JP2002313672A - 積層型セラミック電子部品およびその製造方法ならびにセラミックペーストおよびその製造方法 - Google Patents

積層型セラミック電子部品およびその製造方法ならびにセラミックペーストおよびその製造方法

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JP2002313672A
JP2002313672A JP2001115050A JP2001115050A JP2002313672A JP 2002313672 A JP2002313672 A JP 2002313672A JP 2001115050 A JP2001115050 A JP 2001115050A JP 2001115050 A JP2001115050 A JP 2001115050A JP 2002313672 A JP2002313672 A JP 2002313672A
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ceramic
ceramic green
green sheet
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paste
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Hiroshi Suzuki
宏始 鈴木
Satoru Tanaka
覚 田中
Makoto Miyazaki
信 宮崎
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 たとえば積層セラミックコンデンサを製造す
るために用いるセラミックグリーンシートの薄層化が進
むほど、静電気が及ぼす影響が相対的に強くなり、支持
体から剥離する際に剥離ミスが生じたり、剥離後に折れ
曲がりが生じたりして、セラミックグリーンシートに破
損がもたらされることがある。 【解決手段】 内部電極1の厚みによる段差を実質的に
なくすためにセラミックグリーンシート2の主面上に段
差吸収用セラミックグリーン層5を形成するようにし、
この段差吸収用セラミックグリーン層5の形成のため
に、セラミック粉末、有機溶剤および有機バインダに加
えて、帯電防止剤を含む、セラミックペーストを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、積層型セラミッ
ク電子部品およびその製造方法ならびにセラミックペー
ストおよびその製造方法に関するもので、特に、セラミ
ック層間に形成される内部回路要素膜の厚みに起因する
段差を吸収するために内部回路要素膜パターンのネガテ
ィブパターンをもって形成された段差吸収用セラミック
層を備える、積層型セラミック電子部品およびその製造
方法、ならびに、段差吸収用セラミック層を形成するの
に有利に用いられるセラミックペーストおよびその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば積層セラミックコンデンサのよ
うな積層型セラミック電子部品を製造しようとすると
き、複数のセラミックグリーンシートが用意され、これ
らセラミックグリーンシートが積み重ねられる。特定の
セラミックグリーンシート上には、得ようとする積層型
セラミック電子部品の機能に応じて、コンデンサ、抵
抗、インダクタ、バリスタ、フィルタ等を構成するため
の導体膜、抵抗体膜のような内部回路要素膜が形成され
ている。
【0003】近年、移動体通信機器をはじめとする電子
機器は、小型化かつ軽量化が進み、このような電子機器
において、たとえば積層型セラミック電子部品が回路素
子として用いられる場合、このような積層型セラミック
電子部品に対しても、小型化および軽量化が強く要求さ
れるようになっている。たとえば、積層セラミックコン
デンサの場合には、小型化かつ大容量化の要求が高まっ
ている。
【0004】積層セラミックコンデンサを製造しようと
する場合、典型的には、誘電体セラミック粉末、有機バ
インダ、可塑剤および有機溶剤を混合してセラミックス
ラリーを作製し、このセラミックスラリーを、剥離剤と
してのシリコーン樹脂等によってコーティングされた、
たとえばポリエステルフィルムのような支持体上で、ド
クターブレード法等を適用して、たとえば厚さ数10μ
mのシート状となるように成形することによって、セラ
ミックグリーンシートが作製され、次いで、このセラミ
ックグリーンシートが乾燥される。
【0005】次に、上述したセラミックグリーンシート
の主面上に、互いに間隔を隔てた複数のパターンをもっ
て、導電性ペーストをスクリーン印刷によって付与し、
これを乾燥することにより、内部回路要素膜としての内
部電極がセラミックグリーンシート上に形成される。図
7には、上述のように複数箇所に分布して内部電極1が
形成されたセラミックグリーンシート2の一部が平面図
で示されている。
【0006】次に、セラミックグリーンシート2が支持
体から剥離され、適当な大きさに切断された後、図6に
一部を示すように、所定の枚数だけ積み重ねられ、さら
に、この積み重ねの上下に内部電極を形成していないセ
ラミックグリーンシートが所定の枚数だけ積み重ねられ
ることによって、生の積層体3が作製される。
【0007】この生の積層体3は、積層方向にプレスさ
れた後、図8に示すように、個々の積層セラミックコン
デンサのための積層体チップ4となるべき大きさに切断
され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程に付
され、最終的に外部電極が形成されることによって、積
層セラミックコンデンサが完成される。
【0008】このような積層セラミックコンデンサにお
いて、その小型化かつ大容量化に対する要求を満足させ
るためには、セラミックグリーンシート2および内部電
極1の積層数の増大およびセラミックグリーンシート2
の薄層化を図ることが必要となってくる。
【0009】しかしながら、上述のような多層化および
薄層化が進めば進むほど、内部電極1の各厚みの累積の
結果、内部電極1が位置する部分とそうでない部分との
間、あるいは、内部電極1が積層方向に比較的多数配列
されている部分とそうでない部分との間での厚みの差が
より顕著になり、たとえば、図8に示すように、得られ
た積層体チップ4の外観に関しては、その一方主面が凸
状となるような変形が生じてしまう。
【0010】積層体チップ4において図8に示すような
変形が生じていると、内部電極1が位置していない部分
あるいは比較的少数の内部電極1しか積層方向に配列さ
れていない部分においては、プレス工程の際に比較的大
きな歪みがもたらされており、また、セラミックグリー
ンシート2間の密着性が劣っているため、焼成時に引き
起こされる内部ストレスによって、デラミネーションや
微小クラック等の構造欠陥が発生しやすい。
【0011】また、図8に示すような積層体チップ4の
変形は、内部電極1を不所望に変形させる結果を招き、
これによって、ショート不良が生じることがある。
【0012】このような不都合は、積層セラミックコン
デンサの信頼性を低下させる原因となっている。
【0013】上述のような問題を解決するため、たとえ
ば、図2に示すように、セラミックグリーンシート2上
の内部電極1が形成されていない領域に、段差吸収用セ
ラミックグリーン層5を形成し、この段差吸収用セラミ
ックグリーン層5によって、セラミックグリーンシート
2上での内部電極1の厚みによる段差を実質的になくす
ことが、たとえば、特開昭56−94719号公報、特
開平3−74820号公報、特開平9−106925号
公報等に記載されている。
【0014】上述のように、段差吸収用セラミックグリ
ーン層5を形成することによって、図1に一部を示すよ
うに、生の積層体3aを作製したとき、内部電極1が位
置する部分とそうでない部分との間、あるいは内部電極
1が積層方向に比較的多数配列されている部分とそうで
ない部分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、
図3に示すように、得られた積層体チップ4aにおい
て、図8に示すような不所望な変形が生じにくくなる。
【0015】その結果、前述したようなデラミネーショ
ンや微小クラック等の構造欠陥および内部電極1の変形
によるショート不良といった問題を生じにくくすること
ができ、得られた積層セラミックコンデンサの信頼性を
高めることができる。
【0016】また、前述したように、セラミックグリー
ンシート2は、たとえばポリエステルフィルムのような
支持体(図示せず。)上で成形され、積み重ねにあたっ
ては、支持体から剥離されなければならないが、積層セ
ラミックコンデンサの小型化かつ大容量化を進めるため
にセラミックグリーンシート2の薄層化が進むほど、そ
の強度が低下し、セラミックグリーンシート2を良好な
状態で支持体から剥離しにくくなる。
【0017】上述のような状況において、段差吸収用セ
ラミックグリーン層5の形成は、セラミックグリーンシ
ート2の補強を図り、支持体からのセラミックグリーン
シート2の剥離をより容易にするという作用も期待でき
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セラミ
ックグリーンシート2の薄層化が進むほど、静電気が及
ぼす影響が相対的に強くなり、セラミックグリーンシー
ト2での帯電による影響を無視できなくなる。そのた
め、セラミックグリーンシート2を支持体から剥離する
際に剥離ミスが生じたり、剥離後のセラミックグリーン
シート2の折れ曲がりが生じたりして、セラミックグリ
ーンシート2に破損がもたらされることがある。この問
題は、厚み3μm以下の薄いセラミックグリーンシート
2において、特に顕著に生じる。
【0019】また、別の課題として、上述した段差吸収
用セラミックグリーン層5は、セラミックグリーンシー
ト2の場合と同様の組成を有し、誘電体セラミック粉
末、有機バインダ、可塑剤および有機溶剤を含むセラミ
ックペーストを付与することによって形成されるが、た
とえば厚み2μm以下といった内部電極1と同程度の厚
みを有するように、段差吸収用セラミックグリーン層5
を高精度に印刷等によって形成するためには、セラッミ
クペースト中におけるセラミック粉末の分散性を優れた
ものとしなければならない。
【0020】これに関連して、たとえば特開平3−74
820号公報では、セラミックペーストを得るため、3
本ロールによる分散処理が開示されているが、このよう
な単なる3本ロールによる分散処理では、上述したよう
な優れた分散性を得ることが困難である。
【0021】他方、特開平9−106925号公報で
は、セラミックグリーンシート2のためのセラミックス
ラリーを、誘電体セラミック粉末と有機バインダと低沸
点の第1の有機溶剤とを混合することにより作製し、こ
れをセラミックグリーンシート2の成形のために用いる
とともに、このセラミックスラリーに対して、上述の第
1の有機溶剤の沸点より高沸点の第2の有機溶剤を加え
て混合した後、加熱し、低沸点の第1の有機溶剤を高沸
点の第2の有機溶剤に置換することにより、段差吸収用
セラミックグリーン層5のためのセラミックペーストを
作製することが記載されている。
【0022】したがって、上述したようにして得られた
セラミックペーストにおいては、少なくとも2回の混合
工程が実施されるので、セラミック粉末の分散性はある
程度改善されるが、これらの混合工程では、いずれも、
有機バインダを含んだ状態で実施されるため、混合時の
スラリーまたはペーストの粘度は高く、たとえばボール
ミルのようなメディアを使った分散処理機では、セラミ
ック粉末の分散性を優れたものとすることには限界があ
る。
【0023】このように、内部電極1の厚みと同等の厚
みを有する段差吸収用セラミックグリーン層5といった
極めて薄いセラミック層を形成するために用いるセラミ
ックペーストとしては、そこに含まれるセラミック粉末
に関して優れた分散性が要求され、このような優れた分
散性に対する要求は、内部電極1の厚みが薄くなるほど
厳しくなる。
【0024】また、段差吸収用セラミックグリーン層5
におけるセラミック粉末の分散性が仮に悪い場合であっ
ても、その上に重ねられるセラミックグリーンシート2
によって、分散性の悪さをある程度カバーできることも
あるが、セラミックグリーンシート2の厚みが薄くなる
と、このようなセラミックグリーンシート2によって分
散性をカバーする効果をほとんど期待することができな
い。
【0025】以上のことから、積層セラミックコンデン
サの小型化かつ大容量化が進むほど、段差吸収用セラミ
ックグリーン層5におけるセラミック粉末に関してより
高い分散性が必要となってくる。
【0026】なお、混合工程におけるセラミック粉末の
分散効率を高めるため、セラミックペーストの粘度を低
くすることが考えられるが、このように粘度を低くする
ため、前述した低沸点の有機溶剤の添加量を増すと、分
散処理後において、この低沸点の有機溶剤を除去するた
め、長時間必要とするという別の問題に遭遇する。
【0027】以上、積層セラミックコンデンサに関連し
て説明を行なったが、同様の問題は、積層セラミックコ
ンデンサ以外のたとえば積層インダクタといった他の積
層型セラミック電子部品においても遭遇する。
【0028】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な問題を解決し得る、積層型セラミック電子部品の製造
方法およびこの製造方法によって得られた積層型セラミ
ック電子部品を提供しようとすることである。
【0029】この発明の他の目的は、前述した段差吸収
用セラミック層を形成するのに適したセラミックペース
トおよびその製造方法を提供しようとすることである。
【0030】
【課題を解決するための手段】この発明は、まず、積層
型セラミック電子部品の製造方法に向けられる。この製
造方法では、基本的に、次のような工程が実施される。
【0031】まず、セラミックスラリー、導電性ペース
トおよびセラミックペーストがそれぞれ用意される。
【0032】次に、セラミックスラリーを成形すること
によって得られたセラミックグリーンシートと、セラミ
ックグリーンシートの主面上にその厚みによる段差をも
たらすように部分的に導電性ペーストを付与することに
よって形成された内部回路要素膜と、内部回路要素膜の
厚みによる段差を実質的になくすようにセラミックグリ
ーンシートの主面上であって内部回路要素膜が形成され
ない領域にセラミックペーストを付与することによって
形成された段差吸収用セラミックグリーン層とを備え
る、複数の複合構造物が作製される。
【0033】次に、これら複数の複合構造物を積み重ね
ることによって、生の積層体が作製される。
【0034】そして、生の積層体が焼成される。
【0035】このような基本的工程を備える、積層型セ
ラミック電子部品の製造方法において、この発明では、
段差吸収用セラミックグリーン層を形成するためのセラ
ミックペーストとして、セラミック粉末、有機溶剤およ
び有機バインダに加えて、帯電防止剤をさらに含むもの
を用いることを特徴としている。
【0036】帯電防止剤としては、界面活性剤を用いる
ことができる。界面活性剤は、イオン型界面活性剤であ
っても、非イオン型界面活性剤であってもよい。なお、
帯電防止剤として界面活性剤を用いる場合、この界面活
性剤がたとえばアルキルトリメチルアンモニウム塩のよ
うな4級アンモニウム塩型カチオン系高分子化合物であ
るとき、特に優れた効果を発揮することが後述する実験
において明らかにされている。
【0037】また、上述のようなセラミック粉末、有機
溶剤、有機バインダおよび帯電防止剤を含むセラミック
ペーストを製造する場合、次のような工程を経て製造す
ることが好ましい。
【0038】すなわち、少なくともセラミック粉末と第
1の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分
散工程と、1次分散工程を経た1次混合物に少なくとも
有機バインダおよび帯電防止剤を加えた2次混合物を分
散処理する2次分散工程とが実施される。ここで、有機
バインダは、2次分散工程の段階において加えられるこ
とに注目すべきである。また、上述の第1の有機溶剤以
外に、第1の有機溶剤より相対蒸発速度が小さい第2の
有機溶剤が用いられ、この第2の有機溶剤は、1次分散
工程の段階で加えられても、2次分散工程の段階で加え
られても、あるいは、1次分散工程の段階で加えられな
がら、さらに2次分散工程の段階で追加されてもよい。
そして、最終的に、2次分散工程の後、2次混合物を加
熱処理することによって、第1の有機溶剤を選択的に除
去する除去工程が実施される。
【0039】この発明において、セラミックグリーンシ
ートを成形するために用いられるセラミックスラリー
は、段差吸収用セラミックグリーン層を形成するための
セラミックペーストに含まれるセラミック粉末と実質的
に同じ組成を有するセラミック粉末を含むことが好まし
い。
【0040】また、この発明の特定的な実施態様におい
て、セラミックスラリーおよびセラミックペーストにそ
れぞれ含まれるセラミック粉末は、ともに、誘電体セラ
ミック粉末である。この場合、内部回路要素膜が、互い
の間に静電容量を形成するように配置される内部電極で
あるとき、積層セラミックコンデンサを製造することが
できる。
【0041】また、この発明の他の特定的な実施態様に
おいて、セラミックスラリーおよびセラミックペースト
にそれぞれ含まれるセラミック粉末は、ともに、磁性体
セラミック粉末である。この場合、内部回路要素膜が、
コイル状に延びるコイル導体膜であるとき、積層インダ
クタを製造することができる。
【0042】この発明は、また、上述したような製造方
法によって得られた、積層型セラミック電子部品にも向
けられる。
【0043】また、この発明は、上述したようなセラミ
ックペーストおよびその製造方法にも向けられる。
【0044】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態の説明を、
積層セラミックコンデンサの製造方法について行なう。
この実施形態による積層セラミックコンデンサの製造方
法は、前述した図1ないし図3を参照しながら説明する
ことができる。
【0045】この実施形態を実施するにあたり、セラミ
ックグリーンシート2のためのセラミックスラリー、内
部電極1のための導電性ペーストおよび段差吸収用セラ
ミックグリーン層5のためのセラミックペーストがそれ
ぞれ用意される。
【0046】上述のセラミックスラリーは、誘電体セラ
ミック粉末、有機バインダ、可塑剤および比較的低沸点
の有機溶剤を混合することによって作製される。このセ
ラミックスラリーからセラミックグリーンシート2を得
るため、剥離剤としてのシリコーン樹脂等によってコー
ティングされた、たとえばポリエステルフィルムのよう
な支持体(図示せず。)上で、セラミックスラリーがド
クターブレード法等によって成形され、次いで乾燥され
る。セラミックグリーンシート2の各厚みは、乾燥後に
おいて、たとえば数10μmとされる。
【0047】上述のようなセラミックグリーンシート2
の主面上には、複数箇所に分布するように、内部電極1
が乾燥後においてたとえば約3μmの厚みをもって形成
される。内部電極1は、たとえば、スクリーン印刷等に
よって導電性ペーストを付与し、これを乾燥することに
よって形成される。この内部電極1は、それぞれ、所定
の厚みを有していて、したがって、セラミックグリーン
シート2上には、この厚みによる段差がもたらされる。
【0048】次に、上述した内部電極1の厚みによる段
差を実質的になくすように、セラミックグリーンシート
2の主面上であって、内部電極1が形成されていない領
域に、段差吸収用セラミックグリーン層5が形成され
る。段差吸収用セラミックグリーン層5は、内部電極1
のネガティブパターンをもって、前述したセラミックペ
ーストをスクリーン印刷等によって付与することにより
形成され、次いで乾燥される。ここで用いられるセラミ
ックペーストは、この発明において特徴となるもので、
その詳細については後述する。
【0049】上述した説明では、内部電極1を形成した
後に段差吸収用セラミックグリーン層5を形成したが、
逆に、段差吸収用セラミックグリーン層5を形成した後
に内部電極1を形成するようにしてもよい。
【0050】上述のように、セラミックグリーンシート
2上に内部電極1および段差吸収用セラミックグリーン
層5が形成された、図2に示すような複合構造物6は、
複数用意され、これら複合構造物6は、支持体より剥離
された後、適当な大きさに切断され、所定の枚数だけ積
み重ねられ、さらにその上下に内部電極および段差吸収
用セラミックグリーン層が形成されていないセラミック
グリーンシートを積み重ねることによって、図1に一部
を示すような生の積層体3aが作製される。
【0051】この生の積層体3aは、積層方向にプレス
された後、図3に示すように、個々の積層セラミックコ
ンデンサのための積層体チップ4aとなるべき大きさに
切断され、次いで、脱バインダ工程を経た後、焼成工程
に付され、最終的に外部電極が形成されることによっ
て、積層コンデンサが完成される。
【0052】上述のように、段差吸収用セラミックグリ
ーン層5を形成することによって、図1に一部を示すよ
うに、生の積層体3aにおいて、内部電極1が位置する
部分とそうでない部分との間、あるいは内部電極1が積
層方向に比較的多数配列されている部分とそうでない部
分との間での厚みの差が実質的に生じなくなり、図3に
示すように、積層体チップ4aにおいて、不所望な変形
が生じにくくなる。その結果、得られた積層セラミック
コンデンサにおいて、デラミネーションや微小クラック
等の構造欠陥およびショート不良といった問題を生じに
くくすることができる。
【0053】この発明では、段差吸収用セラミックグリ
ーン層5を形成するためのセラミックペーストに帯電防
止剤が含まれていることに特徴がある。
【0054】帯電防止剤として、たとえば、界面活性剤
が有利に用いられる。このような界面活性剤として、4
級アンモニウム塩型カチオン系高分子化合物、スルホン
酸型アニオン系高分子化合物、リン酸エステル型アニオ
ン系高分子化合物、硫酸エステル型アニオン系高分子化
合物もしくはベタイン型両性高分子化合物というような
イオン型界面活性剤、または、ポリエチレングリコール
型高分子化合物もしくは多価アルコール型高分子化合物
などがある。
【0055】上述したポリエチレングリコール型高分子
化合物または多価アルコール型高分子化合物を用いる場
合、そのエステル化合物またはエチレンオキサイド化合
物を用いてもよい。
【0056】4級アンモニウム塩型カチオン系高分子化
合物としては、より具体的には、アルキルトリメチルア
ンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム
塩、サパミン型4級アンモニウム塩またはアルキルピリ
ジウム塩等を用いることができる。
【0057】スルホン酸型アニオン系高分子化合物とし
ては、より具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型または
スルホコハク酸ジエステルナトリウム塩等を用いること
ができる。
【0058】リン酸エステル型アニオン系高分子化合物
としては、より具体的には、高級アルコールリン酸モノ
エステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエス
テルナトリウム塩または高級アルコールエチレンオキサ
イド付加物のリン酸エステル塩等を用いることができ
る。
【0059】硫酸エステル型アニオン系高分子化合物と
しては、より具体的には、高級アルコール硫酸エステル
塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪
族エステル、硫酸化脂肪酸または硫酸化オレフィン等を
用いることができる。
【0060】ベタイン型両性高分子化合物としては、よ
り具体的には、アルキルジメチルベタイン等を用いるこ
とができる。
【0061】ポリエチレングリコール型高分子化合物と
しては、より具体的には、高級アルコールエチレンオキ
サイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド
付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコ
ール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級ア
ルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミド
エチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド
付加物またはポリプロピレングリコールエチレンオキサ
イド付加物等を用いることができる。
【0062】多価アルコール型高分子化合物としては、
より具体的には、グリセロールの脂肪酸エステル、ペン
タエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよ
びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステ
ル、多価アルコールのアルキルエーテルまたはアルカノ
ールアミン類の脂肪酸アミド等を用いることができる。
【0063】帯電防止剤の添加量は、帯電防止剤の種類
にもよるが、有機バインダに対して、0.01重量%〜
10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%となる
ように選ばれることが望ましい。帯電防止剤は、これを
過剰に添加すると、段差吸収用セラミックグリーン層5
の表面特性を悪化させたりするので、適当な量に留める
ことが望ましい。
【0064】段差吸収用セラミックグリーン層5を形成
するためのセラミックペーストに帯電防止剤を添加する
ことにより、段差吸収用セラミックグリーン層5だけで
なく、段差吸収用セラミックグリーン層5と一体化して
いる内部電極1およびセラミックグリーンシート2に帯
電した静電気を除去することができる。
【0065】上述のように、セラミックグリーンシート
2に帯電した静電気を除去することができれば、段差吸
収用セラミックグリーン層5が形成されたセラミックグ
リーンシート2を積み重ねてプレスするとき、静電気に
よるセラミックグリーンシート2の位置ずれや折れ曲が
りを有利に防止することができる。
【0066】また、セラミックグリーンシート2を成形
する際に用いられた支持体からのセラミックグリーンシ
ート2の剥離が容易になり、その結果、剥離時のセラミ
ックグリーンシート2の破損等の問題を生じにくくする
ことができる。
【0067】また、セラミックグリーンシート2に微小
なごみ等が付着しにくくなり、セラミックグリーンシー
ト2とセラミックグリーンシート2との間にごみ等が混
入しにくくすることができる。
【0068】また、セラミックペーストに帯電防止剤が
添加されない場合に必要とされることのある静電気除去
のための特別な工程を省くことができる。
【0069】この発明では、段差吸収用セラミックグリ
ーン層5のためのセラミックペーストは、好ましくは、
次のような方法によって製造される。
【0070】すなわち、セラミックペーストを製造する
ため、少なくともセラミック粉末と第1の有機溶剤とを
含む1次混合物を分散処理する1次分散工程と、この1
次分散工程を経た1次混合物に少なくとも有機バインダ
および帯電防止剤を加えた2次混合物を分散処理する2
次分散工程とが実施される。
【0071】このように、1次分散工程では、有機バイ
ンダを未だ加えていないので、低粘度下での分散処理を
可能とし、そのため、セラミック粉末の分散性を高める
ことが容易である。この1次分散工程では、セラミック
粉末の表面に吸着している空気が第1の有機溶剤で置換
され、セラミック粉末を第1の有機溶剤で十分に濡らし
た状態とすることができるとともに、セラミック粉末の
凝集状態を十分に解砕することができる。
【0072】また、2次分散工程では、上述のように、
1次分散工程で得られたセラミック粉末の高い分散性を
維持したまま、有機バインダを十分かつ均一に混合させ
ることができ、また、セラミック粉末のさらなる粉砕効
果も期待できる。
【0073】この好ましい製造方法では、上述の第1の
有機溶剤以外に、第1の有機溶剤より相対蒸発速度が小
さい第2の有機溶剤も用いられる。この第2の有機溶剤
は、1次分散工程の段階で加えられても、2次分散工程
の段階で加えられても、あるいは、1次分散工程の段階
で加えられながら、2次分散工程の段階でも追加投入さ
れてもよい。
【0074】そして、最終的に、2次分散工程の後、2
次混合物を加熱処理することによって、第1の有機溶剤
が選択的に除去される。
【0075】このように、第1の有機溶剤の除去が、2
次分散工程の後に実施されるので、2次分散工程の段階
においても、2次混合物の粘度を比較的低くしておくこ
とが可能であり、したがって、分散効率を比較的高く維
持しておくことができるとともに、前述したような2次
分散工程の段階で加えられる有機バインダの溶解性を高
めることができる。
【0076】上述のようにして得られたセラミックペー
ストは、有機溶剤としては、第1の有機溶剤がわずかに
残存することがあっても、実質的に第2の有機溶剤のみ
を含んでいる。第2の有機溶剤は、第1の有機溶剤より
相対蒸発速度が小さいため、セラミックペーストの乾燥
速度を所定値以下に抑えることができ、たとえばスクリ
ーン印刷を問題なく適用することを可能にする。
【0077】上述の好ましい製造方法において実施され
る1次分散工程および2次分散工程では、たとえばボー
ルミルのようなメディアを用いる通常の分散処理機を適
用して分散処理することができる。
【0078】この製造方法において、第1の有機溶剤ま
たは第2の有機溶剤として用いられる有機溶剤として
は、種々のものがあり、このような有機溶剤の相対蒸発
速度を考慮して、第1の有機溶剤として用いられるもの
および第2の有機溶剤として用いられるものをそれぞれ
選択すればよい。
【0079】このような有機溶剤の例としては、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等の
ケトン類、トルエン、ベンゼン、キシレン、ノルマルヘ
キサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、ブタノール、アミルアルコール等のアル
コール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等
のエステル類、ジイソプロピルケトン、エチルセルソル
ブ、ブチルセルソルブ、セルソルブアセテート、メチル
セルソルブアセテート、ブチルカルビトール、シクロヘ
キサノール、パイン油、ジヒドロテルピネオール、イソ
ホロン、テルピネオール、シプロピレングリコール、ジ
メチルフタレート等のケトン類、エステル類、炭化水素
類、アルコール類、塩化メチレン等の塩化炭化水素類、
およびこれらの混合物が挙げられる。
【0080】より好ましくは、第1の有機溶剤として
は、20℃における相対蒸発速度が100以上、さらに
好ましくは150以上となる有機溶剤が選ばれる。除去
工程での第1の有機溶剤の除去を速やかに終えるように
するためである。なお、相対蒸発速度とは、酢酸ノルマ
ルブチル(沸点126.5℃)の蒸発速度を100とし
たときの相対的な蒸発速度である。
【0081】第1の有機溶剤に適した相対蒸発速度が1
00以上の有機溶剤としては、たとえば、メチルエチル
ケトン(相対蒸発速度465)、メチルイソブチルケト
ン(同145)、アセトン(同720)、トルエン(同
195)、ベンゼン(同500)、メタノール(同37
0)、エタノール(同203)、イソプロパノール(同
205)、酢酸エチル(同525)、酢酸イソブチル
(同152)、酢酸ブチル(同100)、およびこれら
の混合物が挙げられる。
【0082】他方、より好ましくは、第2の有機溶剤と
しては、20℃における相対蒸発速度が50以下となる
有機溶剤が選択される。スクリーン印刷性を良好にする
ためである。
【0083】第2の有機溶剤に適した相対蒸発速度が5
0以下の有機溶剤としては、たとえば、ジイソプロピル
ケトン(相対蒸発速度49)、メチルセルソルブアセテ
ート(同40)、セルソルブアセテート(同24)、ブ
チルセルソルブ(同10)、シクロヘキサノール(同1
0以下)、パイン油(同10以下)、ジヒドロテルピネ
オール(同10以下)、イソホロン(同10以下)、テ
ルピネオール(同10以下)、シプロピレングリコール
(同10以下)、ジメチルフタレート(同10以下)、
ブチルカルビトール(同40以下)、およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0084】なお、第1および第2の有機溶剤をそれぞ
れ選択するにあたって、上述のように相対蒸発速度によ
るのではなく、沸点によることも可能であり、むしろ沸
点による方が、第1および第2の有機溶剤の各々の選択
が容易である。沸点による場合、第1および第2の有機
溶剤として、前者の沸点が後者の沸点より低くなる組合
せを選ぶようにすれば、大体において、前者の相対蒸発
速度が後者の相対蒸発速度より大きくなるような組合せ
を選び出すことができる。
【0085】前述した有機溶剤の例として挙げたものの
いくつかについて、各々の沸点を括弧内に示すと、メチ
ルエチルケトン(79.6℃)、メチルイソブチルケト
ン(118.0℃)、アセトン(56.1℃)、トルエ
ン(111.0℃)、ベンゼン(79.6℃)、メタノ
ール(64.5℃)、エタノール(78.5℃)、イソ
プロパノール(82.5℃)、酢酸エチル(77.1
℃)、酢酸イソブチル(118.3℃)、ジイソプロピ
ルケトン(143.5℃)、メチルセルソルブアセテー
ト(143℃)、セルソルブアセテート(156.2
℃)、ブチルセルソルブ(170.6℃)、シクロヘキ
サノール(160℃)、パイン油(195〜225
℃)、ジヒドロテルピネオール(210℃)、イソホロ
ン(215.2℃)、テルピネオール(219.0
℃)、シプロピレングリコール(231.8℃)、ジメ
チルフタレート(282.4℃)となるが、このような
沸点に基づいて、第1および第2の有機溶剤をそれぞれ
選択するようにすればよい。
【0086】上述したような沸点の差によって第1およ
び第2の有機溶剤の組合せを選択する場合、第1の有機
溶剤の沸点と第2の有機溶剤の沸点との差は、50℃以
上であることが好ましい。除去工程において、加熱処理
による第1の有機溶剤のみの選択的な除去をより容易に
するためである。
【0087】上述した高沸点の第2の有機溶剤に関し
て、スクリーン印刷性を考慮したとき、150℃以上の
沸点を有していることが好ましく、200〜250℃程
度の沸点を有していることがより好ましい。150℃未
満では、セラミックペーストが乾燥しやすく、そのた
め、印刷パターンのメッシュの目詰まりが生じやすく、
他方、250℃を超えると、印刷塗膜が乾燥しにくく、
そのため、乾燥に長時間要するためである。
【0088】セラミックペーストにおいて用いられる有
機バインダとしては、室温で有機溶剤に溶解するものが
良い。このような有機バインダとしては、たとえば、ポ
リビニルブチラール、ポリブチルブチラール等のポリア
セタール類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、エチ
ルセルロース等の変性セルロース類、アルキッド類、ビ
ニリデン類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂類、ウレタ
ン樹脂類、ポリアミド樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリ
アミドイミド樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリサルフ
ォン樹脂類、液晶ポリマー類、ポリイミダゾール樹脂
類、ポリオキサゾリン樹脂類等がある。
【0089】有機バインダの添加量は、セラミック粉末
に対して、1〜20重量%、好ましくは、3〜10重量
%に選ばれる。
【0090】上述した1次分散工程において、1次混合
物は有機分散剤を含むことが好ましい。すなわち、1次
混合物において、第1の有機溶剤または第1および第2
の有機溶剤によって希釈された状態で、有機分散剤を添
加すれば、セラミック粉末の分散性がより向上する。
【0091】上述の有機分散剤としては、特に限定しな
いが、分散性の点からは、分子量は1万以下であること
が好ましい。アニオン系、カチオン系、ノニオン系いず
れでもよいが、ポリアクリル酸やそのアンモニウム塩、
ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリエチレンオキサ
イド、ポリオキシエチレンアルキルアミルエーテル、脂
肪酸ジエタノールアマイド、ポリエチレンイミン、ポリ
オキシプロピレンモノアリルモノブチルエーテルと無水
マレイン酸(およびスチレン)の共重合体等が好まし
い。
【0092】有機分散剤の添加量は、セラミック粉末に
対して、0.1〜5重量%、好ましくは、0.5〜2.
0重量%に選ばれる。
【0093】また、セラミックペーストに含まれるセラ
ミック粉末は、セラミックグリーンシート2を成形する
ために用いられるセラミックスラリーに含まれるセラミ
ック粉末と実質的に同じ組成を有するものであることが
好ましい。段差吸収用セラミックグリーン層5とセラミ
ックグリーンシート2との間で焼結性を一致させるため
である。
【0094】なお、上述の実質的に同じ組成を有すると
は、主成分が同じであるということである。たとえば、
微量添加金属酸化物やガラス等の副成分が異なっても、
実質的に同じ組成を有するということができる。また、
セラミックグリーンシート2に含まれるセラミック粉末
が、静電容量の温度特性についてJIS規格で規定する
B特性およびEIA規格で規定するX7R特性を満足す
る範囲のものであれば、段差吸収用セラミックグリーン
層5のためのセラミックペーストに含まれるセラミック
粉末も、主成分が同じでB特性およびX7R特性を満足
するものであれば、副成分が違っていてもよい。
【0095】図4は、この発明の他の実施形態としての
積層インダクタの製造方法を説明するためのものであ
り、図5に外観を斜視図で示した、この製造方法によっ
て製造された積層インダクタ11に備える積層体チップ
12を得るために用意される生の積層体13を構成する
要素を分解して示す斜視図である。
【0096】生の積層体13は、複数のセラミックグリ
ーンシート14、15、16、17、…、18および1
9を備え、これらセラミックグリーンシート14〜19
を積層することによって得られるものである。
【0097】セラミックグリーンシート14〜19は、
磁性体セラミック粉末を含むセラミックスラリーを、ド
クターブレード法等によって成形し、乾燥することによ
って得られる。セラミックグリーンシート14〜19の
各厚みは、乾燥後において、たとえば10〜30μmと
される。
【0098】セラミックグリーンシート14〜19のう
ち、中間に位置するセラミックグリーンシート15〜1
8には、以下に詳細に説明するように、コイル状に延び
るコイル導体膜および段差吸収用セラミックグリーン層
が形成される。
【0099】まず、セラミックグリーンシート15上に
は、コイル導体膜20が形成される。コイル導体膜20
は、その第1の端部がセラミックグリーンシート15の
端縁にまで届くように形成される。コイル導体膜20の
第2の端部には、ビアホール導体21が形成される。
【0100】このようなコイル導体膜20およびビアホ
ール導体21を形成するため、たとえば、セラミックグ
リーンシート15にビアホール導体21のための貫通孔
をレーザまたはパンチングなどの方法により形成した
後、コイル導体膜20およびビアホール導体21となる
導電性ペーストを、スクリーン印刷等によって付与し、
乾燥することが行なわれる。
【0101】また、上述したコイル導体膜20の厚みに
よる段差を実質的になくすように、セラミックグリーン
シート15の主面上であって、コイル導体膜20が形成
されていない領域に、段差吸収用セラミックグリーン層
22が形成される。段差吸収用セラミックグリーン層2
2は、磁性体セラミック粉末、有機溶剤および有機バイ
ンダに加えて、この発明において特徴となる帯電防止剤
を含む、セラミックペーストを、スクリーン印刷等によ
って付与し、乾燥することによって形成される。
【0102】次に、セラミックグリーンシート16上に
は、上述した方法と同様の方法によって、コイル導体膜
23、ビアホール導体24および段差吸収用セラミック
グリーン層25が形成される。コイル導体膜23の第1
の端部は、前述したビアホール導体21を介して、コイ
ル導体膜20の第2の端部に接続される。ビアホール導
体24は、コイル導体膜23の第2の端部に形成され
る。
【0103】次に、セラミックグリーンシート17上に
は、同様に、コイル導体膜26、ビアホール導体27お
よび段差吸収用セラミックグリーン層28が形成され
る。コイル導体膜26の第1の端部は、前述したビアホ
ール導体24を介して、コイル導体膜23の第2の端部
に接続される。ビアホール導体27は、コイル導体膜2
6の第2の端部に形成される。
【0104】上述したセラミックグリーンシート16お
よび17の積層は、必要に応じて、複数回繰り返され
る。
【0105】次に、セラミックグリーンシート18上に
は、コイル導体膜29および段差吸収用セラミックグリ
ーン層30が形成される。コイル導体膜29の第1の端
部は、前述したビアホール導体27を介して、コイル導
体膜26の第2の端部に接続される。コイル導体膜29
は、その第2の端部がセラミックグリーンシート18の
端縁にまで届くように形成される。
【0106】なお、上述したコイル導体膜20、23、
26および29の各厚みは、乾燥後において、たとえば
約30μm程度とされる。
【0107】このようなセラミックグリーンシート14
〜19をそれぞれ含む複数の複合構造物を積層して得ら
れた生の積層体13において、各々コイル状に延びる複
数のコイル導体膜20、23、26および29が、ビア
ホール導体21、24および27を介して順次接続され
ることによって、全体として複数ターンのコイル導体が
形成される。
【0108】生の積層体13が焼成されることによっ
て、図5に示す積層インダクタ11のための積層体チッ
プ12が得られる。なお、生の積層体13は、図4で
は、1個の積層体チップ12を得るためのものとして図
示されているが、複数の積層体チップを得るためのもの
として作製され、これを切断することによって、複数の
積層体チップを取り出すようにしてもよい。
【0109】次いで、図5に示すように、積層体チップ
12の相対向する各端部には、前述したコイル導体膜2
0の第1の端部およびコイル導体膜29の第2の端部に
それぞれ接続されるように、外部電極30および31が
形成され、それによって、積層インダクタ11が完成さ
れる。
【0110】図1ないし図3を参照して説明した積層セ
ラミックコンデンサまたは図4および図5を参照して説
明した積層インダクタ11において、セラミックグリー
ンシート2または14〜19あるいは段差吸収用セラミ
ックグリーン層5または22、25、28および30に
含まれるセラミック粉末としては、代表的には、アルミ
ナ、ジルコニア、マグネシア、酸化チタン、チタン酸バ
リウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト−マンガン
等の酸化物系セラミック粉末、炭化ケイ素、窒化ケイ
素、サイアロン等の非酸化物系セラミック粉末が挙げら
れる。粉末粒径としては、好ましくは、平均5μm以
下、より好ましくは、1μmの球形または粉砕状のもの
が使用される。
【0111】以下に、この発明を、実験例に基づいて、
より具体的に説明する。
【0112】
【実験例1】実験例1は、積層セラミックコンデンサの
ための生の積層体を作製するにあたって、段差吸収用セ
ラミックグリーン層の形成に用いられるセラミックペー
ストに帯電防止剤を含ませた場合の積層工程での効果を
確認するために実施したものである。
【0113】1.セラミック粉末の準備 まず、炭酸バリウム(BaCO3 )および酸化チタン
(TiO2 )を1:1のモル比となるように秤量し、ボ
ールミルを用いて湿式混合した後、脱水乾燥させた。次
いで、温度1000℃で2時間仮焼した後、粉砕するこ
とによって、誘電体セラミック粉末を得た。
【0114】2.セラミックスラリーの準備およびセラ
ミックグリーンシートの作製 先に準備したセラミック粉末100重量部と、ポリビニ
ルブチラール(中重合品)7重量部と、可塑剤としてD
OP(フタル酸ジオクチル)3重量部と、メチルエチル
ケトン30重量部と、エタノール20重量部と、トルエ
ン20重量部とを、直径1mmのジルコニア製玉石60
0重量部とともに、ボールミルに投入し、20時間湿式
混合を行なって、セラミックスラリーを得た。
【0115】そして、このセラミックスラリーに対し
て、ドクターブレード法を適用して、セラミックグリー
ンシートを成形し、80℃で5分間、乾燥した。得られ
たセラミックグリーンシートの厚みは、約10μmであ
った。
【0116】3.導電性ペーストの準備 Ag/Pd=70/30の金属粉末100重量部と、エ
チルセルロース4重量部と、アルキッド樹脂2重量部
と、Ag金属レジネート3重量部(Agとして17.5
重量部)と、ブチルカルビトールアセテート35重量部
とを、3本ロールで混練した後、テルピネオール35重
量部を加えて粘度調整を行なった。
【0117】4.段差吸収用セラミックグリーン層のた
めのセラミックペーストの準備 (1)実施例1〜3 先に準備した誘電体セラミック粉末100重量部と、メ
チルエチルケトン(相対蒸発速度465)70重量部
と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、
ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行なった。次
に、同じポットに、沸点220℃のテルピネオール(相
対蒸発速度10以下)40重量部と、有機バインダ10
重量部と、帯電防止剤0.5重量部とを添加し、さら
に、16時間混合することによって、セラミックスラリ
ー混合物を得た。
【0118】上述の有機バインダとしては、ポリビニル
ブチラールとセルロースエステルとの混合物を用いた。
より具体的には、ポリビニルブチラールとしては、ブチ
ラール基が70モル%であってアセチル基が5モル%で
ある中重合品を用い、セルロースエステルとしては、エ
チルセルロース(エトキシル含有率49%)を用いた。
【0119】また、上述の帯電防止剤としては、実施例
1では、アルキルトリメチルアンモニウム塩を、実施例
2では、ノニルフェノールエチレンオキサイドを、そし
て、実施例3では、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウムをそれぞれ用いた。
【0120】次いで、上述のセラミックスラリー混合物
を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸
留することにより、メチルエチルケトンを完全に除去し
て、セラミックペーストを得た。
【0121】(2)比較例 先に準備した誘電体セラミック粉末100重量部と、メ
チルエチルケトン(相対蒸発速度465)70重量部
と、直径1mmのジルコニア製玉石600重量部とを、
ボールミルに投入し、16時間湿式混合を行なった。次
に、同じポットに、沸点220℃のテルピネオール(相
対蒸発速度10以下)40重量部と、有機バインダ10
重量部とを添加し、さらに、16時間混合することによ
って、セラミックスラリー混合物を得た。
【0122】有機バインダとしては、実施例1〜3にお
いて用いたものと同様のものを用いた。
【0123】次いで、上述のセラミックスラリー混合物
を、60℃の温浴中でエバポレータにより2時間減圧蒸
留することにより、メチルエチルケトンを完全に除去し
て、セラミックペーストを得た。
【0124】5.生の積層体の作製 先に用意したセラミックグリーンシートの主面上に内部
電極を形成するため、導電性ペーストをスクリーン印刷
し、80℃で10分間乾燥した。なお、内部電極の寸
法、形状および位置は、任意とした。次に、セラミック
グリーンシートの主面上に段差吸収用セラミックグリー
ン層を形成するため、実施例1〜3ならびに比較例に係
る各セラミックペーストをスクリーン印刷し、80℃で
10分間乾燥した。内部電極および段差吸収用セラミッ
クグリーン層の各厚みは、約3μmになるようにした。
【0125】次に、上述のように内部電極および段差吸
収用セラミックグリーン層を形成している200枚のセ
ラミックグリーンシートを、除電処理を施さずに、自動
積層装置を用いて積み重ね、試料となる生の積層体を作
製した。
【0126】自動積層装置は、セラミックグリーンシー
トの供給、支持体としてのキャリアフィルムの剥離、セ
ラミックグリーンシートのカット、およびセラミックグ
リーンシートの積み重ねを各工程を実施するための装置
である。カット工程では、15cm×15cmのセラミ
ックグリーンシートを13.5cm×13.5cmの大
きさにカットした。また、自動積層装置内でのセラミッ
クグリーンシートの保持は、減圧保持によって行なっ
た。
【0127】6.特性の評価 上述のようにして得られた実施例1〜3ならびに比較例
に係る生の積層体について、積層不良率を評価した。積
層不良率は、次のようにして求めた。
【0128】すなわち、自動積層装置を用いた生の積層
体の作製において、セラミックグリーンシートの供給工
程において静電気による接着によりセラミックグリーン
シートの同時供給不良を起こした回数と、キャリアフィ
ルムの剥離工程において静電気による剥離不良を起こし
た回数と、カット工程において静電気によるカット耳の
巻き込み不良を起こした回数と、積層工程において静電
気による積層不良を起こした回数とを合計し、この合計
を自動積層装置にかけた全体のセラミックグリーンシー
ト枚数で除し、その商を%換算したものを、積層不良率
とした。
【0129】その結果が表1に示されている。
【0130】
【表1】
【0131】表1に示した結果から、実施例1〜3は、
比較例と比較して、積層不良率が極めて低いことがわか
る。
【0132】実施例1〜3の間で比較すると、帯電防止
剤としてアルキルトリメチルアンモニウム塩を用いた実
施例1の積層不良率が特に低い。このことから、アルキ
ルトリメチルアンモニウム塩、ないしは、4級アンモニ
ウム塩型カチオン系高分子化合物の帯電防止効果が特に
優れていることがわかる。
【0133】なお、帯電防止剤としてノニルフェノール
エチレンオキサイドを用いた実施例2およびドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた実施例3において
も、積層不良率は、帯電防止剤を用いなかった比較例に
比べて、かなり低くなっている。
【0134】
【実験例2】実験例2は、セラミックグリーンシートの
厚みと積層不良率との関係を調査するために実施したも
のである。
【0135】この実験例2では、上述の実験例1におけ
る実施例1に係るセラミックペーストと比較例に係るセ
ラミックペーストとを用いた。
【0136】また、実験例1における「2.セラミック
スラリーの準備およびセラミックグリーンシートの作
製」工程において、乾燥後の厚みが2μm、3μmおよ
び10μmの3種類のセラミックグリーンシートを作製
したことを除いて、前述した実験例1の場合と同様の工
程を実施して、生の積層体を作製し、実験例1の場合と
同様の方法によって、積層不良率を評価した。
【0137】その結果が表2に示されている。
【0138】
【表2】
【0139】表2に示した結果から、同一厚みのセラミ
ックグリーンシートの間で比較したとき、実施例1は、
比較例に比べて、積層不良率が極めて低いことがまずわ
かる。これは、実験例1における表1に示した結果と同
様である。
【0140】また、実施例1および比較例の各々におい
て、セラミックグリーンシートの厚みが薄くなるほど、
積層不良率が高くなる傾向がある。しかしながら、比較
例では、その傾向が特に顕著であり、セラミックグリー
ンシートの厚みが2μmまで薄くされたときには、85
%といった極めて高い積層不良率を示したのに対し、実
施例1では、セラミックグリーンシートの厚みが2μm
まで薄くされても、1.0%といった低い値に積層不良
率を抑えることができたことに注目すべきである。
【0141】以上の実験例は、この発明に係るセラミッ
クペーストに含まれるセラミック粉末として、誘電体セ
ラミック粉末が用いられた場合のものであったが、この
発明では、用いられるセラミック粉末の電気的特性に左
右されるものではなく、したがって、たとえば、磁性体
セラミック粉末、絶縁体セラミック粉末あるいは圧電体
セラミック粉末等を用いても、同様の効果を期待できる
セラミックペーストを得ることができる。
【0142】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、段差
吸収用セラミックグリーン層を形成するためのセラミッ
クペーストには、帯電防止剤が含まれているので、段差
吸収用セラミックグリーン層だけでなく、段差吸収用セ
ラミックグリーン層と一体化している内部回路要素膜お
よびセラミックグリーンシートに帯電した静電気を除去
することができる。
【0143】したがって、段差吸収用セラミックグリー
ン層が形成されたセラミックグリーンシートを積み重ね
るとき、静電気によるセラミックグリーンシートの位置
ずれや折れ曲がりを有利に防止することができる。
【0144】また、セラミックグリーンシートを成形す
る際に用いられた支持体からのセラミックグリーンシー
トの剥離が容易になり、その結果、剥離時のセラミック
グリーンシートの破損等の問題を生じにくくすることが
できる。
【0145】また、セラミックグリーンシートに微小な
ごみ等が付着しにくくなり、隣り合うセラミックグリー
ンシート間にごみ等が混入しにくくすることができる。
【0146】また、セラミックペーストに帯電防止剤が
添加されない場合に必要とされることのある静電気除去
のための特別な工程を省くことができる。
【0147】このようなことから、この発明によれば、
積層型セラミック電子部品において、内部回路要素膜の
厚みによる段差を実質的になくすようにセラミックグリ
ーンシートの主面上であって内部回路要素膜が形成され
ない領域に段差吸収用セラミックグリーン層を形成する
ために、上述のようなセラミックペーストが用いられる
ことによって、積層不良が生じにくく、良好な積層状態
を有する積層型セラミック電子部品を高い信頼性をもっ
て製造することができる。
【0148】また、この発明によれば、セラミックグリ
ーンシートの薄層化が進んでも、良好な積層状態に対す
る信頼性が維持され得るので、積層型セラミック電子部
品の小型化かつ軽量化の要求に十分に対応することが可
能となり、この発明が積層セラミックコンデンサに適用
された場合、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大
容量化を有利に図ることができ、また、この発明が積層
インダクタに適用された場合、積層インダクタの小型化
かつ高インダクタンス化を有利に図ることができる。
【0149】この発明において、セラミックペーストを
製造するにあたって、少なくともセラミック粉末と第1
の有機溶剤とを含む1次混合物を分散処理する1次分散
工程と、1次分散工程を経た1次混合物に少なくとも有
機バインダおよび帯電防止剤を加えた2次混合物を分散
処理する2次分散工程と、第1の有機溶剤より相対蒸発
速度が小さい第2の有機溶剤を1次混合物および/また
は2次混合物に含ませる工程と、2次分散工程の後、2
次混合物を加熱処理することによって、第1の有機溶剤
を選択的に除去する除去工程とが実施されると、セラミ
ックペーストに含まれるセラミック粉末の分散性を優れ
たものとすることができる。
【0150】そのため、極めて薄い段差吸収用セラミッ
クグリーン層を、高いパターン精度をもって形成しなけ
ればならない場合において、このようなセラミックグリ
ーンシートを有利に用いることができる。また、クラッ
クやデラミネーション等の構造欠陥のない積層型セラミ
ック電子部品を実現することができる。
【0151】また、この発明に係る積層型セラミック電
子部品の製造方法において、セラミックグリーンシート
を成形するために用いられるセラミックスラリーが、段
差吸収用セラミックグリーン層を形成するためのセラミ
ックペーストに含まれるセラミック粉末と実質的に同じ
組成を有するセラミック粉末を含むようにすると、セラ
ミックグリーンシートと段差吸収用セラミックグリーン
層との焼結性を一致させることができ、このような焼結
性の不一致によるクラックやデラミネーションの発生を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にとって興味ある、かつこの発明の一
実施形態による、積層セラミックコンデンサの製造方法
を説明するためのもので、生の積層体3aの一部を図解
的に示す断面図である。
【図2】図1に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される複合構造物6の一部を破断して
示す平面図である。
【図3】図1に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される積層体チップ4aを図解的に示
す断面図である。
【図4】この発明の他の実施形態による積層インダクタ
を製造するために用意される生の積層体13を構成する
要素を分解して示す斜視図である。
【図5】図4に示した生の積層体13を焼成して得られ
た積層体チップ12を備える積層インダクタ11の外観
を示す斜視図である。
【図6】この発明にとって興味ある従来の積層セラミッ
クコンデンサの製造方法を説明するためのもので、生の
積層体3の一部を図解的に示す断面図である。
【図7】図6に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される内部電極1が形成されたセラミ
ックグリーンシート2の一部を示す平面図である。
【図8】図6に示した積層セラミックコンデンサの製造
方法において作製される積層体チップ4を図解的に示す
断面図である。
【符号の説明】
1 内部電極(内部回路要素膜) 2,14〜19 セラミックグリーンシート 3a,13 生の積層体 4a,12 積層体チップ 5,22,25,28,30 段差吸収用セラミックグ
リーン層 6 複合構造物 11 積層インダクタ(積層型セラミック電子部品) 20,23,26,29 コイル導体膜(内部回路要素
膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/12 364 C04B 35/00 Y (72)発明者 宮崎 信 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 4G030 AA10 AA16 GA14 GA16 5E001 AB03 AD02 AH01 AH09 AJ01 AJ02 5E062 DD04 5E070 AA01 AB03 CB03 CB13 5E082 AA01 AB03 BC38 EE04 EE35 FG06 FG26 LL01 LL02 MM24

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスラリー、導電性ペーストお
    よびセラミックペーストをそれぞれ用意し、 前記セラミックスラリーを成形することによって得られ
    たセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリー
    ンシートの主面上にその厚みによる段差をもたらすよう
    に部分的に前記導電性ペーストを付与することによって
    形成された内部回路要素膜と、前記内部回路要素膜の厚
    みによる段差を実質的になくすように前記セラミックグ
    リーンシートの前記主面上であって前記内部回路要素膜
    が形成されない領域に前記セラミックペーストを付与す
    ることによって形成された段差吸収用セラミックグリー
    ン層とを備える、複数の複合構造物を作製し、 複数の前記複合構造物を積み重ねることによって、生の
    積層体を作製し、 前記生の積層体を焼成する、各工程を備える、積層型セ
    ラミック電子部品の製造方法であって、 前記セラミックペーストとして、セラミック粉末と、有
    機溶剤と、有機バインダと、帯電防止剤とを含むものを
    用いる、積層型セラミック電子部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記帯電防止剤として、界面活性剤が用
    いられる、請求項1に記載の積層型セラミック電子部品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記界面活性剤は、4級アンモニウム塩
    型カチオン系高分子化合物である、請求項2に記載の積
    層型セラミック電子部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記セラミックペーストを用意する工程
    は、 少なくともセラミック粉末と第1の有機溶剤とを含む1
    次混合物を分散処理する1次分散工程と、 前記1次分散工程を経た前記1次混合物に少なくとも前
    記有機バインダおよび前記帯電防止剤を加えた2次混合
    物を分散処理する2次分散工程と、 前記第1の有機溶剤より相対蒸発速度が小さい第2の有
    機溶剤を前記1次混合物および/または前記2次混合物
    に含ませる工程と、 前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理する
    ことによって、前記第1の有機溶剤を選択的に除去する
    除去工程とを備える、 請求項1ないし3のいずれかに記載の積層型セラミック
    電子部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記セラミックスラリーは、前記セラミ
    ックペーストに含まれる前記セラミック粉末と実質的に
    同じ組成を有するセラミック粉末を含む、請求項1ない
    し4のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記セラミックスラリーおよび前記セラ
    ミックペーストにそれぞれ含まれるセラミック粉末は、
    ともに、誘電体セラミック粉末である、請求項1ないし
    5のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記内部回路要素膜は、互いの間に静電
    容量を形成するように配置される内部電極であり、前記
    積層型セラミック電子部品は、積層セラミックコンデン
    サである、請求項6に記載の積層型セラミック電子部品
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記セラミックスラリーおよび前記セラ
    ミックペーストにそれぞれ含まれるセラミック粉末は、
    ともに、磁性体セラミック粉末である、請求項1ないし
    5のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記内部回路要素膜は、コイル状に延び
    るコイル導体膜であり、前記積層型セラミック電子部品
    は、積層インダクタである、請求項8に記載の積層型セ
    ラミック電子部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    製造方法によって得られた、積層型セラミック電子部
    品。
  11. 【請求項11】 積層型セラミック電子部品を製造する
    ために、セラミックグリーンシートの主面上にその厚み
    による段差をもたらすように部分的に導電性ペーストを
    付与することによって形成された内部回路要素膜の厚み
    による段差を実質的になくすように前記セラミックグリ
    ーンシートの前記主面上であって前記内部回路要素膜が
    形成されない領域に段差吸収用セラミックグリーン層を
    形成するために用いるセラミックペーストであって、 セラミック粉末と、有機溶剤と、有機バインダと、帯電
    防止剤とを含む、セラミックペースト。
  12. 【請求項12】 積層型セラミック電子部品を製造する
    ために、セラミックグリーンシートの主面上にその厚み
    による段差をもたらすように部分的に導電性ペーストを
    付与することによって形成された内部回路要素膜の厚み
    による段差を実質的になくすように前記セラミックグリ
    ーンシートの前記主面上であって前記内部回路要素膜が
    形成されない領域に段差吸収用セラミックグリーン層を
    形成するために用いるセラミックペーストの製造方法で
    あって、 少なくともセラミック粉末と第1の有機溶剤とを含む1
    次混合物を分散処理する1次分散工程と、 前記1次分散工程を経た前記1次混合物に少なくとも有
    機バインダおよび帯電防止剤を加えた2次混合物を分散
    処理する2次分散工程と、 前記第1の有機溶剤より相対蒸発速度が小さい第2の有
    機溶剤を前記1次混合物および/または前記2次混合物
    に含ませる工程と、 前記2次分散工程の後、前記2次混合物を加熱処理する
    ことによって、前記第1の有機溶剤を選択的に除去する
    除去工程とを備える、セラミックペーストの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の製造方法によって
    得られた、セラミックペースト。
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