JP2002284907A - 耐熱性高分子フィルム - Google Patents

耐熱性高分子フィルム

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JP2002284907A
JP2002284907A JP2001082540A JP2001082540A JP2002284907A JP 2002284907 A JP2002284907 A JP 2002284907A JP 2001082540 A JP2001082540 A JP 2001082540A JP 2001082540 A JP2001082540 A JP 2001082540A JP 2002284907 A JP2002284907 A JP 2002284907A
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heat
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polymer film
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Makoto Iida
真 飯田
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐熱性、強度、寸法安定性を有し、半
導体実装基板用としても適用可能な吸湿性の改良された
耐熱性高分子フィルムを提供する。 【解決手段】 耐熱性高分子と疎水性粒子を含む耐熱性
高分子フィルムであって、該疎水性粒子は平均粒径が
0.001μm以上20μm以下、疎水化度が10以上
であり、かつ該疎水性粒子の耐熱性高分子フィルム中に
占める体積割合が5体積%以上55体積%以下であるこ
とを特徴とする耐熱性高分子フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱性高分子フィル
ムに関し、更に詳しくは、吸水性の改良された耐熱性高
分子フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリイミドフィルム、芳香族ポリ
アミドフィルムなどに代表される耐熱性高分子フィルム
は、耐熱性、強度、寸法安全性に優れ、磁気記録媒体、
熱転写記録媒体、コンデンサ用誘導体、印刷回路基板等
のフィルムとして注目され、かつその使用が拡大してい
る。特に磁気記録媒体への適用は、例えば特開昭51−
129201号公報などで提案されている。
【0003】また、近年の携帯用電子機器の小型化の進
展とともに、半導体実装基板等への採用も拡大してい
る。ところで、従来の技術で製造された耐熱性高分子フ
ィルムには吸湿しやすい欠点があり、このため、例えば
銅箔を積層した基板を作成して、ハンダリフローの工程
に投入すると、銅箔との界面に剥離が発生するという問
題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決し、優れた耐熱性、強度、寸法安定性を生かしなが
ら、半導体実装基板用としても適用可能な、吸湿性の改
良された耐熱性高分子フィルムを提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、 (1)耐熱性高分子と疎水性粒子を含む耐熱性高分子フ
ィルムであって、該疎水性粒子は平均粒径が0.001
μm以上20μm以下、疎水化度が10以上であり、か
つ該疎水性粒子の耐熱性高分子フィルム中に占める体積
割合が5体積%以上55体積%以下であることを特徴と
する耐熱性高分子フィルムによって達成される。 (2)耐熱性高分子がガラス転移温度(Tg)200℃
以上の重合体である上記(1)に記載の耐熱性高分子フ
ィルムによって好ましく達成される。 (3)耐熱性高分子が芳香族ポリアミドである上記
(1)に記載の耐熱性高分子フィルムによって更に好ま
しく達成される。 (4)フィルムの厚さが0.5μm以上1000μm以
下である上記(1)に記載の耐熱性高分子フィルムによ
って好ましく達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】(耐熱性高分子)本発明における耐熱性高
分子とは、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上の重
合体である。この耐熱性高分子は、ガラス転移温度(T
g)が200℃以上の重合体であることが特に好まし
い。これらの重合体のうち芳香族縮合系の耐熱ポリマー
が好ましく、例えば芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミ
ド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリヒドラジド、
芳香族ポリイミン、ポリオキサジアゾール、ポリベンツ
オキサゾール、ポリベンツィミダゾール等を挙げること
ができる。耐熱性高分子は、上記芳香族縮合系の耐熱ポ
リマーの共重合体であっても良く、その他ヒダントイ
ン、チアゾール、イミダゾピロロン環等のヘテロ環を最
終構造として含む重合体であっても良い。
【0008】また、本発明における耐熱性高分子は、ガ
ラス転移温度(Tg)が150℃以上、特に200℃以
上であれば、上記芳香族縮合系の耐熱ポリマーにそれ以
外の重合体成分が例えば50モル%未満共重合されたも
のであっても良い。
【0009】これらの重合体は、一般に有機溶媒、濃硫
酸、ポリリン酸等中での溶液重合、水−有機溶媒系等に
よる界面重合、溶融重合あるいは固相重合等による界面
重合、溶融重合あるいは固相重合等によって合成される
が溶液重合によって合成されることが好ましい。
【0010】例えば、芳香族ポリアミドは、ジメチルア
セトアミド、N−メチルピロリドン、ジチメルホルムア
ミド等の極性アミド系溶媒中での溶液重合、あるいは水
系媒体を使用する界面重合等で合成される。ここで単量
体として酸クロリドとジアミンを使用する場合は、副生
する塩化水素を中和するために水酸化カルシウム、エチ
レンオキサイド等の無機あるいは有機の中和剤を添加す
る。このポリマー溶液は製膜用ドープとしてこれより直
接フィルムを形成してもよく、またポリマーを一度単離
してから上記の溶媒に再溶解して製膜用ドープを調整
し、フィルムを成形してもよい。製膜用ドープには溶解
助剤として無機塩例えば塩化カルシウム、塩化マグネシ
ウム等を添加する場合もある。製膜用ドープ中のポリマ
ー濃度は2〜40重量%程度が好ましい。
【0011】また例えば、芳香族ポリイミドあるいはポ
リアミド酸の溶液は次のようにして得られる。すなわち
ポリアミド酸はN−メチルピロリドン、ジメチルアセト
アミド、ジメチルホルムアミドなど有機極性アミド系溶
媒中でテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを反
応させて調整することができる。また芳香族ポリイミド
は前記のポリアミド酸を含有する溶液を加熱したり、ピ
リジンなどのイミド化剤を添加してポリイミドの粉末を
得、これを再度溶媒に溶解して調整できる。製膜用ドー
プ中のポリマー濃度は5〜40重量%程度が好ましい。
【0012】本発明における耐熱性高分子としては、特
に芳香族ポリアミドが好ましい。芳香族ポリアミドは、
ポリマーの主鎖が芳香核およびアミド結合基を主たる構
成成分とするポリマーであれば芳香核上の主鎖形成置換
基が主としてメタ配向からなるものでもパラ配向からな
るものでよいが、その中でも、ポリマーの主鎖を形成す
る芳香核のうち、芳香核上の主鎖形成置換基がパラ配向
であるものが、全繰り返し単位の50〜100モル%で
あるポリマー(パラ配向性芳香族ポリアミド)が好まし
い。
【0013】前記芳香族ポリアミドとしては、次の一般
式(I)および/または一般式(II)で表される繰り返
し単位を、全繰り返し単位の50モル%以上含むものが
好ましく、特に70%以上からなるものが好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】ここで、Ar1、Ar2、Ar3としては、
例えば下記のもの等があげられる。
【0017】
【化3】
【0018】上記構造式でのX、Yは、それぞれ、−O
−、−CH2−、−CO−、−SO2−、−S−、−C
(CH32−等から選ばれるのが好ましいが、これに限
定されるものではない。さらに芳香環上の水素原子の一
部が、ハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1〜
3のアルキル基(特にメチル基)、炭素数1〜3のアル
コキシ基、アリール基、チオアリール基、オキシアリー
ル基、トリアルキルシリル基などの置換基で置換されて
いるものも含み、また、ポリマーを構成するアミド結合
中の水素原子が他の置換基によって置換されているもの
も含む。特性面からは、上記の芳香環がパラ位で結合さ
れているものが、全芳香環の50モル%以上、好ましく
は75モル%以上を占めるポリマー(パラ配向性芳香族
ポリアミド)が、フィルムの剛性が高く、耐熱性も良好
となるため好ましい。また、芳香環上の水素原子の一部
が上記の置換基、好ましくはハロゲン基、アルキル基、
アルコキシ基、トリアルキルシリル基、で置換されてい
てもよい。このパラ配向性を有する芳香核としては、次
式に示されるものを例示できる。
【0019】
【化4】
【0020】芳香族ポリアミドは、前記一般式(I)お
よび/または一般式(II)で表される繰り返し単位を5
0モル%以上、好ましくは70モル%以上含むものであ
って、50モル%未満、好ましくは30モル%未満は他
の繰り返し単位が共重合、またはブレンドされていても
差し支えない。
【0021】本発明における耐熱性高分子には、フィル
ムの物性を損なわない程度(例えば、フィルム中に5重
量%以下の量)に、酸化防止剤、帯電防止剤、離形剤、
その他のポリマーがブレンドされていてもよい。
【0022】本発明のおける耐熱性高分子フイルムは、
その上に例えば磁性金属層、電気素子や金属配線などを
形成する、金属との複合素材として好ましく用いられる
が、この場合加工時あるいは使用時において高温下にさ
らされ、ハロゲン化合物の発生によって機能の阻害が懸
念されるときには、その繰り返し単位中の芳香環に結合
した水素原子に対するハロゲン原子の比率を1/3以
下、好ましくは1/6以下、特に好ましくはハロゲン原
子を含有しないものとするのが好ましい。
【0023】(疎水性粒子)本発明における耐熱性高分
子フィルムは、平均粒径が0.001μm以上20μm
以下であり、かつ疎水化度が10以上の疎水性粒子を耐
熱高分子フィルム中に5体積%以上55%以下含有させ
る必要がある。
【0024】疎水性粒子の平均粒径が0.001μm未
満の粒子であると、フィルムを製造する工程で疎水性粒
子を添加する時の取扱い(ハンドリング)が困難であ
り、一方平均粒径が20μmを超えると、得られたフィ
ルム中で重合体と疎水性粒子の界面にボイドができ易く
なり、フィルムがかえって吸湿しやすくなる。疎水性粒
子の平均粒径の下限は、上記ハンドリング性を更に良好
なものとするために0.01μmが好ましく、0.05
μmが更に好ましく、0.1μmが特に好ましい。ま
た、疎水性粒子の平均粒径の上限は、上記のボイドが生
じ難くなるため、15μmが好ましく、12μmが更に
好ましく、10μmが特に好ましい。
【0025】また、本発明における疎水性粒子は疎水化
度が10以上であることが必要である。疎水性粒子の疎
水化度が10に満たない場合は、耐熱性高分子フィルム
の吸湿性を減少させる改良効果が不足する。耐熱性高分
子フィルムの吸湿性改良効果を更に良好なものとするた
め、疎水性粒子の疎水化度は12以上であることが好ま
しく、15以上であることが更に好ましく、20以上で
あることが特に好ましい。本発明における疎水性粒子の
疎水化度の上限は75であることが好ましく、67であ
ることが特に好ましい。疎水性粒子の疎水化度が75を
超えると粒子を作成することが困難になることがあり、
また67を超えると粒子の耐熱性高分子への分散が不均
一になることがある。
【0026】尚、本発明における疎水化度とは、100
ccの水に粒子0.4gを投入し、攪拌した状態(疎水
性粒子は水に投入しても水面に浮遊し水と混合状態とは
ならない)でメチルアルコールを粒子が液中に完全に混
合する状態(メタノールを添加し、ある添加量になると
粒子が完全に液中に混合される状態になる)となるまで
添加した時のメタノールの添加量(Vcc)から下記式
(1)によって算出する。
【0027】
【数1】 疎水化度={V/(V+100)}×100・・・(1) (式(1)でVは、粒子が完全に液中に混合される状態
になった時のメチルアルコールの添加量(cc)を表わ
す。)
【0028】本発明において、疎水性粒子の耐熱性高分
子フィルム中に占める体積割合は5体積%以上55体積
%以下であることが必要である。疎水性粒子の体積割合
が5体積%よりも少ない場合、吸湿性の改良効果はな
く、一方55体積%を超えると、耐熱性高分子フィルム
を溶液として、支持体上に流延後、溶媒を抽出して剥離
する工程で支持体からはがれないという問題が生じる。
【0029】疎水性粒子のフィルム中に占める体積割合
の下限は、吸湿性の改良効果を更に良好なものとするた
め、7体積%が好ましく、10体積%が更に好ましく、
12体積%が特に好ましい。また、体積割合の上限は、
フィルムの支持体からの剥離を更に良好なものとするた
め、50体積%が好ましく、45体積%が更に好まし
く、40体積%が特に好ましい。
【0030】本発明に用いる疎水性粒子としては、酸化
ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどからなる無
機粒子にジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシ
ラン、ジプロピルジクロロシラン、ジブチルジクロロシ
ラン等によって表面処理を行ない、疎水化度を10以上
にまで高めた無機粒子や、シリコーン樹脂粒子、テフロ
ン(登録商標)樹脂粒子等の有機粒子を好ましく挙げる
ことができる。これらのうち、特に表面処理を必要とし
ないシリコーン樹脂微粒子が好ましい。
【0031】上記の疎水性粒子は、ポリマー溶液に直接
添加すると一般には粗大な凝集体を多数形成し、これを
分散させることは極めて困難であるため、前もって粘度
が1Pa・s以下、好ましくは0.1Pa・s以下の有
機溶媒あるいは稀薄低粘度ポリマー溶液中に分散させて
おくことが好ましい。分散媒としては製膜に使用するも
のが好ましいが、製膜に特に悪影響を与えなければ重合
の際に使用した溶媒以外の溶媒を使用してもかまわな
い。溶媒としては特にアミド系溶媒あるいは炭素数20
以下のアルコールを用いることが好ましく、これらの溶
媒と前述の疎水性粒子とを組合せた場合には、粒子の分
散をより微細かつ均一に行なうことができる。またこれ
ら粒子の分散液中に少量の分散助剤や水が入っていても
よいが、水の量が多すぎると分散液中の微粒子の分散が
悪くなる。
【0032】分散方法としては、上記溶媒あるいは稀薄
低粘度ポリマー溶液中に粒子、その他必要に応じて分散
助剤などを入れ、攪拌式分散器、ボールミル、サンドミ
ル、超音波分散機などで、粒子径0.001μm以上2
0μm以下、好ましくは0.01μm以上15μm以下
となるまで分散する。
【0033】この疎水性粒子分散液は前記ポリマー溶液
中へ添加混合するが、重合前の溶媒中へ添加もしくは重
合に使用する溶媒全部に分散されていてもよい。またポ
リマー溶液の調製工程中で添加してもよく、さらには製
膜時の流延直前で添加混合してもよい。疎水性粒子の分
散液を上述のように添加混合したポリマー溶液中には粒
子が均一で微細に安定して分散しており、溶液を放置し
ても粒子の再凝集はほとんど起らない。
【0034】尚、本発明の耐熱性高分子フィルムに用い
る疎水性粒子は、その密度が0.5〜25g/cm3
範囲であることがフィルムの疎水性が優れたものとなる
ため好ましい。疎水性粒子の密度の範囲はより好ましく
は0.6〜20g/cm3、さらに好ましくは0.7〜
15g/cm3、特に好ましくは0.8から10g/c
3である。また、本発明の耐熱性高分子フィルムに
は、本発明の効果を損なわない程度(例えば、フイルム
中に1重量%以下の量)疎水性粒子以外の粒子が含まれ
ていても良い。
【0035】(耐熱性高分子フィルムの製膜)本発明の
耐熱性高分子フィルムは、例えば上記の製膜用ドープか
ら湿式法、乾式法、乾湿式法、あるいはその他の周知の
方法によって脱溶媒を行ないフィルムを形成させれるこ
とにより得ることができる。連続的にフィルムを製造す
る場合、例えば湿式法では、製膜用ドープは金属ドラ
ム、エンドレスの金属ベルト、プラスチックフィルム、
金属箔等の支持体上に流延されたのち直接凝固浴中に浸
漬され、流延された製膜用ドープが自己保持性を得るま
で脱溶媒が行なわれる。ついで支持体からフィルムとし
て剥離され、必要に応じてさらに凝固浴中での脱溶媒の
後、乾燥が行なわれ製膜が完了する。ポリマーの種類や
フィルムへの要求に応じて凝固浴液としては水、水と無
機塩および、あるいは有機溶媒の混合物、あるいは有機
溶媒などが選定され、フィルムの平滑性や透明性などを
向上させる目的で凝固浴液温度を30℃以下に保つ場合
もある。
【0036】乾式法、乾湿式法により、製膜する場合に
は、製膜用ドープはドラム(金属やセラミック製など)
やエンドレスの金属製ベルト等の支持体上に流延され、
自己保持性を得るまで気相中での脱溶媒が行なわれたの
ち支持体から剥離される。剥離されたフィルムは、乾式
法ではさらに気相中での脱溶媒が、乾湿式法で液中での
脱溶媒の後、乾燥が行なわれて製膜が完了する。乾湿式
法における脱溶媒に使用する液の組成および液温は、上
述の湿式法における凝固浴の場合と同様に、ポリマーの
種類やフィルムへの要求に応じて選ばれる。
【0037】また支持体からの剥離後の工程において、
フィルムは面積倍率0.8以上5.0以下で延伸または
緩和されることが好ましい。ここで面積延伸倍率とはフ
ィルム長手方向、横方向各々の延伸実効倍率の積を意味
する。この面積延伸倍率が0.8より小さいとフィルム
の物性低下や平滑性の悪化が起こり易く、5.0を超え
るとフィルム中の粒子周囲がボイドが形成され耐吸湿性
が損なわれ易くなるため好ましくない。
【0038】本発明におけるフィルム厚さには特に制限
はないが、通常0.5μm以上1000μm以下、好ま
しくは1.0μm以上350μm以下、特に好ましくは
1.0μm以上250μm以下である。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。なお、本発明における種々
の物性値および特性は以下の如く限定されたものであ
り、また定義される。
【0040】1.微粒子の平均粒径 1−1製膜に用いる粒子の平均粒径 島津製作所CP−50型セントリフューグル パーティ
クル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle S
ize Analyzer)を用いて測定する。得られる延伸沈降曲
線を基に算出する各粒径の粒子とその存在量との積算曲
線から、50重量%に相当する粒径を読み取り、この値
を平均粒径(μm)とする(「粒度測定技術」日刊工業
新聞発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0041】1−2フイルム中の粒子の平均粒径 フィルムサンプルを垂直方向(厚み方向)にミクロトー
ムにて切断し、得られた断面をトプコン(株)製透過型電
子顕微鏡LEM−2000にて観察し、粒子部分の断面
映像(10箇所)から粒子の相当直径を画像処理により
求め、その平均値を粒子の平均粒径とする。
【0042】2.フィルムの厚み アンリツ電子製電子マイクロメータにて測定する。
【0043】3.疎水化度 疎水性粒子は水に投入しても水面に浮遊し水と混合状態
とはならないが、これにメタノールを添加していき、あ
る添加量になると粒子が完全に液中に混合されるように
なる。疎水化度の測定は、100ccの水に粒子0.4
gを投入し、攪拌した状態でメチルアルコールを粒子が
液中に完全に混合する状態となるまで添加し、その添加
量から次式によって算出する。
【0044】
【数2】 疎水化度={V/(V+100)}×100・・・(1) (式(1)で、Vはメチルアルコールの添加量(cc)
を表わす。)
【0045】4.フィルムの吸水率 フィルムを5cm×5cmのサイズに切り出し、50℃で2
4hr乾燥後直ちに重量を測定する。すぐに23℃の水
に浸漬し24hr後に取り出し、フィルム表面の水を拭
き取った後、再び重量を測定する。吸水率は下記式で計
算し、3回テストを行なった平均値で表す。
【0046】
【数3】 吸水率(%)={(浸漬後重量−浸漬前重量)/浸漬前重量}×100…(2)
【0047】5.フィルム中の粒子の体積割合 フィルムを長方形に所定量(5cm×10cm程度)切
り出し、厚み(dμm)、幅(wcm)、長さ(Lc
m)を計測する。このフィルムを4wt%の塩化リチウ
ムを含有するN−メチルピロリドンに溶解し、不溶な粒
子成分を遠心分離機により分離したのち、その重量を電
子天秤を用いて計測する。また、遠心分離した粒子の密
度をユアサアイオニクス株式会社製ウルトラピクノメー
ター1000で測定し、下記式で添加量を算出する。
【0048】
【数4】粒子添加量(体積%)=(W/ρ)/(d×10
-4×w×L)×100 (上記式で各記号は下記を表わす。) W;粒子重量(g) ρ;粒子密度(g/cm3) d;フィルム厚み(μm) w;フィルム幅(cm) L;フィルム長さ(cm)
【0049】6.ガラス転移温度(Tg) オリエンテック社製動的粘弾性測定装置RHEOVIBRON DD
V-01FPにより、昇温速度2℃/分、周波数1Hzにて測
定する。
【0050】[実施例1]フィルム中に占める粒子含有
量が30体積%となるように平均粒径0.3μm、疎水
化度21のシリコーン樹脂微粒子(密度=1.4g/c
3)を分散させたN−メチルピロリドン(MMP)
に、芳香族ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン
50モル%と3,4’−ジアミノフェニールエーテル5
0モル%を溶解させ、これに100モル%に相当するテ
レフタル酸クロライドを添加して重合した。次いで、重
合で副生した塩化水素を水酸化カルシウムを用いて中和
し、ポリマー濃度6.0wt%の製膜原液(ポリマーの
対数粘度3.6)とした。
【0051】得られた製膜原液を105℃に加熱し、1
05℃口金から凝固浴中に設置された回転金属ドラム上
に吐出させた。凝固浴の組成はN−メチルピロリドンの
40重量%水溶液で、その温度は40℃であった。回転
金属ドラム上に吐出させた製膜原液(厚み210μm)
は直ちに凝固浴中に導入し、凝固後に金属ドラムから剥
離して温度50℃の水溶液にて脱溶媒と脱塩を行なっ
た。その後、クリップテンターで定長にて、200℃で
乾燥した後、320℃で熱処理を行ない、最終厚み1
2.5μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られ
たフィルム中の疎水性粒子の体積割合は30体積%であ
り、フィルムの吸水率は1.3%で疎水性に優れたもの
であった。
【0052】[実施例2]平均粒径4.5μm疎水化度
21のシリコーン樹脂粒子を、ポリマー当りの粒子含有
量が20体積%となるように添加した以外は実施例1と
同様にして口金から吐出させ、鏡面状に磨かれたステン
レス製ベルト上に流延した。流延された製膜原液(厚み
500μm)を乾燥させることなく該ベルト上に乗せた
まま実施例1と同条件の凝固液に導入し、ベルトから剥
離し、続いて50℃の水溶液にて脱溶媒、脱塩および縦
方向に1.2倍の延伸を行ない、ついでクリップテンタ
ーにて200℃で30秒乾燥した後400℃で30秒熱
処理を行ない、最終厚み25μmの芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1に示す。
【0053】[実施例3〜5]添加粒子の粒径、含有
量、疎水化度を表1のとおりに変更する以外は実施例1
と同様にして製膜原液を得た。この製膜原液を、実施例
1と同様に口金から吐出させ、厚み150μmの二軸配
向ポリエチレンテレフタレートフイルム(PETフィル
ム)上に厚み1250μmの薄膜状に流延した。その後
ただちに、N−メチルピロリドン(NMP)45重量%
の水溶液からなる、温度50℃の凝固浴に導き凝固後P
ETフィルムから剥離した後に60℃の水溶液に投入
し、脱溶媒、脱塩を行ない、乾燥、熱処理を行なって最
終厚み75μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。な
お、乾燥は200℃、熱処理は380℃行なった。得ら
れたフィルムの特性を表1に示す。
【0054】[比較例1]粒子を添加しない以外は実施
例2と同様にして厚み25μmの芳香族アミドフィルム
を得た。得られたフィルムの吸水率は4.1%と高いも
のであった。
【0055】[比較例2〜3]添加する粒子の種類、粒
径、疎水化度、含有量を表1のとおりに変更する以外は
実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得
た。得られたフィルムの吸水率はいずれのフィルムも
4.0%と高かった。
【0056】[比較例4]添加粒子を表1のとおりと
し、実施例3と同様にして製膜原液を口金から吐出さ
せ、さらに同様の方法で凝固浴に導いた。凝固完了後P
ETフィルムからの剥離ができず、これ以降の工程を通
すことができなかった。
【0057】
【表1】
【0058】表1及び実施例の記述から明らかなよう
に、本発明による耐熱性高分子フィルムは吸湿性が大き
く改良されているのに対し、本発明の範囲外では改良す
ることができなかった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐熱性、強度、
寸法安定性を有し、半導体実装基板用としても適用可能
な吸湿性の改良された耐熱性高分子フィルムを提供する
ことができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性高分子と疎水性粒子を含む耐熱性
    高分子フィルムであって、該疎水性粒子は平均粒径が
    0.001μm以上20μm以下、疎水化度が10以上
    であり、かつ該疎水性粒子の耐熱性高分子フィルム中に
    占める体積割合が5体積%以上55体積%以下であるこ
    とを特徴とする耐熱性高分子フィルム。
  2. 【請求項2】 耐熱性高分子がガラス転移温度(Tg)
    200℃以上の重合体である請求項1に記載の耐熱性高
    分子フィルム。
  3. 【請求項3】 耐熱性高分子が芳香族ポリアミドである
    請求項1に記載の耐熱性高分子フィルム。
  4. 【請求項4】 フィルムの厚さが0.5μm以上100
    0μm以下である請求項1に記載の耐熱性高分子フィル
    ム。
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