JP2002322320A - ポリオレフィン系複合材料、その製造方法及び成型体 - Google Patents

ポリオレフィン系複合材料、その製造方法及び成型体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホスホリルコリン類似基含有重合体に基づく
生体適合性を有するとともに、ポリオレフィンの適度な
強度を著しく低下させることのない複合材料を提供す
る。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂100重量部に対
して、ホスホリルコリン類似基含有重合体5〜35重量
部を配合してなる生体適合性を有する複合材料であっ
て、前記のポリオレフィン系樹脂に対して、ホスホリル
コリン類似基含有重合体が1μm以下のドメインで分散
していて、かつ複合体の機械的強度が、ヤング率で30
MPa以上、破断伸び率が20%以上であることを特徴
とするポリオレフィン系複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医学材料、化粧品
用素材、塗料素材等に利用できる適度な強度と生体適合
性を併せ有するポリオレフィン系複合材料、その製造方
法および前記の材料を用いた成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の樹脂を生体材料として使用する場
合には、生体との適合性が必ずしも充分でなく、例え
ば、血液成分が血栓を生じてしまうなど問題がある。そ
の改善方法として、樹脂成分の表面に生体適合性を有す
る材料等を用いてコーテイングする方法が知られている
が、その場合においても、例えば親水性の物質が溶解す
るなどの点から長期の性能を維持することが困難であ
り、また溶解してしまう成分による好ましくない問題を
生じるなど更に改善が求められているのが現状である。
従来、ホスホリルコリン類似基含有重合体は、生体膜に
由来するリン脂質類似構造に起因して、血液適合性、補
体非活性化、生体物質非吸着性等の生体適合性に優れ、
非常に親水性が高く、高い保湿性等の優れた性質を有す
ることが知られており、それぞれの機能を生かした生体
関連材料の開発を目的とした重合体の合成及びその用途
に関する研究開発が活発に行われている(Kazuhi
ko Ishihara,et al.,Journa
l of BiomedicalMaterials
Research,24(1990)1069〜107
7,Kazuhiko Ishihara,et a
l.,Journal of Biomedical
Materials Research,25(199
1)1397〜1407)。
【0003】これらの研究開発の中でも、生体適合性の
良好なホスホリルコリン類似基含有重合体を機械的特性
に優れる他の重合体にブレンドして利用する技術が検討
されている。例えば、特表平7−504459号公報に
は、ホスホリルコリン類似基含有重合体と種々の重合体
とのブレンドに関する技術が開示されており、その中で
ホスホリルコリン類似基含有重合体とポリオレフィンを
それぞれ粉体状で混合しプレス成型することによりブレ
ンドを得る技術が開示されている。しかし、本来ホスホ
リルコリン類似基含有重合体は極性が非常に高いため、
極性の小さなポリオレフィンとのブレンドは困難であ
り、前記の製造技術では、重合体の分子レベルでの混合
が進行しないため、充分な力学的強度を有するブレンド
材料を得ることができないという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、ホスホリルコリン類似基含有重合体に基づく生体適
合性を有するとともに、ポリオレフィンの適度な強度を
著しく低下させることない複合材料を提供することにあ
る。また、本発明の第2の目的は、前記のホスホリルコ
リン類似基含有重合体とポリオレフィンとの複合材料の
製造方法を提供することにある。またさらに、本発明の
第3の目的は、前記の生体適合性を有するポリオレフィ
ン系複合材料を用いてなる物品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定のホスホリルコリ
ン類似基含有単量体とポリオレフィンとを特定の方法で
配合することにより、生体適合性に優れた、力学的強度
に優れた性質を維持する、複合材料が得られることの知
見を得て、本発明を完成するに至った。
【0006】〔1〕 ポリオレフィン系樹脂100重量
部に対して、ホスホリルコリン類似基含有重合体5〜3
5重量部を配合してなる生体適合性を有する複合材料で
あって、前記のポリオレフィン系樹脂に対して、ホスホ
リルコリン類似基含有重合体が1μm以下のドメインで
分散していて、かつ複合体の機械的強度が、ヤング率で
30MPa以上、破断までの伸び率が20%以上である
ことを特徴とするポリオレフィン系複合材料。
【0007】〔2〕 下記の式[1]
【0008】
【化4】
【0009】{式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは
炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原
子もしくはR5−O−(C=O)−(但しR5は炭素数1
〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシア
ルキル基を示す。)を示す。また、R1は水素原子もし
くはメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一もしくは
異なる基であって、水素原子または炭素数1〜6のアル
キル基またはヒドロキシアルキル基を示す。mは0〜2
0の整数を示す。nは1〜4の整数を示す。}で表され
るホスホリルコリン類似基含有単量体を1種または2種
以上含む単量体組成物を重合してなるホスホリルコリン
類似基含有重合体である前記の〔1〕のポリオレフィン
系複合材料。
【0010】〔3〕 下記の式[1]
【0011】
【化5】
【0012】{式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは
炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原
子もしくはR5−O−(C=O)−(但しR5は炭素数1
〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシア
ルキル基を示す)を示す。また、R1は水素原子もしく
はメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一もしくは異
なる基であって、水素原子または炭素数1〜6のアルキ
ル基またはヒドロキシアルキル基を示す。mは0〜20
の整数を示す。nは1〜4の整数を示す。}で表される
ホスホリルコリン類似基含有単量体を1種または2種以
上と、下記の式[2]
【0013】
【化6】
【0014】{式中、L1は、−C64−、−C6
10−、−(C=O)O−、−O−、−(C=O)NH
−、−O−(C=O)−、−O−(C=O)−O−から
選ばれる基を示し、L2は、水素原子、−(CH2)N−
3、−((CH2p−O)q−L3から選ばれる疎水性
官能基を示す。qは1〜24、pは3〜5までの整数を
示し、L3は、水素原子、メチル基、−C65、−O−
65から選ばれる官能基を示す。}で表される疎水性
単量体を1種または2種以上とを含む単量体組成物であ
る前記〔2〕のポリオレフィン系複合材料。
【0015】〔4〕 ホスホリルコリン類似基含有重合
体が、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−
2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートに
基づく構成単位を含有する前記の〔2〕または〔3〕の
ポリオレフィン系複合材料。
【0016】〔5〕 前記のポリオレフィン系複合材料
の製造方法であって、次の工程(1)〜(4)からなる
ことを特徴とするポリオレフィン系複合材料の製造方
法。 工程(1)ポリオレフィンを有機溶媒に溶解させる工
程、 工程(2)ホスホリルコリン類似基含有重合体を溶解さ
せる工程、 工程(3)前記工程(1)と工程(2)で得られたそれ
ぞれの溶液を混合する工程、 工程(4)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレ
フィン系複合材料を固体化する工程。
【0017】〔6〕 前記のポリオレフィン系複合材料
の製造方法であって、次の工程(1)および(2)から
なることを特徴とするポリオレフィン系複合材料の製造
方法。工程(1)ポリオレフィンとホスホリルコリン類
似基含有重合体とを有機溶媒に溶解させる工程、工程
(2)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレフィ
ン系複合材料を固体化する工程。
【0018】〔7〕 ホスホリルコリン類似基含有重合
体及びポリオレフィンを溶解させる有機溶媒が、低極性
有機溶媒とアルコールの混合液である前記〔6〕のポリ
オレフィン系複合材料の製造方法。
【0019】〔8〕 前記の〔5〕〜〔7〕の製造方法
により製造されたポリオレフィン系複合材料からなる物
品。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のオレフィン系複合体材料
は、ホスホリルコリン類似基含有重合体(以下、PC単
量体と略す。)とオレフィン系樹脂との配合物であっ
て、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ホス
ホリルコリン類似基含有重合体5〜35重量部を配合し
てなる生体適合性を有する複合材料である。かつ、前記
のポリオレフィン系樹脂に対して、ホスホリルコリン類
似基含有重合体が1μm以下のドメインで分散してい
て、かつ複合体の機械的強度が、ヤング率で30MPa
以上、破断伸び率が20%以上であることを特徴とする
ポリオレフィン系複合材料である。前記のホスホリルコ
リン類似基含有重合体(以下、PC重合体と略す。)
は、下記式[3]
【0021】
【化7】
【0022】で示されるホスホリルコリン類似基を側鎖
に有する重合体であり、特に下記式[1]
【0023】
【化8】
【0024】で示されるホスホリルコリン類似基含有単
量体(以下、PC単量体と略す。)に基づく構成単位を
重合体分子中に有するもので、その構成単位の量は、好
ましくは、10モル%〜100モル%、生体適合性の点
からより好ましくは、30モル%〜100モル%であ
る。前記のホスホリルコリン類似基含有単量体は1種ま
たは2種以上を用いてもよい。前記のPC重合体は、P
C単量体を含む単量体組成物を、通常のラジカル重合等
の方法によって容易に得られる。前記の単量体組成物に
は、ポリオレフィン樹脂との相溶性の点から、PC単量
体の他に重合可能な他の重合性単量体を含んでいてもよ
い。
【0025】さらに前記のPC重合体は、ホスホリルコ
リン類似基含有単量体と疎水性単量体を含む単量体組成
物を重合してなる重合体が樹脂との相溶性等の点からよ
り好ましい。
【0026】ここで、前記のPC単量体は、前記の式
[1]で示されるが、式中、Xは2価の有機残基を示し、
Yは炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水
素原子もしくはR5−O−(C=O)−(但しR5は炭素
数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキ
シアルキル基を示す。)を示す。また、R1は水素原子
もしくはメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一もし
くは異なる基であって、水素原子または炭素数1〜6の
アルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す。mは0
〜20の整数を示す。nは1〜4の整数を示す。
【0027】式[1]中のXの2価の有機残基としては例
えば、−C64−、−C610−、−(C=O)O−、
−O−、−CH2−O−、−(C=O)NH−、−O−
(C=O)−、−O−(C=O)−O−、−C64−O
−、−C64−CH2−O−、−C64−(C=O)−
O−等が挙げられる。式[1]中のYは、炭素数1〜6の
アルキレンオキシ基であり、例えば、メチルオキシ基、
エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、
ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0028】式[1]中のZは水素原子もしくはR5−O
−(C=O)−で表される有機残基であり、R5は、炭
素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のヒ
ドロキシアルキル基である。炭素数1〜10のアルキル
基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。炭素
数1〜10のヒドロキシアルキル基としては例えば、ヒ
ドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒド
ロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒ
ドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、5−ヒド
ロキシペンチル基、2−ヒドロキシペンチル基、6−ヒ
ドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシヘキシル基、7−
ヒドロキシヘプチル基、2−ヒドロキシヘプチル基、8
−ヒドロキシオクチル基、2−ヒドロキシオクチル基、
9−ヒドロキシノニル基、2−ヒドロキシノニル基、1
0−ヒドロキシデシル基、2−ヒドロキシデシル基等が
挙げられる。
【0029】PC単量体としては、具体的には例えば、
2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−
(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−
((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2’−(ト
リメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−((メ
タ)アクリロイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチル
アンモニオ)エチルホスフェート、5−((メタ)アク
リロイルオキシ)ペンチル−2’−(トリメチルアンモ
ニオ)エチルホスフェート、6−((メタ)アクリロイ
ルオキシ)ヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)
エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキ
シ)エチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホ
スフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチ
ル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェ
ート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−
2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、
2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−
(トリシクロヘキシルアンモニオ)エチルホスフェー
ト、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’
−(トリフェニルアンモニオ)エチルホスフェート、2
−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(ト
リメタノ−ルアンモニオ)エチルホスフェート、2−
((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2’−(ト
リメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メ
タ)アクリロイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチル
アンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アク
リロイルオキシ)ペンチル−2’−(トリメチルアンモ
ニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイ
ルオキシ)ヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)
エチルホスフェート、
【0030】2−(ビニルオキシ)エチル−2’−(ト
リメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アリ
ルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エ
チルホスフェート、2−(p−ビニルベンジルオキシ)
エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフ
ェート、2−(p−ビニルベンゾイルオキシ)エチル−
2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、
2−(スチリルオキシ)エチル−2’−(トリメチルア
ンモニオ)エチルホスフェート、2−(p−ビニルベン
ジル)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチル
ホスフェート、2−(ビニルオキシカルボニル)エチル
−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェー
ト、2−(アリルオキシカルボニル)エチル−2’−
(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−
(アクリロイルアミノ)エチル−2’−(トリメチルア
ンモニオ)エチルホスフェート、2−(ビニルカルボニ
ルアミノ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エ
チルホスフェート、エチル−(2’−トリメチルアンモ
ニオエチルホスホリルエチル)フマレート、ブチル−
(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチ
ル)フマレート、ヒドロキシエチル−(2’−トリメチ
ルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、エ
チル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリル
エチル)マレート、ブチル−(2’−トリメチルアンモ
ニオエチルホスホリルエチル)マレート、ヒドロキシエ
チル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリル
エチル)マレート等を挙げることができる。ここで
「(メタ)アクリロイルオキシ」は、「アクリロイルオ
キシ」および/または「メタクリロイルオキシ」を意味
する。
【0031】この中でも2−((メタ)アクリロイルオ
キシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチル
ホスフェートが好ましく、さらに2−(メタクリロイル
オキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチ
ルホスフェート(以下、MPCと略す。)が入手性及び
生体適合性を付与する点からより好ましい。
【0032】PC単量体を重合する際には、前記のPC
単量体1種を単独で、もしくは2種以上を混合物として
用いることができる。PC単量体は、公知の方法で製造
できる。例えば、特開昭54−63025号公報に示さ
れる水酸基含有重合性単量体と2−ブロムエチルホスホ
リルジクロリドとを3級塩基存在下で反応させて得られ
る化合物と3級アミンとを反応させる方法、特開昭58
−154591号公報に示される、水酸基含有重合性単
量体と環状リン化合物との反応で環状化合物を得た後、
3級アミン等で開環反応する方法等によって製造するこ
とができる。
【0033】前記の疎水性単量体は、式[2]
【0034】
【化9】
【0035】{式中、L1は、−C64−、−C6
10−、−(C=O)O−、−O−、−(C=O)NH
−、−O−(C=O)−、−O−(C=O)−O−から
選ばれる基を示し、L2は、水素原子、−(CH2)N−
3、−((CH2p−O)q−L3から選ばれる疎水性
官能基を示す。qは1〜24、pは3〜5までの整数を
示し、L3は、水素原子、メチル基、−C65、−O−
65から選ばれる官能基を示す。}で表される単量体
である。
【0036】疎水性単量体としては、具体的には例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1
〜20の直鎖または分岐のアルキル(メタ)アクリレー
ト;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数6
〜20の環状アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル
(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アク
リレート等の芳香族環含有(メタ)アクリレート;ポリ
プロピレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレート等のア
ルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート;スチレ
ン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレ
ン系単量体;メチルビニルエ−テル、ブチルビニルエ−
テル等のビニルエーテル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル等のビニルエステルが好ましく挙げられる。
【0037】疎水性単量体の中でも特に炭素数1〜18
のアルキル基の(メタ)アクリル酸エステルがより好ま
しく、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。
【0038】PC重合体を構成する単量体組成物には、
PC単量体と疎水性単量体以外の他の重合性単量体を混
合してもよい。他の重合性単量体としては具体的には例
えば、ポリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレー
ト、2−ビニルピロリドン2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、(メ
タ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシホス
ホン酸、アミノエチルメタクリレ−ト、ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモ
ニウムクロライド等が挙げられる。
【0039】前記の単量体を重合する開始剤としては、
通常のラジカル開始剤であれば特に限定されるものでは
ないが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル(AIBNと略す。)、アゾビスマレノニトリル、ベ
ンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジイ
ソプロピルペルオキシジカーボネート、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム等を挙げることができる。
【0040】PC重合体の重量平均分子量は、5,00
0〜2,000,000の範囲である事が望ましく、さ
らに好ましくは、20,000〜500,000の範囲
である。重量平均分子量が5,000未満であると水中
でポリオレフィン樹脂から容易に脱落する恐れがあるた
め複合材料の耐水性が劣ることになり、2,000,0
00を超えるとポリオレフィンとの相溶性が低くなりす
ぎるため均一に配合することが困難となりポリオレフィ
ンの力学的強度が極端に低下するので好ましくない。
【0041】本発明に使用するポリオレフィンは、エチ
レン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン等のオレフィ
ン系の重合性単量体を主成分とする重合体であり、具体
的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイ
ソブチレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共
重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げ
られる。この中でも機械的特性に優れたポリエチレン、
ポリプロピレンが特に好ましく挙げられる。ポリオレフ
ィンの分子量は、いずれでもよいが、相溶性、力学的強
度、成型性等の観点から、100〜1,000,000
の範囲、より好ましくは3,000〜500,000の
範囲のものが挙げられる。
【0042】本発明の複合材料の製造方法は、次の工程
(1)〜(4)からなることを特徴とするポリオレフィ
ン系複合材料の製造方法である。 工程(1)ポリオレフィンを有機溶媒に溶解させる工
程、 工程(2)ホスホリルコリン類似基含有重合体を溶解さ
せる工程、 工程(3)前記工程(1)と工程(2)で得られたそれ
ぞれの溶液を混合する工程、 工程(4)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレ
フィン系複合材料を固体化する工程。
【0043】また、前記の工程(1)〜(3)を行わ
ず、省略して溶解や混合を簡単に1段で行う、次の2工
程とする方がより好ましい。 工程(1)ポリオレフィンとホスホリルコリン類似基含
有重合体とを有機溶媒に溶解させる工程、 工程(2)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレ
フィン系複合材料を固体化する工程。
【0044】次に各工程についてさらに詳しく記載す
る。工程(1)のポリオレフィンを有機溶媒に溶解させ
る工程では、前記のポリオレフィンの樹脂の1種または
2種以上の樹脂を溶媒に溶解する。溶媒としては、低極
性有機溶媒、アルコール系溶媒が挙げられる。低極性有
機溶媒としては、具体的には例えば、キシレン、エチル
ベンゼン等の芳香族炭化水素類;低極性有機溶媒として
は、具体的には例えば、キシレン、エチルベンゼン等の
芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリン、エチル
シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジイソペンチル
エーテル、ジイソヘキシルエーテル等のエーテル類;ジ
イソブチルケトン、ジイソペンチルケトン等のケトン
類;イソアミルアセテート、イソペンチルプロピオネー
ト、イソブチルイソブチレート等のエステル類が挙げら
れる。アルコール系溶媒としては、具体的には例えば、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブチルアルコ
ール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オク
チルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコー
ル、シクロヘキサノール等の1官能のアルコール;エチ
レングリコール、1,3−ブタンジオール等の多官能の
アルコールが挙げられる。
【0045】次に工程(2)について記載する。ホスホ
リルコリン類似基含有重合体を溶解させる工程におい
て、使用する溶媒としては、アルコール系溶媒が挙げら
れる。アルコール系溶媒としては、具体的には例えば、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブチルアルコ
ール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オク
チルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコー
ル、シクロヘキサノール等の1官能のアルコール;エチ
レングリコール、1,3−ブタンジオール等の多官能の
アルコールが挙げられる。
【0046】工程(3)前記工程(1)と工程(2)で
得られたそれぞれの溶液を混合する。この工程では、場
合によっては、工程を省略して、例えば同一の有機溶剤
でPC重合体とポリオレフィンを同時に溶解できるもの
であればより好ましい。その溶媒としては、低極性有機
溶媒とアルコールを混合した溶剤が望ましい。溶液は、
よく混合して、ポリオレフィン樹脂成分とPC重合体と
を配合する。
【0047】工程(4)前記の混合液を、脱溶剤する工
程によりポリオレフィン系複合材料とする。PC重合体
とポリオレフィンを同時に有機溶剤に溶解させる工程が
最も重要であり、前記のようにそれぞれを別の溶媒で溶
解した後、配合してもよいし、最初から同一の混合溶媒
で両者を同時に溶解させてもよい。また、PC重合体と
ポリオレフィンを同時に有機溶剤に溶解させる工程に使
用する有機溶媒には、低極性有機溶媒及びアルコールの
他に混合可能な有機溶媒を混合してもよい。
【0048】PC重合体とポリオレフィンを有機溶剤に
溶解させる工程では、PC重合体とポリオレフィンを十
分に溶解させることができればいずれの温度で行っても
かまわないが、通常は60℃以上で溶解させることが望
ましく、より望ましくは80℃〜180℃の範囲であ
る。溶解させる工程が、60℃より低温であるとポリオ
レフィンを十分に溶解させることが困難であり不均一な
溶液となるか、溶解できたとしても長時間を必要とする
ため好ましくなく、180℃より高温であるとPC重合
体が劣化する場合があるので好ましくない。
【0049】本発明の複合材料は、ホスホリルコリン類
似基含有重合体及びポリオレフィンとの混合溶液から溶
媒を除去することにより複合材料を固体化させて、複合
材料を得る。その際には、いずれの方法を使用してもよ
いが、具体的には、例えば溶液から溶媒を蒸発させ複合
材料を固体化させてその後真空下でさらに脱溶媒する方
法、貧溶媒を混合することにより複合材料を沈殿固体化
させたのちさらに脱溶媒する方法等を使用することがで
きる。
【0050】前記方法などで得られた複合材料は、その
まま用いてもよいし、必要に応じて、未処理の樹脂で希
釈して用いてもよい。前記の複合材料は、いずれの方法
でも成型でき、具体的には例えば、プレス成型、押し出
し成型、射出成型、ロール成型等の方法により生体適合
性を有する成形体を得ることができる。
【0051】さらに、成型して得られた複合材料は、そ
のままで使用することもできるが、熱水や水蒸気で表面
を暴露させる処理により、極性の高いホスホリルコリン
類似基成分を表面に露出させることが、高い生体適合性
の発現のためにはより好ましい。
【0052】本発明の複合材料は、生体適合性を有する
ので、医療用具、化粧品、生化学関係の分析容器等の様
々な分野に使用可能であるが、その中でも生体適合性が
特に必要とされる医療用具に特に適する。本発明の複合
材料を成形してなる物品とは、具体的には例えば、人工
血管、カテーテル、透析器、コンタクトレンズ、血液フ
ィルター、ドラッグデリバリー担体、創傷被覆剤等が挙
げられる。
【0053】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系複合材料材料
は、ホスホリルコリン類似基含有重合体を含むので、生
体適合性を有する。またその粒径は、1μm以下の微ド
メインとなって、ポリオレフィン系中に分散されている
ので、ポリオレフィン系の樹脂の強度を著しく下げるこ
となく、優れた物性値を示す材料である。したがって、
生体適合性を要求される医療用具の材料として好適であ
る。また本発明のポリオレフィン系複合材料材料の製造
方法は、PC重合体およびポリオレフィンを溶媒に溶解
させて均一とするので、容易に材料を均一な材料を得る
ことができる。またさらに、本発明のポリオレフィン系
複合材料材料を成形してなる成形体は、蛋白質の付着が
ほとんどなく、生体適合性を有する材料として、医療用
具等に好適である。
【0054】
【実施例】以下、具体例に基づいて本発明をさらに詳し
く説明する。次に用いた分析方法を示す。 (1)PC重合体の分子量の分析方法 pH7.4のリン酸バッファーを溶離液とし、UV(2
10nm)及び屈折率を検出系としたゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)を使用し、ポリエチ
レングリコール標準試料を基準とし分子量を評価した。 (2)樹脂の配合状態に観察;目視で、成形した樹脂表
面を観察して、次の評価とした。○;殆ど均一でムラが
ない。×;局所的に白濁し、分離状態が認められる。 (3)タンパク質吸着抑制試験 ウシ血清アルブミン0.5重量%のリン酸緩衝液(以
下、PBSと略す。)10.0mLの入った試験管にフ
ィルム試料(10mm×10mm)を入れ、4℃で一晩
インキュベートした後、フィルムを取り出しPBSで3
回洗浄した。その後、ドデシル硫酸ナトリウムを添加し
たPBS10.0mLの入った試験管に入れ、フィルム
試料に吸着したタンパク質を溶出させ、このPBS中の
タンパク質の濃度を「マイクロBCAプロティンアッセ
イキット」(PIERCE社製)を使用して測定した。 (3)引っ張り試験 フィルム試料をダンベル型に切り出し、引っ張り試験を
行い、ヤング率と破断伸びを測定した。(JIS K7
161に準じて行った。) (4)PC重合体のドメイン径の測定 試料をRuO4処理した後、カーボン蒸着を行い、PC
重合体のドメインを染色した。その後、試料を液体窒素
中で破断し、その破断面走査型顕微鏡(機種;JSM−
5400、JOEL社製)で観察し染色されて白く浮き
出ているPC重合体分散相のドメイン径を写真により評
価した。
【0055】(5)複合材料表面の元素分析 X線光電分光計(XPSと略す。機種はESCA A−
200、SIENTA社製)を用いて、試料の膜の表面
の元素分析を行い、リン(P)のスペクトルよりPC重
合体に基づくリン元素がいずれの試料にも存在すること
を確認した。 (6)血小板粘着試験 作製した試料を用いて、24穴培養用プレートにセット
した。そこに生理的リン酸緩衝液(以下、PBSと略
す。)1.0mLを加えてインキュベートした。終了
後、PBSを除去しすることにより平衡化した。このプ
レートにウサギ多血小板血漿(以下、PRPと略す。)
1.0mLを加え、室温で3時間インキュベートした。
終了後、PRPを取り除き、1.5mLのPBSで3回
洗浄した。洗浄終了後、2.5vol%のグルタルアル
デヒドを含む1.5mLのPBSを加えて室温で2時間
インキュベートすることにより粘着して血小板を固定化
した。粘着した血小板は、金蒸着機(SC−701A
T、Quick Auto Coater SANYU
DENSHI Co.,Ltd.)を用いて金蒸着し
た。その後、試料を走査型電子顕微鏡(JSM−540
0 JOEL社製)で観察して20μm×20μmの視
野で粘着した血小板の数を計測した。評価を次のように
行って表に記載した。 ◎;血小板数0〜10個、 ○;血小板数11〜20、 ×;血小板数21以上。
【0056】合成例1 MPC;20.0gをエタノール;80gに溶解し4つ
口フラスコに入れ、30分間窒素を吹込んだ後、60℃
でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN);0.85
gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3Lのジエ
チルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を
濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、粉末18.
5gを得た。GPCにより評価した分子量は重量平均分
子量233,000であった。これをポリマー1(P−
1)とする。 ポリマー1;ポリMPC、重量平均分子量233,00
0。
【0057】合成例2 MPC;11.6g、BMA;8.4gをエタノール;
80gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を
吹込んだ後、50℃でアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN);0.85gを加えて8時間重合反応させた。
重合液を3Lのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下
し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を
行って、粉末15.8gを得た。GPCにより評価した
分子量は重量平均分子量225,000であった。これ
をポリマー2(P−2)とする。ポリマー2;MPC
0.4−BMA0.6、重量平均分子量225,00
0。
【0058】合成例3〜5 表1に示す配合組成等で前記の合成例と同様にしてMP
Cを重合して分子量の異なるものを得た(P−3〜P−
5)。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】実施例1 1.0gのポリマー1(P−1)を49.0gのエタノ
ールに溶解させ、溶液を調製した。PEペレット5.0
gをキシレン45.0gに加え、140℃まで加熱し溶
解させた後、これを80℃まで冷却した。この溶液に先
に調製したポリマー1のエタノール溶液を加え撹拌し、
ほぼ均一に混合したところで140℃のホットプレート
上のシャーレに流し溶媒を蒸発させ、その後24時間真
空乾燥を行い、膜状の複合材料を得た。得られた膜状の
複合材料を小片に刻んでその1.0gをステンレス板に
挟み、125℃に設定したホットプレスで5MPaにて
プレス成型を行い、複合材料からなるフィルムを得た。
得られたフィルムは、90℃の純水中に30分間浸漬し
た。前記の試験方法で、10mm×10mmに切り出し
たフィルムのタンパク吸着量を測定した。その結果を表
2に示す。また、前記の試験方法に従い、引っ張り試験
を行った。その結果を表2に示す。
【0061】実施例2 実施例1のポリマー1の代わりに合成例2のポリマー2
を用いた以外は、実施例1と同様にして複合材料の膜を
得て、試験した。その結果を表2に示す。
【0062】実施例3〜11 表2および3に示した配合組成に変更した以外は実施例
1と同様にして、複合材料のフイルムを得て、試験し
た。結果を表2および3に示す。
【0063】比較例1〜3 合成例3〜5のポリマー3〜5を用いて表4に示す配合
組成で実施例1と同様に配合し、複合材料を得た。前記
の試験方法により評価した結果を表4に示す。
【0064】比較例4 1.0gのポリマー1(P−1)及び5.0gのPEペ
レットをミルで粉砕し、それぞれの微粉末を調製した。
これらをミルで均一に混合した後、1.0gをステンレ
ス板に挟み、125℃に設定したホットプレスで5MP
aにてプレス成型を行い、複合材料からなるフィルムを
得た。得られたフィルムは、90℃の純水中に30分間
浸漬した。前記の試験方法で、10mm×10mmに切
り出したフィルムのタンパク吸着量を測定した。その結
果を表4に示す。また、前記の試験方法に従い、引っ張
り試験を行った。その結果を表4に示す。
【0065】比較例5 1.0gのポリマー2(P−2)を用いた以外は比較例
4と同様にして粉体混合してから複合材料からなるフィ
ルムを得た。得られたフィルムは、90℃の純水中に3
0分間浸漬した。前記と同様にして、タンパク吸着量を
測定した。その結果を表4に示す。また、前記の試験方
法に従い、引っ張り試験を行った。その結果を表4に示
す。
【0066】比較例6 PC重合体を配合しないで、基材のPEのみを用いて比
較例4と同様にして粉体混合してから複合材料からなる
フィルムを得た。得られたフィルムは、90℃の純水中
に30分間浸漬した。前記と同様にして、タンパク吸着
量を測定した。その結果を表4に示す。また、前記の試
験方法に従い、引っ張り試験を行った。その結果を表4
に示す。
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】以上の結果から、本発明の実施例1〜11
は、PC重合体のドメイン領域が小さく生体適合性およ
び機械的強度の点から優れているのに対して、比較例1
〜3ではPC重合体の配合量が多くて、生体適合性は優
れるが、強度において劣り、比較例4、5は、PC重合
体のドメイン領域が大きく生体適合性および機械的強度
の両方の点で劣り、PC重合体が配合されていない比較
例6では、機械的な強度が優れるが、タンパク付着抑制
効果や生体適合性に劣ることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CES C08L 43:02 //(C08L 23/00 A61L 15/01 43:02) Fターム(参考) 4C081 AA01 AA12 AB13 AC08 CA02 CC07 4F071 AA14 AA68 AF52 AH19 4J002 BB001 BB031 BB121 BB171 BQ002 GB00 GB01 GH01 4J100 AB02Q AB03Q AB07P AE03Q AE09P AL03Q AL04Q AL08Q AL09P AL39P AM21P BA07P BA32P BA67P BC43Q

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し
    て、ホスホリルコリン類似基含有重合体5〜35重量部
    を配合してなる生体適合性を有する複合材料であって、
    前記のポリオレフィン系樹脂に対して、ホスホリルコリ
    ン類似基含有重合体が1μm以下のドメインで分散して
    いて、かつ複合体の機械的強度が、ヤング率で30MP
    a以上、破断伸び率が20%以上であることを特徴とす
    るポリオレフィン系複合材料。
  2. 【請求項2】下記の式[1] 【化1】 {式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6
    のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子もしくはR
    5−O−(C=O)−(但しR5は炭素数1〜10のアル
    キル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示
    す。)を示す。また、R1は水素原子もしくはメチル基
    を示し、R2、R3及びR4は同一もしくは異なる基であ
    って、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基または
    ヒドロキシアルキル基を示す。mは0〜20の整数を示
    す。nは1〜4の整数を示す。}で表されるホスホリル
    コリン類似基含有単量体を1種または2種以上含む単量
    体組成物を重合してなるホスホリルコリン類似基含有重
    合体である請求項1記載のポリオレフィン系複合材料。
  3. 【請求項3】下記の式[1] 【化2】 {式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6
    のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子もしくはR
    5−O−(C=O)−(但しR5は炭素数1〜10のアル
    キル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示
    す。)を示す。また、R1は水素原子もしくはメチル基
    を示し、R2、R3及びR4は同一もしくは異なる基であ
    って、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基または
    ヒドロキシアルキル基を示す。mは0〜20の整数を示
    す。nは1〜4の整数を示す。}で表されるホスホリル
    コリン類似基含有単量体を1種または2種以上と、下記
    の式[2] 【化3】 {式中、L1は、−C64−、−C610−、−(C=
    O)O−、−O−、−(C=O)NH−、−O−(C=
    O)−、−O−(C=O)−O−から選ばれる基を示
    し、L2は、水素原子、−(CH2)N−L3、−((C
    2p−O)q−L3から選ばれる疎水性官能基を示す。
    qは1〜24、pは3〜5までの整数を示し、L3は、
    水素原子、メチル基、−C65、−O−C65から選ば
    れる官能基を示す。}で表される疎水性単量体を1種ま
    たは2種以上とを含む単量体組成物である請求項2記載
    のポリオレフィン系複合材料。
  4. 【請求項4】ホスホリルコリン類似基含有重合体が、2
    −((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(ト
    リメチルアンモニオ)エチルホスフェートに基づく構成
    単位を含有する請求項2または3記載のポリオレフィン
    系複合材料。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリ
    オレフィン系複合材料の製造方法であって、次の工程
    (1)〜(4)からなることを特徴とするポリオレフィ
    ン系複合材料の製造方法。 工程(1)ポリオレフィンを有機溶媒に溶解させる工
    程、 工程(2)ホスホリルコリン類似基含有重合体を溶解さ
    せる工程、 工程(3)前記工程(1)と工程(2)で得られたそれ
    ぞれの溶液を混合する工程、 工程(4)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレ
    フィン系複合材料を固体化する工程。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリ
    オレフィン系複合材料の製造方法であって、次の工程
    (1)および(2)からなることを特徴とするポリオレ
    フィン系複合材料の製造方法。 工程(1)ポリオレフィンとホスホリルコリン類似基含
    有重合体とを有機溶媒に溶解させる工程、 工程(2)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレ
    フィン系複合材料を固体化する工程。
  7. 【請求項7】ホスホリルコリン類似基含有重合体及びポ
    リオレフィンを溶解させる有機溶媒が、低極性有機溶媒
    とアルコールの混合液である請求項6記載のポリオレフ
    ィン系複合材料の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造
    方法により製造されたポリオレフィン系複合材料からな
    る物品。
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