JP2002287416A - 可消色性画像の消色方法 - Google Patents

可消色性画像の消色方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙を束にして一度で大量に消色処理すること
ができ、防災、環境汚染防止、臭気対策及び経済性の点
で優れた可消色性画像の消色方法を提供する。 【解決手段】 マトリックス材料を含み、又は含まず、
少なくとも顕色剤、及び、前記顕色剤との分子間相互作
用により発色する呈色性化合物からなる発色状態の可消
色性組成物を含む画像形成材料によって、前記顕色剤と
前記呈色性化合物との分子間相互作用よりも強く前記顕
色剤と分子間相互作用することによって消色作用を示す
画像形成媒体の上に形成された可消色性画像に、消色助
剤の気体を作用させることによって前記顕色剤と前記消
色作用を示す画像形成媒体との分子間相互作用を起こさ
せて前記可消色性画像を消色させることを特徴とする可
消色性画像の消色方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真、熱転写記
録、筆記具、印刷などの方法により画像形成媒体上に形
成された、可消色性組成物を含む画像形成材料からなる
可消色性画像の消色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューター、プリンター、複
写機、ファクシミリなどの普及により、紙による情報の
出力が増加している。紙への出力を削減すべく「情報の
電子化によるペーパーレス化」が叫ばれるものの、視認
性の良さ、高い携帯性、ページめくりによる情報検索の
手軽さなどの特徴から、紙へのハードコピーの要望は絶
えることがない。その結果、紙の原料となる天然資源の
保護及びゴミ処理量の低減・二酸化炭素排出量の削減が
解決すべき課題となるに至っている。従って、「紙の再
生・再利用」は、天然資源の保護及びゴミ処理量の低減
・二酸化炭素排出量の削減の各局面において、極めて今
日的な課題である。
【0003】このような事情から、紙へ印刷・印字する
ための画像形成材料(各種印刷インキ、トナー、ジェッ
トインクなど)を印刷・印字後に無色化する技術は、紙
の再生・再利用を推進する上で極めて重要である。即
ち、従来の紙の再生方法においては、回収紙を水で再解
膠した後、いわゆる「脱墨工程」においてインク部分を
浮遊分離する方法や漂白剤を用いて脱色する方法が用い
られており、これらが、新規に製紙する場合に比べて工
程経費を高くする要因となっている。
【0004】従って、発色状態の呈色性化合物を無色の
消色状態へ変えることのできる可消色性着色剤を用いた
画像形成材料によって印刷された紙は、従来のような手
間の掛かる脱墨工程を経ることなしに、再利用或いは再
生することが可能になると期待される。又、簡便且つ安
全な操作によって可消色性着色剤を用いた画像形成材料
を無色の消色状態にすることができれば、画像が形成さ
れた画像形成媒体(主に紙)を再生することなく、その
まま再利用することも可能となる。
【0005】近年、可消色性着色剤について種々検討が
行われ、熱を加えることにより消色可能な可消色性着色
剤が、例えば、特開平7−81236号公報や特開平1
0−88046号公報に開示されている。前者の公開公
報には、ロイコ染料などの呈色性化合物と、顕色剤と、
消色作用を有する有機リン酸化合物とを含有する可消色
性着色剤が、又、後者の公開公報には、ロイコ染料など
の呈色性化合物と顕色剤との組み合わせに対して、熱を
加えることによって消色作用を示す消色剤としてコール
酸、リトコール酸、テストステロン、コルチゾンなどの
ステロール化合物を使用する可消色性着色剤が開示され
ている。
【0006】又、有機溶剤と接触させることにより消色
可能な可消色性着色剤が、例えば特開2000−109
896号公報に開示されている。この可消色性着色剤
は、ロイコ染料などの呈色性化合物、顕色剤、及び、消
色剤からなるものであり、消色剤として、顕色剤を物理
的又は化学的に吸着することが可能な電子供与性基を有
する高分子化合物(例えば、デンプン、デンプン誘導
体、セルロース誘導体など)を用いることが特徴であ
り、消色助剤としては、エーテル類、ケトン類、エステ
ル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、など
の有機溶剤を用いることができる。
【0007】紙の消費量が多いオフィスで可消色性画像
が形成された紙を消色処理して再利用することを考える
と、防災、環境汚染防止、及び、臭気対策などの点から
消色助剤として有機溶媒を安易に用いることは好ましく
なく、大がかりな密閉循環式の溶剤回収装置付消色装置
が必須となる。このような装置は、導入費用及び運転経
費の点で、可消色性着色剤・画像形成材料の普及を推進
する上で障害となる。又、紙を束にして一度で大量に消
色処理できることが好ましいが、このような大量一括消
色処理を加熱によって行う場合の加熱処理条件及びそれ
に適した可消色性組成物はこれまで検討されていないた
め、良好な消色状態が得られない場合もあることが判っ
てきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、防
災、環境汚染防止、臭気対策、及び経済性の点で優れ、
更に紙を束にして一度で大量に消色処理することのでき
る可消色性画像の消色方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達成される。即ち、本発明は、マトリックス
材料を含み、又は含まず、少なくとも顕色剤、及び、前
記顕色剤との分子間相互作用により発色する呈色性化合
物からなる発色状態の可消色性組成物を含む画像形成材
料によって、前記顕色剤と前記呈色性化合物との分子間
相互作用よりも強く、前記顕色剤と分子間相互作用する
ことによって消色作用を示す画像形成媒体の上に形成さ
れた可消色性画像に、消色助剤の気体を作用させること
によって前記顕色剤と前記消色作用を示す画像形成媒体
との分子間相互作用を起こさせて前記可消色性画像を消
色させることを特徴とする可消色性画像の消色方法であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に発明の好ましい実施の形態
を挙げて本発明を更に詳細に説明する。 [画像形成媒体]本発明において、消色作用を示す画像
形成媒体としては、セルロース繊維からなる通常の紙、
ボール紙、ダンボール紙などの紙を用いることができ
る。紙には表面及び内部にも消色剤は含まれていない。
セルロース繊維からなる通常の紙は、特開2000−1
09896号報に記載のように、顕色剤、及び、前記顕
色剤との分子間相互作用により発色する呈色性化合物か
らなる発色状態の可消色性組成物を、加熱処理又は消色
助剤処理によって消色する作用を示す。
【0011】[画像]本発明において画像とは、画像形
成媒体上に保持された画像形成材料によって構成される
文字、記号、模様、意匠、絵画、写真などを言う。以
下、本発明で用いられる可消色性画像を形成する可消色
性組成物を構成する材料について具体的に説明する。
【0012】[マトリックス材料]可消色性組成物がマ
トリックス材料を含む場合、マトリックス材料として
は、有機高分子化合物又は低分子化合物を使用すること
ができる。以下、必要に応じて、有機高分子化合物から
なるマトリックス材料を高分子マトリックス材料、又、
低分子化合物からなるマトリックス材料を低分子マトリ
ックス材料と呼ぶこととする。本発明で用いられる可消
色性組成物に用いられる高分子マトリックス材料は、可
消色性組成物を画像形成材料として用いる際に通常追加
して使用される結着剤樹脂と同一でも、異なっても良
い。例えば、ジェットインク(インクジェットプリンタ
ー用のインク)のように可消色性組成物からなる粒子
を、そのまま、溶剤(水又は有機溶剤))に分散させた
形態の画像形成材料の場合、画像形成材料として用いる
際に追加して使用される結着剤樹脂乃至分散剤は前記溶
剤に可溶であって、一方、可消色性組成物に用いられる
マトリックス材料は前記溶剤に不溶性・不膨潤性である
ことが必要である。
【0013】又、例えば、オフセットインキのように可
消色性組成物からなる粒子をワニスに分散させて使用す
る場合には、可消色性組成物に用いられるマトリックス
材料は、ワニスの溶剤である亜麻仁油、大豆油、高沸点
の石油系溶剤などに不溶性・不膨潤性であることが必要
である。更に、画像形成材料が、例えば、クレヨン、ク
レパス、熱転写インク、複写機用トナーなどの形態で用
いられる場合には、可消色性組成物に用いられるマトリ
ックス材料は、可消色性組成物を画像形成材料として用
いる際に追加して使用される結着剤樹脂と同一であって
も良い。
【0014】高分子マトリックス材料としては、画像形
成材料のジェットインク、印刷インキなどの使用形態に
応じ、公知の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の中から、
可消色性組成物が色素として発色状態で使用される温度
範囲において、呈色性化合物及び顕色剤を固溶化(溶解
して分子分散させる)することができ、且つ、画像形成
材料としての形態を維持することのできる樹脂を適宜選
択して使用することができ、特に制限されない。
【0015】具体的には、例えば、呈色性化合物として
ロイコ色素、顕色剤としてフェノール化合物を用いる場
合、次のような有機高分子化合物をマトリックス材料と
して好適に使用することができる。即ち、例えば、ケト
ン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン、ポリ(α−
メチルスチレン)、ポリインデン、ポリ(4−メチル−
1−ペンテン)、ポリアセタール、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポ
リ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニ
ル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素
化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテル、ポリ
ビニルエチルエーテル、ポリビニルベンジルエーテル、
ポリビニルメチルケトン、ポリアクリル酸メチル、ポリ
アクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタ
クリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタク
リル酸ベンジル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、
【0016】ポリクロラール、ポリエチレンオキシド、
ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート類
(ビスフェノール類+炭酸)、ポリサルホン、ポリエー
テルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(ジ
エチレングリコール・ビスアリルカーボネート)類、6
−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、6,
12−ナイロン、アルキド樹脂(無水フタル酸+グリセ
リン)、脂肪酸変性アルキド樹脂(脂肪酸+無水フタル
酸+グリセリン)、不飽和ポリエステル樹脂(無水マレ
イン酸+無水フタル酸+プロピレングリコール)、エポ
キシ樹脂(ビスフェノール類+エピクロルヒドリン)、
エポキシ樹脂(クレゾールノボラック+エピクロルヒド
リン)、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、フラ
ン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂など
の樹脂、ポリ(フェニルメチルシラン)などの有機ポリ
シラン、これらの重合体を構成する単量体同士の共重合
体・共重縮合体および有機ポリゲルマンなどを好適に使
用することができる。
【0017】更に、例えば、呈色性化合物としてロイコ
色素、顕色剤としてフェノール化合物を用いて得られる
可消色性組成物からなる粒子を、複写機又はプリンター
用のトナーに用いる場合には、可消色性組成物のマトリ
ックス材料兼画像形成材料の結着剤樹脂として、例え
ば、ポリスチレン、ポリスチレンとアクリル樹脂とのブ
レンドポリマー、スチレン−アクリル系共重合体、ポリ
エステル、エポキシ樹脂などを特に好適に用いることが
できる。ここで、スチレン−アクリル系共重合体を構成
するアクリル系モノマーとしては、例えば、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエ
チル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸
ジエチルアミノプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ブチル、N−(エトキシメチル)アクリ
ルアミド、メタクリル酸エチレングリコール、メタクリ
ル酸4−ヘキサフルオロブチルなどが挙げられる。
【0018】低分子マトリックス材料としては低分子可
塑剤、低分子滑剤、低分子ワックスなどの低分子化合物
を用いることができる。即ち、可消色性組成物が色素と
して発色状態で使用される温度範囲において、呈色性化
合物及び顕色剤を固溶化(溶解し分子分散させる)する
ことができ、且つ、画像形成材料としての形態を維持す
ることのできる低分子化合物を適宜選択して低分子マト
リックス材料として使用することができる。具体的に
は、例えば、呈色性化合物としてロイコ色素、顕色剤と
してフェノール化合物を用いてクレヨンを作成する場
合、低分子化合物(ワックス)として、例えば、1−ド
コサノールを好適に使用することができる。
【0019】[呈色性化合物]本発明で用いられる呈色
性化合物としては、例えば、ロイコオーラミン類、ジア
リールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシ
ルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンB
ラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラ
ン類などの有機化合物を挙げることができる。
【0020】具体的な呈色性化合物として、例えば、ク
リスタルバイオレット・ラクトン(CVL)、マラカイ
トグリーン・ラクトン、2−アニリノ−6−(N−シク
ロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラ
ン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N
−プロピルアミノ)フルオラン、3−[4−(4−フェ
ニルアミノフェニル)アミノフェニル]アミノ−6−メ
チル−7−クロロフルオラン、2−アニリノ−6−(N
−メチル−N−イソブチルアミノ)−3−メチルフルオ
ラン、2−アニリノ−6−(ジブチルアミノ)−3−メ
チルフルオラン、3−クロロ−6−(シクロヘキシルア
ミノ)フルオラン、2−クロロ−6−(ジエチルアミ
ノ)フルオラン、7−(N,N−ジベンジルアミノ)−
3−(N,N−ジエチルアミノ)フルオラン、3,6−
ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4′−ニト
ロアニリノ)ラクタム、3−ジエチルアミノベンゾ
[a]−フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル
−7−アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−キ
シリジノフルオラン、
【0021】3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシ
フェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール
−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチル
アミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルイン
ドール−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7
−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−
7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブ
チル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,6−ジメチルエトキシフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、2−(2
−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
クリスタルバイオレットカルビノール、マラカイトグリ
ーンカルビノール、N−(2,3−ジクロロフェニル)
ロイコオーラミン、N−ベンゾイルオーラミン、ローダ
ミンBラクタム、N−アセチルオーラミン、N−フェニ
ルオーラミン、
【0022】2−(フェニルイミノエタンジリデン)−
3,3−ジメチルインドリン、N,3,3−トリメチル
インドリノベンゾスピロピラン、8′−メトキシ−N,
3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、3
−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3
−ジエチルアミノ−6−ベンジルオキシフルオラン、
1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3,
6−ジ−p−トルイジノ−4,5−ジメチルフルオラ
ン、フェニルヒドラジド−γ−ラクタム、3−アミノ−
5−メチルフルオランなどを好適に使用することができ
る。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いるこ
とができる。言うまでもなく、呈色性化合物を適宜選択
すれば多様な色の発色状態が得られ、マルチカラー化が
可能である。これらの呈色性化合物は、例えば、一例を
以下に化学式で示すように、無色型と発色型の両形態を
とることの可能な互変異性化合物である。
【0023】
【0024】[顕色剤]上記のような互変異性を表す化
学式において、下側に示される分子内塩型の化学構造が
「発色型」に対応することが知られている。そして、こ
のようなイオン性分子内塩型の構造をプロトンの授受乃
至水素結合の形成、或いは金属錯塩の形成によって安定
化することによって、発色型を安定化することのできる
化合物が、いわゆる顕色剤である。本発明で用いられる
顕色剤としては、例えば、フェノール及びフェノール誘
導体、フェノール誘導体の金属塩、フェノール性水酸基
を有するベンゾフェノン誘導体、カルボン酸誘導体の金
属塩、サリチル酸及びサリチル酸金属塩、スルホン酸
類、スルホン酸塩類、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性
リン酸エステル類、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リ
ン酸類、亜リン酸金属塩類、ハロゲン化亜鉛などを挙げ
ることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合
して用いることができる。顕色剤として用いることので
きるフェノール誘導体の具体例を以下に化学式で例示す
る。
【0025】
【0026】これらのフェノール誘導体は、例えば、次
に化学式で示すように発色型の呈色性化合物のカルボン
酸残基と分子間で相互作用して水素結合を形成すること
によって、発色状態を安定化することができる。このよ
うな呈色性化合物と顕色剤の分子間相互作用は、両者が
ともにマトリックス材料中に固溶化(溶解して分子分
散)している場合であっても起こりうる。
【0027】
【0028】[発色及び消色の機構]上記化学式に例示
されるようにマトリックス材料中で呈色性化合物と顕色
剤とが分子間で相互作用し、呈色性化合物が発色型とし
て存在している可消色性組成物を含む画像形成材料が、
前記の消色作用を示す画像形成媒体の表面に付着してい
る場合、或いは、結着剤によって画像形成媒体の表面に
接着されている場合、加熱や消色助剤処理による活性化
が行われなければ、顕色剤と画像形成媒体中の消色作用
を示す部分とは、大部分が離れ離れに存在するため、両
者の分子間相互作用(化学平衡論的には呈色性化合物と
顕色剤の相互作用よりも強い)は、起こり得ず、顕色剤
によって安定化された呈色性化合物の発色状態は維持さ
れる。一方、加熱及び/又は消色助剤処理による活性化
が行われた場合、低分子化合物である顕色剤が可消色性
組成物中を移動(マイグレーション)し、更に、消色性
を示す画像形成媒体の消色作用を発現する部分と分子間
相互作用することが可能となり、結果的に呈色性化合物
は顕色剤を消色性を示す画像形成媒体の消色作用を発現
する部分に奪われたこととなり、呈色性化合物は消色状
態になる。本発明ではこの消色を促進するために後述す
る消色助剤の気体(気体状態の消色助剤)の存在下に加
熱処理することが特徴である。
【0029】[配合比]本発明で用いられる可消色性組
成物は、マトリックス材料を含む場合、少なくとも呈色
性化合物、及び、顕色剤から構成されるが、好ましい配
合比は以下の通りである。マトリックス材料は、呈色性
化合物1重量部に対して通常0.1乃至1000重量
部、好ましくは0.5乃至100重量部、更に好ましく
は1乃至20重量部の割合である。顕色剤は、呈色性化
合物1重量部に対して通常0.1乃至10重量部、好ま
しくは1乃至2重量部の割合である。顕色剤が0.1重
量部未満の場合には、呈色性化合物と顕色剤との相互作
用による粒子状可消色性着色剤の発色が不充分になる。
顕色剤が10重量部を超える場合には両者の相互作用を
充分に減少させることが困難となる。
【0030】消色作用を示す画像形成媒体中の消色成分
(化学構造単位)の顕色剤分子に対するモル比は、消色
処理時に画像形成媒体中に顕色剤が浸透していく領域
中、又は、可消色性画像形成材料中に消色成分が浸透し
ていく領域中において、顕色剤1分子に対して、通常、
5モル比、好ましくは10モル比以上の割合であること
が望ましい。消色成分が5モル比未満では、可消色性組
成物の発色状態を完全に消色状態にさせることが困難に
なる。消色作用を示す画像形成媒体中の消色成分(化学
構造単位)の顕色剤分子に対するモル比に、特に上限は
ない。
【0031】本発明の可消色性色素組成物が、マトリッ
クス材料を含まない場合にも、使用される呈色性化合
物、及び、顕色剤の配合比はマトリックス材料を含む場
合と同じである。しかしながら、マトリックス材料を用
いない場合には、呈色性化合物及び顕色剤の組み合わせ
方の制約として、呈色性化合物と顕色剤は固体状態で互
いに固溶化し、アモルファス状になる組み合わせが好ま
しい。例えば、クリスタルバイオレット・ラクトンとサ
リチル酸亜鉛の組み合わせを挙げることができる。尚、
本発明で用いられる可消色性画像形成材料には、その機
能を損なわない限りにおいて、必要に応じて、低分子化
合物からなる可塑剤、ワックス、滑剤、離型剤、光安定
剤、酸化防止剤、帯電制御剤などの添加剤を適量、含有
させることができる。
【0032】[消色助剤]以上で説明した消色作用を示
す画像形成媒体上に形成された可消色性組成物を含む画
像形成材料からなる可消色性画像の消色には、上記可消
色性画像に作用させることによって消色作用を促進させ
る物質、即ち、消色助剤が使用される。本発明における
消色助剤は、常温で液体又は固体の物質であり、これら
を気体状態で可消色性画像に作用させる。消色助剤単体
では消色作用を示さない物質であっても、その作用によ
って可消色性組成物中の顕色剤が可消色性組成物中を移
動(マイグレーション)する現象が促進され、その結
果、顕色剤と消色作用を示す画像形成媒体とが分子間相
互作用を起こすことを促進することのできるものであれ
ば、消色助剤として用いることができる。可消色性組成
物がマトリックス材料を含む場合、気体状態の消色助剤
はマトリックス材料中に固溶化(固体中に分子分散)
し、可塑化作用を示すものであることが好ましい。又、
可消色性組成物がマトリックス材料を含まない場合は、
気体状態の消色助剤は呈色性化合物と顕色剤との混合物
中に固溶化又は溶解するものであることが好ましい。
【0033】常温、常圧(20℃、1気圧)において気
体として存在するアセチレンやジメチルエーテルなどの
有機化合物を消色助剤として用いることもできるが、こ
れらの気体は可燃性で、更に空気と爆発性混合気体を形
成するため、使用に当たっては窒素ガスなどの不活性気
体を用いて希釈して用いるなどの特別の安全対策を講じ
る必要、及び、安全な用後処理(例えば排ガスの焼却処
理)を行う必要があり実用的とは言えない。
【0034】常温、常圧においては液体として存在する
有機化合物を閉じた容器の中に、例えば前記容器の内容
積の5%乃至50%程度の量で導入し、前記容器を室温
乃至前記液体の沸点未満の温度に保つと、容器中には前
記液体から気化した蒸気が徐々に充満し、やがて平衡状
態に到達する。このようにして発生させた有機溶剤蒸気
(温度は沸点未満)を消色助剤として好適に用いること
ができる。但し、空気と爆発性混合気体を形成するもの
は、防災上、厳重な安全対策を必要とするため実用的で
はない。防災上、及び人体への安全性の点で、「香料」
として用いられる揮発性の有機化合物液体の中から、消
色助剤として安全に利用できるものを選択することがで
きる。
【0035】例えば、3−ヒドロキシ−2−ブタノン
(融点15℃;沸点148℃;急性経口毒性LD50:
>5g/kg(ラット))、アセト酢酸エチル(沸点1
48℃;急性経口毒性LD50:3.98g/kg(ラ
ット))、アセトフェノン(融点20.5℃;沸点20
2℃;急性経口毒性LD50:3.2g/kg(ラッ
ト))、アニスアルデヒド(融点2℃;沸点248℃;
急性経口毒性LD50:1.51g/kg(ラッ
ト))、アニソール(融点−37.3℃;沸点155
℃;急性経口毒性LD50:3.7g/kg(ラッ
ト))、アネトール(融点23℃;沸点234℃;急性
経口毒性LD50:2.09g/kg(ラット))、ア
ンスラニル酸メチル(融点25℃;沸点237℃;急性
経口毒性LD50:2.91g/kg(ラット))、安
息香酸ベンジル(融点19℃;沸点325℃;急性経口
毒性LD50:2.8g/kg(ラット))、
【0036】安息香酸メチル(融点−12.3℃;沸点
199℃;急性経口毒性LD50:1.35g/kg
(ラット))、イソ吉草酸イソアミル(沸点190℃;
急性経口毒性LD50:>5g/kg(ラット))、イ
ソ吉草酸エチル(沸点132℃;急性経口毒性LD5
0:>5g/kg(ラット))、γ−ウンデカラクトン
(沸点286℃;急性経口毒性LD50:18.5g/
kg(ラット))、エチル=3,5,5−トリメチルヘ
キサノエート(急性経口毒性LD50:5.2g/kg
(ラット))、カプリル酸エチル(沸点208℃;急性
経口毒性LD50:2.596g/kg(ラット))、
カプロン酸エチル(沸点167℃;急性経口毒性LD5
0:>5g/kg(ラット))、ケイ皮酸エチル(融点
7.5℃;沸点271℃;急性経口毒性LD50:7.
8g/kg(ラット))、ゲラニオール(沸点230
℃;急性経口毒性LD50:3.6g/kg(ラッ
ト))、
【0037】酢酸オイゲノール(融点29℃;沸点28
2℃;急性経口毒性LD50:2.6g/kg(ラッ
ト))、酢酸ゲラニル(沸点245℃;急性経口毒性L
D50:6.33g/kg(ラット))、酢酸シンナミ
ル(沸点265℃;急性経口毒性LD50:>5g/k
g(ラット))、cis−ジャスモン(沸点248℃;
急性経口毒性LD50:>5g/kg(ラット))、c
is−ヘキセノール(沸点157℃;急性経口毒性LD
50:4.7g/kg(ラット))、ジメチルベンジル
カルビノール(融点24℃;沸点217℃;急性経口毒
性LD50:1.35g/kg(ラット))、2−フェ
ニルエタノール(沸点220℃;急性経口毒性LD5
0:5〜10ml/kg(モルモット))、フェニル酢
酸エチル(沸点228℃;急性経口毒性LD50:>5
g/kg(ラット))、
【0038】プロピオン酸イソアミル(沸点161℃;
急性経口毒性LD50:>5g/kg(ラット))、プ
ロピオン酸エチル(沸点99℃;急性経口毒性LD5
0:3.5g/kg(ラット))、プロピオン酸ベンジ
ル(沸点220℃;急性経口毒性LD50:3.3g/
kg(ラット))、p−メチルアセトフェノン(融点2
8℃;沸点228℃;急性経口毒性LD50:2g/k
g(ウサギ))、N−メチルアントラニル酸メチル(融
点19.5℃;沸点256℃;急性経口毒性LD50:
3.7ml/kg(ラット))などから発生する蒸気を
気体状態の消色助剤として好適に用いることができる。
この場合、液体の沸点が高いと画像形成媒体上に「シ
ミ」として残留するおそれがあるため、液体状態の消色
助剤が直接、画像形成媒体に付着することは避けること
が好ましい。
【0039】常温、常圧においては固体として存在する
有機化合物を閉じた容器の中に、例えば前記容器の内容
積の5%乃至50%程度の量で導入し、前記容器を室温
乃至前記固体の融点未満の温度に保つと、容器中には前
記固体から気化(昇華)した蒸気が徐々に充満し、やが
て平衡状態に到達する。このようにして発生させた固体
有機化合物の蒸気(温度は融点未満)を消色助剤として
好適に用いることができる。但し、ナフタレンのように
昇華性は高いが空気と爆発性混合気体を形成するもの
は、防災上、厳重な安全対策を必要とするため実用的で
はない。防災上、及び人体への安全性の点で、「香料」
として用いられる昇華性の有機化合物固体の中から、消
色助剤として安全に利用できるものを選択することがで
きる。
【0040】例えば、6−アセチル−1,1,2,4,
4,7−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン(融点4
6℃)、クマリン(融点68℃;急性経口毒性LD5
0:293mg/kg(ラット))、ケイ皮酸メチル
(融点38℃;急性経口毒性LD50:2.5g/kg
(ラット))、酢酸イソオイゲノール(融点80℃;急
性経口毒性LD50:3.45g/kg(ラット))、
酢酸ジメチルベンジルカルビニル(融点30℃;ライラ
ック系香料;急性経口毒性LD50:3.3g/kg
(ラット))、2−エトキシナフタレン(融点37℃;
急性経口毒性LD50:3.11g/kg(ラッ
ト))、2−メトキシナフタレン(融点72℃;急性経
口毒性LD50:5g/kg(ラット))、ボルネオー
ル(融点206〜208℃;急性経口毒性LD50:
6.5g/kg(ラット))、マントール(融点161
〜162℃;93℃以上で昇華;急性経口毒性LD5
0:2.33g/kg(ラット))、メントール(融点
43〜45℃;急性経口毒性LD50:3.18g/k
g(ラット))、などから昇華して発生する蒸気を気体
状態の消色助剤として好適に用いることができる。
【0041】その他、室温で固体の有機化合物であっ
て、消色助剤として作用するものを例示すると、例え
ば、ベンゾフェノン(融点48.5℃;急性経口毒性L
D50:>10g/kg(ラット))、4,4′−ビス
(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(融点94℃)、
4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(融
点174℃)、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン
(融点145℃)、4,4′−ジメチルベンゾフェノン
(融点95℃)、4−メトキシベンゾフェノン(融点6
0℃)、4−メチルベンゾフェノン(融点56℃)、2
−n−プロポキシナフタレン(融点40℃)、2,7−
ジメトキシナフタレン(融点139℃)などの置換基を
有しても良い芳香族炭化水素化合物、3−アセチルクマ
リン(融点122℃)、5,7−ジメトキシクマリン
(融点146℃)、6,7−ジメトキシー4−メチルク
マリン(融点139℃)、7−エトキシクマリン(融点
90℃)などの置換基を有しても良い芳香族複素環化合
物、樟脳(融点179℃)、カンフェン(融点51.2
℃)、トリシクレン(融点68℃)などのテルペン類、
ヒノキチオール(融点52℃)、ヒノキチオールの誘導
体、2−ノルボルナノン(別名、ノルカンファー;融点
95℃)などの脂肪族環状ケトンなどを挙げることがで
きる。
【0042】[消色処理の温度]可消色性画像を形成し
ている可消色性組成物に気体状態の消色助剤が固溶化す
ることによって、消色助剤を含む可消色性組成物の軟化
点又は融点は、消色助剤を含まない可消色性組成物の場
合よりも低くなる。従って、気体状態の消色助剤を用い
て消色を行う場合の温度の目安としては、「消色助剤を
含む又は含まない可消色性組成物の軟化点又は融点」を
推奨することができる。消色助剤を含む可消色性組成物
の軟化点又は融点とは、消色助剤の気体が存在する状態
における消色助剤が固溶化又は溶解した可消色性組成物
の軟化点又は融点を意味し、消色助剤を含まない可消色
性組成物の軟化点又は融点とは、消色助剤の気体が存在
しない状態における可消色性組成物そのものの軟化点又
は融点を意味する。
【0043】加熱に要するエネルギーを低減させるため
には、できる限り低い温度が好ましい。それには、「消
色助剤を含まない可消色性組成物の軟化点又は融点」を
上限として、最適な消色処理の温度を実験的に求めれば
良い。一方、可消色性画像及び画像形成媒体を構成する
成分の熱分解開始温度の内、最も低い温度を超えない温
度を消色処理の温度の上限とする。言うまでもなく、こ
の上限温度を超えると、可消色性画像及び画像形成媒体
を構成する成分のいずれかが非可逆的な熱分解反応を起
こしてしまうため、再利用・再生が困難となる。
【0044】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳しく説明する。文中の「部」は重量基準である。
【0045】実施例1 呈色性化合物として感熱色素Blue63(山本化成株
式会社製)4重量部、顕色剤として没食子酸プロピル2
重量部、マトリックス樹脂として93重量部のポリスチ
レン、及び、帯電制御剤としてLR−147(日本カー
リット株式会社製)1重量部を予め混合し、ニーダーを
用いて90℃を越えない温度で充分に混練りし、青色に
発色した可消色性色素組成物を製造した。この可消色性
色素組成物の軟化点を環球法(日本工業規格K240
6)で測定したところ76℃であった。
【0046】以上のように製造された可消色性色素組成
物(マトリックス樹脂を含有するもの)を粉砕機により
粉砕して平均粒径12マイクロメートルの粉体を得た。
この粉体100重量部に対して1重量部の疎水性シリカ
を添加してトナーを調製した。得られたトナーを電子写
真方式複写機のトナーカートリッジに入れ、試験用画像
(テストチャート)を複写機用中性紙(反射率0.0
8)に転写した。得られた画像は充分な画像濃度であ
り、通常の使用条件で高い耐久性を示し、又、100℃
で30分間加熱しても画像は維持された。即ち、消色助
剤が存在しない場合、軟化点(この場合76℃)よりも
ある程度高い温度まで加熱しても、短時間では消色が進
行しないことが判った。
【0047】この可消色性画像は150℃以上まで加熱
するか、或いは、以下に述べるような気体状態の消色助
剤の存在下、70℃乃至80℃に加熱することで消色す
ることができる。上記の青色可消色性組成物からなるト
ナーによってコピー画像が形成された紙100枚を、束
ねた状態でステンレス製蓋付バット(シリコーンゴムパ
ッキン付;内寸260mm×230mm×40mm)に
入れ、その上に、酢酸イソオイゲノール(融点80℃)
10gを入れたガラスシャーレを乗せ、蓋付バットの蓋
を閉じて密閉してから75℃に温度調節された送風式恒
温器(ヤマト科学製DN83型)に入れ、同温度で12
時間放置した後、4時間を要して室温まで冷却してから
取り出した。その結果、100枚の紙に形成されたコピ
ー画像は全て消色され、肉眼では確認できなくなった。
消色後の可消色性画像記録紙各々の反射濃度を測定した
ところ、全て0.10であった。即ち、優れた消色特性
を発揮することが確認された。
【0048】上記の加熱消色によってコピー画像が消色
された紙を60℃で300時間放置したが、画像が再び
現れることはなかった。尚、前記ステンレス製蓋付バッ
トを室温まで冷却する際、恒温器から取り出して急激に
冷却すると酢酸イソオイゲノールの微結晶がステンレス
製蓋付バットの内壁全面に析出してしまうが、恒温器中
から取り出さずに恒温器内部の温度をプログラム温度制
御によってゆっくり冷却させると、ガラスシャーレ中に
残存した結晶を「種」として、それらの周囲に集中的に
結晶化が起こるため、容器内壁を汚染することなく回収
することが可能になる。
【0049】可消色性画像を上記の方法で処理して消色
した紙に、別の画像を転写し、気体の消色助剤の存在下
加熱処理で消色するプロセスを9回繰り返した。その後
に転写した10回目の画像は1回目の画像と同等の品質
であった。更に、コピー及び消色を50回まで繰り返し
た。その結果、紙は機械的に痛んだが、コピーされた画
像の品質及び消色状態の品質は良好であった。
【0050】実施例2 呈色性化合物として感熱色素Blue63(山本化成株
式会社製)4重量部、顕色剤として没食子酸プロピル2
重量部、マトリックス樹脂として93重量部のポリスチ
レン、及び、帯電制御剤としてLR−147(日本カー
リット株式会社製)1重量部を予め混合し、この混合物
をバンバリーミキサーを用いて混練りしたところ、摩擦
熱により約2分で溶融・流動状態となった。混練り物を
冷却して取り出し、青色に発色した可消色性色素組成物
を得た。この可消色性色素組成物の軟化点を環球法(日
本工業規格K2406)で測定したところ78℃であっ
た。
【0051】以上のように製造された可消色性色素組成
物を粉砕機により粉砕して平均粒径12マイクロメート
ルの粉体を得た。この粉体100重量部に対して1重量
部の疎水性シリカを添加してトナーを調製した。得られ
たトナーを電子写真方式複写機のトナーカートリッジに
入れ、試験用画像(テストチャート)を複写機用中性紙
(反射率0.08)に転写した。得られた画像は充分な
画像濃度であり、通常の使用条件で高い耐久性を示し、
又、100℃で30分間加熱しても画像は維持された。
この可消色性画像は190℃以上まで加熱するか、或い
は、以下に述べるような気体の消色助剤の存在下、70
℃乃至80℃に加熱することで消色することができる。
【0052】上記の青色可消色性組成物からなるトナー
によってコピー画像が形成された紙100枚を、束ねた
状態でステンレス製蓋付バット(シリコーンゴムパッキ
ン付;内寸260mm×230mm×40mm)に入
れ、その上に、p−メチルアセトフェノン(融点28
℃;沸点228℃)10gを入れたガラスシャーレを乗
せ、蓋付バットの蓋を閉じて密閉してから75℃に温度
調節された送風式恒温器(ヤマト科学製DN83型)に
入れ、同温度で12時間放置した後、1時間を要して室
温まで冷却してから取り出した。その結果、100枚の
紙に形成されたコピー画像は全て消色され、肉眼では確
認できなくなった。消色後の可消色性画像記録紙各々の
反射濃度を測定したところ、全て0.10であった。即
ち、優れた消色特性を発揮することが確認された。加熱
消色によってコピー画像が消色された紙を60℃で30
0時間放置したが、画像が再び現れることはなかった。
可消色性画像を上記の方法で処理で消色した紙に、別の
画像を転写し、気体の消色助剤の存在下加熱処理で消色
するプロセスを9回繰り返した。その後に転写した10
回目の画像は1回目の画像と同等の品質であった。更
に、コピー及び消色を50回まで繰り返した。その結
果、紙は機械的に痛んだが、コピーされた画像の品質及
び消色状態の品質は良好であった。
【0053】実施例3 実施例2で使用した可消色性組成物混練り物をカッター
刃回転式粉砕機で粒子外径1mmまで粗粉砕し、次い
で、これをサイクロン式分級機を備えた循環式エアジェ
ット粉砕機で最大粒子径4μm以下まで粉砕し、更に、
これを別のサイクロン式分級機を用いて分級し、数平均
粒子径1.0μm且つ体積平均粒子径2.0μmの微粒
子として可消色性着色剤を得た。この微粒子状可消色性
着色剤20部を結着剤としてメタクリル酸メチル−アク
リル酸ブチル−アクリル酸(アンモニウム塩)共重合体
20重量部を含み、他にノニオン系分散剤2重量部、プ
ロピレングリコール10重量部、及び、水48重量部を
含む結着剤溶液へ、3本ロールを用いて分散させ、可消
色性水性着色剤を作成した。
【0054】バーコーターを用いてこの可消色性水性着
色剤を複写機用中性紙(反射率0.08)の片面全面に
塗工し、乾燥し、いわゆる「ベタ塗り」の画像を形成し
た。このような片面塗工紙を100枚作成し、束ねた状
態でステンレス製蓋付バット(シリコーンゴムパッキン
付;内寸260mm×230mm×40mm)に入れ、
その上に、2−メトキシナフタレン(融点72℃)10
gを入れたガラスシャーレを乗せ、蓋付バットの蓋を閉
じて密閉してから70℃に温度調節された送風式恒温器
(ヤマト科学製DN83型)に入れ、同温度で12時間
放置した後、4時間を要して室温まで冷却してから取り
出した。その結果、100枚の紙に形成された「ベタ塗
り」画像は全て消色され、肉眼では確認できなくなっ
た。消色後の可消色性画像形成紙各々の反射濃度を測定
したところ、全て0.09であった。即ち、優れた消色
特性を発揮することが確認された。
【0055】加熱消色によってコピー画像が消色された
紙を60℃で300時間放置したが、画像が再び現れる
ことはなかった。尚、前記ステンレス製蓋付バットを室
温まで冷却する際、恒温器から取り出して急激に冷却す
ると2−メトキシナフタレンの微結晶がステンレス製蓋
付バットの内壁全面に析出してしまうが、恒温器中から
取り出さずに恒温器内部の温度をプログラム温度制御に
よってゆっくり冷却させると、ガラスシャーレ中に残存
した結晶を「種」として、それらの周囲に集中的に結晶
化が起こるため、容器内壁を汚染することなく回収する
ことが可能になる。
【0056】可消色性画像を上記の方法で処理して消色
した紙に、再度、バーコーターを用いて上記の可消色性
水性着色剤を塗工し、乾燥して「ベタ塗り」画像を形成
し、気体の消色助剤の存在下加熱処理で消色するプロセ
スを9回繰り返した。その後に塗工して形成させた10
回目の「ベタ塗り」画像は1回目の画像と同等の品質で
あった。更に、画像形成及び消色を50回まで繰り返し
た。その結果、紙は機械的に痛んだが、「ベタ塗り」画
像の品質及び消色状態の品質は良好であった。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の可消色性
画像の消色方法によれば、紙の上に形成された可消色性
画像を優れた消色特性で消色し、紙を再利用することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 AA25 AA29 CA14 CA15 CA21 EA03 2H085 BB02 BB24 DD03 DD42 2H086 BA02 BA21 2H134 PA07 PA10 PB10 PB15 PE02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックス材料を含み、又は含まず、
    少なくとも顕色剤、及び、前記顕色剤との分子間相互作
    用により発色する呈色性化合物からなる発色状態の可消
    色性組成物を含む画像形成材料によって、前記顕色剤と
    前記呈色性化合物との分子間相互作用よりも強く、前記
    顕色剤と分子間相互作用することによって消色作用を示
    す画像形成媒体の上に形成された可消色性画像に、消色
    助剤の気体を作用させることによって前記顕色剤と前記
    消色作用を示す画像形成媒体との分子間相互作用を起こ
    させて前記可消色性画像を消色させることを特徴とする
    可消色性画像の消色方法。
  2. 【請求項2】 前記消色助剤の気体は、固体の消色助剤
    の昇華によって発生させる請求項1に記載の可消色性画
    像の消色方法。
  3. 【請求項3】 前記の画像形成媒体が、消色剤を有さぬ
    セルロース繊維製である請求項1又は2に記載の可消色
    性画像の消色方法。
  4. 【請求項4】 可消色性画像が形成された画像形成媒体
    を、下記温度の中から選択される温度を下限とし、可消
    色性画像及び画像形成媒体を構成する成分の熱分解開始
    温度の内、最も低い温度を超えない温度を上限とする温
    度範囲に加熱することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の可消色性画像の消色方法。 (1)前記消色助剤の気体の存在下における可消色性組
    成物の軟化点又は融点、(2)前記消色助剤の気体の不
    存在下における可消色性組成物の軟化点又は融点。
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