電子写真プロセスを用いる画像形成装置は、像担持体を備えていて、像担持体の表面の放電によって電荷を与え帯電させ、帯電した像担持体の表面を露光して静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを供給して可視像化し、形成された像担持体の表面の可視像を転写紙の表面に転写し、そして、転写紙の表面に転写された可視像を定着して排出する。このような画像形成装置においては、可視像を転写した後の像担持体の表面に未転写のトナー等を含む付着物が残留するので、これらの付着物が画像形成に悪い影響を与えないように、像担持体の表面は、クリーニング装置でクリーニングされて次の画像形成プロセスに備えられる。このようなクリーニング装置のクリーニング部材としては、ゴム等の弾性体で構成されるクリーニングブレードがクリーニング性能の安定性やコスト面で広く普及している。
しかしながら、このような弾性体で構成されるクリーニングブレードは、像担持体と摺擦して像担持体の表面のトナーや異物を除去する動作を行うので、像担持体の表面層が経時で磨耗し、そのために、像担持体の寿命を短くさせてしまう。また、トナーに外添される流動性付与剤や帯電制御剤等がクリーニングブレードとの当接圧で像担持体の表面に固着する、いわゆる、フィルミングの発生が問題となっていた。
そこで、前記問題を解消するために、像担持体の表面に潤滑剤を塗布して像担持体の表面の摩擦抵抗を低減する潤滑剤塗布装置を画像形成装置に設置することに関する技術が提案されている。このような潤滑剤塗布装置においては、潤滑剤を微粉末の状態で直接像担持体の表面に供給し塗布することが理想であるが、潤滑剤の微粉末を収容するためには、画像形成装置内に相当量のスペースを確保しなければならず、また、潤滑剤の微粉末を供給する潤滑剤供給装置を小型化する必要があるので、一般的には、潤滑剤を棒状に成型した潤滑剤成形物が使用されている。
このような潤滑剤塗布装置には、潤滑剤成形物を像担持体の軸方向に均一にムラ無く塗布する機能が求められるので、従来においては、前記潤滑剤成形物と前記像担持体との両方に当接するように回転駆動するブラシローラを備えていて、前記潤滑剤成形物が前記ブラシローラの摺擦により削られて微粉末となって該ブラシローラの繊維に付着し、そのブラシローラに付着した粉体状の潤滑剤が像担持体の表面に塗布されるものが提案されている。この潤滑剤塗布装置によれば、潤滑剤を均一に供給するので、潤滑剤の塗布ムラが少なく、かつ、省スペース化に優れたものとなる。
ところが、前述の手段を用いても像担持体の移動方向に対して平行に高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けると、帯画像部に対応した地肌部の紙面上に縦帯状に異常画像が発生するという問題があった。本発明者らが、かかる問題について探求したところによれば、かかる問題が発生する原因は、具体的には、帯画像部に対応して、ブラシローラ表面に転写残トナーが多く付着して像担持体の表面の潤滑剤塗布量が低下し、そのために、像担持体の表面の摩擦係数が上昇することによるが、このような「像担持体の表面の潤滑剤塗布量の低下」により、潤滑剤が担っている像担持体の表面及びクリーニングブレードの保護機能が局所的に著しく低下し異常画像が発生することになる。
前述のような異常画像は、像担持体の表面における潤滑剤の塗布量の差が生じ易い帯画像部と未転写部(白画像部)との境界付近に最も発生し易い。そこで、このような異常画像の発生を防止するために、潤滑剤塗布手段により像担持体の表面に固形潤滑剤を塗布する際に、前記潤滑剤の効果を失わせしめる潤滑抑制剤を塗布する塗布手段を、前記潤滑剤塗布手段に近接して設けるか、又は、前記潤滑剤塗布手段と一体に設けた、潤滑剤塗布装置が提案されている(特許文献1を参照)。
しかしながら、このような潤滑剤塗布装置においては、潤滑剤と潤滑抑制剤との供給量のバランスを長期間制御することが難しいという問題があり、また、潤滑剤による潤滑効果を毎回リセットしていく構成のために、潤滑剤自体の絶対容量が増えコストアップにつながり、しいては、装置自体が大型化してしまうという問題があった。
特許第3723033号
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下を抑えることができる潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスカートリッジ、及び、その潤滑剤塗布装置を備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、潤滑性物質を主成分とする潤滑剤成形物と、前記潤滑剤成形物と潜像を担持する像担持体とに回転しながら接触して、該潤滑剤成形物を削り取って得た潤滑剤成形物の微粉末を該像担持体の表面に供給することにより、潤滑剤塗布膜を該像担持体の表面に形成するようにしたブラシローラと、を有する潤滑剤塗布装置において、
(イ)磁性粉末を、前記ブラシローラの側面近傍における該ブラシローラの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラのブラシスリーブに近づく方向に穂立ちさせて、磁性粉末群を形成するようにした長尺の磁界発生部材が、前記像担持体と反対側の前記ブラシローラの側面近傍における該ブラシローラの軸方向に設けられ、
(ロ)前記長尺の磁界発生部材の下方に前記ブラシローラの軸方向に配列された磁性粉末受けが、設けられ、そして、
(ハ)前記磁界発生部材を前記ブラシローラの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラのブラシスリーブに近づく方向に移動させて、前記磁性粉末受け上で該前記磁性粉末受けに保持された磁性粉末をくみ上げて磁性粉末群を形成し、次に、この磁性粉末群を前記ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)に接触するようにする移動手段が、設けられている
ことを特徴とする潤滑剤塗布装置である。
請求項2に記載された発明は、潤滑性物質を主成分とする潤滑剤成形物と、前記潤滑剤成形物と潜像を担持する像担持体とに回転しながら接触して、該潤滑剤成形物を削り取って得た潤滑剤成形物の微粉末を該像担持体の表面に供給することにより、潤滑剤塗布膜を該像担持体の表面に形成するようにしたブラシローラと、を有する潤滑剤塗布装置において、
(イ)磁性粉末を、前記ブラシローラのブラシスリーブの表面における該ブラシローラの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラのブラシスリーブに遠ざかる方向に穂立ちさせて、磁性粉末群を形成することにより、該磁性粉末群を前記ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)に接触するようにする長尺の磁界発生部材が、該ブラシローラのスリーブの中にその軸方向に固定されて設けられ、そして、
(ロ)前記ブラシローラの下面近傍に該ブラシローラの軸方向に配列された長尺の磁性粉末受けが、設けられている
ことを特徴とする潤滑剤塗布装置である。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記長尺の磁界発生部材が、電磁石又は永久磁石であることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記磁性粉末群が、前記ブラシローラからみて、前記像担持体との接触位置よりも前記ブラシローラの移動方向の下流側であって、かつ、前記潤滑剤成形物との接触位置よりも前記ブラシローラの移動方向の上流側に発生するような位置に、前記磁界発生部材が設けられていることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記長尺の磁性粉末受けが、前記磁界発生部材の磁極の向きと逆にされ、かつ、前記磁界発生部材の磁力よりも弱い永久磁石で構成されることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記電磁石に磁界を断続的に発生させる手段が設けられていることを特徴とするものである。
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載された発明において、前記電磁石に磁界を断続的に発生させる手段が、前記電磁石におけるコイルに通電する電流のON・OFFによって制御する制御手段であることを特徴とするものである。
請求項8に記載された発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載された発明において、前記磁性粉末の体積平均粒径が0.1〜100μmであることを特徴とするものである。
請求項9に記載された発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載された発明において、弾性部材で構成される塗布ブレードが、前記ブラシローラからみて、前記像担持体の移動方向の下流側位置に設けられていることを特徴とするものである。
請求項10に記載された発明は、像担持体と、該像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、を少なくとも含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に固定されたプロセスカートリッジにおいて、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を有していることを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項11に記載された発明は、請求項10に記載された発明において、弾性部材で構成されるクリーニングブレードが、設けられていることを特徴とするものである。
請求項12に記載された発明は、請求項10又は11に記載された発明において、前記クリーニングブレードが、前記像担持体の移動方向に対してカウンター方向に支持されていることを特徴とするものである。
請求項13に記載された発明は、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体を均一に帯電させる帯電装置と、前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視像を形成する現像装置と、前記可視像を転写部材に転写する転写装置と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、を少なくとも有する画像形成装置において、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を有していることを特徴とする画像形成装置である。
請求項14に記載された発明は、請求項13に記載された発明において、前記潤滑剤塗布装置が、前記転写装置よりも前記像担持体の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記帯電装置よりも前記像担持体の移動方向の上流側位置に配置されていることを特徴とするものである。
請求項15に記載された発明は、請求項10〜12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジを有していることを特徴とする画像形成装置である。
請求項1,3に記載された発明によれば、(イ)磁性粉末を、前記ブラシローラの側面近傍における該ブラシローラの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラのブラシスリーブに近づく方向に穂立ちさせて、磁性粉末群を形成するようにした長尺の磁界発生部材が、前記像担持体と反対側の前記ブラシローラの側面近傍における該ブラシローラの軸方向に設けられ、(ロ)前記長尺の磁界発生部材の下方に前記ブラシローラの軸方向に配列された磁性粉末受けが、設けられ、そして、(ハ)前記磁界発生部材を前記ブラシローラの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラのブラシスリーブに近づく方向に移動させて、前記磁性粉末受け上で該前記磁性粉末受けに保持された磁性粉末をくみ上げて磁性粉末群を形成し、次に、この磁性粉末群を前記ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)に接触するようにする移動手段が、設けられているので、ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)の間に滞留したトナー等が磁性粉末群を通過する際に毛足(ブラシ繊維)の間から振り落とされて、ブラシローラが常にリフレッシュされることになり、そのために、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下を抑えることができる潤滑剤塗布装置を提供することができる。
請求項2,3に記載された発明によれば、(イ)磁性粉末を、前記ブラシローラのブラシスリーブの表面における該ブラシローラの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラのブラシスリーブに遠ざかる方向に穂立ちさせて、磁性粉末群を形成することにより、該磁性粉末群を前記ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)に接触するようにする長尺の磁界発生部材が、該ブラシローラのスリーブの中にその軸方向に固定されて設けられ、そして、(ロ)前記ブラシローラの下面近傍に該ブラシローラの軸方向に配列された長尺の磁性粉末受けが設けられているので、ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)の間に滞留したトナー等が磁性粉末群を通過する際に毛足(ブラシ繊維)の間から振り落とされて、ブラシローラが常にリフレッシュされることになり、そのために、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下を抑えることができる潤滑剤塗布装置を提供することができる。
請求項4に記載された発明によれば、前記磁性粉末群が、前記ブラシローラからみて、前記像担持体との接触位置よりも前記ブラシローラの移動方向の下流側であって、かつ、前記潤滑剤成形物との接触位置よりも前記ブラシローラの移動方向の上流側に発生するような位置に、前記磁界発生部材が設けられているので、ブラシローラにより削り取った潤滑剤組成物の微粉末を無駄に振り落とすことなく、ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)に滞留したトナーだけを振り落として、ブラシローラをリフレッシュすることができ、そのために、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置を提供することができる。
請求項5に記載された発明によれば、前記長尺の磁性粉末受けが、前記磁界発生部材の磁極の向きと逆にされ、かつ、前記磁界発生部材の磁力よりも弱い永久磁石で構成されるので、磁性粉末が前記長尺の磁性粉末受けに確実に回収される。
請求項6,7に記載された発明によれば、前記磁界発生部材に磁界を断続的に発生させる手段が設けられているので、ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)と磁性粉末群との接触を最低限に抑えることができ、そのために、ブラシローラによる潤滑剤の供給能力の低下を防ぐことができ、よって、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置を提供することができる。
請求項8に記載された発明によれば、前記磁性粉末の体積平均粒径が0.1〜100μmであるので、ブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)間に滞留したトナーと磁性粉末との衝突確率を高めることができ、そのために、より確実にブラシローラにおける毛足(ブラシ繊維)間に滞留したトナー等が磁性粉末群を通過する際に毛足間から振り落とされ、よって、磁性粉末の高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置を提供することができる。
請求項9に記載された発明によれば、弾性部材で構成される塗布ブレードが、前記ブラシローラからみて、前記像担持体の移動方向の下流側位置に設けられているので、クリーニング手段と潤滑剤塗布手段との機能が分離され、そのために、ブラシローラで像担持体上へ供給される潤滑剤の塗布がいっそう容易となり、そのために、磁性粉末の高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置を提供することができる。
請求項10に記載された発明によれば、像担持体と、該像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、を少なくとも含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に固定されたプロセスカートリッジにおいて、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を有しているので、部品のメンテナンスや交換作業が容易になり、かつ、潤滑剤を像担持体の表面と該像担持体に当接する部材との潤滑性を長期間にわたり向上させるプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項11に記載された発明によれば、弾性部材で構成されるクリーニングブレードが設けられているので、像担持体の表面に供給された潤滑剤成形物の微粉末が均一に塗布され易くなると共に、クリーニング部材のコストを最小限に抑えるプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項12に記載された発明によれば、前記クリーニングブレードが、前記像担持体の移動方向に対してカウンター方向に支持されているので、潤滑剤の塗布能力に優れ像担持体の表面に供給された潤滑剤の微粉が均一に塗布され易くなると共に、クリーニング部材のコストを最小限に抑えるプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項13に記載された発明によれば、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体を均一に帯電させる帯電装置と、前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視像を形成する現像装置と、前記可視像を転写部材に転写する転写装置と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、を少なくとも有する画像形成装置において、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を有しているので、潤滑剤を像担持体の表面に均一に塗布することにより該像担持体に当接する部材との潤滑性を長期間にわたり向上させることができ、そのために、高画質画像を長期間形成可能な画像形成装置を提供することができる。
請求項14に記載された発明によれば、前記潤滑剤塗布装置が、前記転写装置よりも前記像担持体の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記帯電装置よりも前記像担持体の移動方向の上流側位置に配置されているので、潤滑剤の塗布が他のプロセスに影響されずに行うことができ、そのために、像担持体の表面に潤滑剤の微粉をいっそう長期間にわたり安定して均一に塗布することができ、よって、高画質画像をいっそう長期間形成可能な画像形成装置を提供することができる。
請求項15に記載された発明によれば、請求項10〜12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジを有している画像形成装置とするので、部品のメンテナンスや交換作業が容易になり、そのために、ランニングコストを最小限に抑えた画像形成装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の概略説明図である。図2は、本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置の概略説明図である。図3は、本発明の一実施の形態を示す潤滑剤塗布装置の部分の一部拡大概略説明図である。図4は、本発明の他の一実施の形態を示す潤滑剤塗布装置の一部拡大概略説明図であって、(a)は、磁界発生前の状態を示し、そして、(b)は、磁界発生後の状態を示す。図5は、図4における磁界発生部材の拡大断面説明図である。図6は、本発明の他の一実施の形態を示す潤滑剤塗布装置の一部拡大概略説明図である。図7は、クリーニングブレードの当接条件であるカウンター方式を説明する説明図である。図8は、クリーニングブレードの当接条件であるトレーリング方式を説明する説明図である。
図1,3において、6は、潤滑剤塗布装置である。潤滑剤塗布装置6は、潤滑性物質を主成分とする潤滑剤成形物6aと、前記潤滑剤成形物6aと潜像を担持する像担持体(感光体)1とに回転しながら接触して、該潤滑剤成形物6aを削り取って得た潤滑剤成形物の微粉末6a′を該像担持体1の表面に供給することにより、潤滑剤塗布膜を該像担持体1の表面に形成するようにしたブラシローラ6bと、を有している。前記潤滑剤塗布装置6においては、(イ)磁性粉末6d′を、前記ブラシローラ6bの側面近傍における該ブラシローラ6bの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラ6bの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 に近づく方向に穂立ちさせて、磁性粉末群6dを形成するようにした長尺の磁界発生部材6cが、前記像担持体1と反対側の前記ブラシローラ6bの側面近傍における該ブラシローラ6bの軸方向に設けられ、(ロ)前記長尺の磁界発生部材6cの下方に前記ブラシローラ6bの軸方向に配列された磁性粉末受け6iが、設けられ、そして、(ハ)前記磁界発生部材6cを前記ブラシローラ6bの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 に近づく方向に移動させて、前記磁性粉末受け6i上で該前記磁性粉末受け6iに保持された磁性粉末6d′をくみ上げて磁性粉末群6dを形成し、次に、この磁性粉末群6dを前記ブラシローラ6bの基布の毛足6b1 に接触するようにする移動手段6jが、設けられている。前記長尺の磁界発生部材6cは、電磁石又は永久磁石である。
このように、(イ)磁性粉末6d′を、前記ブラシローラ6bの側面近傍における該ブラシローラ6bの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラ6bの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 に近づく方向に穂立ちさせて、磁性粉末群6dを形成するようにした長尺の磁界発生部材6cが、前記像担持体1と反対側の前記ブラシローラ6bの側面近傍における該ブラシローラ6bの軸方向に設けられ、(ロ)前記長尺の磁界発生部材6cの下方に前記ブラシローラ6bの軸方向に配列された磁性粉末受け6iが、設けられ、そして、(ハ)前記磁界発生部材6cを前記ブラシローラ6bの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 に近づく方向に移動させて、前記磁性粉末受け6i上で該前記磁性粉末受け6iに保持された磁性粉末6d′をくみ上げて磁性粉末群6dを形成し、次に、この磁性粉末群6dを前記ブラシローラ6bの毛足6b1 に接触するようにする移動手段6jが、設けられていると、ブラシローラ6bにおける基布の毛足6b1 の間に滞留したトナー11等が磁性粉末群6dを通過する際に毛足(ブラシ繊維)6b1 の間から振り落とされて、ブラシローラ6bが常にリフレッシュされることになり、そのために、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下を抑えることができる潤滑剤塗布装置6を提供することができる。
図2,4において、6は、潤滑剤塗布装置である。潤滑剤塗布装置6は、潤滑性物質を主成分とする潤滑剤成形物6aと、前記潤滑剤成形物6aと潜像を担持する像担持体(感光体)1とに回転しながら接触して、該潤滑剤成形物6aを削り取って得た潤滑剤成形物の微粉末6a′を該像担持体1の表面に供給することにより、潤滑剤塗布膜を該像担持体1の表面に形成するようにしたブラシローラ6bと、を有している。前記潤滑剤塗布装置6においては、(イ)磁性粉末6d′を、前記ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 の表面における該ブラシローラ6bの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラ6bの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 に遠ざかる方向に穂立ちさせて、磁性粉末群6dを形成することにより、該磁性粉末群6dを前記ブラシローラ6bにおける毛足(ブラシ繊維)6b1 に接触するようにする長尺の磁界発生部材6cが、該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 の中にその軸方向に固定されて設けられ、そして、(ロ)前記ブラシローラ6bの下面近傍に該ブラシローラ6bの軸方向に配列された長尺の磁性粉末受け6iが設けられている。前記長尺の磁界発生部材6cは、電磁石又は永久磁石である。
このように、(イ)磁性粉末6d′を、前記ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 の表面における該ブラシローラ6bの軸方向に配列させると共に、前記ブラシローラ6bの軸方向に対して垂直な方向であって該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 に遠ざかる方向に穂立ちさせて、磁性粉末群6dを形成することにより、該磁性粉末群6dを前記ブラシローラ6bにおける毛足(ブラシ繊維)6b1 に接触するようにする長尺の磁界発生部材6cが、該ブラシローラ6bのブラシスリーブ6b2 の中にその軸方向に固定されて設けられ、そして、(ロ)前記ブラシローラ6bの下面近傍に該ブラシローラ6bの軸方向に配列された長尺の磁性粉末受け6iが設けられていると、ブラシローラ6bにおける毛足(ブラシ繊維)6b1 の間に滞留したトナー等がが磁性粉末群6dを通過する際に毛足(ブラシ繊維)6b1 の間から振り落とされて、ブラシローラ6bが常にリフレッシュされることになり、そのために、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下を抑えることができる潤滑剤塗布装置6を提供することができる。
本発明においては、前記潤滑剤成形物6aは、ブラシローラ6bにより削り取られるようにするために、ブラシローラ6bに任意の当接圧で接触している。当接圧を発生させる加圧手段としては、図3,4,6に示すように、潤滑剤成形物6aを潤滑剤成形物6aの保持部材6fに張り合わせたものにおもりWを載せ、それらの自重により、ブラシローラ6bの上方から接触させる方法が一般的である。本発明では、加圧手段は、特に規定していないが、潤滑剤塗布装置6上のレイアウトの制約でブラシローラ6bの下方から接触させる必要が有る場合は、スプリング(図示せず)を用いた加圧手段も適用可能である。
本発明においては、前記磁性粉末群6dは、前記ブラシローラ6bからみて、前記像担持体1との接触位置よりも前記ブラシローラ6bの移動方向の下流側であって、かつ、前記潤滑剤成形物6aとの接触位置よりも前記ブラシローラ6bの移動方向の上流側に発生するような位置に、前記磁界発生部材6cが設けられている。このように、前記磁性粉末群6dが、前記ブラシローラ6bからみて、前記像担持体1との接触位置よりも前記ブラシローラ6bの移動方向の下流側であって、かつ、前記潤滑剤成形物6aとの接触位置よりも前記ブラシローラ6bの移動方向の上流側に発生するような位置に、前記磁界発生部材6cが設けられていると、ブラシローラ6bにより削り取った潤滑剤成形物6aの微粉末6a′を無駄に振り落とすことなく、ブラシローラ6bにおける毛足(ブラシ繊維)6b1 に滞留したトナー11だけを振り落として、ブラシローラ6bをリフレッシュすることができ、そのために、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置6を提供することができる。
本発明における潤滑剤成形物6aの主成分である潤滑性物質には、一般的に使用される潤滑性物質に対して適用できる。特に、潤滑性に優れる固体潤滑剤のメラミンシアヌレート、ポリテトラフッ化エチレン、及び、窒化ホウ素、膜形成に優れる脂肪酸金属塩のステアリン酸亜鉛等が好ましい。潤滑剤成形物6aの製造方法としては、前述の潤滑性物質の粉末を汎用のプレス機により所定のプレス圧で圧縮成形することで製造される。また、前述の潤滑性物質のうち融点が比較的低温な物質(例えばステアリン酸亜鉛)の場合、潤滑性物質の溶融したものを型に流すことでも成形可能である。ここで圧縮成形により成形された潤滑剤成形物6aは、圧縮成形前の潤滑性物質の平均粒径を制御することで、ブラシローラ6bにより削り取られる潤滑剤の微粉化、均一化がなされ、像担持体1上への塗布量を安定することが可能となる点で好ましい。また、熱処理をしない冷間圧縮は環境負荷が小さく低コストで作製することができる。この潤滑剤成形物6aの形状は任意であるが、製造が容易である直方体の棒状にするのが好ましい。また、ブラシローラ6bが当接する面を凹凸形状にし、初期の潤滑剤成形物6aの削れ量を意図的に上げることもできる。
本発明におけるブラシローラ6bは、潤滑剤塗布装置6内において回転自在に備えられている。回転方向は特に規定しないが、例えば潤滑性物質を多く像担持体1上に供給したい場合は、像担持体1の回転方向に対して、ブラシローラ6bの回転方向は逆回転にするなど適宜選択することが可能である。また、ブラシローラ6bは、その毛足6b1 を像担持体1に対して、0.5〜1.0mm食い込むように接触させる。ブラシローラ6bの製造方法としては化学繊維を生布(基布)に植え込んで作ったパイルを芯金に螺旋状に巻きつけて作る方法や、前記化学繊維を接着剤で表面を覆われた芯金に直接植え込む方法などがある。前記化学繊維には、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、およびアクリルなどの熱可塑性の樹脂繊維が好ましい。特に、像担持体1を傷つけることなく像担持体1の表面に前記潤滑性物質を供給することが可能なポリエステル、及び、ナイロン製の繊維が好ましい。
本発明における磁界発生部材6cは、潤滑剤塗布装置6内に前述したように磁性粉末6d′の穂立ちした磁性粉末群6dが、前記ブラシローラ6bから見て、前記像担持体1との接触位置よりも前記ブラシローラ6bの移動方向の下流側であって、かつ前記潤滑剤成形物6aとの接触位置よりも前記ブラシローラ6bの移動方向の上流側に発生するように任意の位置に設置される。磁界発生部材6cとしては、一般的なフェライト磁石やネオジム磁石等の永久磁石を用いることができる。特に、ネオジム磁石が強い磁界を発生させることで、後述する磁性粉末群6dを強固に穂立ちできる点で好ましい。
次に、本発明における磁性粉末6d′は、前記磁界発生部材6cによる磁界で穂立ちした状態で潤滑剤塗布装置6内に存在する。前記磁性粉末6d′の体積平均粒径は、好ましくは、0.1〜100μm、さらに好ましくは、1〜50μmである。このように、前記磁性粉末6d′の体積平均粒径が0.1〜100μmであると、ブラシローラ6bにおける毛足(ブラシ繊維)6b1 の間に滞留したトナー11と磁性粉末6d′との衝突の確率を高めることができ、そのために、より確実にブラシローラ6bにおける毛足(ブラシ繊維)6b1 の間に滞留したトナー11等が磁性粉末群6dを通過する際に毛足(ブラシ繊維)6b1 の間から振り落とされ、よって、磁性粉末6d′の高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置6を提供することができる。また、磁性粉末6d′へのトナー11の付着を防ぎ、ブラシローラ6bへのダメージを抑制するために、磁性粉末6d′へフッ素樹脂、シリコン樹脂などの一般的な離型材料をコーティングして使用することも可能である。
本発明においては、前記長尺の磁性粉末受け6iは、前記磁界発生部材6cの磁極の向きと逆にされ、かつ、前記磁界発生部材6cの磁力よりも弱い永久磁石で構成される。このように、前記長尺の磁性粉末受け6iが、前記磁界発生部材6cの磁極の向きと逆にされ、かつ、前記磁界発生部材6cの磁力よりも弱い永久磁石で構成されていると、磁性粉末6d′が前記長尺の磁性粉末受け6iに確実に回収される。
本発明においては、前記磁界発生部材6cに磁界を断続的に発生させる手段が設けられている。前記電磁石に磁界を断続的に発生させる手段は、前記電磁石におけるコイルに通電する電流のON・OFFによって制御する制御手段である。このように、前記磁界発生部材に磁界を断続的に発生させる手段が設けられていると、ブラシローラ6bにおける毛足(ブラシ繊維)6b1 と磁性粉末群6dとの接触を最低限に抑えることができ、そのために、ブラシローラ6bによる潤滑剤の供給能力の低下を防ぐことができ、よって、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置6を提供することができる。
前記磁界を断続的に発生させる磁界発生部材6cの構成の一例について、ブラシローラ6bの軸に対して垂直に切った断面図である図5を用いて説明する。多数の毛足(ブラシ繊維)6b1 を有する基布をブラシスリーブ6b2 に巻き付け、前記ブラシスリーブ6b2 内にコイル6c2 を巻いた鉄芯6c1 からなる一般的な電磁石を磁界発生部材6cとして配置し、ブラシローラ6bと磁界発生部材6cを一体とした構成とする。ここで、磁界発生部材6cから発生する磁力線がブラシローラ6bの軸に対して垂直に伸びるようにコイルの巻き方向を調節する。ここで、磁界を断続的に発生させるには、コイルへの電流のON・OFFにより制御可能となる。
続いて、図4を用いて本発明である潤滑剤塗布装置6の動作とその効果を説明する。図4(a)に示されているように、磁界を発生させていない状態では、磁性粉末6d′はブラシローラ6bに接触しない位置において磁性粉末受け6iに静置されている。この状態では図のようにブラシローラ6bの毛足6b1 に徐々にトナー11が滞留していく。そこで、任意のタイミングで通電して磁界発生部材6cに磁界を発生させると、磁性粉末6d′が穂立ちし磁性粉末群6dとなり、回転するブラシローラ6bの毛足6b1 に接触することになる。この状態では、前述のブラシローラ6bの毛足6b1 に滞留したトナー11を振り落とす効果が得られる。本発明によれば、ブラシローラ6bが10回転程度動作すると、ほぼ完全にトナー11を振り落とすことができる。これは常に磁性粉末群6dをブラシローラ6bの毛足に接触させていると、ブラシローラ6bの毛先にダメージを受け、経時的に潤滑剤の供給能力が落ちることを抑えるための動作であり、例えば、通紙枚数500枚毎に磁界を一定時間発生させるなどの使用方法が可能である。つまり、磁界発生部材6cに磁界を断続的に発生させる手段を備えることで、ブラシローラ6bの毛足6b1 と磁性粉末群6dとの接触を最低限に抑えることになるので、ブラシローラ6bによる潤滑剤の供給能力の低下を防ぎ、高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下を抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置6を提供することができる。
図2,6に示されているように、本発明においては、弾性部材で構成される塗布ブレード6fは、前記ブラシローラ6bからみて、前記像担持体1の移動方向の下流側位置に設けられている。このように、弾性部材で構成される塗布ブレード6fが、前記ブラシローラ6bからみて、前記像担持体1の移動方向の下流側位置に設けられていると、クリーニング手段と潤滑剤塗布手段との機能が分離され、そのために、ブラシローラ6bで像担持体1上へ供給される潤滑剤の塗布がいっそう容易となり、そのために、磁性粉末6d′の高画像濃度の帯画像を連続して出力し続けた際にも、高画像濃度部の潤滑剤塗布量の低下をいっそう抑えることが可能となる潤滑剤塗布装置6を提供することができる。図2において、6gは、塗布ブレード6fの支持部材である。
図1,2に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ8は、像担持体1と、該像担持体1の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置6と、を少なくとも含んで一体に支持され、画像形成装置9の本体に着脱自在に固定されている。そして、本発明のプロセスカートリッジ8は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を有している。また、本発明のプロセスカートリッジ8においては、前記リーニング装置(リーニング手段)7を有していてもかまわない。前記リーニング装置(リーニング手段)7は、例えば、クリーニングブレード7aと、支持部材7bと、トナー回収コイル7cとで構成されている。図1,2において、8aは、像担持体1を回転自在に支持するカートリッジケースである。
このように、像担持体1と、該像担持体1の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置6と、該像担持体1の表面をクリーニングするクリーニング手段7とを少なくとも含んで一体に支持され、画像形成装置10の本体に着脱自在に固定されたプロセスカートリッジ8において、該潤滑剤塗布装置6が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置であると、それらの部品の交換作業等が容易になり、そのために、部品の交換時間を短縮することができる。
図2に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ8には、前記クリーニング手段7として、弾性部材で構成されるクリーニングブレード7aが設けられている。図2において、7bは、ブレード支持部材であり、7cは、トナー回収コイルである。このように、前記クリーニング手段7として、弾性部材で構成されるクリーニングブレード7aが設けられていると、像担持体1の表面に供給された潤滑剤の微粉が均一に塗布され易くなると共に、クリーニング部材のコストを最小限に抑えるプロセスカートリッジ8を提供することができる。
前記クリーニングブレード7aは、前記像担持体1の移動方向に対してカウンター方向に支持されている。このように、前記クリーニングブレード7aが、前記像担持体1の移動方向に対してカウンター方向に支持されていると、潤滑剤の塗布能力に優れ、像担持体1の表面に供給された潤滑剤成形物の微粉末6a′が均一に塗布され易くなると共に、クリーニング部材のコストを最小限に抑えるプロセスカートリッジ8を提供することができる。
本発明の画像形成装置9,10は、潜像を担持する像担持体1と、前記像担持体1を均一に帯電させる帯電装置(帯電手段)2と、前記像担持体1の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置3と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像して可視像を形成する現像装置(現像手段)4と、前記可視像を中間転写ベルト(転写部材)5bに転写する転写装置(転写手段)5と、前記像担持体1に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置6と、を少なくとも有している。そして、本発明の画像形成装置9,10は、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置6を有している。また、前記潤滑剤塗布装置6においては、前記像担持体1の表面に残存したトナー11を除去するクリーニング装置7を有していてもかまわない。このように、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置6を有していると、潤滑剤を像担持体1の表面に均一に塗布することにより該像担持体1に当接する部材との潤滑性を長期間にわたり向上させることができ、そのために、高画質画像を長期間形成可能な画像形成装置9,10を提供することができる。
前記潤滑剤塗布装置6は、前記転写装置5よりも前記像担持体1の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記帯電装置2よりも前記像担持体1の移動方向の上流側位置に配置されている。このように、前記潤滑剤塗布装置6が、前記転写装置5よりも前記像担持体1の移動方向の下流側位置であって、かつ、前記帯電装置2よりも前記像担持体1の移動方向の上流側位置に配置されていると、潤滑剤の塗布が他のプロセスに影響されずに行うことができ、そのために、像担持体1の表面に潤滑剤の微粉末6a′をいっそう長期間にわたり安定して均一に塗布することができ、よって、高画質画像をいっそう長期間形成可能な画像形成装置9,10を提供することができる。
また、本発明の画像形成装置は、好ましくは、請求項10〜12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジを有している。このように請求項10〜12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジを有していると、部品のメンテナンスや交換作業が容易になり、そのために、ランニングコストを最小限に抑えた画像形成装置9,10を提供することができる。
次ぎに、図1,2を用いて、本発明における画像形成装置9,10を詳しく説明する。画像形成装置9、10においては、像担持体(感光体)1は、回転可能に支持され、矢印方向に回転される。像担持体1の外周部には、電子写真方式に基づき、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、潤滑剤塗布装置6、クリーニング装置7が配備されている。像担持体1は、4個あるが、それぞれ周囲に設けられる画像形成用の部品構成は、同じであって、現像装置4が扱う色材(トナー)の色がそれぞれ異なるものとなっている。像担持体1は、一部が転写装置5の中間転写ベルト5bに接している。5aは転写ローラである。像担持体1は、直径が30から100mm程度の導電性支持体表面に光導電性物質である感光層を設けたものである。導電性支持体にはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の導電性金属が可能である。図1、2ではドラム状の像担持体1を用いているが、ベルト状の像担持体であってもかまわない。感光層は電荷発生材と電荷輸送材との機能が一体的に構成された単層型のものと、電荷発生層と電荷輸送層との2層構成となった機能分離型のものが採用可能である。一般的な機能分離型の像担持体1には、導電性支持体上に直接、又は、下引き層(中間層)を介して電荷発生層が設けられ、そして、この電荷発生層上に電荷輸送物質を含有する樹脂層(電荷輸送層)が設けられている。特に、機能分離型の積層像担持体を用いると感度設計の自由度が広がるので、像担持体1には機能分離型の積層像担持体が好ましい。
本発明の画像形成装置9に搭載される帯電装置2は、導電性芯金の周りに中抵抗の弾性層や樹脂層を被覆して構成される帯電ローラ2aや帯電ローラ2aを像担持体1に当接させるための図示しないスプリング等を備えている。帯電ローラ2aは図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧および交流電圧が印加される。また、この帯電ローラ2aは、両端部にスペーサー部材を設けると、このスペーサーが像担持体1と当接し、像担持体1と一定のギャップを持たせて配置することも可能となる。この帯電ローラ2aと像担持体1とが接している帯電ローラ2aの周囲には、帯電ローラ2aの表面に付着した異物を清掃する帯電クリーニングローラ2bが設けられている。これにより、帯電ローラ2aの長寿命化を実現することができる。
露光装置3は、公知のレーザー方式によって、カラー画像形成に対応した光情報を一様に帯電された像担持体1の表面に潜像として照射する。LEDアレイと結像手段から成る露光装置も採用可能である。
現像装置4は、像担持体1と対向する位置に、内部に磁界発生部材を備える現像スリーブ4aが配置されている。現像スリーブ4aの下方には図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブ4aへ汲み上げるための2つのスクリュー4bが備えられている。現像スリーブ4aによって汲み上げられるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、ドクターブレード4cによって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ4aに担持される。現像スリーブ4aは、像担持体1との対向位置において矢印の方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを像担持体1の潜像面に供給する。
転写装置5は、導電性芯金の周りに中抵抗の弾性層を被覆して構成される転写ローラ5a、基体の厚みが20〜600μmの樹脂フィルム、又は、ゴムを基体にした耐熱性かつトナーを静電的に転写可能とする抵抗値を持った中間転写ベルト5b等から構成されており、中間転写ベルト5bは矢印方向に移動可能であり、図示しないが回転ローラ、テンションローラ等を用いて支持、張架されている。またベルトループの内側には、転写ローラ5aが像担持体1の近傍に配備されている。ここでは、転写ローラ5aは高電圧を印加するローラタイプであるが、電極から放電するチャージャを採用することもできる。
クリーニング装置7は、クリーニング部材としてクリーニングブレード7a、前記クリーニングブレード7aを支持するためのブレード支持部材7b、及び、クリーニングされて余剰になったトナーや紙粉等を搬送しつつ回収するトナー回収コイル7cを備えている。ここで、クリーニングブレード7aは、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等の弾性部材で構成されるが、それらの中でも、ウレタンエラストマーは、耐磨耗性、高機械強度等の点から優れている。クリーニングブレード7aは、一般的には、遠心成形により弾性部材をシート状に成形した後、これをブレード形状にカットする。また、クリーニングブレード7aは、ブレード支持部材7bに貼着されて支持されている。前記ブレード支持部材7bは、好ましくは、金属、プラスチック及びセラミックから選ばれる材料で構成されるが、それらに限定されるものではない。機械強度の高いSUS等の鋼板、アルミニウム板、又は、リン青銅等の銅板を用いることもできる。このような材料で構成されるクリーニングブレード7aは、ブレード支持部材7bをスプリングにより加圧したり、クリーニング装置7のケースに固定したりすることで、弾性部材を撓ませることにより、所定の当接圧で像担持体1の表面に当接する。ここで、クリーニングブレード7aの当接条件であるカウンター方式及びトレーリング方式の定義を図7、8を用いて行う。図7にカウンター方式の代表例を示し、そして、図8にトレーリング方式の代表例を示す。図中の当接角:βで数値化すると、βが0°を越えて90°未満の場合をカウンター方式と呼び、βが90°を越えて180°未満の場合をトレーリング方式と呼ぶ。本発明を実施する場合は、画像形成装置9が動作し始めると、クリーニングブレード7aによる当接圧の上昇量の大きいカウンター方式の方がクリーニング性能が向上するという点で好ましい。また、同様の構成のクリーニング装置7を前述の転写装置5の特に中間転写ベルト5bに対しても配備することで、転写後の中間転写ベルト5b上に残存するトナーによる不具合を解消することができる。