JP3722711B2 - クリーニング装置、これを用いた画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
クリーニング装置、これを用いた画像形成方法及び画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーニング装置、これを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関し、詳しくは、電子写真法を使用したファクシミリ、レーザービームプリンター、電子写真複写機等の画像形成装置の感光体表層を定常的に清浄な状態に保つことができるクリーニング装置、これを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法を使用したファクシミリ、レーザービームプリンタ、複写機等の画像形成装置には、感光体を中心に帯電、画像露光、現像、転写、定着、クリーニング、除電等の各装置が配設されている。感光体として、マイナス帯電用有機感光体を使用する場合を例に説明すると、感光体は帯電装置により−400〜−1000ボルトに帯電された後、LDやLEDを使用したレーザー光による画像露光装置により静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像装置により顕像化され、転写装置により、コピー用紙に転写された後、定着装置でハードコピーとなる。
【0003】
また、転写後の感光体には、キャリア、トナー、紙粉、コロナ生成物等が付着(残留)しているため、クリーニング装置により付着物(残留物)が除去され、必要に応じて除電装置で残留潜像が除電され、次の複写サイクルに入る。ここで、以下の理由により、クリーニング装置により感光体表層から付着物を除去して、感光体表層を定常的に清浄な状態に保つ必要がある。
【0004】
画像形成装置で広く使用される帯電装置としては、導電性ブラシやローラーによる接触帯電装置や、金属ワイヤーや鋸歯状電極を使用した帯電装置がある。これらの帯電装置を画像形成装置に使用した場合、帯電の際、電荷以外に副産物としてオゾンや窒素酸化物等のコロナ生成物が生成される。コロナ生成物が感光体表層に付着すると、大気中の水分と作用し、感光体表層の摩擦係数を高める一方、粘性が若干生じるため、トナーや紙粉、埃、キャリア等が付着しやすくなる。また、感光体の表面抵抗や体積抵抗を低下させたり、構造劣化を起こし、状況が進行すれば、感光体の機械特性が低下し、解像度の低下や画像流れ等の画像品質上の問題が起こってしまう。
【0005】
現像装置には1成分系のトナーもしくは2成分系の現像剤が使用され、マグネットブラシ法等で静電潜像が現像される。2成分系の現像剤は30〜100μm径のキャリアに2〜10μm程度のトナーが3〜15wt%程度分散されている。キャリアは現像スリーブ内の磁石に引かれ留まっているが、時としてキャリアの一部が感光体の表面電荷、または感光体上の汚染物質に引っ張られ、そのままクリーニング装置に送られることがあり、キャリアがクリーニングブレードで圧接され、感光体に凹みを形成させることがある。特に、感光層が柔らかい程凹みが形成されやすい。この凹みは直径が50μm程度とほぼキャリアの大きさであり、深さは2〜5μm程度である。凹みが小さいとコピー画像に異常画像として顕在化しないが、凹みが大きい場合や、集中している場合には、転写抜け、白ポチや黒ポチとして表現され、引きずられ筋状に成ったときには、黒筋として表現されてしまう。
【0006】
また、キャリアがクリーニングブレードと感光体との間に挟まると、クリーニングブレードのエッジが変形したり欠けることがあり、この様な場合には恒常的な黒筋として表現されてしまう。さらに、キャリアがクリーニング装置を抜けて帯電装置に付着した場合には、帯電装置が傷つき、画像上に黒筋が発生してしまう。また、帯電装置の耐久性が短くなるため、感光体の寿命を短くし、画像品質にも影響を及ぼしてしまう。
【0007】
一方、トナーは顔料や樹脂、極性制御剤、シリカ等の潤滑物質等で構成されるが、感光体に刺さったキャリアなどを核として、トナーの構成物の一部がコロナ生成物、クリーニングブレードの押圧等の作用によって、感光体に固着しフィルミング層を形成する場合がある。この現象は感光体の摩擦係数が高い場合や摩耗しにくい、トナー滞留が多い場合などに起こりやすく、フィルミングが生じると画像ムラや地肌汚れ、解像度低下、画像流れなどを起こしてしまう。
【0008】
さらに、ハードコピーを作成する際に使用されるコピー用紙はセルロース、タルク、シリカ、結着剤等からなるが、コピー用紙面にはこれらの構成物質が紙粉の形で少なからず付着しており、この紙粉に関しても感光体に付着することによってフィルミングの要因となる。
したがって、これらの付着物を感光体上より可能な限り除去する必要がある。
【0009】
感光体に付着したキャリアを除去する方法として、実公平6−17134号公報には、記録体に磁石を近接配置し、残留磁性紛を吸引除去する方法が開示されている。特開平5−107989号公報には、感光層に接触するように配置された、回転するブラシに付着したキャリアを磁気吸引手段(永久磁石)を設けて除去する方法が開示されている。特開平5−224565号公報には、感光体に付着したキャリアをクリーニング装置内に設けた交流電圧を印加する導電性ブラシにより除去する方法が開示されている。
【0010】
また、コロナ生成物、紙粉等を除去する方法として、特開昭60−49352号公報、特開昭60−173570号公報には、感光体表面を水拭きし、表面に付着したコロナ生成物を除去し、解像度の劣化を防止する方法が開示されている。特開平3−92882号公報には、感光体を活性炭素繊維でクリーニングしコロナ生成物を除去する方法が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
キャリアを除去する方法については、上記したような幾つかの方法が有るが、磁石(永久磁石、電磁石)を利用する方法が最も一般的に用いられている。この方法は、磁石を感光体に近接配置することにより、感光体に付着しているキャリアを吸引させることができる。しかし、感光体にキャリアが多く付着している場合には、磁石上にキャリアが一杯になり、磁石上からあふれたキャリアが再び感光体に付着するおそれがある。さらに、一度に多数のキャリアが付着すると、クリーニングブレード、感光体、帯電部材の機械的劣化が起こるおそれがある。したがって、一旦磁石に付着したキャリアを適時除去しなければならない。
【0012】
また、帯電や転写時のコロナ放電による窒素酸化物やオゾンが感光体表層に固着すると、大気中の水分を吸湿して画像品質の劣化が生じやすくなる。さらに、キャリア付着が起こりやすくなる。このため、キャリアの除去のみならず、感光体の表面性汚染を防止するような対策を行い、常に感光体表面を良好な状態に保持することが必要になる。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、感光体に付着した付着物を除去することにより、感光体表層を定常的に清浄な状態に保つことができるクリーニング装置、このクリーニング装置を用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点にかかるクリーニング装置は、感光体に形成された静電潜像を現像し、コピー用紙に転写した後に感光体上の残留物を除去するクリーニング装置であって、前記感光体に先端が当接するクリーニングブレードと、回転可能に形成され、前記感光体に付着した磁性粉を吸引する磁石と、該磁石を内蔵するスリーブとを有する磁性粒子吸引部材と、前記感光体に付着した残留物を除去するブラシと、前記ブラシの長手方向に沿って配設されたフリッカーバーと、を備え、前記ブラシは、導電性繊維からなり、前記スリーブ上に形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
前記ブラシに配設されたフリッカーバーは、前記ブラシに0.5〜3mm食い込むように配置されていることが好ましい。フリッカーバーがブラシに0.5〜3mm食い込むように配置されていると、ブラシにより払拭された残留物が払い落としやすくなる。
【0018】
前記ブラシは導電性ブラシであり、該導電性ブラシが接地または電圧印加されていることが好ましい。導電性ブラシが接地または電圧印加されていると、キャリア等が有する電荷を除電しながら除去することができる。また、感光体の表面電位も、キャリアが静電的に吸引しにくくすることができ、より一層感光体からのキャリアの除去が容易になる。また、前記ブラシは前記感光体の回転方向と同一方向に回転されることが好ましい。
【0019】
前記クリーニングブレードはカウンター当接されていることが好ましい。カウンター当接とすることにより、クリーニング効率が高くなる。
【0020】
この発明の第2の観点にかかる画像形成方法は、感光体に形成された静電潜像を現像し、コピー用紙に転写して記録画像を得る工程と、前記感光体上の残留物を除去する工程とを備える画像形成方法であって、前記感光層上に無機微粒子を分散した2〜8μmの膜厚の被覆層を構成した感光体を用い、上記第1の観点にかかるクリーニング装置とを用いて前記感光体上の残留物を除去する、ことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、感光層上には、無機微粒子を分散した2〜8μmの膜厚の被覆層が構成されているので、感光層の耐久性が高まる。また、クリーニング装置により、感光体に付着した付着物が除去され、感光体表層が定常的に清浄な状態に保たれる。
【0022】
前記無機微粒子に酸化チタンまたはアルミナを用いることが好ましい。無機微粒子に酸化チタンまたはアルミナを用いると、画像品質劣化が低く抑えられ、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。
【0023】
前記感光体に近接配置されたローラー状の導電性部材を備えた帯電装置により、前記感光体に画像形成に必要な電荷を帯電させることが好ましい。この場合、環境的に優しい帯電を行うことができる。また、印加電圧が低くすることができる。さらに、省スペースになる。
【0024】
前記感光体に−500〜−800ボルトを帯電させることが好ましい。感光体の帯電電位を−500〜−800ボルト程度の低いレベルに設定すると、磁性粒子吸引部材でキャリア等の磁性粉が除去しやすくなる。
【0025】
前記感光体の表層に潤滑剤を外添することが好ましい。感光層の表層に潤滑剤を外添法により付与すると、好適な量を安定して供給することができ、感光体の耐久性が向上する。また、感光体の摩擦係数の上昇を防止し、低減もしくは低レベルに維持しやすくなる。さらに、感光体の外観の劣化、例えば、現像剤添加成分の感光体への突き刺さり等を防止することができ、感光体の表面性を保持しやすくなる。
【0026】
前記潤滑剤にステアリン酸亜鉛またはポリテトラフルオロエチレンを用いることが好ましい。潤滑剤にステアリン酸亜鉛またはポリテトラフルオロエチレンを用いると、少ない量で感光体表層に潤滑性を与えることができる。
【0027】
前記潤滑剤をトナーに添加することにより、前記感光体に潤滑剤を供給することが好ましい。この場合、感光体の表層に潤滑剤が安定して供給される。
【0028】
この発明の第3の観点にかかる画像形成装置は、最表層に無機微粒子が分散された感光体と、前記感光体に近接配置され、該感光体を帯電させる帯電装置と、上記第1の観点にかかるクリーニング装置とを備える、ことを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、感光体の摩耗が抑制されるとともに、感光体表層に汚染物質が残留することが抑制され、感光体表層が清浄な状態に維持される。このため、長期にわたって、良好な画像品質が提供される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のクリーニング装置、このクリーニング装置を用いた画像形成方法及び画像形成装置について説明する。
【0031】
図1に、本発明の画像形成装置の概略図を示す。図1に示すように、画像形成装置は、感光体1と、帯電装置2と、画像露光装置3と、現像装置4と、転写・分離装置5と、クリーニング装置6と、除電装置7とを備えている。そして、これらの装置を順に作動させることよって画像形成が行われる。
【0032】
まず、感光体1に帯電ローラー、帯電ブラシ、コロナ放電装置などの帯電装置2を用いて、画像形成に必要な所定の表面電位、例えば、有機感光体では−500〜−800V程度の電位を帯電する。次に、CCD(電荷結合素子)により読みとられた画像、またはパーソナルコンピューターなどから送信された信号をLDまたはLED素子の光信号に変換し、凸レンズ、ポリゴンミラー、シリンドリカルレンズで50μm前後のドット径に絞り込まれたパターンを、画像露光装置3により感光体1上に順次照射して静電潜像を形成する。続いて、静電潜像を1成分もしくは2成分の現像剤からなる現像装置4を用いて顕像化(トナー像)し、ローラー状、ベルト状、またはコロナ放電法等の転写・分離装置5によりコピー用紙(普通紙)9に転写する。このコピー用紙9を定着装置8に搬送することにより、ハードコピーとなる。
【0033】
また、転写後の感光体1にはトナー、トナーに含有されるシリカ、キャリア、及び紙粉等の残留物(次回以降の複写に際しては汚染物質となる)が残留しているため、クリーニング装置6により感光体1表層を清掃する。そして、クリーニング後の感光体1を、必要に応じて、長波長光のLED素子からなる除電装置7により、感光層内部の残留した静電潜像を消去し、次の複写サイクルに入る。
なお、本実施の形態では、1本の感光体1に単色の現像剤を用いた画像形成装置を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、4本の感光体を使用するタンデム方式の画像形成装置に用いてもよい。
【0034】
本発明に使用される感光体としては、基本的にはSe系、a−Si系等の無機系感光体及び有機系感光体のいずれの使用も可能である。ただし、感光体によって現象の現れ方に相違が生じるため、感光体を画像品質的に安定して使用するためには、摩耗が少なからず生じるような感光体の方が好ましい。本発明では有機系感光体を用いることが好ましい。有機感光体は、近年感光体の主流として数多く使用されており、高帯電能、高感度設計可能、安価、スプレー方式やディッピング方式で容易に作製可能、無公害である等の多くのメリットを有するためである。しかし、有機感光体は、樹脂製のため硬度が低く、脆いため、耐久性が短いという問題点がある。例えば、大量複写を目的とする画像形成装置に有機感光体を用いる場合には、耐摩耗性をある程度向上させる必要がある。ただし、この耐久性に関しては、複写システムや、感光体構成を適正化することにより向上させることが可能である。以下、感光体に有機感光体を用いた場合を例に説明する。
【0035】
感光体は、導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層及び被覆層が形成されている。この帯電極性はマイナスである。なお、電荷発生層と電荷輸送層とが一体型になった感光体を用いてもよく、この場合、プラス帯電で使用可能である。
【0036】
導電性支持体は超仕上げ、鏡面仕上げ等の加工を施したアルミニウムが一般的に使用されるが、電気、機械、化学的などの諸特性を満足するもので有ればよく、ステンレス、銅、真鍮などの金属の他、圧縮紙や樹脂またはガラスに、金やアルミ、白金、クロム等を蒸着またはスパッタリングした導電層、さらにはカーボン、錫等の微粒子を分散した導電層を塗工したものであってもよい。導電性支持体の電気抵抗は、体積固有抵抗で、106Ω・cmオーダー以下の値で有ればよい。この導電性支持体はドラム状に形成されている。導電性支持体の肉厚は、直径や材質にもよるが、例えば、アルミニウムを使用する場合、0.5〜3mm程度のものが使用される。24〜80mmφの感光体であれば0.8〜1.5mm程度の肉厚の導電性支持体を使用することができる。
【0037】
下引き層は、導電性支持体からの電荷注入阻止による帯電特性の維持、デジタル変換された画像露光の感光層内で乱反射による潜像乱れ阻止、及び導電性支持体、電荷発生層の両層の塗工性、接着性等を良好にするために形成される。下引き層は、アルミナ蒸着膜、分散系の場合にはTiO2やSnO2などの金属酸化物をアルキッド樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン等に分散し、導電性支持体上に、浸漬法、スプレー法、リングコート法等を用いて塗布することにより形成される。下引き層の厚さは1〜10μmであることが好ましい。下引き層が10μmを越えるように厚すぎると繰り返し残留電位の増加を起こしやすく、下引き層が1μmのように薄すぎるとSN比が悪化し、長時間使用によりノイズ(黒斑点や、地肌汚れ等)の増加を招くためである。一般的には、109〜1012Ω・cm程度の体積抵抗の下引き層を3〜8μmの膜厚で均一に形成することで、良好な電子写真特性を達成することできる。
【0038】
電荷発生層はバインダー樹脂と電荷発生剤とから形成され、電荷発生剤がバインダー樹脂中に分散されている。例えば、有機感光体を用いる場合、電荷発生剤としては金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系、カルバゾール、トリフェニールアミン、フルオレノン、オキサジアゾール等の骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントアンスロンなどのキノン顔料、ペリレン顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料等を単独もしくは2種以上混合したものが挙げられる。また、必要に応じて低分子輸送物質を添加してもよい。
【0039】
バインダー樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン等が単独もしくは2種以上混合したものが挙げられる。
【0040】
これらの電荷発生剤とバインダー樹脂とをテトラヒドラフラン、トルエン、シクロヘキサノン、ジクロールエタンなどの分散液に、ボールミル、サンドミル、振動ミルなどで均一に分散し、スプレー塗工法、浸漬法等を用いて、下引き層上に0.05〜5μm、好ましくは0.2〜1μmの厚さで塗工する。必要以上に厚くすると、空間電荷の増大を招き、光減衰特性、残留電位等に影響が生じるためである。
【0041】
電荷輸送層はバインダー樹脂と電荷輸送剤とから形成され、電荷輸送剤がバインダー樹脂中に分散されている。電荷輸送剤としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダール誘導体、トリフェニールアミン誘導体、α−フェニールスチルベン誘導体、トニフェニールメタン誘導体、アントラセン誘導体などが挙げられる。バインダー樹脂としてはポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールCタイプ、ビスフェノールZタイプまたはこれらの共重合体)、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂等単独もしくは2種以上混合したものが挙げられる。
【0042】
また、本発明においては耐環境性を改善するために、感度低下、残留電位上昇を抑制できる酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールなどのモノフェノール系化合物、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェニール)などのビスフェニール系化合物、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニール)プロピオネート]メタンなどの高分子フェノール系化合物、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等のハイドロキノン類等が挙げられる。
【0043】
電荷輸送層の膜厚は5〜30μmの範囲で均質に形成することが好ましい。特に、電荷輸送層の膜厚を10〜25μm程度に設定すると、600〜1200dpiもしくはそれ以上の高解像性を有する静電潜像の形成に有利である。コピー像の解像度はトナー、キャリアの粒径、現像方式、原稿像のドット系、転写条件、電荷輸送層の表面抵抗、バルク抵抗等の影響を受ける。このため、静電潜像での解像度をできるだけ高いレベルに設定しておくことが好ましい。一般に、感光層が厚くなるにつれて光及び電荷の拡散が生じるため、感光体における静電潜像の解像度は膜厚の増加と共に次第に低下する傾向が見られる。したがって、電荷輸送層の膜厚が薄い方が解像度の点では有利となる。しかし、感光層は分散層であるため、電荷輸送層の膜厚が薄くなるにつれて、電気抵抗の不均一性が目立つようになり、長期的にはSN比の低下や電気的耐久性が低下し、機械的な耐久性を待たずにダウンする等の問題が生じる。さらに、電荷輸送層を薄くすることによって、画像形成に必要なコントラスト電位を稼げなくなり、コントラスト、階調性の低い画像となる。このため、電荷輸送層にある程度の膜厚が必要であり、電荷輸送層の膜厚は5〜30μmの範囲にすることが好ましい。
【0044】
被覆層は感光体の機械的、電気的な耐久性を図るために感光層上に形成するものである。被覆層は、高硬度の非晶質炭素膜または非晶質シリコン膜、高抵抗の酸化錫膜などの薄膜を1〜5μm程度、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、0.05〜1μm程度の微粒子をバインダー樹脂中に分散し、感光層上に薄膜塗装する方法などを用いて形成される。本実施の形態では、無機微粒子をバインダー樹脂中に適当量分散した塗工液をスプレー法やディッピング法などの塗工法を用いて2〜10μmに塗工する方法を用いた。
【0045】
無機微粒子としては酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化珪素等が挙げられる。特に、アルミナ、酸化チタンが環境安定性が良好であり、無機微粒子にアルミナ、酸化チタンを用いることが好ましい。また、無機微粒子はシランカップリング材、フッ素系シランカップリング剤を使用して撥水処理してもよい。無機微粒子はバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等に分散して使用することができるが、好ましくは極性依存性が無く、透明性のよい、1016〜1017Ω・cm程度に高抵抗のポリカーボネート樹脂に分散させることが好ましい。バインダー樹脂中に無機微粒子を分散する際に、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂微粒子を適当量分散することによって撥水性、潤滑性を高め、環境特性、耐摩耗特性を改善させてもよい。
【0046】
無機微粒子はバインダー樹脂に対し10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜35重量%程度添加することが好ましい。添加量が多くなると耐摩耗性は増大するが、光透過率の低下や拡散、電荷の移動度低下などが生じ、解像度低下、残留電位上昇、感度低下等を生じやすくなってしまう。さらに、表面に付着したコロナ生成物やトナー成分によるフィルミングなど画像形成に対して障害となる汚染物質が、摩耗されにくくなり、解像度低下を起こす要因となることもある。一方、無機微粒子の添加量が少ない場合には、摩擦係数が高くなり、機械的耐久性が維持できず、現像剤によるトナーフィルミング、シリカなどの付着(突き刺さり)などが起こりやすく、白斑点や、ムラが発生してしまう。したがって、本発明で形成する被覆層の膜厚は、要求される耐久性によって異なるが、2〜8μmの範囲に形成することが好ましく、3〜6μmに形成することがさらに好ましい。
【0047】
ところで、被覆層には無機微粒子が分散されているため、無機微粒子の偏りや粒子の分散不良等が起こると、解像度、残留電位、機械的耐久性等に悪影響を与えてしまう。したがって、被覆層中の無機微粒子は、層中にほぼ均一に分散され、感光層と被覆層を合わせた感光層の総膜厚が15〜30μmの範囲内に形成することが好ましい。
【0048】
また、感光体は、潤滑剤が外添されていることが好ましい。潤滑剤が外添されていると、感光体の外観の劣化、例えば、トナーフィルミング、シリカなどの現像剤添加成分の感光体への突き刺さり等の防止することができ、感光体表層に付着しやすいコロナ生成物、紙粉、トナー等の異物の接着力を弱め、感光体の表面性を保持しやすくなるためである。さらに、潤滑剤が直接感光体に作用しやすくなることにより、感光体の摩擦係数の上昇を防止し、低減もしくは低レベルに維持しやすくなるためである。
【0049】
潤滑剤を感光体に外添する方法としては、粉末状またはブロック状の潤滑剤を感光体に直接または間接的に供給する方法がある。例えば、現像剤中に1/100〜1/10μmの粉末状のステアリン酸亜鉛やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)を、トナーに対して0.01〜0.5%の割合で添加することにより潤滑剤を間接的に感光体に供給することができる。添加量が過剰になると、感光体の摩擦係数が低下しすぎたり、トナーの物理特性(例えば、Q/M)が乱れ、コントロールが効かなくなり、トナーが過剰供給になったり、摩擦係数が低下しすぎてコントロールできない可能性が出てくる。通常は、トナーに対して0.01〜0.3%の間で添加することが好ましく、ステアリン酸亜鉛を添加する場合には0.02〜0.3%程度、PTFEを添加する場合には0.01〜0.1%程度が好ましい。PTFEを添加する場合には、ステアリン酸亜鉛より摩擦係数を低減させる効果が高いため、ステアリン酸亜鉛の1/2から1/3程度の添加量とすることが好ましい。潤滑剤の添加量は、トナーによるフィルミングや外観不良が抑制できる量で十分である。
【0050】
なお、クリーニングブレード方式のクリーニング装置を使用し、トナー中に潤滑剤を0.05%添加して、初期摩擦係数0.6の感光体を用いて画像形成を行った場合、その摩擦係数は0.45〜0.55程度にしか下らない。しかし、クリーニングブラシを併用し、トナーの残留物を殆ど除去した場合には、感光体に潤滑剤が直接作用でき、さらに、微量の潤滑剤が連続的に供給されていれば摩擦係数が徐々に低下して、ブラシの作用及び感光層の摩耗と潤滑剤の供給とのバランスにより、感光体の摩擦係数は0.2〜0.4程度の値になる。
【0051】
また、ブロック状やフィルム状の潤滑剤を感光体表層に直接的に外添する方法としては、摩耗させる部材、例えば、専用のブラシやクリーニングブラシ(ファーブラシ)を潤滑剤に当接させてブラシの先端部で擦り取り、感光体に付着させる。ブラシと潤滑剤との当接圧、ブラシの食い込み量をコントロールすることにより、感光体に潤滑剤を供給する量をコントロールすることができる。
【0052】
さらに、50〜200μm程度のフィルム状の潤滑剤を感光体に当接して供給してもよい。この方式は、弾力性を有する部材を裏打ちしたフィルムを、感光体に軽く当接することによって潤滑剤を感光体に外添する方法であり、潤滑剤の押圧をコントロールすることにより、感光体の摩擦係数をコントロールすることができる。本発明は、これらのいずれの方法を適用してもよい。
これらの方法のうち、トナー中に潤滑剤の微粒子を添加する方法が簡便であり、さらに摩擦係数もコントロールしやすく、本発明に好適である。
【0053】
感光体の摩擦係数は0.2〜0.5の間であることが好ましく、0.3前後に維持されることがさらに好ましい。感光体の摩擦係数が下がりすぎると、クリーニングブレードによるクリーニング性能が著しく低下し、コロナ生成物や紙粉、フィルミング等の汚染物質が除去されにくくなり、解像度低下や画像流れなどの画像品質低下を生じてしまうためである。
【0054】
ところで、被覆層を形成しない感光体であっても、レベリング剤(例えば、シリコーンオイルなど)を添加することによって、感光体の摩擦係数を0.3〜0.5(後述するオイラーベルト方式で測定した値)にすることができる。また、レベリング剤を添加しない場合には、感光体の摩擦係数は0.6以上であるが、アルミナ等の無機微粒子を20〜40%程度添加することにより、感光体の摩擦係数を0.4前後にすることができる。しかし、これらの感光体は、20枚程度複写を行えば、摩擦係数が直ちに0.6以上になってしまう。これは、レベリング剤が現像剤やコピー用紙、ブレードクリーニングで失われる他、コロナ生成物等が付着するためである。
【0055】
帯電装置は、感光体に画像形成に必要な表面電位を帯電させ、感光体に静電潜像を形成するために用いられる。感光体に表面電位を帯電させる帯電方法としては、コロナ放電法や、帯電ローラー、ブラシ等の帯電部材を使用する接触帯電法や、感光体と帯電部材との間に30〜250μm程度の空隙をもって帯電する非接触帯電法等がある。
【0056】
コロナ放電法は、金属ケース内に帳架された40〜80μmのタングステンワイヤー、または鋸歯状のSUS板に4000〜8000Vの高電圧を印加する方法である。この方法は、高電圧を印加するため、必然的にオゾン、窒素酸化物などのコロナ生成物が低電圧駆動の接触帯電法に比べ多くなり、環境上問題が生じる。ただし、コロナ放電法(主にグリッドを有するスコロトロン帯電器)は非接触であるため感光体を傷付けない。また、感光体とグリッドは1〜3mm程度、感光体と放電電極は10cm程度離されているため均一に帯電させやすい。さらに、生成したコロナ生成物が感光体に向かって飛翔する間に吸引する工程を設けることができる。このため、接触帯電法より感光体に与えるコロナ生成物の化学的影響を少なくすることも可能である。しかし、オゾン、窒素酸化物は多量に発生し、環境上の問題も発生する。
【0057】
一方、接触帯電法及び非接触帯電法は、帯電部材に直流電圧、または直流電圧に交流電圧(1000V〜2000V、500Hz〜2.5KHz)を重畳して印加し、表面電位が400〜800V程度となるように帯電させる方法である。この方法は、印加電圧が低いためオゾンや窒素酸化物等のコロナ生成物がコロナ放電法の1/100以下と極めて少なくなる。このため、排気処理装置も簡単でよく、環境上の問題は殆ど無い。このコロナ生成物の発生量は、直流電圧印加の場合の方が交流電圧重畳の場合より少なく、感光体への放射量もわずかである。また、接触帯電法の方がコロナ生成物の発生量が少なく、感光体への放射量もわずかである。ただし、帯電部材を感光体から僅かに隔離して帯電する方法のメリットは帯電部材が汚れても、感光体が受けるダメージが緩和されるという点である。
【0058】
本発明で使用する帯電方式はどの方式でも使用可能であるが、環境特性から接触もしくは極近接して帯電を行う非接触帯電方式で行うことが好ましい。ただし、コロナ生成物の発生量が微少であっても接触または近接配置されているため、コロナ生成物の感光体に対する影響についてはコロナ帯電法と大差なく、解像度低下、画像流れ、ハーフトーン画像のモヤムラ等の画像品質上大きな問題を生じる。このコロナ生成物は感光体上に極めて薄く付着しているため、クリーニングブレードで除去するのは容易でなく、感光体の耐摩耗性が大きい感光体ほど除去は簡単ではない。したがって、感光体表面を清浄化するためのクリーニング方式は極めて重要であり、感光体表層にコロナ生成物や紙粉等が付着しても比較的軽い力で除去できるようにすることが必要である。
【0059】
クリーニング装置はキャリアのような硬い磁性微粒子、トナー、コロナ生成物、紙粉、フィルミング等の画像形成上問題となる汚染物質等を、感光体の耐久性低下や画像品質に影響が及ばない様に除去することを目的として構成される。図2にクリーニング装置の概略図を示す。
【0060】
図2に示すように、クリーニング装置6は、クリーニングブレード6aと、感光体1上に付着しているキャリア等の磁性粉を吸引除去する磁性粒子吸引部材6bと、フリッカーバー6dと、ブラシ6eとで構成されている。
【0061】
クリーニングブレード6aは、JIS−A硬度60〜80程度のポリウレタンゴムを用いることが好ましく、1.0〜2.5mm程度の厚さのゴム板をカウンター方式で40〜90mN/cm程度の当接圧で感光体に接触させることが好ましい。当接圧が低いとクリーニング効率が悪く、当接圧が高いと感光体を傷つけ、クリーニングブレード6aの耐久性を悪くするためであり、60〜80mN/cmであることがさらに好ましい。
【0062】
クリーニングブレード6aの設置方向は、カウンター方式であることが好ましい。クリーニングブレード6aをリーディング方式で設置した場合、ブレードが逃げる方向になるため、感光体1に食い込む力が弱くなってしまう。このため、クリーニング性能が低下し、例えば、感光体1上からトナーが大量に送られてきた場合には、フィルミングやクリーニング不良を起こすおそれがある。また、感光体1上からキャリアが送られた場合には、クリーニングブレード6aで押さえつけるため、感光体1がダメージを受けるおそれがある。
【0063】
磁性粒子吸引部材6bは、磁石6b−1と、スリーブ6cとを備えている。
磁石6b−1は感光体1に付着したキャリアを強制的に吸引除去する役割を有している。磁石6b−1はスリーブ6c内に内蔵されている。スリーブ6c内に内蔵されている磁石6b−1は、フェライト磁石やサマリウムコバルト磁石などの永久磁石が使用でき、例えば、フェライト磁石が用いられている。磁石6b−1の磁力は400〜1500ガウス程度に磁化させていればよい。磁石6b−1は、図3に示すように、S、Nに磁化させた磁石を交互に配置し、接着剤で固定させたものが好ましい。ただし、感光体1に付着したキャリアが少ない場合には、芯金にS極とN極、またはS極とS極(もしくはN極とN極)の磁石を張り合わせた構成のものであってもよい。
【0064】
スリーブ6cとしては硬質アルミニウム、ジュラルミン、ベークライト樹脂、塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂などが使用できるが、一般にはアルミニウムが用いられる。スリーブの回転数は120〜300rpmの間で設定し、通常は170〜250rpm程度に設定される。このスリーブ6cには、繊維、好ましくは導電性繊維からなるブラシ6eが形成され、ブラシ6eが植毛されたブラシ状シリンダーからなる。
【0065】
ブラシ6eは磁石6b−1で吸引し得なかった磁性紛をくまなく振り払って除去する役割、及び、感光体1に付着した紙粉、コロナ生成物、トナー等を除去する役割を有する。ブラシ6eはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなどの材料が用いられる。ブラシ6eは、絶縁体もしくは導電性のいずれのブラシを使用することも可能であるが、導電性ブラシを用いることが好ましい。導電性ブラシはカーボンやイオン性物質などの導電性物質が分散されている。導電性ブラシが好ましいのは、ブラシ6eが帯電したときに磁性紛等が付着したまま、再び感光体1に付着することがあるためで、その抵抗値は摩擦帯電または感光体から帯電された電位が帯電と同時に0Vとなるような数値であればよい。好ましい抵抗値は102〜1011Ω・cm程度である。通常は103〜108Ω・cm程度の抵抗のブラシ6eが使用され、電圧(接地、直流、交流のいずれか)が印加可能なように構成される。ただし、感光体1の除電を主目的とするものでは無いので、通常は接地(0V)でもよいが、交流電圧、キャリアの帯電極性とは逆の極性の直流電圧を印加することにより改善を図ることも可能である。
【0066】
ブラシ6eは直毛タイプであることが好ましいが、ループ状のものも使用できる。ブラシ6eの長さは2〜5mm程度である。ブラシ密度は、例えば、150〜800デニール/12〜48フィラメントを12〜24本程度束にして1単位とし、2000〜30000本/inch2植毛したものである。磁性紛吸引部材6bの感光体1への接触は、食い込み量で1〜4mm程度とし、80〜240rpmの回転を行い、回転方向は感光体1に対してカウンター、リーディングのいずれかの方向で設定するが、通常は感光体1と同じ回転方向(カウンター方向)となるように設定することが好ましい。
【0067】
フリッカーバー6dは、ブラシ6eに付着した磁性紛、紙粉等の異物をたたき落とす役割を有する。フリッカーバー6dは、ブラシ6eに食い込むように、スリーブ6cに付設されている。フリッカーバー6dの取り付け位置は、感光体1に対向する反対側であることが好ましい。フリッカーバー6dは絶縁性でも導電性でもよいが、ブラシ6eと同様の理由により導電性のものが好ましい。
【0068】
フリッカーバー6dは、ブラシ6eに付着した磁性粉を除去するように構成されていればよく、板状のものであってもよく、また櫛状のもの(フリッカーブラシ)でもよい。櫛状の場合、櫛間を1〜3mm間隔に設定し、長さはブラシ6eの長さをカバーする程度あればよい。櫛形フリッカーブラシの場合、ブラシ6eの先端から根元の方に付着した粉体まで除去しやすくなるが、付着量が微量な場合は板状のフリッカーバーでも問題は無い。板状のフリッカーバーの場合、通常、アルミや真鍮、ステンレス、カーボン、ポリエステルやポリプロピレン等の樹脂に炭素繊維、活性炭素繊維、カーボンなどの導電性微粉末を添加した導電性部材が用いられる。ただし、ブラシ6eの径は少し太めの繊維を使用した方が除去効率が高くなる。
【0069】
また、クリーニング装置6は、図4に示すように、磁石6b−1及びスリーブ6cからなる磁性粒子吸引部材6bと、フリッカーバー6dと、クリーニングブラシ6fと、クリーニングブレード6aとから構成される装置としてもよい。
【0070】
以上のようなクリーニング装置6を使用することで、感光体1上の画像品質を低減化させる汚染物質が殆ど除去可能となり、長期的に亘って良好な画像品質を提供することができる。
【0071】
なお、必要に応じて、棒磁石または板状磁石を現像装置と転写・分離装置間に装着してもよい。この場合の感光体と棒磁石間の距離は2〜4mm程度に設定し、磁石の長さは現像装置より少なくとも10cm程度長くし、幅は8〜20mm程度とし、感光体に対向する面を感光体の曲率に合わせて切削することが好ましい。
【0072】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0073】
<評価用感光体の作製方法>
本発明で使用する感光体を下記の要領で作製した。
φ60mm、長さ340mm、肉厚1.2mmのアルミニウムドラムに下記組成の下引き層(UL)用塗工液、電荷発生層(CGL)用塗工液、電荷輸送層(CTL)用塗工液を順に浸漬塗工を行い、加熱乾燥により、3.5μmの下引き層、0.15〜0.2μmの電荷発生層、22〜25μmの膜厚の電荷輸送層を塗工し感光体を作製した。この感光体上に、さらに、バインダー樹脂とドナー、無機微粒子(金属酸化物)及び溶媒を硝子ポットに入れ、ボールミルで24時間分散させ、平均粒径約0.45〜0.55μm(堀場製作所製CAPA500で測定)の塗工液を作り、スプレー法を用いて1〜3回塗布(約1.5〜2.0μm/回)し、加熱乾燥させて約2〜10μmの被覆層を形成し、電子写真感光体を完成した。以下に記載の部はいずれも重量部を表す。
【0074】
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂
(ベッコゾール 1307−60−EL,大日本インキ化学工業社製) 6部
メラミン樹脂
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製) 4部
酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
【0075】
〔電荷発生層用塗工液〕
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.2部
テトラヒドロフラン 50部
【0076】
〔電荷輸送層用塗工液〕
ビスフェーノールA型ポリカーボネート(帝人化成社製:Zポリカ) 10部
下記構造の低分子電荷輸送物質 12部
【化1】
塩化メチレン 100部
メチルフェニルシリコーンオイル(50cs) 1部
【0077】
〔被覆層用塗工液〕
被覆層用塗工液は無機微粒子とバインダー樹脂及び下記構造の低分子電荷輸送物質(化2)との比率が重量比で25%、電荷輸送物質とバインダー樹脂との比が7/10になるように混合し、シクロヘキサノン2.5、テトラヒドロフラン7.5の混合液を溶媒としてスプレー法で1〜3回のスプレーを行い、被覆層を形成した。
バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成社製Mv5万)
無機微粒子:アルミナ粉末(AA−03 住友化学工業社製)
低分子電荷輸送物質:下記構造
【化2】
溶媒:シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン
【0078】
<帯電装置>
8mmの真鍮製ロット棒にカーボンを均一分散したエピクロルヒドリンゴムを塗布し、14mmφの太さに成形した電気抵抗2〜6×105Ω・cm(100VDC印加時)の帯電部材を、感光体の画像形成領域に約80μm程度の空隙ができるように加工した帯電装置を用意した。空隙は帯電部材の両端部に厚さ50μm、幅10mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を1重張り付けることによって行った。なお、感光体に対向して配置したときの空隙は75〜90μmであった。この帯電装置をハウジングにセットして使用した。
【0079】
<クリーニング装置>
図5に示すクリーニング装置A、図2に示すクリーニング装置B、図6に示すクリーニング装置C、図4に示すクリーニング装置Dの4種の型式のクリーニング装置を用いた。なお、以下に示す、ブラシ類は(株)槌屋製、磁石は(株)TDK製等を用いた。
【0080】
(1)クリーニング装置A
図5に示すように、2mm厚のウレタンゴムをカウンター方式で取り付けたクリーニングブレード6aのみからなるクリーニング装置6をクリーニング装置Aとした。
【0081】
(2)クリーニング装置B
図2に示すように、クリーニングブレード6aと、磁性粒子吸引部材6bと、ブラシ6eと、フリッカーバー6dとを備えたクリーニング装置6をクリーニング装置Bとした。クリーニングブレード6aは、2mm厚のウレタンゴムからなり、カウンター方式で取り付けた。磁性粒子吸引部材6bは、磁石6b−1とスリーブ6cとから構成した。磁石6b−1は、中心径が8mm、外径が18mmに成型した扇形のフェライト磁石を用い、外側がそれぞれS極またはN極になるように、700〜1200ガウスで着磁した。そして、磁石6b−1をφ8mmの真鍮製芯金に接着剤で張り合わせ、スリーブ6c内に内蔵した。スリーブ6cは肉厚0.9mm、内径φ20mmのアルミ管を用いた。ブラシ6eは、繊維長さ4mmのカーボン分散して105Ω・cmに導電化したポリエステル繊維を植毛した8mm幅の導電性シートを用い、スリーブ6cに螺旋状に張り付けた。ポリエステル繊維は、250D(デニール)/24F(フィラメント)、20000本/inch2の繊維を用いた。なお、1デニールは、長さ450mで、質量50mgの時の繊度(繊維の太さ)である。そして、スリーブ6cが回転するように、ベアリングを芯金に取り付けた後、これらの部材を組み付けた。ブラシ6eの感光体への食い込み量は2.0〜2.5mmとした。フリッカーバー6dは幅20mm、厚さ3mmのカーボン繊維を用いた。磁性粒子吸引部材6bは、感光体1の回転と同方向に回転させ、その回転数が220〜230rpmになるように設定した。
【0082】
(3)クリーニング装置C
図6に示すように、クリーニングブレード6aと、磁性粒子吸引部材6bと、フリッカーバー6dとを備えたクリーニング装置6をクリーニング装置Cとした。クリーニングブレード6aは、2mm厚のウレタンゴムからなり、カウンター方式で取り付けた。磁性粒子吸引部材6bは、磁石6b−1とスリーブ6cとから構成した。磁石6b−1は、中心径が8mm、外径が18mmに成型した扇形のフェライト磁石を用い、外側がそれぞれS極またはN極になるように、700〜1200ガウスで着磁した。そして、磁石6b−1をφ8mmの真鍮製芯金に接着剤で張り合わせ、スリーブ6c内に内蔵した。スリーブ6cは肉厚0.9mm、内径φ20mmのアルミ管を用いた。そして、スリーブ6cが回転するように、ベアリングを芯金に取り付けた後、これらの部材を組み付けた。フリッカーバー6dはポリエステルにカーボンを添加し105Ω・cmに低抵抗させたフリッカーブラシを用い、食い込み量が2mmとなるように取り付けた。磁性粒子吸引部材6bは、感光体1の回転と逆方向に回転させ、その回転数が220〜230rpmになるように設定した。
【0083】
(4)クリーニング装置D
図4に示すように、クリーニング装置Cのクリーニングブレード6aと磁性粒子吸引部材6bとの間にクリーニングブラシ6fを配置したクリーニング装置6をクリーニング装置Dとした。クリーニングブラシ6fは、17デニールの直毛のポリプロピレン繊維を2500本/inch2の密度で植毛したφ18.5mmを用いた。
【0084】
<評価方法>
評価用の画像形成装置として、上記した各クリーニング装置(クリーニング装置内の各部材へのバイアス電圧は接地(0V)に設定)を取り付けられるように改造した複写スピード28(枚/分)の実験用電子写真複写機(LDの発光波長780nm)を用いた。
現像剤は、リコー製の粒径約7.5μmのシアントナー(流動剤としてSiO2=0.7%、TiO2=0.8%、潤滑剤(SZ2000)=0〜0.5%添加)を、粒径60μmの磁性キャリア(FPC−300LC)に分散した5%濃度現像剤を使用した。現像装置の現像バイアス値は帯電電位に合わせて、−500〜−800ボルトの間で可変した。
【0085】
帯電部材には感光体との空隙が80〜100μmのカーボン分散のエピクロルヒドリンゴム製のφ14mmの帯電ローラーを用い、印加電圧として、外部電源より高圧ケーブルで帯電部材に交番電圧を重畳した直流電圧を印加した。感光体に印加する電圧条件は交流重畳直流電圧とし、交流電圧を1.6〜1.65×103V/1.2KHz、感光体の表面電位を−500〜−1000ボルトの範囲となる様に設定した。なお、帯電部材用の高圧印加電源には横河製ファンクションジェネレーターFG−300+長野愛知電気HV−255を使用し、トリガー電圧で、感光体への電圧印加のタイミングを図った。
【0086】
評価は通紙ランニング前後の摩擦係数、感光体(感光層)の摩耗量、感光体外観、常湿環境(22℃/65%RH)及び高湿環境(30゜C/90%RH)での画像品質、の諸特性を評価した。
【0087】
感光体の摩擦係数はオイラー・ベルト方法を用いて算出した。この方法は、まず、測定用の感光体を台座に固定して、幅30mm、長さ290mmにカットした厚み85μmの上質紙(リコー社製、タイプ6200ペーパー、縦目使用)をベルトとして用意する。次に、この上質紙を感光体の上に乗せて、ベルト端部の一方に100gの重りを取り付け、他方の片端に重量測定用のデジタル・フォース・ゲージを取り付ける。そして、デジタル・フォース・ゲージ(シンポ工業製FGC−2)をゆっくり引き、ベルトの移動開始時の重量を読みとり、下記の式を用いて、感光体の(静止)摩擦係数を計算した。
μs=2/π×ln(F/W)
式中、μsは静止摩擦係数、Fは読みとり荷重、Wは分銅の重さ、πは円周率である。
【0088】
感光体の摩耗量はフィッシャー社の渦電流式膜厚計(フィッシャースコープ MMS)を使用し、ランニング前後の26ポイントの膜厚を測定し、その平均値を求めた。
画像品質判定は指定の標準テストチャートにJIS規格の竹の子チャートを貼り付けたものを原稿として、解像度、シャープ性等の判定を行い、通紙ランニング用の原稿には5%のラインチャートを使用し、1サイクル連続99枚の割合で10万枚目標の評価を行った。
【0089】
(実施例1、実施例2)
感光体として、22μmの感光層上に無機微粒子(アルミナ)を25%分散した被覆層を4.5μm目標の厚さで積層したφ80mmのOPC感光体を用いた。クリーニング装置として、実施例1にクリーニング装置B、実施例2にクリーニング装置Dを評価用電子写真複写機に搭載し、10万枚の評価を実施した。クリーニング装置内のフリッカー部材及び磁性粒子吸引部材へ印加するバイアスは0ボルトとした。現像剤はステアリン酸亜鉛をトナーに対し0.1%添加したシアントナーを使用した。結果を表1に示す。
【表1】
【0090】
表1に示すように、実施例1及び実施例2でのクリーニング装置を使用した場合、キャリアの除去効率は良好であった。また、帯電装置通過後には、感光体及び帯電部材表面にキャリアの付着は皆無であり、トナー除去性能も良好であった。目視判断では異物付着は殆ど認められず、常湿、高湿環境とも良好な画像品質を示した。
【0091】
(実施例3)
クリーニング装置Bを用い、被覆層の膜厚を2μm〜10μmの間で4段階に変化させた感光体を用いて、10万枚の評価を実施した。クリーニング装置Bの磁性粒子吸引部材を接地とし、ブラシは240rpmで感光体と同じ回転方向(カウンター方向)に回転するようにした。また、感光体への印加は交流重畳直流電圧とし、帯電電位を−700ボルトに設定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0092】
表2に示すように、被覆層の膜厚を変化させた場合、キャリアの搬送は僅かに認められたが、帯電装置近傍でのキャリア付着は無く、除去性能については全く問題は無かった。また、トナー除去性能も問題なかった。一方、画像品質に関しては被覆層の膜厚により、差異が見られ7.8μm及び10.1μmの感光体では、残留電位上昇による画像濃度低下が生じたが、感光体のダメージによる黒斑点などの異常画像は確認できなかった。
【0093】
(比較例1)
クリーニング装置Aを用いた場合(比較例1−1)、クリーニング装置Cを用いた場合(比較例1−2)、クリーニング装置Bからフリッカーバーを外した場合(比較例1−3)の3者について、5万枚の評価を実施した。帯電部材と感光体との空隙が80〜100μmの非接触帯電装置を用い、感光体を−700ボルトに帯電した。画像形成時の地肌電位は−80〜−90ボルトであり、現像バイアスは−600ボルトに設定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0094】
表3に示すように、感光体に付着するキャリアの数は少なかったが、クリーニング装置A(比較例1−1)、クリーニング装置C(比較例1−2)を用いた場合、感光体全面に凹みが認められ、画像上に黒斑点状の画像欠陥が生じた。また、高湿環境では感光体に生じた局部的なフィルミングにより、一部解像度低下が生じ、画像上の問題が生じた。クリーニング装置Bからフリッカーバーを外した場合(比較例1−3)には、キャリアの除去が比較例1−1及び1−2に比べ良好であったが、実施例1〜4の内容に比べ、悪い結果であった。
画像品質上では、初期に比べて、地肌に黒斑点の増加が確認された。トナーの除去性能に関しては殆ど除去されていたが、テープ剥離検査では僅かに残存していることが確認された。
【0095】
(比較例2)
クリーニング装置Aを用い、感光体の表面電位を−600ボルト(比較例2−1−1)、−1000ボルト(比較例2−1−2)とした場合について、10万枚の評価を実施した。また、クリーニング装置Bの磁性微粒子吸引部材から磁石を外し(フリッカーバーの食い込み量2mm)、感光体の帯電電位を−600ボルト(比較例2−2−1)、及び−1000ボルト(比較例2−2−2)とした場合について、10万枚の評価を実施した。結果を表4に示す。
【表4】
【0096】
表4に示すように、クリーニング装置Aを用いた場合(比較例2−1−1、比較例2−1−2)、感光体に付着したキャリアの除去性能が不十分であり、しかもフィルミングが一部もしくは全面にわたって生じ、高湿環境では解像度低下、画像流れが生じた。また、クリーニング装置Bの磁性微粒子吸引部材から磁石を外した場合(比較例2−2−1、比較例2−2−2)、キャリアは十分とはいかないまでも除去されるが、除去能力の低下により、一部残留したキャリア等がブレードに挟まり、感光体に凹み、筋等が発生し、画像上に顕在化した。しかし、クリーニング装置Aを用いた場合に比べ良好であった。これらの現象は帯電電位が高くなるにつれ、悪くなる傾向を顕著に示した。
【0097】
(実施例4)
交流電圧を1.64KV/1.2KHzと一定とし、直流電圧を調整することにより、感光体の帯電電位を−500,−600,−800及び−1000ボルトになるように調整し、実施例1と同様に評価した。現像バイアスは−500ボルトでは−400ボルト、−600ボルトでは−500ボルト、−800では−600ボルト、−1000ボルトでは−800ボルトとした。結果を表5に示す。
【表5】
【0098】
表5に示すように、帯電電位が−500ボルト〜−800ボルトの場合は帯電部材通過後の感光体上にはキャリアの付着は皆無であり、感光体外観、画像品質とも良好であった。帯電電位が−1000ボルトの場合、感光体へのキャリア付着が増加し、磁性粒子吸引部材でのキャリアの除去は完全ではなく、転写抜けや感光体に凹みが生じ、黒斑点や黒筋が局部的に生じた。ただし、画像品質上の問題が生じるほどではなかった。
【0099】
(実施例5)
現像剤をステアリン酸亜鉛からPTFEに変え、PTFEを0.01〜0.2%添加したリコー製のシアントナーを5%濃度で使用し、実施例1と同様に評価した。感光体の帯電電位は−600Vとし、現像バイアスを−450ボルトに設定した。結果を表6に示す。
【表6】
【0100】
表6に示すように、PTFEを添加した場合もステアリン酸亜鉛と同様に良好な特性を示したが、摩擦係数は低めで推移し、0.1%添加した場合、常湿環境では全く問題ないが、高湿環境で7.1本/mmの解像度が6.3〜5.6本/mmに、0.2%添加した場合には高湿環境で6.3本/mmの解像度が5.0〜4.5本/mmにそれぞれ変化する傾向が認められる。しかし、キャリアはいずれも良好に除去され、問題が生じるほどではなかった。
【0101】
(実施例6)
現像剤にステアリン酸亜鉛を用い、添加量を0.01〜0.2%の間で変化させたシアントナーを5%濃度で使用し、実施例1と同様に評価した。感光体の帯電電位は−600Vとし、現像バイアスを−450ボルトに設定した。結果を表7に示す。
【表7】
【0102】
表7に示すように、摩擦係数はほぼ0.3台で、感光層の摩耗量も10万枚後で1μm以下と良好であった。キャリアの付着もステアリン酸亜鉛の添加量が少ないときに僅かに生じ、感光体に凹みが見いだされたが、画像品質上は殆ど皆無であり、良好な結果であった。
【0103】
(実施例7)
クリーニング装置Bを用い、導電性ブラシに印加するバイアス電圧をA=AC600ボルト、B=AC300ボルト、C=+300ボルト、D=−300ボルトにそれぞれ設定し、感光体の表面電位を−750ボルト、現像バイアスを−500ボルトに設定した場合について、10万枚の特性評価を実施した。現像剤についてはステアリン酸亜鉛を0.1%添加したシアントナーを使用した。また、AC電圧の周波数は1KHzとした。結果を表8に示す。
【表8】
表8に示すように、導電性ブラシに印加するバイアス電圧がAC300ボルト、AC600ボルト及びDC−300Vの場合には、いずれもキャリアの除去能力は良好で、凹みの発生状況も、バイアス0ボルトとほぼ同等の結果であった。しかし、+300ボルトを印加した場合には、キャリアの残留が少しあり、感光体上の凹みも生じたが、画像品質上は殆ど皆無であり、良好な結果であった。また、画像に関してはいずれのバイアスでも良好な結果であった。+電圧を印加した感光体では、帯電電位の低下が50V程度あり、−帯電した感光体では地肌電位の増加が僅かに認められたが、画像上への影響は殆ど問題なかった。
【0104】
(比較例3)
クリーニング装置A、被覆層の無い25μmの感光体を使用して、感光体の表面電位を−600ボルト、現像バイアスを−500ボルトとした場合(比較例3−1−1)、感光体の表面電位を−1000ボルト、現像バイアスを−800ボルトとした場合(比較例3−1−2)について、5万枚評価を実施した。
また、クリーニング装置Bから磁性微粒子吸引部材の磁石を外したクリーニング装置を用い、被覆層の無い25μmの感光体、ステアリン酸亜鉛無添加トナー使用のシアン現像剤、ブラシ植毛スリーブの回転数を240rpmとし、感光体の帯電電位を−600ボルト(比較例3−2−1)、−1000ボルト(比較例3−2−2)とした場合について、10万枚の評価を実施した。結果を表9に示す。
【表9】
【0105】
表9に示すように、被覆層を積層せず、トナーに潤滑剤を添加しない場合には、感光層全面にわたってフィルミングが発生した。外見から、感光体には傷は殆ど確認できなかったが、エチルアルコールでの払拭処理で、フィルミングを除去することによって、感光体には全面に凹み、擦り傷が確認された。また、感光体表層全面にわたって発生したフィルミングにより摩耗が抑制されたが、画像品質は高湿環境でいずれの感光体でも画像流れが生じた。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、感光体に付着した付着物を除去することにより、感光体表層を定常的に清浄な状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態のクリーニング装置(クリーニング装置B)の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態のスリーブ内に配設する磁石の極性の位置関係を示した概略図である。
【図4】本発明の実施の形態の他のクリーニング装置(クリーニング装置D)の概略図である。
【図5】従来のクリーニング装置(クリーニング装置A)の概略図である。
【図6】従来のクリーニング装置(クリーニング装置C)の概略図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電装置
6 クリーニング装置
6a クリーニングブレード
6b 磁性粒子吸引部材
6b−1 磁石
6c スリーブ
6d フリッカーバー
6e ブラシ
6f クリーニングブラシ
9 コピー用紙
Claims (13)
- 感光体に形成された静電潜像を現像し、コピー用紙に転写した後に感光体上の残留物を除去するクリーニング装置であって、
前記感光体に先端が当接するクリーニングブレードと、
回転可能に形成され、前記感光体に付着した磁性粉を吸引する磁石と、該磁石を内蔵するスリーブとを有する磁性粒子吸引部材と、
前記感光体に付着した残留物を除去するブラシと、
前記ブラシの長手方向に沿って配設されたフリッカーバーと、
を備え、
前記ブラシは、導電性繊維からなり、前記スリーブ上に形成されている、ことを特徴とするクリーニング装置。 - 前記ブラシに配設されたフリッカーバーは、前記ブラシに0.5〜3mm食い込むように配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
- 前記ブラシは導電性ブラシであり、該導電性ブラシが接地または電圧印加されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニング装置。
- 前記ブラシは前記感光体の回転方向と同一方向に回転される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
- 前記クリーニングブレードはカウンター当接されている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
- 感光体に形成された静電潜像を現像し、コピー用紙に転写して記録画像を得る工程と、前記感光体上の残留物を除去する工程とを備える画像形成方法であって、
前記感光層上に無機微粒子を分散した2〜8μmの膜厚の被覆層を構成した感光体を用い、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いて前記感光体上の残留物を除去する、ことを特徴とする画像形成方法。 - 前記無機微粒子に酸化チタンまたはアルミナを用いる、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
- 前記感光体に近接配置されたローラー状の導電性部材を備えた帯電装置により、前記感光体に画像形成に必要な電荷を帯電させる、ことを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成方法。
- 前記感光体に−500〜−800ボルトを帯電させる、ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
- 前記感光体の表層に潤滑剤を外添する、ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記潤滑剤にステアリン酸亜鉛またはポリテトラフルオロエチレンを用いる、ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
- 前記潤滑剤をトナーに添加することにより、前記感光体に潤滑剤を供給する、ことを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成方法。
- 最表層に無機微粒子が分散された感光体と、
前記感光体に近接配置され、該感光体を帯電させる帯電装置と、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、
を備える、ことを特徴とする画像形成装置。
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