JP2002333805A - 電子写真法を使用した画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真法を使用した画像形成方法及び画像形成装置

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JP2002333805A
JP2002333805A JP2001147770A JP2001147770A JP2002333805A JP 2002333805 A JP2002333805 A JP 2002333805A JP 2001147770 A JP2001147770 A JP 2001147770A JP 2001147770 A JP2001147770 A JP 2001147770A JP 2002333805 A JP2002333805 A JP 2002333805A
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Hiroshi Nagame
宏 永目
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期に亘って感光体が使用されても、画像品
質の劣化が無く、また、感光体の摩耗が少なく、高耐久
化を達成する画像形成方法を提供すること。 【解決手段】 感光層上に無機微粒子を分散した被覆層
を有する構成の感光体に、非接触形態の帯電装置を用い
て帯電を行ない、画像露光によって静電潜像を形成し、
現像剤によって静電潜像を顕像化する電子写真法を使用
した画像形成方法であって、該感光体の表面層を清浄化
するための表面性調整部材をトナークリーニング装置と
帯電装置間に感光体に面接触して作動するように配設
し、感光体表層の摩擦係数を0.2〜0.5の範囲に維
持しながら画像形成を行なうことを特徴とする電子写真
法を使用した画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファクシミリ、レ
ーザービームプリンター、複写機等、電子写真法を使用
し画像形成を行なう画像形成方法及び画像形成装置に関
するものである。具体的には、無機微粒子を分散した被
覆層を最表層に有する感光体を使用し、帯電部材に感光
体と微少空隙を持ち帯電を行なう非接触帯電部材、さら
に、極細繊維不織布、特に感光体表面にソフトにかつ均
一接触させることができ、耐久性に優れ、毛羽立ちや塵
埃発生がなく、拭き取った微粒子を感光体表面に再付着
させない不織布、例えば化学繊維系の極細繊維不織布を
主体に構成される表面性調整部材を用いて、感光体に付
着する窒素酸化物(NOx)やオゾン(O3)などのコ
ロナ生成物、トナー構成物、紙粉(タルクや結着剤等)
等の汚染物質を除去することに因って清浄化し、さらに
は感光体に付与される微量の潤滑剤の作用により、摩擦
係数を好適なレベルに維持しながら、感光体の高耐久化
と高画像品質を達成する画像形成方法及び画像形成装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリ、レーザービームプリン
タ、複写機など現在一般に普及している電子写真法を使
用した画像形成装置では、感光体を中心に帯電、画像露
光、現像、転写、分離、清掃、除電等の装置が配設され
画像形成が行なわれる。画像形成に際して、まず、感光
体にはコロナ帯電装置や接触帯電装置などの帯電装置に
直流電圧もしくは正弦波の交番電圧を重畳した直流電圧
が印加されマイナス、もしくはプラス極性の画像形成に
必要な電位(一般には400〜1000V)に帯電され
る。感光体に帯電が行われる際に電荷以外に副産物とし
てオゾンや窒素酸化物等のコロナ生成物が発生し、感光
体表層に付着したり、場合によっては感光層内部に滲入
する。オゾンは強酸化機能があるため、感光層を酸化さ
せたり、分子間結合を切断させたりすることによって、
電気抵抗が低下したり、感光体特性が損なわれ、画像劣
化や、感度低下を起こす。オゾンは感光体表層に付着し
ても、直ちに分解が始まり、オゾンとしての機能が弱ま
り自然解消する性質を持つが、感光体に強く作用した場
合には、特性劣化を起こす可能性が大きい。窒素酸化物
はコロナ生成物が感光体に付着すると、乾燥状態での影
響は小さいが、大気中の水分を吸着し、急速に電気抵抗
が低下するため、解像度が低下し、最終的には完全に画
像流れとなり、コロナ生成物が除去されない限り改善さ
れない。これらのコロナ生成物の影響は使用される感光
体、複写システム等によっても影響度が異なり、例え
ば、耐摩耗性が大きく容易に排除されない感光体の場合
には画像劣化の程度がひどく、反対に感光層が削れ容易
に除去される様な感光体の場合には、画像品質は維持さ
れるが、摩耗により感光体の寿命が短くなる。
【0003】一方、感光体表面にコロナ生成物やトナー
構成物、コピー用紙の紙粉などが付着すると、汚染物質
の薄膜が形成される現象、いわゆるフィルミング現象が
発生する。そのため、画像流れが起こり易くなる一方、
感光体の摩擦係数が上昇し、クリーニング部材間の摩擦
抵抗が上昇することによって、クリーニングブレードの
反転現象、クリーニング部材の感光体面での微振動やよ
じれ、トナーのクリーニング不良を起こしやすくなる。
その結果、感光層の摩耗が促進され、感光体寿命が低下
する。
【0004】従来、これらに対する改善策が多く提案さ
れ、開示されてきた。以下、改善方法に関しての従来例
を挙げ説明する。 1.画像流れを改善させる改善方法 解像度低下、画像流れ現象に対処するため、感光体上に
付着もしくは固着した汚染物質を乾燥状態にして使用す
る方法や、付着物をクリーニングすることにより改善さ
せる方法等いくつかの方法が提案されている。例えば、 (1)感光体を40〜60℃に加熱させ表面抵抗の低下
を防止し、解像度の低下を抑制する方法(例えば、特開
昭63−40181号公報、特開昭62−296180
号公報、特開昭51−65941号公報、特開昭60−
95467号公報等に記載)。 (2)感光体表面を水拭きし、表面に付着したコロナ生
成物を除去し、解像度の劣化を防止する方法(例えば、
特開昭58−157549号公報、特開昭60−173
570号公報等に記載)。 (3)感光層を活性炭素繊維でクリーニングしコロナ生
成物を除去する方法(例えば、USP5264903号
明細書、特開平3−92882号公報等に記載)。 (4)極細繊維の不織布でクリーニングし、コロナ生成
物を除去する方法(例えば、特開平5−150693号
公報、特開平5−134585号公報、特開平8−24
8820号公報等に記載)。これらの中で画像流れに対
し加熱する手段が最も大きな効果を有し、次いで水拭
き、活性炭素繊維、極細繊維の不織布の順である。但
し、感光体や使用部材、方法などによって効果に大小を
生じる。
【0005】2.感光体の耐久性を向上させる方法 一般に、感光体の耐久性を向上させる手段としては、感
光体表面層に高耐久化の為の被覆層を積層する方法があ
る。耐摩耗性の被覆層もしくは保護層を形成する方法と
して、蒸着、プラズマCVD法などを使用して1010
1014Ω・cm程度の体積固有抵抗を持つ薄膜を形成する
方法、高硬度の金属酸化物や粒状樹脂などの微粒子を分
散した樹脂液を浸漬塗工もしくはスプレー塗工などで感
光体表層に塗工する方法などがある。CVD法を用いて
非晶質炭素膜(a−C膜)を感光層上に形成する方法と
しては特開平1−92756号公報、特開平2−790
47号公報、特開平4−66954号公報等に開示され
ているものがあり、感光体の保護層中もしくは表面層中
に導電性微粒子(フィラー)を分散し、接触帯電法で画
像形成を行なう内容については以下のような例がある。 (1)酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモ
ン、酸化インジウム、酸化ビスマス、錫ドープ酸化イン
ジウム等の導電性微粒子を分散した層を最表面に構成す
る(特開平06−035220号公報)。 (2)0.02〜5μm(好ましくは0.07〜2.0
μm)の無機化合物粒子(例えば、シリカ、酸化アルミ
ニウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウムなどの金属酸化
物、金属硫化物、金属窒化物)とブタジエン系電荷輸送
材料を含有する層を最表面に構成する(特開平08−1
23053号公報)。 (3)厚さ12μm以下の電荷輸送層に1〜3μmの粒
径のシリコーン樹脂、フェノール樹脂、SiO2、Al2
3、TiO2、ZnOを分散した層を最表面に構成する
(特開平08−234455号公報)。 (4)熱硬化樹脂中(熱硬化性ポリウレタン)に酸化
錫、酸化錫と酸化アンチモンもしくは両者を含むものか
らなる金属酸化物を分散した層を最表面に構成する(特
開平08−234469号公報)。 (5)平均粒径が0.02〜0.5μmの酸化チタン、
酸化アルミニウム、酸化珪素などの無機化合物微粒子を
1種又は2種ポリカーボネート樹脂中に分散した層を最
表面に構成する(特開平08−146641号公報)。 (6)0.01μm〜2μmの表面粗さの導電性支持体
を使用して、感光層上に0.1〜0.5μmの表面粗さ
で、その表層中に平均粒径0.05〜0.5μmの無機
微粒子(疎水化処理したシリカ)を分散した0.05〜
15μmの膜厚の保護層を形成する(特開平08−24
8663号公報)。
【0006】3.感光体表層を低摩擦係数化して耐摩耗
性を向上させる方法 (1)潤滑剤(ステアリン酸亜鉛など)の塗布量をコン
トロールしながら、画像坦持体にブラシを介して塗布す
る装置をクリーニング部内に設置する(特開平8−20
2226号公報)。 (2)像担持体上に形成されたトナー像を検知し、その
基準値に応じて潤滑剤を塗布する制御装置を有する画像
形成装置で、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を用いる
(特開平8−305233号公報)。 (3)帯電ローラーを介して潤滑剤(ステアリン酸亜鉛
など)を画像坦持体に塗布する(特開平6−34223
6号公報)。 (4)感光層の最表層にシリコーン系もしくはフッ素系
の潤滑剤を含有もしくは塗布させるか、含有した層を感
光体に設ける(特開昭54−1630号公報、特開昭5
4−143142号公報、特開昭64−35448号公
報、特開昭63−244039号公報等)。 (5)塗布ローラーに固体潤滑剤を当接させ、その固体
潤滑剤は軸方向、垂直方向に揺動させることにより、感
光体に潤滑剤を塗布する(特開平9−251263号公
報)。
【0007】前述したように、コロナ生成物、トナー構
成物、紙粉等が感光体に付着した場合、感光体の電気抵
抗が低下し、さらに感光体の表面摩擦係数が増加する。
このため、画像品質は低下し、感光層が摩耗し易くな
り、感光体の耐久性が短くなると云う問題を引き起こ
す。
【0008】これらの問題点は上記従来例に見られるよ
うに感光体に付着したコロナ生成物を除去する手段を講
じたり、感光体に高耐久化の対策を施したり、或いは、
ブレードクリーニングなどによる摩耗を起こしにくくす
ることによって、或る程度改善は可能である。しかしな
がら、それぞれに一長一短があり、簡単な手段で画像流
れを起こさずに高耐久化を図ることは難しい。
【0009】画像流れを回避し、耐久性を維持するため
には感光体の表面抵抗を低下させ、摩擦係数を増加させ
るコロナ生成物は少なくとも排除する必要がある。コロ
ナ生成物の付着を抑制することによって、フィルミング
の発生頻度を抑えることができ、画像品質の維持並びに
感光体の耐久性向上につなぐことができる。
【0010】感光体を加熱する手段は、感光体の画像流
れを改善するには最も大きな効果を有するが、加熱する
手段を新たに設ける必要があり、加熱源のための電力が
必要であり、感光体材料やトナーによっては加熱できな
かったり、小口径の感光体にはスペース的に設置が困難
などの問題点がある。この手段ではコロナ生成物を除去
することはできないため、摩擦係数は高いままとなり、
耐久性向上には結びつかない。感光体の加熱温度が低下
すれば、解像度は再び悪化する傾向にある。
【0011】水拭きによる改善方法では、トナーフィル
ミングまでは改善することはできないが、有機感光体や
無機微粒子を分散した被覆層を有する感光体等でも完全
ではないが画像流れは殆ど改善することができ、解像度
回復、耐久性向上に有効な手段である。ただし、高硬度
のDLC薄膜(=Diamond-Like Carbon)を被覆した場
合、コロナ生成物に因る化学変化は起こりにくいが、ミ
スト状のコロナ生成物が感光体に吸着し易いため、時間
がたつにつれ改善困難に陥る。水拭きによる改善手段
は、常時水の補給や部材の交換が必要となるため、ハン
ドリング性という面からすると、有効な方法とは云えな
い。
【0012】活性炭素繊維(ACF=Activated Carbon
Fiber)をクリーニング材に使用した場合、コロナ生成
物などの汚染物質の除去効果は高い。しかし、好適な形
態のものを選定した場合には有効な手段となるが、AC
Fは材料自体が硬くて脆いため、手段が不適な場合は無
機微粒子を分散した樹脂膜やDLC膜の様な硬度の高い
薄膜であっても、破損した粉末がクリーニング部材や現
像部に入り込み、感光体を傷つけたり、異常画像現象の
原因になることがあり、逆に感光体の耐久性を縮めるこ
とにもなる。
【0013】極細繊維の不織布をクリーニング部材に使
用した場合、上記従来例にも見られるように、除去した
感光体上の汚染物質は不織布に取り込まれ、再汚染の恐
れが小さくなるため、極細繊維の不織布を使用すること
は有効な手段となる。しかし、汚染物質が感光体に強く
付着した場合には、有機感光体であっても固着力が大き
いため、除去しにくくなるので、常時感光体に当接して
複写サイクル毎に汚染物質が除去されるようにすること
が望ましい。強く摺擦すれば、除去能力は高まるが、有
機系感光体は柔らかいため局部的摩耗が生じ易く、画像
欠陥或いは耐久性低下の要因となる場合がある。ただ、
有機感光体の場合、コロナ生成物を除去しても、摩擦係
数はそれほど低下しないので、感光体の高耐久化にはそ
れほど寄与しない。
【0014】DLC膜を感光体上に被覆することによっ
て高耐久化が達成可能であるが、DLC膜は耐摩耗性が
極めて大きく、コロナ生成物の吸着力も大きいため、極
細繊維の不織布のみでは汚染物質の除去能力が不十分
で、長期安定性を求めるためには、他の手段(例えば感
光体への加熱処理)と併用することが望ましい。
【0015】この様に帯電時に副産物として生成された
オゾンや窒素酸化物等のコロナ生成物が感光体に作用す
ると、比較的短時間で感光体の表面抵抗を低下させ画像
流れを起こしたり、感光層に滲入した場合にはバルク抵
抗を低下させたり、構造欠陥を増やしたり、分子間結合
を切断させたりするため、画像流れが起こったり、感度
低下の原因を作り出す。
【0016】コロナ生成物が感光体表面に付着した場合
には、摩擦係数を高めるため、ブレードクリーニングと
の摩擦抵抗が大きくなり、感光層の摩耗が促進され易く
なる。特に、最近主流として使用されている有機感光体
の場合には元々機械的強度が弱い上、コロナ生成物の影
響を受けやすいため、機械的耐久性が短い。
【0017】感光層の表面層に(高硬度)微粒子を分散
した樹脂層を形成する方法では、耐摩耗性が向上し感光
体寿命を高めることができる。微粒子は通常樹脂に対し
10〜50%前後添加されるが、この様な感光体を接触
帯電法で使用した場合、無機微粒子が少ないと前記した
ような現象、すなわち、トナー中の流動制御剤として添
加されるSiO2やTiO2等の微粉末が感光層表層に食
い込み、膜削れの不均一性、白抜けや、モヤムラ、トナ
ーフィルミングなどを生じやすくなる。
【0018】一方、無機微粒子が多すぎた場合には、残
留電位が増加し、画像品質の低下が促進される。また、
添加量が多く感光体の表層の削れが殆ど無い場合には、
表層に付着したコロナ生成物が残留し易くなり、次第に
解像度の低下を来たし、高湿環境になるほど、解像度が
低下しやすくなり、最終的には画像流れに到るという不
具合が生じる。さらに、光の透過率が低下し画像電位レ
ベルが上昇し、画像濃度が低くなるという不具合が生じ
る。
【0019】一方、上記内容とは別に、感光体の耐久性
を向上させる方法として、感光体表面層を耐摩耗性の感
光層にしたり、耐摩耗性の保護層を設ける方法等があ
る。前述した特開平08−20226号公報に記載の方
法は、ブラシに一旦塗布したものを感光体に移行させる
ことによって、均一塗布性が向上し、画像の均一化には
好ましい方法である。潤滑性に優れたステアリン酸亜鉛
などを塗布すると、耐摩耗性にも優れる。ただ、ステア
リン酸亜鉛は感光体に一度付着すると除去しにくいた
め、効果の持続性はあるが、多く塗布された場合には帯
電過程で生成されるコロナ生成物等の汚染物質を巻き込
みやすくなる。また、ステアリン酸亜鉛層が一層形成さ
れると、クリーニングブレードによる掻き取り効果が大
幅に低下するため、局部的な画像品質低下を起こす危険
性がある。したがってセンサーのSN比を大きくとり、
さらに極薄層とするための正確な塗布制御機能が要求さ
れる。このため、多量に供給されないように少しずつ供
給するようにコントロールする必要がある。またこの方
式ではステアリン酸亜鉛が感光体に必要以上に付着しや
すい傾向があり、付着量を制御できにくい危険性があ
る。
【0020】また、特開平08−305233号公報に
は、クリーニング装置を構成するクリーニングブラシで
潤滑剤(ここではステアリン酸亜鉛)を削りながら、像
担持体に潤滑剤を塗布する方法であるが、塗布のタイミ
ングとして、像担持体上のトナー像を検知し、その画像
品質劣化(フィルミングなどで感光体がトナー汚染され
地汚れすること)が生じないように、常に均一塗布を行
なう装置を用いて行なうことが記載されている。
【0021】トナーフィルミングは感光体上の摩擦係数
が低下した場合に起こりやすく、この主原因はコロナ生
成物と、トナーを構成する樹脂や顔料等である。したが
って、感光体表面の摩擦係数を低下させ、クリーニング
性能を上げ、また、付着力を弱めることで、抑制が可能
である。
【0022】ステアリン酸亜鉛は付着しやすく、潤滑性
という面及び一度塗布すると効果が継続するといった優
れた面があるが、前述したように、クリーニングブレー
ドと感光体との摩擦抵抗が大幅に低下して感光体面のコ
ロナ生成物、トナーなどの構成物質等を簡単に除去し難
いという面が生じる。したがって、問題が起こっても長
時間継続する。すなわち、塗布されたステアリン酸亜鉛
は蓄積して厚くなり、コロナ物を巻き込みやすく、一度
巻き込むとコロナ生成物は蓄積していき、ステアリン酸
亜鉛が除去されるまで感光体上に留まるため、画像流れ
などの問題が長引くという問題がある。したがって、問
題が起こらない程度に極薄く塗布するような制御が必要
となる。
【0023】特開平06−342236号公報に記載の
ものは、潤滑剤を感光体の回転速度とは線速度を変えた
帯電ローラーに一旦塗布し、それを感光体に再塗布し、
感光体に潤滑効果を持たせるものである。この方法は線
速度を変えることによって塗布ムラをなくし、均一塗布
を行なう様にしたものであるが、前述特開平8−202
226号公報に記載のものと同様に、ステアリン酸亜鉛
の様なワックス状の固形品を使用しているため、帯電系
に使用する場合には少しでも塗布の不均一性があると、
電気抵抗にムラを生じ易く、感光体の帯電均一性が失わ
れ、画像欠陥(例えば、黒点、モヤムラなど)が発生し
やすい危険性がある。
【0024】また、特開昭54−1630号公報、特開
昭54−143142号公報、特開昭64−35448
号公報、特開昭63−24039号公報等に記載のもの
は、感光体表層を修飾する方式のものである。有機系感
光体の表層にフッ素系界面活性剤と硬化性樹脂からなる
保護層を設けたもの(特開昭54−1630号公報に記
載)、フッ素系界面活性剤と潤滑剤を含有する樹脂から
なる保護層を設けたもの(特開昭54−143142号
公報に記載)、固体潤滑剤とシリコーンオイルを含有す
る表面層を設けたもの(特開昭64−35448号公報
に記載)、感光層の最表層に潤滑剤を含有する層を設け
たもの(特開昭63−244039号公報に記載)など
である。これらの方法は感光体自体に潤滑性を持たせる
ため、装置本体のシステム変更がいらないという大きな
メリットがある。
【0025】しかし、オイルを添加させた場合、その量
が極めて少ない量に限定されてしまうことと、添加させ
たオイルは自然と表層に移行し、現像や転写紙、クリー
ニングで失われるため、潤滑効果の持続性が短く、効果
は初期に留まり、100枚前後のコピーで効果が無くな
るという問題がある。
【0026】一方、感光層の最表面近傍にフッ素系の粉
末を分散した層を設けた感光体での持続性は分散層の膜
厚、削れ量に依存するが、分散する粉末の電気抵抗や分
散性によって、感光体の電子写真特性が損なわれ易く、
残留電位の上昇や、長期に亘って使用する場合、微少な
黒点やモヤムラなどの発生が生じるという問題があり、
また、コロナ物やトナー構成物などの異物の付着は防止
できないため、摩擦係数は必然的に上昇し、前記した問
題点の発生は避けられない。
【0027】また、特開平09−251263号公報に
は、固体潤滑剤(材料名は不明)を揺動させながら塗布
ローラーに当接し、最終的に感光体に潤滑剤を塗布する
方式が記載され、本発明の目的はこの揺動により潤滑剤
の寿命を延ばすものである。機構が複雑になるのでコス
トアップは避けられないが、効果面や欠点は前述の特開
平8−202226号公報、特開平8−305233号
公報、特開平6−342236号公報等に記載のものと
ほぼ同等と考えられる。
【0028】
【発明が解決しようとしている課題】本発明の目的は、
上記問題点に鑑み、長期に亘って感光体が使用されて
も、画像品質の劣化が無く、また、感光体の摩耗が少な
く、高耐久化を達成する画像形成方法を提供するもので
ある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成する手段
は基本的には次の3点の組み合わせによる。 1.感光体に無機微粒子を分散した被覆層を形成する。
感光体には感光層上に更に無機微粒子を分散した被覆層
を形成し、感光体の耐摩耗性を上げる場合に、感光層材
料であるバインダー樹脂に好適な無機微粒子を分散させ
ることにより、コロナ生成物やトナー構成物、紙粉など
の汚染物質の樹脂への付着力を弱め、表面性調整部材に
よる汚染物質の除去を容易にする。 2.トナークリーニング装置と帯電装置間に化学繊維系
の極細繊維不織布から成る表面性調整部材を感光体に面
接触作動するように配設する。極細繊維不織布、特に感
光体表面にソフトにかつ均一接触させることができ、耐
久性に優れ、毛羽立ちや塵埃発生がなく、拭き取った微
粒子を感光体表面に再付着させない不織布、例えばポリ
エステル繊維等の化学繊維系の極細繊維不織布が感光体
に面接触するように構成された表面性調整部材をトナー
クリーニング後に配設し、摺擦力により感光体表面に付
着した汚染物質を再付着させることなく均一に除去清浄
化する。極細繊維不織布からなる表面性調整部材と無機
微粒子分散の被覆層を有する感光体との組み合わせで、
感光体表面摩擦係数を極めて良好に低減化させることが
できる。 3.僅かに潤滑剤を感光体に供給する。本発明における
潤滑剤の主とする役割は、長期に亘って使用される間の
フィルミングの形成、トナー流動性改善材としてのシリ
カの感光体への突き刺さりによる外観不良等を緩和する
ことができ、シリカの突き刺さりによる感光体の外観不
良が進行してない状態では、潤滑剤が感光層に直接作用
し易くなるため、潤滑作用も若干ながら向上する。感光
体に供給する潤滑剤の量は極く僅かに留めるのが望まし
い。これにより、潤滑剤が多量に付着したときの画像劣
化に対する弊害(解像度低下、画像ムラなど)を起こさ
ないようにすることができ、また、表面性調整部材の作
用を長時間に亘って良好な状態で維持することができ
る。表面性調整部材のみでも摩擦係数の若干の低減化は
可能であるが、本発明で良質の画像品質を維持しつつ感
光体のより高耐久化を図るためには極微量の潤滑剤を添
加することは極めて有効な手段となる。
【0030】すなわち、上記課題は、本発明の(1)
「感光層上に無機微粒子を分散した被覆層を有する構成
の感光体に、非接触形態の帯電装置を用いて帯電を行な
い、画像露光によって静電潜像を形成し、現像剤によっ
て静電潜像を顕像化する電子写真法を使用した画像形成
方法であって、該感光体の表面層を清浄化するための表
面性調整部材をトナークリーニング装置と帯電装置間に
感光体に面接触して作動するように配設し、感光体表層
の摩擦係数を0.2〜0.5の範囲に維持しながら画像
形成を行なうことを特徴とする電子写真法を使用した画
像形成方法」、(2)「前記表面性調整部材が、支持基
体(取付部材)に弾性部材及び化学繊維系極細繊維の不
織布を取り付けた形状、もしくは支持基体(取付部材)
に内側より順に芯材、弾性部材、化学繊維系極細繊維の
不織布となるように構成した形状のものであり、その形
状が固定形状もしくは回転可能な形状であることを特徴
とする前記第(1)項に記載の画像形成方法」、(3)
「前記表面性調整部材に使用される化学繊維系の極細繊
維不織布が交換可能であることを特徴とする前記第
(1)項又は第(2)項に記載の画像形成方法」、
(4)「前記無機微粒子を分散した被覆層が、酸化チタ
ンもしくはアルミナを10%以上、50%以下に分散し
た1〜8μmの膜厚構成である感光体を使用し画像形成
を行なうことを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)
項のいずれか1に記載の画像形成方法」、(5)「感光
層上に無機微粒子を分散した被覆層を有する構成の感光
体に、非接触形態の帯電装置を用いて帯電を行ない、画
像露光によって静電潜像を形成し、現像剤によって静電
潜像を顕像化する電子写真法を使用した画像形成方法で
あって、該感光体の表面層を清浄化するための表面性調
整部材をトナークリーニング装置と帯電装置間に感光体
に面接触して作動するように配設し、外添により感光体
表層へ潤滑剤が供給されると共に、前記表面性調整部材
が作動されることを特徴とする画像形成方法」、(6)
「前記表面性調整部材が支持基体(取付部材)に弾性部
材及び化学繊維系極細繊維の不織布を取り付けた形状、
もしくは、支持基体(取付部材)に、内側より順に芯
材、弾性部材、化学繊維系極細繊維の不織布となるよう
に構成した形状であり、その形状が固定形状もしくは回
転可能な形状であることを特徴とする前記第(5)項に
記載の画像形成方法」、(7)「前記表面性調整部材に
使用される化学繊維系の極細繊維不織布が交換可能であ
ることを特徴とする前記第(5)項又は第(6)項に記
載の画像形成方法」、(8)「前記感光体の表面摩擦係
数を0.1〜0.4の範囲に維持しながら画像形成を行
なうことを特徴とする前記第(5)項乃至第(7)項の
いずれか1に記載の画像形成方法」、(9)「前記無機
微粒子を分散した被覆層が、酸化チタンもしくはアルミ
ナを10%以上、50%以下に分散した1〜8μmの膜
厚構成である感光体を使用し画像形成を行なうことを特
徴とする前記第(5)項乃至第(8)項のいずれか1に
記載の画像形成方法」によって達成される。
【0031】また、上記課題は、(10)「感光層上に
無機微粒子を分散した被覆層を有する構成の感光体に、
非接触形態の帯電部材、感光体表層を清浄化する化学繊
維系の極細繊維不織布を主体として構成される表面性調
整部材を夫々配設した前記第(1)項乃至第(4)項の
いずれかに記載の画像形成方法を用いることを特徴とす
る画像形成装置」、(11)「感光層上に無機微粒子を
分散した被覆層を有する構成の感光体に、非接触の帯電
部材、感光体表層を清浄化する化学繊維系の極細繊維不
織布を主体として構成される表面性調整部材を夫々配設
し、感光体表層に微量の潤滑材を供給しながら画像形成
を行なう前記第(5)項乃至第(9)項のいずれか1に
記載の画像形成方法を用いることを特徴とする画像形成
装置」によって達成される。
【0032】感光体に無機微粒子を分散した被覆層を有
する有機感光体を使用するのは、有機感光体が他のセレ
ンやアモルファスシリコンなどの感光材料に比べて安価
に製造でき、製造が容易、無公害等の理由による。但
し、有機系の感光体は前記したように耐久性が短い。耐
久性の短いことを補償する手段としては、高耐久性を有
する高硬度の透光性の良い被覆層を感光体上に形成する
方法が一般的であった。
【0033】しかし、本発明では無機微粒子を分散した
被覆層を形成する。被覆層材料としてのポリエステル樹
脂層やウレタン樹脂層、ポリカーボネート樹脂層或いは
DLC膜等は単独では体積抵抗が大きいため、残留電位
が高く、蓄積性があり、また、コロナ生成物が固着しや
すいため、電子写真用材料としては不適当なものであ
る。
【0034】本発明では上記のバインダー樹脂中に正孔
(ホール)移動度を上げ、残留電位の上昇を抑えるため
の若干のドナーとアルミナ(Al23)や酸化チタン
(TiO2)からなる中〜高抵抗無機微粒子を被覆層を
構成するバインダー樹脂や低分子電荷輸送物質等の材料
に対し10%以上、50%以下、好適には20〜30%
を分散することにより、電子写真特性を満足させ、さら
に機械的強度を向上させる。
【0035】感光体上には帯電の際にコロナ生成物が付
着することによって、画像流れが発生し易くなり、他
方、ブレードクリーニングと感光体との摩擦抵抗が大き
くなり、感光層の摩耗が促進され易くなる。したがっ
て、感光体とブレードクリーニング間の摩擦抵抗を下げ
る必要が生じる。
【0036】摩擦抵抗を下げる手段として潤滑剤を感光
体に供給する方法がある。潤滑剤は感光体の摩擦係数を
下げ、感光体の耐摩耗性を向上させる有効な手段である
が、上記のように、供給量が多すぎた場合には摩擦係数
が異常に下がりすぎ、コロナ生成物やトナー構成物など
の画像劣化要因も除去されなくなる。したがって、必要
最小限な供給に留めることが望ましい。供給量を必要最
小限の量に抑えることによって、画像劣化の悪化が抑制
され、また、潤滑剤の感光体面への供給によって感光体
上のトナーフィルミングの生成、キャリアの感光層への
突き刺さり等が抑制される。但し、潤滑剤が感光層上に
均一に塗布される訳ではないので、感光体上には汚染物
質が点在する形になる。特に被覆層がない状態での感光
層のみの場合には付着力が高くなるので、フィルミング
等の現象が起こりやすい。感光体面に付着した汚染物質
を除去し易くし、感光体面の清浄化を容易にするには、
感光層上に無機微粒子を分散させ高硬度化することに合
わせて、さらに、極細繊維不織布、特に感光体表面にソ
フトにかつ均一接触させることができ、耐久性に優れ、
毛羽立ちや塵埃発生がなく、拭き取った微粒子を感光体
表面に再付着させない不織布、例えば繊維径が5μm以
下の化学繊維系の極細繊維不織布を主体として構成され
る表面性調整部材で摺擦するように作動させることによ
って、感光体表層を軽く払拭すれば容易に達成される。
表面性調整部材を作動させることによって感光体上の汚
染物質が除去されると共に、潤滑剤の拡張が行なわれる
と思われる。
【0037】この手段で、感光層上の汚染物質は清浄化
され、その結果、摩擦係数が0.1〜0.4の間(潤滑
剤の供給が著しく少ないか、供給されない場合には、表
面性調整部材との併用で0.2〜0.5の間で推移す
る)に維持されるため、長期に亘って使用されても画像
品質の劣化が極めて小さく、感光層の摩耗が0.4μm
/10万枚以下に抑制できるため、感光体の長寿命化が
大きく達成可能となる。
【0038】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用される複写プロセスの概略図を図1に示す。複写プ
ロセスはゼログラフィー方式の電子写真法を使用するも
ので、帯電装置(2)、画像露光系(3)、現像装置
(4)、転写分離装置(5)、クリーニング装置
(6)、除電装置(8)等の基本的各装置以外に、トナ
ークリーニング装置(6)と帯電装置(2)間に、感光
体(1)の表面に付着したコロナ生成物などから成る汚
染物質を除去し、摩擦係数を低減化するため部材(化学
繊維系の極細繊維不織布を主体として構成される表面性
調整部材(7))を付加した複写プロセスである。
【0039】図1において、感光体(1)には最表層に
耐久化を図るための無機微粒子が被覆層を構成するバイ
ンダー樹脂や低分子電荷輸送物質等の材料に対し10%
以上、50%以下、好適には10〜40%、より好適に
は20〜30%分散された被覆層(1f)を有する有機
系感光体(1)を使用する。帯電装置(2)にはコロナ
帯電法、接触帯電法、非接触帯電法などの装置がある
が、環境的にはオゾン、窒素酸化物の生成が少ない接触
帯電法が好ましく使用される。しかし、帯電部材並びに
感光体の汚染や耐久性の面で問題点もあり、本発明では
感光体(1)と帯電装置(2)間に50〜250μm程
度の空隙を設けて帯電する非接触帯電法が望ましい。な
お、オゾンなどのコロナ生成物の発生を抑制する手段と
して、活性炭素繊維などの触媒機能を有する素材で帯電
部材を形成する方法があるが、本発明でも勿論使用可能
で、この部材でも非接触法で使用することが望ましい。
【0040】したがって、本発明では以後非接触帯電法
で説明する。帯電装置(2)に印加される電圧には一般
に直流電圧が使用されるが、高湿環境での帯電安定性を
高めるために交番電圧を重畳した直流電圧が印加され
る。感光体(1)に印加される電圧の極性は感光体構成
によって異なるが、図2に示される様に感光層が導電性
支持体(1a)側から下引き層(1b)、電荷発生層
(1c)、電荷輸送層(1d)の順に積層された感光体
では、通常、感光体表層がマイナス電圧になるような極
性の電圧が印加され、図3に示される様な電荷発生層
(1c)と電荷輸送層(1d)が一体化された感光層
(1e)構成の感光体では主としてプラス極性の電圧が
印加される。画像形成には通常(±)400〜1000
Vになるように帯電が行なわれ、図2に示されるような
構成の感光体での帯電電圧は、ほぼ−500〜−800
V程度である。
【0041】画像露光系にはアナログ系とデジタル系が
あり、本発明で評価に使用する画像形成装置はデジタル
系で、CCDで読みとられた原稿像がLD、LEDを光
源とする30〜100μm径のドットパターンの形で感
光体に照射される。現像系には1成分もしくは2成分系
の現像剤を有するマグネットブラシ方式の現像装置が使
用される。
【0042】感光体上に形成されたトナー像をコピー用
紙に転写するための転写装置(5)にはコロナ放電方
式、ローラー転写方式、ベルト転写方式などがあり、マ
イナス帯電のトナーの場合はプラス電圧が転写部材に印
加され、トナーで顕像化されたトナー像がコピー用紙に
転写される。
【0043】コピー用紙(10)を感光体(1)から引
き離す分離装置(5)を経た後、感光体(1)はクリー
ニング装置(6)で残留トナーが清掃される。感光体
(1)上の残留トナーを清掃するためのクリーニング装
置(6)にはファーブラシ方式、ブレードクリーニング
方式、マグネットブラシ方式、ファーブラシとクリーニ
ングブレード方式を組み合わせた方式などがある。本発
明を実施する上ではできるだけクリーニングブレード直
前に残留トナーが少ないことが望ましい。これは感光層
の摩耗の大半がブレードクリーニング部で起こり易いた
めで、トナーがブレードの押圧により研磨剤としても働
いているためである。したがって、転写効率を100%
近いレベルまで高めるか、プレクリーニング(ファーブ
ラシやエアーブラシなど)との併用によりブレードクリ
ーニングと組み合わせ使用することが望ましい。
【0044】耐摩耗性を有する感光体上には帯電時に生
成されたコロナ生成物やトナー粉が固着し、数10〜数
100(Å)程度の不均一な薄膜が形成される。この薄
膜は吸湿性を有するため、画像品質に影響を与えるばか
りでなく、感光体表層の摩擦係数を高くし、クリーニン
グブレードとの摩擦抵抗を高めるため、感光体の摩耗を
促進させる要因にもなる。したがって、この影響を排除
するための改善手段が必要であり、好適な部材として、
化学繊維系(ポリウレタン、ポリエステル、ナイロンな
ど)の極細繊維不織布で構成される表面性調整部材
(7)をトナークリーニング後に配設する。
【0045】極細繊維の不織布を使用する理由は、異物
を取り込みやすいことと、糸くずが生じにくく、バイン
ダー樹脂などの結着剤を使用していないことなどのため
であり、使用後感光体に光沢が回復するほどにクリーン
化が得られるためである。
【0046】この後、感光体(1)は除電装置(8)
(必ずしも必要不可欠なものではない)により、感光層
内の残留電荷が消される。一方、転写されたコピー用紙
(10)は定着装置(9)によりハードコピーとなる。
【0047】本発明に使用される感光体は、基本的には
図2に示される構成のもので、複写プロセスによっては
図3の様な構成のものが使用される。図2は基体である
導電性支持体(1a)上に下引き層(1b)を形成し、
感光層は電荷発生層(1c)と電荷輸送層(1d)から
構成される機能分離型感光体で、帯電々位は通常マイナ
ス(ホール移動型)である。図3は電荷発生層と電荷輸
送層が一体型になった感光体で、動作極性は主としてプ
ラス帯電である。
【0048】いずれの感光体においても感光体の耐久性
を向上させるための被覆層(1f)を感光体最表面に有
する。以下、評価用感光体として使用する積層型感光体
について詳述する。
【0049】まず、導電性支持体について説明する。導
電性支持体(1a)の素材は超仕上げ、鏡面仕上げ等の
加工を施したアルミニウムが一般的に使用されるが、電
気、機械、化学的などの各特性を満足し、150〜16
0℃程度の温度で変形を起こさないもので有れば良く、
ステンレススティール、銅、真鍮などの金属の他、圧縮
紙や樹脂或いはガラスに、金やアルミ、白金、クロム等
を蒸着或いはスパッタリングした導電層、さらにはカー
ボン、錫等の微粒子を分散した導電層を塗工したもので
あっても良い。電気抵抗は体積固有抵抗で、106Ω・
cm以下の値であれば問題はない。形状はドラム状で、
肉厚は直径や材質にも因るが、アルミニウム管の場合、
通常0.5〜3mm程度のものが使用される。
【0050】次に、下引き層について説明する。下引き
層(1b)は導電性支持体(1a)からの電荷注入阻止
による帯電特性の維持、デジタル変換された画像露光の
感光層内で乱反射による潜像乱れ阻止を行うため、及び
導電性支持体(1a)、電荷発生層(1c)の両層の塗
工性、接着性等を良好にするために形成される。下引き
層(1b)はアルミナ(Al23)蒸着膜の他、TiO
2やSnO2などの金属酸化物をアルキッド樹脂、アルキ
ッド−メラミン樹脂、ポリビニールアルコール、カゼイ
ン等に分散し、導電性支持体上に、浸漬法、スプレー
法、リングコート法等を用いて1〜10μmの厚さに塗
布する方法が行なわれる。下引き層(1b)が厚すぎる
と繰り返し残留電位の増加を起こしやすくなり、薄い場
合にはSN比が悪化し、長時間使用によりノイズの増加
を招く。通常は109〜1012Ω・cm程度の体積抵抗
の下引き層を3〜8μmの膜厚で均一に形成すること
で、良好な電子写真特性が維持できる。下引き層(1
b)は正孔(ホール)を阻止し、電子(エレクトロン)
を通過させるような半導体膜であってもよい。
【0051】次に、電荷発生層について説明する。電荷
発生層(1c)は電荷発生材をバインダー樹脂に分散し
たものである。有機感光体の場合、電荷発生材としては
金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタ
ロシアニン系、カルバゾール、トリフェニールアミン、
フルオレノン、オキサジアゾール等の骨格を有するアゾ
顔料、ペリレン系顔料、アントアンスロンなどのキノン
顔料、ペリレン顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系
顔料、多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料等を単独
もしくは2種以上混合して使用できる。また、必要に応
じて低分子輸送物質を添加しても良い。
【0052】バインダー樹脂としてはポリアミド樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェ
ノール樹脂などが使用できる。また、正孔輸送物質とし
て、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イ
ミダゾール誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘
導体、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン等が
単独もしくは2種以上混合して使用される。
【0053】これらの電荷発生材とバインダー樹脂をテ
トラヒドロフラン、トルエン、シクロヘキサノン、ジク
ロールエタンなどを分散液として、ボールミル、サンド
ミル、振動ミルなどで均一に分散し、スプレー塗工法、
浸漬法等を用いて、下引き層上に0.05〜5μm、好
ましくは0.2〜1μmの厚さで塗工する。必要以上に
厚くすると、空間電荷の増大を招き、光減衰特性、残留
電位等に影響が生じる。
【0054】次に、電荷輸送層について説明する。電荷
輸送層(1d)は電荷輸送材をバインダー樹脂中に分散
したものである。低分子輸送材にはオキサゾール誘導
体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−13906
5号公報、特開昭52−139066号公報に記載)、
イミダール誘導体、トリフェニールアミン誘導体(特願
平1−77839号公報に記載)、α−フェニールスチ
ルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記
載)、トニフェニールメタン誘導体(特公昭51−10
983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭5
1−94829号公報に記載)などを使用することがで
きる。
【0055】バインダー樹脂としてはポリカーボネート
樹脂(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールCタイ
プ、ビスフェノールZタイプ或いはこれらの共重合
体)、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリス
チレン樹脂、酢酸ビニル樹脂等単独もしくは2種以上混
合して用いることができる。
【0056】また、本発明においては耐環境性を改善す
るために、感度低下、残留電位上昇を抑制するために酸
化防止剤を添加することができる。酸化防止剤として
は、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−
ブチル−4−エチルフェノールなどのモノフェノール系
化合物、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス
−(4−エチル−6−t−ブチルフェニール)などのビ
スフェニール系化合物、1,1,3−トリス−(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3'、5'−
ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニール)プロピ
オネート]メタンなどの高分子フェノール系化合物、
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジ
ドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノ
ン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロ
キノン等のハイドロキノン類等が挙げられる。
【0057】電荷輸送層(1d)の膜厚は、均質な10
〜30μm程度に設定すれば、600〜1200dpi
もしくはそれ以上の高解像性を有する静電潜像形成には
有利となる。コピー像の解像度はトナー、キャリアの粒
径、現像方式、原稿像のドット径、転写条件、電荷輸送
層の表面抵抗、バルク抵抗等によっても影響を受けるた
め、静電潜像での解像度はできるだけ高いレベルに設定
しておくことが望ましい。感光体における静電潜像の解
像度は感光層が厚くなるにしたがい、光及び電荷の拡散
が生じる傾向があり、解像度は膜厚の増加と共に次第に
低下し易くなる。したがって、電荷輸送層の膜厚は薄い
方が解像度の点では有利となるが、薄くなるに従い、感
光層は分散層であるが故に、電気抵抗の不均一性が目立
つようになり、長期的にはSN比の低下や電気的耐久性
が低下し、機械的な耐久性を待たずにダウンする等の問
題が生じる。さらに、電荷輸送層を薄くすることによっ
て、画像形成に必要なコントラスト電位を稼げなくな
り、コントラスト、階調性の低い画像となる。
【0058】次に、被覆層について説明する。被覆層
(1f)は感光体の機械的、電気的な耐久性を図るため
に感光層上に形成するもので、高硬度の非晶質炭素膜
や、非晶質シリコン膜、高抵抗の酸化錫膜などの薄膜を
1〜10μm程度、真空蒸着法、プラズマCVD法、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法等で形成する
方法、0.05〜5μm程度の微粒子をバインダー樹脂
中に分散し、感光層上に薄膜塗装する方法などがある。
本発明では無機微粒子をバインダー樹脂中に適当量分散
することによって、感光体の耐久性を図る。同じ分散量
でも、微粒子の分散状態、粒度などによって摩耗性能に
違いが生じる。
【0059】無機微粒子としては酸化チタン、シリカ、
アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化珪
素等があり、特には酸化チタン、アルミナは環境安定性
が良好であり、好適な無機微粒子として使用することが
できる。これらの無機微粒子にはシランカップリング
材、フッ素系シランカップリング剤を使用して撥水処理
することも可能である。
【0060】無機微粒子はバインダー樹脂としてポリカ
ーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹
脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等に分散して使用す
ることが出来るが、好ましくは極性依存性が無い、透明
性の良い1016〜1017Ω・cm程度に高抵抗のポリカ
ーボネート樹脂が好適である。
【0061】バインダー樹脂中に無機微粒子を分散する
際に、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂
微粒子を適当量分散することによって撥水性、潤滑性を
高め、環境特性、耐摩耗特性を改善させることも可能で
ある。
【0062】無機微粒子の分散量は添加する材料種によ
っても左右されるが、アルミナや酸化チタンなどの材料
種の場合には被覆層を構成するバインダー樹脂や低分子
電荷輸送物質等の材料に対し、好適には10%以上、5
0%以下添加する。さらに好ましい範囲は20〜30%
である。添加量が多くなると、耐摩耗性は増大するが、
反面、光透過率の低下や拡散、電荷の移動度低下などが
生じ、解像度低下、残留電位上昇、感度低下等を生じや
すくなる。摩擦係数調整部材を併用することで、画像流
れに対する抑制効果は大きく増加するが、添加量が多く
なると、摩耗が少なくなり、また、クリーニングブレー
ドの局部的な摩耗も有り、付着したコロナ生成物の除去
性能が低下し易くなる危険性を有する。さらに、コロナ
生成物の除去措置を全く講じない場合には、表面に付着
したコロナ生成物やトナー成分によるフィルミングなど
画像形成に対して障害となる汚染物質が、削り取られ難
く、解像度低下を起こす要因に成ることもある。一方、
無機微粒子の添加量が少ない場合には、摩擦係数が高く
なり、機械的耐久性が維持できず、現像剤に因るトナー
フィルミング、シリカなどの付着(突き刺さり)などが
起こりやすく、白点や、ムラが発生することがある。
【0063】一方、無機微粒子を分散後の溶液状態での
平均粒径は画像品質、耐摩耗性、帯電性等の特性と深い
関係を持つが、通常平均粒径は0.3〜0.7μmの間
にあれば良好である。平均粒径が大きいと、耐摩耗性は
向上するが、ライン画像のシャープ性が悪化し、シャー
プ性の甘い画像になる。一方、平均粒径が小さくなる
と、ラインエッジのシャープ性は向上するが、耐摩耗性
が低下し易くなり、また、フィルミング等の外観不良を
起こしやすく成り、表面性調整部材の機能が充分に働か
なくなる可能性がある。
【0064】本発明で使用される感光体の被覆層膜厚
は、摩擦係数の到達レベルや耐刷枚数、残留電位、画像
品質等を加味して設定されるべきであるが、1〜8μm
の範囲であればほぼ目的を達し、好ましくは3〜6μm
の範囲に設定するのが望ましい。
【0065】被覆層には無機微粒子が分散されているた
め、偏りや粒径の分散不良等があると、解像度、残留電
位、機械的耐久性等に影響を与える。したがって、被覆
層中の無機微粒子は層中にほぼ均一に分散されているこ
とが望ましい。感光層の厚みは10〜30μmの間で設
定される。
【0066】なお、被覆層には必要に応じて残留電位
(残留電荷は微粒子と樹脂の界面にトラップした正孔に
因ると考えられる)を低減化させるような酸化防止剤や
可塑剤を添加することができる。
【0067】次に、感光体の摩擦係数について説明す
る。被覆層の無い感光体の摩擦係数はレベリング剤(例
えばシリコーンオイルなどを添加し感光層の均一性を行
なう)を添加することによって、0.3〜0.5(後記
オイラーベルト法で測定した値)程度に低減でき、レベ
リング剤を添加しない場合は0.5程度あるいはそれ以
上に高くなる。但し、レベリング剤を添加した場合であ
っても、20枚程度複写を行なえば、摩擦係数は直ちに
0.6をオーバーし持続性を有さない。したがって、本
発明の評価では20枚での摩擦係数を初期摩擦係数とし
て採用している。
【0068】この様な被覆層の無い感光体を使用した場
合、クリーニングブレードや、現像剤による摩耗によ
り、感光層が削れやすく感光体寿命が短くなる。また、
前記したようなシリカの付着や突き刺さり等を起こし、
感光体表面が荒れたり、不均一にフィルミングや偏摩耗
を起こし易い。
【0069】感光層に無機微粒子を分散させた被覆層を
形成することによって、接触面積が減り、バインダー樹
脂との接触抵抗が減ずるために、結果的に摩擦係数を低
減させることができる。すなわち、被覆層中の無機微粒
子は感光層表層に凹凸を形成し、クリーニングブレード
との間で摩擦抵抗を軽減させる。無機微粒子を30%程
度添加した場合の初期の摩擦係数は0.4〜0.6の間
にあるが、被覆層の無い場合より持続性があるので、高
硬度の無機微粒子の添加効果と相まって摩耗が少なくな
る。但し、バインダー樹脂成分が多い場合や、コロナ生
成物やトナー成分の付着により、長時間の使用により、
次第に摩擦係数が高くなり、摩耗しやすくなる。したが
って、さらに高耐久化を図る場合には、摩擦係数を維持
させるような方法を別途講じる必要がある。
【0070】感光体の摩擦係数を低減させる手段として
は、潤滑剤を感光層の表層近傍に添加するか、潤滑剤を
感光体表層に外添する方法が行なわれる。本発明では感
光体表層に付着したコロナ生成物は表面性調整部材を使
用することにより、摩擦係数を0.3前後まで低減化さ
せることが可能であるが、潤滑剤を極微量供給すること
により、感光体上のフィルミングやシリカの刺さりなど
を抑制させると同時に、これらの異物を除去させ易くな
ることから、潤滑剤が直接感光体に作用する機会が増え
るため、感光層がより一層清浄化し易くなり、摩擦係数
も効率よく0.2前後まで低減化させることが可能とな
る。
【0071】好適な量の潤滑剤及び表面性調整部材を使
用したとき、摩擦係数は0.15〜0.25程度になる
が、潤滑剤のみを使用した場合での摩擦係数の低減効果
は殆ど効果無く、潤滑剤を使用せず表面性調整部材のみ
の使用の場合は0.25程度に留まる。なお、好適な量
以上に潤滑剤を添加した場合には、摩擦係数は0.15
以下に低減させることが可能となるが、潤滑剤の過剰に
より、表面性調整部材の目詰まりで除去能力が大幅に低
下し、現像剤の滑りが生じ画像部の後端が筋状になった
り、文字細りを生じたり、さらに画像流れが発生する危
険性を有する。したがって、添加量は必要最低限に留め
る必要がある。
【0072】なお、本文中の摩擦係数はオイラーベルト
方式により算出したもので、次の方法で算出する。この
方法は、特開平9−166919号公報等にも記載され
ている。測定用の感光体を台座に固定して、幅30m
m、長さ290mmにカットした厚み85μmの上質紙
(リコー製タイプ6200ペーパー)をベルトとして用
意し、前記上質紙を感光体の上に乗せ、ベルト端部の一
方に100gのおもりを取り付け、もう一方の片端に重
量測定用のデジタル・フォース・ゲージ(例えば、シン
ポ工業製、FGC−2)を取り付け、デジタル・フォー
ス・ゲージを一定速度で引き、ベルトの移動開始時の重
量を読みとり、下記式で(静止)摩擦係数を計算する。
【0073】
【数1】μs=2/π×ln(F/W) ただし、μs:静止摩擦係数、F:読みとり荷重、W:
分銅の重さ、π:円周率を表わす。
【0074】次に、表面性調整部材について説明する。
表面性調整部材(7)は主として、無機微粒子を分散し
た被覆層上に付着するコロナ生成物を除去して、感光体
の表面性を維持するために使用される。表面性が維持さ
れることにより画像品質の低下が抑制され高湿環境でも
画像の劣化が無くなり、一方では、感光体の摩擦係数が
低く抑えられるためにクリーニングブレードによる感光
体の摩耗が著しく少なくなり、感光体の更なる耐久化を
達成することが可能となる。
【0075】表面性調整部材(7)の画像形成装置内で
の取り付け位置は、トナークリーニングが終了した直後
が望ましく、図1に示されるようにクリーニング装置
(6)と除電装置(8)もしくは帯電装置(2)の間に
設置するのが望ましい。画像形成装置内に取り付ける表
面性調整部材(7)の形状は、ブレード状、ローラー
状、ブロック状などがある。図4、図5にローラー形状
のもの、図6〜図8にブレード形状のものを示す。図6
は芯材(7a)に弾性部材(7b)、次いで極細繊維不
織布(7c)の順になるように構成したものを、支持基
体(取り付け部材)(7f)に取り付けたものであり、
図7は芯材(7a)を取り外した形状の構造を示したも
のである。図8は図6の斜視図である。
【0076】図4、図5に示すローラー状表面性調整部
材は10〜20mmφの芯材(7a)(金属製、紙製、
樹脂製等のパイプ)に厚さ1〜5mm程度の弾性部材
(7b)(例えばイノアック社製、ウレタンフォームM
F−80、ESW、LE−20、モルトプレーンSM5
5、SF、SMK等、フェルト等)を緩衝材として内包
させ、その上に化学繊維系の極細繊維不織布(7c)を
1〜3回巻きにし、抑え板(7d)、留めビス(7e)
で部材の端部処理を施す。
【0077】図6〜図8に示すブレード形状のものは、
板厚1.5〜3mm、アスカーC硬度で30〜70度程
度のポリウレタンやネオプレン、シリコーンなどのゴム
板を芯材(7a)として、前記2mm厚の弾性部材(7
b)を間に挟み、化学繊維系の極細繊維不織布(7c)
で被覆し、画像形成装置本体、クリーニング装置等に取
り付けられるように、ビス止め用の穴を開けた支持基体
(7f)に取り付けたものである。
【0078】図7の構成のものは芯材(7a)を取り除
いた形のもので、使用される材料は図6に記載した部材
の他、復元性の良好な1〜2mm厚の20〜50度程度
のゴム材、プラスチック系の材料等が使用できる。
【0079】図4〜図8に使用される化学繊維系の極細
繊維不織布は、除去効果の低下とともに取り外し交換可
能な構造にしておくことが望ましい。図4、図5に示す
ローラー状の表面性調整部材はネジ止めで行なうが、バ
ネ材を使用して挟み込むような方式を取ることもでき
る。図6〜図8に示す部材についても同様である。
【0080】ここで、極細繊維は1.0d〜0.2d、
典型的には0.5d〜0.2dのものを意味し、0.2
d以下のものは超極細繊維と称する。文中dはデニール
であり、9000mの繊維の重さが1gのときを1d
(デニール)という。繊維径は約5μm〜1μm程度
で、1μm前後それ以下のものは超極細繊維と称され
る。なお、本発明では超極細繊維も極細繊維と同等に取
り扱うことができる。
【0081】極細繊維の材料はポリエステル、ポリウレ
タン、ナイロン等の化学繊維が主である。この繊維径の
ものを不織布の形に作製されたものは解れが無く、糸く
ずを出しにくい。除去性能は良好で、無機微粒子を分散
した被覆層に付着したコロナ生成物等の汚染物質は6g
/cm2前後の軽い当接圧で摩擦係数を下げることがで
きる。一度不織布に取り込まれるため汚染物質からの再
汚染は小さく摩擦係数を確実に低減できる。また、図4
〜図8に示す極細繊維の不織布は取り外し洗濯により再
使用が可能である。極細繊維不織布のメーカー及び商品
名は東レ社のトレーシー、エクセーヌ(ポリエステル、
60%、ポリウレタン40%、約0.2d)、カネボウ
社のザビーナミニマックス、クラウゼン(ポリエステ
ル、ナイロン、約0.3d)、三菱レーヨン製のミエミ
エ(アクリル45%、ポリエステル52%、ポリウレタ
ン3% 0.2d)、帝人社製のミクロスター(ポリエ
ステル、ナイロン 0.2d)等がある。繊維径が太く
なるにしたがい、除去効果は低下し、例えば、30μm
や60μm程度の繊維径の繊維布を用いた場合、除去効
果は殆ど生じない。
【0082】なお、全く未使用の感光体を極細繊維の不
織布で表面処理した場合でも摩擦係数の低減効果は認め
られるが、レベル的には0.3〜0.4程度に留まる。
これは後述する潤滑剤の効果と、使用することによって
樹脂分が削られ、むき出しとなった無機微粒子の効果に
よるものと考えられる。
【0083】摩擦係数が低下すると表面エネルギーが小
さくなるため、接触角は約100度程度を示し画像劣化
は全く認められない。なお、接触角の測定は協和界面科
学(株)のCA−DS型と純水を使用して行なったもの
である。好適な接触角は略90度以上あれば良く、10
0度〜110度有れば極めて良好である。因みに解像度
低下は接触角の低下に伴って悪くなるが、70度、60
度迄低下すると解像度は3.2本/mm或いはそれ以下
になる。
【0084】次に、潤滑剤の供給方法について説明す
る。潤滑剤を供給する理由は前記したように、感光体外
観劣化、例えばトナーフィルミング、シリカなどの現像
剤添加成分の感光体への突き刺さり等の影響を回避する
ことであるが、前記現象を抑制することにより、潤滑剤
が感光体に作用し易くなり、感光体の摩擦係数の低減化
に寄与する。
【0085】潤滑剤を感光体に供給する方法には粉末状
もしくはブロック状の潤滑剤を感光体に直接もしくは間
接的に供給する方法がある。例えば、現像剤中に粉末状
のステアリン酸亜鉛やPTFE(ポリテトラフルオロエ
チレン樹脂)、ポリフッカビニリデン等をトナーに対し
0.01〜0.5%の割合で入れる。余り入れすぎる
と、感光体の摩擦係数が低下しすぎたり、トナーの物理
特性(例えばQ/M)が暴れ、コントロールが効かなく
なり、トナーが過剰供給になる可能性がある。通常はト
ナーに対し、0.01〜0.3%の間で添加するのが望
ましい。潤滑剤の添加量はトナーによるフィルミングや
外観不良が抑制できる程度の量で充分である。因みにこ
の程度の添加量は潤滑剤を単独に使用した場合(表面性
調整部材を併用使用しない場合)、0.6の摩擦係数を
0.45〜0.55程度に下げる程度の量でしかない。
したがって、感光層の摩耗抑制には殆ど効果がない。
【0086】固形状の潤滑剤を供給する方法は摩耗させ
る部材、例えば、専用のブラシやクリーニングブラシ
(ファーブラシ)を兼用する方法等がある。この方法は
ブロック状の潤滑剤をブラシで摩耗させながら感光体に
供給する。ブラシに潤滑剤を軽く当接することによっ
て、供給量をコントロールする。
【0087】さらに別の供給方法としては50〜200
μm程度のフィルム状の潤滑剤を感光体に当接して供給
する方法がある。この方式は感光体に当接する潤滑剤の
押圧をコントロールしたり、他のフッ素樹脂に転換する
ことにより摩擦係数を低減化させることが可能である。
【0088】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに詳しく
説明する。実施例中の部はいずれも重量部を表わす。な
お、本発明がこれらの実施例によって限定されるもので
はない。実施例1 <評価用感光体の作製法>本発明で使用する感光体を下
記の要領で作製した。φ30mm、長さ340mm、肉
厚1.0mmのアルミニウムドラムに下記組成の下引き
層(UL)用塗工液、電荷発生層(CGL)用塗工液、
電荷輸送層(CTL)用塗工液を用い、順に浸漬塗工を
行ない、加熱乾燥により、3.5μmの下引き層、0.
2μmの電荷発生層、22μmの膜厚の電荷輸送層を塗
工し感光体を作製した。この感光体上に、さらにバイン
ダー樹脂とドナー、無機微粒子(金属酸化物)及び溶媒
を硝子ポットに入れ、ボールミルで24時間分散させ、
平均粒径(堀場製作所製CAPA500で測定)約0.
45〜0.55μmの塗工液を作り、スプレー法を用い
て1〜3回塗布(約1.5〜2.0μm/回)し、加熱
乾燥させて目標膜厚2.0、5.0、8.0μm被覆層
(1−1)、(1−2)、(1−3)を形成し電子写真
感光体を完成した。
【0089】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂 6部 (ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製) メラミン樹脂 4部 (スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製) 酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40部 メチルエチルケトン 200部
【0090】 〔電荷発生層用塗工液〕 オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部 ポリビニルブチラール(UCC、XYHL) 0.2部 テトラヒドロフラン 50部
【0091】 〔電荷輸送層用塗工液〕 ビスフェーノルA型ポリカーボネート 10部 (帝人化成社製、Zポリカ) 下記構造の低分子電荷輸送物質 12部
【0092】
【化1】
【0093】 塩化メチレン 100部 メチルフェニルシリコーンオイル(50cs) 1部
【0094】〔無機微粒子層用塗工液〕無機微粒子層用
塗工液はバインダー樹脂と下記構造の低分子電化輸送物
質に対する無機微粒子が重量比で25%、電荷輸送物質
とバインダー樹脂の比が7/10になるように混合し、
シクロヘキサノンとテトラヒドロフランを2.5対7.
5とする混合液を溶媒としてスプレー法で1〜3回のス
プレーを行ない、2.0、5.0及び8.0μm目標の
3種の被覆層を形成した。 バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝
人化成社製、Mv5万) 無機微粒子:アルミナ粉末(AKP−30、住友化学工
業社製) 低分子電荷輸送物質:下記構造の低分子電荷輸送物質
【0095】
【化2】 溶媒:シクロヘキサノン及びテトラヒドロフラン
【0096】<表面性調整部材装置の作製>感光体に接
触する領域の長さが310mm、直径が10mmのアル
ミニウム製のロット棒に2.6mmのネジ穴を5ヶ所開
けた芯金を用意した。この芯金に厚さ2mm×310m
mのウレタンフォーム(MF−80、イノアック社製)
を両面テープで1重巻きに貼り付け、その上より310
mm×80mmにカットしたポリエステル/ポリウレタ
ンの極細繊維の不織布(カネボウ製、クラウゼン繊維径
約2μm)を1重巻きにし、端部を重ね合わせ両面テー
プで押え、その上より図4、図5に示す様にステンレス
製の抑え板及び留めビスを用いて表面性調整部材を作製
した。
【0097】<帯電部材>8mmの真鍮製ロット棒にカ
ーボンを均一分散したエピクロルヒドリンゴムを塗布
し、14mmφ太さに成形した電気抵抗2〜6×105
Ω・cm(100VDC印加時)の帯電部材を用意し
た。この帯電部材にはゴム部材の両端部に厚さ60μ
m、幅10mmのPET(ポリエチレンテレフタレー
ト)を1重張り付け、感光体と接触させたとき、画像形
成領域に空隙を持たせるように加工した。なお、感光体
に対向して配置したときの空隙は85〜100μmであ
った。この帯電部材をハウジングにセットして使用し
た。
【0098】<評価方法>評価用の画像形成装置はクリ
ーニングブラシとクリーニングブレードからなるクリー
ニング装置を有し、クリーニング装置と帯電装置間にロ
ーラーもしくはブレード形状の表面性調整部材が取り付
けられるような機構に設定された複写スピード28(枚
/分)の実験機を用意した。作製した感光体、表面性調
整部材、及び帯電装置を上記実験機に搭載した。
【0099】現像剤には粒径約9.5μmのシアントナ
ー(流動剤としてSiO2=0.7%、TiO2=0.8
%、潤滑剤(SZ2000)=0.01%添加)を、粒
径80μmの磁性キャリア(FPC−300LC)に分
散した5%濃度現像剤(リコー製試作現像剤)を使用し
た。
【0100】帯電部材への印加電圧は外部電源より高圧
ケーブルで帯電部材に交番電圧を重畳した直流電圧を印
加した。電圧条件は交番電圧1.5KV/1KHz、オ
フセット直流電圧−775Vに設定し、直流電圧を微調
整し、感光体の表面電位が−600Vとなるように設定
した。なお、帯電部材用の高圧印加電源には横河製ファ
ンクションジェネレーターFG−300+長野愛知電気
HV−255を使用し、トリガー電圧で、感光体への電
圧印加のタイミングを図った。表面性調整部材の回転は
直流モーターを外部に設置し、直結とし、感光体の回転
とは同方向(感光体と接触する部位では逆方向回転)に
120rpmとした。また、感光体への食い込み量は約
1mmとした。評価項目は通紙ランニング前後の摩擦係
数、感光層の摩耗量、常湿環境(22℃/65%RH)
及び高湿環境(30゜C/90%RH)の画像品質および
感光体外観とした。感光層の摩耗量測定はフィッシャー
社の渦電流式膜厚計(フィッシャースコープMMS)を
使用し、ランニング前後の26ポイントの膜厚を測定し
その平均値で判定した。摩擦係数測定は自作の装置を使
用し、30mm×297mmの上質紙(リコー製タイプ
6200ペーパー、縦目)、100gの分銅、デジタル
フォースゲージ(シンポ工業製FGC−2)とを使用
し、前記したオイラーベルト方式で行なった。画像品質
判定は指定の標準のテストチャートにJIS規格の竹の
子チャートを貼り付けたものを原稿とし、解像度、シャ
ープ性等の判定を行ない、通紙ランニング用の原稿には
5%のラインチャートを使用し、1サイクル連続99枚
の割合で10万枚の評価を行ない、5万枚、10万枚で
確認を行なった。評価結果を表1に示す。表中の数字は
10万枚前後の数値で示す(以下同様)。
【0101】被覆層を変化させた感光体の摩擦係数は1
0万枚後で0.3前後の数値を示し、摩耗量も0.3μ
m程度と良好な摩耗量を示し、被覆層が2.2μmの感
光体でも50万枚程度の耐久性を有する可能性が確認さ
れた。画像に関してはいずれも良好であったが、被覆層
が7.6μm感光体に関しては残留電位が高くなり、画
像濃度が1.2〜1.3程度に低下が見られた。なお、
他のサンプルでは1.4〜1.5程度と良好であった。
感光体の外観に関しては、一部奥側で梨地状の曇り状況
が確認されたが、作像領域ではいずれのサンプルとも略
良好な結果であった。一方、帯電部材の汚染は若干白っ
ぽいシアン色を呈した程度で、帯電には影響を及ぼさな
かった。
【0102】
【表1】
【0103】比較例1 比較例として表面性調整部材が無い場合(1−1、実施
例1に同じトナー:潤滑剤0.01%添加シアントナ
ー、約5μmの被覆層の感光体使用)、表面性調整部材
無し+トナーへの潤滑剤添加無しの場合(1−2、約5
μmの被覆層感光体使用)、感光層に被覆層が無い場合
(1−3、クラウゼン生地使用のローラー状表面性調整
部材、潤滑剤0.01%添加シアントナー使用)、感光
層に被覆層無し+表面性調整部材無し+潤滑剤添加無し
のトナー剤を使用した場合(1−4)について評価を行
なった。なお、帯電条件は同じとし、表面電位は−60
0Vに設定した。また、評価枚数、評価方法等に関して
も実施例1に同じとした。結果を表2に示す。
【0104】(1−1)については、表面性調整部材が
無いために、無機微粒子を分散した被覆層が形成された
感光体であっても、摩擦係数が高いため、摩耗が3.8
μmと多く、感光体外観、解像度も悪い結果となった。
(1−2)については、0.01%の潤滑剤を添加しな
いトナーを使用し、表面性調整部材も外して行なった結
果、摩擦係数は殆ど低下せず耐摩耗性、感光体外観、解
像度共に悪い結果となった。(1−3)については被覆
層のない感光体を使用したため、表面性調整部材の効果
は全くなく、感光体外観もシリカの刺さりに因る梨地状
の模様を呈し、ラインのシャープ性が劣化した画像を示
した。(1−4)については表面性調整部材、被覆層の
ない感光体、潤滑剤添加無しトナーであったため、感光
層摩耗は最大となり、電荷輸送層迄摩耗し、いずれの条
件がかけても良い結果は得られなかった。
【0105】
【表2】
【0106】比較例2 実施例1に同等の表面性調整部材に使用される極細繊維
不織布をガーゼ地布(2−1)、裏起毛地布(2−
2)、及びポリエステル繊維布地(2−3)に夫々交換
し、ローラー状の表面性調整部材を作成した。但し、い
ずれもメーカー、型番不詳、繊維系はいずれも20〜5
0μm程度。作成に当たり、ガーゼ地布は2枚重ねと
し、他は1枚で使用した。使用した感光体、トナー、帯
電条件等はいずれも実施例1に同じ条件とした。結果を
表3に示す。
【0107】3種共に表面性調整部材としての効果は全
くなく、被覆層は大きく削れ、感光層(電荷輸送層)の
方に大きく摩耗が及んだ。なお、ガーゼ地を使用した場
合には破損が生じ5万枚でランニングを中止した。感光
体外観にはいずれも黄変が見られ、梨地状の外観となっ
た。この結果、高湿環境でも画像の劣化が進み、殆ど解
像度を示さなかった。
【0108】
【表3】
【0109】実施例2 表面調整部材をブレード方式の構造に変更して10万枚
の評価を実施した。表面性調整部材には弾性部材として
2mm厚のウレタンフォーム(LE−20、イノアック
社製)、化学繊維系の極細繊維不織布にクラウゼン生地
(カネボウ製)を使用し、先端部が丸くなるような形の
図8に類似の長さ300mmの装置とし、クリーニング
ブレードの留め金を利用して、感光体に押し当てるよう
にして固定した。この時の感光体への当接圧は約7.3
g/cm2であった。使用した感光体は、被覆層の膜厚
が約5μmになるように構成したもので、作製方法は実
施例1と同一の方法に因るものを使用した。トナーは実
施例1に示す構成の内潤滑剤を0.1%に増量したシア
ントナーを使用した。結果を表4に示す。
【0110】表面性調整部材の効果と潤滑剤の効果によ
り、摩擦係数は0.25程度に低下し、被覆層の摩耗も
10万枚で0.3μm以下となり、画像品質、感光体外
観ともに略良好で有った。表面性調整部材の感光体当接
部はトナーに因る汚れが生じたが、諸特性に害を与える
ほどではなく、クリーニング装置でのクリーニング性は
良好に行なわれていることが確認された。表面性調整部
材の破損状況は10万枚では交換するほどのレベルには
到っていなかったが、更なる使用には若干問題が認めら
れた。破損が起こり始めると、急速に破損が進む可能性
がある。
【0111】
【表4】
【0112】比較例3 潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)を添加しないシアントナー
を使用し、表面性調整部材には実施例2に示すブレード
方式、感光体には実施例1に示す条件で作成したアルミ
ナ25%を含有する5μm厚の感光体を使用し、10万
枚の評価を実施した。結果を表5に示す。
【0113】潤滑剤を添加しない場合でも、表面性摩擦
係数は0.36と良好、画像品質は10万枚後でも概ね
良好であった。感光体外観に関しては5万枚後では異常
が生じなかったが、10万枚後での確認時点では感光体
の奥側の作像領域まで梨地状の異常の発生がみられた。
【0114】
【表5】
【0115】実施例3 ステアリン酸亜鉛の添加量を0.01%〜0.5%の間
で変えた4種のトナー剤を作成し、ランニングにより、
諸特性に与える影響を確認した。感光体には実施例1の
製法で作成した被覆層約5μmの感光体、表面性調整部
材には実施例1に同じ部材を作成し、感光体と同じ回転
方向で90rpmの回転を与えた。結果を表6に示す。
【0116】トナー中への潤滑剤の添加量が多くなるに
したがい、摩擦係数は低下し、それに伴い、感光層の摩
耗が少なくなる傾向が得られた。但し、潤滑剤の量が
0.5%もなると、トナーコントロールに支障が生じ、
トナー消費量が極めて多くなり、画像品質に関しては高
湿環境で画像劣化が生じた。10万枚で解像度が5.6
本/mmを維持しているのは表面性調整部材の効果と見
られる。
【0117】トナー中に潤滑剤を0.2%添加すること
により、摩擦係数は更に低下し、被覆層の摩耗も0.1
5μmと更に少なくなったが、表面性調整部剤による効
果が良く効いており、高湿環境でも画像劣化に到ること
は無かった。このことから潤滑剤の添加量は0.5%以
下に設定するのが望ましいと思われる。一方、表面性調
整部材の外観不良は微少であった。
【0118】
【表6】
【0119】実施例4 被覆層に添加する無機微粒子(アルミナ)の添加量を1
0〜40%の間で4種変化させた感光体を作成し、添加
量が諸特性にどの様な影響を与えるかの評価を行なっ
た。表面性調整部材は実施例1及び3に同一のもの、ト
ナーに添加する潤滑剤は実施例2に示すのと同様の0.
1%添加したシアントナーを使用した。評価結果を表7
に示す。
【0120】無機微粒子が10%の場合は10万枚後で
概ね良好な特性であったが、感光層の摩耗は1.3μm
と少し多めになり、感光体外観には僅かに梨地状の曇り
を生じ、解像性が低下する現象が見られた。無機微粒子
40%添加の感光体では、摩耗は良好であったが、解像
性に劣化が生じ、品質的には問題が生じた。しかし、無
機微粒子20%、30%添加の感光体では、感光層の摩
耗は少なく、画像品質、感光体外観とも良好な結果であ
った。
【0121】
【表7】
【0122】
【発明の効果】以上、詳細且つ具体的な説明より明らか
なように、本発明の、無機微粒子を分散した被覆層を有
する感光体、非接触で帯電を行なう帯電部材、化学繊維
系の極細繊維不織布からなる表面性調整部剤を夫々画像
形成装置に配設して画像形成を行なうことによって、帯
電部材の汚染が軽減され、感光体表層に付着したコロナ
生成物やトナー構成物、紙粉などの汚染物質が効率よく
除去されるために、感光体表層の摩擦係数が低減化し
0.2〜0.5の範囲内に維持されるため、良好な画像
品質と感光体の高耐久化が達成でき、感光体のブレード
鳴き等の異常音発生も無い。また、表面性調整部材を支
持基体(取付部材)に弾性部材及び化学繊維系の極細繊
維不織布を取り付けた構造、もしくは支持基体(取付部
材)に内側より順に芯材、弾性部材及び化学繊維系の極
細繊維不織布を取り付けた構造となし、固定形状もしく
は回転可能な形状にすることにより、感光体にソフトに
作用することができるため、感光体を傷つけることが殆
ど無く、感光体付着した汚染物質を均一に清浄化するこ
とができ、感光体の高耐久化、高画質か達成可能とな
る。また更に、微量の潤滑剤をトナーに添加したり、他
の方式を介して感光体に添加することによって、感光体
にフィルミングやシリカの刺さり等を抑制する一方、感
光層の摩擦係数が低減化する作用をするため、表面性調
整部材の作用と相まって、潤滑剤を添加しない場合よ
り、更に摩擦係数を低減化できるために、感光体の更な
る長寿命化が図れる。また更に、表面性調整部材に使用
される極細繊維不織布を交換可能な構造(交換部品)に
することにより、コスト的に有利になる。また更に、潤
滑剤の作用により更に摩擦係数を下げることができ、
0.1〜0.4の間のレベルに維持することが可能とな
り、感光体の長寿命化を更に図ることができる。また更
に、アルミナもしくは酸化チタンから成る無機微粒子を
10%以上、50%以下に分散した2〜8μmの被覆層
を感光層上に形成することにより、コントラストの良い
良好な画像品質を長期に亘って維持することが可能とな
る。また更に、無機微粒子を分散した被覆層を有する感
光体、非接触帯電部材、化学繊維系の極細繊維不織布か
ら成る表面性調整部材を配設し、潤滑剤を微量供給しな
がら画像形成を行なう画像形成装置を構成することによ
って、高品質の画像を長期に亘って維持でき、また、有
機感光体ながら、大幅な高耐久を達成させることができ
る。
【0123】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複写プロセスを説明する概略図であ
る。
【図2】本発明に使用される感光体構成図である。
【図3】本発明に使用される別の感光体構成図である。
【図4】本発明に使用されるローラー状の表面性調整部
材の断面図である。
【図5】本発明に使用されるローラー状の表面性調整部
材の斜視図である。
【図6】本発明に使用される芯材を内包するブレード状
表面性調整部材の断面図である。
【図7】本発明に使用される芯材を内包しないブレード
状表面性調整部材の断面図である。
【図8】本発明に使用されるブレード状の表面性調整部
材の斜視図である。
【符号の説明】
1 感光体 2 帯電装置 3 画像露光系 4 現像装置 5 転写・分離装置 6 クリーニング装置 7 表面性調整部材(装置) 8 除電装置 9 定着装置 10 コピー用紙 1a 導電性支持体 1b 下引き層 1c 電荷発生層 1d 電荷輸送層 1e 感光層 1f 被覆層 7a 芯材 7b 弾性部材 7c 化学繊維系の極細繊維不織布 7d 抑え板 7e 留めビス 7f 支持基体(取り付け部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H068 AA04 CA29 CA33 FA03 FC01 FC15 2H134 GA01 GB02 GB05 GB06 GB08 HA01 HB01 HD01 KD04 KD13 KF02 KF03 KG01 KG03 KG04 KG05 KH01 LA00 2H200 FA07 FA08 GA17 GA23 GA44 GB12 GB13 GB15 GB22 HA12 HA14 HA28 HB03 JA02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光層上に無機微粒子を分散した被覆層
    を有する構成の感光体に、非接触形態の帯電装置を用い
    て帯電を行ない、画像露光によって静電潜像を形成し、
    現像剤によって静電潜像を顕像化する電子写真法を使用
    した画像形成方法であって、該感光体の表面層を清浄化
    するための表面性調整部材をトナークリーニング装置と
    帯電装置間に感光体に面接触して作動するように配設
    し、感光体表層の摩擦係数を0.2〜0.5の範囲に維
    持しながら画像形成を行なうことを特徴とする電子写真
    法を使用した画像形成方法。
  2. 【請求項2】 前記表面性調整部材が、支持基体(取付
    部材)に弾性部材及び化学繊維系極細繊維の不織布を取
    り付けた形状、もしくは支持基体(取付部材)に内側よ
    り順に芯材、弾性部材、化学繊維系極細繊維の不織布と
    なるように構成した形状のものであり、その形状が固定
    形状もしくは回転可能な形状であることを特徴とする請
    求項1に記載の画像形成方法。
  3. 【請求項3】 前記表面性調整部材に使用される化学繊
    維系の極細繊維不織布が交換可能であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 前記無機微粒子を分散した被覆層が、酸
    化チタンもしくはアルミナを10%以上、50%以下に
    分散した1〜8μmの膜厚構成である感光体を使用し画
    像形成を行なうことを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れか1に記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 感光層上に無機微粒子を分散した被覆層
    を有する構成の感光体に、非接触形態の帯電装置を用い
    て帯電を行ない、画像露光によって静電潜像を形成し、
    現像剤によって静電潜像を顕像化する電子写真法を使用
    した画像形成方法であって、該感光体の表面層を清浄化
    するための表面性調整部材をトナークリーニング装置と
    帯電装置間に感光体に面接触して作動するように配設
    し、外添により感光体表層へ潤滑剤が供給されると共
    に、前記表面性調整部材が作動されることを特徴とする
    画像形成方法。
  6. 【請求項6】 前記表面性調整部材が支持基体(取付部
    材)に弾性部材及び化学繊維系極細繊維の不織布を取り
    付けた形状、もしくは、支持基体(取付部材)に、内側
    より順に芯材、弾性部材、化学繊維系極細繊維の不織布
    となるように構成した形状であり、その形状が固定形状
    もしくは回転可能な形状であることを特徴とする請求項
    5に記載の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 前記表面性調整部材に使用される化学繊
    維系の極細繊維不織布が交換可能であることを特徴とす
    る請求項5又は6に記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 前記感光体の表面摩擦係数を0.1〜
    0.4の範囲に維持しながら画像形成を行なうことを特
    徴とする請求項5乃至7のいずれか1に記載の画像形成
    方法。
  9. 【請求項9】 前記無機微粒子を分散した被覆層が、酸
    化チタンもしくはアルミナを10%以上、50%以下に
    分散した1〜8μmの膜厚構成である感光体を使用し画
    像形成を行なうことを特徴とする請求項5乃至8のいず
    れか1に記載の画像形成方法。
  10. 【請求項10】 感光層上に無機微粒子を分散した被覆
    層を有する構成の感光体に、非接触形態の帯電部材、感
    光体表層を清浄化する化学繊維系の極細繊維不織布を主
    体として構成される表面性調整部材を夫々配設した請求
    項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法を用いるこ
    とを特徴とする画像形成装置。
  11. 【請求項11】 感光層上に無機微粒子を分散した被覆
    層を有する構成の感光体に、非接触の帯電部材、感光体
    表層を清浄化する化学繊維系の極細繊維不織布を主体と
    して構成される表面性調整部材を夫々配設し、感光体表
    層に微量の潤滑材を供給しながら画像形成を行なう請求
    項5乃至9のいずれか1に記載の画像形成方法を用いる
    ことを特徴とする画像形成装置。
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