JPH06212078A - 抗血栓性ポリマ組成物およびその製造方法 - Google Patents
抗血栓性ポリマ組成物およびその製造方法Info
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- JPH06212078A JPH06212078A JP3305460A JP30546091A JPH06212078A JP H06212078 A JPH06212078 A JP H06212078A JP 3305460 A JP3305460 A JP 3305460A JP 30546091 A JP30546091 A JP 30546091A JP H06212078 A JPH06212078 A JP H06212078A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】
(1) 親水性モノマと疎水性モノマとを重合成分とした抗
血栓性ポリマを2種以上混合した組成物であって、該2
種以上の抗血栓性ポリマにおいて、疎水性モノマの含有
割合の最大値と最小値の差が5重量%以上であることを
特徴とする抗血栓性ポリマ組成物。 (2) モノマの供給速度を変えて重合するか、もしくは反
応性の異なる数種のモノマを用いて重合することによ
り、疎水性モノマの含有量の異なるポリマの混合組成物
を得ることを特徴とする抗血栓性ポリマ組成物の製造方
法。 【効果】コーティング基材、膜強度保持材等として用い
られる非抗血栓性材料との親和性に優れ、かつ抗血栓性
に優れた組成物を提供することができる。
血栓性ポリマを2種以上混合した組成物であって、該2
種以上の抗血栓性ポリマにおいて、疎水性モノマの含有
割合の最大値と最小値の差が5重量%以上であることを
特徴とする抗血栓性ポリマ組成物。 (2) モノマの供給速度を変えて重合するか、もしくは反
応性の異なる数種のモノマを用いて重合することによ
り、疎水性モノマの含有量の異なるポリマの混合組成物
を得ることを特徴とする抗血栓性ポリマ組成物の製造方
法。 【効果】コーティング基材、膜強度保持材等として用い
られる非抗血栓性材料との親和性に優れ、かつ抗血栓性
に優れた組成物を提供することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗血栓性に優れ、かつ
非抗血栓性材料との相溶性に優れたポリマ組成物および
その製造法に関する。本発明は医療用分野において好適
に利用される。
非抗血栓性材料との相溶性に優れたポリマ組成物および
その製造法に関する。本発明は医療用分野において好適
に利用される。
【0002】
【従来の技術】材料と血液が接触した場合に起こる不都
合な現象の一つに血栓形成がある。そのため抗血栓性材
料の開発が長年にわたって研究されている。抗血栓性材
料としてこれまでに、1)抗血液凝固剤であるヘパリン
を合成高分子にイオン結合もしくは共有結合させて、血
栓の形成を抑制させる材料(特開昭61−168365
号公報)、2)疎水性、親水性ドメインを同一分子内に
有するブロック共重合体、3)ポリエチレンオキサイド
鎖を表面に有する材料などが開発されている。
合な現象の一つに血栓形成がある。そのため抗血栓性材
料の開発が長年にわたって研究されている。抗血栓性材
料としてこれまでに、1)抗血液凝固剤であるヘパリン
を合成高分子にイオン結合もしくは共有結合させて、血
栓の形成を抑制させる材料(特開昭61−168365
号公報)、2)疎水性、親水性ドメインを同一分子内に
有するブロック共重合体、3)ポリエチレンオキサイド
鎖を表面に有する材料などが開発されている。
【0003】いずれの場合においても抗血栓性を発現さ
せるためには材料、もしくは成型体の血液接触表面に抗
血栓性発現機能を付与する事が重要であり、表面だけに
機能を付与する方法としていくつか実用化されている。
例えば表面への薄膜コーティングとして、前述の特開昭
61−168365公報、特開昭62−8760号公
報、特開昭61−228869号公報等多くの報告があ
り、カテーテルなどに実用化されている。しかし、中空
糸膜などの半透膜では透過性を損なう事なく血液接触面
にコーティングする技術が確立されていない。これは、
抗血栓性物質と基材との化学的結合がされていないまま
医療用具として用いた場合には溶出物が発生し使用でき
ない問題が生じることが原因の一つである。このため、
表面化学修飾により表面に抗血栓性機能を付与する方法
として、再生セルロースからなる高分子膜にポリエチレ
ングリコールカルボン酸無水物をエステル結合させる試
みもなされている(特開平1−297103号公報)。
この他、本発明者は抗血栓性物質で膜を作成する試みを
おこない、親水性のポリエチレンオキサイド鎖を含む共
重合体からなる選択透過性中空繊維を開示した(特開昭
60−22901号公報)。また、親水性のポリエチレ
ンオキサイド鎖を含むアクリロニトリル共重合体とアク
リロニトリルからなる半透膜は溶質透過性、抗血栓性に
優れていることを見い出した(特開昭63−13010
3号公報)。
せるためには材料、もしくは成型体の血液接触表面に抗
血栓性発現機能を付与する事が重要であり、表面だけに
機能を付与する方法としていくつか実用化されている。
例えば表面への薄膜コーティングとして、前述の特開昭
61−168365公報、特開昭62−8760号公
報、特開昭61−228869号公報等多くの報告があ
り、カテーテルなどに実用化されている。しかし、中空
糸膜などの半透膜では透過性を損なう事なく血液接触面
にコーティングする技術が確立されていない。これは、
抗血栓性物質と基材との化学的結合がされていないまま
医療用具として用いた場合には溶出物が発生し使用でき
ない問題が生じることが原因の一つである。このため、
表面化学修飾により表面に抗血栓性機能を付与する方法
として、再生セルロースからなる高分子膜にポリエチレ
ングリコールカルボン酸無水物をエステル結合させる試
みもなされている(特開平1−297103号公報)。
この他、本発明者は抗血栓性物質で膜を作成する試みを
おこない、親水性のポリエチレンオキサイド鎖を含む共
重合体からなる選択透過性中空繊維を開示した(特開昭
60−22901号公報)。また、親水性のポリエチレ
ンオキサイド鎖を含むアクリロニトリル共重合体とアク
リロニトリルからなる半透膜は溶質透過性、抗血栓性に
優れていることを見い出した(特開昭63−13010
3号公報)。
【0004】ところが、抗血栓性に優れるポリマと、非
抗血栓性材料とをブレンドしようとしても、相溶しない
場合が多く、均一な成形体を形成できない。我々は、鋭
意研究を進めた結果、抗血栓性を維持し、かつ非抗血栓
性材料との親和性に優れたポリマ組成物を発明するに至
った。
抗血栓性材料とをブレンドしようとしても、相溶しない
場合が多く、均一な成形体を形成できない。我々は、鋭
意研究を進めた結果、抗血栓性を維持し、かつ非抗血栓
性材料との親和性に優れたポリマ組成物を発明するに至
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コー
ティング基材、膜強度保持材等として用いられる非抗血
栓性材料との親和性に優れ、かつ抗血栓性に優れたポリ
マ組成物を提供することである。
ティング基材、膜強度保持材等として用いられる非抗血
栓性材料との親和性に優れ、かつ抗血栓性に優れたポリ
マ組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は下記の構成を有する。 「(1) 親水性成分と疎水性成分からなる抗血栓性ポリマ
を2種以上混合した組成物であって、該2種以上の抗血
栓性ポリマにおいて、疎水性成分の含有割合の最大値と
最小値の差が5重量%以上であることを特徴とする抗血
栓性ポリマ組成物。
めに、本発明は下記の構成を有する。 「(1) 親水性成分と疎水性成分からなる抗血栓性ポリマ
を2種以上混合した組成物であって、該2種以上の抗血
栓性ポリマにおいて、疎水性成分の含有割合の最大値と
最小値の差が5重量%以上であることを特徴とする抗血
栓性ポリマ組成物。
【0007】(2)親水性モノマと疎水性モノマの供給速
度を変えて重合することを特徴とする上記1または2項
記載の抗血栓性ポリマ組成物の製造方法。
度を変えて重合することを特徴とする上記1または2項
記載の抗血栓性ポリマ組成物の製造方法。
【0008】(3)反応性の異なる親水性モノマと疎水性
モノマとを重合することを特徴とする上記1または2項
記載の抗血栓性ポリマ組成物の製造方法。」 以下、本発明を詳細に説明する。
モノマとを重合することを特徴とする上記1または2項
記載の抗血栓性ポリマ組成物の製造方法。」 以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】抗血栓性とは、材料表面と血液が直接接触
した場合に起こる血栓形成を抑制する性質のことであ
り、血液と接触した後の材料表面上の血小板、白血球、
赤血球の量、変形状態を走査型電子顕微鏡観察(SE
M)で観察する評価方法はよく知られている。ガラス板
に対して、血小板の付着が少ないものが本発明での「抗
血栓性ポリマ」に該当する。ここでの基準ガラス板には
マツナミのカバーガラスを用いた。
した場合に起こる血栓形成を抑制する性質のことであ
り、血液と接触した後の材料表面上の血小板、白血球、
赤血球の量、変形状態を走査型電子顕微鏡観察(SE
M)で観察する評価方法はよく知られている。ガラス板
に対して、血小板の付着が少ないものが本発明での「抗
血栓性ポリマ」に該当する。ここでの基準ガラス板には
マツナミのカバーガラスを用いた。
【0010】本発明の抗血栓性ポリマは、親水性成分、
疎水性成分からなる抗血栓性ポリマであればよく、合成
高分子であっても、天然高分子であってもかまわない。
また、親水性成分および疎水性成分は、それぞれ単独成
分を用いても良いし、複数の成分を用いても良い。本発
明でいう疎水性成分とは、そのホモポリマにおいて25
℃の水に対する溶解度が50重量%未満のものが該当す
る。疎水性成分としては、例えば、エチレン、プロピレ
ン等のオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロ
ゲン化ビニル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエス
テル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステ
ル、ビニルケトン、マレイミド、スチレン、アクリロニ
トリル等の炭素−炭素二重結合を有する付加重合性化合
物、キチン、キトサン、セルロースなどの天然高分子が
挙げられる。本発明でいう親水性成分とは、そのホモポ
リマにおいて25℃の水に対する溶解度が50重量%以
上の性質を示すものが該当する。親水性成分としては、
例えば、ヘパリン、ビニルアルコール、ビニルピロリド
ン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のア
ルキレングリコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、
アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート等が該
当するが特にこれらのものに限定されるわけではない。
なお、親水性、疎水性の判断基準とするホモポリマはポ
リスチレン換算のGPC法による重量平均分子量が1万
の未架橋ポリマとする。
疎水性成分からなる抗血栓性ポリマであればよく、合成
高分子であっても、天然高分子であってもかまわない。
また、親水性成分および疎水性成分は、それぞれ単独成
分を用いても良いし、複数の成分を用いても良い。本発
明でいう疎水性成分とは、そのホモポリマにおいて25
℃の水に対する溶解度が50重量%未満のものが該当す
る。疎水性成分としては、例えば、エチレン、プロピレ
ン等のオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロ
ゲン化ビニル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエス
テル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステ
ル、ビニルケトン、マレイミド、スチレン、アクリロニ
トリル等の炭素−炭素二重結合を有する付加重合性化合
物、キチン、キトサン、セルロースなどの天然高分子が
挙げられる。本発明でいう親水性成分とは、そのホモポ
リマにおいて25℃の水に対する溶解度が50重量%以
上の性質を示すものが該当する。親水性成分としては、
例えば、ヘパリン、ビニルアルコール、ビニルピロリド
ン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のア
ルキレングリコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、
アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート等が該
当するが特にこれらのものに限定されるわけではない。
なお、親水性、疎水性の判断基準とするホモポリマはポ
リスチレン換算のGPC法による重量平均分子量が1万
の未架橋ポリマとする。
【0011】また、抗血栓性ポリマとしては、前述のと
おり親水性成分と疎水性成分からなり、抗血栓性を有し
ていればよいが、具体的な抗血栓性ポリマとしては、例
えば、ヘパリン−ポリ塩化ビニル、ヘパリン−ポリスチ
レン、ヘパリン−ポリメチルメタクリレート、ヘパリン
−ポリアクリロニトリル、ヘパリン−シリコーン、ヘパ
リン−セルロース、ポリヒドロキシメチルメタクリレー
ト−ポリ塩化ビニル、ポリヒドロキシメチルメタクリレ
ート−ポリスチレン、ポリビニルピロリドン−ポリ塩化
ビニル、ポリビニルピロリドン−ポリスチレン、ポリビ
ニルピロリドン−ポリメチルメタクリレート、ポリビニ
ルピロリドン−ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロ
リドン−シリコーン、ポリビニルピロリドン−セルロー
ス、ポリビニルピロリドン−ポリスルホン、ポリアルキ
レンオキサイド−ポリ塩化ビニル、ポリアルキレンオキ
サイド−ポリスチレン、ポリアルキレンオキサイド−ポ
リメチルメタクリレート、ポリアルキレンオキサイド−
ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキサイド−シ
リコーン、ポリアルキレンオキサイド−セルロースの組
み合わせなどがあり、優れた抗血栓性が得られるため好
ましい。
おり親水性成分と疎水性成分からなり、抗血栓性を有し
ていればよいが、具体的な抗血栓性ポリマとしては、例
えば、ヘパリン−ポリ塩化ビニル、ヘパリン−ポリスチ
レン、ヘパリン−ポリメチルメタクリレート、ヘパリン
−ポリアクリロニトリル、ヘパリン−シリコーン、ヘパ
リン−セルロース、ポリヒドロキシメチルメタクリレー
ト−ポリ塩化ビニル、ポリヒドロキシメチルメタクリレ
ート−ポリスチレン、ポリビニルピロリドン−ポリ塩化
ビニル、ポリビニルピロリドン−ポリスチレン、ポリビ
ニルピロリドン−ポリメチルメタクリレート、ポリビニ
ルピロリドン−ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロ
リドン−シリコーン、ポリビニルピロリドン−セルロー
ス、ポリビニルピロリドン−ポリスルホン、ポリアルキ
レンオキサイド−ポリ塩化ビニル、ポリアルキレンオキ
サイド−ポリスチレン、ポリアルキレンオキサイド−ポ
リメチルメタクリレート、ポリアルキレンオキサイド−
ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキサイド−シ
リコーン、ポリアルキレンオキサイド−セルロースの組
み合わせなどがあり、優れた抗血栓性が得られるため好
ましい。
【0012】親水性成分、疎水性成分からなる抗血栓性
ポリマの合成法としては、親水性モノマ、疎水性モノマ
を重合成分として、共重合させる方法と、セルロース等
の高分子もしくは合成高分子にポリマもしくはモノマを
反応させて合成する方法があるが、通常モノマを共重合
させる方法が簡単であるために好まれる。共重合方法に
ついては特に限定するものではなく、通常のラジカル開
始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイル
パーオキサイド等を用いて溶媒中で重合する方法は、簡
単であり、好ましく用いられる。
ポリマの合成法としては、親水性モノマ、疎水性モノマ
を重合成分として、共重合させる方法と、セルロース等
の高分子もしくは合成高分子にポリマもしくはモノマを
反応させて合成する方法があるが、通常モノマを共重合
させる方法が簡単であるために好まれる。共重合方法に
ついては特に限定するものではなく、通常のラジカル開
始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイル
パーオキサイド等を用いて溶媒中で重合する方法は、簡
単であり、好ましく用いられる。
【0013】親水性成分の中でもアルキレングリコール
は特に好ましく、さらにポリエチレンオキサイド単位
に、反応性の二重結合鎖を結合させたマクロモノマは抗
血栓性も高く、共重合体も容易に得られるため好んで用
いられる。
は特に好ましく、さらにポリエチレンオキサイド単位
に、反応性の二重結合鎖を結合させたマクロモノマは抗
血栓性も高く、共重合体も容易に得られるため好んで用
いられる。
【0014】本発明においては、特に、重合度5以上の
ポリエチレンオキサイド単位と重合性炭素−炭素二重結
合とを同一分子内に有するマクロモノマが好ましく用い
られ、このようなモノマとしては、例えば一般式(1)
ポリエチレンオキサイド単位と重合性炭素−炭素二重結
合とを同一分子内に有するマクロモノマが好ましく用い
られ、このようなモノマとしては、例えば一般式(1)
【0015】
【化1】 (ここで、n≧5、R1 はHまたはCH3 、R2 は水酸
基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはOCHφ
2 (φはフェニル基))であらわされるアクリル酸、ま
たはメタクリル酸エステル類、あるいは一般式(2)
基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはOCHφ
2 (φはフェニル基))であらわされるアクリル酸、ま
たはメタクリル酸エステル類、あるいは一般式(2)
【0016】
【化2】 (ここで、n≧5、R1 はHまたはCH3 )で表される
ビニル単量体である。
ビニル単量体である。
【0017】これらの付加重合性化合物の製法は公知で
あり、その重合性炭素−炭素二重結合により特別な装
置、手法を用いなくても、容易に重合でき、さらに他の
単量体あるいはマクロモノマとの共重合も可能であり、
ポリエチレンオキサイド単位を有する高分子組成物を効
率よく、また再現性よく形成することができる。特に式
(1)で示される成分は、入手も容易なことから好んで
用いられる。共重合体中のポリエチレンオキサイド含有
量は、たとえば元素分析、赤外線吸収スペクトル、核磁
気共鳴スペクトルなどの通常の手法により確認すること
ができる。
あり、その重合性炭素−炭素二重結合により特別な装
置、手法を用いなくても、容易に重合でき、さらに他の
単量体あるいはマクロモノマとの共重合も可能であり、
ポリエチレンオキサイド単位を有する高分子組成物を効
率よく、また再現性よく形成することができる。特に式
(1)で示される成分は、入手も容易なことから好んで
用いられる。共重合体中のポリエチレンオキサイド含有
量は、たとえば元素分析、赤外線吸収スペクトル、核磁
気共鳴スペクトルなどの通常の手法により確認すること
ができる。
【0018】本発明において「親水性成分と疎水性成分
からなる抗血栓性ポリマを2種以上混合した組成物」と
は、ポリマ中における疎水性成分の含有量が異なる2種
以上のポリマを混合してなる組成物であって、親水性成
分、疎水性成分を構成する化合物は同一であっても異な
っていてもよい。また、合成方法を工夫することによ
り、2種以上のポリマを別々に合成しなくても、一度の
合成で、2種以上の抗血栓性ポリマを混合してなる本発
明の組成物を得ることは可能であるが、疎水性成分の含
有割合の最大値と最小値の差が5重量%以上のポリマ
は、本発明の組成物に該当する。「疎水性成分の含有割
合の最大値と最小値の差が5重量%以上である」とは、
2種以上のポリマそれぞれにおける、疎水性成分の重量
含有割合を測定し、その含有割合のうち、最大値と最小
値との差が5重量%以上であることを意味する。ただ
し、混合するポリマにおいて疎水性成分の重量含有量の
差が1重量%以内のポリマの総重量が、混合後の全ポリ
マ組成物中の1重量%未満であるポリマについては、こ
こでいう最大値あるいは最小値とする対象ポリマには含
まれない。
からなる抗血栓性ポリマを2種以上混合した組成物」と
は、ポリマ中における疎水性成分の含有量が異なる2種
以上のポリマを混合してなる組成物であって、親水性成
分、疎水性成分を構成する化合物は同一であっても異な
っていてもよい。また、合成方法を工夫することによ
り、2種以上のポリマを別々に合成しなくても、一度の
合成で、2種以上の抗血栓性ポリマを混合してなる本発
明の組成物を得ることは可能であるが、疎水性成分の含
有割合の最大値と最小値の差が5重量%以上のポリマ
は、本発明の組成物に該当する。「疎水性成分の含有割
合の最大値と最小値の差が5重量%以上である」とは、
2種以上のポリマそれぞれにおける、疎水性成分の重量
含有割合を測定し、その含有割合のうち、最大値と最小
値との差が5重量%以上であることを意味する。ただ
し、混合するポリマにおいて疎水性成分の重量含有量の
差が1重量%以内のポリマの総重量が、混合後の全ポリ
マ組成物中の1重量%未満であるポリマについては、こ
こでいう最大値あるいは最小値とする対象ポリマには含
まれない。
【0019】本発明においては、例えば、非抗血栓性の
疎水性材料表面に本発明の組成物をコーティングする場
合、混合物中の疎水性成分の含有量が高いポリマを選択
的に疎水性表面に濃縮し、逆に、親水性成分の含有量が
高いポリマをコーティング後の表面に濃縮させることが
可能である。抗血栓性を発現させるためには親水性成分
の含有量が比較的高い方が好ましく、また、疎水性表面
との接着性に優れるには、疎水性成分の含有量が高い方
が好ましいため、本発明の組成物を用いることにより、
基材との接着性に優れ、かつ、所望の抗血栓性が発現す
るだけの親水性成分を表面に含有した材料を作成するこ
とが可能である。
疎水性材料表面に本発明の組成物をコーティングする場
合、混合物中の疎水性成分の含有量が高いポリマを選択
的に疎水性表面に濃縮し、逆に、親水性成分の含有量が
高いポリマをコーティング後の表面に濃縮させることが
可能である。抗血栓性を発現させるためには親水性成分
の含有量が比較的高い方が好ましく、また、疎水性表面
との接着性に優れるには、疎水性成分の含有量が高い方
が好ましいため、本発明の組成物を用いることにより、
基材との接着性に優れ、かつ、所望の抗血栓性が発現す
るだけの親水性成分を表面に含有した材料を作成するこ
とが可能である。
【0020】さらに、疎水性の非抗血栓性材料とブレン
ドして成形する場合において、従来の疎水性成分の含有
割合に差のない抗血栓性ポリマを用いた場合、抗血栓性
ポリマ中にブレンドするポリマと同一の成分が含まれる
場合であっても相溶しない場合が多く、また、両者を溶
媒に溶かして使用する場合でも相分離する場合が多く、
このような状態では均一な成形体を形成できなかった。
ところが、上記のとおり、本発明の5重量%以上の疎水
性成分の含有量差を有する組成物を用いることにより、
平均的な親水性成分量は同じであっても、疎水性成分の
含有量差を適宜選択することができるので、抗血栓性ポ
リマ組成物中の疎水性成分の含有量が高いポリマと非抗
血栓性材料との親和性が高まり、相溶もしくは半相溶し
た状態で安定した成形体、混合溶液を形成することが可
能である。中でも、非抗血栓性材料と本発明の抗血栓性
ポリマ組成物において、疎水性成分が同じ場合には、相
溶性が特に優れるため、安定にかつ抗血栓性に優れた膜
が得られる。
ドして成形する場合において、従来の疎水性成分の含有
割合に差のない抗血栓性ポリマを用いた場合、抗血栓性
ポリマ中にブレンドするポリマと同一の成分が含まれる
場合であっても相溶しない場合が多く、また、両者を溶
媒に溶かして使用する場合でも相分離する場合が多く、
このような状態では均一な成形体を形成できなかった。
ところが、上記のとおり、本発明の5重量%以上の疎水
性成分の含有量差を有する組成物を用いることにより、
平均的な親水性成分量は同じであっても、疎水性成分の
含有量差を適宜選択することができるので、抗血栓性ポ
リマ組成物中の疎水性成分の含有量が高いポリマと非抗
血栓性材料との親和性が高まり、相溶もしくは半相溶し
た状態で安定した成形体、混合溶液を形成することが可
能である。中でも、非抗血栓性材料と本発明の抗血栓性
ポリマ組成物において、疎水性成分が同じ場合には、相
溶性が特に優れるため、安定にかつ抗血栓性に優れた膜
が得られる。
【0021】本発明の組成物は、疎水性成分の含有量が
異なるポリマを単に2種類混合した混合物でもよいが、
混合するポリマの組成が離れすぎると組成物内での相溶
性が悪くなるため、できるだけ多くの組成を混合するこ
とが好ましく、さらには疎水性成分の含有量は連続的に
異なっていることが好ましい。
異なるポリマを単に2種類混合した混合物でもよいが、
混合するポリマの組成が離れすぎると組成物内での相溶
性が悪くなるため、できるだけ多くの組成を混合するこ
とが好ましく、さらには疎水性成分の含有量は連続的に
異なっていることが好ましい。
【0022】このように疎水性成分の含有量差を有する
本発明の抗血栓性ポリマ組成物は、非抗血栓性材料と親
和性の高い組成と抗血栓性をより高く発現する親水性の
高い組成を合わせ持つため、抗血栓性を維持し、かつ非
抗血栓性材料との親和性に優れたポリマ組成物である。
中でも、少なくとも一部に疎水性成分の含有量が50重
量%以上である抗血栓性ポリマを含んでいることが、非
抗血栓性材料との親和性に優れるため好ましい。さらに
は、少なくとも一部に疎水性成分の含有量が70重量%
以上であるポリマを含んでいることがより好ましい。
本発明の抗血栓性ポリマ組成物は、非抗血栓性材料と親
和性の高い組成と抗血栓性をより高く発現する親水性の
高い組成を合わせ持つため、抗血栓性を維持し、かつ非
抗血栓性材料との親和性に優れたポリマ組成物である。
中でも、少なくとも一部に疎水性成分の含有量が50重
量%以上である抗血栓性ポリマを含んでいることが、非
抗血栓性材料との親和性に優れるため好ましい。さらに
は、少なくとも一部に疎水性成分の含有量が70重量%
以上であるポリマを含んでいることがより好ましい。
【0023】ポリマの混合物は組成の異なる数種のポリ
マを混合することにより得ることができるが、モノマの
供給速度を変えて重合するか、もしくはモノマの反応性
の差を利用することにより、簡便に組成分布を持つ混合
物が得られる。次にその方法について説明する。
マを混合することにより得ることができるが、モノマの
供給速度を変えて重合するか、もしくはモノマの反応性
の差を利用することにより、簡便に組成分布を持つ混合
物が得られる。次にその方法について説明する。
【0024】まず、モノマの供給速度を変えて重合する
方法とは、モノマの少なくとも一成分を重合液中に連続
もしくは断続的に供給することによって重合する方法で
ある。例えば、A,B2成分からなる共重合ポリマを得
る場合にはA成分だけ最初に重合液中に仕込んで、後に
B成分を連続もしくは断続的に供給するする方法が挙げ
られる。また、A、B両成分を共に連続供給する場合で
も両者の供給速度を適当に変えることにより目的の共重
合ポリマ組成物が得られる。
方法とは、モノマの少なくとも一成分を重合液中に連続
もしくは断続的に供給することによって重合する方法で
ある。例えば、A,B2成分からなる共重合ポリマを得
る場合にはA成分だけ最初に重合液中に仕込んで、後に
B成分を連続もしくは断続的に供給するする方法が挙げ
られる。また、A、B両成分を共に連続供給する場合で
も両者の供給速度を適当に変えることにより目的の共重
合ポリマ組成物が得られる。
【0025】また、共重合成分の反応性が違う場合に
は、重合中にモノマを供給しなくても、組成分布をもた
せることは可能である。各成分のモノマが共重合ポリマ
になることにより消費される速度を、各成分の反応速度
とすると、AがBより2倍速い系においては重合初期に
はBの2倍の組成を有する共重合ポリマが得られるが全
体の重合率が100%付近ではAのモノマが殆ど残って
いないため、Bのホモポリマに近いものが得られる。
は、重合中にモノマを供給しなくても、組成分布をもた
せることは可能である。各成分のモノマが共重合ポリマ
になることにより消費される速度を、各成分の反応速度
とすると、AがBより2倍速い系においては重合初期に
はBの2倍の組成を有する共重合ポリマが得られるが全
体の重合率が100%付近ではAのモノマが殆ど残って
いないため、Bのホモポリマに近いものが得られる。
【0026】これらの反応生成物の組成は、各モノマの
反応性より共重合の理論計算によって算出することもで
きるし、反応中の反応液から経時的に生成ポリマを抽出
し、元素分析、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴スペ
クトルなどの通常の手法により経時的に得られたポリマ
組成を分析することによっても確認することができる。
また、反応中に反応液中の未反応モノマをガスクロマト
グラフィー、高速液体クロマトグラフィーによって定量
し、これより重合した量を計算することによって、経時
的に得られるポリマの組成を確認することもできる。
反応性より共重合の理論計算によって算出することもで
きるし、反応中の反応液から経時的に生成ポリマを抽出
し、元素分析、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴スペ
クトルなどの通常の手法により経時的に得られたポリマ
組成を分析することによっても確認することができる。
また、反応中に反応液中の未反応モノマをガスクロマト
グラフィー、高速液体クロマトグラフィーによって定量
し、これより重合した量を計算することによって、経時
的に得られるポリマの組成を確認することもできる。
【0027】抗血栓性ポリマ組成物の成形は注形重合に
よる成形、溶融成形、溶媒キャストまたはディッピング
法などのほかに各種合成樹脂、たとえば軟質ポリ塩化ビ
ニル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサンなどとの
ブレンド、その表面へのコーティングなど、性質、形状
に応じて適宜選択される。
よる成形、溶融成形、溶媒キャストまたはディッピング
法などのほかに各種合成樹脂、たとえば軟質ポリ塩化ビ
ニル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサンなどとの
ブレンド、その表面へのコーティングなど、性質、形状
に応じて適宜選択される。
【0028】溶媒に溶解して用いる場合の溶媒として
は、ポリマ組成物を溶解しうる溶媒は、すべて使用可能
であり、たとえばジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリド
ンなどが好ましく用いられる。またこれらの混合溶媒な
どを使用することも可能である。
は、ポリマ組成物を溶解しうる溶媒は、すべて使用可能
であり、たとえばジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリド
ンなどが好ましく用いられる。またこれらの混合溶媒な
どを使用することも可能である。
【0029】これらの溶媒に溶解した共重合体は塗布お
よび製膜することによって使用することができる。これ
らの成形方法は、公知の方法を用いて行うことができ
る。たとえば平膜の場合においては、温度および湿度の
コントロールされた雰囲気下で、ガラス板上に該製膜原
液を流延し、市販のアプリケータなどで、必要な膜厚に
製膜した後、凝固浴中に浸漬し、凝固脱溶媒を行って、
目標の膜を得ることができる。
よび製膜することによって使用することができる。これ
らの成形方法は、公知の方法を用いて行うことができ
る。たとえば平膜の場合においては、温度および湿度の
コントロールされた雰囲気下で、ガラス板上に該製膜原
液を流延し、市販のアプリケータなどで、必要な膜厚に
製膜した後、凝固浴中に浸漬し、凝固脱溶媒を行って、
目標の膜を得ることができる。
【0030】抗血栓性材料と強度保持材等の疎水性の非
抗血栓性材料と混合して併用した場合、成形条件を工夫
することにより、抗血栓性材料の分布を不均一にし、血
液接触面にこの抗血栓性成分を凝集させることが可能で
あるが、疎水性成分の含有割合が5重量%未満のポリマ
組成物では、通常は抗血栓性材料と非抗血栓性材料は非
相溶であるため、両相の相分離が激しく成形できなくな
る。それに対して、本発明のポリマ組成物は、疎水性成
分含有量の平均値が同じ場合は、疎水性材料との相溶性
に優れるため、安定にかつ抗血栓性に優れた膜が得られ
る。
抗血栓性材料と混合して併用した場合、成形条件を工夫
することにより、抗血栓性材料の分布を不均一にし、血
液接触面にこの抗血栓性成分を凝集させることが可能で
あるが、疎水性成分の含有割合が5重量%未満のポリマ
組成物では、通常は抗血栓性材料と非抗血栓性材料は非
相溶であるため、両相の相分離が激しく成形できなくな
る。それに対して、本発明のポリマ組成物は、疎水性成
分含有量の平均値が同じ場合は、疎水性材料との相溶性
に優れるため、安定にかつ抗血栓性に優れた膜が得られ
る。
【0031】このような、生体成分非付着性の材料は前
述したような理由で、特に血液や体液あるいは生体組織
と直接接触する医療材料として、有用に用いられること
ができ、たとえば創傷保護材、人工腎臓あるいは人工肺
などの膜材料、薬剤の固定化あるいは徐放化基材、ある
いは血液適合性を要求される各種カテーテル、カニュー
ラ、血管留置針、血液保存容器、血液ポンピングチャン
バーなどとして特に優れた性能を発揮するものである。
述したような理由で、特に血液や体液あるいは生体組織
と直接接触する医療材料として、有用に用いられること
ができ、たとえば創傷保護材、人工腎臓あるいは人工肺
などの膜材料、薬剤の固定化あるいは徐放化基材、ある
いは血液適合性を要求される各種カテーテル、カニュー
ラ、血管留置針、血液保存容器、血液ポンピングチャン
バーなどとして特に優れた性能を発揮するものである。
【0032】以下、実施例によってさらに詳しく説明す
るが、本発明はこれら実施例により限定されるものでは
ない。
るが、本発明はこれら実施例により限定されるものでは
ない。
【0033】
実施例1 メトキシポリエチレングリコールメタクリレート”M9
00G”(エチレンオキサイド部分の平均重合度90、
重量平均分子量4060、新中村化学工業(株)製、以
下M900Gと略記)48.5重量部をジメチルスルホ
キシド(以下DMSOと略記)343重量部に溶解した
後、アクリロニトリル(以下ANと略記)113重量部
と2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル(以下ADVNと略記)0.248重量部を加えて、
窒素雰囲気下の密閉容器内で41℃、48時間の条件に
てラジカル重合を行った。重合後4リットルのメタノー
ル中で残留モノマを抽出し、これを6回繰り返した後に
30℃で48時間真空状態で乾燥させて、抗血栓性ポリ
マ組成物を得た。
00G”(エチレンオキサイド部分の平均重合度90、
重量平均分子量4060、新中村化学工業(株)製、以
下M900Gと略記)48.5重量部をジメチルスルホ
キシド(以下DMSOと略記)343重量部に溶解した
後、アクリロニトリル(以下ANと略記)113重量部
と2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル(以下ADVNと略記)0.248重量部を加えて、
窒素雰囲気下の密閉容器内で41℃、48時間の条件に
てラジカル重合を行った。重合後4リットルのメタノー
ル中で残留モノマを抽出し、これを6回繰り返した後に
30℃で48時間真空状態で乾燥させて、抗血栓性ポリ
マ組成物を得た。
【0034】本実施例における重合では、100%に近
い反応率まで重合を行うため、仕込みモノマの組成と重
合終了時の全ポリマの平均組成が同じになる。この組成
物では炭素、水素、窒素の元素分析によって平均のM9
00G含有量が30重量%であることが確かめられた。
重合中に経時的に得られたポリマを元素分析し、また、
高速液体クロマトグラフィーによって、重合中の各モノ
マの反応性を測定するとにより、重合開始直後には、低
濃度のAN成分を含むポリマが生成し、重合終了直前に
は高濃度のAN成分を含むポリマが生成していることを
確認した。組成物全体でのAN成分の含有割合は、50
重量%〜95重量%に分布していた。
い反応率まで重合を行うため、仕込みモノマの組成と重
合終了時の全ポリマの平均組成が同じになる。この組成
物では炭素、水素、窒素の元素分析によって平均のM9
00G含有量が30重量%であることが確かめられた。
重合中に経時的に得られたポリマを元素分析し、また、
高速液体クロマトグラフィーによって、重合中の各モノ
マの反応性を測定するとにより、重合開始直後には、低
濃度のAN成分を含むポリマが生成し、重合終了直前に
は高濃度のAN成分を含むポリマが生成していることを
確認した。組成物全体でのAN成分の含有割合は、50
重量%〜95重量%に分布していた。
【0035】この共重合体10重量部と、公知の方法に
よってAN100重量部をDMSO中で重合したポリス
チレン換算のGPC法による重量平均分子量が60万の
ポリアクリロニトリル6.6重量部とDMSO94重量
部とを混合し、90℃で8時間撹拌し溶解した。撹拌後
の状態は肉眼で透明であり、この温度(90℃)で20
時間保存しておいてもムラは発生せず、透明な状態が保
たれていた。
よってAN100重量部をDMSO中で重合したポリス
チレン換算のGPC法による重量平均分子量が60万の
ポリアクリロニトリル6.6重量部とDMSO94重量
部とを混合し、90℃で8時間撹拌し溶解した。撹拌後
の状態は肉眼で透明であり、この温度(90℃)で20
時間保存しておいてもムラは発生せず、透明な状態が保
たれていた。
【0036】またこの組成物の抗血栓性は次の方法で確
かめられた。
かめられた。
【0037】ポリマ溶液を厚さ100μmのスペーサを
張り付けたガラス板に滴下し、ステンレス棒で平膜状に
延伸した。溶媒が蒸発する前に水中にこのガラス板を入
れ多孔質膜を形成した。生成した多孔質フィルムは十分
に水洗を行った。多孔質膜は半透明の状態ではあるが、
肉眼で観察できる1mm以上のムラはなかった。
張り付けたガラス板に滴下し、ステンレス棒で平膜状に
延伸した。溶媒が蒸発する前に水中にこのガラス板を入
れ多孔質膜を形成した。生成した多孔質フィルムは十分
に水洗を行った。多孔質膜は半透明の状態ではあるが、
肉眼で観察できる1mm以上のムラはなかった。
【0038】この多孔質膜を兎富血小板血漿(PRP)
に37℃、3時間浸漬し、膜表面に付着した血小板量を
走査型電子顕微鏡で観察した。その表面の顕微鏡写真を
図1に示した。ここでPRPは兎頚動脈から注射器を用
いて採血し、直ちに血液の1/9容積の3.8%クエン
酸ナトリウム溶液の入ったシリコン処理を施した試験管
に移し、800回転/分で8分間遠沈させることによっ
て得られたも血小板数が40万個/μlのものを用い
た。
に37℃、3時間浸漬し、膜表面に付着した血小板量を
走査型電子顕微鏡で観察した。その表面の顕微鏡写真を
図1に示した。ここでPRPは兎頚動脈から注射器を用
いて採血し、直ちに血液の1/9容積の3.8%クエン
酸ナトリウム溶液の入ったシリコン処理を施した試験管
に移し、800回転/分で8分間遠沈させることによっ
て得られたも血小板数が40万個/μlのものを用い
た。
【0039】比較例1 実施例1において、多孔質膜の代わりに、ガラス板を用
いる以外は、同様にして、ガラス表面に付着した血小板
量を走査型電子顕微鏡で観察し、その顕微鏡写真を図2
に示した。実施例1においては、膜の血小板付着量は著
しく少ないことがわかる。
いる以外は、同様にして、ガラス表面に付着した血小板
量を走査型電子顕微鏡で観察し、その顕微鏡写真を図2
に示した。実施例1においては、膜の血小板付着量は著
しく少ないことがわかる。
【0040】比較例2 組成の均一な共重合ポリマの合成を行い、比較を行っ
た。M900G27重量部をDMSO838重量部に溶
解した後、AN143重量部とADVN 0.3重量部
を加えて窒素雰囲気下の密閉容器内で41℃、4時間の
条件にてラジカル重合を行った。重合後4リットルの水
中で再沈し、その後残留モノマ成分を4リットルのメタ
ノールで5回抽出した後に30℃で48時間真空状態で
乾燥させて、抗血栓性ポリマ組成物を得た。
た。M900G27重量部をDMSO838重量部に溶
解した後、AN143重量部とADVN 0.3重量部
を加えて窒素雰囲気下の密閉容器内で41℃、4時間の
条件にてラジカル重合を行った。重合後4リットルの水
中で再沈し、その後残留モノマ成分を4リットルのメタ
ノールで5回抽出した後に30℃で48時間真空状態で
乾燥させて、抗血栓性ポリマ組成物を得た。
【0041】この方法は重合開始後まもなく重合を停止
させるため、反応性の異なるポリマであっても、実施例
1に対してより均一な組成のポリマが得られる。この組
成物も炭素、水素、窒素の元素分析によって平均のM9
00G含有量が30重量%であることが確かめられた。
また、実施例1と同様に元素分析、高速液体クロマトグ
ラフィーによって、PAN成分含有割合の差が5重量%
以下であるポリマの混合物からなる組成物が合成されて
いることを確認した。
させるため、反応性の異なるポリマであっても、実施例
1に対してより均一な組成のポリマが得られる。この組
成物も炭素、水素、窒素の元素分析によって平均のM9
00G含有量が30重量%であることが確かめられた。
また、実施例1と同様に元素分析、高速液体クロマトグ
ラフィーによって、PAN成分含有割合の差が5重量%
以下であるポリマの混合物からなる組成物が合成されて
いることを確認した。
【0042】この共重合体10重量部と、公知の方法に
よってANをDMSO中で重合したポリアクリロニトリ
ル6.6重量部とDMSO94重量部とを混合し、90
℃で8時間撹拌し溶解した。撹拌後の状態は肉眼でも相
分離のムラが認められ、この温度(90℃)で20時間
保存しておいて再度観察したところムラの大きさが大き
くなっており、相分離を起こしていた。また、この液を
実施例1と同じ方法で製膜した膜には、1mmから5m
m程度の透明度の異なるムラがあり、このムラの境界で
容易に破れてしまった。
よってANをDMSO中で重合したポリアクリロニトリ
ル6.6重量部とDMSO94重量部とを混合し、90
℃で8時間撹拌し溶解した。撹拌後の状態は肉眼でも相
分離のムラが認められ、この温度(90℃)で20時間
保存しておいて再度観察したところムラの大きさが大き
くなっており、相分離を起こしていた。また、この液を
実施例1と同じ方法で製膜した膜には、1mmから5m
m程度の透明度の異なるムラがあり、このムラの境界で
容易に破れてしまった。
【0043】
【発明の効果】本発明により、コーティング基材、膜強
度保持材等として用いられる非抗血栓性材料との親和性
に優れ、かつ抗血栓性に優れたポリマ組成物を提供する
ことができた。
度保持材等として用いられる非抗血栓性材料との親和性
に優れ、かつ抗血栓性に優れたポリマ組成物を提供する
ことができた。
【図1】実施例1において得られた膜表面の兎富血小板
血漿の電子顕微鏡写真を示す。
血漿の電子顕微鏡写真を示す。
【図2】比較例1において得られた膜表面の兎富血小板
血漿の電子顕微鏡写真を示す。
血漿の電子顕微鏡写真を示す。
Claims (4)
- 【請求項1】親水性成分と疎水性成分からなる抗血栓性
ポリマを2種以上混合した組成物であって、該2種以上
の抗血栓性ポリマにおいて、疎水性成分の含有割合の最
大値と最小値の差が5重量%以上であることを特徴とす
る抗血栓性ポリマ組成物。 - 【請求項2】抗血栓性成分ポリマの構成成分モノマとし
て、重合度5以上のポリアルキレンオキサイド単位と重
合性炭素−炭素二重結合とを同一分子内に有するモノマ
が含まれることを特徴とする請求項1記載の抗血栓性ポ
リマ組成物。 - 【請求項3】親水性モノマと疎水性モノマの供給速度を
変えて重合することを特徴とする請求項1または2記載
の抗血栓性ポリマ組成物の製造方法。 - 【請求項4】反応性の異なる親水性モノマと疎水性モノ
マとを重合することを特徴とする請求項1または2記載
の抗血栓性ポリマ組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03305460A JP3077329B2 (ja) | 1991-10-23 | 1991-10-23 | 抗血栓性ポリマ組成物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03305460A JP3077329B2 (ja) | 1991-10-23 | 1991-10-23 | 抗血栓性ポリマ組成物およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06212078A true JPH06212078A (ja) | 1994-08-02 |
JP3077329B2 JP3077329B2 (ja) | 2000-08-14 |
Family
ID=17945415
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03305460A Expired - Fee Related JP3077329B2 (ja) | 1991-10-23 | 1991-10-23 | 抗血栓性ポリマ組成物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3077329B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003515110A (ja) * | 1999-11-17 | 2003-04-22 | ヘモジュス ゲーエムベーハー | 血液適合性ポリマー表面 |
JP2006124714A (ja) * | 1992-09-29 | 2006-05-18 | Toray Ind Inc | 耐汚染性材料および耐汚染性半透膜 |
WO2014046158A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | 東洋紡株式会社 | 医療用ペレット状組成物及び成形体 |
-
1991
- 1991-10-23 JP JP03305460A patent/JP3077329B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006124714A (ja) * | 1992-09-29 | 2006-05-18 | Toray Ind Inc | 耐汚染性材料および耐汚染性半透膜 |
JP2003515110A (ja) * | 1999-11-17 | 2003-04-22 | ヘモジュス ゲーエムベーハー | 血液適合性ポリマー表面 |
JP4837215B2 (ja) * | 1999-11-17 | 2011-12-14 | イェナフィン ゲーエムベーハー | 血液適合性ポリマー表面 |
WO2014046158A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | 東洋紡株式会社 | 医療用ペレット状組成物及び成形体 |
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---|---|
JP3077329B2 (ja) | 2000-08-14 |
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---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |