JP2002279370A - 偽造防止用磁気転写箔及び真偽判定方法 - Google Patents

偽造防止用磁気転写箔及び真偽判定方法

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JP2002279370A
JP2002279370A JP2001073636A JP2001073636A JP2002279370A JP 2002279370 A JP2002279370 A JP 2002279370A JP 2001073636 A JP2001073636 A JP 2001073636A JP 2001073636 A JP2001073636 A JP 2001073636A JP 2002279370 A JP2002279370 A JP 2002279370A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 模造、偽造防止効果の高い偽造防止用磁気転
写箔と真偽判定方法を提供する。 【解決手段】 本発明の偽造防止用磁気転写箔10は、
樹脂フィルムからなる基材11上に必要により離型層を
介して2層または3層以上の強磁性体層151,152
が積層して形成されていることを特徴とする。強磁性体
層は真空成膜法または印刷法で形成でき、強磁性体層間
には非磁性体層161を設けることができる。また、光
回折格子またはホログラムパターンを有していても良
い。本発明の真偽判定方法は、このような偽造防止用磁
気転写箔10またはその被転写媒体に交流磁界を印加す
ることにより発生する磁界変化を読み取ることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、偽造防止用磁気
転写箔とそれを用いた真偽判定方法に関する。詳しく
は、樹脂フィルムからなる基材上に複数の強磁性体層
を、スパッタ等の真空成膜法もしくは印刷法で積層形成
した偽造防止用磁気転写箔とそれを用いた真偽判定方法
に関する。このような偽造防止用磁気転写箔は、塩化ビ
ニルやPET等のプラスチック基材に転写してクレジッ
トカードやプリペイドカードとして使用することがで
き、各種印刷物に転写して商品券、ギフト券、証明書、
パスポート、チケット、投票券、切符、ラベル等の各種
セキュリティ媒体に使用することができる。
【0002】
【従来技術】各種セキュリティ媒体の偽造防止策とし
て、磁気情報を担持した情報記録媒体が従来から使用さ
れている。磁気情報記録媒体カードとして国内で最も多
く利用されているプリペイドカードには、テレホンカー
ドやパチンコ遊技カードなどがある。しかし、これらの
カードは変造、改ざんがされやすい問題がある。この変
造、改ざん防止対策として特開平6−286368号公
報が提案する技術は、通常では入手できない組成と、そ
の素材特有の磁気特性を利用することと、カードの第二
記録領域に書換できないように予め書き込んであるセキ
ュリティーコードを利用する方法が提案されている。こ
のセキュリティーコードを書き込むためには、磁気的に
読み取れる磁気パターンを形成する必要がある。この磁
気パターンを形成する方法としては、磁性体にレーザ
を照射して、磁性体を消失させるかまたは磁気特性を変
化させる。フォトリソグラフィー・印刷等を利用して
エッチングで磁性体を除去する。強磁性膜からなる転
写箔を熱と圧力をかけてパターン状に転写する。等の方
法がとられているが、パターニングに長時間を要するか
またはコスト高を招くという問題がある。
【0003】そのため、より高度の偽造防止構造を有す
るデータ記録担体として、粗化部と磁性膜を組み合わせ
た構造として、特開平10−64051号公報では、磁
気パターニングされた磁性体板等が提案されている。そ
こで、本発明は強磁性体層を2層以上に形成するととも
に、そのうちの少なくとも1層をパターニングすること
で、上記磁性体板にさらに改良を加えた偽造防止用磁気
転写箔やそれを用いた真偽判定方法を提供することによ
り一層の偽造防止効果を図ろうとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の要旨の第1は、支持体となる樹脂フィルム基
材上に必要により離型層を介して、2層の強磁性体層を
形成し、さらに該強磁性体層上にヒートシール剤層また
は粘着剤層を形成した偽造防止用磁気転写箔において、
強磁性体層のうち少なくとも1層がパターニングされて
いることにより特徴的な磁気データを保持することを特
徴とする偽造防止用磁気転写箔、にある。本発明の要旨
の第2は、支持体となる樹脂フィルム基材上に必要によ
り離型層を介して、3層以上の強磁性体層を形成し、さ
らに該強磁性体層上にヒートシール剤層または粘着剤層
を形成した偽造防止用磁気転写箔において、強磁性体層
のうち少なくとも1層がパターニングされていることに
より特徴的な磁気データを保持することを特徴とする偽
造防止用磁気転写箔、にある。
【0005】本発明の要旨の第3は、支持体となる樹脂
フィルム基材上に必要により離型層を介して、磁気特性
が異なる強磁性体層を2層形成し、さらに該強磁性体層
上にヒートシール剤層または粘着剤層を形成したことを
特徴とする偽造防止用磁気転写箔において、強磁性体層
のうち少なくとも1層がパターニングされていることに
より特徴的な磁気データを保持することを特徴とする偽
造防止用磁気転写箔、にある。本発明の要旨の第4は、
支持体となる樹脂フィルム基材上に必要により離型層を
介して、磁気特性が異なる強磁性体層を3層形成し、さ
らに該強磁性体層上にヒートシール剤層または粘着剤層
を形成したことを特徴とする偽造防止用磁気転写箔にお
いて、強磁性体層のうち少なくとも1層がパターニング
されていることにより特徴的な磁気データを保持するこ
とを特徴とする偽造防止用磁気転写箔、にある。
【0006】本発明の要旨の第5は、上記の偽造防止用
磁気転写箔に交流磁界を印加することにより発生する磁
界変化を読み取ることを特徴とする真偽判定方法、にあ
る。本発明の要旨の第6は、上記の偽造防止用磁気転写
箔を転写した被転写媒体に交流磁界を印加することによ
り発生する磁界変化を読み取ることを特徴とする真偽判
定方法、にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の偽造防止用磁気転写箔
は、樹脂フィルムからなる基材上に必要により離型層を
介して複数の強磁性体層を、蒸着等の真空成膜法または
印刷法により積層形成するものである。本発明の偽造防
止用磁気転写箔において、複数の強磁性体層からなる強
磁性体層の磁気特性を強磁性体層間の相互作用無しに検
知するためには、強磁性体層間に非磁性体層を形成し、
磁気的相互作用を消滅させる必要がある場合がある。こ
の非磁性体層は、複数の強磁性体層が真空成膜法により
形成された薄膜である場合に必要となってくる。強磁性
体層が印刷法のみで形成されている場合、もしくは印刷
法と真空成膜法により形成されている場合には非磁性体
層を省略することも可能である。これらの条件により各
種の実施形態が出現する。
【0008】以下、本発明の実施形態を図面を参照して
説明する。図1は、本発明の偽造防止用磁気転写箔の実
施形態を示す図である。図1(A)は、基材11上に2
層の強磁性体層151,152を非磁性体層161を介
して積層した偽造防止用磁気転写箔の斜視図、図1
(B)は、その断面図である。偽造防止用磁気転写箔1
0の複数の強磁性体層151,152は真空成膜法また
は印刷法により形成される。強磁性体層間には前記のよ
うに必要により非磁性体層161が設けられ、これも同
等の手段で形成される。基材11と強磁性体層151と
の間には必要により離型層17を設ける。「必要によ
り」というのは基材11自体が十分な離型性を有する場
合があるからであり、そのような場合は離型層を設ける
必要はない。また、強磁性体層152の最表面には、被
転写媒体に接着するためのヒートシール剤層または粘着
剤層が形成される。図1では、当該ヒートシール剤層ま
たは粘着剤層の図示は省略されている。偽造防止用磁気
転写箔10の幅Wは特に制限されないが、被転写媒体の
使用目的により2mm〜20.0mm程度のものが通常
使用される。
【0009】本発明の偽造防止用磁気転写箔は、上述の
ように複数の強磁性体層のうち、少なくとも1層がパタ
ーニングされている特徴がある。図1の偽造防止用磁気
転写箔では、第1の強磁性体層151がストライプ状に
パターニングされているが、パターニングは第2の強磁
性体層152であってもよく、双方の強磁性体層がパタ
ーニングされていても良い。パターニングは、強磁性体
層を真空成膜法で形成する場合は、マスクを使用するパ
ターニング法を採用でき、この場合は基材11に密着す
るようにマスクを置いて、マスクを介して真空成膜を行
う。また、通常のように平面状に真空成膜で膜形成した
後、レーザー光線またはサーマルヘッド等によるドライ
プロセスにより部分的に強磁性体層を破壊するようにし
てパターン形成することもできる。印刷法による場合
は、印刷版にパターンを形成してパターン状に印刷塗膜
を形成するのが通常である。パターンの形状はストライ
プ状であることに限られないが、転写箔の長さ方向に磁
気ヘッドを走行させて真偽判定を行うことが多いことか
ら、転写箔の長手方向に直交または斜交するような規則
的なパターンを設けるのが好ましい。
【0010】以下、偽造防止用磁気転写箔の各構成要素
についてさらに詳細に説明する。樹脂フィルム基材11
としては、耐溶剤性および耐熱性のある樹脂フィルムが
使用でき、一般的にはポリエチレンテレフタレート(P
ET)樹脂フィルムをはじめとしてその他のポリエステ
ル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド
樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリス
チレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポ
リサルホン樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド
樹脂フィルム、セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレ
ンナフタレート樹脂フィルム、等が挙げられる。厚さ
は、5〜300μm程度、好ましくは、10〜50μm
程度のものを推奨できる。
【0011】離型層17は、強磁性体層15を基材11
に剥離性を有して密着させるためのものであって、転写
後には磁性体層をある程度保護する役割をも有するもの
である。この層の材質としては、十分な透明性があり、
耐摩擦性、耐汚染性、耐溶剤性を有する樹脂、例えば
(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、塩化ビニル系樹
脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラニン系樹
脂、ポリエステル系樹脂の単体、混合物および共重合体
が用いられる。また、ワックス類、シリコーンワック
ス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の離型剤を加えたも
のを適当な溶剤に溶解または分散して調整したインキ
を、基材上に公知の手段により塗布、乾燥させて行うこ
とができる。このような離型層17の厚さは、0.5〜
5μm程度が好ましく、さらに好ましくは、1〜3μm
の範囲である。
【0012】強磁性体層15は、蒸着、スパッタ、イオ
ンプレーティング法等の真空成膜法あるいはグラビア、
オフセット等の印刷法により形成する。真空成膜法の場
合、その厚みは1μm以下の薄膜、通常、10nm〜3
00nmの厚みであるのに対し、磁性インキの印刷法に
よる膜厚は乾燥後で0.5μm〜10μm、一般的には
1μm〜5μmとなるのが通常である。
【0013】図5は、磁性材料のヒステリシス曲線を示
す図である。本発明に使用する強磁性材は、図5(A)
のような高角型比の磁気特性を示す材料が好ましい。こ
のような強磁性材は、Hc(保磁力)、Bm(飽和磁束
密度)において特異な特性を示し、その磁気特性から通
常印加の磁界強度とその磁界によって磁化される磁性体
の磁束密度とは非線形のB−H特性(ヒステリシス曲
線)を有するので、図5(B)のような一般の磁性材料
とは明確に区別できる。本発明に使用する強磁性材は、
Hcが、40〜4000A/m(0.5〜50エルステ
ッド)、Rsq(角型比)が、0.7〜1.0であるこ
とが好ましい。なお、角型比Rsqは、 Rsq=Br(残留磁束密度)/Bm(飽和磁束密度) で表される。
【0014】次に、強磁性体層15は、真空成膜法によ
り形成される場合、結晶性あるいはアモルファスのもの
であっても良く、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッ
ケル(Ni)のいずれか1種または2種以上の組み合わ
せからなる磁性材料を主成分として、これに、ほう素
(B)、炭素(C)、マグネシウム(Mg)、アルミニ
ウム(Al)、珪素(Si)、燐(P)、硫黄(S)、
チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、
マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イット
リウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(N
b)、モリブテン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀
(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、タンタル
(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、
白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)から選ばれた数
種の金属または非金属元素の添加物から構成されてい
る。
【0015】真空成膜法の場合、強磁性体層の形成は、
主成分となる鉄、コバルト、ニッケルからなる合金と添
加元素からなる材料あるいはこれらの混合物をターゲッ
ト材または蒸着源として、蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティングなどの真空プロセスを用いた成膜法で
形成する。真空成膜法の場合、層厚10nmが下限値と
なる理由は、強磁性体層15の厚みが薄くなるため、磁
性体の絶対量の減少と共に飽和磁束が減少し、磁気信号
が小さくなるためであり、真偽判定に用いる磁気信号を
得るためには磁性体の厚みは、10nm以上が必要とな
るためである。また、300nmが上限値となる理由
は、他の方法で作製した磁性体膜(通常は厚さ1μm以
上)と明確な区別をつけるためであり、これ以上厚くす
ることは避けることが好ましいからである。さらに、こ
れ以上の厚さとなる場合は、膜の内部応力によるカール
等で磁気転写箔の特性が悪くなり、しわ、クラックが発
生する場合があるからである。
【0016】次に、強磁性体層15が印刷法により形成
される場合、ここで用いられる印刷インキは、強磁性体
を顔料として含み、顔料を分散するバインダーおよび溶
剤で構成されている。用いられる強磁性体は、粒径10
nmから数十μmまで幅広い粒径の粉体を用いることが
できる。粒径は、印刷適性を考えると、数μm以下であ
ることが好ましい。この粉体の形状は、粉体が上記の粒
径の範囲内であり、印刷適性を保持する限りどのような
形状であっても問題はない。印刷法の場合、膜厚0.5
μmが下限となるのは、均一した厚みの層を安定して機
械的に付着させる限界となるからであり、10μmが上
限となるのは、それ以上は安定した塗布が困難であり、
必要性もないからである。また、強磁性体は、金属粉体
であっても酸化物粉体、窒化物粉体、酸化窒化物粉体で
あってもかまわない。金属粉体を用いる場合、上記の真
空成膜法により形成される場合と同様の材料で良い。酸
化物、窒化物強磁性体の場合、上記金属の酸化、窒化化
合物を使用することになる。
【0017】積層して形成される強磁性体層15の数
は、原理的には何層でも可能であり、請求項2では「3
層以上・を形成」しているが、交流磁界印加によるパル
ス観測方法では、判定の安定性を考えると、強磁性体層
が2層もしくは3層が適当と考えられる。複数の強磁性
体層には、角型比が異なる強磁性材料あるいはアモルフ
ァス材料を併用すると特異の読み取り波形を与えて偽造
を一層困難にする。非磁性体層16の数は、強磁性体層
15の間に入るので、通常は1層または2層となる。
【0018】非磁性体層16には、非磁性体の金属や非
金属を使用できる。これには例えば、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、銀(A
g)、金(Au)、珪素(Si)、チタン(Ti)、バ
ナジウム(V)、クロム(Cr)やこれらの合金、ある
いはこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物粉体を使用す
ることができる。強磁性体層15を印刷して形成する場
合は印刷インキのバインダーが非磁性体層を兼ねるの
で、印刷層に隣接して別に非磁性体層16を設ける必要
はない。
【0019】図2は、本発明の偽造防止用磁気転写箔の
他の実施形態を示す図である。図2(A)は、基材11
上に光回折格子またはホログラムパターン13を形成
し、さらに、2層の強磁性体層151,152を非磁性
体層161を介して積層した構成の偽造防止用磁気転写
箔であってその斜視図、図2(B)は、その断面図であ
る。図2の偽造防止用磁気転写箔では、第2の強磁性体
層152がストライプ状にパターニングされている。基
材11と強磁性体層の間には、必要により離型層17を
介して樹脂層12が設けられ、当該樹脂層表面には光回
折格子またはホログラムパターン13が形成されてい
る。基材11と樹脂層12との間が本来離型性の場合は
前記のように離型層を設ける必要はない。光回折格子ま
たはホログラムパターン13は、アルミニウム等の光反
射層14を介在させるかまたは単独で用いて、特有の光
輝性および3次元表示効果を出現させる。これと強磁性
体層による磁気特性とから、通常の光輝性転写箔では得
られない複合した効果を有して、偽造、改ざんを一層困
難なものとすることができる。
【0020】樹脂層12を構成する材料は、光回折格子
またはホログラムの微小凹凸形状を付与できうる合成樹
脂が使用できる。この合成樹脂としては、熱可塑性合成
樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例えば
ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、も
しくはポリスチレン等、または熱硬化性合成樹脂、例え
ば不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエス
テル(メタ)アクリレート(本明細書においては、(メ
タ)アクリレートの語は、アクリレートおよびメタクリ
レートの双方を包含する意味である。)、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポ
リエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、もしく
はトリアジン系(メタ)アクリレート等が挙げられる。
あるいは上記熱可塑性合成樹脂および熱硬化性合成樹脂
を混合して使用しても良い。
【0021】さらに合成樹脂としては、特に、熱プレス
によりホログラムの微小凹凸形状をエンボスでき、エン
ボス後には、硬化して充分な耐久性を生じるものが良
く、いわゆる紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱
硬化、自然硬化型の反応性の樹脂等が用いられうる。本
発明においては、紫外線もしくは電子線で硬化する樹脂
が適している。具体的には、例えばメチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソ
ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アク
リレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘ
キシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
ングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレンングリコールジグリシジルエーテ
ルジ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラグリシ
ジルエーテルテトラ(メタ)アクリレート、等のラジカ
ル重合性不飽和基を有する単量体が用いられる。
【0022】さらに、熱成形性を有する紫外線または電
子線硬化性樹脂としては、以下の化合物(1)〜(8)
を重合もしくは共重合させた重合体に対し、後述する方
法(イ)〜(ニ)によりラジカル重合性不飽和基を導入
したものが用いられうる。
【0023】(1)水酸基を有する単量体:N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
(メタ)アクリレート等。 (2)カルボキシル基を有する単量体:(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネ
ート等。 (3)エポキシ基を有する単量体:グリシジル(メタ)
アクリレート等。
【0024】(4)アジリジニル基を有する単量体:2
−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−アジ
リジニルプロピオン酸アリル等。 (5)アミノ基を有する単量体:(メタ)アクリルアミ
ド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート等。 (6)スルフォン基を有する単量体:2−(メタ)アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等。 (7)イソシアネート基を有する単量体:2,4−トル
エンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートの1モル対1モル付加物等のジイソシアネ
ートと活性水素を有するラジカル重合性単量体の付加物
等。
【0025】(8)さらに、上記の重合体のガラス転移
点を調節したり、硬化膜の物性を調節したりするため
に、上記の化合物と、この化合物と共重合可能な以下の
ような単量体とを共重合させることができる。このよう
な共重合可能な単量体としては、例えばメチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)
アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】次に、上述のようにして得られた重合体を
以下に述べる方法(イ)〜(ニ)により反応させ、ラジ
カル重合性不飽和基を導入することによって、紫外線も
しくは電子線硬化性樹脂が得られる。 (イ)水酸基を有する単量体の重合体または共重合体の
場合には、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有
する単量体等を縮合反応させる。 (ロ)カルボキシル基、スルフォン基を有する単量体の
重合体または共重合体の場合には、前述の水酸基を有す
る単量体を縮合反応させる。 (ハ)エポキシ基、イソシアネート基あるいはアジリジ
ニル基を有する単量体の重合体または共重合体の場合に
は、前述の水酸基を有する単量体もしくはカルボキシル
基を有する単量体を付加反応させる。 (ニ)水酸基あるいはカルボキシル基を有する単量体の
重合体または共重合体の場合には、エポキシ基を有する
単量体あるいはアジリジニル基を有する単量体あるいは
ジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステ
ル単量体の1モル対1モルの付加物を付加反応させても
良い。またさらに、前述の単量体と、上記の熱成形性の
紫外線または電子線硬化性樹脂とを混合して用いること
もできる。
【0027】また、上記のものは、電子線照射により十
分に硬化可能であるが、紫外線照射で硬化させる場合に
は、増感剤として、ベンゾキノン、ベンゾイン、ベンゾ
インメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ハロゲ
ン化アセトフェノン類等の紫外線照射によりラジカルを
発生するものも用いることができる。当該樹脂層は着色
することもでき、その場合には紫外線や電子線の照射に
対して変退色のない染料が好ましい。具体的には、1−
2型アゾ系金属錯塩染料、1−1型アゾ系金属錯塩染
料、金属フタロシアニン系染料等を使用することができ
る。
【0028】上記の合成樹脂により構成される着色され
または無色透明な光回折格子またはホログラムパターン
樹脂層12は、グラビアコート法、ナイフコート法、ロ
ールコート法、ダイコート法等のコーティング方法によ
り、厚さ0.1〜100μm、望ましくは、0.5〜5
0μmに塗布形成される。
【0029】光回折格子パターンは、格子間隔0.4〜
5.0μm、深さ0.1〜1.0μmの範囲で形成され
た回折格子パターンを前記樹脂層12に形成したもの
で、入射光を特定の回折角度で回折するため、観察方向
により変化した色光を与えるものである。この回折格子
は格子間隔dが一定であれば、光の波長によって回折角
度φが異なり、また光の波長が一定であれば、格子間隔
dによって回折角度φが異なる。この関係は下記の(式
1)で示される。 λ=d(sinω+sinφ) (式1) λ:波長 d:格子間隔 ω:入射角度 φ:回
折角度 この光回折格子パターンの形成法としては、機械的に切
削するもののほか、電子線描画装置によりレジスト上に
パターン形成しフォトエッチングの方法で蝕刻すること
ができ、これらの原版を複製用の型版にとり、型押しし
て転写する方法が採用される。
【0030】一方、ホログラムパターン13は、2また
は3次元画像を再生可能な表面凹凸パターンとして形成
されたものである。この表面凹凸パターンとしては、物
体光と参照光との光の干渉による干渉縞の光の強度分布
が凹凸模様で記録されたレリーフホログラムを使用可能
であり、その他のホログラムとしては、フレネルホログ
ラム、フラウンホーファホログラム、レンズレスフーリ
エ変換ホログラム、イメージホログラム等のレーザ再生
ホログラム、およびレインボーホログラム等の白色光再
生ホログラム、さらにそれらの原理を利用したカラーホ
ログラム、コンピュータホログラム、ホログラムディス
プレイ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィッ
クスステレオグラム等が挙げられる。ホログラムの場合
も干渉縞のピッチ、凹凸の深さは、回折格子と同程度の
ものである。
【0031】強磁性体層15と樹脂層12の間または樹
脂層12と基材11との間には、光反射層14を設ける
ことができる。すなわち、強磁性体層15を設ける前
に、樹脂層12または基材11上に直接光反射層を全面
に設ける。このようにする場合には、非磁性金属の光沢
色が反射光として外部から観測されるようになり、外見
上は一般の光輝性転写箔と変わらない偽造防止用磁気転
写箔が与えられる。このような光反射層は反射性の非磁
性金属材料が使用され、金、銀、アルミニウム、クロ
ム、ニッケル等が使われる。一般的にはコストおよび技
術上の問題からアルミニウムが好ましく採用され、その
厚さは、10nm〜200nm程度に形成できるが、好
ましくは20nm〜100nm程度の厚みである。
【0032】ヒートシール剤層または粘着剤層は、偽造
防止用磁気転写箔10を所定の被転写媒体に転写した際
に、十分な接着強度を得るためのものであり、用途に合
わせて従来より公知の感熱接着剤や粘着剤が用いられ
る。ヒートシール剤としては、塩酢ビ系ホットメルト型
樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系
樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹
脂、等があげられ、また、粘着剤としては、アクリル
系、ゴム系のものがあげられる。その塗布厚みは、1〜
数μm以内のものであってよい。通常、当該層が粘着剤
層である場合は、転写箔上に設ける保護用剥離紙に粘着
剤を付与してから、この保護用剥離紙と転写箔を一体に
し、転写箔を使用する際に、剥離紙を除去すると強磁性
体層上に粘着剤が転移して使用できる状態になる。従っ
て、強磁性体層上に直接、粘着剤を塗布する工程を行う
ことは少ない。
【0033】次に、偽造防止用磁気転写箔の実施形態に
ついてさらに説明する。図3は、偽造防止用磁気転写箔
の各種実施形態の断面構成を示す図である。図3(A)
は、基材11上に2層の真空成膜法による強磁性体層1
51,152を非磁性体層161を介して積層した場合
を示す。強磁性体層151,152のいずれかは、断面
に直交する面に現われるパターンを有するものとする。
なお、図3において、ヒートシール剤層または粘着剤層
はいずれも図示を省略している。この場合、強磁性体層
151,152は同一の強磁性体からなる層であっても
角型比の異なる強磁性体であってもよい。また、いずれ
かまたは双方の強磁性体がアモルファス強磁性体であっ
てもよい。これらの強磁性体層に交流磁界を印加した際
に後述するようにそれぞれ異なる読み取り特性を与える
ことになる。また、角型比の異なる強磁性体の場合は、
図6のようなヒステリシス曲線を示すことになる。前述
のように非磁性体層16も真空成膜法または印刷法によ
り設ける。当該層は省略してもよいが設けた場合には後
述するように波形の分離が明瞭となる。
【0034】図3(B)は、3層の真空成膜法による強
磁性体層151,152,153を、非磁性体層16
1,162を介して積層した場合を示す。強磁性体層1
51,152,153および非磁性体層161,162
は、図3(A)の場合と同様に形成することができる。
図3(C)は、印刷法による強磁性体層151と真空成
膜法による強磁性体層152の積層を示す。印刷法によ
る強磁性体層が入る場合、印刷インキのバインダーが非
磁性体層の役割を兼ねるので当該強磁性体層151に隣
接して非磁性体層を設ける必要はない。図3(D)は、
2層の真空成膜法による強磁性体層151,152と非
磁性体層161を積層し、さらに樹脂層12とホログラ
ムパターン13および光反射層14を設けた場合を示
す。光反射層14はホログラムパターンと重畳して設け
られることが多い。この場合、強磁性体層151,15
2と非磁性体層161の効果は図3(A)の場合と同等
であるが、転写箔を観察した場合、ホログラムパターン
13や光反射層14により光輝性をもたらす効果を有す
る。
【0035】図4は、偽造防止用磁気転写箔を被転写媒
体に転写する状態を示す断面図である。偽造防止用磁気
転写箔10を被転写媒体30に転写する際は、ヒートシ
ール剤である場合は、熱ロール等で加熱加圧しながらあ
るいはホットスタンプ箔を転写する状態で箔押しするよ
うにして被転写媒体30に転写する。粘着剤である場合
は、保護用剥離紙を剥離してから粘着剤層を直接、被転
写媒体30に加圧して接触させることにより転写でき
る。この際、基材11は離型層17から剥離して除去さ
れるので、偽造防止用磁気転写箔の強磁性体層の部分だ
けを転写することができる。離型層17は、前記のよう
に被転写媒体30側に残るようにして保護被覆の機能を
持たせることが好ましい。
【0036】次に、本発明の真偽判定方法について説明
する。図7は、読取り装置を説明する図である。図7
(A)は、磁気ヘッド41を交流励磁し(5〜10kH
z,2〜5Vpp)、検知コイル43で出力電圧を検知
する装置、図7(B)は、磁気ヘッド41を交流励磁し
参照コイル44の信号波形と、検知コイル出力波形を比
較して検知する場合を示す。
【0037】図8は、図3(A)の磁気層が2層の転写
箔に交流磁界を印加する状態を示す。図9は、転写箔に
交流磁界を印加した場合の出力波形を示す。図7(A)
の磁気ヘッドを用いて図9(A)に示す交流磁界を印加
した場合、検知コイルからの出力は、磁性体が無い場
合、図9(B)のようになる。本発明で使用する保磁力
(Hc)が小さく角型比が大きい強磁性体がある場合は
図9(C)のようになる。これらの信号の差分をとると
図9(D)の信号が得られる。この信号は、強磁性体固
有の特性を表わすB−H曲線の微分値であり、B−H特
性同様強磁性体材料固有の信号である。図7(B)の磁
気ヘッドを用いた場合、検知コイルからの出力と参照コ
イルからの出力の差分を取ることにより、図9(D)の
信号を得ることができる。
【0038】図10は、2層以上の強磁性体層による再
生波形を示す。まず、強磁性体層がパターニングされて
いない状態を考えて見る。図7(A)の磁気ヘッドを用
いて図9(A)に示す交流磁界を印加して測定を行う
と、2層もしくは2層以上の強磁性体の磁気特性を一度
に測定することになり、それぞれの強磁性体層の磁気特
性を反映する信号を重ね合せた図10のような特殊な信
号が得られる。それぞれの信号の強度は、強磁性体の磁
気特性だけでなく強磁性体の膜厚によってもコントロー
ルが可能である。したがって、この信号の、ピーク強
度の比や、ピークの位置、ピークの半値幅、それ
らの組み合わせから、あるいはピーク重ね合わせ時の
ピークの形状、1/3値幅、1/2値幅の比較、または
からの組み合わせを考察することにより、使用した
磁性体材料や層構成が分かり真偽判定が可能となる。
【0039】さらに、図8のように、磁気ヘッド31に
近い第2の強磁性体層152と磁気ヘッド31から遠い
第1の強磁性体層151とでは、磁気ヘッドからの出力
磁界が同じ場合でも、第2の強磁性体層152は第1の
強磁性体層151よりも大きな磁場が印加されている。
これにより、非磁性体層をはさんで同一の磁性体があっ
てもピーク出力位置に違いが出るため、2層の磁性体が
あることが明瞭に確認できる。また、異なった磁性体を
使用した場合、磁気ヘッド31に近い第2の強磁性体層
152に保磁力が小さい材料を、第1の強磁性体層15
1に第2の強磁性体層152と比較して保磁力が大きい
材料を使用することにより明確にそれぞれの磁性体の特
徴を判別することが可能となる。そのため、再生磁束や
再生電圧波形の発生位置も異なってくる。この判別原理
は強磁性体のB−H特性を利用したもので材料固有の特
性を示す。非磁性体層161がある場合は、無い場合よ
りも読み取り再生波形ピークの分離が明瞭となる。ただ
し、同一の強磁性体層が非磁性体層が無い状態で積層さ
れた場合でも異なる工程で形成すれば通常分離したピー
クを出現する。
【0040】前記のように、2層の強磁性体層の場合
は、図10(A)のように強弱の2点のピークP1,P
2が出現し、3層の強磁性体層からなる場合は、図10
(B)のように、3つのピークP1,P2,P3を有す
る再生波形を出現する。また、強磁性体層が印刷法によ
り形成された層である場合は、印刷インキ中の強磁性体
には各種粒径の粒子が混在し、強磁性体であっても一律
な磁化特性を示さないため、ピークもシャープな形状を
出現しないことになる。従って、例えば、印刷法による
1層の強磁性体層と真空成膜法による1層の強磁性体層
とからなる合成再生波形は、図10(C)のような波形
を出現する。また、アモルファス強磁性体の場合は、H
c(保磁力)を小さく、かつ角型比を大きくし易いので
一層シャープなピークを出現する。
【0041】図11は、本発明の偽造防止用磁気転写箔
の再生波形を示す。図11(A)は真空成膜した2層の
強磁性体層の1層をパターニングした場合、図11
(B)は、印刷法による1層の強磁性体層と真空成膜法
による1層の強磁性体層とからなる転写箔の真空成膜し
た1層をパターニングした場合、図11(C)は、同様
に印刷法による1層の強磁性体層と真空成膜法による1
層の強磁性体層とからなる転写箔の印刷法による1層を
パターニングした場合の再生波形を、いずれも模式的に
示している。いずれの場合も、1層がパターニングされ
て磁気層の無い部分(図中L部分)では、1のピーク
(印刷の場合は波形)が出現しないことが示されてい
る。このような波形は、偽造防止用磁気転写箔自体を測
定した場合も転写箔を被転写媒体に転写した後に当該強
磁性体層部分を測定した場合も同じように出現する。本
発明の真偽判定方法はこのように使用する磁性体材料の
特性および磁性体層のパターニングによる再生波形の顕
著な変化を特徴として把握することにより模造や偽造転
写箔を明確に検出できる。
【0042】
【実施例】<偽造防止用磁気転写箔の作製>以下、本発
明の実施例1〜3を図面を参照して説明する。なお、実
施例2,3において使用する基材は実施例1と同条件で
ある。 (実施例1)偽造防止用磁気転写箔のフィルム基材11
として、平滑性が良く透明なポリエチレンテレフタレー
トフィルム(東レ株式会社製「ルミラー25T60」)
〔厚み;25μm〕に、剥離性を与えるため、メチルメ
タクリレート系アクリル樹脂をトルエンに希釈してグラ
ビア印刷法により薄層の離型層17として塗工した。こ
の離型層塗工面上に、鉄Fe−珪素Si系からなる第1
の強磁性体層151をマスクを使用する真空成膜法で、
膜厚150nmになるように幅2mmのラインとスペー
スからなるストライプパターン状に成膜した。続いて、
この強磁性体層151上に非磁性体層161として、厚
み50nmのアルミ層を真空成膜法で形成した。さらに
非磁性体層161上に、鉄Fe−珪素Si系からなる第
2の強磁性体層152を、膜厚150nmになるよう同
様に真空成膜法で成膜した。なお、第2の強磁性体層1
52はパターン形成をしなかった。
【0043】(実施例2)実施例1と同一の基材11上
に同様に離型層17を形成し、鉄Fe−珪素Si系から
なる第1の強磁性体層151をマスクを使用する真空成
膜法で、膜厚150nmになるようにし、かつ幅2mm
のラインとスペースからなるストライプパターン状に成
膜した。続いて、この第1の強磁性体層151上に、下
記インキ組成からなる強磁性体インキをグラビア印刷法
により膜厚3μmになるように塗工した。 〔インキ組成〕 バインダー;塩酢ビ/ウレタン系樹脂 100重量部 粒状物 ;酸化鉄(フェライト)(15%)を平均粒径2μmに粉砕した粒子 10重量部
【0044】(実施例3)実施例1と同一の基材11上
に同様に離型層17を形成し、鉄Fe−珪素Si系から
なる第1の強磁性体層151を真空成膜法で、膜厚15
0nmになるように全面に成膜した。続いて、この第1
の強磁性体層151上に、実施例2と同一インキ組成か
らなる強磁性体インキをグラビア印刷法により膜厚3μ
mになるようにし、かつ幅2mmのラインとスペースか
らなるストライプパターン状に塗工した。
【0045】<被転写媒体への転写>実施例1〜実施例
3の最上層の強磁性体層面に、塩酢ビ系ホットメルト型
ヒートシール剤を1μmの厚みに塗布した後、スリッタ
機を使用して幅6.35mmにスリッタして、本発明の
偽造防止用磁気転写箔10を完成した。その後、実施例
1〜実施例3の偽造防止用磁気転写箔10を図4のよう
に、塩化ビニル製の被転写媒体(カード基材)30に加
熱ローラを使用して135°C、0.7秒に加熱して転
写した。その際、基材11を離型層17から剥離して除
去した。
【0046】このように各実施例の偽造防止用磁気転写
箔をカード基材に転写した後、図7の装置に交流磁界を
印加して転写した強磁性体層部分の磁気特性を測定し
た。実施例1の場合は、図11(A)のような波形を示
し、実施例2の場合は、図11(B)のような波形を示
し、実施例3の場合は、図11(C)のような波形を示
した。
【0047】
【発明の効果】本発明の偽造防止用磁気転写箔は、上述
のように複数の強磁性体層のうち少なくとも1層がパタ
ーニングされていることにより特有の磁気特性を有し、
真偽判定が容易であるため、通常の磁気転写箔や光輝性
転写箔では得られない模造、偽造防止効果を有する。ま
た、本発明の真偽判定方法によれば、転写箔や被転写媒
体に交流磁界を印加して発生する磁界変化に特有の特徴
を有するので、模造、偽造品を容易に検出することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偽造防止用磁気転写箔の実施形態を
示す図である。
【図2】 本発明の偽造防止用磁気転写箔の他の実施形
態を示す図である。
【図3】 偽造防止用磁気転写箔の各種実施形態の断面
構成を示す図である。
【図4】 偽造防止用磁気転写箔を被転写媒体に転写す
る状態を示す断面図である。
【図5】 磁性材料のヒステリシス曲線を示す図であ
る。
【図6】 角型比が異なる2層の強磁性体層によるヒス
テリシス曲線を示す図である。
【図7】 読取り装置を説明する図である。
【図8】 図3(A)の磁気層が2層の転写箔に交流磁
界を印加する状態を示す。
【図9】 転写箔に交流磁界を印加した場合の出力波形
を示す。
【図10】 2層以上の強磁性体層による再生波形を示
す。
【図11】 本発明の偽造防止用磁気転写箔の再生波形
を示す。
【符号の説明】
10 偽造防止用磁気転写箔 11 基材 12 樹脂層 13 光回折格子またはホログラムパターン 14 光反射層 15,151,152,153 強磁性体層 16,161,162 非磁性体層 17 離型層 18 ヒートシール剤層または粘着剤層 30 被転写媒体 31,41 磁気ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06K 19/10 G11B 5/72 G11B 5/70 5/80 5/72 G06K 19/00 B 5/80 D R

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体となる樹脂フィルム基材上に必要
    により離型層を介して、2層の強磁性体層を形成し、さ
    らに該強磁性体層上にヒートシール剤層または粘着剤層
    を形成した偽造防止用磁気転写箔において、強磁性体層
    のうち少なくとも1層がパターニングされていることに
    より特徴的な磁気データを保持することを特徴とする偽
    造防止用磁気転写箔。
  2. 【請求項2】 支持体となる樹脂フィルム基材上に必要
    により離型層を介して、3層以上の強磁性体層を形成
    し、さらに該強磁性体層上にヒートシール剤層または粘
    着剤層を形成した偽造防止用磁気転写箔において、強磁
    性体層のうち少なくとも1層がパターニングされている
    ことにより特徴的な磁気データを保持することを特徴と
    する偽造防止用磁気転写箔。
  3. 【請求項3】 支持体となる樹脂フィルム基材上に必要
    により離型層を介して、磁気特性が異なる強磁性体層を
    2層形成し、さらに該強磁性体層上にヒートシール剤層
    または粘着剤層を形成したことを特徴とする偽造防止用
    磁気転写箔において、強磁性体層のうち少なくとも1層
    がパターニングされていることにより特徴的な磁気デー
    タを保持することを特徴とする偽造防止用磁気転写箔。
  4. 【請求項4】 支持体となる樹脂フィルム基材上に必要
    により離型層を介して、磁気特性が異なる強磁性体層を
    3層形成し、さらに該強磁性体層上にヒートシール剤層
    または粘着剤層を形成したことを特徴とする偽造防止用
    磁気転写箔において、強磁性体層のうち少なくとも1層
    がパターニングされていることにより特徴的な磁気デー
    タを保持することを特徴とする偽造防止用磁気転写箔。
  5. 【請求項5】 複数の強磁性体層間に非磁性体層を形成
    して積層した構造を持つことを特徴とする請求項1から
    請求項4記載の偽造防止用磁気転写箔。
  6. 【請求項6】 複数の強磁性体層または非磁性体層のう
    ち少なくとも1層以上が真空成膜法により形成された層
    であることを特徴とする請求項1から請求項5記載の偽
    造防止用磁気転写箔。
  7. 【請求項7】 複数の強磁性体層または非磁性体層のう
    ち少なくとも1層以上が印刷法により形成された層であ
    ることを特徴とする請求項1から請求項5記載の偽造防
    止用磁気転写箔。
  8. 【請求項8】 少なくとも1層の強磁性体層がアモルフ
    ァス強磁性体であることを特徴とする請求項1から請求
    項7記載の偽造防止用磁気転写箔。
  9. 【請求項9】 支持体となる基材上に必要により離型層
    を介して光回折格子またはホログラムパターンを設けた
    ことを特徴とする請求項1から請求項8記載の偽造防止
    用磁気転写箔。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項9記載の偽造防止
    用磁気転写箔に交流磁界を印加することにより発生する
    磁界変化を読み取ることを特徴とする真偽判定方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項9記載の偽造防止
    用磁気転写箔を転写した被転写媒体に交流磁界を印加す
    ることにより発生する磁界変化を読み取ることを特徴と
    する真偽判定方法。
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