JP2001271016A - 可消色性水性着色剤及びそれを用いる筆記具 - Google Patents

可消色性水性着色剤及びそれを用いる筆記具

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JP2001271016A JP2000086929A JP2000086929A JP2001271016A JP 2001271016 A JP2001271016 A JP 2001271016A JP 2000086929 A JP2000086929 A JP 2000086929A JP 2000086929 A JP2000086929 A JP 2000086929A JP 2001271016 A JP2001271016 A JP 2001271016A
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善文 杉戸
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道衛 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成材料として発色状態が良好且つ安定
な印刷・印字などに用いられた後で、加熱や有機溶剤な
どと接触させる消色処理によって簡単に消色され、且
つ、その消色状態が安定に維持される可消色性水性着色
剤の提供。 【解決手段】 可消色性着色剤は、マトリックス樹脂、
顕色剤、特定の呈色性化合物、特定の消色剤を有し、発
色状態では、消色剤は微粒子乃至ミクロ相分離状態で存
在し、顕色剤はマトリックス樹脂中に分子分散されて呈
色性化合物と分子間相互作用して存在し、消色状態で
は、消色剤は微粒子乃至ミクロ相分離状態或いは分子分
散されて存在し、更に顕色剤は微粒子乃至ミクロ相分離
状態で存在する消色剤の表面に吸着されて存在する或い
は分子分散されて存在する消色剤と分子間相互作用して
存在する可消色性水性着色剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発色状態の呈色性
化合物を無色の消色状態へ変えることのできる可消色性
着色剤の微粒子を、水を含む溶剤系中に分散させた可消
色性水性着色剤及びそれを用いる筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューター、プリンター、複
写機、ファクシミリなどの普及により、紙による情報の
出力が増加している。紙への出力を削減すべく「情報の
電子化によるペーパーレス化」が叫ばれるものの、視認
性の良さ、高い携帯性、ページめくりによる情報検索の
手軽さ、などの特徴から、紙へのハードコピーの要望は
絶えることがない。その結果、紙の原料となる天然資源
の保護及びゴミ処理量の低減・二酸化炭素排出量の削減
が解決すべき課題となるに至っている。「紙の再生・再
利用」は、天然資源の保護及びゴミ処理量の低減・二酸
化炭素排出量の削減の各局面において、極めて今日的な
課題である。
【0003】このような事情から、紙へ印刷・印字する
ための画像形成材料(各種印刷インキ、トナー、ジェッ
トインクなど)を印刷・印字後に無色化する技術は、紙
の再生・再利用を推進する上で極めて重要である。即
ち、従来の紙の再生方法においては、回収紙を水で再解
膠した後、いわゆる「脱墨工程」においてインク部分を
浮遊分離する方法や漂白剤を用いて脱色する方法が用い
られており、これらが、新規に製紙する場合に比べて工
程経費を高くする要因となっている。従って、発色状態
の呈色性化合物を無色の消色状態へ変えることのできる
可消色性着色剤を用いた画像形成材料によって印刷され
た紙は、従来のような手間の掛かる脱墨工程を経ること
なしに、再利用或いは再生することが可能になると期待
される。
【0004】近年、可消色性着色剤について種々検討が
行われ、熱を加えることにより消色可能な可消色性着色
剤が、例えば、特開平7−81236号公報や特開平1
0−88046号公報に開示されている。前者の公開公
報には、ロイコ染料などの呈色性化合物と、顕色剤と、
消色作用を有する有機リン酸化合物とを含有する可消色
性着色剤が、又、後者の公開公報には、ロイコ染料など
の呈色性化合物と顕色剤との組み合わせに対して、熱を
加えることによって消色作用を示す消色剤としてコール
酸、リトコール酸、テストステロン、コルチゾンなどの
ステロール化合物を使用する可消色性着色剤が開示され
ている。又、特開平9−165537号公報にはロイコ
染料に顕色剤を反応させて発色してなる着色剤と減感剤
(消色剤)とを水に分散してなる熱消去性インキ組成物
が開示されている。
【0005】又、有機溶剤と接触させることにより消色
可能な可消色性着色剤が、例えば特開平11−2122
95号公報に開示されている。この可消色性着色剤は、
ロイコ染料などの呈色性化合物、顕色剤、及び、消色剤
からなるものであり、消色剤として非晶質性の高い相分
離抑制剤(例えば、環式糖アルコール)と非晶質性の低
い相分離抑制剤(例えば、環式糖アルコール以外のヒド
ロキシル基を有する5員環以上の非芳香族環式化合物又
は環式糖アルコールの誘導体)を合わせて用いることが
特徴である。更に、特開平11−212296号公報に
は、有機溶剤と接触させることにより消色作用を示す消
色剤として、動物、植物又は菌類から抽出される生分解
可能なステロール化合物及び環式糖アルコール又はその
誘導体が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の可消
色性着色剤は、各々特長がある反面、発色性の良さと消
色性の良さを両立することが容易でなかったり、印刷物
或いは筆記具としての実使用条件における耐久性に乏し
かったり、コストが高いなどの欠点があり、本格的実用
化のためには一層の性能向上が望まれているのが実状で
ある。従って、本発明の目的は、消色可能な、筆記具と
しての実使用条件における発色状態が良好且つ安定で、
筆記具のインクとして筆記・描画などに用いられた後
で、加熱や有機溶剤との接触などの消色処理によって簡
単に消色することができ、且つ、その消色状態を安定に
維持することができる可消色性着色剤の微粒子を、水を
含む溶剤系中に分散させた可消色性水性着色剤を提供す
ることである。本発明者は、従来の技術において、可消
色性着色剤の発色及び消色が不充分になる原因を種々検
討した結果、可消色性着色剤中の消色剤の存在形態及び
顕色剤との分子間相互作用が重要な支配要因であること
を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の可消色性水性着色剤は、可消色性着色剤の
微粒子を水を含む溶剤系中に分散させた可消色性水性着
色剤であって、前記可消色性着色剤は、少なくともマト
リックス樹脂、顕色剤、前記顕色剤との分子間相互作用
により発色する呈色性化合物、及び、前記顕色剤と前記
呈色性化合物との分子間相互作用よりも強く、前記顕色
剤と分子間相互作用する消色剤からなり、発色状態の前
記可消色性着色剤中では、前記消色剤は微粒子乃至ミク
ロ相分離状態として存在し、前記顕色剤は前記マトリッ
クス樹脂中に分子分散されて前記呈色性化合物と分子間
相互作用して存在し、消色状態の前記可消色性着色剤中
では、前記消色剤は微粒子乃至ミクロ相分離状態とし
て、或いは、分子分散されて存在し、更に、前記顕色剤
は前記呈色性化合物と分子間相互作用せずに、微粒子乃
至ミクロ相分離状態として存在する前記消色剤の表面に
吸着されて存在するか、或いは、分子分散されて存在す
る前記消色剤と分子間相互作用して存在することを特徴
とする。上記の目的を達成するため、又、本発明の筆記
具は、上記の可消色性水性着色剤が充填されていること
を特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に発明の好ましい実施の形態
を挙げて本発明を更に詳細に説明する。本発明で用いら
れる可消色性着色剤は、少なくともマトリックス樹脂、
呈色性化合物と顕色剤、及び消色剤からなり、本発明の
可消色性水性着色剤は前記可消色性着色剤の微粒子を結
着剤及び分散剤と共に水を含む溶剤系中に分散させたも
のである。以下、マトリックス樹脂、呈色性化合物、顕
色剤、消色剤、水を含む溶剤系、結着剤、及び、分散剤
について順次詳細に説明する。
【0009】[マトリックス樹脂]本発明で用いられる
可消色性着色剤に用いられるマトリックス樹脂として
は、公知の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の中から、以
下の条件を全て同時に満足するものを適宜選択して使用
することができる。 (1)水を含む溶剤系に溶解しないこと。 (2)水を含む溶剤系によって膨潤しないこと。 (3)可消色性着色剤が色材として発色状態で使用され
る温度範囲において、呈色性化合物及び顕色剤を固溶化
(溶解して分子分散させる)することができ、且つ、消
色剤を微粒子乃至ミクロ相分離状態として分散させるこ
とができる樹脂であること。 (4)適当な有機溶剤又は有機気体によって膨潤、或い
は、溶解すること。マトリックス樹脂として、上記4条
件を全て同時に満足するものを用いることによって、発
色状態の呈色性化合物と顕色剤との分子間相互作用を安
定に保ちながら、消色剤を微粒子乃至ミクロ相分離状態
として呈色性化合物及び顕色剤と「共存」させることが
可能となって、発色性の良さと消色性の良さを両立する
ことが可能になる。
【0010】具体的には、例えば、呈色性化合物として
ロイコ色素、顕色剤としてフェノール化合物、消色剤と
してステロール化合物又は環式糖アルコール又はその誘
導体又はデンプンを用いる場合、次のような有機高分子
化合物をマトリックス樹脂として好適に使用することが
できる。即ち、例えば、ケトン樹脂、ノルボルネン樹
脂、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ
インデン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリア
セタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリプロ
ピオン酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩
素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニル
エチルエーテル、ポリビニルベンジルエーテル、ポリビ
ニルメチルケトン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、
ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリア
クリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタク
リル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリ
ル酸ベンジル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリ
メタクリル酸アミド、ポリメタクリロニトリル、ポリア
セトアルデヒド、ポリクロラール、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネ
ート類(ビスフェノール類+炭酸)、ポリサルホン、ポ
リエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リ(ジエチレングリコール・ビスアリルカーボネート)
類、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロ
ン、6,12−ナイロン、ポリアスパラギン酸エチル、
ポリグルタミン酸エチル、ポリリジン、ポリプロリン、
ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、セルロース
トリアセテート、セルローストリブチレート、アルキド
樹脂(無水フタル酸+グリセリン)、脂肪酸変性アルキ
ド樹脂(脂肪酸+無水フタル酸+グリセリン)、不飽和
ポリエステル樹脂(無水マレイン酸+無水フタル酸+プ
ロピレングリコール)、エポキシ樹脂(ビスフェノール
類+エピクロルヒドリン)、エポキシ樹脂(クレゾール
ノボラック+エピクロルヒドリン)、ポリウレタン樹
脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレ
ン樹脂、トルエン樹脂、フラン樹脂、グアナミン樹脂、
ジアリルフタレート樹脂などの樹脂、ポリ(フェニルメ
チルシラン)などの有機ポリシラン、有機ポリゲルマン
及びこれらの共重合・共重縮合体を好適に使用すること
ができる。
【0011】更に、例えば、呈色性化合物としてロイコ
色素、顕色剤としてフェノール化合物、消色剤としてス
テロール化合物又は環式糖アルコール又はその誘導体又
はデンプンを用いる場合には、マトリックス樹脂とし
て、例えば、ポリスチレン、ポリスチレンとアクリル樹
脂とのブレンドポリマー、スチレン−アクリル系共重合
体、ポリエステル、エポキシ樹脂などを特に好適に用い
ることができる。ここで、スチレン−アクリル系共重合
体を構成するアクリル系モノマーとしては、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエ
チル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸
ジエチルアミノプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ブチル−N−(エトキシメチル)アクリ
ルアミド、メタクリル酸エチレングリコール、メタクリ
ル酸4−ヘキサフルオロブチルなどが挙げられる。
【0012】これらのアクリレートモノマーは1種又は
2種以上用いることができる。共重合体中のスチレンの
割合は50重量%以上であることが好ましい。又、スチ
レン及びアクリル系モノマーのほかに、ブタジエン、マ
レイン酸エステル、クロロプレンなどを共重合させても
良いが、これらの成分は10重量%以下とすることが好
ましい。ここで、ポリスチレンとアクリル樹脂とのブレ
ンドポリマーをマトリックス樹脂として用いる場合、ア
クリル樹脂としては上記共重合の場合に例示したものを
1種又は2種以上用いることができる。尚、ブタジエ
ン、マレイン酸エステル、クロロプレンなどを10重量
%以下の割合で含有する共重合体を用いても良い。マト
リックス樹脂中のポリスチレンの割合は50重量%以上
であることが好ましい。
【0013】更に、カルボン酸と多価アルコールから合
成されるポリエステルも使用可能である。カルボン酸と
しては、例えば、テレフタル酸、フマル酸、マレイン
酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、
ピロメリット酸、シトラコン酸、グルタコン酸、メサコ
ン酸、イタコン酸、テラコン酸、フタル酸、イソフタル
酸、ヘミメリト酸、メロファン酸、トリメシン酸、プレ
ーニト酸、トリメリット酸、などが挙げられる。これら
の内1種又は2種以上を用いることができる。多価アル
コールとしては、例えば、ビスフェノールA、水添ビス
フェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、ネオペンチルジオール、ヘキサ
メチレンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオー
ル、ペンタグリセロール、ペンタエリトリトール、シク
ロヘキサンジオール、シクロペンタンジオール、ピナコ
ール、グリセリン、エーテル化ジフェノール、カテコー
ル、レゾルシノール、ピロガロール、ベンゼントリオー
ル、フロログルシノール、ベンゼンテトラオールなどが
挙げられる。これらの内1種又は2種以上を用いること
ができる。又、2種類以上のポリエステルのブレンドポ
リマーを用いても良い。
【0014】又、エピクロルヒドリンと多価のフェノー
ル性ヒドロキシル基を有する化合物から合成されるエポ
キシ樹脂も使用できる。多価フェノール系化合物として
は、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフ
ェノールS、エーテル化ジフェノール、カテコール、レ
ゾルシン、ピロガロール、ベンゼントリオール、フロロ
グルシノール、ベンゼンテトラオールなどが挙げられ
る。これらの内1種又は2種以上が用いられる。又、エ
ポキシ樹脂に対して、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラ
ニン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリウレタンなどを15重量%以下の
割合でブレンドしても良い。
【0015】[呈色性化合物]本発明で用いられる呈色
性化合物としては、例えば、ロイコオーラミン類、ジア
リールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシ
ルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンB
ラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラ
ン類などの有機化合物を挙げることができる。
【0016】具体的な呈色性化合物として、例えば、ク
リスタルバイオレットラクトン(CVL)、マラカイト
グリーンラクトン、2−アニリノ−6−(N−シクロヘ
キシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−プ
ロピルアミノ)フルオラン、3−[4−(4−フェニル
アミノフェニル)アミノフェニル]アミノ−6−メチル
−7−クロロフルオラン、2−アニリノ−6−(N−メ
チル−N−イソブチルアミノ)−3−メチルフルオラ
ン、2−アニリノ−6−(ジブチルアミノ)−3−メチ
ルフルオラン、3−クロロ−6−(シクロヘキシルアミ
ノ)フルオラン、2−クロロ−6−(ジエチルアミノ)
フルオラン、7−(N,N−ジベンジルアミノ)−3−
(N,N−ジエチルアミノ)フルオラン、3,6−ビス
(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4′−ニトロア
ニリノ)ラクタム、3−ジエチルアミノベンゾ[a]−
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ア
ミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−キシリジノ
フルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシ
フェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール
−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチル
アミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルイン
ドール−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7
−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−
7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブ
チル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,6−ジメチルエトキシフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、2−(2
−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
クリスタルバイオレットカルビノール、マラカイトグリ
ーンカルビノール、N−(2,3−ジクロロフェニル)
ロイコオーラミン、N−ベンゾイルオーラミン、ローダ
ミンBラクタム、N−アセチルオーラミン、N−フェニ
ルオーラミン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)
−3,3−ジメチルインドリン、N,3,3−トリメチ
ルインドリノベンゾスピロピラン、8’−メトキシ−
N,3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフル
オラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−ベンジルオキシフルオラ
ン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、
3,6−ジ−p−トルイジノ−4,5−ジメチルフルオ
ラン、フェニルヒドラジド−γ−ラクタム、3−アミノ
−5−メチルフルオランなどを好適に使用することがで
きる。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いる
ことができる。言うまでもなく、呈色性化合物を適宜選
択すれば多様な色の発色状態が得られ、マルチカラー化
が可能である。これらの呈色性化合物は、例えば、一例
を以下に化学式で示すように、無色型と発色型の両形態
をとることの可能な互変異性化合物である。
【0017】
【化1】
【0018】[顕色剤]上記のような互変異性を表す化
学式において、下側に示される分子内塩型の化学構造が
「発色型」に対応することが知られている。そして、こ
のようなイオン性分子内塩型の構造をプロトンの授受乃
至水素結合の形成、或いは金属錯塩の形成によって安定
化することによって、発色型を安定化することのできる
化合物が、いわゆる顕色剤である。本発明で用いられる
顕色剤としては、例えば、フェノール及びフェノール誘
導体、フェノール誘導体の金属塩、カルボン酸誘導体の
金属塩、サリチル酸及びサリチル酸金属塩、ベンゾフェ
ノン及びベンゾフェノン誘導体、スルホン酸類、スルホ
ン酸塩類、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エス
テル類、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜
リン酸金属塩類、ハロゲン化亜鉛などを挙げることがで
きる。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いる
ことができる。顕色剤として用いることのできるフェノ
ール誘導体の具体例を以下に化学式で例示する。
【0019】
【化2】
【0020】これらのフェノール誘導体は、例えば、次
に化学式で示すように発色型の呈色性化合物のカルボン
酸残基と分子間で相互作用して水素結合を形成すること
によって、発色状態を安定化することができる。このよ
うな呈色性化合物と顕色剤の分子間相互作用は、両者が
ともにマトリックス樹脂中に固溶化(溶解して分子分
散)している場合であっても起こりうる。
【0021】
【化3】
【0022】上記化学式に例示されるようにマトリック
ス樹脂中で呈色性化合物と顕色剤とが分子間で相互作用
し、呈色性化合物が発色型になった系において、後述す
るような「消色剤」が、(1)非晶性(アモルファス)
で、マトリックス樹脂中にミクロ相分離した微粒子状態
で存在している場合、及び、(2)結晶性で、マトリッ
クス樹脂中に微結晶として分散している場合、加熱や消
色助剤処理による活性化が行われなければ、顕色剤と消
色剤との分子間相互作用(化学平衡論的には呈色性化合
物と顕色剤の相互作用よりも強い)は、速度論的制御に
よって「凍結」されて事実上起こり得ず、顕色剤による
呈色性化合物発色型の安定化は維持される。
【0023】[消色剤]本発明で用いられる可消色性着
色剤における消色剤とは、呈色性化合物と顕色剤の分子
間相互作用よりも強く、顕色剤との間で分子間相互作用
する化合物であって、且つ、本発明の可消色性水性着色
剤が発色状態で用いられる全温度領域において、マトリ
ックス樹脂中に微粒子(消色剤が結晶の場合)乃至ミク
ロ相分離状態(消色剤がアモルファス状態の場合)とし
て分散して存在することが可能な化合物である。消色剤
と顕色剤の間に働きうる分子間相互作用としては、水素
結合、イオン結合、疎水性結合、立体化学的な包接現象
などを利用することができる。即ち、分子中に1個以上
のアルコール性水酸基、遊離のカルボン酸基、カルボン
酸塩残基、環式飽和炭化水素残基、などを有する化合物
の中から、使用するマトリックス樹脂への溶解性及びそ
の温度依存性を目安として、消色剤として利用可能なも
のを選択することができる。
【0024】本発明で使用される消色剤の具体例を以下
に示す。 (1)コール酸、リトコール酸、テストステロン及びコ
ルチゾン、並びにこれらの誘導体。具体例としては、コ
ール酸、コール酸メチルエステル、リトコール酸、リト
コール酸メチルエステル、ヒドロキシコール酸、ヒドロ
キシコール酸メチルエステル、テストステロン、メチル
テストステロン、11α−ヒドロキシメチルテストステ
ロン、ヒドロコルチゾンが挙げられる。これらの内でも
特に2個以上のヒドロキシル基を有するものが好まし
い。
【0025】(2)1個以上のアルコール性水酸基を有
する5員環以上の非芳香族系の環状化合物。尚、これら
の化合物の融点は50℃以上であることが好ましい。具
体例としては、脂環式1価アルコール(例えばシクロド
デカノール)、脂環式2価アルコール(例えば1,4−
シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオ
ール、1,2−シクロドデカンジオール)、糖類及びそ
の誘導体(例えば、グルコース、サッカロース)、環状
構造を有するアルコール類(例えば1,2:5,6−ジ
イソプロピリデン−D−マンニトール)が挙げられる。
【0026】(3)上記のような1個以上のアルコール
性水酸基を有する5員環以上の非芳香族系の環状化合物
と、ステロール化合物との併用。ステロール化合物を単
独で用いると、加熱処理によって消色した状態から冷却
した際、消色剤が再び相分離して、発色状態が再現して
しまうことがあり得るが、1個以上のアルコール性水酸
基を有する5員環以上の非芳香族系の環状化合物を併用
すると、これが界面活性剤的に作用して消色剤成分の相
分離が抑制され、消色状態が安定化される。
【0027】ステロール化合物の具体例としては、コレ
ステロール、スチグマステロール、プレグネノロン、メ
チルアンドロステンジオール、エストラジオール・ベン
ゾエート、エピアンドロステン、ステノロン、β−シト
ステロール、プレグネノロン・アセテート、β−コレス
タロール、5,16−プレグナジエン−3β−オール−
20−オン、5α−プレグネン−3β−オール−20−
オン、5−プレグネン−3β,17−ジオール−20−
オン・21−アセテート、5−プレグネン−3β,17
−ジオール−20−オン・17−アセテート、5−プレ
グネン−3β,21−ジオール−20−オン・21−ア
セテート、5−プレグネン−3β,17−ジオール・ジ
アセテート、ロコゲニン、チゴゲニン、エスミラゲニ
ン、ヘコゲニン、ジオスゲニン及びその誘導体などが挙
げられる。
【0028】(4)環式糖アルコールと、環式糖アルコ
ール以外のアルコール性水酸基を有する5員環以上の非
芳香族環式化合物又は環式糖アルコールの誘導体との併
用。環式糖アルコールの具体例としては、D−グルコー
ス、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フルクト
ース、L−ソルボース、L−ラムノース、L−フコー
ス、D−リボデソース、α−D−グルコース=ペンタア
セテート、アセトグルコース、ジアセトン−D−グルコ
ース、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−グ
ルコサミン、D−フルクトサミン、D−イソ糖酸、ビタ
ミンC、エルトルビン酸、トレハロース、サッカロー
ス、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラ
クトース、メリビオース、ラフィノース、ゲンチアノー
ス、メレジトース、スタキオース、メチル=α−グルコ
ピラノシド、サリシン、アミグダリン、オイキサンチン
酸が挙げることができる。
【0029】環式糖アルコール以外のアルコール性水酸
基を有する5員環以上の非芳香族環式化合物又は環式糖
アルコールの誘導体の具体例としては、脂環式1価アル
コール、例えば、シクロドデカノール、ヘキサヒドロサ
リチル酸、メントール、イソメントール、ネオメントー
ル、ネオイソメントール、カルボメントール、α−カル
ボメントール、ピペリトール、α−テルピネオール、β
−テルピネオール、γ−テルピネオール、1−p−メン
テン−4−オール、イソプレゴール、ジヒドロカルベオ
ール、カルベオール;脂環式多価アルコール、例えば、
1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキ
サンジオール、フロログルシトール、クエルシトール、
イノシトール、1,2−シクロドデカンジオール、キナ
酸、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ピノールヒ
ドラート、ベツリン;多環式アルコール誘導体、例え
ば、ボルネオール、イソボルネオール、アダマンタノー
ル、ノルボルネオール、フェンコール、ショウノウ、イ
ソソルバイド;環式糖アルコールの誘導体、例えば、
1,2:5,6−ジイソプロピリデン−D−マンニトー
ルを挙げることができる。
【0030】(5)本発明で使用される消色剤の具体例
としては、更に例えば、コーンスターチ、タピオカスタ
ーチなどのデンプン、疎水化デンプン、デキストリン、
シクロデキストリンなどを好適に用いることができる。
微粒子状の消色剤を用いる場合、微粒子のサイズとして
は、その形状を球で近似したときの平均直径が1nm乃
至100μmであることが好ましい。微粒子状消色剤の
平均直径を1nmよりも小さくすることは可能ではある
が容易ではなく、そのレベルまで微粒子化して用いて
も、効果は特に認められない。一方、微粒子状消色剤の
平均直径が100μmを越えると消色状態を安定に維持
することが困難となったり、消色されずに残る部分がで
きる場合がある。
【0031】本発明で用いられる可消色性着色剤は、少
なくともマトリックス樹脂、呈色性化合物、顕色剤、及
び消色剤から構成されるが、好ましい配合比は以下の通
りである。マトリックス樹脂は、呈色性化合物1重量部
に対して通常0.1乃至1000重量部、好ましくは
0.5乃至100重量部、更に好ましくは1乃至20重
量部の割合である。顕色剤は、呈色性化合物1重量部に
対して通常0.1乃至10重量部、好ましくは1乃至2
重量部の割合である。顕色剤が0.1重量部未満の場合
には、呈色性化合物と顕色剤との相互作用による可消色
性着色剤の発色が不充分になる。顕色剤が10重量部を
超える場合には両者の相互作用を充分に減少させること
が困難となる。消色剤は、呈色性化合物1重量部に対し
て、通常、1乃至200重量部、好ましくは10乃至1
00重量部の割合である。消色剤が1重量部未満では、
可消色性着色剤の発色状態と消色状態との間の状態変化
を起こさせることが困難になる。消色剤が200重量部
を超えると、可消色性着色剤の発色が不充分になる。
尚、本発明で用いられる可消色性着色剤には、その機能
を損なわない限りにおいて、必要に応じて、低分子化合
物からなる可塑剤、ワックス、滑剤、離型剤、光安定
剤、酸化防止剤、などの添加剤を適量、含有させること
ができる。
【0032】本発明で用いられる可消色性着色剤は、通
常、混合機により各成分を固体状態で混合、分散させて
製造されるが、本発明ではその方法自体は特に限定され
ない。本発明で用いられる可消色性着色剤の発色状態に
おいて、消色剤を上記の大きさに分散させるためには、
例えば、消色剤を適当な手段で100μm以下に予備粉
砕してから他の成分と消色剤の融点もしくは軟化点未満
の温度で混練・混合する方法;各成分を特に予備粉砕す
ることなく、消色剤の融点もしくは軟化点未満の温度
で、強い剪断力を与えることができる混合機で強力に混
練する方法などの方法が用いられる。
【0033】ここで、発色状態の可消色性着色剤中にお
いて消色剤が前記の大きさの微粒子或いはミクロ相分離
状態で存在することは、以下に述べるような種々の分析
手段を用いて確認することができる。例えば、発色状態
の可消色性着色剤をそのまま薄膜に加工し、この薄膜を
光学顕微鏡又は共焦点型レーザー顕微鏡などで観察する
ことによって、微粒子乃至ミクロ相分離状態としての大
きさを確認することができる。この際、観察される「微
粒子乃至ミクロ相分離状態」が消色剤に帰属されるもの
であることは、呈色性化合物/マトリックス樹脂、顕色
剤/マトリックス樹脂、呈色性化合物及び顕色剤/マト
リックス樹脂、及び、消色剤/マトリックス樹脂という
組み合わせの組成物を上記の場合と同等の条件で薄膜に
加工し、光学顕微鏡又は共焦点型レーザー顕微鏡で比較
観察することによって確認することができる。又、消色
剤が微粒子(結晶)として存在しているか、ミクロ相分
離状態(アモルファス)で存在しているかは、X線回折
法によって確認することができる。
【0034】微粒子乃至ミクロ相分離状態として分散さ
れて存在する前記消色剤の主要成分の微粒子乃至ミクロ
相分離状態としての大きさが、球で近似したときの平均
直径として0.1μm未満の場合は、(1)小角X線散
乱法、(2)薄膜試料についての透過型電子顕微鏡観察
(画像を明確にするため、必要に応じて四酸化オスミウ
ム染色などの手法を併用)、又は、(3)薄膜試料表面
についての走査型電子顕微鏡観察(適当な溶剤を用いて
試料表面から消色剤のみを溶かし出すなどの手法を併
用)によって微粒子乃至ミクロ相分離状態としての大き
さを確認することができる。この場合も、観察される微
粒子乃至ミクロ相分離状態の帰属は、消色剤を含まない
試料との比較によって確認することができる。
【0035】[水を含む溶剤系]本発明の可消色性水性
着色剤で用いられる、水を含む溶剤系としては、例え
ば、水、又は、水及び水と相溶性のある有機溶剤の混合
溶剤を挙げることができる。水と相溶性のある有機溶剤
の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、
イソブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタ
ノール、3−ペンタノール、イソペンチルアルコール、
1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノー
ル、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、グリセリンなど、アルコール性水酸基を有する溶
剤を挙げることができる。水及び水と相溶性のある有機
溶剤の混合溶剤における好ましい水の存在比率は10乃
至99重量%である。水の存在比率が10重量%を下回
ると、有機溶剤成分がマトリックス樹脂を侵すおそれが
ある。又、水の存在比率が99重量%を越えると、有機
溶剤を混合する効果、例えば揮発性の向上効果或いは乾
燥防止効果が発揮されない。
【0036】[結着剤]本発明の可消色性水性着色剤を
塗工液、印刷インキ、ジェットインク、或いは、筆記具
のインクとして使用するに当たっては、成膜性或いは印
刷適正を付与するために、可消色性水性着色剤の一成分
として結着剤を必要とする。尚、結着剤自身が分散剤と
して作用する場合以外は、通常、後述の分散剤と併用さ
れる。又、可消色性水性着色剤中で、結着剤は溶液又は
エマルジョンとして使用される。可消色性水性着色剤の
結着剤としては、公知のものの中から次に示す条件を満
足するものを適宜選択して使用することができる。尚、
以下の条件を全て同時に満足する必要はない。
【0037】(1)可消色性水性着色剤中の微粒子状可
消色性着色剤成分(マトリックス樹脂、呈色性化合物、
及び顕色剤からなる)を、発色状態を保ったまま分散
し、成膜性或いは印刷適正を付与することのできる樹脂
又は低分子化合物であること。 (2)画像を形成した後、可消色性着色剤を消色状態と
するために加熱処理した際、溶融する樹脂又は低分子化
合物であること。 (3)画像を形成した後、可消色性着色剤を消色状態と
するために消色助剤処理した際、消色助剤によって膨潤
するか、或いは、消色助剤の透過・浸透を妨げない樹脂
又は低分子化合物であること。 (4)画像を形成した後、可消色性着色剤を消色状態と
するために消色助剤処理した際、消色助剤に溶解する樹
脂又は低分子化合物であること。
【0038】具体例としては、マトリックス樹脂として
のポリスチレン、呈色性化合物としてのロイコ染料、及
び顕色剤としての没食子酸n−プロピルからなる微粉末
を可消色性着色剤として用い、消色剤としてはデンプン
を用いる場合、結着剤として、例えばアクリル酸或いは
メタクリル酸エステル共重合体の水系エマルジョン;ポ
リビニルアルコール;ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなどの
水溶性セルロース誘導体、アクリロニトリル・ブタジエ
ンゴム、カルボキシル化アクリロニトリル・ブタジエン
ゴムなどのアクリロニトリル・ブタジエン系ゴムラテッ
クス;メチルメタクリレート・ブタジエン、カルボキシ
ル化メチルメタクリレート等のメチルメタクリレート・
ブタジエン系ゴムラテックス;スチレン・ブタジエン、
カルボキシル化スチレン・ブタジエン等のスチレン・ブ
タジエン系ゴムラテックス;アクリレート系ゴムラテッ
クス、塩化ビニル系ゴムラテックス、ビニルピリジン・
スチレン・ブタジエン系ゴムラテックス;クロロプレン
系ゴムラテックス等などを好適に使用することができ
る。
【0039】[分散剤]可消色性水性着色剤を塗工液、
印刷インキ、ジェットインク、或いは、筆記具のインク
として使用するに当たっては、分散安定性を付与するた
めに、可消色性水性着色剤の成分として、結着剤と合わ
せて、分散剤を使用することが好ましい。
【0040】可消色性水性着色剤の分散剤としては、公
知のものの中から次に示す条件を全て同時に満足するも
のを適宜選択して使用することができる。 (1)可消色性水性着色剤中の微粒子状可消色性着色剤
成分(マトリックス樹脂、呈色性化合物、及び顕色剤か
らなる)を、発色状態を保ったまま分散し、分散安定性
を付与することのできる樹脂又は低分子化合物であるこ
と。 (2)消色剤が溶剤可溶性である場合、消色剤を溶解し
ないこと。 (3)顕色剤を全く溶解しないこと。 (4)マトリックス樹脂を溶解したり、膨潤させたりし
ないこと。 (5)分散剤自身が消色剤として作用しないこと。
【0041】具体例としては、マトリックス樹脂として
のポリスチレン、呈色性化合物としてのロイコ染料、及
び顕色剤としての没食子酸n−プロピルからなる微粉末
を可消色性水性着色剤として用い、消色剤としてはデン
プンを用い、結着剤としてはアクリル酸或いはメタクリ
ル酸エステル共重合体の水系エマルジョンを用いる場
合、例えば、末端に芳香族環基を有するポリエチレンオ
キシド誘導体などのノニオン系界面活性剤を好適に使用
することができる。
【0042】上記のような成分からなる可消色性水性着
色剤の成分組成比については、通常の湿式着色剤を製造
する場合の組成比を援用すれば良く、特に制限はない。
又、このような組成の可消色性水性着色剤を製造するに
は、通常の塗工液、印刷インキ、ジェットインク、或い
は、筆記具のインクの製造方法を援用することができ
る。
【0043】本発明の可消色性水性着色剤には、上記必
須成分以外に必要に応じて他の添加剤を用いることもで
きる。但し、言うまでもなく、これらの添加剤は、可消
色性水性着色剤の発色及び消色に悪影響を及ぼさないも
のを選択しなければならない。具体的には、グリセリ
ン、尿素等の保湿剤;安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢
酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、1,2−ベンゾイ
ソチアゾリン−3−オン等の防腐剤;ベンゾトリアゾー
ル、トリルトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸等の
防錆剤;リノール酸カリウム、オレイン酸ナトリウム等
の潤滑剤;紫外線吸収剤、pH調節剤等を添加すること
が可能である。更に、ペン体内部にインク流動調節部材
を備えない簡易な構造の水性ボールペンに本発明の可消
色性水性着色剤を適用する場合には、キサンタンガム、
ウェランガム、サクシノグリカン等の多糖類を添加する
ことによって揺変性を付与させた粘性のインクとして用
いる。これら多糖類を添加する場合の添加量は、可消色
性水性着色剤組成中0.1〜0.8重量%の範囲である
ことが好ましい。
【0044】[消色方法]発色状態にある可消色性着色
剤を消色状態にする、即ち消色するには、消色剤を加熱
・溶融して消色する方法と、可消色性着色剤の一部又は
全部を溶解又は膨潤させる液体又は気体の消色助剤に接
触させて消色する方法がある。発色状態の可消色性着色
剤を加熱・溶融することによって、該組成物内に微粒子
乃至ミクロ相分離状態で存在していた消色剤が、該組成
物の溶融状態混合物中に分子分散されて存在するように
なり、或いは、速度論的制御によって凍結されていた顕
色剤の分子運動が加熱によって活発になって微粒子乃至
ミクロ相分離状態として存在する消色剤の表面に顕色剤
が吸着され、その結果、呈色性化合物と顕色剤の分子間
相互作用よりも強く、顕色剤と消色剤との間で強い分子
間相互作用を起こすこととなり、呈色性化合物の発色状
態は不安定化し、消色状態となる。消色剤の溶解度温度
依存性が顕著な場合、消色剤の大部分が結晶として析出
乃至ミクロ相分離し、発色状態が再現することもあり得
るが、そのような不適切な消色剤を使用しない限り、上
記のような消色状態は加熱を止めても継続する。
【0045】可消色性着色剤を消色するための加熱手段
はどのような形態でも良く、例えば、サーマルプリンタ
ーヘッド(TPH)、サーマルバー、ホットスタンプ、
ヒートローラーなどを用いることができる。又、赤外線
ランプや熱風により加熱しても良い。本発明の可消色性
水性着色剤で文字・画像が形成された紙を一度に大量に
消色処理する際には、箱形温風乾燥機や送風式恒温機を
好適に使用することができる。
【0046】加熱によって可消色性着色剤を消色処理す
る際の加熱温度は可消色性着色剤が該組成物として混合
溶融状態となる温度(「混合による融点降下」の現象に
よって可消色性着色剤構成成分単独の場合の融点乃至軟
化点よりも低い温度である)以上である。加熱によって
可消色性着色剤を消色処理する際の加熱温度の上限は、
可消色性着色剤成分及び消色剤の熱分解開始温度の内、
最も低い温度である。尚、呈色性化合物、顕色剤、消色
剤、及びマトリックス樹脂の種類又は組み合わせによっ
ては、加熱によって前記成分が熱分解したり、好ましく
ない副反応を起こして非消色性の有色化合物を形成した
りすることがある。このような場合は、消色方法とし
て、次に述べる消色助剤を用いる方法を適用することが
好ましい。
【0047】発色状態の可消色性着色剤の一部又は全部
を溶解又は膨潤させる液体の消色助剤(有機溶剤)と接
触させて消色を行う場合には、速度論的制御によって凍
結されていた顕色剤の分子運動が溶剤によって活発にな
り、その結果、顕色剤と消色剤(分子分散又は微粒子と
して存在)とが、呈色性化合物と顕色剤の分子間相互作
用よりも強く、消色剤と顕色剤との間で強い分子間相互
作用を起こすこととなり、呈色性化合物の発色状態は不
安定化し、消色状態となる。この状態は液体の消色助剤
を取り除いても継続する。このような消色の機構から明
らかなように、室温よりも高温、例えば50℃乃至80
℃でこの方法を実施することは極めて効果的である。
【0048】発色状態の可消色性着色剤を膨潤させる気
体の消色助剤(有機気体)と接触させて消色を行う場合
には、消色剤が膨潤状態の可消色性着色剤中に分子分散
されて存在するようになり、或いは、速度論的制御によ
って凍結されていた顕色剤の分子運動が活発になって微
粒子乃至ミクロ相分離状態として存在する消色剤の表面
に顕色剤が吸着され、その結果、呈色性化合物と顕色剤
の分子間相互作用よりも強く、消色剤と顕色剤との間で
分子間相互作用を起こすこととなり、呈色性化合物の発
色状態は不安定化し、消色状態となる。この状態は気体
の消色助剤を取り除き、膨潤状態でなくした後も継続す
る。このような消色の機構から明らかなように、室温よ
りも高温、例えば50℃乃至80℃でこの方法を実施す
ることは極めて効果的である。
【0049】発色状態の可消色性着色剤を膨潤させる気
体の消色助剤と接触させて消色を行う方法において消色
助剤として用いられる気体は、マトリックス樹脂の有無
に関わらず、可消色性着色剤の内部にまで浸透しやすく
膨潤させる性質を有する必要がある。具体的にはエチレ
ン、アセチレン、ジメチルエーテルなど常温常圧で気体
の有機化合物、及び、ナフタレン、p−ジクロロベンゼ
ンなど常温常圧で昇華して気体になる有機化合物を好適
に使用することができる。
【0050】発色状態の可消色性着色剤を膨潤又は溶解
させる液体の消色助剤と接触させて消色を行う方法にお
いて消色助剤として用いられる有機溶剤は、(A)顕色
剤と消色剤との間の水素結合の形成を助ける性質を有す
ることが好ましく、更に、(B)マトリックス樹脂との
親和性が高く可消色性着色剤の内部にまで浸透しやすい
性質を有することが好ましい。上記の(A)の性質を満
たす溶剤は単独で使用することができる。又、2種以上
の溶剤を混合して上記の2つの性質を満たすようにして
も良い。
【0051】第1類の溶剤、即ち、上記の(A)及び
(B)の両方の性質を有する溶剤としては、エーテル、
ケトン、エステルなどが挙げられる。具体的には、例え
ば、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチル
イソプロピルエーテル、イソペンチルメチルエーテル、
ブチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、エチルイソペンチルエーテル、ジブチ
ルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエー
テル、ジヘキシルエーテルなどの飽和エーテル;エチル
ビニルエーテル、アリルエチルエーテル、ジアリルエー
テル、エチルプロパルギルエーテルなどの不飽和エーテ
ル;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノー
ル、2−ブトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエ
タンなどの2価アルコールのエーテル;オキセタン、テ
トラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキソラ
ン、ジオキサン、トリオキサン、などの環状エーテル;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケト
ン、ジエチルケトン、イソプロピルメチルケトン、ブチ
ルメチルケトン、エチルプロピルケトン、イソブチルメ
チルケトン、ピナコロン、メチルペンチルケトン、ブチ
ルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケ
トン、ヘキシルメチルケトン、イソヘキシルメチルケト
ン、へプチルメチルケトン、ジブチルケトンなどの飽和
ケトン;エチリデンアセトン、アリルアセトン、メシチ
ルオキシドなどの不飽和ケトン;シクロペンタノン、シ
クロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン
などの環状ケトン;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブ
チル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチ
ル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢
酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペ
ンチル、酢酸sec−アミル、酢酸ヘキシル、酢酸アリ
ル、酢酸2−メトキシエチル、酢酸2−エトキシエチ
ル、1,2−ジアセトキシエタン、プロピオン酸メチ
ル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロ
ピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオ
ン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、プロピオン
酸sec−アミル、酢酸2−メトキシプロピル、酢酸2
−エトキシプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プ
ロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸ペンチ
ル、酪酸イソペンチル、酪酸sec−アミル、イソ酪酸
メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸
イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸ペンチル、イ
ソ酪酸イソペンチル、イソ酪酸sec−アミル、吉草酸
メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプ
ロピル、吉草酸ブチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、
吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、
ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロ
ピル、ヘキサン酸イソプロピルなどのエステルなどであ
る。上記以外の溶剤として、ジクロロメタン、γ−ブチ
ロラクトン、β−プロピオラクトン、N−メチルピロリ
ドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルイソインドリノン、
ジメチルスルホキシドなどがある。これらは単独で用い
ても、2種以上を混合して用いても良い。混合溶剤を用
いる場合、混合比は任意に設定できる。
【0052】第2類の溶剤、即ち、上記(A)の性質を
有するが、マトリックス樹脂との親和性が低い溶剤とし
ては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチ
ルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、
3−ペンタノール、イソペンチルアルコール、1−ヘキ
サノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シク
ロペンタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グ
リセリンなどを挙げることができる。本発明において
は、これらの溶剤に侵されない樹脂をマトリックス樹脂
として選定して使用するため、これら第2類の溶剤は、
単独では消色助剤として使用できない。
【0053】第3類の溶剤、即ち、上記(A)の性質を
持たないが、マトリックス樹脂との親和性が高い溶剤と
しては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、プロピル
ベンゼン、クメン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼ
ン、sec−ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジエ
チルベンゼン、メシチレン、キシレン、クレゾール、エ
チルフェノール、ジメトキシベンゼン、ジメトキシトル
エン、ベンジルアルコール、トリルカルビノール、クミ
ルアルコール、アセトフェノン、プロピオフェノン、ヘ
キサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサ
ン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタ
ン、石油留分(石油エーテル、ベンジンなど)などを挙
げることができる。
【0054】上述したように第1類の溶剤は消色助剤と
して単独で良好に使用することができる。第2類の溶剤
は、単独では消色助剤として使用できないが、第1類又
は第2類の溶剤に20乃至30重量%を上限として混合
して使用することができる。第3類の溶剤は第1類の溶
剤と混合して用いても良い。この場合、第3類の溶剤を
90重量%以下とすれば良い。又、第1類から第3類の
溶剤を混合して用いても良い。この場合、第2類の溶剤
を30重量%以下、又、第3類の溶剤を80重量%以下
とすることが好ましい。
【0055】可消色性着色剤を効率的に消色するために
は溶剤を予め加熱しておいても良い。この場合、溶剤の
沸点を超えない範囲で、溶剤の温度を40℃以上に加熱
することが好ましい。又、溶剤による消色方法を用いる
場合、溶剤に消色剤を添加することもできる。
【0056】[筆記具]本発明の可消色性水性着色剤を
充填する筆記具としては、サインペン、ボールペン、付
けペンなど液体インクが使用できるものであれば如何な
るものでも良い。
【0057】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳しく説明する。 <実施例1>呈色性化合物としてロイコ色素PSD−1
84(日本曹達株式会社製)2重量部、顕色剤として没
食子酸プロピル1重量部、消色剤としてコール酸(平均
粒径約200μm)17重量部、及び、マトリックス樹
脂として79重量部のポリスチレンを予め混合し、ニー
ダーを用いて100℃を超えない温度で充分に混練した
後、得られた混練物を2本ロールにて冷却しながら粉砕
し、再度ニーダーで混練するという工程を繰り返し、ニ
ーダーによる混練を5回繰り返して行い、黒色に発色し
た可消色性着色剤マスターバッチを製造した。このよう
に、ニーダーによる混練工程を繰り返すことによって、
比較的もろい結晶であるコール酸(消色剤)の粒子サイ
ズを徐々に小さくすることができる。得られた可消色性
着色剤マスターバッチをエアジェット式粉砕機により粉
砕した後、分級して平均粒径2μmの粉体型可消色性着
色剤を得た。
【0058】得られた可消色性着色剤5乃至10mgを
ホットプレート上で100℃に加熱したスライドガラス
の上に置き、100℃に加熱したもう1枚のスライドガ
ラスを重ねて圧着し、次いで冷却し、ガラス板の間に挟
まれた厚さ20乃至30μmの薄膜試料1を作成した。
100℃では、この可消色性着色剤は黒色を保っている
ことが確認された。この薄膜試料1を光学顕微鏡で観察
したところ消色剤の平均サイズは約1μmであった。
尚、顕微鏡観察で認められる微粒子の帰属を確認するた
め、比較試料として(1)呈色性化合物/マトリックス
樹脂、(2)顕色剤/マトリックス樹脂、(3)呈色性
化合物及び顕色剤/マトリックス樹脂、(4)消色剤/
マトリックス樹脂という組み合わせの比較用試料を、本
実施例の可消色性着色剤の場合と同様にして製造し、同
様にして薄膜試料を作成し、光学顕微鏡を用いて比較観
察した。比較観察の結果、薄膜試料1に観察される微粒
子は、消色剤であるコール酸の微粒子であることが確認
された。更に、薄膜試料1、及び、比較のため消色剤
(コール酸)/マトリックス樹脂混合物についての薄膜
試料を、各々200℃で10分間加熱し、室温まで冷却
したものについて光学顕微鏡観察を行ったところ、いず
れの薄膜においても微粒子は消失していることが確認さ
れた。
【0059】本実施例の可消色性着色剤について、更
に、粉末X線回折による解析を行ったところ、200℃
での加熱処理を行う前にはコール酸結晶に起因する回折
線が観察されるのに対して、200℃で30分間加熱処
理したものについてはコール酸結晶に起因する鋭い回折
線は消失することが確認された。
【0060】以上の観察をまとめると、 (1)発色状態における本実施例の可消色性着色剤中に
おいて、呈色性化合物及び顕色剤はマトリックス樹脂中
に固溶化している(少なくとも光学顕微鏡観察において
粒子乃至ミクロ相分離は観察されない)。 (2)発色状態における本実施例の可消色性着色剤中に
おいて、消色剤のコール酸は微結晶として存在してお
り、その最大粒子径(球で近似したときの直径)は約1
μmである。 (3)200℃加熱によって消色状態とした本実施例の
可消色性着色剤中において、消色剤のコール酸は分子分
散乃至アモルファス化し、結晶としてのX線回折線を示
さない。
【0061】以上のように製造、解析された本実施例の
粉体型可消色性着色剤20部を結着剤としてメタクリル
酸メチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸(アンモニウ
ム塩)共重合体20重量部を含み、他にノニオン系分散
剤2重量部、プロピレングリコール10重量部、及び、
水48重量部を含む結着剤溶液へ、3本ロールを用いて
分散し、本発明実施例1の可消色性水性着色剤を作成し
た。バーコーターを用いて実施例1の可消色性水性着色
剤を複写機用中性紙(反射率0.08)の片面全面に塗
工し、乾燥した。この紙を例えばメチルイソブチルケト
ン(MIBK)に浸漬した。その結果、実施例1の可消
色性水性着色剤は消色され肉眼では色は確認できなくな
った。消色後の紙の反射濃度を測定したところ0.08
であった。即ち、優れた消色特性を発揮することが確認
された。
【0062】繊維束を樹脂で結着させてなるペン体を固
定したペン体ホルダーを弁機構を介して先端に嵌着した
アルミニウム円筒体からなり、マーキング時にペン先を
紙面に押しつけて弁を開放させて筒内のインクをペン先
に導出するタイプのマーキングペンのペン体を用意し、
これに実施例1の可消色性水性着色剤を充填し、本発明
実施例1の筆記具を作成した。この筆記具を用いて複写
機用中性紙(反射率0.08)に筆記した。得られた描
線は充分な濃度であり、通常の使用条件で高い耐久性を
示し、又、100℃で30分間加熱しても描線は維持さ
れた。この描線は190℃以上に加熱するか、或いは、
消色助剤に接触させることで消色することができた。
【0063】実施例1の可消色性水性着色剤で筆記され
た紙を例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)に浸
漬した。その結果、実施例1の可消色性水性着色剤で筆
記された描線が消色され肉眼では確認できなくなった。
溶剤処理による消色過程を確認するため、分散する前の
可消色性着色剤粉末をMIBKと接触させたところ、瞬
時に膨潤・溶解した。この液体をガラス板上に薄く塗工
し、室温で、溶剤を蒸発させ、更に0.001パスカル
の真空下、100℃で24時間加熱処理して溶剤を完全
に除去した。溶剤を除去しても消色状態は維持された。
この試料を光学顕微鏡で観察したが、消色剤のコール酸
に帰属されるような微粒子は観察されなかった。又、コ
ール酸結晶に帰属されるX線回折線を示さないことも確
認された。以上の観察から、溶剤を用いて消色した場合
も、消色状態とした本実施例の可消色性着色剤中におい
て、消色剤が分子分散乃至アモルファス化していること
が確認された。
【0064】実施例1の可消色性水性着色剤による描線
が溶剤処理で消色された紙を60℃で300時間放置し
たが、描線が再び現れることはなかった。その後、描線
を消色した紙に、実施例1の筆記具で描線を筆記し、溶
剤処理で消色するプロセスを9回繰り返した。その後に
筆記した10回目の描線は1回目の描線と同等の品質で
あり、消色された描線の上でとぎれるようなことはなか
った。更に、筆記及び消色を50回まで繰り返した。そ
の結果、筆記された描線の品質及び消色状態の品質は良
好であった。本発明実施例1の可消色性水性着色剤の保
存安定性を試験するため、(a)ガラス瓶中、及び、
(b)実施例1の筆記具中、に密閉した状態で、50℃
における長期保存試験を行った。その結果、50℃で6
ヶ月間保存しても、発色状態及び分散状態に変化は認め
られず、又、紙の上に塗工或いは描画した後の消色特性
にも劣化は認められなかった。
【0065】<比較例1>比較用に消色剤を含まない組
成の色素組成物を作成するため、呈色性化合物としてロ
イコ色素PSD−184(日本曹達株式会社製)2重量
部、顕色剤として没食子酸プロピル1重量部、及び、マ
トリックス樹脂として79重量部のポリスチレンを予め
混合し、ニーダーを用いて100℃を超えない温度で充
分に混練し、黒色に発色した色素組成物を製造した。こ
れをエアジェット式粉砕機により粉砕した後、分級して
平均粒径2μmの色素組成物を得た。この色素組成物8
3重量%に対して消色剤としてコール酸(平均粒径約2
00μm)17重量%の割合で混合したもの(ロイコ色
素、顕色剤、及び、消色剤の成分組成は実施例1の場合
と同一)20重量部を結着剤としてメタクリル酸メチル
−アクリル酸ブチル−アクリル酸(アンモニウム塩)共
重合体20重量部を含み、他にノニオン系分散剤2重量
部、プロピレングリコール10重量部、及び、水48重
量部を含む結着剤溶液へ、3本ロールを用いて分散し、
比較例1の可消色性水性着色剤を作成した。
【0066】バーコーターを用いて比較例1の可消色性
水性着色剤を複写機用中性紙(反射率0.08)の片面
全面に塗工し、乾燥した。この紙を実施例1の場合と同
様にしてメチルイソブチルケトン(MIBK)に浸漬し
たところ、比較例1の可消色性水性着色剤は消色される
ものの、消色特性が悪く、残像が肉眼で確認された。消
色後の紙の反射濃度を測定したところ0.25であっ
た。即ち、実施例1(溶剤消色後の紙の反射濃度0.0
8)に比較して消色特性が著しく劣ることが確認され
た。即ち、消色剤が粒子として存在していても、その大
きさが200μm程度であると、消色特性が悪くなるこ
とが確認された。この原因は、消色剤粒子からの消色剤
分子の固溶化乃至溶出が、消色剤粒子サイズの増加とと
もに阻害されること、及び、消色剤の重量を一定にした
まま消色剤の粒子サイズを大きくしていくと、消色剤粒
子の表面積当たりの顕色剤分子数が著しく増大するため
消色剤の影響を受けにくい顕色剤及び呈色性化合物の割
合が増加することであると推測される。
【0067】<比較例2>比較例1の色素組成物83重
量%に対して消色剤として微粉砕したコール酸(平均粒
径約1μm)17重量%の割合で混合したもの(ロイコ
色素、顕色剤、及び、消色剤の成分組成は実施例1の場
合と同一)20重量部を結着剤としてメタクリル酸メチ
ル−アクリル酸ブチル−アクリル酸(アンモニウム塩)
共重合体20重量部を含み、他にノニオン系分散剤2重
量部、プロピレングリコール10重量部、及び、水48
重量部を含む結着剤溶液へ、3本ロールを用いて分散
し、比較例2の可消色性水性着色剤を作成した。又、こ
れを実施例1の場合と同様なペン体に充填して比較例2
の筆記具を作成した。
【0068】比較例2の可消色性水性着色剤を紙に塗工
したもの、及び、比較例2の筆記具を用いて紙上に筆記
した描画は、作成直後に試験した場合、実施例1の場合
と同等の消色特性を発揮した。ところが、比較例2の可
消色性水性着色剤の保存安定性を試験するため、(a)
ガラス瓶中、及び、(b)比較例2の筆記具中、に密閉
した状態で、50℃における長期保存試験を行った。そ
の結果、50℃で1週間保存しただけでコール酸の結晶
成長が起こり、比較例2の可消色性水性着色剤を塗工し
たものは消去特性が不良となり、一方、比較例2の筆記
具は筆記不能になった。これは消色剤であるコール酸の
微粒子がマトリックス樹脂によって保護されていないた
め、水に対してごく僅かに溶解性を示し、結晶成長した
ものである。
【0069】<実施例2>実施例1の可消色性水性着色
剤に増粘性多糖類として3%レオザン(三晶株式会社
製)を5重量%(固形分として0.15重量%)添加
し、実施例2の可消色性水性着色剤を作成した。これ
を、ボールペンのペン先をポリプロピレンパイプの一端
に備えたカートリッジに充填し、実施例2の筆記具とし
てボールペンを作成した。この筆記具を用いて複写機用
中性紙(反射率0.08)に筆記した。得られた描線は
充分な濃度であり、通常の使用条件で高い耐久性を示
し、又、100℃で30分間加熱しても描線は維持され
た。この描線は190℃以上まで加熱するか、或いは、
消色助剤に接触させることで消色することができた。
【0070】実施例2の可消色性水性着色剤で筆記され
た紙を例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)に浸
漬した。その結果、実施例2の可消色性水性着色剤で筆
記された描線が消色され肉眼では確認できなくなった。
実施例2の可消色性水性着色剤による描線が溶剤処理で
消色された紙を60℃で300時間放置したが、描線が
再び現れることはなかった。その後、描線を消色した紙
に、実施例2の筆記具で描線を筆記し、溶剤処理で消色
するプロセスを9回繰り返した。その後に筆記した10
回目の描線は1回目の描線と同等の品質であり、消色さ
れた描線の上でとぎれるようなことはなかった。更に、
筆記及び消色を50回まで繰り返した。その結果、筆記
された描線の品質及び消色状態の品質は良好であった。
【0071】<実施例3>呈色性化合物としてクリスタ
ルバイオレットラクトン(東京化成株式会社製)1重量
部、顕色剤として没食子酸プロピル1重量部、消色剤と
して粒子状(平均粒子径約200μm)コール酸18重
量部、及びマトリックス樹脂として79重量部のポリス
チレンを混合し、ニーダーを用いて100℃を超えない
温度で充分に混練した後、得られた混練物を2本ロール
にて冷却しながら粉砕し、再度ニーダーで混練するとい
う工程を繰り返し、ニーダーによる混練を合計5回繰り
返して行い、青紫色に発色した可消色性着色剤マスター
バッチを製造した。これをエアジェット式粉砕機により
粉砕した後、分級して平均粒径2μmの粉体型可消色性
着色剤を得た。
【0072】実施例1の場合と同様にしてこの粉体型可
消色性着色剤を用いて薄膜試料2を作製し、光学顕微鏡
で観察した結果、コール酸微粒子(これがコール酸であ
ることは実施例1と同様にして確認した。)の大きさは
平均約1μmであった。次いで、薄膜試料2を200℃
で10分間加熱し、室温まで冷却したものについて光学
顕微鏡観察を行ったところ、薄膜試料2に観察される微
粒子は消失していることが確認された。又、実施例1の
場合と同様に、粉末X線回折による解析を行い、発色状
態の本実施例の可消色性着色剤中、消色剤のコール酸は
微結晶状態で存在していることを確認した。以上のよう
に製造、解析された本実施例の粉体型可消色性着色剤2
0部を結着剤としてメタクリル酸メチル−アクリル酸ブ
チル−アクリル酸(アンモニウム塩)共重合体20重量
部を含み、他にノニオン系分散剤2重量部、プロピレン
グリコール10重量部、及び、水48重量部を含む結着
剤溶液へ、3本ロールを用いて分散し、本発明実施例3
の可消色性水性着色剤を作成した。
【0073】バーコーターを用いて実施例3の可消色性
水性着色剤を複写機用中性紙(反射率0.08)の片面
全面に塗工し、乾燥した。この紙を例えばメチルイソブ
チルケトン(MIBK)に浸漬した。その結果、実施例
3の可消色性水性着色剤は消色され肉眼では色は確認で
きなくなった。消色後の紙の反射濃度を測定したところ
0.08であった。即ち、優れた消色特性を発揮するこ
とが確認された。繊維束を樹脂で結着させてなるペン体
を固定したペン体ホルダーを弁機構を介して先端に嵌着
したアルミニウム円筒体からなり、マーキング時にペン
先を紙面に押しつけて弁を開放させて筒内のインクをペ
ン先に導出するタイプのマーキングペンのペン体を用意
し、これに実施例3の可消色性水性着色剤を充填し、本
発明実施例3の筆記具を作成した。この筆記具を用いて
複写機用中性紙(反射率0.08)に筆記した。得られ
た描線は充分な濃度であり、通常の使用条件で高い耐久
性を示し、又、100℃で30分間加熱しても描線は維
持された。この描線は190℃以上まで加熱するか、或
いは、消色助剤に接触させることで消色することができ
た。
【0074】実施例3の可消色性水性着色剤で筆記され
た紙を例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)に浸
漬した。その結果、実施例3の可消色性水性着色剤で筆
記された描線が消色され肉眼では確認できなくなった。
実施例3の可消色性水性着色剤による描線が溶剤処理で
消色された紙を60℃で300時間放置したが、描線が
再び現れることはなかった。その後、描線を消色した紙
に、実施例3の筆記具で描線を筆記し、溶剤処理で消色
するプロセスを9回繰り返した。その後に筆記した10
回目の描線は1回目の描線と同等の品質であり、消色さ
れた描線の上でとぎれるようなことはなかった。更に、
筆記及び消色を50回まで繰り返した。その結果、筆記
された描線の品質及び消色状態の品質は良好であった。
【0075】<実施例4>呈色性化合物としてロイコ色
素S−205(山田化学工業株式会社製)6重量部、顕
色剤として没食子酸プロピル2重量部、消色剤としてデ
ンプン(平均粒径約10μmのコーンスターチ)12重
量部、及び、マトリックス樹脂として80重量部のポリ
スチレンを予め混合し、ニーダーを用いて100℃を超
えない温度で充分に混練し、黒色に発色した可消色性着
色剤マスターバッチを製造した。ニーダーによる混練で
は、デンプン(消色剤)の粒子サイズを小さくすること
は困難である。得られた可消色性着色剤マスターバッチ
をエアジェット式粉砕機により粉砕した後、分級して平
均粒径2μmの粉体型可消色性着色剤を得た。このよう
に、マトリックス樹脂中に混練・混合されたデンプンは
エアジェット式粉砕機により容易に微粉砕することがで
きる。
【0076】得られた可消色性着色剤5乃至10mgを
ホットプレート上で100℃に加熱したスライドガラス
の上に置き、100℃に加熱したもう1枚のスライドガ
ラスを重ねて圧着し、次いで冷却し、ガラス板の間に挟
まれた厚さ20乃至30μmの薄膜試料3を作成した。
100℃では、この可消色性着色剤は黒色を保っている
ことが確認された。この薄膜試料1を光学顕微鏡で観察
したところデンプン(消色剤)の平均サイズは約1μm
であった。尚、顕微鏡観察で認められる微粒子の帰属を
確認するため、比較試料として(1)呈色性化合物/マ
トリックス樹脂、(2)顕色剤/マトリックス樹脂、
(3)呈色性化合物及び顕色剤/マトリックス樹脂、
(4)消色剤/マトリックス樹脂という組み合わせの比
較用試料を、本実施例の可消色性着色剤の場合と同様に
して製造し、同様にして薄膜試料を作成し、光学顕微鏡
を用いて比較観察した。比較観察の結果、薄膜試料3に
観察される微粒子は、消色剤であるデンプンの微粒子で
あることが確認された。更に、薄膜試料3を、200℃
で10分間加熱し、室温まで冷却したところ、薄膜試料
3は消色して乳白色になった。これを光学顕微鏡観察し
たところ消色剤であるデンプンは加熱前とは変化せずに
微粒子として存在しており、その最大粒子径(球で近似
したときの直径)は1μmであることが確認された。
【0077】本実施例の可消色性着色剤について、更
に、粉末X線回折による解析を行ったが、熱処理の有無
に関係なく、明確な回折線は観察されなかった。尚、デ
ンプンを単独で粉末X線解析すると、弱い回折線が観察
される。以上の観察から、消色剤としてデンプンを使用
した場合の消色の機構は、呈色性化合物と水素結合して
いた顕色剤が加熱によってマトリックス樹脂中を移動し
て消色剤であるデンプン微粒子の表面へ到達し、そこへ
吸着されて分子間相互作用し、その結果、呈色性化合物
の発色状態が不安定化し、消色するものと推測される。
以上のように製造、解析された本実施例の粉体型可消色
性着色剤20部を結着剤としてメタクリル酸メチル−ア
クリル酸ブチル−アクリル酸(アンモニウム塩)共重合
体20重量部を含み、他にノニオン系分散剤2重量部、
プロピレングリコール10重量部、及び、水48重量部
を含む結着剤溶液へ、3本ロールを用いて分散し、本発
明実施例1の可消色性水性着色剤を作成した。
【0078】バーコーターを用いて実施例4の可消色性
水性着色剤を複写機用中性紙(反射率0.08)の片面
全面に塗工し、乾燥した。この紙を例えばメチルイソブ
チルケトン(MIBK)に浸漬した。その結果、実施例
4の可消色性水性着色剤は消色され肉眼では色は確認で
きなくなった。消色後の紙の反射濃度を測定したところ
0.08であった。即ち、優れた消色特性を発揮するこ
とが確認された。繊維束を樹脂で結着させてなるペン体
を固定したペン体ホルダーを弁機構を介して先端に嵌着
したアルミニウム円筒体からなり、マーキング時にペン
先を紙面に押しつけて弁を開放させて筒内のインクをペ
ン先に導出するタイプのマーキングペンのペン体を用意
し、これに実施例4の可消色性水性着色剤を充填し、本
発明実施例4の筆記具を作成した。この筆記具を用いて
複写機用中性紙(反射率0.08)に筆記した。得られ
た描線は充分な濃度であり、通常の使用条件で高い耐久
性を示し、又、100℃で30分間加熱しても描線は維
持された。この描線は190℃以上まで加熱するか、或
いは、消色助剤に接触させることで消色することができ
た。
【0079】実施例4の可消色性水性着色剤で筆記され
た紙を例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)に浸
漬した。その結果、実施例4の可消色性水性着色剤で筆
記された描線が消色され肉眼では確認できなくなった。
溶剤処理による消色過程を確認するため、分散する前の
可消色性着色剤粉末をMIBKと接触させたところ、瞬
時に膨潤・溶解した。この液体をガラス板上に薄く塗工
し、室温で、溶剤を蒸発させ、更に0.001パスカル
の真空下、100℃で24時間加熱処理して溶剤を完全
に除去した。溶剤を除去しても消色状態は維持された。
この試料を光学顕微鏡で観察したが、デンプンの微粒子
の状態に変化は認められなかった。
【0080】以上の観察から、溶剤を用いて消色した場
合も、呈色性化合物と水素結合していた顕色剤が溶液化
した可消色性着色剤中を移動して消色剤であるデンプン
微粒子の表面へ到達し、そこへ吸着されて分子間相互作
用し、その結果、呈色性化合物の発色状態が不安定化
し、消色するものと推測される。実施例4の可消色性水
性着色剤による描線が溶剤処理で消色された紙を60℃
で300時間放置したが、描線が再び現れることはなか
った。その後、描線を消色した紙に、実施例4の筆記具
で描線を筆記し、溶剤処理で消色するプロセスを9回繰
り返した。その後に筆記した10回目の描線は1回目の
描線と同等の品質であり、消色された描線の上でとぎれ
るようなことはなかった。更に、筆記及び消色を50回
まで繰り返した。その結果、筆記された描線の品質及び
消色状態の品質は良好であった。本発明実施例4の可消
色性水性着色剤の保存安定性を試験するため、(a)ガ
ラス瓶中、及び、(b)実施例1の筆記具中、に密閉し
た状態で、50℃における長期保存試験を行った。その
結果、50℃で6ヶ月間保存しても、発色状態及び分散
状態に変化は認められず、又、紙の上に塗工或いは描画
した後の消色特性にも劣化は認められなかった。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の可消色性
水性着色剤を用いれば、紙の上に安定な画像を形成し、
形成された画像を優れた消色特性で消色することができ
る。又、この消色状態は安定に維持でき、消色後の紙を
有効に再使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 道衛 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA19 FC01 4J039 AB02 AD01 AD03 AD05 AD07 AD08 AD10 AD11 AD12 AD18 AE01 AE03 AE05 AE06 AE08 AE10 AE11 BB00 BC29 BC33 BC56 BE02 CA06 EA14 EA21 EA29 EA46 GA01 GA02 GA03 GA24 GA27 GA28

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可消色性着色剤の微粒子を水を含む溶剤
    系中に分散させた可消色性水性着色剤であって、 前記可消色性着色剤は、少なくともマトリックス樹脂、
    顕色剤、前記顕色剤との分子間相互作用により発色する
    呈色性化合物、及び、前記顕色剤と前記呈色性化合物と
    の分子間相互作用よりも強く、前記顕色剤と分子間相互
    作用する消色剤からなり、 発色状態の前記可消色性着色剤中では、前記消色剤は微
    粒子乃至ミクロ相分離状態として存在し、前記顕色剤は
    前記マトリックス樹脂中に分子分散されて前記呈色性化
    合物と分子間相互作用して存在し、 消色状態の前記可消色性着色剤中では、前記消色剤は微
    粒子乃至ミクロ相分離状態として、或いは、分子分散さ
    れて存在し、更に、前記顕色剤は前記呈色性化合物と分
    子間相互作用せずに、微粒子乃至ミクロ相分離状態とし
    て存在する前記消色剤の表面に吸着されて存在するか、
    或いは、分子分散されて存在する前記消色剤と分子間相
    互作用して存在することを特徴とする可消色性水性着色
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の可消色性水性着色剤で
    あって、 少なくとも発色状態の前記可消色性着色剤中では、前記
    消色剤はその形状を球で近似したときの平均直径が1n
    m乃至100μmの微粒子乃至ミクロ相分離状態として
    存在することを特徴とする可消色性水性着色剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の可消色性
    水性着色剤が充填されたことを特徴とする筆記具。
JP2000086929A 2000-03-27 2000-03-27 可消色性水性着色剤及びそれを用いる筆記具 Pending JP2001271016A (ja)

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