JP2002285373A - 高純度マンガンの製造方法 - Google Patents
高純度マンガンの製造方法Info
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Abstract
理的な価格で製造するための技術を提案すること。 【解決手段】 塩化マンガン水溶液にキレート樹脂を用
いたイオン交換精製法を適用し、次いでその精製塩化マ
ンガン水溶液を、電解採取法により高純度化する方法で
あり、乾式法は、固相マンガンから真空昇華精製法(固
相マンガンの昇華により得たマンガン蒸気を蒸気圧差に
より冷却部にて選択的に凝縮蒸着させる)により、高純
度マンガンを得る。
Description
る金属不純物および非金属不純物を極低化して高純度の
マンガンを製造する方法に関するものである。
金薄膜として有望なマンガン合金、あるいは磁性半導体
として既に開発されているマンガン化合物などの原料と
して有用である。
性合金薄膜の分野では、FeMn、PtMn,IrMn等のマンガン
合金が用いられ、また磁性半導体の分野では、Cd1-xMnx
Te等のマンガン化合物が用いられているが、それぞれの
用途において求められている特性を最大限に発揮させる
には、マンガンの純度を上げることが必要である。
発光素子、受光素子などの機能性素材として注目されて
いる。しかし、この化合物半導体中にたとえ微量であっ
たとしても不純物が含まれていると特性に大きく影響を
及ぼすことから、その特性向上には高純度化が不可欠で
ある。また、巨大磁気抵抗効果を有する反強磁性合金に
ついては、スピンバルブと呼ばれる交換結合の役割を果
たす高性能磁気ヘッド、(即ち、ハードディスク用読み
出しヘッド)として実用化されているが、さらに超高密
度ハードディスクのキーマテリアルとして高純度マンガ
ンが注目されている。それは、マンガン中に含まれる金
属不純物は、磁気特性を低下させ、一方、硫黄や酸素、
炭素などの非金属不純物は、耐食性を損なうので好まし
くないからである。また、マンガン中の不純物は、この
マンガンをスパッタリングして薄膜を形成するときにパ
ーティクル発生の一因ともなり、膜特性および信頼性を
損うという問題があり、この面からも高純度化が必要で
ある。
湿式法(電解法)と乾式法(電炉法、テルミット法)と
があるが、工業的には電解法が大勢を占め、いわゆる電
解マンガンとして提供されている。この電解マンガンの
純度は、約99.6〜99.9%で、硫酸塩浴を用いて電析させ
て得ていることから、0.02〜0.04mass%程度の硫黄(不
純物)を含むのが普通である。したがって、市販の電解
マンガンを、例えば反強磁性合金薄膜の原料として使用
する場合、多量に含まれる前記不純物の悪影響により、
薄膜の耐食性や膜信頼性が劣るという問題が指摘されて
いた。
化学的に非常に活性であり、しかも卑な金属(標準電極
電位が-1.18V)であることから、高純度精製や還元が比
較的困難で、そのために、マンガンの高純度化技術に関
する報告は比較的少ないのが実情である。そのなかで、
マンガンは蒸気圧が高いという特徴を利用して精製する
真空蒸留法(特開平11-152628号公報参照)が一般的で
ある。しかし、この技術は、高温、高真空に維持して溶
融マンガン(マンガンの融点は1246℃である。)からマ
ンガンを蒸発させるため、容器からの溶融マンガンへの
汚染が問題になる。それ故、係る真空蒸留法により、金
属不純物の合計量を50ppm以下、酸素、硫黄、炭素、窒
素など非金属不純物の合計量を50ppm以下にまで精製す
るのは困難であった。
ン合金、磁性半導体マンガン化合物については、マンガ
ン以外の元素、例えば鉄、白金、カドミウム、テルルな
どは、すでに4N以上さらに5N以上の高純度品が提供
されている。これに対し、マンガンの高純度化技術は遅
れており、現在のところ、3、4N以上の高純度マンガ
ンの入手は困難である。
を簡便かつ確実に、しかも合理的な価格で製造するため
の技術を提案することにある。
述した問題点を解消すべく鋭意検討した結果、発明者ら
は、湿式法および/または乾式法を採用して高純度のマ
ンガンを製造する方法を開発することに成功し、本発明
を完成した。即ち、本発明は、湿式法としては、まず、
塩化マンガン水溶液にキレート樹脂を用いたイオン交換
精製法を適用し、次いでその精製塩化マンガン水溶液
を、電解採取法により高純度化する方法であり、乾式法
は、固相マンガンから真空昇華精製法(固相マンガンの
昇華により得たマンガン蒸気を蒸気圧差により冷却部に
て選択的に凝縮蒸着させる)により、高純度マンガンを
得る方法である。以下、前者をキレート樹脂イオン交換
一電解法、後者を真空昇華精製法として、この両精製法
を組合わせた方法も併せて、その構成の詳細を説明す
る。
ン水溶液を調整し、この塩化マンガン水溶液をキレート
樹脂を用いてイオン交換処理することにより、精製塩化
マンガン水溶液を調整し、次いでこの精製塩化マンガン
水溶液を電解液とする電解処理して精製することにより
金属不純物の合計濃度を30ppm高純度マンガンを製造す
る。
換というのは、官能基としてイミノジ酢酸基を有するキ
レート樹脂(イミノジ酢酸型キレート樹脂)を使用し、
塩化マンガン水溶液から金属不純物を効率的に分離除去
する方法である。因みに、イミノジ酢酸型キレート樹脂
の各金属イオンに対するイオン捕捉力を下記に示す。Cu
(II)>Pb(II)>Fe(III)Al(III)>Cr(III)>Ni
(II)>Zn(II)>Ag(I)>Co(II)>Cd(II)>Mn
(II)>Ca(II)>Sr(II)>Mg(II)>Na(I)
イオンに対し、銅、鉄、アルミニウム、クロム、亜鉛、
コバルト、ニッケルなどはキレート樹脂に捕捉され易い
性質がある。そこで、これらの金属不純物についてはキ
レート樹脂に吸着する一方で、マンガンについてはキレ
ート樹脂には吸着されないで流出する臨界条件を求めれ
ば、前記金属不純物とマンガンとの分離除去が可能にな
ると考えられる。この分離を実現する方法としては、塩
化マンガン水溶液のpHおよび通液速度(SV)を調整
することが好ましいと考えられる。
ンガンとともに流出する金属不純物もある。即ち、アル
カリ金属、アルカリ土類金属は、マンガンに比べかなり
卑な金属であり、キレート樹脂には吸着されない。そこ
で、本発明では、これらの不純物をも除去する方法とし
て、電解採取法を適用することにした。この電解採取法
によれば、マンガンのみを陰極に電析させることが可能
であり、このことによって電解液中に残存するアルカリ
金属およびアルカリ土類金属をマンガンから分離するこ
とが可能であり、金属マンガンの高純度精製が可能にな
る。
て、加熱昇温することにより得られる、昇華マンガン
を、真空昇華精製法を適用して処理することにより、金
属不純物の合計濃度を20ppm以下、かつ非金属不純物の
合計濃度を10ppm以下にする、高純度マンガンの製造方
法である。
度化のための精製法であり、固相マンガンから1000〜12
00℃の温度域でマンガンを昇華させ、その昇華したマン
ガン蒸気を冷却部にて凝縮蒸着させて回収する、いわゆ
る真空昇華精製法と呼ばれる技術である。これに類似す
る精製技術として真空蒸留法があるが、この方法ではマ
ンガンの融点(1246℃)以上の温度に加熱して得た溶融
マンガンから高純度のマンガンを蒸発させることから、
蒸発速度は大きいものの、溶融マンガンを用いるので容
器壁との濡れ性が大きくなり、その容器壁からの汚染が
問題になる。これに対し、かかる真空昇華精製法の場
合、固相マンガンからマンガンを直接、昇華させる方法
であるから、容器壁からの汚染は殆ど問題にならない。
的な精製効果について説明する。本発明において採用す
るこの真空昇華精製法では、その精製時の加熱温度(10
00〜1200℃)におけるマンガンの蒸気圧(2〜80Pa)
は、AlやCu、Cr、Fe、Tiなど多くの金属不純物の蒸気圧
(0.1Pa以下)に比べると、2桁以上も高く、従って、こ
れらの金属不純物は昇華せず残渣中に残るので、マンガ
ンからの分離除去が可能である。
Mgなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属不純物につい
ては、1000〜1200℃の温度範囲では1kPa以上の高蒸気圧
を有し(マンガンに比べ2桁以上高い)、マンガンとと
もに昇華(蒸発)すると予測される。しかし、後述する
ように(実施例3)、NaやCa等は、上記真空昇華精製処
理後の残渣中に、その大半が濃縮され、マンガンから分
離させることが可能である。
きる。即ち、原料の電解マンガンには酸素が約600ppm、
硫黄が約200ppmと比較的多く含まれている。これに対
し、アルカリ金属、アルカリ土類金属はマンガンよりも
酸素、硫黄との親和力が大きいことで知られている。し
たがって、上掲の昇華精製温度にまで昇温されるとき
に、これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属不純物は
マンガン中の酸素、硫黄と反応し蒸気圧の低い酸化物あ
るいは硫化物を形成するため、その大半が蒸発せず残渣
中に残るものと考えられる。
純物の一部は、マンガンとともに蒸発(昇華)するが、
蒸気圧がマンガンに比べ2桁以上も高いことから、マン
ガン蒸着部よりより低温部に蒸着し、また上述したよう
に、大半が残渣として残り、蒸発量もわずかであること
から、蒸着マンガンを汚染するようなことはない。
酸素、窒素、炭素等の非金属不純物は、マンガンとの親
和力が大きいことから、昇華精製温度で蒸気圧の低いマ
ンガン化合物(硫化物、酸化物、窒化物、炭化物)を形
成し、そのまま残渣中に残り、効率的に昇華したマンガ
ン蒸気から分離除去される。
マンガンからの昇華速度が遅いので、真空蒸留精製に比
べると処理時間が長くなる。しかしながら、このこと
は、優れた精製効果に加えて、昇華速度が遅いことで、
却って不純物を巻き込む度合が低下し、不純物の分離除
去に効果的に寄与しているのである。
方法において、出発材料として用いるマンガン原料とし
ては、キレート樹脂イオン交換一電解法の場合は、市販
の電解マンガン(純度99.6〜99.9%程度の粗マンガン)
あるいは使用済み乾電池から回収した二酸化マンガンが
使用でき、真空昇華精製法では市販の電解マンガンが使
用できる。
いて 原料である市販の電解マンガンあるいは二酸化マンガン
を、塩酸酸性水溶液に溶解し、マンガン濃度が10〜80g/
Lの塩化マンガン水溶液を得る。これにアンモニア水を
添加して、pH:2〜7の塩化マンガン水溶液を調整す
る。ここで、この水溶液のpHが2未満では、キレート樹
脂へのFe、Al、Crなどの吸着率が低下し、マンガンから
の効率的な分離が困難となる。一方、この水溶液のpHが
7以上では、水酸化マンガンが析出して沈殿が始まり、
キレート樹脂による精製には不向きになる。
ジ酢酸型キレート樹脂を充填したガラス製または塩化ビ
ニール製カラム中に通液し、そのカラムから流出する溶
液を回収する。そのとき、FeやAl、Cr、Ni、Co、Znなど
の金属不純物はキレート樹脂に固着され、これらの不純
物を含まない精製された塩化マンガン溶液が回収され
る。なお、通液速度は1〜10SVとする(通液速度1
SVとは、1時間に樹脂容積と同等の溶液を通液する速
度で、10SVとはその十倍の通液速度である)。その
理由は、1SV未満では、精製した塩化マンガン水溶液
の回収に長時間を要し、非効率的である。一方、10S
V以上では、マンガンと不純物との充分な分離効果が低
下し、好ましくない。
脂に通液した後は、塩化マンガン水溶液と同一のpHの希
薄塩酸を上記カラムに通液して該カラム内に残留するマ
ンガンを回収する。
カラム中に通液し、キレート樹脂に固着したFeやAl、C
r、Ni、Coなどの金属不純物を樹脂から溶離させ、カラ
ムから除去する。これらの操作を、繰り返すことで、所
望量の精製塩化マンガン水溶液を調整する。
衝材として塩化アンモニウムを添加し、電解液とする。
その電解液のマンガン濃度は5〜60g/L、塩化アンモニウ
ム濃度は80〜150g/Lとする。この理由は、マンガン濃度
が5g/L未満では電析マンガンが得られず、また60g/Lを
越えると平滑な板状電析マンガンが得られず好ましくな
い。また、塩化アンモニウム濃度が80g/L未満では、良
好な電析マンガンが得られず、160g/L以上では、多量の
塩化マンガンを消費することになり好ましくない。
テンレス鋼板、陽極には黒鉛を用い、電流密度50〜120m
A/cm2により、陰極板上に平滑な板状の電析マンガンを
得る。この電解時、適量のアンモニア水を電解液中に随
時添加し、pHを4〜7に保持する。この理由は、pHが4未
満では、電析マンガンが電解液に再溶出して好ましくな
い。一方、pHが7を越えると、電解液中に水酸化マンガ
ンが析出して、やはり好ましくない。
を電析させて、このマンガンよりも卑なアルカリ金属お
よびアルカリ土類金属不純物の電析を阻止して、キレー
ト樹脂イオン交換処理のときにマンガンとともに流出し
たアルカリ金属およびアルカリ土類金属不純物を、この
段階でマンガンから分離除去するためにある。
用により製造されるマンガンは、金属不純物濃度の合計
量が30ppm以下の高純度金属マンガンとなる。
真空排気しながら、電解マンガンの予備加熱(500℃程
度に加熱し約1時間保持)を行い、この段階で、揮発性
不純物成分の除去を行う。
ン装填部を1000〜1200℃に昇温し、真空昇華精製処理を
行う。この処理の温度が1000℃未満では、昇華精製時間
が長くなりすぎ、一方1200℃を越えるとマンガンが溶融
する可能性が増し、容器壁からの汚染が生じる。この処
理において、固相マンガンから昇華したマンガン蒸気
は、冷却部で凝縮蒸着し、金属不純物の合計濃度が20pp
m以下、非金属不純物(硫黄、酸素、窒素、炭素)の合
計濃度が10ppm以下の高純度マンガンが得られる。
aとする。10-5Pa未満では、冷却部で凝縮する際のマン
ガン回収率が低下する。一方、1Paを越えるとマンガン
の昇華にかかる時間が長くなる。真空昇華時間は原料の
市販電解マンガンの装填量にもよるが、20〜30時間程度
とすることが好ましい。その際、残留物が30〜40mass%
程度になるまで行うのが好ましく、残留物が30mass%以
下では凝縮したマンガン中の不純物濃度が増加する傾向
が高まり、40mass%以上ではマンガン回収率が低下し好
ましくない。
解法を適用して、金属不純物の合計濃度が30ppmの高純
度マンガンを製造し、次いで、その高純度マンガンをさ
らに、上記記載の真空昇華精製法を適用して処理し、
金属不純物濃度および非金属不純物濃度の合計量が10pp
m以下の超高純度マンガンを得る。
処理および真空昇華精製法の各処理は、複数回繰返して
もよく、その処理の順序を変更することもまた可能であ
る。
溶液に対するキレート樹脂イオン交換による精製効果を
確認する目的で、塩化マンガン水溶液に試験不純物を添
加した試験溶液をキレート樹脂に通液し、流出液のマン
ガンおよび試験不純物の濃度を分析し、各元素の溶離曲
線を求め、キレート樹脂イオン交換法がマンガンと不純
物との分離に有効なことを明らかにするための実験であ
る。
純水に溶解し、これにAl、Ca、Co、Cu、Fe、Ni、Znを試
験不純物として塩化物の形で添加し、塩酸あるいはアン
モニア水を滴下してpHを2〜7に調整し、マンガン濃度5
0g/L、各試験不純物の濃度10mg/L(マンガンに対して0.
02%)の試験溶液300mlを作製した。この試験溶液を、
イミノジ酢酸型キレート樹脂(ユニチカ(株)製、UR-3
0S)を約140ml装填したガラス製カラム(内径26mm、高
さ400mm、樹脂層高さ260mm)中に、通液速度1〜10S
Vで通液し、流出した溶液を50ml毎に採取した。
のpHの希薄塩酸300mlを通液してカラムに残留するマン
ガンを回収し、その後2〜4規程の塩酸600mlを通液し、
キレート樹脂に吸着した試験不純物の樹脂からの溶離を
図った。採取した流出液中のマンガンおよび試験不純物
の濃度はICPにより分析した。
試験不純物Al、Ca、Co、Cu、Fe、Ni、Znの溶離曲線であ
り、試験溶液のpHは6,通液速度は5SVとした条件
で求められている。
1とした場合の規格値である。この図からわかるよう
に、pH=6ではマンガンおよびCaはキレート樹脂に吸着
せず直ちにカラムから流出した。一方、他の試験不純物
であるAl、Co、Cu、Fe、Ni、ZnはpH=6で樹脂に吸着
し、マンガンから分離され、より高濃度の2規程塩酸を
通液したときに始めて、樹脂から溶離して流出すること
が確認された。この結果から、アルカリ金属、アルカリ
土類金属以外の金属不純物は、キレート樹脂イオン交換
から容易に分離除去されることが明らかとなった。同様
な結果がpH=2〜7、通液速度1〜10SVの条件下
でも確認されている。
量の塩酸で溶解し、さらに塩化アンモニウムおよび純水
を加え、マンガン濃度50g/L、塩化アンモニウム濃度10
0g/Lを含む塩化マンガン+塩化アンモニウム水溶液を
作製した。この水溶液に適量のアンモニア水を滴下して
pH=6に調整した後、同溶液1Lをイミノジ酢酸型キ
レート樹脂(ユニチカ(株)製、UR-30S)を約140ml装
填したガラス製カラム(内径26mm、高さ400mm、樹脂層
高さ260mm)中に通液速度5SVで通液し、流出する塩
化マンガン+塩化アンモニウム水溶液を回収した。
0mlを同カラムに通液し、カラム内に残留する塩化マン
ガン+塩化アンモニウム水溶液を回収し、前記の回収液
と合わせて1Lの精製した塩化マンガン+塩化アンモニ
ウム水溶液を得、これを次工程のマンガン電解採取用の
電解液とした。なお、塩化マンガン水溶液および塩化ア
ンモニウム水溶液を別々にキレート樹脂イオン交換によ
り精製後、これらの所定量を混合して電解液を作製する
ことも可能であるが、最初から両液を混合してキレート
樹脂イオン交換精製を行った方がより効率的である。
液し、キレート樹脂に吸着したFe、Al、Co、Ni、Zn、Cu
などの金属不純物を溶離して樹脂の清浄化を行った。
ウム水溶液600mlを電解液として電解槽に装入し、陰極
にはステンレス鋼板、陽極には黒鉛を用い、電流密度10
0mA/cm2により、電解を行った。電解時、適量のアン
モニア水を随時電解液に添加し、pHを約6に保持し
た。電解時間約180分で陰極板上に平板状の電析マンガ
ンが約20g得られた。電解後、電析マンガンは容易に陰
極から剥離できた。
レート樹脂イオン交換精製一電解法の適用で得られた高
純度マンガンの分析値を示した。この表からわかるよう
に、Al、Ca、Cu、Fe、Ni、Mg、Zn、Sは1ppm以下、K、N
a、Siは5ppm以下の高純度マンガンが回収できた。
を電気炉内にセットした高純度アルミナルツボに装入し
た後、真空ポンプで10-4〜10-3Paに排気しながら、600
℃、1時間の予備加熱を行い、まず揮発性の不純物成分
を除去した。その後、アルミナルツボを1080℃に昇温
し、30時間の真空昇華精製処理を行った。固相マンガン
から昇華したマンガン蒸気は、アルミナルツボの上方に
設置された高純度アルミナ管の内壁(約900〜950℃)に
接して冷却され、蒸着マンガン90gが凝縮回収された。
この蒸着マンガンは銀白色の金属光沢を呈し、その後、
数ヶ月空気中に放置しても金属光沢が保持されていた。
一方、昇華後の残渣は緑色を呈していた。
真空昇華精製処理によって得られた高純度マンガンおよ
び昇華後の残渣の分析値を示す。真空昇華精製により得
られたマンガンは不純物濃度が著しく低い高純度マンガ
ンであり、Si以外の金属不純物濃度は何れも1massppm
以下に低減しており、特にAl、Fe、Ni、Pb、Znは0.1ppm
以下にまで低減している。非金属不純物に関しても酸素
は4ppm、硫黄、窒素、炭素は何れも1ppm以下であった。
のである。この図からわかるように、昇華残渣は、酸化
マンガンが主成分で、硫化マンガンの存在も確認されて
おり、これらの非金属不純物がマンガン化合物として残
渣に残り、昇華マンガンから分離されたことがわかる。
また、表2の残渣の分析値から、蒸気圧の低い金属不純
物とともに、蒸気圧の高いCa、Mgなども残渣に濃縮され
ているが、図2の結果は、これらが酸化物として残渣中
に残留することを示唆している。
(実施例2)で説明したキレート樹脂イオン交換一電解
法と同一の手順で作製した高純度マンガンを、さらに
(実施例3)で説明した真空昇華精製法と同一の手順で
処理して、マンガンを回収した。表3に原料に用いた市
販電解マンガンおよび、この実施例で得られたマンガン
の分析値を対比して示す。即ち、この実施例の方法(キ
レート樹脂イオン交換一電解法+真空昇華精製法)によ
り、金属不純物濃度および非金属不純物濃度の合計量は
10ppm以下の高純度マンガンが得られた。
金属不純物の合計濃度が30ppm以下の高純度マンガン、
好ましくは金属不純物と非金属不純物との合計濃度が10
ppm以下の超高純度マンガンを実用的な方法で、しかも
簡易にかつ確実に、そして低価格を実現して製造するこ
とができる。
によるマンガンと試験不純物の溶離特性を示す図であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 マンガン原料を塩酸で処理して塩化マン
ガン水溶液を調整し、この塩化マンガン水溶液をキレー
ト樹脂をイオン交換処理することにより、精製塩化マン
ガン水溶液を調整し、次いでこの精製塩化マンガン水溶
液を電解液とする電解処理を行うことにより金属不純物
の合計濃度を30ppm以下にすることを特徴とする、高純
度マンガンの製造方法。 - 【請求項2】 マンガン原料を真空容器内に装填して、
加熱昇温することにより得られる昇華マンガンを、真空
昇華精製法を適用して処理することにより、金属不純物
の合計濃度を20ppm以下、かつ非金属不純物の合計濃度
を10ppm以下にすることを特徴とする、高純度マンガン
の製造方法。 - 【請求項3】 マンガン原料を塩酸で処理して塩化マン
ガン水溶液を調整し、この塩化マンガン水溶液をキレー
ト樹脂イオン交換処理することにより、精製塩化マンガ
ン水溶液を調整し、次いでこの精製塩化マンガン水溶液
を電解液とする電解処理を行うことにより金属不純物の
合計濃度を30ppm以下にした高純度マンガンとし、その
後この高純度マンガンをさらに真空昇華精製法を適用し
て精製することにより、金属不純物および非金属不純物
の合計濃度を10ppm以下にすることを特徴とする、高純
度マンガンの製造方法。 - 【請求項4】 マンガン原料として、純度99.9mass%の
粗金属マンガンもしくは二酸化マンガンを用いることを
特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度マ
ンガンの製造方法。 - 【請求項5】 電解処理は、塩化マンガン水溶液に緩衝
剤として塩化アンモニウムを加え電解液とし、これを電
解して陰極板上に平滑板状の電析マンガンを得ることを
特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度マ
ンガンの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2001087748A JP3825984B2 (ja) | 2001-03-26 | 2001-03-26 | 高純度マンガンの製造方法 |
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JP3825984B2 JP3825984B2 (ja) | 2006-09-27 |
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Country Status (1)
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