JP3967137B2 - 偽造防止用スレッドとそれを用いた偽造防止用紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、偽造防止用スレッドとそれを用いた偽造防止用紙および真偽判定方法に関する。詳しくは、樹脂フィルムからなる基材上に複数の強磁性体層を、スパッタ等の真空成膜法もしくは印刷法で積層形成し、かつ、当該強磁性体層と基材との間に、粗面化インキによる粗化部を有するようにした偽造防止用スレッドとそれを用いた偽造防止用紙および真偽判定方法に関する。
このような偽造防止用スレッドおよび偽造防止用紙は、商品券、ギフト券、証明書、パスポート、チケット、投票券、切符、ラベル等の各種セキュリティ媒体に使用することができる。
【0002】
【従来技術】
各種セキュリティ媒体の偽造防止策として、種々の偽造防止用スレッドを用紙に抄き込む手法がある。このようなスレッドによる偽造防止手段は用紙を製造する段階において抄き込まれるので、カラーコピーやスキャナー取込み、製版印刷等による方法での偽造は困難である。しかし、真正のスレッドに似せた偽造スレッドを抄き込んだ偽造用紙が出回る場合があり、単純な磁気スレッドや光輝性スレッドのみでは真正の判断には十分でない。
【0003】
一方、一般的な磁気記録材をスレッドに組み合せた構造も磁気記録情報の改ざんが容易なため、高度の偽造防止構造とはいえない。
そのため、より高度の偽造防止構造を有するデータ記録担体として、磁性膜を応用した構造として、特開平10−55533号公報が挙げられる。
本発明はかかる特定の特性からなる磁性材料を2層以上に積層形成するとともに、磁性層と基材との間に粗化部を設けることで、偽造防止用スレッドや偽造防止用紙の一層の偽造防止効果向上を図ろうとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第1は、偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に2層の強磁性体層を当該2層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド、にある。本発明の要旨の第2は、偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に3層の強磁性体層を当該各層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド、にある。
【0005】
本発明の要旨の第3は、偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に磁気特性が異なる2層の強磁性体層を当該2層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド、にある。本発明の要旨の第4は、偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に磁気特性が異なる3層の強磁性体層を当該各層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド、にある。
【0006】
本発明の要旨の第5は、上記の偽造防止用スレッドを基紙に抄き込んでなる偽造防止用紙、にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の偽造防止用スレッドは、樹脂フィルムからなる基材上に複数の強磁性体層を、蒸着等の真空成膜法または印刷法により積層形成するものである。
本発明の偽造防止用スレッドにおいて、複数の強磁性体層からなる強磁性体層の磁気特性を強磁性体層間の相互作用無しに検知するためには、強磁性体層間に非磁性体層を形成し、磁気的相互作用を消滅させる必要がある場合がある。
この非磁性体層は、複数の強磁性体層が真空成膜法により形成された薄膜である場合に必要となってくる。強磁性体層が印刷法のみで形成されている場合、もしくは印刷法と真空成膜法により形成されている場合には非磁性体層を省略することも可能である。これらの条件により各種の実施形態が出現する。
本発明の偽造防止用紙はこれらの偽造防止用スレッドを基紙に抄き込んでなる用紙に係る。
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の偽造防止用スレッドの実施形態を示す図である。図1(A)は、基材11上に粗面化インキによる粗化部17を設け、当該粗化部および基材上に2層の強磁性体層151,152を非磁性体層161を介して積層した偽造防止用スレッドの斜視図、図1(B)は、その断面図である。
偽造防止用スレッド10の複数の強磁性体層151,152は真空成膜法または印刷法により形成される。強磁性体層間には前記のように必要により非磁性体層161が設けられ、これも同等の手段で形成される。
また、基材11の強磁性体層を形成しない側の面または強磁性体層の最表面には必要により接着剤層が形成される。これは基紙に抄き込んで偽造防止用紙とした場合に接着力を高める効果をもたらすものである。図1の場合、基材11の下面側の接着剤層18のみが図示されている。
偽造防止用スレッド10の幅Wは特に制限されないが、用紙の使用目的により0.2mm〜5.0mm程度のものが通常使用される。
【0009】
以下、偽造防止用スレッドの各構成要素についてさらに詳細に説明する。
樹脂フィルム基材11としては、耐水性および耐熱性のある樹脂フィルムが使用でき、一般的にはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムをはじめとしてその他のポリエステル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリサルホン樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂フィルム、セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、等が挙げられる。厚さは、1〜300μm程度、好ましくは、5〜50μm程度のものを推奨できる。
【0010】
粗面化インキは、非磁性金属、カーボン、セラミック、あるいはアルミナ、シリカ、チタニア等の酸化物、炭酸カルシウム、樹脂粉などのサブミクロン〜数十μm、好ましくは平均粒径が、0.7〜5μmの粒子をバインダー(樹脂粉)で結合させ、溶剤に溶解してインキ化したものである。インキは基材表面を凹凸化や粗面化することが目的であるため着色の必要はない。本発明においては、この粗面化インキによる粗化部表面の粗さが強磁性体層15の厚さに比べて十分大きくなることが好ましい。粗面化インキによる粗化部は三次元的に点在するものであっても良く、一定の凹凸ストライプが一定方向に配列するように形成しても良い。
【0011】
ただし、ストライプ状であっても印刷で設けるような粗いピッチであるため回折格子のような効果を生じることはない。粗面化インキによる粗化部の厚みは、1μm〜数十μmとなるので、強磁性体層15の厚さに比べて十分厚いものとすることができる。ただし、インキ層の厚みが大きくなるとクラック、磁性膜のクラック等が発生すること、測定に影響を及ぼすため50μm程度が限界と考えられる。このような粗面化インキの印刷は、シルクスクリーン印刷やグラビア印刷、凹版印刷等により印刷することができる。
【0012】
強磁性体層15は、蒸着、スパッタ、イオンプレーティング法等の真空成膜法あるいはグラビア、オフセット等の印刷法により形成する。真空成膜法の場合、その厚みは1μm以下の薄膜、通常、10nm〜300nmの厚みであるのに対し、磁性インキの印刷法による膜厚は乾燥後で0.5μm〜10μm、一般的には1μm〜5μmとなるのが通常である。
【0013】
図4は、磁性材料のヒステリシス曲線を示す図、図5は、角型比が異なる2層の強磁性体層によるヒステリシス曲線を示す図である。
本発明に使用する強磁性材は、図4(A)のような高角型比の磁気特性を示す材料が好ましい。
このような強磁性材は、Hc(保磁力)、Bm(飽和磁束密度)において特異な特性を示し、その磁気特性から通常印加の磁界強度とその磁界によって磁化される磁性体の磁束密度とは非線形のB−H特性(ヒステリシス曲線)を有するので、図4(B)図示のような一般の磁性材料とは明確に区別できる。
本発明に使用する強磁性材は、Hcが、40〜4000A/m(0.5〜50エルステッド)、Rsq(角型比)が、0.7〜1.0であることが好ましい。
なお、角型比Rsqは、
Rsq=Br(残留磁束密度)/Bm(飽和磁束密度)
で表される。
【0014】
次に、強磁性体層15は、真空成膜法により形成される場合、結晶性あるいはアモルファスのものであっても良く、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)のいずれか1種または2種以上の組み合わせからなる磁性材料を主成分として、これに、ほう素(B)、炭素(C)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、燐(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、モリブテン(Mo)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、錫(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)から選ばれた数種の金属または非金属元素の添加物から構成されている。
【0015】
真空成膜法の場合、強磁性体層の形成は、主成分となる鉄、コバルト、ニッケルからなる合金と添加元素からなる材料あるいはこれらの混合物をターゲット材または蒸着源として、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空プロセスを用いた成膜法で形成する。
真空成膜法の場合、層厚10nmが下限値となる理由は、強磁性体層15の厚みが薄くなるため、磁性体の絶対量の減少と共に飽和磁束が減少し、磁気信号が小さくなるためであり、真偽判定に用いる磁気信号を得るためには磁性体の厚みは、10nm以上が必要となるためである。
また、300nmが上限値となる理由は、他の方法で作製した磁性体膜(通常は厚さ1μm以上)と明確な区別をつけるためであり、これ以上厚くすることは避けることが好ましいからである。さらに、これ以上の厚さとなる場合は、膜の内部応力によるカール等で磁気スレッドの特性が悪くなり、しわ、クラックが発生する場合があるからである。
【0016】
次に、強磁性体層15が印刷法により形成される場合、ここで用いられる印刷インキは、強磁性体を顔料として含み、顔料を分散するバインダーおよび溶剤で構成されている。用いられる強磁性体は、粒径10nmから数十μmまで幅広い粒径の粉体を用いることができる。粒径は、印刷適性を考えると、数μm以下であることが好ましい。この粉体の形状は、粉体が上記の粒径の範囲内であり、印刷適性を保持する限りどのような形状であっても問題はない。
印刷法の場合、膜厚0.5μmが下限となるのは、均一した厚みの層を安定して機械的に付着させる限界となるからであり、10μmが上限となるのは、それ以上は安定した塗布が困難であり、必要性もないからである。
また、強磁性体は、金属粉体であっても酸化物粉体、窒化物粉体、酸化窒化物粉体であってもかまわない。金属粉体を用いる場合、上記の真空成膜法により形成される場合と同様の材料で良い。酸化物、窒化物強磁性体の場合、上記金属の酸化、窒化化合物を使用することになる。
【0017】
積層して形成される強磁性体層15の数は、原理的には何層でも可能であり、請求項2では「3層以上・」としているが、交流磁界印加によるパルス観測方法では、判定の安定性を考えると、強磁性体層が2層もしくは3層が適当と考えられる。
複数の強磁性体層には、角型比が異なる強磁性材料あるいはアモルファス材料を併用すると特異の読み取り波形を与えて偽造を一層困難にする。
非磁性体層16の数は、強磁性体層15の間に入るので、通常は1層または2層となる。
【0018】
非磁性体層16には、非磁性体の金属や非金属を使用できる。これには例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、銀(Ag)、金(Au)、珪素(Si)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)やこれらの合金、あるいはこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物粉体を使用することができる。
強磁性体層15を印刷して形成する場合は印刷インキのバインダーが非磁性体層を兼ねるので、印刷層に隣接して別に非磁性体層16を設ける必要はない。
【0019】
図2は、本発明の偽造防止用スレッドの他の実施形態を示す図である。
図2(A)は、基材11上に、粗面化インキによる粗化部17を設けた後、光回折格子またはホログラムパターン13と光反射層14を形成し、さらに、2層の強磁性体層151,152を非磁性体層161を介して積層した構成の偽造防止用スレッドの斜視図、図2(B)は、その断面図である。
基材11と樹脂層12の間には、粗面化インキ層が設けられ、当該樹脂層12の表面には光回折格子またはホログラムパターン13が形成されている。
光回折格子またはホログラムパターン13は、アルミニウム等の光反射層14を介在させるかまたは単独で用いて、特有の光輝性および3次元表示効果を出現させる。これと強磁性体層による磁気特性とから、通常の光輝性スレッドでは得られない複合した効果を有して、偽造、改ざんを一層困難なものとすることができる。
光回折格子またはホログラムパターン13と光反射層14は、粗面化インキ層17と強磁性体層15との間に設けるものであってもよい。
【0020】
樹脂層12を構成する材料は、光回折格子またはホログラムの微小凹凸形状を付与できうる合成樹脂が使用できる。
この合成樹脂としては、熱可塑性合成樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、もしくはポリスチレン等、または熱硬化性合成樹脂、例えば不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート(本明細書においては、(メタ)アクリレートの語は、アクリレートおよびメタクリレートの双方を包含する意味である。)、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、もしくはトリアジン系(メタ)アクリレート等が挙げられる。あるいは上記熱可塑性合成樹脂および熱硬化性合成樹脂を混合して使用しても良い。
【0021】
さらに合成樹脂としては、特に、熱プレスによりホログラムの微小凹凸形状をエンボスでき、エンボス後には、硬化して充分な耐久性を生じるものが良く、いわゆる紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化、自然硬化型の反応性の樹脂等が用いられうる。本発明においては、紫外線もしくは電子線で硬化する樹脂が適している。具体的には、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテルテトラ(メタ)アクリレート、等のラジカル重合性不飽和基を有する単量体が用いられる。
【0022】
さらに、熱成形性を有する紫外線または電子線硬化性樹脂としては、以下の化合物(1)〜(8)を重合もしくは共重合させた重合体に対し、後述する方法 (イ)〜(ニ)によりラジカル重合性不飽和基を導入したものが用いられうる。
【0023】
(1)水酸基を有する単量体:N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等。
(2)カルボキシル基を有する単量体:(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネート等。
(3)エポキシ基を有する単量体:グリシジル(メタ)アクリレート等。
【0024】
(4)アジリジニル基を有する単量体:2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルプロピオン酸アリル等。
(5)アミノ基を有する単量体:(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等。
(6)スルフォン基を有する単量体:2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等。
(7)イソシアネート基を有する単量体:2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの1モル対1モル付加物等のジイソシアネートと活性水素を有するラジカル重合性単量体の付加物等。
【0025】
(8)さらに、上記の重合体のガラス転移点を調節したり、硬化膜の物性を調節したりするために、上記の化合物と、この化合物と共重合可能な以下のような単量体とを共重合させることができる。このような共重合可能な単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
次に、上述のようにして得られた重合体を以下に述べる方法(イ)〜(ニ)により反応させ、ラジカル重合性不飽和基を導入することによって、紫外線もしくは電子線硬化性樹脂が得られる。
(イ)水酸基を有する単量体の重合体または共重合体の場合には、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体等を縮合反応させる。
(ロ)カルボキシル基、スルフォン基を有する単量体の重合体または共重合体の場合には、前述の水酸基を有する単量体を縮合反応させる。
(ハ)エポキシ基、イソシアネート基あるいはアジリジニル基を有する単量体の重合体または共重合体の場合には、前述の水酸基を有する単量体もしくはカルボキシル基を有する単量体を付加反応させる。
(ニ)水酸基あるいはカルボキシル基を有する単量体の重合体または共重合体の場合には、エポキシ基を有する単量体あるいはアジリジニル基を有する単量体あるいはジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステル単量体の1モル対1モルの付加物を付加反応させても良い。
またさらに、前述の単量体と、上記の熱成形性の紫外線または電子線硬化性樹脂とを混合して用いることもできる。
【0027】
また、上記のものは、電子線照射により十分に硬化可能であるが、紫外線照射で硬化させる場合には、増感剤として、ベンゾキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ハロゲン化アセトフェノン類等の紫外線照射によりラジカルを発生するものも用いることができる。
当該樹脂層は着色することもでき、その場合には紫外線や電子線の照射に対して変退色のない染料が好ましい。具体的には、1−2型アゾ系金属錯塩染料、1−1型アゾ系金属錯塩染料、金属フタロシアニン系染料等を使用することができる。
【0028】
上記の合成樹脂により構成される着色されまたは無色透明な光回折格子またはホログラムパターン樹脂層12は、グラビアコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等のコーティング方法により、厚さ0.1〜100μm、望ましくは、0.5〜50μmに塗布形成される。
【0029】
光回折格子パターンは、格子間隔0.4〜5.0μm、深さ0.1〜1.0μmの範囲で形成された回折格子パターンを前記樹脂層12に形成したもので、入射光を特定の回折角度で回折するため、観察方向により変化した色光を与えるものである。この回折格子は格子間隔dが一定であれば、光の波長によって回折角度φが異なり、また光の波長が一定であれば、格子間隔dによって回折角度φが異なる。この関係は下記の(式1)で示される。
λ=d(sinω+sinφ) (式1)
λ:波長 d:格子間隔 ω:入射角度 φ:回折角度
この光回折格子パターンの形成法としては、機械的に切削するもののほか、電子線描画装置によりレジスト上にパターン形成しフォトエッチングの方法で蝕刻することができ、これらの原版を複製用の型版にとり、型押しして転写する方法が採用される。
【0030】
一方、ホログラムパターン13は、2または3次元画像を再生可能な表面凹凸パターンとして形成されたものである。
この表面凹凸パターンとしては、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞の光の強度分布が凹凸模様で記録されたレリーフホログラムを使用可能であり、その他のホログラムとしては、フレネルホログラム、フラウンホーファホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラム、イメージホログラム等のレーザ再生ホログラム、およびレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらにそれらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレイ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックスステレオグラム等が挙げられる。ホログラムの場合も干渉縞のピッチ、凹凸の深さは、回折格子と同程度のものである。
【0031】
強磁性体層15と粗面化インキによる粗化部17の間または樹脂層12と粗化部17との間には、光反射層14を設けることができる。すなわち、強磁性体層15を設ける前に、樹脂層12または粗化部17上に直接光反射層14を全面に設ける。このようにする場合には、非磁性金属の光沢色が反射光として外部から観測されるようになり、外見上は一般の光輝性スレッドと変わらない偽造防止用スレッドが与えられる。
このような光反射層は反射性の非磁性金属材料が使用され、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル等が使われる。一般的にはコストおよび技術上の問題からアルミニウムが好ましく採用され、その厚さは、10nm〜200nm程度に形成できるが、好ましくは20nm〜100nm程度の厚みである。
【0032】
接着剤層18は、偽造防止用スレッド10を偽造防止用紙に抄き込んだ際に、用紙との接着強度を高めるためのものであり、熱溶解温度60〜80°Cの水可溶性バインダー等からなる接着剤層18を基材11の裏面もしくは強磁性体層の上面(表面)または双方に設けることができる。
使用する接着剤は水可溶性である、でんぷん、カゼイン、カルボキシメチルセルローズ(CMC)等からなる接着剤を採用することができる。
あるいはまた、接着剤層は、熱溶融温度60〜80°Cのホットメルト型接着剤であってもよい。その塗布厚みは、数μm以内のものであればよい。
【0033】
次に、偽造防止用スレッドの実施形態についてさらに説明する。
図3は、偽造防止用スレッドの各種実施形態の断面構成を示す図である。なお、いずれも接着剤層の図示は省略されている。
図3(A)は、基材11上に、粗面化インキによる粗化部17を設け、該粗化部および基材上に、2層の真空成膜法による強磁性体層151,152を非磁性体層161を介して積層した場合を示す。
この場合、強磁性体層151,152は同一の強磁性体からなる層であっても角型比の異なる強磁性体であってもよい。また、いずれかまたは双方の強磁性体がアモルファス強磁性体であってもよい。これらの強磁性体層に交流磁界を印加した際に後述するようにそれぞれ異なる読み取り特性を与えることになる。
また、角型比の異なる2層の強磁性体の場合は、図5のようなヒステリシス曲線を示すことになる。
前述の様に非磁性体層161も真空成膜法または印刷法により設ける。当該層は省略してもよいが設けた場合には後述するように波形の分離が明瞭となる。
【0034】
図3(B)は、3層の真空成膜法による強磁性体層151,152,153を、非磁性体層161,162を介して粗面化インキによる粗化部17上に、同様に積層した場合を示す。
強磁性体層151,152,153および非磁性体層161,162は、図3(A)の場合と同様に形成することができる。
図3(C)は、印刷法による強磁性体層151と真空成膜法による強磁性体層152の積層を示す。印刷法による強磁性体層が入る場合、印刷インキのバインダーが非磁性体層の役割を兼ねるので当該強磁性体層151に隣接して非磁性体層を設ける必要はない。
【0035】
図3(D)は、2層の真空成膜法による強磁性体層151,152と非磁性体層161を積層し、さらに樹脂層12とホログラムパターン13および光反射層14を設けた場合を示す。光反射層14はホログラムパターンと重畳して設けられることが多い。樹脂層12や光反射層14は、粗面化インキ層17上に設けられているが、基材11上に直接設けるものであってもよい。
これらの場合、強磁性体層151,152と非磁性体層161の効果は、図3(A)の場合と同等であるが、スレッドを観察した場合、ホログラムパターン13や光反射層14により光輝性をもたらす効果を有する。
【0036】
次に、本発明の真偽判定方法について説明する。
図6は、読取り装置を説明する図である。図6(A)は、磁気ヘッド41を交流励磁し(5〜10kHz,2〜5Vpp)、検知コイル43で出力電圧を検知する装置、図6(B)は、磁気ヘッド41を交流励磁し参照コイル44の信号波形と、検知コイル出力波形を比較して検知する場合を示す。
【0037】
図7は、磁気層が2層のスレッドに交流磁界を印加する状態を示す。図8は、スレッドに交流磁界を印加した場合の出力波形を示す。
図6(A)の磁気ヘッドを用いて図8(A)に示す交流磁界を印加した場合、検知コイルからの出力は、磁性体が無い場合、図8(B)のようになる。
本発明で使用する保磁力(Hc)が小さく角型比が大きい強磁性体がある場合は、図8(C)のようになる。これらの信号の差分をとると図8(D)の信号が得られる。この信号は、強磁性体固有の特性を表わすB−H曲線の微分値であり、B−H特性同様、強磁性体材料固有の信号である。
図6(B)の磁気ヘッドを用いた場合、検知コイルからの出力と参照コイルからの出力の差分を取ることにより、図8(D)の信号を得ることができる。
【0038】
図9は、2層以上の強磁性体層による再生波形を示す。まず、強磁性体層下に粗化部が形成されていない状態を考えて見る。
図6(A)の磁気ヘッドを用いて、図8(A)に示す交流磁界を印加して測定を行うと、2層もしくは2層以上の強磁性体の磁気特性を一度に測定することになり、それぞれの強磁性体層の磁気特性を反映する信号を重ね合せた図9のような特殊な信号が得られる。
それぞれの信号の強度は、強磁性体の磁気特性だけでなく強磁性体の膜厚によってもコントロールが可能である。したがって、この信号の、▲1▼ピーク強度の比や、▲2▼ピークの位置、▲3▼ピークの半値幅、▲4▼それらの組み合わせから、あるいは▲5▼ピーク重ね合わせ時のピークの形状、1/3値幅、1/2値幅の比較、または▲1▼から▲5▼の組み合わせを考察することにより、使用した磁性体材料や層構成が分かり真偽判定が可能となる。
【0039】
さらに、図7のように、磁気ヘッド31に近い第2の強磁性体層152と磁気ヘッド31から遠い第1の強磁性体層151とでは、磁気ヘッドからの出力磁界が同じ場合でも、第2の強磁性体層152は第1の強磁性体層151よりも大きな磁場が印加されている。これにより、非磁性体層をはさんで同一の磁性体があってもピーク出力位置に違いが出るため、2層の磁性体があることが明瞭に確認できる。また、異なった磁性体を使用した場合、磁気ヘッド31に近い第2の強磁性体層152に保磁力が小さい材料を、第1の強磁性体層151に第2の強磁性体層152と比較して保磁力が大きい材料を使用することにより明確にそれぞれの磁性体の特徴を判別することが可能となる。
そのため、再生磁束や再生電圧波形の発生位置も異なってくる。この判別原理は強磁性体のB−H特性を利用したもので材料固有の特性を示す。
非磁性体層161がある場合は、無い場合よりも読み取り再生波形ピークの分離が明瞭となる。ただし、同一の強磁性体層が非磁性体層が無い状態で積層された場合でも異なる工程で形成すれば通常分離したピークを出現する。
【0040】
前記のように、2層の強磁性体層の場合は、図9(A)のように強弱の2点のピークP1,P2が出現し、3層の強磁性体層からなる場合は、図9(B)のように、3つのピークP1,P2,P3を有する再生波形を出現する。
また、強磁性体層が印刷法により形成された層である場合は、印刷インキ中の強磁性体には各種粒径の粒子が混在し、強磁性体であっても一律な磁化特性を示さないため、ピークもシャープな形状を出現しないことになる。
従って、例えば、印刷法による1層の強磁性体層と真空成膜法による1層の強磁性体層とからなる合成再生波形は、図9(C)のような波形を出現する。
また、アモルファス強磁性体の場合は、Hc(保磁力)を小さく、かつ角型比を大きくし易いので一層シャープなピークを出現する。
【0041】
図10は、本発明の偽造防止用スレッドの再生波形を示す。図10(A)は真空成膜した2層の強磁性体層下に粗化部が形成されている場合、図10(B)は、印刷法による1層の強磁性体層と真空成膜法による1層の強磁性体層とからなるスレッドの真空成膜した層下に粗化部が形成されている場合の再生波形を、いずれも模式的に示している。
いずれの場合も、粗化部が形成されている部分(図中L部分)では、ピークが弱くなることが示されている。この波形の形状はスレッドを紙に抄き込んだ後に測定しても同じ状態となる。
本発明の真偽判定方法はこのように使用する磁性体材料の特性および磁性体層の粗化部による再生波形の顕著な変化を特徴として把握することにより模造や偽造スレッドを明確に検出できる。
【0042】
次に、本発明の偽造防止用紙について説明する。
図11は、偽造防止用紙の1実施形態を示す図である。図11(A)はその平面図、図11(B)は図11(A)のA−A線における断面を示している。
図11のように、本発明の偽造防止用紙20の1実施形態では、基紙21にスレッド10を、1本抄き込んだ構成であって、基紙21には、偽造防止用スレッド10を間欠的に露出する複数の表出部26と、各表出部間でスレッド10を間欠的に覆う被覆部27とを備えている。
表出部26はスレッドと同幅でもよいが、それより広幅としてスレッド10の両サイドを透かし部28となるようにすることで、抄造時に発生するスレッドの交差(ブレ)を透かし部により吸収することができる。ただし、基紙21は、スレッド10の両端部分がいずれのスレッドに対しても被覆部27として構成されていることが好ましい。スレッドの端部が露出しているとスレッドの剥離が生じるからである。
【0043】
図12は、偽造防止用紙の他の実施形態を示す図である。図12(A)はその平面図、図12(B)は図12(A)のA−A線における断面を示している。
図12のように、本発明の偽造防止用紙の他の実施形態では、基紙21に偽造防止用スレッド10を複数本抄き込んだ構成であって、基紙21は、スレッド10を間欠的に露出する複数の表出部26と、各表出部間でスレッド10を間欠的に覆う被覆部27とを備えていることは前記実施形態と同一である。
図12の実施形態では、表出部26と被覆部27とが複数本のスレッド10a,10bに対してスレッド端における用紙端部からXの距離における同一位置において異なる状態に現われている(すなわち、千鳥の状態で現われている。)が、同一状態で現われるものであってもよい。ただし、基紙21は、スレッド10の両端部分が被覆部27として構成されていることが好ましいのは第1の実施形態と同一である。
表出部を千鳥状に設ける場合は、用紙を積み重ねた場合のスレッド部の盛り上がりを低減することができる。
【0044】
次に、偽造防止用紙の製造状態について説明する。
図13は、スレッドを偽造防止用紙に抄き込む状態を示す図である。
図13(A)はスレッドに平行な断面、図13(B)は、図13(A)においてスレッドに直角なC−C線における断面、図13(C)は同様D−D線における断面を示している。
図示のように、このスレッド入り偽造防止用紙20は、スレッド10と同幅あるいはそれよりも広幅のすき網部の凸部29aを抄紙機のすき網部29に適宜な間隔で設け、この凸部29aの上にスレッド10を載せた状態で紙料液22aを供給することによって製造できる。
つまり、このようにすれば、凸部29aと凸部29aの間の位置ではスレッド10が紙料液22aで挟まれるので被覆部27が形成され、凸部29aの位置ではスレッド10が最下面となるので、抄紙機のすき網から用紙を剥離した際には、スレッドが表面に現れて表出部26が形成される。
【0045】
すき網部の凸部29aを図13(D)のように、スレッド10と同幅にする場合はスレッド10の両側に透かし部28が入らないことになる。また、スレッドをまたぐような広幅とする場合は、透かし部が入り装飾的効果を高め、前記のようにスレッドのブレを吸収することができる。
また、複数のスレッド間あるいはその周辺に透かし模様を設ける場合は、凸部29aと同様にすき網部に模様状の凸部を形成すれば良い。
【0046】
【実施例】
<偽造防止用スレッドの作製>
以下、本発明の実施例1〜3を図面を参照して説明する。なお、実施例2以下において使用する基材は実施例1と同条件である。
(実施例1)
偽造防止用スレッドのフィルム基材11として、平滑性が良く透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ルミラーS−28」)〔厚み;16μm〕を使用し、その面に下記組成の粗面化インキにより、幅10mmのストライプ状の粗化部をグラビア印刷法により印刷し乾燥した。
乾燥後の粗化部の厚みは、3μmとなるようにした。なお、粗化部は、粗化部の無い部分と有る部分とがスレッドの長さ方向に対して繰り返されるように印刷した。
〔インキ組成〕
バインダー;塩酢ビ/ウレタン系樹脂 100重量部
粒状物 ;マイクロシリカ(平均粒径4μm) 10重量部
【0047】
この基材上および粗化部の全面に、鉄Fe−珪素Si系からなる第1の強磁性体層151を真空成膜法で、膜厚150nmになるように成膜した。
続いて、この強磁性体層151上に非磁性体層161として、厚み50nmのアルミ層を真空成膜法で形成した。
さらに非磁性体層161上に、鉄Fe−珪素Si系からなる第2の強磁性体層152を、膜厚150nmになるよう同様に真空成膜法で成膜した。
【0048】
(実施例2)
実施例1と同一の基材11を使用し、同一の粗面化インキを同一の条件で印刷した。この基材上および粗化部の全面に、鉄Fe−珪素Si系からなる第1の強磁性体層151を真空成膜法で、膜厚150nmになるように成膜した。
続いて、この第1の強磁性体層151上に、下記インキ組成からなる強磁性体インキをグラビア印刷法により膜厚3μmになるように塗工した。
〔インキ組成〕
Figure 0003967137
【0049】
<偽造防止用紙の作製>
実施例1、実施例2の基材の裏面(強磁性体層形成面と反対側の面)に、CMC接着剤を塗工した後、スリッタ機を使用して切断し幅2mmの偽造防止用スレッドに仕上げた。
当該偽造防止用スレッド10が、図11のように偽造防止用紙に現われるように、表出部26がピッチ15mm×幅10mm、被覆部がピッチ15mmで繰り返される抄き網パターンの抄紙機で、90kg/四六版の上質紙に抄造した。
【0050】
このようにして完成した各実施例の偽造防止用紙のスレッド部分に、図6の装置に交流磁界を印加して磁気特性を測定した。
実施例1の場合は、図10(A)のような波形を示し、実施例2の場合は、図10(B)のような波形を示した。
【0051】
【発明の効果】
本発明の偽造防止用スレッドやそれを使用した偽造防止用紙は、上述のように複数の強磁性体層の下面に粗面化インキによる粗化部が設けられていることにより特有の磁気特性を有して、真偽判定が容易であるため、通常の磁気スレッドや光輝性スレッドでは得られない模造、偽造防止効果を有する。
また、本発明の真偽判定方法によれば、偽造防止用スレッドを基紙に抄き込んでなる偽造防止用紙に交流磁界を印加して発生する磁界変化に特有の特徴を有するので、模造、偽造スレッドを容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偽造防止用スレッドの実施形態を示す図である。
【図2】 本発明の偽造防止用スレッドの他の実施形態を示す図である。
【図3】 偽造防止用スレッドの各種実施形態の断面構成を示す図である。
【図4】 磁性材料のヒステリシス曲線を示す図である。
【図5】 角型比が異なる2層の強磁性体層によるヒステリシス曲線を示す図である。
【図6】 読取装置を説明する図である。
【図7】 磁気層が2層のスレッドに交流磁界を印加する状態を示す。
【図8】 スレッドに交流磁界を印加した場合の出力波形を示す。
【図9】 2層以上の強磁性体層による再生波形を示す。
【図10】 本発明の偽造防止用スレッドの再生波形を示す。
【図11】 偽造防止用紙の1実施形態を示す図である。
【図12】 偽造防止用紙の他の実施形態を示す図である。
【図13】 スレッドを偽造防止用紙に抄き込む状態を示す図である。
【符号の説明】
10 偽造防止用スレッド
11 基材
12 樹脂層
13 光回折格子またはホログラムパターン
14 光反射層
15,151,152,153 強磁性体層
16,161,162 非磁性体層
17 粗面化インキによる粗化部
18 接着剤層
20 偽造防止用紙
21 基紙
22a 紙料液
26 表出部
27 被覆部
28 透かし部
29 抄き網
31,41 磁気ヘッド

Claims (12)

  1. 偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に2層の強磁性体層を当該2層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド。
  2. 偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に3層の強磁性体層を当該各層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド。
  3. 偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に磁気特性が異なる2層の強磁性体層を当該2層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド。
  4. 偽造防止用紙に抄き込んで使用するためのスレッドであって、樹脂フィルムからなる基材上に、粗面化インキによる粗化部を設け、該粗化部および基材上に磁気特性が異なる3層の強磁性体層を当該各層の磁性体層間に非磁性体層を介して積層形成した、ことを特徴とする偽造防止用スレッド。
  5. 複数の強磁性体層または非磁性体層のうち少なくとも1層以上が真空成膜法により形成された層であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッド。
  6. 複数の強磁性体層または非磁性体層のうち少なくとも1層以上が印刷法により形成された層であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッド。
  7. 少なくとも1層以上の強磁性体層がアモルファス強磁性体であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッド。
  8. 基材と粗面化インキによる粗化部または粗化部と強磁性体層の間に光回折格子またはホログラムパターンを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッド。
  9. 基材と粗面化インキによる粗化部または粗化部と強磁性体層の間に光回折格子またはホログラムパターンのいずれかと光反射層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッド。
  10. 基材の強磁性体層が形成されている側の面と反対側の面に接着剤層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッド。
  11. 基材の強磁性体層が形成されている側の最上層の面に接着剤層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッド。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか1の請求項記載の偽造防止用スレッドを基紙に抄き込んでなる偽造防止用紙。
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