JP4128754B2 - 可消色性画像の消色方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、熱転写記録、筆記具、印刷などの方法により画像形成媒体上に形成された、可消色性組成物を含む画像形成材料からなる可消色性画像の消色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューター、プリンター、複写機、ファクシミリなどの普及により、紙による情報の出力が増加している。紙への出力を削減すべく「情報の電子化によるペーパーレス化」が叫ばれるものの、視認性の良さ、高い携帯性、ページめくりによる情報検索の手軽さ、などの特徴から、紙へのハードコピーの要望は絶えることがない。その結果、紙の原料となる天然資源の保護及びゴミ処理量の低減・二酸化炭素排出量の削減が解決すべき課題となるに至っている。従って、「紙の再生・再利用」は、天然資源の保護及びゴミ処理量の低減・二酸化炭素排出量の削減の各局面において、極めて今日的な課題である。
【0003】
このような事情から、紙へ印刷・印字するための画像形成材料(各種印刷インキ、トナー、ジェットインクなど)を印刷・印字後に無色化する技術は、紙の再生・再利用を推進する上で極めて重要である。即ち、従来の紙の再生方法においては、回収紙を水で再解膠した後、いわゆる「脱墨工程」においてインク部分を浮遊分離する方法や漂白剤を用いて脱色する方法が用いられており、これらが、新規に製紙する場合に比べて工程経費を高くする要因となっている。
【0004】
従って、発色状態の呈色性化合物を無色の消色状態へ変えることのできる可消色性着色剤を用いた画像形成材料によって印刷された紙は、従来のような手間の掛かる脱墨工程を経ることなしに、再利用或いは再生することが可能になると期待される。又、簡便且つ安全な操作によって可消色性着色剤を用いた画像形成材料を無色の消色状態にすることができれば、画像が形成された画像形成媒体(主に紙)を再生することなく、そのまま再利用することも可能となる。
【0005】
近年、可消色性着色剤について種々検討が行われ、熱を加えることにより消色可能な可消色性着色剤が、例えば、特開平7−81236号公報や特開平10−88046号公報に開示されている。前者の公開公報には、ロイコ染料などの呈色性化合物と、顕色剤と、消色作用を有する有機リン酸化合物とを含有する可消色性着色剤が、又、後者の公開公報には、ロイコ染料などの呈色性化合物と顕色剤との組み合わせに対して、熱を加えることによって消色作用を示す消色剤としてコール酸、リトコール酸、テストステロン、コルチゾンなどのステロール化合物を使用する可消色性着色剤が開示されている。
【0006】
又、有機溶剤と接触させることにより消色可能な可消色性着色剤が、例えば特開2000−109896号公報に開示されている。この可消色性着色剤は、ロイコ染料などの呈色性化合物、顕色剤、及び、消色剤からなるものであり、消色剤として、顕色剤を物理的又は化学的に吸着することが可能な電子供与性基を有する高分子化合物(例えば、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体など)を用いることが特徴であり、消色助剤としては、エーテル類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、などの有機溶剤を用いることができる。
【0007】
紙の消費量が多いオフィスで可消色性画像が形成された紙を消色処理して再利用することを考えると、防災、環境汚染防止、及び、臭気対策などの点から消色助剤として有機溶媒を安易に用いることは好ましくなく、大がかりな密閉循環式の溶剤回収装置付消色装置が必須となる。このような装置は、導入費用及び運転経費の点で、可消色性着色剤・画像形成材料の普及を推進する上で障害となる。又、紙を束にして一度で大量に消色処理できることが好ましいが、このような大量一括消色処理を加熱によって行う場合の加熱処理条件及びそれに適した可消色性組成物はこれまで検討されていないため、良好な消色状態が得られない場合もあることが判ってきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、防災、環境汚染防止、臭気対策、及び、経済性の点で優れ、更に、紙を束にして一度で大量に消色処理することのできる可消色性画像の消色方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、マトリックス材料を含み、又は含まず、少なくとも顕色剤、前記顕色剤との分子間相互作用により発色する呈色性化合物、及び、前記顕色剤と前記呈色性化合物との分子間相互作用よりも強く、前記顕色剤と分子間相互作用する消色剤とからなる発色状態の可消色性組成物を含む画像形成材料によって画像形成媒体上に形成された可消色性画像に、固体からの昇華によって発生させた消色助剤の気体を作用させることによって前記顕色剤と前記消色剤との分子間相互作用を起こさせて前記可消色性画像を消色させることを特徴とする可消色性画像の消色方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[画像形成媒体]
本発明において、画像形成媒体は、画像形成材料を保持する媒体として用いることのできるものであれば、素材及び形態に特に制限はなく、例えば、通常の紙、ボール紙、段ボール、合成紙(樹脂ペーパー)、木材、皮革、合成皮革、織物、布、プラスチック成型品、プラスチックフィルム、金属、ガラスなどを用いることができる。
【0011】
[画像]
本発明において画像とは、画像形成媒体上に保持された画像形成材料によって構成される文字、記号、模様、意匠、絵画、写真などを言う。
以下、本発明で用いられる可消色性画像を形成する可消色性組成物を構成する材料について具体的に説明する。
【0012】
[マトリックス材料]
可消色性組成物がマトリックス材料を含む場合、マトリックス材料としては、有機高分子化合物又は低分子化合物を使用することができる。以下、必要に応じて、有機高分子化合物からなるマトリックス材料を高分子マトリックス材料、又、低分子化合物からなるマトリックス材料を低分子マトリックス材料と呼ぶこととする。
本発明で可消色性組成物に用いられる高分子マトリックス材料は、可消色性組成物を画像形成材料として用いる際に通常追加して使用される結着剤樹脂と同一でも、異なっても良い。
【0013】
例えば、ジェットインク(インクジェットプリンター用のインク)のように可消色性組成物からなる粒子を、そのまま、溶剤(水又は有機溶剤))に分散させた形態の画像形成材料の場合、画像形成材料として用いる際に追加して使用される結着剤樹脂乃至分散剤は前記溶剤に可溶であって、一方、可消色性組成物に用いられるマトリックス材料は前記溶剤に不溶性・不膨潤性であることが必要である。
又、例えば、オフセットインキのように可消色性組成物からなる粒子をワニスに分散させて使用する場合には、可消色性組成物に用いられるマトリックス材料は、ワニスの溶剤である亜麻仁油、大豆油、高沸点の石油系溶剤などに不溶性・不膨潤性であることが必要である。
更に、画像形成材料が、例えば、クレヨン、クレパス、熱転写インク、複写機用トナーなどの形態で用いられる場合には、可消色性組成物に用いられるマトリックス材料は、可消色性組成物を画像形成材料として用いる際に追加して使用される結着剤樹脂と同一であっても良い。
【0014】
高分子マトリックス材料としては、画像形成材料のジェットインク、印刷インキなどの使用形態に応じ、公知の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の中から、可消色性組成物が色素として発色状態で使用される温度範囲において、呈色性化合物及び顕色剤を固溶化(溶解して分子分散させる)することができ、且つ、消色剤を微粒子乃至ミクロ相分離状態として分散させることができ、更に画像形成材料としての形態を維持することのできる樹脂を適宜選択して使用することができ、特に制限されない。
【0015】
具体的には、例えば、呈色性化合物としてロイコ色素、顕色剤としてフェノール化合物、消色剤としてデンプンを用いる場合、次のような有機高分子化合物をマトリックス材料として好適に使用することができる。即ち、例えば、ケトン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリインデン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルベンジルエーテル、ポリビニルメチルケトン、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、
【0016】
ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸ベンジル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリクロラール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート類(ビスフェノール類+炭酸)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(ジエチレングリコール・ビスアリルカーボネート)類、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、6,12−ナイロン、アルキド樹脂(無水フタル酸+グリセリン)、脂肪酸変性アルキド樹脂(脂肪酸+無水フタル酸+グリセリン)、不飽和ポリエステル樹脂(無水マレイン酸+無水フタル酸+プロピレングリコール)、エポキシ樹脂(ビスフェノール類+エピクロルヒドリン)、エポキシ樹脂(クレゾールノボラック+エピクロルヒドリン)、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、フラン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの樹脂、ポリ(フェニルメチルシラン)などの有機ポリシラン、これらの重合体・重縮合体を構成する単量体同士の共重合体・共重縮合体および有機ポリゲルマンなどが好適に使用することができる。
【0017】
更に、例えば、呈色性化合物としてロイコ色素、顕色剤としてフェノール化合物、消色剤としてデンプンを用いて得られる可消色性組成物からなる粒子を、複写機又はプリンター用のトナーに用いる場合には、可消色性組成物のマトリックス材料兼画像形成材料の結着剤樹脂として、例えば、ポリスチレン、ポリスチレンとアクリル樹脂とのブレンドポリマー、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂などを特に好適に用いることができる。ここで、スチレン−アクリル系共重合体を構成するアクリル系モノマーとしては、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、メタクリル酸エチレングリコール、メタクリル酸4−ヘキサフルオロブチルなどが挙げられる。
【0018】
低分子マトリックス材料としては低分子可塑剤、低分子滑剤、低分子ワックスなどの低分子化合物を用いることができる。即ち、可消色性組成物が色素として発色状態で使用される温度範囲において、呈色性化合物及び顕色剤を固溶化(溶解し分子分散させる)することができ、且つ、消色剤を微粒子乃至ミクロ相分離状態として分散させることができ、更に画像形成材料としての形態を維持することのできる低分子化合物を適宜選択して低分子マトリックス材料として使用することができる。
具体的には、例えば、呈色性化合物としてロイコ色素、顕色剤としてフェノール化合物、消色剤としてデンプンを用いてクレヨンを作成する場合、低分子化合物(ワックス)として、例えば、1−ドコサノールを好適に使用することができる。
【0019】
[呈色性化合物]
本発明で用いられる呈色性化合物としては、例えば、ロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類などの有機化合物を挙げることができる。
具体的な呈色性化合物として、例えば、クリスタルバイオレット・ラクトン(CVL)、マラカイトグリーン・ラクトン、2−アニリノ−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−プロピルアミノ)フルオラン、3−[4−(4−フェニルアミノフェニル)アミノフェニル]アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−アニリノ−6−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−アニリノ−6−(ジブチルアミノ)−3−メチルフルオラン、3−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)フルオラン、
【0020】
2−クロロ−6−(ジエチルアミノ)フルオラン、7−(N,N−ジベンジルアミノ)−3−(N,N−ジエチルアミノ)フルオラン、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4′−ニトロアニリノ)ラクタム、3−ジエチルアミノベンゾ[a]−フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−キシリジノフルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ジメチルエトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、クリスタルバイオレットカルビノール、マラカイトグリーンカルビノール、N−(2,3−ジクロロフェニル)ロイコオーラミン、
【0021】
N−ベンゾイルオーラミン、ローダミンBラクタム、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−ジメチルインドリン、N,3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、8′−メトキシ−N,3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−ベンジルオキシフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3,6−ジ−p−トルイジノ−4,5−ジメチルフルオラン、フェニルヒドラジド−γ−ラクタム、3−アミノ−5−メチルフルオランなどを好適に使用することができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。言うまでもなく、呈色性化合物を適宜選択すれば多様な色の発色状態が得られ、マルチカラー化が可能である。
【0022】
これらの呈色性化合物は、例えば、一例を以下に化学式で示すように、無色型と発色型の両形態をとることの可能な互変異性化合物である。
Figure 0004128754
【0023】
[顕色剤]
上記のような互変異性を表す化学式において、下側に示される分子内塩型の化学構造が「発色型」に対応することが知られている。そして、このようなイオン性分子内塩型の構造をプロトンの授受乃至水素結合の形成、或いは金属錯塩の形成によって安定化することによって、発色型を安定化することのできる化合物が、いわゆる顕色剤である。
本発明で用いられる顕色剤としては、例えば、フェノール及びフェノール誘導体、フェノール誘導体の金属塩、フェノール性水酸基を有するベンゾフェノン誘導体、カルボン酸誘導体の金属塩、サリチル酸及びサリチル酸金属塩、スルホン酸類、スルホン酸塩類、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル類、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類、ハロゲン化亜鉛などを挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
顕色剤として用いることのできるフェノール誘導体の具体例を以下に化学式で例示する。
Figure 0004128754
【0025】
これらのフェノール誘導体は、例えば、次に化学式で示すように発色型の呈色性化合物のカルボン酸残基と分子間で相互作用して水素結合を形成することによって、発色状態を安定化することができる。このような呈色性化合物と顕色剤の分子間相互作用は、両者がともにマトリックス材料中に固溶化(溶解して分子分散)している場合であっても起こりうる。
Figure 0004128754
【0026】
[発色及び消色の機構]
上記化学式に例示されるようにマトリックス材料中で呈色性化合物と顕色剤とが分子間で相互作用し、呈色性化合物が発色型になった系において、消色剤が、(1)非晶性(アモルファス)で、マトリックス材料中にミクロ相分離した微粒子状態で存在している場合、及び、(2)結晶性で、マトリックス材料中に微結晶として分散している場合、加熱や消色助剤処理による活性化が行われなければ、顕色剤と消色剤との分子間相互作用(化学平衡論的には呈色性化合物と顕色剤の相互作用よりも強い)は、速度論的制御によって凍結されて事実上起こり得ず、顕色剤によって安定化された呈色性化合物の発色状態は維持される。一方、加熱及び/又は消色助剤処理による活性化が行われれた場合、低分子化合物である顕色剤が可消色性組成物中を移動(マイグレーション)し、更に、微結晶又はミクロ相分離状態で存在する消色剤の消色作用を発現する部分と分子間相互作用することが可能となり、結果的に呈色性化合物は顕色剤を消色剤に奪われたこととなり、呈色性化合物は消色状態になる。消色助剤処理は、気体状態の消色助剤を発色状態の可消色性組成物と接触させることで行われる。
【0027】
[消色剤]
本発明において消色剤とは、呈色性化合物と顕色剤の分子間相互作用よりも強く、顕色剤との間で分子間相互作用する化合物であって、且つ、可消色性組成物の発色状態においてはマトリックス材料中に、又、消色状態においては溶融又は膨潤又は溶解した混合物中に微粒子(消色剤が結晶の場合)乃至ミクロ相分離状態(消色剤がアモルファス状態の場合)として分散して存在することが可能な化合物である。
消色剤と顕色剤の間に働きうる分子間相互作用としては、水素結合、イオン結合、疎水性結合、立体化学的な包接現象などを利用することができる。即ち、分子中に1個以上のアルコール性水酸基、遊離のカルボン酸基、カルボン酸塩残基、環式飽和炭化水素残基、などを有する化合物の中から、使用するマトリックス材料への溶解性及びその温度依存性を目安として、消色剤として利用可能なものを選択することができる。
【0028】
本発明で使用される消色剤の具体例を以下に列挙して示す。
(1)コール酸、リトコール酸、テストステロン及びコルチゾン、並びにこれらの誘導体。具体例としては、コール酸、コール酸メチルエステル、リトコール酸、リトコール酸メチルエステル、ヒドロキシコール酸、ヒドロキシコール酸メチルエステル、テストステロン、メチルテストステロン、11α−ヒドロキシメチルテストステロン、ヒドロコルチゾンなどが挙げられる。これらの内でも特に2個以上のヒドロキシル基を有するものが好ましい。
【0029】
(2)1個以上のアルコール性水酸基を有する5員環以上の非芳香族系の環状化合物。尚、これらの化合物の融点は50℃以上であることが好ましい。具体例としては、脂環式1価アルコール(例えばシクロドデカノールなど)、脂環式2価アルコール(例えば1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロドデカンジオールなど)、糖類及びその誘導体(例えば、グルコース、サッカロースなど)、環状構造を有するアルコール類(例えば1,2:5,6−ジイソプロピリデン−D−マンニトールなど)などが挙げられる。
【0030】
(3)上記のような1個以上のアルコール性水酸基を有する5員環以上の非芳香族系の環状化合物と、ステロール化合物との併用。ステロール化合物を単独で用いると、加熱処理によって消色した状態から冷却した際、消色剤が再び相分離して、発色状態が再現してしまうことがあり得るが、1個以上のアルコール性水酸基を有する5員環以上の非芳香族系の環状化合物を併用すると、これが界面活性剤的に作用して消色剤成分の相分離が抑制され、消色状態が安定化される。
【0031】
ステロール化合物の具体例としては、コレステロール、スチグマステロール、プレグネノロン、メチルアンドロステンジオール、エストラジオール・ベンゾエート、エピアンドロステン、ステノロン、β−シトステロール、プレグネノロン・アセテート、β−コレステロール、5,16−プレグナジエン−3β−オール−20−オン、5α−プレグネン−3β−オール−20−オン、5−プレグネン−3β,17−ジオール−20−オン・21−アセテート、5−プレグネン−3β,17−ジオール−20−オン・17−アセテート、5−プレグネン−3β,21−ジオール−20−オン・21−アセテート、5−プレグネン−3β,17−ジオール・ジアセテート、ロコゲニン、チゴゲニン、エスミラゲニン、ヘコゲニン、ジオスゲニン及びその誘導体などが挙げられる。
【0032】
(4)環式糖アルコールと、環式糖アルコール以外のアルコール性水酸基を有する5員環以上の非芳香族環式化合物又は環式糖アルコールの誘導体との併用。
環式糖アルコールの具体例としては、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ソルボース、L−ラムノース、L−フコース、D−リボデソース、α−D−グルコース=ペンタアセテート、アセトグルコース、ジアセトン−D−グルコース、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−グルコサミン、D−フルクトサミン、D−イソ糖酸、ビタミンC、エルトルビン酸、トレハロース、サッカロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、スタキオース、メチル=α−グルコピラノシド、サリシン、アミグダリン、オイキサンチン酸などが挙げられる。
【0033】
環式糖アルコール以外のアルコール性水酸基を有する5員環以上の非芳香族環式化合物又は環式糖アルコールの誘導体の具体例としては、脂環式1価アルコール、例えば、シクロドデカノール、ヘキサヒドロサリチル酸、メントール、イソメントール、ネオメントール、ネオイソメントール、カルボメントール、α−カルボメントール、ピペリトール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、1−p−メンテン−4−オール、イソプレゴール、ジヒドロカルベオール、カルベオールなど;脂環式多価アルコール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、フロログルシトール、クエルシトール、イノシトール、1,2−シクロドデカンジオール、キナ酸、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ピノールヒドラート、ベツリンなど;多環式アルコール誘導体、例えば、ボルネオール、イソボルネオール、アダマンタノール、ノルボルネオール、フェンコール、ショウノウ、イソソルバイド;環式糖アルコールの誘導体、例えば、1,2:5,6−ジイソプロピリデン−D−マンニトールなどを挙げることができる。
【0034】
(5)高分子消色剤としては、例えば、糖骨格を有する高分子化合物、ポリアミノ酸、ヒドロキシル基を有する高分子化合物、アミノ基を有する高分子化合物、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル及びこれらの構成単量体同士の共重合体などを好適に用いることができる。高分子消色剤の平均分子量は800以上、より好ましくは10000以上である。糖骨格を有する高分子化合物に関しては、800以上の平均分子量は三糖類以上に相当する。
【0035】
糖骨格を有する高分子化合物としては、デンプン、例えば、α−デンプン、β−デンプン、コーンスターチ、馬鈴薯スターチ、片栗粉など;デンプンを主成分とする穀物粉体、例えば小麦粉、大麦粉、らい麦粉、米粉など;デンプンの誘導体、例えば、メチル化スターチ、エチル化スターチ、アセチル化スターチ、ニトロ化スターチなど;セルロース;セルロース誘導体、例えば、酢酸セルロース、メチル化セルロース、エチル化セルロース、ニトロ化セルロースなど;多糖類及びその誘導体、例えば、デキストリン(糊精)、デキストラン、マンナン、アミロペクチン、アミロース、キシラン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、キチン、ヘミセルロース、ペクチン、植物ゴム、アガロース、カラゲニン、サポニンなどが挙げられる。
本発明で使用される好ましい消色剤としては、例えば、コーンスターチ、タピオカスターチなどのデンプン、疎水化デンプン、デキストリン、シクロデキストリンなどを用いることができる。
【0036】
[配合比]
本発明で用いられる可消色性組成物は、マトリックス材料を含む場合、少なくとも呈色性化合物、顕色剤、及び、消色剤から構成されるが、好ましい配合比は以下の通りである。
マトリックス材料は、呈色性化合物1重量部に対して通常0.1乃至1000重量部、好ましくは0.5乃至100重量部、更に好ましくは1乃至20重量部の割合である。顕色剤は、呈色性化合物1重量部に対して通常0.1乃至10重量部、好ましくは1乃至2重量部の割合である。顕色剤が0.1重量部未満の場合には、呈色性化合物と顕色剤との相互作用による可消色性組成物の発色が不充分になる。顕色剤が10重量部を超える場合には両者の相互作用を充分に減少させることが困難となる。消色剤は、呈色性化合物1重量部に対して、通常、1乃至200重量部、好ましくは10乃至100重量部の割合である。消色剤が1重量部未満では、可消色性組成物の発色状態と消色状態との間の状態変化を起こさせることが困難になる。消色剤が200重量部を超えると、可消色性組成物の発色が不充分になる。
【0037】
本発明で用いられる可消色性組成物がマトリックス材料を含まない場合にも、使用される呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤の配合比はマトリックス材料を含む場合と同じである。
しかしながら、マトリックス材料を用いない場合には、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤の組み合わせ方に、以下のような制限がある。
(1)呈色性化合物と顕色剤は固体状態で互いに固溶化し、アモルファス状になる組み合わせが好ましい。例えば、クリスタルバイオレット・ラクトンとサリチル酸亜鉛の組み合わせを挙げることができる。
(2)消色剤は上記の呈色性化合物と顕色剤との混合物に、通常の使用温度域(加熱消色温度よりも10乃至20℃以上低い温度)においては固溶化しないものであること。例えば、上記のクリスタルバイオレット・ラクトンとサリチル酸亜鉛の組み合わせに対して、消色剤としてコール酸(無水物の融点198℃)を好適に使用することができる。
尚、本発明で用いられる可消色性画像形成材料には、その機能を損なわない限りにおいて、必要に応じて、低分子化合物からなる可塑剤、ワックス、滑剤、離型剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電制御剤などの添加剤を適量、含有させることができる。
【0038】
[消色助剤]
以上で説明した画像形成媒体上に形成された可消色性組成物を含む画像形成材料からなる可消色性画像の消色は、可消色性画像に作用させることによって消色作用を促進させる物質、即ち、消色助剤の気体を可消色性画像と接触させることで促進される。消色助剤は、常温で固体の、加熱により昇華可能な物質である。消色助剤単体では消色作用を示さない物質であっても、その作用によって可消色性組成物中の顕色剤が可消色性組成物中を移動(マイグレーション)する現象が促進され、その結果、顕色剤と消色剤とが分子間相互作用を起こすことを促進することのできるものであれば、消色助剤として用いることができる。可消色性組成物がマトリックス材料を含む場合、気体状の消色助剤はマトリックス材料中に固溶化(固体中に分子分散)し、可塑化作用を示すものであることが好ましい。可消色性組成物がマトリックス材料を含まない場合は、気体状の消色助剤は呈色性化合物と顕色剤との混合物中に固溶化又は溶解するものであることが好ましい
【0039】
温、常圧においては固体として存在する有機化合物を閉じた容器の中に、例えば前記容器の内容積の5%乃至50%程度の量で導入し、前記容器を室温乃至前記固体の融点未満の温度に保つと、容器中には前記固体から昇華した蒸気が徐々に充満し、やがて平衡状態に到達する。このようにして発生させた固体有機化合物の蒸気(温度は融点未満)を消色助剤として好適に用いることができる。但し、ナフタレンのように昇華性は高いが空気と爆発性混合気体を形成するものは、防災上、厳重な安全対策を必要とするため実用的ではない。防災上、及び人体への安全性の点で、「香料」として用いられる昇華性の有機化合物固体の中から、消色助剤として安全に利用できるものを選択することができる。
【0040】
例えば、6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン(融点46℃)、クマリン(融点68℃;急性経口毒性LD50:293mg/kg(ラット))、ケイ皮酸メチル(融点38℃;急性経口毒性LD50:2.5g/kg(ラット))、酢酸イソオイゲノール(融点80℃;急性経口毒性LD50:3.45g/kg(ラット))、酢酸ジメチルベンジルカルビニル(融点30℃;急性経口毒性LD50:3.3g/kg(ラット))、2−エトキシナフタレン(融点37℃;急性経口毒性LD50:3.11g/kg(ラット))、2−メトキシナフタレン(融点72℃;急性経口毒性LD50:5g/kg(ラット))、ボルネオール(融点206〜208℃;急性経口毒性LD50:6.5g/kg(ラット))、マントール(融点161〜162℃;93℃以上で昇華;急性経口毒性LD50:2.33g/kg(ラット))、メントール(融点43〜45℃;急性経口毒性LD50:3.18g/kg(ラット))などから昇華して発生する蒸気を気体の消色助剤として好適に用いることができる。
【0041】
その他、室温で固体の有機化合物であって、消色助剤として作用するものを例示すると、例えば、ベンゾフェノン(融点48.5℃;急性経口毒性LD50:>10g/kg(ラット))、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(融点94℃)、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(融点174℃)、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン(融点145℃)、4,4′−ジメチルベンゾフェノン(融点95℃)、4−メトキシベンゾフェノン(融点60℃)、4−メチルベンゾフェノン(融点56℃)、2−n−プロポキシナフタレン(融点40℃)、2,7−ジメトキシナフタレン(融点139℃)などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素化合物、3−アセチルクマリン(融点122℃)、5,7−ジメトキシクマリン(融点146℃)、6,7−ジメトキシー4−メチルクマリン(融点139℃)、7−エトキシクマリン(融点90℃)などの置換基を有しても良い芳香族複素環化合物、樟脳(融点179℃)、カンフェン(融点51.2℃)、トリシクレン(融点68℃)などのテルペン類、ヒノキチオール(融点52℃)、ヒノキチオールの誘導体、2−ノルボルナノン(別名、ノルカンファー;融点95℃)などの脂肪族環状ケトン、などを挙げることができる。
【0042】
[消色処理の温度]
可消色性画像を形成している可消色性組成物に気体状の消色助剤が固溶化することによって、消色助剤を含む可消色性組成物の軟化点又は融点は、消色助剤を含まぬ可消色性組成物の場合よりも低くなる。従って、気体の消色助剤を用いて消色を行う場合の温度の目安としては、「消色助剤を含む又は含まぬ可消色性組成物の軟化点又は融点」を推奨することができる。消色助剤を含む可消色性組成物の軟化点又は融点とは、消色助剤の気体が存在する状態における消色助剤が固溶化又は溶解した可消色性組成物の軟化点又は融点を意味し、消色助剤を含まぬ可消色性組成物の軟化点又は融点とは、消色助剤の気体が存在しない状態における可消色性組成物そのものの軟化点又は融点を意味する。
【0043】
加熱に要するエネルギーを低減させるためには、できる限り低い温度が好ましい。それには、「消色助剤を含まぬ可消色性組成物の軟化点又は融点」を上限として、最適な消色処理の温度を実験的に求めれば良い。
一方、可消色性画像及び画像形成媒体を構成する成分の熱分解開始温度の内、最も低い温度を超えない温度を消色処理の温度の上限とする。言うまでもなく、この上限温度を超えると、可消色性画像及び画像形成媒体を構成する成分のいずれかが非可逆的な熱分解反応を起こしてしまうため、再利用・再生が困難となる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例及び参考例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。文中の「部」は重量基準である。
【0045】
実施例1
呈色性化合物として感熱色素PSD−184(日本曹達株式会社製)2重量部、顕色剤として没食子酸プロピル1重量部、消色剤として粒子状(平均径約200μm)のコール酸17重量部、マトリックス樹脂として79重量部のポリスチレン、及び、帯電制御剤としてLR−147(日本カーリット株式会社製)1重量部を予め混合し、ニーダーを用いて100℃を越えない温度で充分に混練した後、2本ロールにて冷却しながら粉砕し、再度ニーダーで混練する、という工程を繰り返し、ニーダーによる混練を合計5回繰り返して行い、黒色に発色した可消色性色素組成物を製造した。この可消色性色素組成物の軟化点を環球法(JIS K2406)で測定したところ73℃であった。
【0046】
以上のように製造された可消色性色素組成物(マトリックス樹脂を含有するもの)を粉砕機により粉砕して平均粒径12マイクロメートルの粉体を得た。この粉体100重量部に対して1重量部の疎水性シリカを添加してトナーを調製した。
得られたトナーを電子写真方式複写機のトナーカートリッジに入れ、試験用画像(テストチャート)を複写機用中性紙(反射率0.08)に転写した。得られた画像は充分な画像濃度であり、通常の使用条件で高い耐久性を示し、又、100℃で30分間加熱しても画像は維持された。即ち、消色助剤が存在しない場合、軟化点(この場合73℃)よりもある程度高い温度まで加熱しても、短時間では消色が進行しないことが判った。
【0047】
この可消色性画像は150℃以上まで加熱するか、或いは、以下に述べるような気体状の消色助剤の存在下、70℃乃至80℃に加熱することで消色することができる。
上記の黒色可消色性組成物からなるトナーによってコピー画像が形成された紙100枚を、束ねた状態でステンレス製蓋付バット(シリコーンゴムパッキン付;内寸260mm×230mm×40mm)に入れ、その上に、酢酸イソオイゲノール(融点80℃)10gを入れたガラスシャーレを乗せ、蓋付バットの蓋を閉じて密閉してから75℃に温度調節された送風式恒温器(ヤマト科学製DN83型)に入れ、同温度で12時間放置した後、4時間を要して室温まで冷却してから取り出した。その結果、100枚の紙に形成されたコピー画像は全て消色され、肉眼では確認できなくなった。消色後の可消色性画像記録紙各々の反射濃度を測定したところ、全て0.10であった。即ち、優れた消色特性を発揮することが確認された。加熱消色によってコピー画像が消色された紙を60℃で300時間放置したが、画像が再び現れることはなかった。尚、前記ステンレス製蓋付バットを室温まで冷却する際、恒温器から取り出して急激に冷却すると酢酸イソオイゲノールの微結晶がステンレス製蓋付バットの内壁全面に析出してしまうが、恒温器中から取り出さずに恒温器内部の温度をプログラム温度制御によってゆっくり冷却させると、ガラスシャーレ中に残存した結晶を「種」として、それらの周囲に集中的に結晶化が起こるため、容器内壁を汚染することなく回収することが可能になる。
【0048】
可消色性画像を上記の方法で処理で消色した紙に、別の画像を転写し、気体の消色助剤の存在下加熱処理で消色するプロセスを9回繰り返した。その後に転写した10回目の画像は1回目の画像と同等の品質であった。更に、コピー及び消色を50回まで繰り返した。その結果、紙は機械的に痛んだが、コピーされた画像の品質及び消色状態の品質は良好であった。
【0049】
参考
消色剤として用いたデンプンは市販のコーンスターチ(粒子の外径約9乃至15μm)をそのまま用いた。尚、デンプンの粒子径は分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて電解質を含んだ水中に超音波分散させた試料をコールターカウンターTA−II型(コールター社製)にて測定して求めた。
呈色性化合物として感熱色素PSD−184(日本曹達株式会社製)2重量部、顕色剤として没食子酸プロピル1重量部、消色剤としてデンプン(数平均粒子径9μm且つ体積平均粒子径15μm)17重量部、マトリックス材料として79重量部のポリスチレン、及び、帯電制御剤としてLR−147(日本カーリット株式会社製)1重量部を予め混合し、この混合物をバンバリーミキサーを用いて混練りしたところ、摩擦熱により約2分で溶融・流動状態となった。混練り物を冷却して取り出し、黒色に発色した可消色性色素組成物を得た。この可消色性色素組成物の軟化点を環球法(JIS K2406)で測定したところ78℃であった。
【0050】
この可消色性組成物約10mgをホットプレート上で100℃に加熱したスライドガラスの上に置き、100℃に加熱したもう1枚のスライドガラスを重ねて圧着し、次いで冷却し、ガラス板の間に挟まれた厚さ約20μmの薄膜試料に加工して顕微鏡観察したところ、消色剤のデンプンに帰属される粒子はほとんど観察できなかった。そこで、この可消色性組成物約10gをテトラヒドロフラン100mlに溶解し、四フッ化エチレン製メンブランフィルター(孔径0.1μm)を用いて不溶物(デンプン)を濾別し、テトラヒドロフラン200mlを用いて充分洗浄した。得られた灰白色の不溶物がデンプンであることは、赤外線吸収スペクトルにて確認した。得られた不溶物(デンプン)をテトラヒドロフランに分散して走査型電子顕微鏡観察用の導電性基板上に塗布し、乾燥し、カーボンを蒸着して走査型電子顕微鏡で観察した。視野の中には直径5μm前後の粗大な粒子も観察されるものの、デンプンの大部分は直径2μm未満の微細粒子として存在していることが確認された。
【0051】
以上のように製造された可消色性色素組成物を粉砕機により粉砕して平均粒径12マイクロメートルの粉体を得た。この粉体100重量部に対して1重量部の疎水性シリカを添加してトナーを調製した。
得られたトナーを電子写真方式複写機のトナーカートリッジに入れ、試験用画像(テストチャート)を複写機用中性紙(反射率0.08)に転写した。得られた画像は充分な画像濃度であり、通常の使用条件で高い耐久性を示し、又、100℃で30分間加熱しても画像は維持された。
この可消色性画像は150℃以上まで加熱するか、或いは、以下に述べるような気体の消色助剤の存在下、70℃乃至80℃に加熱することで消色することができる。
【0052】
上記の黒色可消色性組成物からなるトナーによってコピー画像が形成された紙100枚を、束ねた状態でステンレス製蓋付バット(シリコーンゴムパッキン付;内寸260mm×230mm×40mm)に入れ、その上に、p−メチルアセトフェノン(融点28℃;沸点228℃)10gを入れたガラスシャーレを乗せ、蓋付バットの蓋を閉じて密閉してから75℃に温度調節された送風式恒温器(ヤマト科学製DN83型)に入れ、同温度で12時間放置した後、1時間を要して室温まで冷却してから取り出した。その結果、100枚の紙に形成されたコピー画像は全て消色され、肉眼では確認できなくなった。消色後の可消色性画像記録紙各々の反射濃度を測定したところ、全て0.10であった。即ち、優れた消色特性を発揮することが確認された。加熱消色によってコピー画像が消色された紙を60℃で300時間放置したが、画像が再び現れることはなかった。
可消色性画像を上記の方法で処理して消色した紙に、別の画像を転写し、気体の消色助剤の存在下加熱処理で消色するプロセスを9回繰り返した。その後に転写した10回目の画像は1回目の画像と同等の品質であった。更に、コピー及び消色を50回まで繰り返した。その結果、紙は機械的に痛んだが、コピーされた画像の品質及び消色状態の品質は良好であった。
【0053】
実施例
参考で使用した可消色性組成物混練り物をカッター刃回転式粉砕機で粒子外径1mmまで粗粉砕し、次いで、これをサイクロン式分級機を備えた循環式エアジェット粉砕機で最大粒子径4μm以下まで粉砕し、更に、これを別のサイクロン式分級機を用いて分級し、数平均粒子径1.0μm且つ体積平均粒子径2.0μmの微粒子として可消色性着色剤を得た。この微粒子状可消色性着色剤20部を結着剤としてメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸(アンモニウム塩)共重合体20重量部を含み、他にノニオン系分散剤2重量部、プロピレングリコール10重量部、及び、水48重量部を含む結着剤溶液へ、3本ロールを用いて分散し、可消色性水性着色剤を作成した。
【0054】
バーコーターを用いてこの可消色性水性着色剤を複写機用中性紙(反射率0.08)の片面全面に塗工し、乾燥し、いわゆる「ベタ塗り」の画像を形成した。このような片面塗工紙を100枚作成し、束ねた状態でステンレス製蓋付バット(シリコーンゴムパッキン付;内寸260mm×230mm×40mm)に入れ、その上に、2−メトキシナフタレン(融点72℃)10gを入れたガラスシャーレを乗せ、蓋付バットの蓋を閉じて密閉してから70℃に温度調節された送風式恒温器(ヤマト科学製DN83型)に入れ、同温度で12時間放置した後、4時間を要して室温まで冷却してから取り出した。その結果、100枚の紙に形成された「ベタ塗り」画像は全て消色され、肉眼では確認できなくなった。消色後の可消色性画像形成紙各々の反射濃度を測定したところ、全て0.09であった。即ち、優れた消色特性を発揮することが確認された。加熱消色によってコピー画像が消色された紙を60℃で300時間放置したが、画像が再び現れることはなかった。尚、前記ステンレス製蓋付バットを室温まで冷却する際、恒温器から取り出して急激に冷却すると2−メトキシナフタレンの微結晶がステンレス製蓋付バットの内壁全面に析出してしまうが、恒温器中から取り出さずに恒温器内部の温度をプログラム温度制御によってゆっくり冷却させると、ガラスシャーレ中に残存した結晶を「種」として、それらの周囲に集中的に結晶化が起こるため、容器内壁を汚染することなく回収することが可能になる。
【0055】
可消色性画像を上記の方法で処理して消色した紙に、再度、バーコーターを用いて上記の可消色性水性着色剤を塗工し、乾燥して「ベタ塗り」画像を形成し、気体の消色助剤の存在下加熱処理で消色するプロセスを9回繰り返した。その後に塗工して形成させた10回目の「ベタ塗り」画像は1回目の画像と同等の品質であった。更に、画像形成及び消色を50回まで繰り返した。その結果、紙は機械的に痛んだが、「ベタ塗り」画像の品質及び消色状態の品質は良好であった。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の可消色性画像の消色方法によれば、紙の上に形成された可消色性画像を優れた消色特性で消色し、紙を再利用することができる。

Claims (2)

  1. マトリックス材料を含み、又は含まず、少なくとも顕色剤、前記顕色剤との分子間相互作用により発色する呈色性化合物、及び、前記顕色剤と前記呈色性化合物との分子間相互作用よりも強く、前記顕色剤と分子間相互作用する消色剤とからなる発色状態の可消色性組成物を含む画像形成材料によって画像形成媒体上に形成された可消色性画像に、固体からの昇華によって発生させた消色助剤の気体を作用させることによって前記顕色剤と前記消色剤との分子間相互作用を起こさせて前記可消色性画像を消色させることを特徴とする可消色性画像の消色方法。
  2. 可消色性画像が形成された画像形成媒体を次の温度の中から選択される温度を下限とし、可消色性画像及び画像形成媒体を構成する成分の熱分解開始温度の内、最も低い温度を超えない温度を上限とする温度範囲に加熱することを特徴とする請求項1に記載の可消色性画像の消色方法。
    (1)前記消色助剤の気体の存在下における可消色性組成物の軟化点又は融点、
    (2)前記消色助剤の気体の不存在下の可消色性組成物の軟化点又は融点。
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