)に示すような、2種の金属層1,2からなる積層板を用意する。積層板を構成する金属層1,2のうち、一方を配線層となり、他方を導電性突起2aとなるため、各々の材料に応じた金属が選択される。但し、配線パターンとしての導電性、加工性等の点から、配線層となる金属層1が銅であることが好ましい。また、他方の金属層2としては、そのエッチング時に金属層1を浸食しない選択的なエッチングが可能な金属が選ばれる。具体的には、アルミニウム、金、ニッケル、などが挙げられる。積層板としてはクラッド材や、メッキ材などが使用できる。また、積層板として、導電性突起2aとなる金属層と、配線層となる金属層とを同一金属(例えば銅等)とし、その間に選択的なエッチングが可能な金属の中間層を介在させた3層構造のものを使用してもよい。その場合、配線層のパターン形成後に、中間層もエッチング等でパターン形成される。
【0024】
次いで、図1(b)に示すように、金属層2の表面の導電性突起2aを形成する部分に、エッチングをレジストするマスク層3を形成する。マスク層3の形成はスクリーン印刷やフォトリソグラフィー法が利用できる。個々のマスク層3の大きさは、導電性突起2aの上面面積に応じて決定されるが、直径5〜500μmが可能である。また、個々のマスク層3の形状によって導電性突起2aの上面形状を制御でき、円形、四角形、配線パターンに沿った形状などが挙げられる。
【0025】
次いで、図1(c)に示すように、金属層2のエッチングを行い、導電性突起2aを形成する。その際、アンダーカットが多すぎないようにエッチング条件を調整するのが好ましい。エッチングは、金属層2を選択的にエッチングするエッチング液を用いて行えばよい。
【0026】
次いで、図1(d)に示すように、マスク層3を除去する。除去の方法としては、薬剤による除去や剥離除去を行えばよい。これにより、製膜側面に略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10を製造することができる。
【0027】
本発明では、図1(e)〜(f)に示すように、以上のような突起付金属箔10に対し、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13を積層する工程を含む。本実施形態では、第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13が予め積層一体化された積層物LPを使用して、その積層を行う例を示す。
【0028】
本発明における樹脂多孔質層12の材質としては、良好な耐熱性と機械的強度を有する樹脂が好ましく、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、特に芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂を採用することができる。これら樹脂のなかでもポリイミド系樹脂が絶縁性、耐熱性が良好であり好ましい。また、芳香族ポリアミドも絶縁性、耐熱性が良好であり、低熱線膨張率であるため好ましい。
【0029】
樹脂多孔質層12としては、空孔率10〜90%、平均孔径0.01〜3μmが好ましい。樹脂多孔質層12の厚みは、導電性突起2aより小さいことが好ましい。このような樹脂多孔質層12は、予め多孔質膜として湿式凝固法、延伸法、乾式凝固法などで製膜したものを使用することができる。
【0030】
湿式凝固法では、一般的に、溶剤に樹脂と添加剤等を溶解した製膜原液(ドープ)を調製し、これを製膜基材に塗布(キャスト)したものを凝固液に浸漬して溶剤置換させることで、樹脂を凝固(ゲル化)させ、その後、凝固液等を乾燥除去するなどして多孔質膜を得る。製膜基材としては、ポリエステルなどの樹脂シート等が使用されるが、第1接着層11に対して樹脂多孔質膜を製膜・付着させてもよい。
【0031】
ポリイミド系樹脂としては、酸残基とアミン残基とがイミド結合した繰り返し単位を主体とするするものであれば、他の共重合成分やブレンド成分を含むものでもよい。好ましくは、耐熱性、吸湿性、機械的強度の点から、主鎖に芳香族基を有するポリイミドであり、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の重合物からなるポリイミドを挙げることができる。特に、0.55〜3.00、好ましくは0. 60〜0.85の極限粘度(30℃での測定値)有している高分子であることが望ましい。上記範囲の極限粘度を有するものは、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合に、溶剤への溶解性が良好で、機械的強度が大きく自立性の多孔質膜となる。
【0032】
ポリイミド系樹脂は、当該重合体またはその前駆体(ポリアミド酸)を製膜に用いることができるが、ポリアミド酸はポリイミドと比較して溶解性が高いために、分子構造上の制約が少ないという利点がある。なお、重合体としては、完全にイミド化しているものがよいが、イミド化率が70%以上のものでも良い。イミド化率が比較的高いものをドープに用いる場合、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の屈曲性の高い成分を繰り返し単位に含む重合体を使用するのが好ましい。
【0033】
ポリイミド系樹脂又はその前駆体を溶解させる溶剤は、これらを溶解する物であれば特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、多孔質膜の形成を湿式凝固法で行う場合の凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の溶剤を混合して、前記湿式凝固法における溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0034】
一方、芳香族ポリアミドとしては、いわゆるパラ型アラミドやメタ型アラミドの他、骨格の一部をジフェニルエーテル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホキシド、ビフェニル等で置換したものや、芳香環の水素基をメチル基、ハロゲン原子等で置換したものなどが挙げられる。
【0035】
パラ型アラミドとしては、ポリp−フェニレンテレフタラミド等が挙げられるが、このポリマーのように剛直な成分のみで構成されたアラミドは、特殊な薬剤で溶解させる必要がある。従って、多孔質膜に用いる芳香族ポリアミドとしては、屈曲性を付与する成分で骨格の一部を置換したアラミドやメタ型アラミドを少なくとも一部に使用することが好ましい。屈曲性を付与する成分としては、m−フェニレン、2,7−ナフタレン、ジフェニルエーテル、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルメタンなどが挙げられる。このような成分は、ジカルボン酸モノマー又はジアミンモノマーとして、共重合に使用されて骨格に導入されるが、当該成分の共重合比が大きいものほど、一般に溶剤に対する溶解性が高くなる。
【0036】
芳香族ポリアミドを溶解する溶剤は、溶解性の観点から、例えば、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン,N−メチルピペリドン−2、N,N−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルアロン酸アミド、N−メチルカプロラクタム、N−アセチルピロリジン、N,N−ジエチルアセトアミド、N−エチルピロリドン−2、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピレン尿素及びそれらの混合系が挙げられる。更に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤が溶解性の面や、凝固溶剤との溶剤置換スピードの点で好ましく使用できる。特に好ましい例として、N−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。
【0037】
また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、等の溶剤を混合して、溶剤置換の速度を調整してもよい。
【0038】
湿式凝固法におけるドープは、好ましくは−20〜40℃の温度範囲で塗布される。また、凝固液としては用いる樹脂を溶解せずに、上記溶剤と相溶性を有するものであれば、限定されないが、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類及びこれらの混合液が用いられ、特に水が好適に用いられる。浸漬時の凝固液の温度は特に限定されないが、好ましくは0〜90℃の温度である。
【0039】
製膜原液のポリマー濃度は、5重量%から25重量%の範囲が好ましく、7重量%から20重量%がより好ましい。濃度が高すぎると、粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるし、濃度が低すぎると多孔質膜が形成しにくくなる傾向がある。
【0040】
孔径形状や孔径コントロールのために硝酸リチウムのような無機物やポリビニルピロリドンのような有機物を添加することもできる。添加物の濃度は溶液中に1重量%から10重量%まで添加するのが好ましい。硝酸リチウムを添加すると溶剤と凝固液との置換速度が速く、スポンジ構造の中にフィンガーボイド構造(指状にボイドを有する構造)を形成できる。ポリビニルピロリドンのような凝固スピードを遅くする添加剤を加えると、スポンジ構造が均一に広がった多孔質膜を得ることができる。
【0041】
製膜原液は一定の厚みに塗布し、水等の凝固液中に浸積して凝固させたり、水蒸気雰囲気下に放置して凝固した後、水中に浸積するなどして、脱溶剤され多孔質膜となる。多孔質膜の形成後、凝固液から取り出した後、乾燥する。乾燥温度は特に制限されないが、200℃以下での乾燥が望ましい。
【0042】
ポリイミド系樹脂の多孔質層を形成する際、その前駆体(ポリアミド酸)を用いる場合には、最終的に200〜500℃で熱処理して、前駆体(ポリアミド酸)を加熱閉環させてポリイミドとする。
【0043】
第1接着層11と第2接着層13の材質は、同一でも異なっていてもよいが、第1接着層11は、導電性突起2aを貫通させる上で、第2接着層13より少ない伸びで破断する材料が好ましい。
【0044】
何れの接着層11,13も、加熱プレスにより軟化して、最終的に硬化状態となるものが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられる。第1接着層11と第2接着層13の厚みは、金属層1や樹脂多孔質層12との接着性を確保する観点より、2〜50μmが好ましい。
【0045】
第1接着層11、樹脂多孔質層12、及び第2接着層13からなる積層物LPを形成する方法としては、各層を予めシート状に形成し、それらを加熱プレス、ラミネート等により積層一体化する方法や、樹脂多孔質膜の両面に接着剤を塗布形成する方法等が挙げられる。従って、積層物LPの樹脂多孔質層12には第1接着層11及び第2接着層13が一部含浸されていてもよく、仮着状態であってもよい。第2接着層13は、プレス面7から離型し易いように、離型フィルムを備えるものも使用したり、別途、離型フィルムをプレス面7との間に介在させたりするのが好ましい。また、プレス面7を離型処理してもよい。
【0046】
積層物LPを突起付金属箔10に積層する際、加熱プレスや常温プレスなどを採用することができるが、導電性突起2aの上面2bが第2接着層13の上面付近まで到達するように、加熱プレスを行うのが好ましい。加熱プレスには、真空プレス装置、熱プレス装置、連続プレス装置などの各種プレス装置が利用でき、また、加熱プレスの温度、圧力は、接着剤の硬化反応が完了しないような、従来公知の条件が何れも適用できる。
【0047】
また、加熱プレスで積層物LPを積層一体化すると、接着層11,13が軟化して、軟化した接着層11,13の一部は樹脂多孔質層12の表面部に一部含浸される(これも接着層に相当する)場合がある。更に、プレス面7による加圧で、プレス面7と導電性突起2aの上面2bとの間に介在する第2接着層13を微量にすることができる。
【0048】
本発明は、図2(g)に示すように、第2接着層13から導電性突起2aを露出させる工程を含む。具体的には、スパッタエッチング、表面のアルカリ処理、プラズマエッチング、研磨ロール等により、第2接着層13の表面部分を除去すればよい。これによって、第2接着層13の全体の厚みが小さくなって、導電性突起2aの上面2bが露出する。
【0049】
本発明は、図2(j)に示すように、導電性突起2aに導電接続するように金属層8を第2接着層13により積層一体化する工程を含む。本実施形態では、導電性突起2aと金属層8とが直接接触して導電接続される例を示す。積層一体化の方法としては、上記と同様の加熱プレスによる接着、加熱による接着などが挙げられる。
【0050】
本発明の金属箔積層板は、本発明の製造方法により好適に製造されるものであり、図2(h)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10と、その突起付金属箔10に接着しつつ導電性突起2aを貫通させる第1接着層11と、その第1接着層11に接着しつつ導電性突起2aを貫通させる樹脂多孔質層12と、その樹脂多孔質層12を接着しつつ導電性突起2aを貫通させる第2接着層13と、その導電性突起2aに導電接続した状態で第2接着層13で積層一体化された金属層8とを備える。当該金属箔積層板は、必要によりパターン形成された後に、両面配線基板、多層配線基板のコア基板や積層用基板として使用することができる。
【0051】
つまり、本発明の配線基板は、以上のような金属箔積層板の突起付金属箔と金属層とをパターン形成して配線パターンとしたものである。パターン形成は、例えばエッチング液を用いたエッチング等により行われる。エッチングは金属の種類に応じたエッチング液が使用され、パターンエッチングには、ドライフィルムレジスト等が使用できる。エッチングの後には、エッチング液が残存しないように、水等による洗浄工程を行うのが好ましい。
【0052】
一方、本発明の別の製造方法は、図3に示すように、積層物LPを使用する代わりに、プリプレグ15を用いて絶縁層16を形成するものである。以下、前述の製造方法と異なる点について説明する。
【0053】
本発明の別の製造方法は、図3(a)〜(b)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10に対し、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグ15を積層する工程を含む。プリプレグ15の補強相となる樹脂多孔質膜は、樹脂多孔質層を形成するための前記の樹脂多孔質膜と同じものを使用することができる。
【0054】
プリプレグ15に含浸される樹脂成分としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸等が挙げられるが、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂と他の樹脂の混合物などが価格や取り扱い易さの点から好ましい。
【0055】
プリプレグ15の製造は、樹脂多孔質膜に熱硬化性樹脂の原料液などを含浸させた後、これを半硬化させて行うことができる。熱硬化性樹脂の原料液には、溶剤の他に、触媒、硬化剤、難燃剤、充填剤、可塑剤、促進剤等を含有してもよい。溶剤としては、熱硬化性樹脂の種類によるが、ケトン類、酢酸エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられる。
【0056】
プリプレグ15を積層する方法としては、加熱プレスや常温プレスなどを採用することができるが、導電性突起2aの上面2bが積層したプリプレグ15aの上面付近まで到達するように、加熱プレスを行うのが好ましい。加熱プレスには、真空プレス装置、熱プレス装置、連続プレス装置などの各種プレス装置が利用でき、また、加熱プレスの温度、圧力は、接着剤の硬化反応が完了しないような、従来公知の条件が何れも適用できる。
【0057】
本発明は、図3(c)に示すように、積層したプリプレグ15aから導電性突起2aを露出させる工程を含む。具体的には、スパッタエッチング、表面のアルカリ処理、プラズマエッチング、研磨ロール等により、プリプレグ15aの表面部分を除去すればよい。これによって、プリプレグ15aの全体の厚みが小さくなって、プリプレグ15bから導電性突起2aの上面2bが露出する。
【0058】
本発明は、図3(d)に示すように、導電性突起2aに導電接続するように金属層8をプリプレグ15bにより積層一体化する工程を含む。本実施形態では、導電性突起2aと金属層8とが直接接触して導電接続される例を示す。積層一体化の方法としては、上記と同様の加熱プレスによる接着、加熱による接着などが挙げられる。
【0059】
本発明の別の金属箔積層板は、本発明の別の製造方法により好適に製造されるものであり、図3(d)に示すように、略同じ高さの導電性突起2aを有する突起付金属箔10と、その突起付金属箔10に接着しつつ導電性突起2aを貫通させる、樹脂多孔質膜を補強相とする絶縁層16と、その導電性突起2aに導電接続した状態で絶縁層16で積層一体化された金属層8とを備える。
【0060】
〔他の実施形態〕
以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0061】
(1)本発明の前述の実施形態では、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層が予め積層一体化された積層物を使用する例を示したが、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を別々に配置してから、突起付金属箔に積層してもよい。
【0062】
その場合、加熱プレスにより積層一体化させるのが好ましく、積層一体化により第1接着層が軟化して突起付金属箔と樹脂多孔質層とを接着させ、また、第2接着層が軟化して金属層と樹脂多孔質層とを接着させる。その後の工程は同様にして実施することができる。
【0063】
(2)本発明の前述の実施形態では、各層を予めシート状に形成し、それらを積層一体化した積層物を突起付金属箔に積層する例を示したが、第1接着層と第2接着層を樹脂多孔質層に塗布形成してもよい。その場合、シート状物と同様の材料が使用できる。また、塗布の方法としては、ブレードコーター、コンマコーター、ロールコーター、カレンダコーター、バーコーターによる塗布方法が挙げられる。塗布後、必要に応じて加熱しながら、乾燥を行う。この状態で、熱硬化性樹脂は、未硬化又は半硬化の状態となる。
【0064】
(3)前述の実施形態では、エッチングで略同じ高さの導電性突起を形成した突起付金属箔を用いる例を示したが、本発明では、メッキで形成したものや、導電性ペーストで形成したものを用いてもよい。
【0065】
突起付金属箔10をメッキで形成する方法としては、まず、図4(a)〜(d)に示すように、金属層1にドライフィルムレジスト9を積層し、露光・現像して開口9aを形成し、その部分に電解メッキ等することで導電性突起2aを形成することができる。その後、ドライフィルムレジスト9は、薬剤除去又は剥離除去などすればよい。この方法によると、導電性突起2aと金属層1とを同じ金属で形成することができる。
【0066】
また、導電性突起2aを導電性ペーストで形成する場合、スクリーン印刷などの印刷法により、所定の部分に導電性ペーストを印刷するなどすればよい。その際、厚みを一定以上にするために、複数回に分けて印刷してもよい。
【0067】
(4)前述の実施形態では、導電性突起と金属層とが直接接触して導電接続される例を示したが、導電性ペーストなどを介して両者が導電接続されてもよい。その場合、スクリーン印刷などの方法で、接着層から露出させた導電性突起の上面に、導電性ペーストを塗布すればよい。導電性ペーストとしては、金属層を接着層により積層一体化する際に、加熱等で硬化する樹脂成分を含有するものが好ましい。
【0068】
(5)前述の実施形態では、突起付金属箔に対し、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を積層する工程、あるいは、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグを積層する工程によって、突起付金属箔の導電性突起が貫通しない例を示したが、積層によって一部の導電性突起が貫通して露出し、未露出の導電性突起が存在する場合に、導電性突起を露出させる工程を実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図
【図2】本発明の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図
【図3】本発明の別の金属箔積層板の製造方法の一例を示す工程図
【図4】本発明の金属箔積層板の製造方法の他の例を示す工程図
【符号の説明】
2a 導電性突起
8 金属層
10 突起付金属箔
11 第1接着層
12 樹脂多孔質層
13 第2接着層
15 プリプレグ
16 絶縁層
Claims (6)
- 略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔に対し、第1接着層、樹脂多孔質層、及び第2接着層を積層する工程と、前記第2接着層から前記導電性突起を露出させる工程と、その導電性突起に導電接続するように金属層を前記第2接着層により積層一体化する工程とを含む金属箔積層板の製造方法。
- 略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔に対し、樹脂多孔質膜を補強相とするプリプレグを積層する工程と、前記プリプレグから前記導電性突起を露出させる工程と、その導電性突起に導電接続するように金属層を前記プリプレグにより積層一体化する工程とを含む金属箔積層板の製造方法。
- 前記導電性突起を露出させる工程が、プラズマエッチングにより行われる請求項1又は2記載の金属箔積層板の製造方法。
- 略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔と、その突起付金属箔に接着しつつ導電性突起を貫通させる第1接着層と、その第1接着層に接着しつつ導電性突起を貫通させる樹脂多孔質層と、その樹脂多孔質層を接着しつつ導電性突起を貫通させる第2接着層と、その導電性突起に導電接続した状態で前記第2接着層により積層一体化された金属層とを備える金属箔積層板。
- 略同じ高さの導電性突起を有する突起付金属箔と、その突起付金属箔に接着しつつ導電性突起を貫通させる、樹脂多孔質膜を補強相とする絶縁層と、その導電性突起に導電接続した状態で前記絶縁層により積層一体化された金属層とを備える金属箔積層板。
- 請求項4又は5に記載の金属箔積層板の突起付金属箔と金属層とをパターン形成して配線パターンとした配線基板。
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