JP2002348533A - コーティング用組成物および表面被覆成形体 - Google Patents

コーティング用組成物および表面被覆成形体

Info

Publication number
JP2002348533A
JP2002348533A JP2001154524A JP2001154524A JP2002348533A JP 2002348533 A JP2002348533 A JP 2002348533A JP 2001154524 A JP2001154524 A JP 2001154524A JP 2001154524 A JP2001154524 A JP 2001154524A JP 2002348533 A JP2002348533 A JP 2002348533A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic compound
group
coating composition
film
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001154524A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2001154524A priority Critical patent/JP2002348533A/ja
Publication of JP2002348533A publication Critical patent/JP2002348533A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多湿雰囲気下でも優れたガスバリア性を維持
し、且つ透明で可撓性にも優れた皮膜で被覆された表面
被覆成形体と、このような皮膜を形成し得るコーティン
グ用組成物を提供する。 【解決手段】 一般式 H2N(CH2CH2NH)p
(ただし、pは2以上の整数)で表される有機化合物
と、分子内にアミノ基と反応し得る官能基を有する有機
化合物と、必要により使用する加水分解縮合可能な有機
金属化合物の反応物を含むコーティング用組成物、およ
び前記組成物などから得られる皮膜によって成形体基材
の一部または全部を被覆されたガスバリア材として好適
な表面被覆成形体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性、透
明性且つ可撓性に優れた皮膜で被覆された表面被覆成形
体と、このような皮膜を形成し得るコーティング用組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸素、窒素、炭酸ガス、水蒸気などの如
き気体に対する透過度の小さいガスバリア材は、包装用
材料などを主体として需要が増大している。そのうち、
プラスチックフィルムやシートなどの成形体にガスバリ
ア性を付与するための手段としては、 エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデ
ン系共重合体、メタキシリレンアジパミド重合体などの
気体不透過性素材で成形体を形成する、 これら気体不透過性素材を他の材料にラミネートまた
はコーティングする、 アルミ箔をフィルム状素材にコーティングする、 表面に金属や金属酸化物を蒸着する、 などの方法が公知である。
【0003】しかし、上記の気体不透過性素材のう
ち、エチレン−ビニルアルコール共重合体やメタキリシ
レンアジパミド重合体は耐湿性に劣り、使用雰囲気の湿
度が高くなるにつれてガスバリア性が大幅に低下すると
いう問題がある。また塩化ビニリデン系共重合体は、塩
素原子を含んでいるため廃材の焼却時にダイオキシンの
如き有毒物の発生源となり、公害の原因となる。また、
のアルミ箔ラミネートフィルムでは、包装された内容
物を外から見ることができず、の金属酸化物蒸着フィ
ルムは可撓性に劣るため、蒸着層にクラックが生じてガ
スバリア性を喪失するといった問題が指摘される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、その目的は、多湿雰囲気
下でも優れたガスバリア性を維持し、且つ透明で可撓性
にも優れた皮膜で被覆された表面被覆成形体と、このよ
うな皮膜を形成し得るコーティング用組成物を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明のコーティング用組成物の第1の態様は、 一般式 H2N(CH2CH2NH)pH (ただし、pは2以上の整数)で表される有機化合物
(A)と分子内にアミノ基と反応し得る官能基およびS
i(OR1x基(R1は同一または異なっていてもよ
く、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、
xは2または3である)を有する有機化合物(B)およ
び/またはその加水分解縮合物との反応物を含むもので
あるところに要旨を有する。
【0006】また、本発明のコーティング用組成物の第
2の態様は、 一般式 H2N(CH2CH2NH)pH (ただし、pは2以上の整数)で表される有機化合物
(A)と分子内にアミノ基と反応し得る官能基を有する
有機化合物(B’)と 一般式 R2 mM(OR3n (式中MはSiまたは金属元素、R2は同一または異な
っていてもよく、アミノ基と反応しない官能基で置換さ
れていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、R3は同一
または異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜
4のアルキル基を表し、mは0または正の整数、nは1
以上の整数で、且つm+nは元素Mの原子価と一致す
る)で表される有機金属化合物(C)および/またはそ
の加水分解縮合物との反応物を含むものであるところに
要旨を有する。
【0007】本発明の表面被覆成形体は、有機化合物
(A)と有機化合物(B)との混合物および/または反
応物を含むコーティング用組成物から得られる皮膜、あ
るいは有機化合物(A)と有機化合物(B’)と有機金
属化合物(C)との混合物および/または反応物を含む
コーティング用組成物から得られる皮膜で、成形体基材
の表面の一部または全部が被覆されたものである。この
ような表面被覆成形体は、ガスバリア材として好ましく
用いられる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のコーティング用組成物
は、成形体基材にガスバリア性の高い皮膜を形成できる
ものである。このうち、第1の態様のコーティング用組
成物では、有機化合物(B)が分子内に有するSi(O
1x基が、第2の態様では、主として有機金属化合物
(C)が分子内に有するM(OR3n基が、皮膜形成時
に縮重合反応して緻密な構造を形成することで、高度な
ガスバリア性が確保される。
【0009】他方、形成される皮膜の可撓性が乏しく脆
弱では、特にフィルム状の成形体を被覆した場合など、
皮膜が割れを起こしてガスバリア性を維持できなくな
る。そこで、皮膜に可撓性を付与する成分として、有機
化合物(A)をコーティング用組成物に採用するのであ
る。
【0010】また、本発明のコーティング用組成物にお
いては、形成される皮膜の安定したガスバリア性と可撓
性、さらには透明性を確保するため、第1の態様では
「有機化合物(A)と有機化合物(B)および/または
その加水分解縮合物」の反応物が、第2の態様では「有
機化合物(A)と有機化合物(B’)と有機金属化合物
(C)および/またはその加水分解縮合物」の反応物
が、形成後の皮膜中に存在しなければならない。このよ
うな反応物は皮膜を構成する成分の相溶性を向上させ得
るため、該皮膜の上記各特性が確保されるのである。
【0011】本発明のコーティング用組成物に用いられ
る有機化合物(A)では、より高度な可撓性を確保する
観点から、上記一般式において、pは2以上の整数と規
定した。なお、pがあまり大きい有機化合物(A)で
は、該有機化合物(A)を高純度で製造することが困難
であることから、通常pは5以下のものが使用される。
しかし、pが5を超える場合でも、不純物として含有さ
れるp=1の化合物(すなわち、エチレンジアミン)の
量が非常に低く、本発明の作用を損なわない場合は使用
できる。また、製造後、精製してp=1の化合物の含有
量を低レベルとしたものも、使用可能である。
【0012】有機化合物(A)は、具体的には、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチ
レンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げ
られ、これらを1種単独で、あるいは2種以上を混合し
て用いることができる。このような有機化合物(A)は
低コスト且つ汎用性の高いものであるが、得られる皮膜
に極めて優れた可撓性を付与できるものである。
【0013】有機化合物(B)、および有機化合物
(B’)は、有機化合物(A)のアミノ基と反応し得る
官能基を分子内に有するものである。このような官能基
としては、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネー
ト基、オキサゾリニル基、(メタ)アクリロイル基、ア
ルデヒド基、ケトン基などが挙げられる。
【0014】第1の態様で使用される有機化合物(B)
は、さらにSi(OR1x基を分子内に有する。このS
i(OR1x基の加水分解縮合に基づき、有機化合物
(B)が縮重合するため、xは2または3、好ましくは
3である。また、場合により、xが2のものと3のもの
を混合して使用してもよい。なお、Siは4価である
が、x=2の場合、Siに結合するもう一つの基は、有
機化合物(B)の加水分解縮合、および有機化合物
(A)と有機化合物(B)との反応を阻害せず、さらに
本発明の表面被覆成形体に係る皮膜の作用を損なうもの
でなければ、特に限定されない。
【0015】また、第2の態様で使用される有機化合物
(B’)が、有機金属化合物(C)および/またはその
加水分解縮合物と反応できる官能基を分子内に有する場
合、このような官能基としては、例えば、水酸基、カル
ボキシル基、オキサゾニル基、Si(OR1y基(R1
は上記と同じ意味で、yは1,2または3を表す)など
が挙げられる。このうち、有機金属化合物(C)および
/またはその加水分解縮合物と共加水分解縮合できる点
で、Si(OR1y基を有することが好ましい。
【0016】この他、第2の態様では、例えば、有機化
合物(B’)がエポキシ基を有する場合には、有機化合
物(A)のアミノ基と反応する際に該エポキシ基が開環
して水酸基を生成するが、この水酸基も有機金属化合物
(C)および/またはその加水分解縮合物の加水分解縮
合基と縮合反応できる。よって、このように有機化合物
(B’)の有する官能基が、有機化合物(A)との反応
により、有機金属化合物(C)と反応できるような官能
基を生成できる場合も好ましい。
【0017】なお、第2の態様において、有機金属化合
物(C)を表す一般式R2 mM(OR 3nのnが2以上で
ある場合は、有機金属化合物(C)および/またはその
加水分解縮合物が縮重合できるため、有機化合物
(B’)、あるいは有機化合物(A)と有機化合物
(B’)の反応物が、有機金属化合物(C)および/ま
たはその加水分解縮合物と反応できればよい。よって、
有機化合物(B’)がSi(OR 1y基を有する場合、
yは1,2または3のいずれであってもよく、これらを
混合して用いてもよい。
【0018】他方、有機金属化合物(C)を表す上記一
般式において、n=1である場合は、有機化合物
(B’)が縮重合する必要があり、Si(OR1y基を
有する場合、yは2または3、好ましくは3である。ま
た、場合により、yが2のものと3のものとを混合して
使用してもよい。
【0019】Si(OR1y基中には、(OR1)基以
外の基が、y=1の時には2個、y=2の時には1個結
合しているが、これら(OR1)基以外の基は、コーテ
ィング用組成物の元となる各化合物間の反応、および同
じ化合物同士での加水分解縮合(縮重合)反応を阻害せ
ず、さらに本発明の表面被覆成形体に係る皮膜の作用を
損なうものでなければ、特に限定されない。また、y=
1の場合、(OR1)基以外の2個の基は、同一でも、
異なっていてもよい。
【0020】有機化合物(B)あるいは有機化合物
(B’)の具体例としては、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
などのエポキシ基とSi(OR1x基あるいはSi(O
1y基(R1,x,yは上記と同じ意味)を有するシ
ランカップリング剤(以下、「エポキシ基含有シランカ
ップリング剤」と省略することがある);γ−イソシア
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエ
トキシシランなどのイソシアネート基とSi(OR1x
基あるいはSi(OR1y基(R1,x,yは上記と同
じ意味)を有するシランカップリング剤;などが挙げら
れ、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。また、有機化合物(B)あるいは有機化合物
(B’)が、有機化合物(A)の官能基と反応し得る官
能基を分子内に有し、且つSi(OR1x基あるいはS
i(OR1y基(R1,x,yは上記と同じ意味)を有
する高分子化合物であってもよい。
【0021】また、有機化合物(B’)の他の具体例と
しては、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキ
シルグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテ
ル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチ
ルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサン
ジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエー
テル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ハイ
ドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエ
ーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテ
ルなどのグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジ
ルエステル、フタル酸ジグリシジルエステルなどのグリ
シジルエステル類;トリレンジイソシアネート、1,4
−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシ
アネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネ
ート類;などが挙げられ、これらの1種または2種以上
を用いることができる。また、有機化合物(B’)が、
分子内に有機化合物(A)のアミノ基と反応できる官能
基を有し、且つ有機金属化合物(C)および/またはそ
の加水分解縮合物と反応できる官能基を有する高分子化
合物や、有機化合物(B’)が、有機化合物(A)との
反応により生成する官能基が有機金属化合物(C)およ
び/またはその加水分解縮合物と反応できる高分子化合
物であってもよい。
【0022】なお、第1、第2のいずれの態様において
も、コーティング用組成物に使用される有機化合物
(B)、あるいは分子内にSi(OR1y基を有する有
機化合物(B’)は、その一部または全部が加水分解縮
合したものであってもよい。
【0023】なお、有機化合物(B)、有機化合物
(B’)のいずれにおいても、アミノ基との反応性が良
好で、形成される皮膜の耐湿性が優れている点から、エ
ポキシ基含有シランカップリング剤を採用することが好
ましい。
【0024】本発明のコーティング用組成物の第2の態
様に用いられる有機金属化合物(C)の具体例として
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルト
リブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラ
ン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシ
ラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロ
ポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;
チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプ
ロポキシド、チタニウムテトラブトキシドなどのチタニ
ウムアルコキシド類;ジルコニウムテトラエトキシド、
ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテ
トラブトキシドなどのジルコニウムアルコキシド類;ア
ルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロ
ポキシド、アルミニウムトリブトキシドなどのアルミニ
ウムアルコキシド類;またこれらの錯体化合物、メチル
トリアセトキシシラン、トリメチルシラノールなど、ま
たはこれらの化合物を含む高分子有機化合物類が挙げら
れ、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。
【0025】このように、有機金属化合物(C)の上記
一般式における元素Mとして好ましいのはTi,Zr,
Al、あるいは半金属であるSiであるが、本発明にお
いて最も好ましいのはSiである。さらに具体的には、
形成される皮膜が良好な耐湿性を示す点から、テトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシランが推奨される。な
お、元素MがSiである場合であって、有機化合物
(B’)がSi(OR1y基を有する場合、有機化合物
(B’)と有機金属化合物(C)とは、分子内にアミノ
基と反応し得る官能基を有するか否かで区別される。
【0026】本発明のコーティング用組成物から表面被
覆成形体を得る際には、後述するように、成形体基材表
面に塗布後、乾燥・硬化させて皮膜を形成するため、コ
ーティング用組成物は液状であり、溶媒(D)も含む。
溶媒(D)の種類には格別の制限はないが、有機化合物
(A)、有機化合物(B)、有機化合物(B’)、有機
金属化合物(C)や、これらの反応物(加水分解縮合物
を含む)を溶解し、若しくは分散させ得る溶媒が好まし
く、例えば、例えば、メタノール、エタノール、2−プ
ロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどのア
ルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、ベンゼン、
キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢
酸ブチルなどのエステル類;その他、テトラヒドロフラ
ン、プロピルエーテル、水などが挙げられ、これらの1
種または2種以上を混合して用いることができる。
【0027】コーティング用組成物での溶媒(D)の使
用量は特に限定されないが、該組成物全量のうち20〜
95質量%とすることが好ましい。20質量%未満で
は、塗工中に組成物の粘度が上昇して均一塗工ができな
くなることがあり、他方、95質量%を超えると、表面
被覆層形成成分が低濃度となりすぎるため、ガスバリア
性確保に必要な厚みを確保できなくなる恐れが生じてく
る。
【0028】本発明のコーティング用組成物の第1の態
様では、有機化合物(A)と有機化合物(B)および/
またはその加水分解縮合物の合計量を100質量%とし
た場合、有機化合物(A)は10質量%以上、好ましく
は40質量%以上であって、70質量%以下、好ましく
は60質量%以下、すなわち、有機化合物(B)および
/またはその加水分解縮合物が30質量%以上、好まし
くは40質量%以上であって、90質量%以下、好まし
くは60質量%以下とすることが推奨される。有機化合
物(A)の量が上記範囲を下回ると[有機化合物(B)
および/またはその加水分解縮合物の量が上記範囲を超
えると]、形成される皮膜の可撓性が低下し、安定した
ガスバリア性能が得られない。他方、有機化合物(A)
の量が上記範囲を超えると[有機化合物(B)および/
またはその加水分解縮合物の量が上記範囲を下回る
と]、形成される皮膜において、十分なガスバリア性が
得られず、該皮膜の耐湿性も低下する。
【0029】また、本発明のコーティング用組成物の第
2の態様では、有機化合物(A)、有機化合物(B’)
と有機金属化合物(C)および/またはその加水分解縮
合物の合計量を100質量%とした場合、有機化合物
(A)は5質量%以上、好ましくは10質量%以上であ
って、60質量%以下、好ましくは30質量%以下とす
ることが推奨される。有機化合物(A)の量が上記範囲
を下回ると、形成される皮膜の可撓性が低下し、安定し
たガスバリア性が得られない。他方、有機化合物(A)
の量が上記範囲を超えると、形成される皮膜の耐水性が
劣ることがある。
【0030】この場合、有機化合物(B’)は5質量%
以上、好ましくは10質量%以上であって、30質量%
以下、好ましくは25質量%以下とすることが推奨され
る。有機化合物(B’)の量が上記範囲を下回ると、有
機化合物(A)と有機金属化合物(C)を十分に相溶化
できない場合が生じ、形成される皮膜の物性が劣る傾向
がある。他方、有機化合物(B’)の量が上記範囲を超
えると、コーティング用組成物の安定性が悪化する傾向
にある。
【0031】さらにこの場合、有機金属化合物(C)お
よび/またはその加水分解縮合物は40質量%以上、好
ましくは50質量%以上であって、80質量%以下、好
ましくは70質量%以下とすることが推奨される。有機
金属化合物(C)および/またはその加水分解縮合物の
量が上記範囲を下回ると、形成される皮膜において、十
分なガスバリア性が得られず、該皮膜の耐湿性も低下す
る。他方、有機金属化合物(C)および/またはその加
水分解縮合物の量が上記範囲を超えると、形成される皮
膜の可撓性が低下し、安定したガスバリア性が得られな
い。
【0032】本発明のコーティング用組成物の調製方法
を説明する。第1の態様では、「有機化合物(A)」と
「有機化合物(B)および/またはその加水分解縮合
物」を溶媒(D)中で混合し、反応させればよい。な
お、皮膜形成時の乾燥の際(後述する)の「有機化合物
(B)」の蒸発を防ぐため,「有機化合物(B)」は予
め加水分解縮合しておくことが好ましいが、公知の触媒
を用いて、溶媒(D)中で縮合させるのが有利である。
また、この加水分解縮合は、「有機化合物(A)」と
「有機化合物(B)」の反応の後に行っても構わない。
【0033】このようにして得られるコーティング用組
成物は、溶媒(D)中に「有機化合物(A)」と「有機
化合物(B)および/またはその加水分解縮合物」の反
応物を含むものとなる。この場合、未反応の「有機化合
物(A)」や、「有機化合物(B)および/またはその
加水分解縮合物」を含んでいてもよいし、これら未反応
物を全く含んでいなくてもよい。
【0034】なお、「有機化合物(A)」と「有機化合
物(B)および/またはその加水分解縮合物」の反応
を、皮膜形成の工程でさらに進行させることも可能であ
る。
【0035】本発明のコーティング用組成物の第2の態
様では、「有機化合物(A)」と「有機化合物
(B’)」と「有機金属化合物(C)および/またはそ
の加水分解縮合物」を溶媒(D)中で混合し、反応させ
ればよい。このようにして得られるコーティング用組成
物は、溶媒(D)中に「有機化合物(A)」と「有機化
合物(B’)」と「有機金属化合物(C)および/また
はその加水分解縮合物」の反応物を含有するものであ
る。
【0036】上記混合および反応の順序としては、「有
機化合物(A)」と「有機化合物(B’)」を溶媒
(D)中で反応させた後、「有機金属化合物(C)およ
び/またはその加水分解縮合物」を混合し、反応させて
コーティング用組成物としてもよく、「有機化合物
(B’)」と「有機金属化合物(C)および/またはそ
の加水分解縮合物」を溶媒(D)中で反応させた後、
「有機化合物(A)」を混合し、反応させてコーティン
グ用組成物としてもよい。
【0037】このようにして得られる第2の態様のコー
ティング用組成物中には、「有機化合物(A)」、「有
機化合物(B’)」や「有機金属化合物(C)および/
またはその加水分解縮合物」の未反応物や、「有機化合
物(A)」と「有機化合物(B’)」の反応物、「有機
化合物(B’)」と「有機金属化合物(C)および/ま
たはその加水分解縮合物」の反応物を含有していてもよ
い。
【0038】なお、コーティング用組成物の第2の態様
における上記各反応を、皮膜形成工程の際にさらに進行
させることも可能である。
【0039】皮膜形成時の乾燥の際(後述する)の有機
金属化合物(C)の蒸発を防ぐため,有機金属化合物
(C)は予め加水分解縮合させておくことが好ましく、
公知の触媒を用いて、溶媒(D)中で縮合させるのが有
利である。また、有機化合物(B’)が加水分解縮合で
きる官能基を有している場合は、これも有機金属化合物
(C)と同様の手法で加水分解縮合させておいてもよ
い。また、これらの加水分解縮合は、上述した各反応の
後に行っても構わない。
【0040】例えば、第1の態様において好ましい一例
の、トリエチレンテトラミン[有機化合物(A)]とγ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[有機化合
物(B)]を用いたコーティング用組成物の調製では、
トリエチレンテトラミンとγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシランをメタノール中、40〜70℃で1〜
3時間反応させる。これを室温まで冷却した後、メタノ
ール/水混合液を加え、さらに0.5〜1時間反応させ
て、上記化合物の反応物を含むコーティング用組成物を
得ることができる。
【0041】また、第2の態様において好ましい一例で
は、上記第1の態様で好ましい一例として挙げたコーテ
ィング用組成物に、さらにテトラメトキシシランオリゴ
マー[有機金属化合物(C)]のメタノール溶液を加
え、0.1〜24時間反応させて、上記化合物の反応物
を含むコーティング用組成物を得ることができる。ここ
では、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが
有機化合物(B’)に該当する。
【0042】なお、こうして得られる本発明のコーティ
ング用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、
硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤など
の無機・有機系各種添加剤を必要に応じて添加すること
も可能である。
【0043】本発明の表面被覆成形体は、成形体基材の
一部または全部が、「有機化合物(A)」と「有機化合
物(B)および/またはその加水分解縮合物」の混合物
および/または反応物を含むコーティング用組成物、あ
るいは「有機化合物(A)」と「有機化合物(B’)」
と「有機金属化合物(C)および/またはその加水分解
縮合物」の混合物および/または反応物を含むコーティ
ング用組成物から得られる皮膜で被覆されたものであ
る。
【0044】このうち、「有機化合物(A)」と「有機
化合物(B)および/またはその加水分解縮合物」の反
応物を含むコーティング用組成物、および「有機化合物
(A)」と「有機化合物(B’)」と「有機金属化合物
(C)および/またはその加水分解縮合物」の反応物を
含むコーティング用組成物は、夫々本発明のコーティン
グ用組成物の第1および第2の態様に該当するが、これ
らの反応物形成は、コーティング用組成物を被覆基材に
塗布した後、すなわち、皮膜形成時にも可能である。よ
って、上記の反応物を含まず、「有機化合物(A)」と
「有機化合物(B)および/またはその加水分解縮合
物」の混合物のみ、および「有機化合物(A)」と「有
機化合物(B’)」と「有機金属化合物(C)および/
またはその加水分解縮合物」の混合物のみを含むコーテ
ィング用組成物からも、本発明のコーティング用組成物
と同様の皮膜形成が可能であり、本発明の表面被覆成形
体を得ることができる。
【0045】しかしながら、「有機化合物(A)」と
「有機化合物(B)および/またはその加水分解縮合
物」の反応物、および「有機化合物(A)」と「有機化
合物(B’)」と「有機金属化合物(C)および/また
はその加水分解縮合物」の反応物を予め形成させること
が、コーティング用組成物の安定性を高め得るために好
ましく、この点で本発明のコーティング用組成物が有利
である。
【0046】これらのコーティング用組成物は、上記例
示の無機・有機系各種添加材を、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、必要に応じて含有してもよい。
【0047】本発明の表面被覆成形体は、被覆基材の種
類を特に限定するわけではなく、プラスチック、FRP
(繊維強化プラスチック)、編物、織物、不織布、紙、
合成紙など、あらゆるものに皮膜を形成して、本発明の
表面被覆成形体とすることができる。中でも、プラスチ
ックフィルム、ボトル、容器、あるいは種々の成形品な
どの樹脂成形体が、好ましい被覆基材として推奨され
る。
【0048】被覆基材を形成する樹脂の種類も特に限定
されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの
ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トなどやこれらの共重合体などのポリエステル系樹脂;
ポリアミド系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹
脂;ポリ(メタ)アクリル酸およびそのエステルなどの
アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン;ポリアクリロニ
トリル;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA);ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;
ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共
重合体;ポリエーテルケトン;ポリカーボネート;セロ
ファン;ポリエーテルサルホン;ポリサルホン;ポリフ
ェニレンサルホン;アイオノマー樹脂、フッ素樹脂など
の熱可塑性樹脂が好ましく用いられるが、この他、被覆
成形体の用途や他の要求特性によっては、メラミン樹
脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ユリア樹
脂、珪素樹脂、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂を使用す
ることも可能である。
【0049】本発明の表面被覆成形体の製造方法を説明
する。上記のコーティング用組成物を上記の被覆基材
(成形体基材)に塗布する。塗布方法は特に限定され
ず、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティ
ング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、
ダイコーティング法、スプレーコーティング法などや、
これらを組み合わせた方法を採用できる。
【0050】塗布後は、皮膜の乾燥・硬化を行うが、乾
燥・硬化工程での好ましい温度、時間といった条件は、
コーティング用組成物に使用する化合物の種類や、塗布
量などにより変化するため、一概には決められない。例
えば、本発明のコーティング用組成物の好ましい一例と
して上述したものを使用する場合、第1および第2のい
ずれの態様においても、後述する好ましい厚みの皮膜を
形成させるに当たっては、これらのコーティング用組成
物を成形体基材に塗布後、室温〜150℃で5〜60秒
乾燥させる。その後室温〜60℃で1〜7日間熟成させ
て硬化を進めることで、良好なガスバリア性と可撓性、
さらには透明性を兼ね備えた皮膜を有する表面被覆成形
体を製造することができる。なお、上記の条件は、あく
まで本発明の表面被覆成形体を製造し得る条件の一例で
あって、この製造条件に限定されるわけではない。
【0051】上記乾燥・硬化後の皮膜の厚みは特に限定
されないが、表面被覆成形体として十分なガスバリア性
を付与するには、通常、0.1μm以上10μm以下の
範囲が好ましい。より一般的には0.3μm以上3μm
以下である。ちなみに、皮膜が薄すぎる場合は、十分な
ガスバリア性が得られないことがあり、他方、厚すぎる
と皮膜が可撓性不足となって折り曲げ力などを受けた際
に割れを起こしやすくなり、使用時にガスバリア性を失
う恐れが生じるからである。
【0052】本発明の表面被覆成形体の皮膜上には、さ
らに金属または金属酸化物蒸着膜を積層してもよく、こ
れら蒸着膜の積層によって一段と高度なガスバリア性を
表面被覆成形体に付与することができる。ちなみに、本
発明に係る皮膜は蒸着層との密着性にも優れており、蒸
着層を積層しても高い可撓性を示す。蒸着層構成金属と
してはアルミニウムが好ましく、金属酸化物としてはシ
リカやアルミナが好ましい。蒸着方法としては、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など
の物理蒸着法(PVD)や、化学蒸着法(CVD)な
ど、公知の方法が採用できる。
【0053】さらに、表面被覆成形体の皮膜または上記
蒸着層上に、単一または複数層の熱可塑性樹脂を積層す
ることもできる。熱可塑性樹脂層を設けることで、耐水
蒸気性を向上させると共に、表面被覆成形体にヒートシ
ール性や印刷性などの性能を付与することが可能とな
る。ここで使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体
の如き汎用のオレフィンの単独または共重合樹脂が、ヒ
ートシール性や耐水蒸気性に優れたものとして推奨され
る。その他、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコー
ル、セロファン、ナイロンなどを使用することもでき、
これらの熱可塑性樹脂にポリ塩化ビニリデンをコートし
たフィルムを積層してもよい。
【0054】表面被覆成形体への上記熱可塑性樹脂の積
層は、公知の接着剤を用いるドライラミネートや、エク
ストルージョンラミネート、ホットメルトラミネートな
どの公知の方法を採用できる。積層時に用いる接着剤の
種類は特に限定されず、ポリウレタン系、ポリエステル
系、エポキシ系、アルキルチタネート系、ポリエチレン
イミン系、ポリブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、低分子量ポリエチレン、ワックスなどが使用で
きる。さらに、接着性を上げるためにコロナ処理等の表
面処理を行ってもよい。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0056】なお、本実施例において、外観は、目視に
より透明性(白濁の有無)を観察した。また、耐屈曲性
は、ゲルボフレックステスター(理学工業社製)を用
い、温度20℃、湿度60%RHの環境で、10回連続
屈曲させ、クラックの有無により評価した。クラックの
生じたものを×、クラックの生じなかったものを○とし
た。
【0057】酸素透過度は、温度20℃、湿度0%RH
(条件a)、および、温度20℃、湿度60%RH(条
件b)で、モダンコントロールズ社製の酸素透過度測定
装置によって測定した。
【0058】実験1 トリエチレンテトラミン10gと、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン5.4gおよびメタノール1
00gの混合液を60℃で2時間反応後、室温まで冷却
し、水0.6gとメタノール20gの混合液を加えて1
時間反応させてコーティング用組成物1を得た。
【0059】このコーティング用組成物1を25μm厚
のPETフィルムの片面に、乾燥後の厚みが2μmにな
るように塗布し、100℃で20秒乾燥後、さらに60
℃で7日間熟成させて硬化を進め、表面被覆成形体N
o.1を得た。この表面被覆成形体の特性評価の結果を
表1に示す。
【0060】実験2 トリエチレンテトラミン10gと、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン5.4gおよびメタノール1
00gの混合液を70℃で2時間反応後、室温まで冷却
し、水0.7gとメタノール20gの混合液を加えて1
時間反応させた。これにテトラメトキシシランオリゴマ
ー(多摩化学社製、Mシリケート51)8gとメタノー
ル50gの混合液を加えて1時間反応させてコーティン
グ用組成物2を得た。
【0061】このコーティング用組成物2を25μm厚
のPETフィルムの片面に、乾燥後の厚みが2μmにな
るように塗布し、100℃で20秒乾燥後、さらに60
℃で7日間熟成させて硬化を進め、表面被覆成形体N
o.2を得た。この表面被覆成形体の特性評価の結果を
表1に示す。
【0062】実験3 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.4g
とメタノール60gの混合液に、水0.6gとメタノー
ル20gの混合液を加え、室温で1時間反応させた。こ
れにテトラメトキシシランオリゴマー(Mシリケート5
1)8gとメタノール40gの混合液を加えて1時間反
応させてコーティング用組成物3を得た。
【0063】このコーティング用組成物3を25μm厚
のPETフィルムの片面に、乾燥後の厚みが2μmにな
るように塗布し、100℃で20秒乾燥後、さらに60
℃で7日間熟成させて硬化を進め、表面被覆成形体N
o.3を得た。この表面被覆成形体の特性評価の結果を
表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1から以下のように考察できる。No.
1および2の表面被覆成形体は、本発明の要件を満たす
コーティング用組成物から得られる皮膜によってPET
フィルムを被覆した実施例である。いずれも透明性、耐
屈曲性が良好であると共に、酸素透過度も低く、優れた
ガスバリア材である。特にNo.2の表面被覆成形体
は、高湿度環境下(条件b)でも高度なガスバリア性を
有していることが分かる。
【0066】これに対し、No.3の表面被覆成形体
は、本発明の要件を満足しないコーティング用組成物か
ら得られる皮膜によってPETフィルムを被覆した比較
例であり、耐屈曲性が劣ると共に、酸素透過度もNo.
1および2の表面被覆成形体に比べて劣っている。
【0067】
【発明の効果】本発明は以上の通り構成されており、低
コストで汎用性が高く、皮膜に極めて優れた可撓性を付
与し得る有機化合物(A)と、これと反応し、且つ加水
分解縮合し得る有機化合物(B)とを組み合わせて、あ
るいは、該有機化合物(A)と、これと反応し得る有機
化合物(B’)と、加水分解縮合し得る有機金属化合物
(C)とを組み合わせることで、優れたガスバリア性、
可撓性および透明性を有する皮膜を形成し得るコーティ
ング用組成物を提供することができた。上記化合物の混
合物および/または反応物を含むコーティング用組成物
から得られる皮膜で被覆された表面被覆成形体は、該皮
膜の優れた可撓性から、安定且つ高度なガスバリア性を
発揮できるものであり、包装材料などの各分野で有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AH03A AK42 AK52A AT00B BA02 BA07 CC00 EH46 EH46A EH462 EJ08 EJ86 GB15 JD02 JK17 JN01 4J038 DL021 DL031 DL051 DL081 DL091 DL111 DL121 DM021 GA07 GA08 JA28 JA69 JB05 JB18 JC01 JC34 JC35 NA08 PB04 PC08 PC10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 H2N(CH2CH2NH)pH (ただし、pは2以上の整数)で表される有機化合物
    (A)と分子内にアミノ基と反応し得る官能基およびS
    i(OR1x基(R1は同一または異なっていてもよ
    く、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、
    xは2または3である)を有する有機化合物(B)およ
    び/またはその加水分解縮合物との反応物を含むことを
    特徴とするコーティング用組成物。
  2. 【請求項2】 一般式 H2N(CH2CH2NH)pH (ただし、pは2以上の整数)で表される有機化合物
    (A)と分子内にアミノ基と反応し得る官能基を有する
    有機化合物(B’)と 一般式 R2 mM(OR3n (式中MはSiまたは金属元素、R2は同一または異な
    っていてもよく、アミノ基と反応しない官能基で置換さ
    れていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、R3は同一
    または異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜
    4のアルキル基を表し、mは0または正の整数、nは1
    以上の整数で、且つm+nは元素Mの原子価と一致す
    る)で表される有機金属化合物(C)および/またはそ
    の加水分解縮合物との反応物を含むことを特徴とするコ
    ーティング用組成物。
  3. 【請求項3】 成形体基材の表面の一部または全部が、
    一般式 H2N(CH2CH2NH)pH (ただし、pは2以上の整数)で表される有機化合物
    (A)と分子内にアミノ基と反応し得る官能基およびS
    i(OR1x基(R1は同一または異なっていてもよ
    く、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、
    xは2または3である)を有する有機化合物(B)およ
    び/またはその加水分解縮合物との混合物および/また
    は反応物を含むコーティング用組成物から得られる皮膜
    で被覆されたものであることを特徴とする表面被覆成形
    体。
  4. 【請求項4】 成形体基材の表面の一部または全部が、
    一般式 H2N(CH2CH2NH)pH (ただし、pは2以上の整数)で表される有機化合物
    (A)と分子内にアミノ基と反応し得る官能基を有する
    有機化合物(B’)と 一般式 R2 mM(OR3n (式中MはSiまたは金属元素、R2は同一または異な
    っていてもよく、アミノ基と反応しない官能基で置換さ
    れていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、R3は同一
    または異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜
    4のアルキル基を表し、mは0または正の整数、nは1
    以上の整数で、且つm+nは元素Mの原子価と一致す
    る)で表される有機金属化合物(C)および/またはそ
    の加水分解縮合物との混合物および/または反応物を含
    むコーティング用組成物から得られる皮膜で被覆された
    ものであることを特徴とする表面被覆成形体。
  5. 【請求項5】 用途がガスバリア材である請求項3また
    は4に記載の表面被覆成形体。
JP2001154524A 2001-05-23 2001-05-23 コーティング用組成物および表面被覆成形体 Withdrawn JP2002348533A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001154524A JP2002348533A (ja) 2001-05-23 2001-05-23 コーティング用組成物および表面被覆成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001154524A JP2002348533A (ja) 2001-05-23 2001-05-23 コーティング用組成物および表面被覆成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002348533A true JP2002348533A (ja) 2002-12-04

Family

ID=18998851

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001154524A Withdrawn JP2002348533A (ja) 2001-05-23 2001-05-23 コーティング用組成物および表面被覆成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002348533A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005250060A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Toshiba Corp ホログラム記録媒体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005250060A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Toshiba Corp ホログラム記録媒体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5728770A (en) Surface treatment composition and surface-treated resin molding
JP2742369B2 (ja) ガスバリア用表面処理用組成物および表面処理樹脂成形体
EP0990671A1 (en) Gas barrier composition and molded resin
JP3387814B2 (ja) ガスバリア性表面処理樹脂成形体
JP4821234B2 (ja) ガスバリア性積層体
JP2002294153A (ja) 表面被覆成形体
JP2002348533A (ja) コーティング用組成物および表面被覆成形体
JP3119113B2 (ja) 表面処理樹脂成形体
US6423416B1 (en) Barrier coating compositions from bis-aminosilanes and phenolic compounds
JP3343106B2 (ja) 表面被覆用組成物
JP3248374B2 (ja) ガスバリア性積層体
JP2002059519A (ja) ガスバリア性表面被覆成形体
JPH05331417A (ja) 表面処理用組成物および表面処理樹脂成形体
JP5270084B2 (ja) 防湿性組成物及びそれを用いた防湿性シート
JP3248375B2 (ja) ガスバリア性積層体
JP3781181B2 (ja) ガスバリア用包装材料
JP2812924B2 (ja) ガスバリア用表面処理用組成物および表面処理樹脂成形体
JP2002067227A (ja) ガスバリア性積層体およびその製造方法
JP2001098217A (ja) 表面被覆用組成物および表面被覆樹脂成形体
JP2003326646A (ja) ガスバリア用フィルム
JP2002161247A (ja) 耐煮沸性に優れたガスバリア用コーティングフィルム
JP2003326647A (ja) 気体遮断用フィルム
JP2001152084A (ja) ガスバリア性表面被覆用組成物およびその製法、並びに表面被覆体
JP3082590B2 (ja) コーティングフィルムの製造方法
JPH08199117A (ja) コーティング用組成物および樹脂成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040610

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080805