JP6517399B2 - ポリイミド樹脂前駆体 - Google Patents

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本発明は、ポリイミド樹脂前駆体に関する。
電子材料分野では様々なエンジニアプラスチックが用いられている。その中でもポリイミド樹脂は耐熱性、機械的物性、電気絶縁性が優れているためフレキシブル回路基板の絶縁層に広く用いられている。また、フレキシブル回路基板は薄膜化が可能で、柔軟性に優れることから、携帯電話、ハードディスク等の電気機器に使用され、電子機器の小型化、軽量化に大きく寄与している。
ところで、近年、電子機器の高機能化が進み、より多くの電気信号を伝送する必要があり、伝送損失を抑制する検討が行われている。その検討の一つとして、フレキシブル回路基板の低誘電化による高周波数対応が進められている。フレキシブル回路基板で用いられるポリイミド樹脂は誘電率、誘電正接といった誘電特性が良いとは言えないため、伝送損失が大きくなり、高周波数対応機器への適用が難しい。
また、ポリイミド樹脂中に極性基であるイミド骨格を含有することから吸水率が高くなり、電子機器の使用環境の影響を受けやすい。つまり、高湿度環境下ではポリイミド樹脂層への吸湿の影響で伝送損失が更に悪化する懸念がある。そのため、低伝送損失が必要な部分には、誘電特性、吸水率が優れている液晶ポリマー(LCP)が用いられているが、銅箔等の金属箔への接着性、耐熱性が低いという欠点がある。このような状況の中、低誘電特性を示すポリイミド樹脂の更なる検討が進められている。
特許文献1及び2には、テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を50モル%以上含むポリイミド樹脂層が開示され、実施例においては、ピロメリット酸と1,4−フェニレンビス(無水トリメリテート)を含有するポリイミド樹脂が得られている。
特許文献3には、ジアミン成分としてダイマー酸型ジアミン及び芳香族ジアミンを用いたポリイミド樹脂と、有機ホスフィン酸の金属塩を含有する樹脂組成物が開示されており、該樹脂組成物は、低誘電率、低誘電正接を有することが開示されている。
特許文献4には、含フッ素ポリマー粒子含有のポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムが低誘電率を有することが開示されている。
非特許文献1には、エステル含有テトラカルボン酸(TAHQ)とジアミン成分(p−フェニレンジアミン)から得られるポリイミド樹脂が低CTE(3.2ppm/K)を有することが開示され、更にTAHQとエステル含有ジアミン(BPTP)から得られるポリイミド樹脂が低誘電率、低誘電正接を有することが開示されている。
特許4749900号公報 特許5090653号公報 特開2015−127370号公報 特開2015−110332号公報
最新ポリイミド−基礎と応用−、295〜304頁
しかしながら、特許文献1及び2は、テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を50モル%以上含有しているため、ポリイミド樹脂中のイミド基濃度が高くなり、誘電特性、吸水率が悪化するという問題がある。
特許文献3においては、有機ホスフィン酸金属塩を含有することで難燃性を付与しているため、ポリイミド樹脂単体では難燃性を示さない。また、有機ホスフィン酸金属塩を添加することで線膨張係数(CTE)が高くなるため、ポリイミド樹脂を用いて金属積層板(CCL)を作製した際、金属箔(銅箔等)のCTE差による反りが発生する可能性が高くなる。
特許文献4の含フッ素ポリマー粒子は、粒子自体の疎水性が高く、ポリイミド樹脂前駆体溶液で用いられている極性溶剤(N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤)への分散性が悪いため、ポリイミド樹脂前駆体溶液に添加、撹拌するだけでは良好な分散状態にできず、粒子凝集物が形成し、表面平滑性、厚さが均一なポリイミド樹脂層を得ることは困難である。また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表される含フッ素ポリマーは接着性が低いことで知られ、ポリイミド樹脂と含フッ素ポリマー粒子との界面の接着性が低く、イミド化反応時の体積収縮により、樹脂と粒子との界面に微小クラックが発生する可能性がある。さらに、含フッ素ポリマーは廃棄する際に燃焼させるとフッ酸が発生することが知られているため、環境、人体への負担が大きくなる。
非特許文献1に記載されたTAHQとp−フェニレンジアミンから得られるポリイミド樹脂は吸水率が高く、また、同文献には誘電特性に関する記載がない。さらに、TAHQとエステル含有ジアミン(BPTP)から得られるポリイミド樹脂は、ジアミン成分の価格が高く、靭性等の膜物性が低いという欠点がある。
上記事情に鑑み、本発明は、誘電率及び誘電正接が低く、低線膨張係数、低吸水率を示し、さらに優れた難燃性をも備えたポリイミド樹脂を実現する、ポリイミド樹脂前駆体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のジアミン成分及びテトラカルボン酸無水物成分を、特定の割合で含むポリイミド樹脂前駆体が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
ジアミン成分とテトラカルボン酸無水物成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂前駆体であって、
前記ジアミン成分全体に対して、p−フェニレンジアミンの含有量が75mol%以上であり、
前記テトラカルボン酸無水物成分は、
以下の式(1)
Figure 0006517399
(式中、Rは2価の有機基を示す。)
で表されるエステル含有テトラカルボン酸無水物と、
3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及び2,3,2',3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のビフェニルテトラカルボン酸無水物と、
を含み、
前記テトラカルボン酸無水物成分全体に対して、
(i)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物と前記ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量の合計が75mol%以上であり、かつ、
(ii)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物の含有量が15〜80mol%、前記ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量が85〜20mol%である、ポリイミド樹脂前駆体。
[2]
前記ジアミン成分が、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、及び2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、上記[1]記載のポリイミド樹脂前駆体。
[3]
前記式(1)中のRは、以下の式(2)で表される構造からなる群から選ばれるいずれか1種である、上記[1]又は[2]記載のポリイミド樹脂前駆体。
Figure 0006517399
(式中、n=1〜5の整数を示す。)
[4]
前記テトラカルボン酸無水物成分が、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、上記[1]〜[3]のいずれか記載のポリイミド樹脂前駆体

[5]
上記[1]〜[4]のいずれか記載のポリイミド樹脂前駆体を硬化させて得られるポリイミド樹脂。
[6]
上記[5]記載のポリイミド樹脂が金属箔上に積層された金属張り積層板。
[7] 上記[6]記載の金属張り積層板を用いてなるフレキシブルプリント配線板。
本発明により、誘電率及び誘電正接が低く、低線膨張係数、低吸水率を示し、さらに優れた難燃性をも備えたポリイミド樹脂を実現することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に記載する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ポリイミド樹脂前駆体]
本実施形態におけるポリイミド樹脂前駆体は、ジアミン成分とテトラカルボン酸無水物成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂前駆体であって、
前記ジアミン成分全体に対して、p−フェニレンジアミンの含有量が75mol%以上であり、
前記テトラカルボン酸無水物成分は、式(1)で表されるエステル含有テトラカルボン酸無水物と、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及び2,3,2',3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のビフェニルテトラカルボン酸無水物と、を含み、
前記テトラカルボン酸無水物成分全体に対して、(i)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物と前記ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量の合計が75mol%以上であり、かつ、(ii)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物の含有量が15〜80mol%、前記ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量が85〜20mol%である。
ここで、ポリイミド樹脂前駆体とは、硬化させることによりポリイミド樹脂となるものをいい、一般的にポリアミック酸ともいわれる。
ジアミン成分としては、ジアミン成分全体に対して、p−フェニレンジアミンを75mol%以上含有する。p−フェニレンジアミンの含有量が75mol%未満である場合、誘電正接やCTEが悪化する傾向にある。p−フェニレンジアミンの含有量は、低CTE化の観点から、好ましくは80mol%以上、より好ましくは85mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上である。
である。
ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミンに加えて、その他のジアミン成分が含まれていてもよい。その他のジアミン成分としては、特に限定されないが、例えば、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
上記の中でも、価格や入手容易性の観点から、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことが好ましい。さらに、低CTE化の観点から、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことがより好ましく、低誘電化の観点から、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種以上を含むことがより好ましい。
上記ジアミン化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エステル含有テトラカルボン酸無水物は、以下の式(1)で表される。
Figure 0006517399
(式中、Rは2価の有機基を示す。)
ここで、Rは2価の有機基を示し、芳香族構造、脂環式構造のいずれでもよく、例えば、下記式(2)で表される構造からなる群から選ばれるいずれか1種が挙げられる。
Figure 0006517399
式中、nは1〜5の整数を示す。
Rとしては、低CTE化、難燃性の観点から、以下の構造で表されるいずれか1種の有機基であることが好ましい
Figure 0006517399
ビフェニルテトラカルボン酸無水物は、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2',3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であり、中でも、入手容易性、低CTE化の観点から、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
テトラカルボン酸無水物成分としては、エステル含有テトラカルボン酸無水物と、ビフェニルテトラカルボン酸無水物以外の、その他のテトラカルボン酸無水物を含んでいてもよい。その他のテトラカルボン酸無水物としては、特に限定されず、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。上記の中でも、価格や入手容易性の観点から、ピロメリット酸二無水物が好ましい。
本実施形態においては、テトラカルボン酸無水物全体に対して、(i)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物とビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量の合計が75mol%以上であり、かつ、(ii)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物の含有量が15〜80mol%、前記ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量が85〜20mol%である。上記(i)及び(ii)を満たすことにより、伝送損失への影響が大きいと考えられる誘電正接が低くなるという効果を得ることができる。その作用機序については明らかではないが、エステル含有テトラカルボン酸無水物は一般的な芳香族テトラカルボン酸無水物よりも分子量が大きいことで、ポリイミド分子中の極性基であるイミド基濃度が低くなる。そのためポリイミド分子内の電荷が少なくなり、さらにエステル基でポリイミド分子内の電荷移動が少なくなるため、優れた誘電特性が得られると考えられる。加えて、エステル含有テトラカルボン酸無水物に対して特定の割合でビフェニルテトラカルボン酸無水物を含むことで、分子間のパッキング性が低減し、分子間の電荷移動を抑制するため、誘電特性がより一層向上すると推察される。
なお、本明細書中、作用機序の説明についてはいずれも推定であって、その内容に限定されるものではない。
エステル含有テトラカルボン酸無水物とビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量の合計は、好ましくは80mol%以上、より好ましくは85mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上である。
エステル含有テトラカルボン酸無水物の含有量は、好ましくは20〜80mol%、より好ましくは30〜60molである。
ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量は、好ましくは80〜30mol%、より好ましくは70〜40mol%である。
[ポリイミド樹脂前駆体の製造方法]
本実施形態におけるポリイミド樹脂前駆体は、ジアミン成分とテトラカルボン酸無水物成分とを公知の方法により重縮合することにより得ることができる。例えば、溶剤にジアミン成分を添加後、室温〜30℃で溶解させた溶液に、テトラカルボン酸無水物成分を徐々に添加し、室温下で0.5時間以上撹拌することでポリイミド樹脂前駆体を得ることができる。このとき、ジアミン成分を溶解させずに分散状態でテトラカルボン酸二無水物成分を添加してもよく、溶剤にテトラカルボン酸二無水物を添加後、溶解又は分散させた状態でジアミン成分を添加してもよい。その後、室温下で、0.5時間以上撹拌することにより、ポリイミド樹脂前駆体を得ることができる。また、撹拌温度の範囲が−10℃〜溶剤沸点の範囲であり、撹拌時間が0.5時間以上である場合も、本実施形態のポリイミド樹脂前駆体を得ることができる。
[ポリイミド樹脂前駆体溶液]
本実施形態におけるポリイミド樹脂前駆体は、通常、溶剤中に溶解させたポリイミド樹脂前駆体溶液(以下、単に「前駆体溶液」ともいう。)として用いる。ここで、溶剤としては、樹脂前駆体を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、非プロトン性極性化合物、エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物、非水溶性アルコール系化合物、ケトン系化合物等が挙げられる。
非プロトン性極性化合物としては、具体的には、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド等が挙げられ、エーテル系化合物としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、水溶性アルコール系化合物としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジアセトンアルコール等が挙げられ、非水溶性アルコール系化合物としてはベンジルアルコール等が挙げられ、ケトン系化合物としては、1,5,5−トリメチル−3−シクロヘキサノン等が挙げられる。さらに、その他の溶剤としてγ―ブチロラクトン等が挙げられる。上記溶剤は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の中でも、特に好ましい溶剤としては、単独溶剤としてN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが挙げられ、混合溶剤として、N−メチルピロリドンとジエチレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドンとメタノール、N−メチルピロリドンと2―メトキシエタノール等の組み合わせが挙げられる。
溶剤の含有量としては、樹脂前駆体を含む樹脂成分に対して70〜90質量%であることが好ましい。溶剤の含有量が70〜90質量%であることにより、塗布性に優れたワニス粘度にすることができる。
前駆体溶液の固形分濃度は、加工性の観点から、10〜30質量%であることが好ましく、15〜30質量%がより好ましく、20〜30質量%がさらに好ましい。固形分濃度が10質量%未満であると、ポリイミド樹脂塗膜加工時の乾燥収縮が大きくなって、加工性(生産性)が悪化する傾向にあり、30質量%を超えると、溶液の粘度が上がりすぎて加工性が悪化する傾向にある。
前駆体溶液の粘度は、1000〜50000cPであることが好ましく、より好ましくは2000〜30000cPであり、さらに好ましくは2000〜20000cPである。粘度が1000cP未満であると、ポリイミド樹脂塗膜の生産性が悪化する傾向にあり、50000cPを超えると、加工性が悪化する傾向にある。
前駆体溶液には、公知の添加剤が含まれていてもよい。そのような添加剤としては、例えば、ピリジン等の3級アミン、無水酢酸等の酸無水物に代表されるイミド化促進剤、界面活性剤等のレベリング剤等が挙げられる。また、本実施形態の前駆体溶液には、より良好な難燃性を得るために、難燃剤を配合してもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、シリカ、硫酸バリウム等の無機フィラー、或いはリン酸エステル等の有機リン化合物が挙げられる。さらに、本実施形態の前駆体溶液には、より良好な滑り性を得るために、無機フィラー等の滑材を配合してもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、タルク、リン酸カルシウム等が挙げられる。これらは単独で用いても併用してもよい。
[ポリイミド樹脂塗膜]
本実施形態におけるポリイミド樹脂前駆体溶液を硬化させることによりポリイミド樹脂塗膜を得ることができる。具体的には、ポリイミド樹脂前駆体溶液を、例えば、銅、アルミニウム、ガラス等の基材上に塗布し、加熱してイミド化することにより得ることができる。イミド化温度は、200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上で、5分間以上、好ましくは30分間以上加熱することが好ましい。ポリイミド樹脂塗膜は、その用途に応じて、基材と密着したポリイミド被覆物として用いてもよく、基材から剥離してポリイミドフィルムとして用いてもよい。
ポリイミド樹脂前駆体溶液からポリイミドフィルムを成形するには、スリット状ノズルから押し出したり、バーコーター等により基材上に塗工し、乾燥して溶剤を除去し、これをイミド化した後、基材上から剥離することにより製造することができる。ポリイミド被覆物を得るには、ポリイミド樹脂前駆体溶液を、従来公知のスピンコート法、スプレイコート法、浸漬法等の方法により基材上に塗工し、乾燥して溶剤を除去した後、イミド化する。
本実施形態におけるポリイミド樹脂前駆体溶液、それから得られるフィルム及び被覆物は、例えば、FPC(フレキシブルプリント基板)用のフィルム、耐熱絶縁テープ、耐熱粘着テープ、高密度磁気記録ベース、コンデンサー等の製造に用いられる。また、例えば、フッ素樹脂やグラファイト等を充填した摺動部材、ガラス繊維や炭素繊維で強化した構造部材、小型コイルのボビン、スリーブ、端末絶縁用チューブ等の成形材や成形品の製造に用いられる。また、パワートランジスターの絶縁スペーサ、磁気ヘッドスペーサ、パワーリレーのスペーサ、トランスのスペーサ等の積層材の製造に用いられる。また、電線・ケーブル絶縁被膜用、太陽電池、低温貯蔵タンク、宇宙断熱材、集積回路、スロットライナー等のエナメルコーティング材の製造に用いられる。また、限外ろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜の製造に用いられる。また、耐熱性を有する糸、織物、不織布等の製造にも用いられる。
[金属張り積層板]
本実施形態における金属張り積層板は、上記ポリイミド樹脂前駆体溶液を硬化させて得られるポリイミド樹脂塗膜が、金属箔上に積層されたものである。
金属張り積層板としては、金属箔、ポリイミド樹脂層、及び接着層から構成される3層フレキシブル金属積層板でも、金属箔とポリイミド樹脂層から構成される2層フレキシブル金属積層板のいずれでもよいが、耐熱性や、寸法安定性、軽量化の観点から、2層フレキシブル金属積層板であることが好ましい。
金属箔としては、銅箔、SUS箔、アルミ箔等が挙げられるが、導電性、回路加工性の観点から、銅箔が好ましい。また、金属箔を使用する場合は、亜鉛メッキ、クロムメッキ等による無機表面処理、シランカップリング剤等による有機表面処理を施してもよい。
本実施形態の2層フレキシブル金属積層板は、例えば、ポリイミド樹脂前駆体溶液を金属箔に塗布する工程、前記金属箔に塗布された前記ポリイミド樹脂前駆体溶液を乾燥する工程、330〜400℃まで昇温してポリイミド樹脂層を得る工程、を含む方法により作製される。
前記塗布工程において、金属箔上に形成される塗布層の厚さは、用途により異なるが、2〜150μmの間で適宜設定される。塗布方法は塗布厚さに応じて、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなどを適宜採用することができる。
前記金属箔に塗布されたポリイミド樹脂前駆体溶液を乾燥する工程は、温度を80〜150℃の範囲内で行い、時間はその温度に応じて、適宜設定することにより乾燥することが好ましい。塗布・乾燥工程後の残存溶剤量は溶剤を含む樹脂成分100質量%中に、50質量%以下であることが好ましい。
金属張り積層板は、以下のセパレート形成方法によっても作製することができる。
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PP(ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルムなどの離型フィルム上に、ポリイミド樹脂前駆体溶液を塗布して塗布層を形成した後、一定の硬化・乾燥条件(温度は80〜160℃、時間は1〜30分)で半硬化状態(以下、Bステージともいう)になるまで硬化・乾燥させてポリイミド樹脂層を得る。なお、離型フィルムの表面に離型処理を施すことにより、ポリイミド樹脂層との剥離性を向上させることができる。
次に、ポリイミド樹脂層の樹脂面と金属箔の粗面とを貼り合わせて金属張り積層板を作製する。貼り合わせ方法は、プレスによる方法、熱ロールを使用したラミネート方法などを用いることができる。貼り合わせ条件は、温度が200〜350℃、圧力が0.5〜5MPaの範囲で行うことが好ましい。
なお、上記においては片面金属張り積層板について説明したが、ポリイミド樹脂層の両面に金属箔が設けられた両面金属張り積層板としても応用することができる。両面金属張り積層板は、例えば、上記セパレート形成方法から作製した樹脂シートの両面に金属箔を設け、その後、上記貼り合わせ方法により熱圧着して作製することができる。
本実施形態の金属張り積層板の金属層を所定形状にエッチングして得られたエッチング面を金属箔回路被覆用のカバーレイで被覆してフレキシブルプリント配線板を得ることができる。カバーレイとしては、金属箔回路を被覆するものであれば、限定するものではなく、ポリイミド等のフィルムに接着剤を塗布したカバーレイ、液状レジスト、ドライフィルムレジスト等が挙げられる。
金属張り積層板に含まれるポリイミド樹脂層は、誘電特性に優れ、特に伝送損失への影響が大きい誘電正接の値が低い。ポリイミド樹脂層の誘電正接は、好ましくは0.0040以下であり、より好ましくは0.0035以下である。また、吸水後の誘電正接は、好ましくは0.0070以下であり、より好ましくは0.005以下である。
ポリイミド樹脂層の誘電率は、好ましくは3.7以下であり、より好ましくは3.6以下であり、さらに好ましくは3.5以下である。また、吸水後の誘電率は、好ましくは3.7以下であり、より好ましくは3.6以下である。
ポリイミド樹脂層は、線熱膨張係数(CTE)の値が低い。これは、エステル含有テトラカルボン酸無水物に含まれるエステル結合が分子配向性を有するため、イミド化させる際の加熱工程でポリイミド分子が配向することで、CTEが低くなると考えられる。ポリイミド樹脂層のCTEは、24ppm/K以下であることが好ましく、20ppm/K以下であることがより好ましい。ポリイミド樹脂層のCTEが24ppm/Kを超えると、反りが発生する傾向にある。
ポリイミド樹脂層の吸水率は、1.2wt%以下であることが好ましく、1.0wt%以下であることがより好ましい。吸水率が1.2wt%を超えると、高湿度環境下においてポリイミド樹脂層への吸湿の影響が大きくなり、伝送損失が悪化する傾向にある。
さらに、ポリイミド樹脂層は、優れた難燃性を有している。これは、ジアミン成分、テトラカルボン酸無水物成分ともに芳香族骨格を有するモノマーを用いてポリイミド樹脂を重合しているため、誘電特性と難燃性の両立が可能になるためと考えられる。
なお、本明細書中の各物性は、特に明記しない限り、以下の実施例に記載された方法に準じて測定することができる。
[フレキシブルプリント配線板]
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板は、金属張り積層板の金属層を所定形状にエッチングして回路形成された金属箔上に、カバーレイが設けられてなるものである。フレキシブルプリント配線板は、その厚さを用途に応じて任意に設定することが可能である。フレキシブルプリント配線板は、例えば、ICチップ実装用の所謂チップオンフレキシブルプリント配線板として好適に適用される。
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いたジアミン成分、酸無水物成分、及び溶剤は以下のとおりである。
(ジアミン成分)
p−PDA:p−フェニレンジアミン
TFMB:2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
ODA:4,4'−ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン
(エステル含有テトラカルボン酸無水物)
TAHQ:p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)
(ビフェニルテトラカルボン酸無水物)
s−BPDA:3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
(その他の酸無水物)
PMDA:ピロメリット酸二無水物
(溶剤)
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
実施例及び比較例における評価方法及び測定方法は以下のとおりである。各評価はn=3〜5の平均値を採用した。
[誘電率、誘電正接(常態) n=5で試験]
2層フレキシブル金属積層板の銅箔全てをエッチングにより除去し、23℃、50%RHの雰囲気下に24hr以上静置したサンプルを、23℃の雰囲気下、Agilent Technologies社製 商品名:Network Analyzer N5230Aを用いて、SPDR法(共振器法)で周波数5GHzの条件で測定した。 結果は以下のとおりに評価した。
<誘電率(常態)>
△:3.9以上
○:3.5以上、3.9未満
◎:3.5未満
<誘電正接(常態)>
×:常態0.004以上
○:常態0.003以上、0.004未満
◎:常態0.003未満
[誘電率、誘電正接(吸水後) n=5で試験]
2層フレキシブル金属積層板の銅箔全てをエッチングにより除去し、23℃の純水に24hr浸漬させたサンプルの表面の余分な水分を拭き取った直後、23℃の雰囲気下、Agilent Technologies社製 商品名:Network Analyzer N5230Aを用いて、SPDR法(共振器法)で周波数5GHzの条件で測定した。
[CTE(線膨張係数) n=1で試験]
2層フレキシブル金属積層板の銅箔全てをエッチングで除去し、23℃、50%RHの雰囲気下に24hr以上静置したサンプルをサイズ幅5mm、長さ15mmとし、島津製作所製の熱機械分析装置TMA−60を用い、荷重5g、10℃/minの昇温速度で加熱した際の100℃から200℃までの寸法変化を求めた。
結果は以下のとおりに評価した。
×:24ppm/K以上
○:18ppm/K以上、24ppm/K未満
◎:18ppm/K未満
[吸水率 n=3で試験]
2層フレキシブル金属積層板の銅箔全てをエッチングで除去したサンプルを105℃、0.5時間の条件で乾燥させ、室温まで冷却した後のサンプル質量を初期値(m0)とした。次に、このサンプルを23℃の純水に24時間、浸漬させた後、サンプル表面の余分な水分を拭き取った後の質量(md)を測定し、初期値と浸漬後の質量の変化から下記式を用いて吸水率を測定した。
(md―m0)×100/m0=吸水率(%)
結果は以下のとおりに評価した。
×:1.2wt%以上
○:1.0wt%以上、1.2wt%未満
◎:1.0wt%未満
[難燃性 n=5で試験]
2層フレキシブル金属積層板の銅箔全てをエッチングで除去し、23℃、50%RHの雰囲気下に24hr以上静置したサンプルを幅13mm、長さ125mmにカットし、UL−94規格に準拠して燃焼試験を実施し、V−0の基準を満たした場合を「○」とした
参考例1]
反応容器の中に、DMAcを85gと、p−PDAを2.2892g(0.02117mol)、TFMBを1.5366g(0.00480mol)およびTRE−Rを0.6601g(0.00226mol)を添加後、室温で攪拌して、DMAcにp−PDA、TFMBおよびTPE−Rを溶解させた。得られた溶液にTAHQを6.4036g(0.01397mol)とs−BPDAを4.1106g(0.01397mol)を徐々に添加した。その後、室温下で3時間撹拌することによりポリイミド樹脂前駆体(ポリアミック酸溶液)を得た。
得られたポリアミック酸溶液を電解銅箔の粗化処理面(表面粗さRz=1.8μm)にイミド化後の樹脂層厚さが25μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、130℃で10分間乾燥させた。
ポリアミック酸溶液を塗布し乾燥した銅箔を、室温まで冷却後、段階的に360℃(物温)まで加熱した。360℃で2時間保持後、室温まで自然冷却し、2層フレキシブル金属積層板を得た。
実施例2〜7、9、参考例8、10、11、比較例1〜20]
ジアミン成分、酸無水物成分を表に示す比率に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりポリイミド樹脂前駆体及び2層フレキシブル金属積層板を作製した。
各表中、各ジアミン成分の含有量は、全ジアミン成分を100とした場合のmol%として示し、各酸無水物成分の含有量は、全酸無水物成分を100とした場合のmol%として示した。
Figure 0006517399
Figure 0006517399
Figure 0006517399
上記実施例の結果から、本実施形態のポリイミド樹脂前駆体を用いて得られるポリイミド樹脂は、誘電率及び誘電正接が低く、低線膨張係数、低吸水率を示し、さらに優れた難燃性をも備えていることが分かる。
本発明のポリイミド樹脂前駆体は、フレキシブルプリント配線板に用いられる銅張積層板としての産業上利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. ジアミン成分とテトラカルボン酸無水物成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂前駆体であって、
    前記テトラカルボン酸無水物成分は、
    以下の式(1)
    Figure 0006517399
    (式中、Rは2価の有機基を示す。)
    で表されるエステル含有テトラカルボン酸無水物(但し、Rがビフェニル基である化合物を除く)と、
    3,4,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及び2,3,2',3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のビフェニルテトラカルボン酸無水物と、
    を含み、
    前記テトラカルボン酸無水物成分全体に対して、
    (i)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物と前記ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量の合計が75mol%以上であり、かつ、
    (ii)前記エステル含有テトラカルボン酸無水物の含有量が15〜80mol%、前記ビフェニルテトラカルボン酸無水物の含有量が85〜20mol%であり、
    前記ジアミン成分全体に対して、p−フェニレンジアミンの含有量が84mol%以上であり、
    前記ジアミン成分が、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選択される1種以上のビスアミノフェノキシベンゼンを含有する、ポリイミド樹脂前駆体。
  2. 前記ジアミン成分全体に対して、前記ビスアミノフェノキシベンゼンの含有量が8mol%以上である、請求項1記載のポリイミド樹脂前駆体。
  3. 前記ジアミン成分が、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、及び2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、請求項1又は2記載のポリイミド樹脂前駆体。
  4. 前記式(1)中のRは、以下の式(2)で表される構造からなる群から選ばれるいずれか1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂前駆体。
    Figure 0006517399
    (式中、n=1〜5の整数を示す。)
  5. 前記テトラカルボン酸無水物成分が、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリイミド樹脂前駆体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリイミド樹脂前駆体を硬化させて得られるポリイミド樹脂。
  7. 請求項6記載のポリイミド樹脂が金属箔上に積層された金属張り積層板。
  8. 請求項7記載の金属張り積層板を用いてなるフレキシブルプリント配線板。
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