JP2002284915A - 発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡成形体およびそれらの製造方法 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡成形体およびそれらの製造方法

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JP2002284915A JP2001085337A JP2001085337A JP2002284915A JP 2002284915 A JP2002284915 A JP 2002284915A JP 2001085337 A JP2001085337 A JP 2001085337A JP 2001085337 A JP2001085337 A JP 2001085337A JP 2002284915 A JP2002284915 A JP 2002284915A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 揮発性の炭化水素の含有量が少なく、低密度
で外観のよい発泡成形体を製造するための発泡性樹脂粒
子を得ることを課題とする。 【解決手段】 多官能ビニルモノマーを0.008〜
0.03mol%共重合してなり、1気圧下における沸
点が50〜290℃の炭化水素の含有量が1000pp
m以下であるスチレン系樹脂粒子に、1気圧下における
沸点が50℃未満の炭化水素系発泡剤5〜9重量%と可
塑剤0.2〜2重量%とを含有させてなることを特徴と
する発泡性スチレン系樹脂粒子により、上記の課題を解
決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度に発泡する発泡性
スチレン系樹脂粒子、発泡剤以外の揮発性炭化水素の含
有量が少ない低密度のスチレン系樹脂発泡成形体、およ
びそれらの製造方法に関するものである。本発明のスチ
レン系樹脂発泡成形体は、建築用断熱材として特に好適
に用いられる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】発泡剤
を1〜15重量%含んだ発泡性スチレン系樹脂粒子を、
水蒸気等により軟化点以上に加熱すると、独立気泡を有
する粒子状の予備発泡粒子が得られる。この予備発泡粒
子を小さな孔やスリットを有する閉鎖型金型の中に充填
して、水蒸気等で内部をさらに加熱する所謂型内成形に
よって、予備発泡粒子を膨張させて粒子間の隙間を埋め
ながら互いに融着させて目的の発泡成形体が得られる。
このような発泡成形体は、形状の自由性及び独立気泡に
よる断熱性、耐水性などの性質に優れることから、近
年、住宅などの断熱建材として広く用いられている。
【0003】断熱建材では、低密度(0.02g/cm
3程度以下)であることに加えて、シックハウス(室内
空気汚染)に係わるとされる揮発性炭化水素の含有量が
少ないことが強く求められている。シックハウスに係わ
る揮発性炭化水素としては、スチレン、トルエン、エチ
ルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物のみなら
ず、炭素数6(1気圧下における沸点68℃)から炭素
数16(同沸点287℃)までの脂肪族炭化水素、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化
水素や、酢酸メチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルなど
が挙げられている。
【0004】これらの揮発性炭化水素は、いずれも発泡
性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡能力を高める効果を有
しており、従来から発泡助剤として使用されている。し
たがって、これらの含有量を低下させると、発泡性が劣
って発泡成形体の低密度化が困難になるだけでなく、発
泡成形体中の予備発泡粒子間の融着性も悪くなるため
に、機械的強度が低下するという問題がある。
【0005】このような問題を改善する方法として、例
えば特開平11−106548号公報には、分子量が2
2〜35万のポリスチレン粒子中に、1〜300ppm
の残留スチレンモノマーと、SP値が7〜10の可塑剤
と、発泡剤とを含有させた発泡性スチレン系樹脂粒子が
提案されている。しかし、このような樹脂粒子でも、特
に密度を0.013g/cm3 以下に高発泡させると、
得られる発泡成形体は収縮し易く、満足できる強度は得
られない。
【0006】また、低密度の発泡成形体を製造するには
高発泡倍率の予備発泡粒子を得ることが必要であり、こ
のために予備発泡粒子をもう一度加熱発泡(多段発泡)
させるか、あるいは加圧式(高温)予備発泡機を利用す
る方法が知られている。しかし、通常のスチレン系樹脂
粒子をこれら方法で予備発泡樹脂粒子としても発泡余力
が小さく、成形直後の段階で収縮、変形を起こす問題が
あり、発泡成形体の収縮、変形を回復させる目的で、通
常、約50℃で乾燥室に半日程度保管する、いわゆる養
生と呼ばれる操作が行なわれている。
【0007】一方、成形直後に収縮、変形を起こさず、
低密度の発泡成形体を製造する手段として、特公昭58
−48578号公報には、基材樹脂として、汎用のポリ
スチレンに代えて、スチレンにアクリル系樹脂を溶解さ
せ、重合して得られる樹脂を用いることが記載されてい
る。しかしながら、この方法によれば特殊なアクリル系
樹脂を用いなくてはならず、コストアップの原因とな
る。また、特公昭58−58374号公報には、基材樹
脂として、汎用のポリスチレンに代えて、スチレンにア
クリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルを共重
合させた樹脂を用いることが記載されている。しかしな
がら、この方法では樹脂のガラス転移温度が低下するの
で、発泡成形体の耐熱性の低下を招き、加熱成形時に発
泡成形体が熔けて、その外観が著しく悪くなったり、発
泡成形体の機械的強度が劣ったものとなる問題があっ
た。
【0008】さらに、特開平6−100723号公報に
は、重量平均分子量(Mw)が15〜25万のポリスチ
レンに発泡剤としてイソブタンを含有させ、かつステア
リン酸トリグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステルを
含有させることが記載されている。しかしながら、樹脂
を低分子量化することで高発泡を可能としているもの
の、発泡成形体の強度低下を避けることはできない。
【0009】また、特開平10−1561号公報には、
分子量が30〜40万のポリスチレンに、ステアリン酸
トリグリセリド等の高級脂肪酸多価エステル、ブタンお
よびペンタンを含有させることが記載されている。この
方法によれば、比較的高分子量化(30万以上)するこ
とよって強度低下を抑制できるが、発泡性の低下や発泡
成形体の融着性の低下を補うため、ブタンに対するペン
タンの使用割合が高く、その結果として発泡成形体の圧
縮強度が低下するという問題がある。本発明は、以上の
ような問題がなく、揮発性炭化水素の含有量が少ないに
もかかわらず養生をしなくても、変形、収縮の少ない低
密度の発泡成形体を得ることを課題としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多官能ビ
ニルモノマーを共重合してなる特定のスチレン系樹脂粒
子に、特定の発泡剤および可塑剤を特定量含有させてな
る発泡性スチレン系樹脂粒子により上記の課題を解決で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】かくして、本発明によれば、多官能ビニル
モノマーを0.008〜0.03mol%共重合してな
り、1気圧下における沸点が50〜290℃の炭化水素
の含有量が1000ppm以下であるスチレン系樹脂粒
子に、1気圧下における沸点が50℃未満の炭化水素系
発泡剤5〜9重量%と可塑剤0.2〜2重量%とを含有
させてなることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子
が提供される。
【0012】また、本発明によれば、多官能ビニルモノ
マーを0.008〜0.03mol%共重合してなり、
1気圧下における沸点が50〜290℃の炭化水素の含
有量が1000ppm以下であるスチレン系樹脂粒子
に、1気圧下における沸点が50℃未満の炭化水素系発
泡剤と可塑剤を加熱下に含浸させることを特徴とする発
泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
【0013】また、本発明によれば、上記の発泡性スチ
レン系樹脂粒子を加熱して嵩密度0.02〜0.008
g/cm3の予備発泡粒子とし、この予備発泡粒子を熟
成して予備発泡粒子中の炭化水素系発泡剤の含有割合が
1〜3重量%になったときに、予備発泡粒子を加熱して
型内成形することを特徴とするスチレン系樹脂発泡成形
体の製造方法が提供される。
【0014】また、本発明によれば、嵩密度が0.02
〜0.008g/cm3であり、1気圧下における沸点
が50〜290℃の炭化水素の含有量が1000ppm
以下であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡成形体
が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の発泡性スチレン系樹脂粒
子は、特定量の多官能ビニルモノマーを共重合してな
り、1気圧下における沸点が50〜290℃の炭化水素
が特定の含有量に低減されたスチレン系樹脂粒子に、1
気圧下における沸点が50℃未満の炭化水素系発泡剤
と、可塑剤とを特定量含有させてなるものである。
【0016】本発明に使用されるスチレン系樹脂粒子
は、スチレン単独重合体を主成分とし、多官能ビニルモ
ノマーとスチレン単量体との共重合体を含むものであ
る。スチレン系樹脂粒子は、スチレン単独重合体を、通
常、50重量%以上、好ましくは80重量%以上含み、
多官能ビニルモノマーを0.008〜0.03mol
%、好ましくは0.01〜0.03mol%共重合させ
てなるものである。多官能ビニルモノマーとしては、ス
チレン単量体と共重合可能なものであれば特に限定され
ず、例えば、ジビニルベンゼン、アルキレングリコール
ジメタクリレート等が挙げられる。特にジビニルベンゼ
ンは低コストであり好ましい。なお、ジビニルベンゼン
としては、o−、m−およびp−ジビニルベンゼンのい
ずれでもよく、またそれらの混合物でもよい。
【0017】また、スチレン系樹脂粒子は、スチレン単
量体と共重合可能な他のコモノマーとスチレン単量体と
の共重合体を少量含んでいてもよい。そのようなコモノ
マーとしては、例えばα−メチルスチレン、アクリロニ
トリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。
【0018】スチレン系樹脂粒子中の、1気圧下におけ
る沸点が50〜290℃の炭化水素の含有量は、100
0ppm以下であり、好ましくは900ppm以下であ
る。そのような炭化水素としては、例えば、未反応の残
留スチレン単量体や、原料のスチレンに含まれる炭素数
6〜16の脂肪族炭化水素、具体的にはシクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、ス
チレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クメ
ン、プロピルベンゼン等の芳香族炭化水素などが挙げら
れる。
【0019】なお、スチレン系樹脂粒子中に最も多く含
まれる炭化水素としてはスチレン単量体であるが、本発
明で使用されるスチレン系樹脂粒子としては、スチレン
単量体の含有量が500ppm以下のものが好ましく、
300ppm以下のものがより好ましい。
【0020】本発明における炭化水素の定量は、以下に
示した2種類の測定方法によって得られた値を合計して
得ることができる。 (1)炭素数6以上の炭化水素であって、ガスクロマト
グラムに現れるスチレンのピークまでの炭化水素の測定 スチレン系樹脂発泡成形体をDMF(ジメチルホルムア
ミド)に溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)を
加えてガスクロマトグラフィーにて測定した。ただし、
特定できないピークについてはトルエンの検出量に換算
して定量した。 ガスクロマトグラフィー:島津製作所(株)製 GC−
14A カラム:PEG−20M PT25% 60/80
(2.5m) 測定条件:カラム温度 105℃ 検出器温度 220℃
【0021】(2)ガスクロマトグラムに現れるスチレ
ンの次のピークから炭素数16までの炭化水素の測定 スチレン系樹脂発泡成形体をメチルエチルケトン(ME
K)に溶解し、内部標準液(エイコサン)を加えてガス
クロマトグラフィーにて測定した。ただし特定できない
ピークについてはトルエンの検出量に換算して定量し
た。 ガスクロマトグラフィー:島津製作所(株)製 GC−
17A カラム:J&Wscientific社製 DB−1
(60m×0.32mmi.d. df=1.0μm) 測定条件:カラム温度[40℃で1分保持した後、4℃
/分で280℃まで昇温] FID温度:280℃ キャリアガス He
【0022】本発明におけるスチレン系樹脂粒子の粒子
径は、特に限定されないが、成形時の金型への充填性等
から、通常、0.3〜2.0mm程度であり、0.3〜
1.4mmが好ましい。本発明におけるスチレン系樹脂
粒子の分子量は、GPC法による重量平均分子量(M
w)が30万〜70万であるのが好ましい。スチレン系
樹脂粒子の分子量が30万を下回ると発泡成形体の強度
が低下し、また70万を上回ると充分な発泡性が得られ
難く、高分子量の成分が多くなると高発泡時に発泡成形
体の収縮、変形が大きくなり易いので好ましくない。
【0023】また、スチレン系樹脂粒子の多分散度(M
w/Mn)は、GPC法で得られる数値において、3〜
7であるのが好ましい。多分散度が3を下回ると、発泡
成形性が低下し、外観の優れた発泡成形体とすることが
難しい。また、多分散度が7を上回ると、成形性には優
れるが、成形サイクルが長く、コストアップとなり好ま
しくない。
【0024】また、スチレン系樹脂粒子は、メルトフロ
ーレート測定時の膨張割合(SR)、すなわち、内径B
mmのオリフィス径から押し出された樹脂ストランドの
外径AmmにおけるA/Bの値が1.6〜2.5である
のが好ましい。SRが1.6を下回ると、発泡性が不充
分となり、低密度化によって発泡成形体に収縮が起こり
易く、外観が悪くなり易いので好ましくない。なお、こ
の場合、発泡成形体を養成しても収縮を回復するのは難
しい。また、SRが2.5を上回ると、逆に発泡性が低
くなり、低密度の発泡成形体が得られ難いので好ましく
ない。
【0025】なお、SRの測定は次の条件で行うことが
できる。 測定装置:東洋精機製作所製 商品名:メルトインデク
サー 測定温度:200℃ 荷重重量:5kgf オリフィス径:2.09mm(B) 押出後のストランド径:Amm(ストランド先端より5
mmの間で測定) 膨張割合(SR )= A/B 測定方法:スチレン系樹脂粒子1〜3gを、予め200
℃に加熱したメルトインデクサー内に入れ、3分程放置
する。次に5kgfの荷重を加え、オリフィス径2.0
9mmのオリフィスからスチレン系樹脂を押し出す。次
に、押し出されたストランドを取り、先端から5mmの
間でストランド径を任意に5個所測定し、その平均値を
Aとする。この平均値Aをオリフィス径Bで除して膨張
割合(SR)を求める。
【0026】本発明におけるスチレン系樹脂粒子は、多
官能ビニルモノマーと共重合してなることから分岐構造
を有しており、通常、重量平均分子量Mwが30万以上
であるにも係わらず、メルトフローレート(MFR)は
0.7〜10g/10分程度で、溶融時の流動性は良好
である。例えば、本発明のスチレン系樹脂粒子は、Mw
が40万の場合、MFRが3g/10分程度を示すが、
従来の線状構造を有するスチレン系樹脂粒子では1g/
10分程度にすぎず、発泡成形性が劣るものであった。
【0027】上記のスチレン系樹脂粒子は、スチレン系
単量体を水中に懸濁させて重合する、いわゆる懸濁重合
法、および/または水性媒体中にスチレン系重合体粒子
(種粒子)を分散させ、これにスチレン系単量体を連続
的または断続的に供給して懸濁重合する、いわゆるシー
ド重合法により重合生成物を得、このようにして得られ
る重合生成物を押出機を用いて所望の粒度に調整するこ
とにより得られる。
【0028】シード重合法における種粒子の使用割合
は、重合終了時の重合生成物全量に対して、10〜90
重量%程度、好ましくは15〜50重量%である。種粒
子の使用割合が10重量%を下回るとスチレン系単量体
を供給する際に、重合体粒子の重合率を適正範囲に制御
することが困難となり、得られた重合体が高分子化した
り、微粉末状重合体を発生させて、製造効率を低下させ
る等、工業的に不利となるので好ましくない。また、種
粒子の使用量が90重量%を上回ると優れた発泡成形性
が得られ難くなるので好ましくない。
【0029】懸濁重合法およびシード重合法において
は、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、
通常、スチレンの懸濁重合において用いられるものであ
れば特に限定されず、例えばラジカル発生型重合開始剤
を用いることができる。具体的には、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチ
ルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパ
ーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブ
タン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチル
ヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイ
ドロテレフタレート等の有機過酸化物やアゾビスイソブ
チロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のア
ゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で、
または2種以上を組合わせて用いることができる。
【0030】上記の重合において、スチレン系樹脂粒子
中に残留するスチレン単量体を低減するために、高温分
解型の重合開始剤を使用し、最終の重合温度を115℃
以上に設定するのが好ましい。高温分解型の重合開始剤
としては、例えばtーブチルパーオキシベンゾエート、
t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキ
シイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシア
セテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタンなどの
半減期10時間を得るための温度が100〜115℃の
ものが挙げられる。なお、高温分解型の重合開始剤を過
剰に加えると分解副生成物であるアルコール類が発生す
るので好ましくない。
【0031】また、上記重合において、スチレン系樹脂
粒子の分子量を調整し、単量体の残留量を減少させると
いう点で、10時間の半減期を得るための分解温度が8
0〜120℃の範囲にある重合開始剤を2種以上組合わ
せて用いるのが好ましい。懸濁重合またはシード重合を
行う際に、スチレン系単量体の小滴または種粒子を水性
媒体中に分散させるために、懸濁剤を用いてもよい。懸
濁剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセ
ルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン
等の水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン
酸マグネシウム等の難水溶性無機化合物等が挙げられ
る。なお、難水溶性無機化合物を用いる場合にはアニオ
ン界面活性剤を併用するのが好ましい。
【0032】アニオン界面活性剤としては、例えば脂肪
酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエ
ーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジ
アルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢
酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;
高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール
硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エス
テル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキル
リン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ
る。上記のようにして得られるスチレン系樹脂粒子に、
懸濁重合含浸法あるいは後含浸法によって炭化水素系発
泡剤および可塑剤を含浸させることにより、発泡性スチ
レン系樹脂粒子を製造することができる。
【0033】本発明で用いられる炭化水素系発泡剤とし
ては、一般の熱可塑性樹脂発泡体の製造に用いられてい
る炭素数5以下の脂肪族炭化水素、例えばn−ブタン、
イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタ
ン等が挙げられ、中でもブタン(イソブタンを含む)ま
たは重量比ペンタン(イソペンタンを含む)/ブタンが
0.05〜0.3のブタンおよびペンタンの混合物が好
ましい。上記の重量比が0.3を上回るとペンタンの含
有量が多くなり、発泡性は高くなるが、発泡成形体の強
度が低下するので好ましくない。
【0034】炭化水素系発泡剤の含有割合は、スチレン
系樹脂粒子に対して5〜9重量%であり、5〜8重量%
が好ましい。含有割合が5重量%を下回ると、低密度化
が困難であるばかりでなく、成形時の二次発泡力を高め
る効果が得られないために発泡成形体の外観が劣る。ま
た、含有割合が9重量%を上回ると、発泡成形時の収
縮、予備発泡粒子中の残存ガスの調整時間の遅延、かつ
成形サイクルが長くなり、生産性の点から好ましくな
い。
【0035】本発明で用いられる可塑剤は、発泡性スチ
レン系樹脂粒子に含有させることにより、高発泡倍率
(低密度)の発泡成形体が得られるという点で重要な物
質である。そのような可塑剤としては、一般にスチレン
系樹脂に使用されるものであれば特に限定されず、例え
ばフタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレー
ト、グリセリントリステアレート等のグリセリン脂肪酸
エステル、ジアセチル化モノステアリン酸グリセリド、
ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル等が挙
げられる。なかでも、発泡成形体が建築用断熱材として
用いられた場合、室内の空気を汚染しないという点で、
ジイソブチルアジペートようなアジピン酸エステル等が
好適である。
【0036】可塑剤の含有割合は、スチレン系樹脂粒子
に対して0.2〜2重量%程度であり、0.3〜1.8
重量%が好ましい。可塑剤の含有割合が0.2重量%を
下回ると十分な可塑化効果が得られず、高発泡化が困難
である。一方、可塑剤の含有割合が2重量%を上回ると
発泡成形時に収縮および溶けが発生するばかりか、製造
コストが高くなり好ましくない。
【0037】可塑剤は、スチレン系樹脂粒子の重合段階
および/またはスチレン系樹脂粒子に炭化水素系発泡剤
を含浸させる工程等で添加されてもよい。また、押出機
等で造粒する際に添加してスチレン系樹脂粒子に含有さ
せてもよい。炭化水素系発泡剤および可塑剤をスチレン
系樹脂粒子に含有させる温度は、スチレン系樹脂粒子の
粒子径により異なるが、通常60〜120℃程度、好ま
しくは70〜100℃である。含有させるときの温度が
60℃を下回ると処理時間が長くなり好ましくない。ま
た、120℃を上回ると樹脂粒子同士の結合粒が多くな
り好ましくない。
【0038】本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造
においては、従来から発泡性スチレン系樹脂粒子の製造
に使用されている、発泡セル造核剤、充填剤、難燃剤、
難燃助剤、滑剤、着色剤等を必要に応じて適宜使用して
もよい。本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、1気圧
下における沸点が50〜290℃の炭化水素の含有量が
1000ppm以下である。
【0039】上記の発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡性
の評価は、以下の方法で行うことができる。すなわち、
発泡性スチレン系樹脂粒子を、発泡槽中でゲージ圧0.
7kgf/cm2の蒸気にて加熱発泡させる。このと
き、加熱時間を1、3、4、5分と変化させ、発泡粒子
に収縮が発生する直前の発泡倍数を測定し、最高発泡倍
数とした。最高発泡倍数は、発泡粒子10gをメスシリ
ンダーに入れて体積を測定し、その体積を重量10gで
除することにより、見かけの発泡倍数(cc/g)とす
る。
【0040】本発明の方法では、上記の発泡性スチレン
系樹脂粒子を加熱して嵩密度0.02〜0.008g/
cm3の予備発泡粒子にする。予備発泡は、水蒸気等で
予備発泡する汎用のスチレン用予備発泡機を用いて行う
ことができる。得られる予備発泡粒子の嵩密度が0.0
2g/cm3を超えると発泡成形体の重量が重くなりコ
ストアップとなるので好ましくない。また嵩密度が0.
008g/cm3未満であるとコストメリットはあるが
発泡成形体に収縮等が発生しやすく、断熱性、強度など
の物性が低下するので好ましくない。
【0041】本発明の方法では、上記の予備発泡粒子を
熟成して予備発泡粒子中の炭化水素系発泡剤の含有割合
が1〜3重量%になったときに、予備発泡粒子を加熱し
て型内成形することにより、スチレン系樹脂発泡成形体
を製造する。予備発泡粒子の熟成に好適な温度は、通常
20〜60℃程度である。
【0042】熟成後の予備発泡粒子中の炭化水素系発泡
剤の含有量が1重量%を下回ると、次工程の成形段階で
2次発泡性が低くなり、粒子どうしが融着し難く、外観
の劣る発泡成形体となるため好ましくない。また、炭化
水素系発泡剤の含有量が3重量%を上回ると、粒子どう
しが融着し易く、外観の優れた発泡成形体とすることが
できるが、成形サイクルが長くなり、生産性の面で好ま
しくない上、発泡成形体中の残留発泡剤量が多くなるの
で好ましくない。
【0043】型内成形は、炭化水素系発泡剤の含有割合
を調節した予備発泡粒子を成形型内に充填し、水蒸気等
で再加熱することにより、所望の形の発泡成形体を製造
することができる。型内成形は従来から使用されている
発泡性スチレン系樹脂粒子用成形機を用いて行うことが
できる。上記のようにして得られる発泡成形体は、嵩密
度が0.02〜0.008g/cm3であり、1気圧下
における沸点が50〜290℃の炭化水素の含有量が1
000ppm以下である。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例にて詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例により限定される
ものではない。
【0045】製造例 (懸濁重合によるスチレン樹脂粒子の製造)内容量10
0Lの攪拌機付き重合容器に、水40.0L、第三リン
酸カルシウム(懸濁剤)100gおよびドデシルベンゼ
ンスルホン酸カルシウム(界面活性剤)2.0gを入
れ、続いて攪拌しながらスチレン40.0kg、ベンゾ
イルパーオキサイド(重合開始剤)96.0g、t−ブ
チルパーオキシベンゾエート(重合開始剤)28.0g
を添加し、90℃に昇温して重合温度とした。この温度
で6時間保持し、さらに125℃に昇温してから2時間
後冷却し、スチレン樹脂粒子(A)を得た。このスチレ
ン樹脂粒子(A)の重量平均分子量(Mw)は17万、
分散度(Mw/Mn)は2.1、膨張割合(SR)は
1.2であった。
【0046】実施例1 スチレン樹脂粒子(A)を篩分けして粒子径0.6〜
0.9mmのスチレン樹脂粒子(B)とした。内容量5
Lの攪拌機付き重合容器に、水2.0L、スチレン樹脂
粒子(B)500g、ピロリン酸マグネシウム(懸濁
剤)6.0gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシ
ウム(界面活性剤)0.3gを入れ、攪拌しながら70
℃に昇温した。次いで、ベンゾイルパーオキサイド(重
合開始剤)4.5g、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト(重合開始剤)1.1gをスチレン200gに溶解し
重合容器に入れた。30分後90℃に昇温し、あらかじ
めジビニルベンゼン(多官能ビニルモノマー)0.45
gを溶解したスチレン1300gを2時間かけてポンプ
で一定量づつ重合容器に供給した。次いで、125℃に
昇温してから2時間後冷却し、スチレン系樹脂粒子
(C)を得た。
【0047】スチレン系樹脂粒子(C)は、多官能ビニ
ルモノマーを0.018mol%共重合してなり、Mw
が44万、Mw/Mnが4.6、SRが2.1であっ
た。内容量5Lの攪拌機付き重合容器に、水2.2L、
スチレン系樹脂粒子(C)1800g、ピロリン酸マグ
ネシウム(懸濁剤)6.0gおよびドデシルベンゼンス
ルホン酸カルシウム(界面活性剤)0.4gを入れ、攪
拌しながら70℃に昇温した。次いで、テトラブロモシ
クロオクタン(難燃剤)23.4g、ジクミルパーオキ
サイド(難燃助剤)5.4g、ジイソブチルアジペート
(可塑剤)14.4gを重合容器内に入れ、密閉し、9
0℃に昇温した。昇温後、ブタン(炭化水素系発泡剤)
162gを圧入して6時間保持した。次いで、30℃以
下まで冷却し、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。取出
した発泡性スチレン系樹脂粒子を乾燥した後、この発泡
性スチレン系樹脂粒子について、1気圧下における沸点
が50〜290℃の炭化水素の総含有量をGC−MS分
析にて測定したところ、680ppmであった。次い
で、13℃の恒温室で5日間保管し、蒸気発泡機を用い
て、嵩発泡倍数80倍に予備発泡した。得られた予備発
泡直後の予備発泡粒子中におけるブタンの含有割合は
4.5重量%であった。予備発泡後、ブタンの含有割合
が1〜3重量%になるまで25℃で熟成し、発泡ポリス
チレン用成形機(積水工機社製 ACE−11QS)で
成形して、板状の発泡成形体を得た。この発泡成形体を
50℃の乾燥室で6時間養成し、密度を測定したところ
0.0127g/cm3であった。またこの発泡成形体
の外観は非常に良好であった。
【0048】実施例2 シード重合によりスチレン系樹脂粒子を製造する際に添
加するジビニルベンゼン量を0.26gとした以外は、
実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子および
発泡成形体を得た。なお、シード重合によって得られた
スチレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモノマーを0.0
104mol%共重合してなり、Mwが46万、Mw/
Mnが3.6、SRが1.7であった。得られた発泡成
形体は、密度が0.0125g/cm3であり、外観が
非常に良好であった。
【0049】実施例3 シード重合によりスチレン系樹脂粒子を製造する際に添
加するジビニルベンゼン量を0.70gとした以外は、
実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子および
発泡成形体を得た。なお、シード重合によって得られた
スチレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモノマーを0.0
28mol%共重合してなり、Mwが49万、Mw/M
nが6.3、SRが2.4であった。得られた発泡成形
体は、密度が0.0128g/cm3であり、外観が良
好であった。
【0050】実施例4 シード重合によりスチレン系樹脂粒子を製造する際に添
加するベンゾイルパーオキサイド量を7.0gとした以
外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子
および発泡成形体を得た。なお、シード重合によって得
られたスチレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモノマーを
0.018mol%共重合してなり、Mwが33万、M
w/Mnが5.1、SRが2.2であった。得られた発
泡成形体は、密度が0.0123g/cm3であり、外
観が良好であった。
【0051】実施例5 シード重合によりスチレン系樹脂粒子を製造する際に添
加するベンゾイルパーオキサイド量を2.0gとした以
外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子
および発泡成形体を得た。なお、シード重合によって得
られたスチレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモノマーを
0.018mol%共重合してなり、Mwが60万、M
w/Mnが5.4、SRが2.2であった。得られた発
泡成形体は、密度が0.0118g/cm3であり、外
観が良好であった。
【0052】実施例6 発泡剤としてペンタン/ブタン(30g/130g)を
用いた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系
樹脂粒子および発泡成形体を得た。なお、シード重合に
よって得られたスチレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモ
ノマーを0.018mol%共重合してなり、Mwが4
4万、Mw/Mnが4.6、SRが2.3であった。得
られた発泡成形体は、密度が0.0118g/cm3
あり、外観が良好であった。
【0053】実施例7 可塑剤として使用するジイソブチルアジペートの添加量
を5.4gとした以外は、実施例1と同様にして発泡性
スチレン系樹脂粒子および発泡成形体を得た。なお、シ
ード重合によって得られたスチレン系樹脂粒子は、多官
能ビニルモノマーを0.018mol%共重合してな
り、Mwが44万、Mw/Mnが4.6、SRが2.1
であった。得られた発泡成形体は、密度が0.0118
g/cm3であり、外観が良好であった。
【0054】実施例8 可塑剤として使用するジイソブチルアジペートの添加量
を32.4gとした以外は、実施例1と同様にして発泡
性スチレン系樹脂粒子および発泡成形体を得た。なお、
シード重合によって得られたスチレン系樹脂粒子は、多
官能ビニルモノマーを0.018mol%共重合してな
り、Mwが44万、Mw/Mnが4.6、SRが2.1
であった。得られた発泡成形体は、密度が0.0118
g/cm3であり、外観が良好であった。
【0055】比較例1 スチレン系樹脂粒子(C)に代えてスチレン樹脂粒子
(A)を使用し、可塑剤を添加しない以外は、実施例1
と同様にして発泡性スチレン樹脂粒子および発泡成形体
を得た。この発泡性スチレン樹脂粒子は、多官能ビニル
モノマーを共重合していないスチレン樹脂粒子(A)を
用いており、可塑剤を含まないので、発泡性が低く、さ
らに得られた発泡成形体も収縮しやすく、外観、物性と
も満足できるものではなかった。
【0056】比較例2 スチレン系樹脂粒子(C)に代えてスチレン樹脂粒子
(A)を使用し、ブタン量を200gとした以外は、実
施例1と同様にして発泡性スチレン樹脂粒子および発泡
成形体を得た。この発泡性スチレン樹脂粒子は、多官能
ビニルモノマーを共重合していないスチレン樹脂粒子
(A)を用いており、ブタンを多量(11.1重量%)
に含むので、発泡性は十分であるが、収縮しやすいもの
であった。また、予備発泡粒子中のブタンの含有量も多
く、3重量%以下にするには70時間以上の熟成期間が
必要で、生産上好ましくなかった。しかも、得られた発
泡成形体の外観も満足できるものではなかった。
【0057】比較例3 シード重合によりスチレン系樹脂粒子を製造する際に添
加するジビニルベンゼン量を0.15gとした以外は、
実施例1と同様にして発泡性スチレン系樹脂粒子および
発泡成形体を得た。なお、シード重合によって得られた
スチレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモノマーを0.0
06mol%共重合してなり、Mwが27万、分散度が
2.3、SRが1.3であった。この発泡性スチレン系
樹脂粒子は、多官能ビニルモノマーを少量(0.006
mol%)共重合してなり、Mw/MnおよびSRの値
が低いスチレン系樹脂粒子を用いているため、最低発泡
嵩密度が0.022g/cm3と発泡が低く、成形時に
は収縮しやすい。また、得られた発泡成形体は、外観、
物性ともに満足できるものではなかった。
【0058】比較例4 シード重合によりスチレン系樹脂粒子を製造する際に添
加するジビニルベンゼン量を0.85gとした以外は、
実施例1と同様して発泡性スチレン系樹脂粒子および発
泡成形体を得た。なお、シード重合によって得られたス
チレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモノマーを0.03
4mol%共重合してなり、ゲル化していて、SRは
3.1であった。この発泡性スチレン系樹脂粒子は、多
官能ビニルモノマーを多量(0.034mol%)に共
重合してなり、MwおよびMw/Mnが測定不能のスチ
レン系樹脂粒子を用いているため、最低発泡嵩密度が
0.029g/cm3と発泡が非常に低くい。また、得
られた発泡成形体の外観も満足できるものではなかっ
た。
【0059】比較例5 発泡剤としてペンタン/ブタン(75g/162g)を
用いた以外は、実施例1と同様にして発泡性スチレン系
樹脂粒子および発泡成形体を得た。なお、シード重合に
よって得られたスチレン系樹脂粒子は、多官能ビニルモ
ノマーを0.018mol%共重合してなり、Mwが4
4万、Mw/Mnが4.6、SRが2.3であった。こ
の発泡性スチレン系樹脂粒子は、ペンタン/ブタンの重
量比が大きい(0.45)発泡剤を含有してなるため、
予備発泡、成形段階において収縮、溶けが著しかった。
また、予備発泡粒子の残存発泡剤量が多く、残存発泡剤
量を3重量%以下にするには熟成期間を長くする必要が
あり、成形サイクルも長くなるので実用には不適であっ
た。しかも、得られた発泡成形体の外観は満足できるも
のではなかった。
【0060】比較例6 可塑剤として使用するジイソブチルアジペートの添加量
を45gとした以外は、実施例1と同様にして発泡性ス
チレン系樹脂粒子および発泡成形体を得た。なお、シー
ド重合によって得られたスチレン系樹脂粒子は、多官能
ビニルモノマーを0.018mol%共重合してなり、
Mwが44万、Mw/Mnが4.6、SRが2.3であ
った。この発泡性スチレン系樹脂粒子は、可塑剤を多量
(2.5重量%)に含むので、粒子同士の結合が多く、
不良物が多量に存在し、生産性が低くかった。また、成
形時に収縮や溶けが発生し、外観が良好な発泡成形体を
得ることができなかった。
【0061】上記の実施例および比較例により得られた
発泡性スチレン系樹脂粒子における炭化水素系発泡剤の
含有量、可塑剤の含有量、スチレン系樹脂粒子および発
泡成形体の炭化水素の含有量、発泡成形体の嵩密度、発
泡性スチレン系樹脂粒子の最低発泡嵩密度および評価の
結果をまとめて表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】なお、発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡
性、予備発泡粒子の熟成時間および発泡成形体の外観の
評価は、表2に示す基準で行った。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、
シクロヘキサンなどの従来用いられる発泡助剤を使用し
なくても高度に発泡し、それから得られる発泡成形体
は、揮発性の炭化水素の含有量が少なく、低密度で外観
も優れたものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多官能ビニルモノマーを0.008〜
    0.03mol%共重合してなり、1気圧下における沸
    点が50〜290℃の炭化水素の含有量が1000pp
    m以下であるスチレン系樹脂粒子に、1気圧下における
    沸点が50℃未満の炭化水素系発泡剤5〜9重量%と可
    塑剤0.2〜2重量%とを含有させてなることを特徴と
    する発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量M
    wが30〜70万、多分散度Mw/Mnが3〜7、メル
    トフローレート測定時、オリフィスの内径をBmm、樹
    脂ストランドの外径をAmmとしたときの膨張割合SR
    (A/B)が1.6〜2.5である請求項1に記載の発
    泡性スチレン系樹脂粒子。
  3. 【請求項3】 炭化水素系発泡剤が、ブタンまたは重量
    比ペンタン/ブタンが0.05〜0.3であるブタンお
    よびペンタンの混合物である請求項1または2に記載の
    発泡性スチレン系樹脂粒子。
  4. 【請求項4】 多官能ビニルモノマーを0.008〜
    0.03mol%共重合してなり、1気圧下における沸
    点が50〜290℃の炭化水素の含有量が1000pp
    m以下であるスチレン系樹脂粒子に、1気圧下における
    沸点が50℃未満の炭化水素系発泡剤と可塑剤を加熱下
    に含有させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性
    スチレン系樹脂粒子を加熱して嵩密度0.02〜0.0
    08g/cm3の予備発泡粒子にし、この予備発泡粒子
    を熟成して予備発泡粒子中の炭化水素系発泡剤の含有割
    合が1〜3重量%になったときに、予備発泡粒子を加熱
    して型内成形することを特徴とするスチレン系樹脂発泡
    成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】 嵩密度が0.02〜0.008g/cm
    3であり、1気圧下における沸点が50〜290℃の炭
    化水素の含有量が1000ppm以下であることを特徴
    とするスチレン系樹脂発泡成形体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008201989A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Sekisui Plastics Co Ltd 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形品
JP2010254940A (ja) * 2009-03-30 2010-11-11 Sekisui Plastics Co Ltd ヒートポンプ式給湯器の貯湯タンクに用いられる断熱材用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びヒートポンプ式給湯器の貯湯タンク用断熱材
JP2011016934A (ja) * 2009-07-09 2011-01-27 Sekisui Plastics Co Ltd 盛土用部材
JP2011046791A (ja) * 2009-08-25 2011-03-10 Sekisui Plastics Co Ltd 発泡性スチレン系樹脂粒子およびその発泡成形体
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