JP4739573B2 - ポリオレフィン系複合材料、その製造方法及び成型体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医学材料、化粧品用素材、塗料素材等に利用できる適度な強度と生体適合性を併せ有するポリオレフィン系複合材料、その製造方法および前記の材料を用いた成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の樹脂を生体材料として使用する場合には、生体との適合性が必ずしも充分でなく、例えば、血液成分が血栓を生じてしまうなど問題がある。その改善方法として、樹脂成分の表面に生体適合性を有する材料等を用いてコーテイングする方法が知られているが、その場合においても、例えば親水性の物質が溶解するなどの点から長期の性能を維持することが困難であり、また溶解してしまう成分による好ましくない問題を生じるなど更に改善が求められているのが現状である。
従来、ホスホリルコリン類似基含有重合体は、生体膜に由来するリン脂質類似構造に起因して、血液適合性、補体非活性化、生体物質非吸着性等の生体適合性に優れ、非常に親水性が高く、高い保湿性等の優れた性質を有することが知られており、それぞれの機能を生かした生体関連材料の開発を目的とした重合体の合成及びその用途に関する研究開発が活発に行われている(Kazuhiko Ishihara,et al.,Journal of BiomedicalMaterials Research,24(1990)1069〜1077,Kazuhiko Ishihara,et al.,Journal of Biomedical Materials Research,25(1991)1397〜1407)。
【0003】
これらの研究開発の中でも、生体適合性の良好なホスホリルコリン類似基含有重合体を機械的特性に優れる他の重合体にブレンドして利用する技術が検討されている。例えば、特表平7−504459号公報には、ホスホリルコリン類似基含有重合体と種々の重合体とのブレンドに関する技術が開示されており、その中でホスホリルコリン類似基含有重合体とポリオレフィンをそれぞれ粉体状で混合しプレス成型することによりブレンドを得る技術が開示されている。しかし、本来ホスホリルコリン類似基含有重合体は極性が非常に高いため、極性の小さなポリオレフィンとのブレンドは困難であり、前記の製造技術では、重合体の分子レベルでの混合が進行しないため、充分な力学的強度を有するブレンド材料を得ることができないという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体に基づく生体適合性を有するとともに、ポリオレフィンの適度な強度を著しく低下させることない複合材料を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、前記の重合体とポリオレフィンとの複合材料の製造方法を提供することにある。
またさらに、本発明の第3の目的は、前記の生体適合性を有するポリオレフィン系複合材料を用いてなる物品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定のホスホリルコリン類似基含有単量体とポリオレフィンとを特定の方法で配合することにより、生体適合性に優れた、力学的強度に優れた性質を維持する、複合材料が得られることの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0006】
〔1〕ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体5〜35重量部を配合してなる生体適合性を有する複合材料であって、前記のポリオレフィン系樹脂に対して、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体が1μm以下のドメインで分散していて、かつ複合体の機械的強度が、ヤング率で30MPa以上、破断伸び率が20%以上であることを特徴とするポリオレフィン系複合材料。
【0016】
〔2〕前記のポリオレフィン系複合材料の製造方法であって、次の工程(1)〜(4)からなることを特徴とするポリオレフィン系複合材料の製造方法。
工程(1)ポリオレフィンを、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類からなる低極性有機溶媒に溶解させる工程、
工程(2)2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体をアルコール性溶媒に溶解させる工程、
工程(3)前記工程(1)と工程(2)で得られたそれぞれの溶液を混合する工程、
工程(4)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレフィン系複合材料を固体化する工程。
【0019】
〔3〕前記の〔2〕の製造方法により製造されたポリオレフィン系複合材料からなる物品。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン系複合体材料は、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体(以下、MPC重合体と略す。)とオレフィン系樹脂との配合物であって、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、MPC重合体5〜35重量部を配合してなる生体適合性を有する複合材料である。かつ、前記のポリオレフィン系樹脂に対して、MPC重合体が1μm以下のドメインで分散していて、かつ複合体の機械的強度が、ヤング率で30MPa以上、破断伸び率が20%以上であることを特徴とするポリオレフィン系複合材料である。
【0039】
前記のMPC重合体を重合する開始剤としては、通常のラジカル開始剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBNと略す。)、アゾビスマレノニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等を挙げることができる。
【0040】
MPC重合体の重量平均分子量は、5,000〜2,000,000の範囲である事が望ましく、さらに好ましくは、20,000〜500,000の範囲である。重量平均分子量が5,000未満であると水中でポリオレフィン樹脂から容易に脱落する恐れがあるため複合材料の耐水性が劣ることになり、2,000,000を超えるとポリオレフィンとの相溶性が低くなりすぎるため均一に配合することが困難となりポリオレフィンの力学的強度が極端に低下するので好ましくない。
【0041】
本発明に使用するポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン等のオレフィン系の重合性単量体を主成分とする重合体であり、具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。この中でも機械的特性に優れたポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましく挙げられる。ポリオレフィンの分子量は、いずれでもよいが、相溶性、力学的強度、成型性等の観点から、100〜1,000,000の範囲、より好ましくは3,000〜500,000の範囲のものが挙げられる。
【0042】
本発明の複合材料の製造方法は、次の工程(1)〜(4)からなることを特徴とするポリオレフィン系複合材料の製造方法である。
工程(1)ポリオレフィンを、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類からなる低極性有機溶媒に溶解させる工程、工程(2)MPC重合体をアルコール性溶媒に溶解させる工程、工程(3)前記工程(1)と工程(2)で得られたそれぞれの溶液を混合する工程、工程(4)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレフィン系複合材料を固体化する工程。
【0044】
次に各工程についてさらに詳しく記載する。
工程(1)の工程では、前記のポリオレフィンの樹脂の1種または2種以上の樹脂を溶媒に溶解する。溶媒は、低極性有機溶媒であり、具体的には例えば、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジイソペンチルエーテル、ジイソヘキシルエーテル等のエーテル類;ジイソブチルケトン、ジイソペンチルケトン等のケトン類;イソアミルアセテート、イソペンチルプロピオネート、イソブチルイソブチレート等のエステル類が挙げられる。
【0045】
次に工程(2)について記載する。MPC重合体を溶解させる工程において、使用する溶媒としては、アルコール系溶媒が挙げられる。アルコール系溶媒としては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、シクロヘキサノール等の1官能のアルコール;エチレングリコール、1,3−ブタンジオール等の多官能のアルコールが挙げられる。
【0046】
工程(3)前記工程(1)と工程(2)で得られたそれぞれの溶液を混合する。溶液は、よく混合して、ポリオレフィン樹脂成分とMPC重合体とを配合する。
【0047】
工程(4)前記の混合液を、脱溶剤する工程によりポリオレフィン系複合材料とする。MPC重合体とポリオレフィンを同時に有機溶剤に溶解させる工程が最も重要であり、前記のようにそれぞれを別の溶媒で溶解した後、配合する。
【0048】
MPC重合体とポリオレフィンを有機溶剤に溶解させる工程では、MPC重合体とポリオレフィンを十分に溶解させることができればいずれの温度で行ってもかまわないが、通常は60℃以上で溶解させることが望ましく、より望ましくは80℃〜180℃の範囲である。溶解させる工程が、60℃より低温であるとポリオレフィンを十分に溶解させることが困難であり不均一な溶液となるか、溶解できたとしても長時間を必要とするため好ましくなく、180℃より高温であるとMPC重合体が劣化する場合があるので好ましくない。
【0049】
本発明の複合材料は、MPC重合体及びポリオレフィンとの混合溶液から溶媒を除去することにより複合材料を固体化させて、複合材料を得る。その際には、いずれの方法を使用してもよいが、具体的には、例えば溶液から溶媒を蒸発させ複合材料を固体化させてその後真空下でさらに脱溶媒する方法、貧溶媒を混合することにより複合材料を沈殿固体化させたのちさらに脱溶媒する方法等を使用することができる。
【0050】
前記方法などで得られた複合材料は、そのまま用いてもよいし、必要に応じて、未処理の樹脂で希釈して用いてもよい。前記の複合材料は、いずれの方法でも成型でき、具体的には例えば、プレス成型、押し出し成型、射出成型、ロール成型等の方法により生体適合性を有する成形体を得ることができる。
【0051】
さらに、成型して得られた複合材料は、そのままで使用することもできるが、熱水や水蒸気で表面を暴露させる処理により、極性の高いMPC重合体成分を表面に露出させることが、高い生体適合性の発現のためにはより好ましい。
【0052】
本発明の複合材料は、生体適合性を有するので、医療用具、化粧品、生化学関係の分析容器等の様々な分野に使用可能であるが、その中でも生体適合性が特に必要とされる医療用具に特に適する。本発明の複合材料を成形してなる物品とは、具体的には例えば、人工血管、カテーテル、透析器、コンタクトレンズ、血液フィルター、ドラッグデリバリー担体、創傷被覆剤等が挙げられる。
【0053】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系複合材料は、MPC重合体を含むので、生体適合性を有する。またその粒径は、1μm以下の微ドメインとなって、ポリオレフィン系中に分散されているので、ポリオレフィン系の樹脂の強度を著しく下げることなく、優れた物性値を示す材料である。したがって、生体適合性を要求される医療用具の材料として好適である。また本発明のポリオレフィン系複合材料の製造方法は、MPC重合体およびポリオレフィンを溶媒に溶解させて均一とするので、容易に材料を均一な材料として得ることができる。またさらに、本発明のポリオレフィン系複合材料材料を成形してなる成形体は、蛋白質の付着がほとんどなく、生体適合性を有する材料として、医療用具等に好適である。
【0054】
【実施例】
以下、具体例に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。
次に用いた分析方法を示す。
(1)PC重合体の分子量の分析方法
pH7.4のリン酸バッファーを溶離液とし、UV(210nm)及び屈折率を検出系としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用し、ポリエチレングリコール標準試料を基準とし分子量を評価した。
(2)樹脂の配合状態に観察;目視で、成形した樹脂表面を観察して、次の評価とした。○;殆ど均一でムラがない。×;局所的に白濁し、分離状態が認められる。
(3)タンパク質吸着抑制試験
ウシ血清アルブミン0.5重量%のリン酸緩衝液(以下、PBSと略す。)10.0mLの入った試験管にフィルム試料(10mm×10mm)を入れ、4℃で一晩インキュベートした後、フィルムを取り出しPBSで3回洗浄した。その後、ドデシル硫酸ナトリウムを添加したPBS10.0mLの入った試験管に入れ、フィルム試料に吸着したタンパク質を溶出させ、このPBS中のタンパク質の濃度を「マイクロBCAプロティンアッセイキット」(PIERCE社製)を使用して測定した。
(3)引っ張り試験
フィルム試料をダンベル型に切り出し、引っ張り試験を行い、ヤング率と破断伸びを測定した。(JIS K7161に準じて行った。)
(4)PC重合体のドメイン径の測定
試料をRuO4処理した後、カーボン蒸着を行い、PC重合体のドメインを染色した。その後、試料を液体窒素中で破断し、その破断面走査型顕微鏡(機種;JSM−5400、JOEL社製)で観察し染色されて白く浮き出ているPC重合体分散相のドメイン径を写真により評価した。
【0055】
(5)複合材料表面の元素分析
X線光電分光計(XPSと略す。機種はESCA A−200、SIENTA社製)を用いて、試料の膜の表面の元素分析を行い、リン(P)のスペクトルよりPC重合体に基づくリン元素がいずれの試料にも存在することを確認した。
(6)血小板粘着試験
作製した試料を用いて、24穴培養用プレートにセットした。そこに生理的リン酸緩衝液(以下、PBSと略す。)1.0mLを加えてインキュベートした。終了後、PBSを除去しすることにより平衡化した。このプレートにウサギ多血小板血漿(以下、PRPと略す。)1.0mLを加え、室温で3時間インキュベートした。終了後、PRPを取り除き、1.5mLのPBSで3回洗浄した。洗浄終了後、2.5vol%のグルタルアルデヒドを含む1.5mLのPBSを加えて室温で2時間インキュベートすることにより粘着して血小板を固定化した。粘着した血小板は、金蒸着機(SC−701AT、Quick Auto Coater SANYU DENSHI Co.,Ltd.)を用いて金蒸着した。その後、試料を走査型電子顕微鏡(JSM−5400 JOEL社製)で観察して20μm×20μmの視野で粘着した血小板の数を計測した。
評価を次のように行って表に記載した。
◎;血小板数0〜10個、
○;血小板数11〜20、
×;血小板数21以上。
【0056】
合成例1
MPC;20.0gをエタノール;80gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹込んだ後、60℃でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN);0.85gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3Lのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、粉末18.5gを得た。GPCにより評価した分子量は重量平均分子量233,000であった。これをポリマー1(P−1)とする。
ポリマー1;ポリMPC、重量平均分子量233,000。
【0057】
合成例2
MPC;11.6g、BMA;8.4gをエタノール;80gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹込んだ後、50℃でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN);0.85gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3Lのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、粉末15.8gを得た。GPCにより評価した分子量は重量平均分子量225,000であった。これをポリマー2(P−2)とする。
ポリマー2;MPC0.4−BMA0.6、重量平均分子量225,000。
【0058】
合成例3〜5
表1に示す配合組成等で前記の合成例と同様にしてMPCを重合して分子量の異なるものを得た(P−3〜P−5)。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例1
1.0gのポリマー1(P−1)を49.0gのエタノールに溶解させ、溶液を調製した。PEペレット5.0gをキシレン45.0gに加え、140℃まで加熱し溶解させた後、これを80℃まで冷却した。この溶液に先に調製したポリマー1のエタノール溶液を加え撹拌し、ほぼ均一に混合したところで140℃のホットプレート上のシャーレに流し溶媒を蒸発させ、その後24時間真空乾燥を行い、膜状の複合材料を得た。得られた膜状の複合材料を小片に刻んでその1.0gをステンレス板に挟み、125℃に設定したホットプレスで5MPaにてプレス成型を行い、複合材料からなるフィルムを得た。得られたフィルムは、90℃の純水中に30分間浸漬した。
前記の試験方法で、10mm×10mmに切り出したフィルムのタンパク吸着量を測定した。その結果を表2に示す。また、前記の試験方法に従い、引っ張り試験を行った。その結果を表2に示す。
【0062】
実施例3〜11
表2および3に示した配合組成に変更した以外は実施例1と同様にして、複合材料のフイルムを得て、試験した。結果を表2および3に示す。
【0063】
比較例1〜3
合成例3〜5のポリマー3〜5を用いて表4に示す配合組成で実施例1と同様に配合し、複合材料を得た。前記の試験方法により評価した結果を表4に示す。
【0064】
比較例4
1.0gのポリマー1(P−1)及び5.0gのPEペレットをミルで粉砕し、それぞれの微粉末を調製した。これらをミルで均一に混合した後、1.0gをステンレス板に挟み、125℃に設定したホットプレスで5MPaにてプレス成型を行い、複合材料からなるフィルムを得た。得られたフィルムは、90℃の純水中に30分間浸漬した。
前記の試験方法で、10mm×10mmに切り出したフィルムのタンパク吸着量を測定した。その結果を表4に示す。また、前記の試験方法に従い、引っ張り試験を行った。その結果を表4に示す。
【0065】
比較例5
1.0gのポリマー2(P−2)を用いた以外は比較例4と同様にして粉体混合してから複合材料からなるフィルムを得た。得られたフィルムは、90℃の純水中に30分間浸漬した。
前記と同様にして、タンパク吸着量を測定した。その結果を表4に示す。また、前記の試験方法に従い、引っ張り試験を行った。その結果を表4に示す。
【0066】
比較例6
MPC重合体を配合しないで、基材のPEのみを用いて比較例4と同様にして粉体混合してから複合材料からなるフィルムを得た。得られたフィルムは、90℃の純水中に30分間浸漬した。前記と同様にして、タンパク吸着量を測定した。その結果を表4に示す。また、前記の試験方法に従い、引っ張り試験を行った。その結果を表4に示す。
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
以上の結果から、本発明の実施例1、3〜11は、MPC重合体のドメイン領域が小さく生体適合性および機械的強度の点から優れているのに対して、比較例1〜3ではMPC重合体の配合量が多くて、生体適合性は優れるが、強度において劣り、比較例4、5は、MPC重合体のドメイン領域が大きく生体適合性および機械的強度の両方の点で劣り、MPC重合体が配合されていない比較例6では、機械的な強度が優れるが、タンパク付着抑制効果や生体適合性に劣ることがわかる。
Claims (3)
- ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体5〜35重量部を配合してなる生体適合性を有する複合材料であって、前記のポリオレフィン系樹脂に対して、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体が1μm以下のドメインで分散していて、かつ複合体の機械的強度が、ヤング率で30MPa以上、破断伸び率が20%以上であることを特徴とするポリオレフィン系複合材料。
- 請求項1記載のポリオレフィン系複合材料の製造方法であって、次の工程(1)〜(4)からなることを特徴とするポリオレフィン系複合材料の製造方法。
工程(1)ポリオレフィンを、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類からなる低極性有機溶媒に溶解させる工程、
工程(2)2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを重合してなる重合体をアルコール性溶媒に溶解させる工程、
工程(3)前記工程(1)と工程(2)で得られたそれぞれの溶液を混合する工程、
工程(4)前記の混合液から、溶剤を除去してポリオレフィン系複合材料を固体化する工程。 - 請求項2記載の製造方法により製造されたポリオレフィン系複合材料からなる物品。
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