JP2002275563A - 熱間圧延可能なりん青銅 - Google Patents
熱間圧延可能なりん青銅Info
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Abstract
可能なりん青銅を得る。 【解決手段】 Sn:0.5〜8.0%(質量%、以下
同じ)、P:0.005〜0.05%、及びFe、N
i、Co、Mn:1種又は2種以上を総量で0.003
〜0.04%含み、S:0.003%以下、Pb、B
i、Sb、As、Se:総量で0.002%以下、H:
0.0001%以下、O:0.003%以下に規制さ
れ、残部Cu及び不可避的不純物からなるりん青銅。必
要に応じて、さらに、Zn:0.01〜2.0%を含
む。
Description
リレー等の電気、電子部品に用いる熱間圧延可能なりん
青銅に関する。
02、C5191、C5212、C5210)は端子、
コネクター、リレー等の電気、電子部品に広く用いられ
ている。りん青銅板、条の製造方法としては、横型鋳造
した厚さ10〜30mm程度の鋳塊を均質化処理後、冷
間圧延と焼鈍を繰り返して行う方法が最も一般的であ
る。一部、厚さ100〜200mm、幅400〜600
mm、長さ3000〜6000mm程度の寸法の鋳塊を
熱間圧延し、その後冷間圧延と焼鈍を繰り返して行う方
法も実施されている。
延によって製造するためには、種々の対策が考えられて
おり、例えば特開昭58−113334号公報、特開昭
61−130478号公報、特開昭63−35761号
公報等に組成、製法が提案されている。特開昭58−1
13334号公報にはSn:1.0〜7.0%、P:
0.01〜0.08%、Fe:0.05〜0.5%、残
部Cu及び不可避不純物からなるりん青銅が提案されて
いる。りん青銅の熱間脆性を防止するためにFeを0.
05%以上添加している。特開昭61−130478号
公報にはSn:3〜12%、P:0.01〜0.5%、
残部Cuからなるりん青銅の鋳塊を加工率10〜30%
の熱間加工を行った後、冷却し再度加熱して熱間加工を
施す方法が提案されている。さらに特開昭63−357
61号公報にはSnを7%以下含み、Pb:0.002
%以下、Bi:0.001%以下であるりん青銅を割れ
なく熱間圧延する圧延温度、加工条件が提案されてい
る。Co、Feに熱間圧延性改善効果があり、0.1%
以下含有してもよいことが記載されている。
りん青銅板、条を製造する方法においては、熱間圧延の
工程を含まないため、長時間高温の均質化処理工程が必
要であること及び板、条材において、圧延平行方向と直
角方向の機械的性質の異方性が発生しやすいなどの問題
がある。一方、熱間圧延を行って製造する方法において
は、熱延時の端面や圧延面における割れを完全に解決で
きないという問題がある。本発明はこれらの問題を解決
し、熱間圧延において割れの発生がなく、熱間圧延可能
なりん青銅を提供することを目的とする。
は、Sn:0.5〜8.0%、P:0.005〜0.0
5%、及びFe、Ni、Co、Mn:1種又は2種以上
を総量で0.003〜0.04%含み、S:0.003
%以下、Pb、Bi、Sb、As、Se:総量で0.0
02%以下、H:0.0001%以下、O:0.003
%以下に規制され、残部Cu及び不可避的不純物からな
る。上記りん青銅は、必要に応じて、Zn:0.01
〜2.0%、Cr:0.001〜0.05%、Ti:
0.001〜0.05%、Zr:0.001〜0.05
%の1種又は2種以上を総量で0.001〜0.05
%、Al:0.001〜0.03%、Mg:0.00
1〜0.03%の1種又は2種を総量で0.001〜
0.03%、以上〜をそれぞれ単独又は適宜組み合
わせて含有することができる。
せるFe、Ni、Co、Mnの添加を最小限に抑える一
方、熱間加工性を阻害するS、Pb、Bi、Sb、A
s、Se、H、Oを全てごく微量に規制することによ
り、割れを全く起こすことなく、りん青銅を熱間圧延す
ることができるようになった。以下、本発明に係わるり
ん青銅の成分組成について説明する。 Sn:0.5〜8.0% Snは固溶強化により機械的性質、硬さ、ばね限界値を
向上させる。しかし、0.5%未満ではその効果がな
く、8.0%を越えるとその他の組成を発明の範囲内に
しても熱間圧延時に割れが発生しやすくなる。 P:0.005〜0.05% Pは溶解鋳造時に溶湯を脱酸し、溶湯の湯流れを改善
し、鋳塊の健全性を向上させる。鋳塊中には粒界にCu
3Pなどの化合物の形で存在する。しかし、0.005
%未満では前記効果が得られず、0.05%を越えると
粒界に偏析するPの量が多くなり熱延時に粒界で割れや
すくなる。
合物を形成し、熱間加工性を向上させる。しかし、これ
らの1種又は2種以上が総量で0.003%未満では前
記の効果が十分でない。これらの元素自体、またこれら
の元素のりん化物あるいはこれらの元素と他の元素との
化合物はいずれも強磁性体であり、これらの元素の1種
又は2種以上の総量が0.04%を超えると、端子・コ
ネクターなどの導電部材として用いる場合、磁性の影響
が表れ、用途によっては好ましくない。従って、これら
の元素は総量で0.003〜0.04%とする。なお、
前記特開平58−113334号公報には、Feが0.
05%未満では熱間脆性を阻止する作用が十分でない旨
の記載があるが、同時に特定の有害不純物の含有量をご
く微量に規制することで、0.04%以下でも熱間加工
性の向上作用が十分に発揮される。この点は本発明者の
新たな知見である。
る木炭、フラックスより溶湯に取り込まれ、鋳塊の粒界
に低融点化合物を形成して存在する。Sが0.003%
を越えると、他の元素の含有量を所定範囲としても熱間
圧延割れを防止することが難しい。0.002%以下で
あることが望ましい。 Pb〜Se:総量で0.002%以下 Pb、Bi、As、Sb、Seは低融点元素で、ごく微
量でも含有されるとりん青銅鋳塊の結晶粒界に濃縮して
存在し、それが熱延のための加熱で溶融し、熱延時に割
れが発生しやすくなる。これらの総量が0.002%を
越えると熱延割れを防ぐことが難しくなる。望ましくは
総量0.0015%以下、更に望ましくは0.001%
以下である。
い。Oが0.003%を越えると鋳塊に酸化物が形成さ
れやすく、溶湯の流動性を低下させる。また熱間割れが
発生しやすくなり、薄板にしたときはんだ濡れ性を低下
させやすい。望ましくは0.002%以下である。 H:0.0001%以下 Hは大気中で溶解鋳造をする場合、零にすることは難し
い。Hが0.0001%を越えると熱間割れが発生しや
すくなり、また冷延―焼鈍工程の焼鈍により膨れを発生
する。0.00008%以下が望ましく、0.0000
6%以下がより望ましい。 Zn:0.01〜2.0% Znは溶湯の脱酸作用、金型摩耗の低減効果がある。
0.01%未満では前記効果が十分でなく、2.0%を
越えると前記効果が飽和してしまう。
を更に向上させる効果がある。また、耐熱性も向上させ
る。各0.001〜0.05%の1種又は2種以上を総
量で0.001〜0.05%の範囲で添加される。A
l、Mgは、脱酸効果があり、Pの含有量を低減でき
る。また耐熱性を向上させる。各0.001〜0.03
%の1種又は2種を総量で0.001〜0.03%の範
囲で添加される。
Se等の低融点元素のうち、Sはりん青銅製造工程にお
けるスクラップ(鋳造、圧延工程における組成・表面・
板厚等の不良部材)や、顧客のスタンピング屑等に付着
する圧延油やスタンピング潤滑油から溶解時に混入し、
銅原料である電気銅にもppmオーダーで含まれる。P
bは銅線屑にはんだ付け部が混じっている場合、そのは
んだ(Sn−Pb)から混入し、電気銅にも最大10p
pm程度含有される。Bi、Se、Sb、Asは電解時
Cuと共に析出し、特に電気銅の電着面に形成される粒
子状の部分に多く含有される。また、BiはPbフリー
はんだ(Sn−Bi系)が付着した屑からも混入し、S
bはビニール被覆、合成ゴム被覆線を焼いて被覆を除去
した銅線屑の灰分に多く含まれる。本発明ではこれらの
不純物元素の全てを前記の通り低いレベルに抑える必要
があり、そのため、スクラップ、スタンピング屑、導線
屑の厳選及び配合率の低減、品位のよい電解銅の使用な
ど、厳密な原料及び成分管理が必要である。
説明すると例えば次の通りである。竪型の連続鋳造ある
いは半連続鋳造したスラブ鋳塊を主としてSnの含有量
に対応する適切な温度に加熱し、所定時間保持後厚さ1
0〜30mm程度に熱間圧延し、熱延材を製作する。熱
延材は表面の酸化膜を除去し、冷間圧延と焼鈍を組み合
わせて、厚さ0.1mm〜0.5mm程度の薄板材に加
工する。鋳塊寸法は厚さ100〜300mm程度、幅4
00〜800mm程度であれば問題なく熱間圧延でき
る。熱間圧延において、加熱温度はSn含有量に依存し
て決められるが、通常700〜900℃程度が適切であ
る。例えば4%Sn含有材では800℃程度である。熱
延前の加熱保持は、鋳塊において偏析しているSn、P
等の合金元素を拡散させてやることが目的で30〜12
0分程度の所定温度で保持すればよい。
小さめにし、圧延のパス回数が多くなるにつれ加工率を
大きくすると割れの全くない熱延材を得ることができ
る。前記特開平61−130478号公報や特開平63
−35761号公報に記載されたような特殊な工程をふ
む必要はない。熱延中、熱延材端面を加工するエッジャ
ーを適当に用いることが望ましい。温度が600℃以下
になるとりん青銅の延性が低下し、また変形抵抗が大き
くなるので、600℃を越える温度で熱間圧延を終了す
ることが望ましい。続く冷延−熱処理の組み合わせで目
的とする調質のりん青銅薄板とすることができるが、り
ん青銅は析出型合金ではないため、熱処理には連続焼鈍
炉を用いることができる。また、熱処理後表面に生成し
た酸化膜(Sn−O、Cu−Oなど)を酸洗、研磨など
で除去しておくとプレス打ち抜き性の向上(金型摩耗の
低減)に有効である。
て、比較例と比較して説明する。 (実施例1)表1に示す化学組成の銅合金をクリプトル
炉において、大気中、木炭被覆下で、黒鉛製ブックモー
ルドに溶解鋳造した。鋳塊寸法は50mm×75mm×
200mmである。H及びO量は木炭被覆量及び木炭の
含水分量により変化させた。次いで鋳塊を700〜87
0℃で熱間圧延し、50mmから15mmの板材とし
た。
視及び蛍光探傷法で確認した。なお、蛍光探傷法は、こ
れらの試験材全面にマークテック株式会社製浸透探傷用
蛍光染料スーパーグローDN−2800IIを塗布、水
洗、乾燥し、同じく現像剤のスーパーグローDN−60
0Sをスプレーして現像後、この試験材に紫外線光を照
射することによって行った。これで割れが確認されなか
ったものを熱延可能、確認されたものを熱延不可能と判
定した。その結果を表1にあわせて示す。表1に示すよ
うに本発明例のNo.1〜6はいずれも熱延可能であ
り、比較例のNo.7〜13はいずれも熱延不可能であ
った。No.7はPが過剰、No.8はSが過剰、N
o.9はFe、Ni、Co、Mnの総量が不足、No.
10はOが過剰、No.11はHが過剰のため、No.
12、13はPb、Bi、As、Sb、Seの総含有量
が過剰のため熱延割れが発生したと考えられる。
3を冷間圧延と焼鈍を組み合わせ板厚0.25mmとし
た。本板材について下記〜の特性を下記要領にて測
定した。その結果を表2に示す。表2に示すように、本
発明の規定範囲内の化学組成を有するNo.2の機械的
特性および導電率は、りん青銅C5102に相当する。
1に規定されているJIS5号引張試験片を圧延平行方
向に採取して機械加工にて作製し、島津製作所製万能試
験機UH−10BでJISZ2241の規定に準拠し引
張り試験を実施して測定した。なお、ここで耐力とはJ
ISZ2241で規定されている永久伸び0.2%に相
当する引張り強さである。 硬さ;JISZ2244に規定されている試験方法に
準拠して、明石製マイクロビッカース硬度計を用い測定
した。測定荷重は4.9N(500gf)とした。 導電率;JISH0505に規定されている非鉄金属
材料導電率測定法に準拠して、横川電機製ダブルブリッ
ジ5752を用いた四端子法で行なった。 結晶粒度;JISH0501に規定されている比較法
に準拠して測定した。
を現場にて半連続鋳造により溶解鋳造し、厚さ160m
m、幅600mm、長さ5000mmの鋳塊を製作し
た。次いで鋳塊を750〜860℃で2時間保持後、厚
さ15mmまで6〜8パスで熱延した。ここで熱延時に
割れが発生していないか、前記と同じく目視及び蛍光探
傷法で確認した。これで割れが確認されなかったものを
熱延可能、確認されたものを熱延不可能と判定した。そ
の結果を表3にあわせて示す。表3に示すように本発明
例のNo.14〜17はいずれも熱延可能であり、比較
例のNo.18〜20はいずれも熱延不可能であった。
No.18はPが過剰、No.19はSが過剰、No.
20はPb、Bi、As、Sb、Seの総含有量が過剰
のため熱延割れが発生したと考えられる。
し、冷延―連続焼鈍の組み合わせで板厚0.25mmt
(幅600mm×コイル)の板とした。本板材につい
て、前記〜と同じ要領で各特性を測定し、かつ下記
〜の特性を下記要領にて測定した。その結果を表4
に示す。表4に示すように、No.15、16の機械的
特性及び導電率は、りん青銅C5102に相当し、N
o.17の機械的性質及び導電率はC5191に相当す
る。また、No.15〜17は、圧延方向に平行方向
(G.W.)、圧延方向に直角方向(B.W.)ともW
曲げ加工性が良好で、はんだ密着性も良好であり、一般
的なりん青銅と同等である。
料W曲げ試験方法に規定されているB型曲げ治具で幅1
0mm×長さ35mmに加工した供試材をはさみ、油圧
プレス機を使って1tonの荷重で曲げ加工を行って測
定した。供試材はG.W.とB.W.より採取し、上記
曲げ治具の曲げ半径は0.25mmとした。曲げ加工
後、供試材の曲げ部が割れ等を呈していないかどうかル
ーペで検鏡し、割れのないものを○と判定した。
化の有無及びはんだ耐剥離性で評価した。はんだ白化と
は通称で、表面まで脆くて電気伝導度が低くはんだ濡れ
性に劣る合金層に変化してしまう現象のことを指す。具
体的には、245℃の60Sn/40Pbのはんだ槽に
あらかじめ非活性フラックスを塗布した材料を5秒間浸
漬してはんだ付けしたあと、150℃オーブン中で最大
1000時間加熱し、その外観を加熱前のはんだ付けさ
れた供試材と比較し白化の有無を目視で確認した。さら
にその後、2mmRで180°曲げた後、平板に曲げ戻
し、その際の材料からのはんだの剥離の有無を目視で確
認した。
規定することにより、熱間圧延において割れの発生がな
く、熱間圧延可能なりん青銅を提供することができる。
従来よりあるりん青銅の製造上の問題を解決し、従来の
りん青銅と同等の特性を有し、異方性がなく、端子、コ
ネクタ、リレーとして適切なりん青銅を熱間圧延により
得ることができ、工業的に極めて有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】 Sn:0.5〜8.0%(質量%、以下
同じ)、P:0.005〜0.05%、及びFe、N
i、Co、Mn:1種又は2種以上を総量で0.003
〜0.04%含み、S:0.003%以下、Pb、B
i、Sb、As、Se:総量で0.002%以下、H:
0.0001%以下、O:0.003%以下に規制さ
れ、残部Cu及び不可避的不純物からなる熱間圧延可能
なりん青銅。 - 【請求項2】 さらに、Zn:0.01〜2.0%を含
み、残部Cu及び不可避的不純物からなる熱間圧延可能
なりん青銅。 - 【請求項3】 さらに、Cr:0.001〜0.05
%、Ti:0.001〜0.05%、Zr:0.001
〜0.05%の1種又は2種以上を総量で0.001〜
0.05%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載
された熱間圧延可能なりん青銅。 - 【請求項4】 さらに、Al:0.001〜0.03
%、Mg:0.001〜0.03%の1種又は2種を総
量で0.001〜0.03%含むことを特徴とする請求
項1〜3のいずれかに記載された熱間圧延可能なりん青
銅。
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