JP2015017302A - 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 - Google Patents
二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015017302A JP2015017302A JP2013145042A JP2013145042A JP2015017302A JP 2015017302 A JP2015017302 A JP 2015017302A JP 2013145042 A JP2013145042 A JP 2013145042A JP 2013145042 A JP2013145042 A JP 2013145042A JP 2015017302 A JP2015017302 A JP 2015017302A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper alloy
- rolled foil
- heat treatment
- orientation
- current collector
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Abstract
【解決手段】圧延により形成したCu−Zr系合金から得られる銅合金圧延箔であって、前記銅合金圧延箔の結晶方位についてBrass方位{110}<112>、Copper方位{121}<111>、S方位{231}<346>、Goss方位{110}<001>に配向している結晶方位密度をそれぞれB、C、S、Gとしたとき、[B/C/(G+S)]が、0.16〜0.6である二次電池集電体用銅合金圧延箔、およびその製造方法。
【選択図】なし
Description
リチウムイオン二次電池は、シート状の正極電極と負極電極と各々の間にセパレータを介在させ、電極間を電解液で満たして構成される。例えば、円筒形のリチウムイオン二次電池では、長辺が圧延方向(RD方向)となるように切り出した銅箔から集電体を形成し、所定の処理を経て負極電極とする。その後、正極材とセパレータとを組合せて、長辺方向に重ねながら巻くことで円筒形に成型する。この場合、負極電極の円周方向(箔圧延時のRD方向)の膨張・収縮に対する許容範囲は、巻き合わせている事もあって比較的大きい。しかし、円筒の上下方向(箔圧延時のTD方向)については、電池ケースの寸法で制約されているため、許容範囲が小さい。極端に膨張が進んだ場合、端部を拘束された電極の歪が大きくなり、電極の破壊や短絡を起こし電池としての機能を果たさなくなることがある。そのため、集電体を構成する銅箔のTD方向の強度を向上させることが求められている。
特許文献1では、合金化によって引張強さを高めることが提案されている。引張強さが高ければ、降伏応力も高くなっていることが推定される。特許文献2では、銅合金箔を450℃において4時間の熱処理に付すことによって、軟化させた後の伸びを高めることが提案されている。特許文献3では、Fe、Ni、Zn、Pの各元素を含有することで強度を向上できることが示されている。特許文献4では、多量のZnを含有させることにより材料の強度を高める方法が提案されている。
従って、これらの従来の技術では、近年の電池、特に二次電池用集電体の材料への高度な要求を十分に満足することができない。
(1)Zrを0.001〜0.4mass%、並びに、Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0〜0.8ass%含有し、残部が銅および不可避不純物からなるCu−Zr系の銅合金を圧延により形成して得られる銅合金圧延箔であって、
前記銅合金圧延箔の結晶方位について、Brass方位{110}<112>、Copper方位{121}<111>、S方位{231}<346>、Goss方位{110}<001>に配向している結晶方位密度を、それぞれ、B、C、S、Gとしたとき、[B/C/(G+S)]が、0.16〜0.6である二次電池集電体用銅合金圧延箔。
(2)Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.001〜0.8ass%含有する(1)に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
(3)加工率が90%以上である最終冷間圧延を施して製造された(1)または(2)に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
(4)最終冷間圧延後に300℃以下で1時間以内の熱処理を施したとき、圧延方向と平行な方向の0.2%耐力が450MPa以上、幅方向と平行な方向の0.2%耐力が470MPa以上となる(1)から(3)のいずれか1項に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
(5)Zrを0.001〜0.4mass%、並びに、Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0〜0.8ass%含有し、残部が銅および不可避不純物からなるCu−Zr系の銅合金からなる二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法であって、
前記銅合金を鋳造して得た被圧延材に対して均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、
均質化熱処理された被圧延材に対して、熱間圧延を行う熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程後に、少なくとも600℃〜200℃の間は20℃/秒以上の冷却速度で冷却を行う冷却工程と、
前記冷却工程後に面削を行う面削工程と、
前記面削工程後に所定の加工率で中間冷間圧延を行う中間冷間圧延工程と、
前記中間冷間圧延後に、500〜800℃で10秒〜5時間の再結晶熱処理を行う最終再結晶熱処理工程と、
前記最終再結晶熱処理後に、90%以上の加工率で最終冷間圧延を行う最終冷間圧延工程と、
を有する二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
(6)前記銅合金が、Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.001〜0.8ass%含有してなる(5)に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
(7)最終冷間圧延工程の後に、300℃以下で1時間以内の熱処理を施す熱処理工程を有してなる(5)または(6)に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
ここで、B/C/(S+G)=B/{C*(S+G)}であり、分子がBで、分母がC*(S+G)である。
ここで、結晶方位密度とは、X線回折極点測定による測定結果をODF解析することにより得られる結晶方位の集積度である。
なお、各圧延工程での加工率(板厚減少率とも言う。)とは、圧延工程前の板厚t1(mm)と圧延工程後の板厚t2(mm)を用いて、下式の様に算出される値をいう。
加工率(%)={(t1−t2)/t1}×100
また、前記Cu−Zr系の銅合金圧延箔に用いる銅合金は、必須成分のZrに加えて、副添加成分としてCr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.001〜0.8ass%、好ましくは0.01〜0.7mass%含有しても良い。
なお、Cu−Zr系の銅合金圧延箔は、必須成分を除く残部、または必須成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物と銅により形成されている。
本発明の銅合金圧延箔は、その結晶方位に関してBrass方位の存在量に対するCopper方位とGoss方位とS方位の結晶方位密度の関係[B/C/(G+S)]が、0.16〜0.6である。
結晶方位密度は、X線回折極点図測定により得られる正極点図をODF解析することにより得られる。
また、本発明の銅合金圧延箔は、以下に示すような所定の組成の銅合金として形成される。
銅合金圧延箔は、図2に示すように、第1工程ST1から第9工程ST9を基本工程とする加工と熱処理を行って製造される。
第4工程ST4は熱間圧延工程である。熱間圧延とは、金属を再結晶温度以上(本発明における銅合金では、通常600℃以上1000℃以下)に加熱して行う圧延をいう。
第5工程ST5は冷却工程であり、第6工程ST6は酸化スケールの除去のための面削工程であり、第7工程ST7は中間冷間圧延工程であり、第8工程ST8は再結晶させるための熱処理を行う再結晶熱処理工程であり、第9工程ST9は最終冷間圧延工程である。なお、冷間圧延とは、再結晶が生じない温度範囲(例えば常温)下で行う圧延をいう。
また、中間冷間圧延工程ST7の前に、中間焼鈍工程ST7’を行っても良い。あるいは、所望の板厚まで中間冷間圧延工程ST7を繰り返し、各中間冷間圧延工程ST7の間に中間焼鈍工程ST7’を行っても良い。この後者の場合には、最初の中間冷間圧延工程ST7の前には中間焼鈍工程ST7’を行っても行わなくてもよい。
中間焼鈍工程ST7’での熱処理条件は、加熱温度は500〜800℃、加熱時間は10秒〜5時間が好ましい。
本発明の銅合金圧延箔を製造する特徴的な処理は、冷却工程において少なくとも材料が600℃〜200℃の間の降温中の冷却速度を20℃/秒以上とし、再結晶熱処理工程における熱処理を500℃〜800℃の加熱温度でその温度に10秒〜5時間保持し、かつ最終冷間圧延工程における加工率を90%以上とする点である。
ここで、第5工程ST5の冷却は、圧延終了温度から約40℃まで実施するが、本発明においては、その冷却(降温)途中の前記所定の温度範囲600℃〜200℃の間における冷却速度を規定すれば所望の結晶方位密度を得られる。これは、より高温およびより低温の温度領域では、結晶方位の制御において冷却速度が及ぼす効果が小さいことによる。
例えば、Brass方位とは、圧延面法線方向(ND)に{110}面を、圧延方向(RD)に<112>方向を向いている状態であり、{110}<112>の指数で示される。
通常の銅合金圧延箔では、圧延集合組織が発達している。強度の低下という問題に対し、一般的な銅合金の圧延集合組織(圧延安定方位)は、一定の広がりは持っているものの、Brass方位{110}<112>、Copper方位{121}<111>、S方位{231}<346>が一般的であり、その他にGoss方位{110}<001>も存在する。
これらの各結晶方位には強度異方性を有するものがあり、Brass方位は圧延方向に垂直な方向に対する引張強さを向上させるが、一方Copper方位は圧延方向に平行な方向に対する強度を増加させる。これらに対して、Goss方位およびS方位はいずれの方向に対しても同等の強度を与える。
本発明者らは、Brass方位に配向している結晶方位密度をB、Copper方位に配向している結晶方位密度をC、S方位に配向している結晶方位密度をS、Goss方位に配向している結晶方位密度をGとしたとき、[B/C/(G+S)]を増加させることが有効であることを知見した。この関係を後記の実施例、比較例の結果を参照して以下に説明する。
図3(および表1)から分かるように、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6の実施例1〜7の場合、耐力(TD)は540MPa以上である。さらに、耐力(RD)および後述する耐熱性(RDおよびTD)にも優れるものであった。
すなわち、図3に示すように、所定の合金組成として、かつ、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6になるように銅合金圧延箔を形成することにより、導電率を維持しつつ、RDとTD方向の耐力を向上させることができ、さらには耐熱性も向上させることができる。
図4(および表1)から分かるように、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6の実施例1〜7の場合、加熱処理後の耐力(TD)は470MPa以上である。さらに、加熱処理後の耐力(RD)にも優れるものであった。
これに対して、[B/C/(G+S)]が0.16未満の比較例3〜5と参考例1〜2では、加熱処理後の耐力(TD)は470MPa未満と低い。これに加えて、いずれも、加熱処理後の耐力(RD)にも劣る。また、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6の比較例2、6では、加熱処理後の耐力(RD)が低い。これに加えて、比較例6では、加熱処理後の耐力(TD)も低い。さらに、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6の比較例1は、加熱処理後の耐力は満足しているが、副添加元素の含有量の合計が多すぎるために、導電率に劣る。
すなわち、図4に示すように、所定の合金組成として、かつ、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6になるように銅合金圧延箔を形成することにより、導電率を維持して、耐力を向上して、更に加熱後のRDとTD方向の耐力(耐熱性)を向上させることができる。
換言すると、所定の合金組成として、かつ、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6になるように銅合金圧延箔を形成することにより、高い強度と耐熱性および導電性を同時に得ることができ、ひいては優れた電池特性を得ることが可能となる。
本発明においては、[B/C/(G+S)]は0.16〜0.6であり、好ましくは0.18〜0.4、さらに好ましくは0.2〜0.3である。
電池用負極集電体材では、耐力(RD)は520MPa以上であることが好ましい。より好ましくは530MPa以上、更に好ましくは540MPa以上である。TD方向では耐力は540MPa以上であることが好ましく、より好ましくは550MPa以上、更に好ましくは560MPa以上である。ここで、耐力とは0.2%の永久歪を与える応力で定義される。
電池用負極集電体材では、耐熱性としては300℃以下、1時間以内の加熱後に耐力(RD)が450MPa以上であることが好ましい。より好ましくは460MPa以上、更に好ましくは470MPa以上である。TD方向では前記加熱後の耐力が470MPa以上であることが好ましく、より好ましくは480MPa以上、更に好ましくは490MPa以上である。ここで、耐熱性とは300℃、1時間加熱後の耐力、すなわち0.2%の永久歪を与える応力で定義される。すなわち、「300℃以下、1時間以内」という条件の中で、最大の熱負荷をかけた状態である「300℃、1時間」の熱処理後の試料にて評価する。
電池用負極集電体材では、導電率は80%IACS以上であることが好ましい。より好ましくは82%IACS以上、更に好ましくは85%IACS以上である。
一般に銅合金においては、立方体集合組織を発達させれば、圧延方向に(100)面が配向している領域を増大し、強度を向上することができる。
しかし、立方体集合組織は再結晶によって発達し、銅合金圧延箔のような加工組織中に増加させることはできない。強度を向上させるには圧延による加工硬化は必須であり、箔を焼鈍して再結晶優先方位を適用する技術は適用できない。
すなわち、第1工程ST1の溶解工程、第2工程ST2の鋳造工程、第3工程ST3の均質化熱処理工程、第4工程ST4の熱間圧延工程、第5工程ST5の冷却工程、第6工程ST6の面削工程、第7工程ST7の中間冷間圧延工程、第8工程ST8の再結晶熱処理工程、第9工程ST9の最終冷間圧延工程からなる製造工程が基本となる。
ここで、所望の板厚まで中間冷間圧延工程ST7を繰り返し、各中間冷間圧延工程ST7の間に中間焼鈍工程ST7’を行っても良いことは、前記のとおりである。
Cu−Zr系の合金に含まれる必須成分Zrの含有量の範囲は0.001〜0.4mass%、好ましい含有量の範囲は0.01〜0.3mass%である。
上記の必須成分Zrに加えて、更に強度や耐熱性などの向上を目的に、Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPから選ばれる少なくとも1種の副添加元素の添加が許容される。副添加元素の含有量の詳細は、上述の通りである。
特に、厚さ20μm以下の箔までの圧延において、内在する第2相によってピンホールが発生する問題に対しては、Si、Mg、Pなどの添加によって溶湯を脱酸して酸化物の形成を抑制することが、また、Mnの添加によって硫化物の形成を抑制することが、有効である。
また、上記で規定した成分の下限値未満に添加した場合に、その添加効果が充分に得られない。各成分の添加量は、上述の及び以下の用途に応じて、前記所定の範囲内において適宜調整されるものである。
ここで、80%IACSとは、電気抵抗率がIACS(国際焼きなまし銅線標準)という名の“標準焼きなまし銅線”を100%とした場合に、対象の銅合金からなる導線が80%の導電性をもつということを示している。
但し、本発明は厚さが20μm以下の銅合金圧延箔を対象範囲としている。
実施例の結果については下記の表1に示されている。
表1においては、上記銅合金圧延箔の実施例の評価結果を比較例と対比して示した。
表1の実施例の結果評価について述べる前に、本発明の実施例および比較例の銅合金圧延箔の製造方法、について説明する。
本発明の銅合金圧延箔の製造方法の実施例について、図2を参照して説明する。
第1工程ST1において、原料を高周波溶解炉により溶解させ、溶解した原料を第2工程ST2において0.1〜100℃/秒の冷却速度で鋳造を行い、鋳塊を得た。鋳塊は、表1に示す合金成分を含有し、残部がCuと不可避不純物により形成されるものであった。
次に、第5工程ST5において少なくとも600℃〜200℃の間の冷却速度を20℃/秒以上で水冷により冷却し、第6工程ST6において酸化スケール除去のために面削を行った。
各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を行い、また形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
これらの製造条件の内、各試験例における、第5工程ST5での600℃〜200℃の間の冷却速度(℃/秒)、第8工程ST8での時効熱処理温度(℃)、第9工程ST9での加工率(板厚減少率、%)を、表1に示す。
Brass方位{110}<112>、Copper方位{121}<111>、S方位{231}<346>、Goss方位{110}<001>に配向している結晶方位密度をそれぞれB、C、S、Gとし、これらで表わされる[B/C/(G+S)]を、X線回折極点図測定法とODF解析法により、前述した方法に従って測定した。
前述したODF解析法により、X線回折極点図測定で得られた正極点図を利用した結晶方位解析技術を用い、結晶方位密度を解析した。
前記で得られた各々の銅合金圧延箔(1)から図1に示すようにRDサンプル(2)およびTDサンプル(3)を採取し、これらのサンプルについて、0.2%耐力(YS)を、JIS Z2241に準じて引張試験により測定した。この引張試験では、RDサンプルに対しては圧延方向と平行な方向(RD方向)に張力を印加し、一方、TDサンプルに対しては圧延方向と垂直な方向(TD方向)に張力を印加して行った。
耐力は、RDサンプルで520MPa以上、TDサンプルで540MPa以上を合格とし、それぞれ、それ未満を不合格とする。
前記で得られた各々の銅合金圧延箔のRDサンプルおよびTDサンプルについて、Ar雰囲気中で300℃にて1時間保持する熱処理を行った後に、加熱前と同様の方法(JIS Z2241)で引張試験を行い、0.2%耐力(YS)を測定した。熱処理後の耐力の低下が少ないほど耐熱性に優れることを意味する。
耐熱性は、加熱処理後の耐力が、RDサンプルで450MPa以上、TDサンプルで470MPa以上を合格とし、それぞれ、それ未満を不合格とする。なお、300℃1時間の熱処理で合格となる材料は、300℃以下1時間以内の熱処理ならば同様に合格となることを意味する。
20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
導電率は、80%IACS以上を合格とし、それ未満を不合格とする。
一方、比較例2、6、参考例1〜2は、必須成分Zrを0.001〜0.4mass%の含有量とする条件を満足していない。比較例1は、副添加成分Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg、Pを含有する場合その合計で0.001〜0.8mass%の含有量とする条件を満足していない。
すなわち、本発明の銅合金圧延箔の特徴の1つである、所定の合金組成とするための副添加成分の合計の含有量を制御しないと、導電率が低くなっているものと推察される。
すなわち、本発明の銅合金圧延箔の特徴の1つである、所定の合金組成とするための必須成分Zrの含有量を制御しないと、導電率、強度および耐熱性が低くなっているものと推察される。
すなわち、本発明の製造方法の特徴の1つである、再結晶熱処理温度が低すぎると、[B/C/(G+S)]の条件を満足することができず、ひいては導電率、強度および耐熱性が低くなっているものと推察される。
すなわち、本発明の製造方法の特徴の1つである、熱間圧延後の冷却速度が遅すぎると、[B/C/(G+S)]の条件を満足することができず、ひいては強度および耐熱性が低くなっているものと推察される。
すなわち、本発明の製造方法の特徴の1つである、最終冷間圧延での加工率が低すぎると、[B/C/(G+S)]の条件を満足することができず、ひいては強度および耐熱性が低くなっているものと推察される。
すなわち、本発明の銅合金圧延箔の特徴の1つである、所定の合金組成とするためのZr添加がないと、強度および耐熱性が低くなっているものと推察される。
すなわち、本発明の銅合金圧延箔の特徴の1つである、所定の合金組成とするためのZr添加がないと、また、本発明の製造方法の特徴の1つである、再結晶熱処理温度が低すぎると、[B/C/(G+S)]の条件を満足することができず、ひいては強度および耐熱性が低くなっているものと推察される。
すなわち、本発明の銅合金圧延箔の特徴の1つである、所定の合金組成とするためのZr添加がないと、また、本発明の製造方法の特徴の1つである、再結晶熱処理温度が低すぎると、[B/C/(G+S)]の条件を満足することができず、ひいては強度および耐熱性が低くなっているものと推察される。
また、本発明の銅合金圧延箔の製造方法で規定する、熱間圧延後の少なくとも600℃〜200℃の間の降温時に冷却速度を20℃/秒以上とし、かつ再結晶熱処理温度を500〜800℃で10秒〜5時間とし、かつ最終冷間圧延における加工率を90%以上とすることにより、[B/C/(G+S)]が0.16〜0.6の条件を満足する場合には、強度(耐力)、耐熱性および導電性がいずれも高い銅合金圧延箔を得ることができた。
2 RDサンプル
3 TDサンプル
Claims (7)
- Zrを0.001〜0.4mass%、並びに、Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0〜0.8ass%含有し、残部が銅および不可避不純物からなるCu−Zr系の銅合金を圧延により形成して得られる銅合金圧延箔であって、
前記銅合金圧延箔の結晶方位について、Brass方位{110}<112>、Copper方位{121}<111>、S方位{231}<346>、Goss方位{110}<001>に配向している結晶方位密度を、それぞれ、B、C、S、Gとしたとき、[B/C/(G+S)]が、0.16〜0.6である二次電池集電体用銅合金圧延箔。 - Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.001〜0.8mass%含有する請求項1に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
- 加工率が90%以上である最終冷間圧延を施して製造された請求項1または2に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
- 最終冷間圧延後に300℃以下で1時間以内の熱処理を施したとき、圧延方向と平行な方向の0.2%耐力が450MPa以上、幅方向と平行な方向の0.2%耐力が470MPa以上となる請求項1から3のいずれか1項に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔。
- Zrを0.001〜0.4mass%、並びに、Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0〜0.8ass%含有し、残部が銅および不可避不純物からなるCu−Zr系の銅合金からなる二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法であって、
前記銅合金を鋳造して得た被圧延材に対して均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、
均質化熱処理された被圧延材に対して、熱間圧延を行う熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程後に、少なくとも600℃〜200℃の間は20℃/秒以上の冷却速度で冷却を行う冷却工程と、
前記冷却工程後に面削を行う面削工程と、
前記面削工程後に所定の加工率で中間冷間圧延を行う中間冷間圧延工程と、
前記中間冷間圧延後に、500〜800℃で10秒〜5時間の再結晶熱処理を行う最終再結晶熱処理工程と、
前記最終再結晶熱処理後に、90%以上の加工率で最終冷間圧延を行う最終冷間圧延工程と、
を有する二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。 - 前記銅合金が、Cr、Sn、Zn、Si、Mn、Mg及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で0.001〜0.8ass%含有してなる請求項5に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
- 最終冷間圧延工程の後に、300℃以下で1時間以内の熱処理を施す熱処理工程を有してなる請求項5または6に記載の二次電池集電体用銅合金圧延箔の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013145042A JP6190646B2 (ja) | 2013-07-10 | 2013-07-10 | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013145042A JP6190646B2 (ja) | 2013-07-10 | 2013-07-10 | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015017302A true JP2015017302A (ja) | 2015-01-29 |
JP6190646B2 JP6190646B2 (ja) | 2017-08-30 |
Family
ID=52438564
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013145042A Active JP6190646B2 (ja) | 2013-07-10 | 2013-07-10 | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6190646B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016191139A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-10 | Jx金属株式会社 | 二次電池用圧延銅箔、並びにそれを用いたリチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタ |
CN110252972A (zh) * | 2019-07-06 | 2019-09-20 | 湖北精益高精铜板带有限公司 | 高强高导微合金铜箔及其加工方法 |
CN111500891A (zh) * | 2020-06-08 | 2020-08-07 | 广安圆上园科技有限公司 | 一种高导电铜合金转子及其制备方法 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58128292A (ja) * | 1982-01-26 | 1983-07-30 | Furukawa Electric Co Ltd:The | りん銅ろう薄帯 |
JP2002038227A (ja) * | 2000-05-16 | 2002-02-06 | Nippon Mining & Metals Co Ltd | 深絞り性に優れたりん青銅条及びその製造方法 |
JP2002275563A (ja) * | 2001-03-21 | 2002-09-25 | Kobe Steel Ltd | 熱間圧延可能なりん青銅 |
JP2009132965A (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Hitachi Cable Ltd | 電気・電子部品用銅合金材 |
JP2011168846A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Kobe Steel Ltd | 破壊強度および曲げ加工性に優れた熱交換器用銅管 |
JP2012177197A (ja) * | 2010-08-27 | 2012-09-13 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 銅合金板材及びその製造方法 |
-
2013
- 2013-07-10 JP JP2013145042A patent/JP6190646B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58128292A (ja) * | 1982-01-26 | 1983-07-30 | Furukawa Electric Co Ltd:The | りん銅ろう薄帯 |
JP2002038227A (ja) * | 2000-05-16 | 2002-02-06 | Nippon Mining & Metals Co Ltd | 深絞り性に優れたりん青銅条及びその製造方法 |
JP2002275563A (ja) * | 2001-03-21 | 2002-09-25 | Kobe Steel Ltd | 熱間圧延可能なりん青銅 |
JP2009132965A (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-18 | Hitachi Cable Ltd | 電気・電子部品用銅合金材 |
JP2011168846A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Kobe Steel Ltd | 破壊強度および曲げ加工性に優れた熱交換器用銅管 |
JP2012177197A (ja) * | 2010-08-27 | 2012-09-13 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 銅合金板材及びその製造方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016191139A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-10 | Jx金属株式会社 | 二次電池用圧延銅箔、並びにそれを用いたリチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタ |
CN110252972A (zh) * | 2019-07-06 | 2019-09-20 | 湖北精益高精铜板带有限公司 | 高强高导微合金铜箔及其加工方法 |
CN110252972B (zh) * | 2019-07-06 | 2021-11-30 | 湖北精益高精铜板带有限公司 | 高强高导微合金铜箔及其加工方法 |
CN111500891A (zh) * | 2020-06-08 | 2020-08-07 | 广安圆上园科技有限公司 | 一种高导电铜合金转子及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6190646B2 (ja) | 2017-08-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5170916B2 (ja) | 銅合金板材及びその製造方法 | |
JP5275446B2 (ja) | 集電体用アルミニウム合金箔およびその製造方法 | |
KR101953412B1 (ko) | 이차전지 집전체용 압연 동박 및 그 제조방법 | |
JP5153949B1 (ja) | Cu−Zn−Sn−Ni−P系合金 | |
JP5575632B2 (ja) | リチウムイオン二次電池用銅箔の製造方法 | |
KR101924250B1 (ko) | 이차전지 집전체용 압연 동박 및 그 제조방법 | |
TWI429764B (zh) | Cu-Co-Si alloy for electronic materials | |
JP6190574B2 (ja) | 二次電池集電体用圧延銅箔およびその製造方法 | |
KR20170013881A (ko) | 구리 합금 판재 및 그 제조 방법, 상기 구리 합금 판재로 이루어지는 전기전자 부품 | |
JP6182372B2 (ja) | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 | |
JP6190646B2 (ja) | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 | |
JP4859238B2 (ja) | 高強度高導電性耐熱銅合金箔 | |
JP6162512B2 (ja) | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 | |
JP6146964B2 (ja) | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 | |
JP6077755B2 (ja) | Cu−Zn−Sn−Ni−P系合金及びその製造方法 | |
JP6146963B2 (ja) | 二次電池集電体用銅合金圧延箔およびその製造方法 | |
KR102499442B1 (ko) | 구리 합금 판재 및 그 제조 방법 | |
JP5995421B2 (ja) | 銅合金条およびその製造方法 | |
JP2017071811A (ja) | 電子部品用Cu−Co−Ni−Si合金 | |
JP2011046970A (ja) | 銅合金材及びその製造方法 | |
JP7445096B1 (ja) | 銅合金板材および絞り加工部品 | |
JP2019077889A (ja) | 電子材料用銅合金 | |
JP6671434B2 (ja) | 電子材料用銅合金 | |
JP6671416B2 (ja) | 電子材料用銅合金 | |
JP2019077890A (ja) | 電子材料用銅合金 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160413 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170123 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170207 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20170406 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20170406 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170519 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20170519 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170718 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170807 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6190646 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |